説明

緑化体及び緑化設備

【課題】植物の根の良好な伸長や水分の良好な広がりを確保して植物の良好な生育を実現しつつ、軽量化を図ることができる。
【解決手段】側壁21と底板22を有する容器20内に育成材30を充填し、所定湿潤時における育成材30の単位体積当りの重量よりも軽量な板部40を育成材30上に載置し、上下に連通する連通部41を板部40に形成し、連通部41に植物を植栽可能とする緑化体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の屋上、屋根、ベランダ等における緑化対策の一環として使用する緑化体及びこの緑化体を複数敷設する緑化設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市の緑化対策の重要性が認識されつつあり、建造物の屋上、傾斜屋根、ベランダ等においても緑化設備で緑化が図られて来ている。この緑化設備は、建造物の屋上等に設置されるものであるため、建造物の強度に合わせて軽量化することが極めて重要である。そのため、緑化設備の土壌には軽量土壌が用いられることも多く、又、特許文献1のような軽量化が可能な緑化設備も提案されている。
【0003】
特許文献1の緑化設備は、パネル本体に、平面視略格子状である土壌を収納する収納部と、収納部を所定の深さに形成して土壌を所定の厚みにするために嵩上げする嵩上げ部とを具備するものである。この嵩上げ部は、格子状の収納部の間に略正方形のブロック状で複数設けられ、パネル本体を構成する底板の上面に一体的に突出して形成されている。そして、この嵩上げ部を設けることにより、植物を植栽する収納部の土壌の厚みを厚くしても緑化設備全体を軽量化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−204291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の緑化設備は、嵩上げ部をパネルの底板から立設するものであるため、収納部に植栽された植物の根の伸長が嵩上げ部で制限され、根の伸長方向が限られてしまい、植物の生育に悪影響を及ぼす虞がある。また、この嵩上げ部の存在により、水分の毛細管現象による広がり方向が限られて水分管理が容易でなくなるため、かかる点からも植物の生育に悪影響を及ぼす虞がある。そのため、植物の良好な育成を確保しつつ、軽量化を図れる構成が求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、植物の根の良好な伸長や水分の良好な広がりを確保して植物の良好な生育を実現しつつ、軽量化を図ることができる緑化体及び緑化設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の緑化体は、容器に育成材を設け、所定湿潤時における前記育成材の単位体積当りの重量よりも軽量な板部を前記育成材上に載置し、上下に連通する連通部を前記板部に形成し、前記連通部に植物を植栽可能とすることを特徴とする。前記所定湿潤時とは、十分に育成材に水分が保持された状態を意味し、例えば底面に水抜き穴が穿設された容器内に対象物(育成材)を充填し、水抜き穴から余剰水が排出されるまで上から散水を行い、その後、余剰水の排水が無くなった状態を意味している。また、好適には連通部内に育成材を設けるとよい。本発明によれば、軽量な板部を育成材上に載置し、板部の連通部に植栽することにより、軽量化を図ることができる。また、板部の下に育成材が存在することから、植物の根の伸長や水の広がりが妨げられることが無くなり、植物の良好な生育を確保することができる。また、板部を育成材に載置することで、育成材の飛散を防止できると共に、育成材中の水分の蒸発を抑制し、必要な給水間隔の長期化に資することができる。また、容器を用いることで施工作業を容易化できる。
【0008】
また、本発明の緑化体は、前記板部の少なくとも表面に耐候性処理を施すことを特徴とする。本発明によれば、板部の材質を問わずに板部を長期に亘って使用でき、長期に亘り安定して緑化体の性能を維持することができる。
【0009】
また、本発明の緑化体は、上下に連通して水分を通水可能な通水部を前記板部の前記連通部以外の箇所に形成することを特徴とする。本発明によれば、板部上の降雨等をより確実に且つ多量に板部の下に存在する育成材に導くことができ、植物の生育用の水分として雨水等をより有効に活用することができる。
【0010】
また、本発明の緑化体は、長手方向に延びる挿通孔を有する筒部を前記容器の前記底板から立設し、前記板部に、前記載置状態における前記筒部と対応する位置に上下に貫通する貫通孔を形成し、前記対応する位置の前記挿通孔及び前記貫通孔に固定部材を挿通して、前記容器と前記板部を一体化することを特徴とする。本発明によれば、緑化体と板部を一体化することが可能となり、一体化した板部で育成材の飛散を確実に防止することができると共に、緑化体と板部の一体的な取扱いで施工、撤去時など取扱いが容易となる。
【0011】
また、本発明の緑化体は、隣接配置される複数の前記容器を有し、前記複数の容器に対して前記板部を跨ぐように載置することを特徴とする。本発明によれば、板部を大型化することが可能となり、コスト削減、施工性の向上を実現することができる。前記構成では、板部の裏面に十字形等の溝を設け、この溝を容器の隣接する側壁に外嵌めすると、複数の容器の連結や位置決めができて好ましい。
【0012】
また、本発明の緑化体は、前記板部を複数の板材を組み合わせて構成することを特徴とする。本発明によれば、板部の厚さ、板部により形成される連通部の位置、形状、大きさなど多様な変更が可能となり、植物の種類、顧客の要望に応じて多様なデザイン変更等が可能となる。
【0013】
また、本発明の緑化体は、前記容器に前記板部を支持する支持部を設け、前記支持部及び前記育成材で前記板部を支持することを特徴とする。本発明によれば、板部を所定高さで確実に支持することが可能となり、仮にメンテナンス等において板部上を歩行したとしても、下側の育成材が圧縮されて固化されることを防止することができる。
【0014】
また、本発明の緑化体は、前記容器の下方に貯水層を設け、前記貯水層から導水部を介して前記容器内に水分を導くことを特徴とする。本発明によれば、降雨等は育成材だけに限らず、貯水層でも貯水することが可能となり、より雨水の有効活用をすることができると共に、植物に対する給水間隔を長くすることが可能となり、水道費を節約できる。
【0015】
また、本発明の緑化設備は、本発明の緑化体を敷設面に複数敷設することを特徴とする。本発明の緑化体の効果を有する緑化設備を構成できると共に、広範囲を緑化することが可能となり、全体として景観に優れた緑化エリアを形成することができる。
【0016】
また、本発明の緑化設備は、敷設面の上側に育成材を敷設し、所定湿潤時における前記育成材の単位体積当りの重量よりも軽量な板部を前記育成材上に載置し、上下に連通する連通部を前記板部に形成し、前記連通部に植物を植栽することを特徴とする。本発明によれば、軽量な板部を育成材上に載置し、板部の連通部に植栽することにより、軽量化を図ることができる。また、板部の下に育成材が存在することから、植物の根の伸長や水の広がりが妨げられることが無くなり、植物の良好な生育を確保することができる。また、板部を育成材に載置することで、育成材の飛散を防止できると共に、育成材中の水分の蒸発を抑制し、必要な給水間隔の長期化に資することができる。また、容器を使用しないため、コストを低減することができる。
【0017】
また、本発明の緑化体は、容器に育成材を設け、又は敷設面に育成材を敷設し、板部を前記育成材上に載置し、上下に連通する連通部を前記板部に形成し、前記連通部に植物を植栽可能とすることを特徴とする。本発明によれば、所定湿潤時における育成材の単位体積当りの重量よりも軽量であることに限定されない板部を設置することにより、緑化体或いは緑化設備の美観を高めることができる。また、板部の下に育成材が存在することから、植物の根の伸長や水の広がりが妨げられることが無くなり、植物の良好な生育を確保することができる。また、板部を育成材に載置することで、育成材の飛散を防止できると共に、育成材中の水分の蒸発を抑制し、必要な給水間隔の長期化に資することができる。また、容器を用いることで施工作業を容易化、或いは容器を使用しないことでコスト低減を図ることができる。
【0018】
また、本発明の緑化設備は、側壁と底板を有する容器の前記側壁に側壁連通部を形成し、一の前記容器と別の前記容器とを隣接配置し、前記一の容器の側壁連通部と前記別の容器の側壁連通部とを対応配置して連通し、前記一の容器と前記別の容器とに、植物を植栽可能に育成材を充填することを特徴とする。本発明によれば、容器相互間での根の伸長や水分の広がりを確保して、容器に植栽する植物のより良好な生育を実現することができる。また、容器を用いることで施工作業を容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、植物の根の良好な伸長や水分の良好な広がりを確保して植物の良好な生育を実現しつつ、軽量化を図ることができる。また、美観に優れた緑化体或いは緑化設備を得ることができる。また、容器相互間での根の伸長や水分の広がりを確保して、容器に植栽する植物のより良好な生育を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は第1実施形態の緑化体の組立を説明する斜視説明図、(b)は第1実施形態の緑化体による緑化設備を示す斜視図。
【図2】(a)は第2実施形態の緑化体の組立を説明する斜視説明図、(b)は第2実施形態の緑化体による緑化設備を示す斜視図。
【図3】第3実施形態の緑化体による緑化設備の組立を説明する斜視説明図。
【図4】(a)は第4実施形態の緑化体における容器の平面図、(b)は同図(a)の容器の正面図、(c)は第4実施形態の緑化体における貯水層(貯水トレー)の平面図、(d)は同図(c)の貯水層(貯水トレー)の正面図。
【図5】(a)は第4実施形態の緑化体における育成材を充填した容器への板部の載置を説明する平面説明図、(b)は同図(a)の載置を説明する正面説明図。
【図6】(a)は第4実施形態の緑化体における育成材を充填して板部を設置した容器への植物苗の植栽を説明する平面説明図、(b)は同図(a)の植栽を説明する正面説明図。
【図7】(a)は第4実施形態の緑化体の平面図、(b)は同図(a)の緑化体の正面図。
【図8】(a)は第4実施形態の緑化体による緑化設備の一部横断平面図、(b)は同図(a)の緑化設備の一部縦断正面図。
【図9】(a)は第5実施形態の緑化体の一部横断平面説明図、(b)は同図(a)の緑化体の一部縦断正面説明図。
【図10】(a)は第6実施形態の緑化設備の部分平面図、(b)は同図(a)の緑化設備の部分縦断正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の緑化体及び緑化設備について図に示す具体的な実施形態により説明する。
【0022】
〔第1実施形態の緑化体及び緑化設備〕
第1実施形態の緑化体10は、図1(a)に示すように、側壁21と底板22とを有する上面開放の箱形の容器20を有し、容器20内に側壁21の上端よりも低い位置まで育成材30が充填され、充填された育成材30上には板部40が載置されている。
【0023】
容器20は、例えば合成樹脂製、発泡体製、木製、陶器製、石製、鋼板製等、或いはこれらの組み合わせなど適宜の素材で形成することが可能であるが、軽量化と断熱性強化のためには発泡体製、成形性の容易さの観点からは合成樹脂製とすることが好ましい。また、底板22には、必要に応じて排水口を穿設すると、根腐れ防止効果を発揮することができて好適である。
【0024】
育成材30には、植栽可能な適宜の育成材を用いることが可能であり、例えばパーライト、バーミキュウライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト、下水或いは浄水場から発生する汚泥、或いは汚泥の焼却灰等を用いることができる。また、これらの内の数種類を選定し、更には根腐れ防止用の硅酸塩白土等を植物の種類、環境等に応じて適宜選定し、これらを保水性、排水性を良好にするためにバランス良く配合する、或いは配合して固化してブロック状にする軽量育成材や、スポンジやヤシガラ等の繊維材等の軽量育成材などを育成材30として用いると良好である。かかる通気性良好な軽量育成材を育成材30として採用することにより、植物の根が傷むことを防止でき、又、これらの軽量育成材による荷重は、従来の客土の約1/3程度であることから、緑化体10の支持部分に負荷される荷重を軽減することができる。
【0025】
板部40は、対角する角部に対応して連通部41が2つ設けられており、連通部41はそれぞれ板部40の法線方向(上下方向)に貫通している。連通部41は、植物苗50の育成材部51の大きさよりも僅かに小さい貫通孔で、その形状は植物苗50の育成材部51を挿通可能な形状であれば適宜であり、本例では平面視円形である。板部40は、所定湿潤時における育成材30の単位体積当りの重量よりも軽量なものであれば適宜の素材で形成することが可能であり、例えば発泡スチロール、発泡ポリプロピレン、発泡ウレタン等の発泡体、或いは樹脂で成形した中空の板状部材など適宜であるが、断熱性、施工性、加工性の向上等の観点からは発泡体とすると好適であり、また、発泡体を使用することにより育成材30が断熱され、育成材30の温度変化が少なくなり、植物の生育を良好にすることが可能となる。前記所定湿潤時とは、十分に育成材に水分が保持された状態を意味し、例えば底面に水抜き穴が穿設された容器内に対象物(育成材)を充填し、水抜き穴から余剰水が排出されるまで上から散水を行い、その後、余剰水の排水が無くなった状態を意味している。
【0026】
板部40の連通部41には、植物苗50の育成材部51が挿入して填め込まれ、連通部41に植物苗50が植栽される。植物苗50の植物の種類は適宜であるが、例えばヘデラ、スイカズラ、リュウノヒゲ、サツキツツジ、シバザクラ、コトネアスター、ラベンダー、フッキソウ、タイム、フイリヤブラン、セイヨウイワナンテン、フィリフェラオーレア、ササ、イワヒバなどの地被類とすると好適である。また、必要に応じて植物苗50と連通部41との間に育成材30を補充充填して緑化体10とされる。そして、図1(b)に示すように、緑化体10を、屋上等の人工地盤上の敷設面に隣接配置で縦横に連設するなど複数敷設することにより緑化設備が形成され、緑化設備による緑化エリアが屋上等に形成される。
【0027】
第1実施形態の緑化体10及び緑化設備は、軽量な板部40を育成材30上に載置し、板部40の連通部41に植栽することにより、軽量化を図ることができ、特に連通部41以外の箇所では単に育成材を盛る場合に比べて軽量化することができる。また、連通部41には、植物苗50の育成材部51、又は充填する育成材30、又はこれらの双方を設けることにより、連通部41の箇所で板部40の高さ分、育成材厚を確保することが可能となる。これにより、例えば芝、或いはセダムなど育成材30の厚さをそれほど必要としない植物以外にも対応することができる。また、板部40の下側では、育成材30が容器全体に繋がった状態で広がっているため、植物苗50の根の伸長を妨げるものがなく、良好な植物の生育が可能となると共に、容器20内において、水分の広がりを確実にし、例えば一の植物が水不足になり、他の植物が加湿となる状態を未然に防止することができる。
【0028】
また、容器20内の育成材30の殆どの表面を板部40で覆っているため、育成材30内の水分の蒸発を抑制することが可能となり、水分の無駄遣いを未然に防止することができると共に、水不足による植物の枯れを極力減らすことが可能となる。更に、育成材30の飛散を防止することが可能となり、育成材30の飛散が近隣に迷惑になることを防止でき、且つ植物にとって適度な育成材厚を長期に維持することが可能となる。また、容器20を用い、緑化体10を容器20を含めてユニット化しているため、施工、撤去等を容易に行うことができる。
【0029】
〔第2実施形態の緑化体及び緑化設備〕
次に、第2実施形態の緑化体及び緑化設備について、第1実施形態と異なる箇所の詳細を説明する。第2実施形態の緑化体10aでは、図2(a)に示すように、側壁21aと底板22aを有する第1実施形態と同一構成の容器20aを縦横に4つ並べて隣接配置し、その各容器20a内に育成材30aを充填している。そして、その上に隣接配置の容器20aの4つ分に相当する平面視面積及び形状の軽量な板部40aを載置すると共に、板部40aの上側の表面には耐候性を有する耐候性部材60aを載置している。
【0030】
板部40aには、各容器20aの対角近傍に対応する位置に連通部41aが形成され、各容器20aに対して各2つの連通部41a、即ち8つの連通部41aが形成されている。板部40aには、連通部41a以外の箇所に上下に貫通する小孔の通水部42aが多数穿設されており、通水部42aは、板部40aの上側の水分を容器20a内の育成材30aに導く機能を有する。また、板部40aの下側の裏面には、対向する辺を繋ぐようにして十字形の溝43aが形成されている。溝43aは、隣接配置の容器20aの側壁21a・21aを跨ぐように外嵌めされ、容器20aを相互に連結して位置決めし、位置ずれを防止している。
【0031】
耐候性部材60aには、板部40aの連通部41aと対応する平面視位置に連通部61aが形成されており、板部40aの通水部42aと対応する平面視位置に孔62aを穿設しており、確実に水分を容器20a内に導けるようになっている。耐候性部材60aには、耐候性を有する部材であれば、PVCシート等のシート状、塗料状、布やポリプロピレン等の不織布等からなる繊維状、アクリル板等の固体状など適宜のものを使用可能であり、又、透水性を有する部材を用いると、前記通水部42aに対応する孔62aを設けずとも、確実に水分を容器20a内に導くことが可能である。又、容易に穴を穿設可能な部材であれば、予め連通部61aを設けずに、施工現場で連通部61aを穿設する構成としてもよい。更に、連通部61aは穴に限定されず、例えば平面視十字形等の切れ目でもよい。耐候性部材60aの連通部61aは、板部40aの連通部41aに対応配置され、連通部61a、41aに植物苗50aの育成材部51aが挿入して填め込まれ、更に育成材30aを連通部61a、41aに充填することにより、緑化体10aが構成されている。更に、緑化体10aを敷設面に複数敷設することにより、図2(b)に示す緑化設備が形成されている。尚、耐候性部材に塗料状のものを使用する場合は、例えば土、石や木目調等自然のものを思わせるように化粧を同時に施すと意匠性が富むためによく、また、繊維状などの場合は防草シートなどを使用するなど適宜であり、防草シートを用いる場合にはシート自体に強度があることから、板部40a等の強度が増し、且つ板部40a等上に雑草が生えることを防止することができる。
【0032】
第2実施形態の緑化体10a及び緑化設備は、屋外に敷設した際に降雨等を確実に容器20a内の育成材30aに導くことが可能となり、雨水の有効利用が可能となり、水道費を節約できる。また、板部40aを平面視面積が大きなものとすることにより、施工を容易とすることが可能となると共に、コストダウンを図れる。また、板部40aの少なくとも表面を耐候性部材により被覆する等により耐候性処理を施すことで、板部40aに耐候性に優れない安価な材料を選定すること等が可能となり、コストダウンを図ることができると共に、長期に亘り安定して緑化体10aの性能を維持することができる。また、板部40aの裏面に容器20aの側壁21a・21a相互を連結する溝43aを形成することにより、容器20a・20a相互の位置決め、位置ずれを防止することが可能となる。また、第1実施形態と対応する構成により、同様の効果を奏する。
【0033】
尚、第2実施形態では、4つの容器20aに対して1つの板部40aを設ける構成としたが、隣接して並置する2つの容器20aに対して1つの板部40a、隣接して並置する3つの容器20aに対して1つの板部40a、隣接して並置する5つ以上の容器20aに対して1つの板部40aを設ける構成としてもよい。
【0034】
〔第3実施形態の緑化体及び緑化設備〕
次に、第3実施形態の緑化体及び緑化設備について、第1実施形態と異なる箇所の詳細を説明する。第3実施形態の緑化体10bでは、図3に示すように、第1実施形態とは異なる構成の容器20b内に育成材30bを充填し、その上に1つの容器20bに対して板部40bを構成する複数の軽量な板材45bを載置している。そして、後述する板材45bの連通部41bに植物苗50bの育成材部51bを挿入して嵌め込み、更に連通部41b内に育成材30bを補充充填することにより緑化体10bが構成される。
【0035】
容器20bは、側壁21bと底板22bを有する上面開放の箱形であり、各側壁21bには側壁連通部に相当する凹部23bが2つずつ形成されている。一の容器20bの凹部23bは、一の容器20bと別の容器20bを隣接配置する際に、別の容器20bの凹部23bと対応配置されて連通し、育成材30b・30bが充填されて隣り合う容器20b・20bの育成材30b・30bを繋げるようになっている。
【0036】
隣接配置されて板部40bを構成する複数の板材45bは、平面視面積が容器20bの約1/4である1/4板材451bと、平面視面積が容器20bの約1/2である1/2板材452bとで構成され、これらの部材を組み合わせることにより、容器20bで育成材30bに載置される板部40bが形成されている。板材45bは、第1実施形態の板部40と同様に、所定湿潤時における育成材30の単位体積当りの重量よりも軽量なものであれば適宜の素材で形成することが可能である。また、板材45bは、1つの円形の連通部41bを有する部材、4つの円形の連通部41bを有する部材、四角形の連通部41bを有する部材、連通部41bを有さない部材など様々な種類の部材から構成すると多様なデザインが可能になって好ましい。
【0037】
第3実施形態の緑化体10bによる緑化設備を施工する際には、容器20bを敷設面に複数隣接して敷設し、敷設された複数の容器20b内に育成材30bを充填し、育成材30b上に板材45bを敷設することにより板部40bを敷設し、板材45bの連通部41bに植物苗50bの育成材部51bを挿通し、更に連通部41bと植物苗50bとの間の空間に育成材30bを充填することにより緑化設備が形成される。
【0038】
第3実施形態の緑化体10b及び緑化設備では、容器20bを使用しているにも関わらず、容器20b・20b間の水の行き来、植物の根の伸長が可能となり、より良好な植物の生育が可能となる。また、板部40bを多様な板材45bで構成することが可能となり、植物の種類、顧客の要望に応じて多様なデザインが可能となる。また、第1実施形態と対応する構成により、同様の効果を奏する。
【0039】
〔第4実施形態の緑化体及び緑化設備〕
次に、第4実施形態の緑化体及び緑化設備について、第1実施形態と異なる箇所の詳細を説明する。第4実施形態の緑化体10cは、容器20cと貯水層(貯水トレー)70cを有し(図4参照)、容器20c内に育成材30cが充填され、その育成材30c上に軽量な板部40cを載置され(図5参照)、板部40cの連通部41cに植物苗50cの育成材部51cが挿入され(図6参照)、植物苗50cと連通部41cとの間の空間に育成材30cが充填され、これらの容器を貯水層(貯水トレー)70c上に載置することにより、緑化体10cが構成される。更に、緑化体10cを敷設面に複数敷設することにより、図8に示すように緑化設備である緑化エリアが形成される。
【0040】
容器20cは、図4(a)、(b)に示すように、側壁21cと底板22cを有する上面開放の箱形であり、その底板22cにはスリット状の排水孔221cが複数穿設されている。底板22cの四隅、4辺の略中央部分、四隅より多少内側に入った部分に下方に突出する中空の凹部222cが形成され、凹部222cの底面に後述する貯水層の水分を吸水するための吸水孔223cが穿設され、導水部を構成している。底板22cには、上方に向かって平面視I字形、或いは十字形の柱状部材224cが側壁21cと略同一高さまで複数立設され、柱状部材224cの頂面及び容器20c内に充填された育成材30cにより板部40cを支持するようになっている。
【0041】
また、底板22cから下方に向かって複数の脚部225cが突設され、貯水層70cの上限水位よりも容器20cの底板22cの下面が上方に位置するようになっており、容器20cの底板22cと貯水層70cの水面との間に必ず空気層が形成されるようになっている。尚、脚部225cは、適宜箇所で突設させることが可能であるが、好適には柱状部材224cと平面視略同一位置に突設させるとよく、前記構成により、柱状部材224cにかかる荷重を直接敷設面或いは貯水層70cに導くことができ、容器20cの変形を防止することが可能となる。
【0042】
側壁21cには、上方から下方に向かって漸次平面面積が小さくなるように中央から下部にかけて内向きへこみ部211cが形成されており、後述する給水管80cを配設するための空間を内向きへこみ部211cの下側に形成可能としている。側壁21cの内の隣り合う2辺の上端には、外方に張り出す張出片212cが形成され、育成材30cの側壁21c・21c間からの漏れを防止している。尚、図4の例では、底板22cの四辺略中央には、長手方向に延びる挿通孔を有する筒状で上方突出して立設し、内部に開口214cが穿設された筒部213cを設けられているが、本実施形態では使用しない。
【0043】
貯水層(貯水トレー)70cは、図4(c)、(d)に示すように、側壁71cと底板72cを有する上面開放の箱形であり、底板72cには複数の凹部721cと凸部722cとが形成されている。凹部721cの底面は敷設面に接しており、凸部722cの底面は敷設面から上方に離間する構成となっており、凸部722cの離間により、貯水層70cと敷設面との間の湿気を極力減らすことができると共に、貯水層70cの下面を水が流れることが可能となり、敷設面の劣化を防止することができる。また、凹部721cは容器20cの脚部225cが存在する位置に存在し、脚部225cへの荷重を確実に敷設面へ逃がすことが可能である。
【0044】
側壁71cの上端には外方に略鉤型の連係部711c、712cが形成されており、連係部711c、712cにより隣り合う貯水層70c、70c相互が連係される。より詳細には、隣り合う2辺には幅広連係部711cが形成され、他の隣り合う2辺には幅広連係部711cよりも幅の狭い幅狭連係部712cが形成され、1つの貯水層70cの幅狭連係部712cに他の貯水層70cの幅広連係部711cを被せることにより連係が可能になっている。また、側壁71c近傍には、後述する給水管80cを支持する給水管支持部73cが1辺に2つ設けられている。貯水層(貯水トレー)70cは、樹脂の真空成形で形成すると好適である。尚、図4の例では、底板72cの四辺略中央で、容器20cの筒部213cと平面視略同一位置に上方に突出した突出部723cが形成され、突出部723cの内部が開口724cで開口するように形成されているが、本実施形態では使用しない。
【0045】
容器20c内に育成材30cを充填する場合には、本実施形態では育成材30cを側壁21c上端、或いは柱状部材224cの上端と略同一位置まで充填し、側壁21cと柱状部材224cの上端が育成材30c上で見える状態とする。図5及び図6に示すように、この育成材30c上に4つの連通部41cが形成された板部40cを載置するが、板部40cは張出片212c側にずれた状態で載置される。植物苗50cの育成材部51cの連通部41cへの挿入、連通部41c内への育成材30cの充填は、第1実施形態等と同様である。
【0046】
第4実施形態の緑化体40cを敷設面に複数敷設して緑化設備を構成する場合、先ず貯水層(貯水トレー)70cを幅広連係部711c、幅狭連係部712cで連係しながら敷設面100に複数敷設し、内向きへこみ部211c・211c相互間において、貯水層70cの給水管支持部73cに給水管80cを配設する。その後、貯水層70c上に育成材30cや板部40cや植物苗50cを設けた容器20cを載置する、或いは容器20cを貯水層70cに載置した後に、容器20c内に育成材30cを充填して板部40cを載置し、植物苗50cを設ける等により、緑化設備である緑化エリアが形成される。尚、本実施形態の給水管80cには、両側の貯水層70c・70cに給水可能な多孔質パイプを使用しており、貯水層70c内の水分が不足すると給水管80cを介して貯水層70cに給水され、貯水層70c内の水分を前記導水部内或いは凹部222c内に設けられる育成材30cの毛細管現象により吸水し、植物の根へと導かれるようになっている。
【0047】
第4実施形態の緑化体10c及び緑化設備は、板部40cをより確実に支持することが可能となり、育成材30cの固化の防止や、粒状の育成材30cを使用した場合は育成材30cの潰れ等の防止を図ることが可能となり、植物の根へのダメージを防止することができる。また、貯水層70cを有することにより、給水間隔を長くすることが可能となると共に、雨水等も貯めることが可能となり、水道費を節約することができる。また、貯水層70cで連係されていることから、緑化体10cの位置決めが確実で、位置ずれを防止することができる。また、張出片212cを有することから、育成材30cの漏れを防止することができると共に、貯水層70c内への異物の侵入を防止することができる。
【0048】
また、給水管80cを支持する給水管支持部73cを有することから、給水管80cを確実な位置に設置することが可能となり、給水を確実に行うことが可能となる。また、給水時に両側の貯水層70c・70cに給水することから、各列の貯水層80c毎に給水管80cを配設する必要がなくなり、施工費等のコスト削減効果となると共に、水源の水圧により給水管80cの長さが制限される場合にも、より広範囲な緑化設備に対して1つの水源で対応することが可能となる。また、容器20cの側壁21cに内向きへこみ部211cを有することにより、給水管80cが緑化設備の外に出ることがなく、美観に優れた緑化エリアを形成できると共に、育成材30c中に埋設するなどの施工が不要となり、施工費等のコスト削減効果も発揮する。また、第1実施形態と対応する構成により、同様の効果を奏する。
【0049】
〔第5実施形態の緑化体及び緑化設備〕
次に、第5実施形態の緑化体及び緑化設備について、第1実施形態と異なる箇所の詳細を説明する。第5実施形態の緑化体10dは、図9に示すように、第4実施形態の容器20c、貯水層(貯水トレー)70cと同一構成の容器20d、貯水層(貯水トレー)70dを、本実施形態では略正方形となるように4つ並べて敷設面100に隣接配置し、その容器20d内に育成材30dを充填し、その上に容器20dの約4つ分の平面視面積を有する軽量な板部40dを載置し、更に、板部40dの連通部41dに植物苗50dの育成材部51dを挿入し、連通部41dに育成材30dを充填して形成されている。緑化体10dの容器20dは、第4実施形態と同一構成である、筒状に上方に突出して内部に開口214dが穿設された筒部213dと、第4実施形態と同一構成である、筒部213dと平面視略同一位置に上方に突出した突出部723dとを備える。尚、図9中で、211dは内向きへこみ部 212dは張出片 224dは柱状部材、80dは給水管である。
【0050】
板部40dには、連通部41dを有すると共に、載置状態における連通部41d以外の箇所で容器20dの筒部213dに対応する位置に上下に貫通する貫通孔44dが形成されている。連通部41d、貫通孔44dは、1つの容器20dに対して4つ穿設され、1つの板部40dに対して16個穿設されている。貫通孔44dの任意箇所においては、固定部材であるアンカー91dを筒部213d、突出部723dから敷設面100まで打ち付け、容器20d及び貯水層70dを敷設面100と固定する。アンカー91dを打ち込む場合、アンカー91dの頭は貫通孔44dよりも小さく、筒部213dの開口214dよりも大きなものを使用しており、筒部213dの開口214dにアンカー91dの頭が引っ掛かけて敷設面100との強固な固定をすることが可能である。尚、貯水層70dを有しない容器20dのみの構成でも、同様にアンカー91dで固定することが可能である。
【0051】
また、貫通孔44dの他の箇所においては、貫通孔44dよりも大径のワッシャー92dを介在させた状態でボルト93dを筒部213dの挿通孔に挿入し、筒部213dの下面において筒部213dの開口214dよりも大径のナット94dを設け、ボルト93dにナット94dを螺合することにより、板部40dと容器20dを一体化している。本例のワッシャー92d、ボルト93d、ナット94dは固定部材に相当する。敷設面100と容器20dの固定或いは敷設面100と容器20d、貯水層70dの固定と、容器20dと板部40dの固定を任意箇所に適宜行うことにより、緑化体10dや緑化設備の全体を敷設面100に固定し、耐風圧性能を向上させることが可能となる。
【0052】
第5実施形態の緑化体10d及び緑化設備では、緑化体10dや緑化設備を強固に敷設面100に固定することが可能であり、耐風圧性能を向上させることができる。また、緑化体10dと板部40dを一体化することが可能となり、一体化した板部40dで育成材30dの飛散を確実に防止することができると共に、緑化体10dと板部40dの一体的な取扱いで施工、撤去時など取扱いが容易となる。また、第1実施形態と対応する構成により、同様の効果を奏する。
【0053】
〔第6実施形態の緑化設備〕
次に、第6実施形態の緑化設備について、第1実施形態と異なる箇所の詳細を説明する。第6実施形態の緑化設備は、容器を用いない緑化設備であり、図10に示すように、敷設面100に耐根層110eを敷設し、その上に凹凸状で、凸部121eの上面の略頂部近傍に排水孔122eが穿設され、凹部123eに水分170eを貯水して保水可能な排水兼保水層120eを敷設する。更に、排水兼保水層120eの上に育成材140eを支えるシート130eを敷設し、その上に育成材140eを敷設し、その育成材140e上に連通部151eを有する板部150eを載置して設ける。そして、連通部151eに植物苗160eを植栽し、連通部151eに育成材140eを充填するものである。板部150eは、第1実施形態と同様に、所定湿潤時における育成材140eの単位体積当りの重量よりも軽量なものであれば適宜の素材で形成することが可能である。尚、容器を用いない緑化設備は本実施形態以外にも適宜である。
【0054】
第6実施形態の緑化設備は、容器を用いないので、低コストで緑化設備である緑化エリアを形成することが可能となる。また、第1実施形態と対応する構成により、同様の効果を奏する。
【0055】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や各実施形態やその変形例の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば各実施形態の適宜箇所の組み合わせや、各実施形態と下記様々な拡張或いは変形の組み合わせも含まれる。
【0056】
例えば上記実施形態の容器20、板部40等の構成部材は平面視矩形としたが、その形状は平面視六角形等の多角形、平面視円形、平面視楕円形など適宜である。また、上記実施形態では、1種類の高さの板部40、板材45b等について説明したが、板部、板材の高さは植物苗の大きさ、種類、地域などに応じて様々なものを選定して設けるなど適宜であり、高さの異なる板部、板材を載置した緑化体を同一敷設面に敷設してもよい。また、連通部41、通水部42a等は必ずしも貫通孔である必要はなく、板部40、板材45b等の四隅や側辺近傍に内側に切り欠くように形成する凹部等とすることも可能である。また、連通部41等の平面視形状は円形に限定されず、例えば平面視で四角、三角、菱形、楕円、多角形など適宜である。
【0057】
また、上記実施形態の緑化体10等と、板部40等を載置せずに育成材30等の上に芝生が植栽されている芝生マット等の植物マットを敷設した緑化体とを任意に組み合わせて設け、板部40等を載置した緑化体10等と載置しない緑化体とを同一敷設面に敷設して緑化設備を形成してもよい。また、第3実施形態の板部40bの構成部材である板材45bを育成材30bの任意箇所について設けず、その箇所に植物マットを敷設する構成としてもよい。また、第3実施形態の板部40bを構成する板材45dの一部に他の容器20d・20dの隣接する側壁21d・21dに外嵌する溝を設け、前記板材45dの一部を側壁21d・21dに跨がるように設け、前記溝を側壁21d・21dに外嵌して容器20d・20d相互を連結するようにしてもよい。
【0058】
また、耐候性部材60aは、全ての実施形態に必要に応じて設けることが可能であり、例えば第5実施形態に使用した場合、板部40dと容器20dの固定と合わせて、耐候性部材にもボルト93dを挿通して固定するなど適宜である。また、耐候性部材60a等は、板部20a等に接着して固定する、或いはその係合部を板部20a側に形成される被係合部に係合して固定する構成等とすることが可能である。
【0059】
また、アンカー91dの頭の径、ワッシャー92d、ボルト93dの頭の径と、貫通孔44dの径との関係は、第5実施形態に限定されるものではなく、例えばアンカー91dの頭を貫通孔44dの径よりも大きく形成し、板部40dを載置する前に容器20d等をアンカー91dで敷設面に固定する。或いは、アンカー91dにワッシャーを介在させ、板部40d、容器20d、貯水槽70dを全て一括で布設面に固定する。また、ボルト93dの頭の径が貫通孔44dよりも大きい場合にはワッシャー92dを設けなくてもよい。また、ナット94d側にワッシャー92dを設ける構成、或いはアンカー91dの頭の下にワッシャー92dを設ける構成としてもよい。また、第5実施形態の容器20d等の敷設面への固定は、必ずしもアンカー91dである必要はなく、例えば貯水層70dを設ける構成或いは設けない構成において、敷設面に固定部材を接着固定し、この固定部材に筒部213dの上方からビス止めするなど適宜である。前記構成により、アンカー91dを打ち込めない箇所でも容易に対応して固定することができる。
【0060】
また、容器20、貯水層70c等の形状、構成、機能などは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば貯水層70cの底板72cに形成する凹部721cや凸部722c、給水管支持部73c等の形状、構成は適宜であり、又、これらを設けない構成とすることも可能である。また、板部40cを支持する柱状部材224cは、平面視十字状、平面視I字状の柱状部材224cに限定されず、例えば円柱形又は多角柱形の柱状部材224c、円錐形又は多角錘形の柱状部材224c、平面視L字状の柱状部材224c、裁頭円錐形又は裁頭多角錐形の柱状部材224cなど適宜形状とすることが可能である。また、板部40c等を柱状部材224cで支持する構成に代え、側壁21cに形成する内向きへこみ部211cの突出部分で板部40cを支持する構成、或いは側壁21cから内方に支持片を突出して形成し、前記支持片で板部40cを支持する構成とするなど適宜である。
【0061】
また、育成材30等として粒状のものを使用しない場合、例えば繊維状のものや固化したものを使用する場合には、側壁21を有しない容器20、例えば底板だけからなるパレットを容器として用いてもよい。また、底板が無く、固化した育成材自体に脚部を設ける構成などでもよい。また、容器であるパレットを敷設面に複数敷設し、その後、粒状の育成材30等をパレット上に敷設し、育成材30等上に板部40等を敷設する構成としてもよい。また、容器20等に対応して板部40等を設ける場合、必ずしも容器20等の育成材30等の全体を板部40等で覆う必要は無く、育成材30等の一部が露出していてもよい。この場合、露出した育成材30等上に他の植物を植えるなど適宜である。前記構成では、例えば容器20等を平面視四角形とし、板部40等を平面視円形等とすることも可能である。
【0062】
また、第1〜第5実施形態の緑化設備では、各容器20等に板部40等を設けて植物苗50を挿入する緑化体10等による緑化設備の例を示しているが、斯様な緑化体10等だけを敷設するのではなく、他にウッドデッキ材、石材など様々な装飾と組み合わせて緑化設備を構成すれば、より顧客の要望にあった緑化設備を提供することが可能となる。また、上記実施形態の緑化設備の外周には適宜見切り材などを敷設し、板部40等の側面が隠れるようにすると好適であり、前記構成により、美観を向上することができると共に、側面の劣化を防止することが可能となる。また、敷設面と緑化体10d等の固定構造は、必須条件ではなく、又、上記例以外の他の固定構造で固定してもよい。また、各実施形態の板部40等、板材45等には、上記所定湿潤時における育成材30等の単位体積当りの重量よりも軽量なもの以外の素材のものを用いることも可能である。また、板部40等は、必ずしも板状である必要はなく、例えば粒状等の軽量部材を育成材上に敷設し、粒状の軽量部材の表面のみを固化する構成、或いは繊維状の軽量部材を所定の厚みに形成して育成材上に載置する、布状の軽量部材を育成材上に複数積層して軽量部材とする、或いは軽量な板状以外の形状の構成部材を複数育成材上に載置して複数の構成部材により軽量部材を形成する等適宜である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、建造物の屋上、屋根、ベランダ等に設置する緑化設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10、10a、10b、10c、10d…緑化体 20、20a、20b、20c、20d…容器 21、21a、21b、21c…側壁 22、22a、22b、22c…底板 23b…凹部 211c、211d…内向きへこみ部 212c、212d…張出片 213c、213d…筒部 214c、214d…開口 221c…排水孔 222c…凹部 223c…吸水孔 224c、224d…柱状部材 225c…脚部 30、30a、30b、30c、30d、140e…育成材 40、40a、40b、40c、40d、150e…板部 41、41a、41b、41c、41d、151e…連通部 42a…通水部 43a…溝 45b…板材 451b…1/4板材 452b…1/2板材 44d…貫通孔 50、50a、50b、50c、50d、160e…植物苗 51、51a、51b、51c、51d…育成材部 60a…耐候性部材 61a…連通部 62a…孔 70c、70d…貯水層(貯水トレー) 71c…側壁 711c…幅広連係部 712c…幅狭連係部 72c…底板 721c…凹部 722c…凸部 723c、723d…突出部 724c…開口 73c…給水管支持部 80c、80d…給水管 91d…アンカー 92d…ワッシャー 93d…ボルト 94d…ナット 100…敷設面 110e…耐根層 120e…排水兼保水層 121e…凸部 122e…排水孔 123e…凹部 130e…シート 170e…水分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に育成材を設け、
所定湿潤時における前記育成材の単位体積当りの重量よりも軽量な板部を前記育成材上に載置し、
上下に連通する連通部を前記板部に形成し、
前記連通部に植物を植栽可能とすることを特徴とする緑化体。
【請求項2】
前記板部の少なくとも表面に耐候性処理を施すことを特徴とする請求項1記載の緑化体。
【請求項3】
上下に連通して水分を通水可能な通水部を前記板部の前記連通部以外の箇所に形成することを特徴とする請求項1又は2記載の緑化体。
【請求項4】
長手方向に延びる挿通孔を有する筒部を前記容器の底板から立設し、
前記板部に、前記載置状態における前記筒部と対応する位置に上下に貫通する貫通孔を形成し、
前記対応する位置の前記挿通孔及び前記貫通孔に固定部材を挿通して、前記容器と前記板部を一体化することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の緑化体。
【請求項5】
隣接配置される複数の前記容器を有し、前記複数の容器に対して前記板部を跨ぐように載置することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の緑化体。
【請求項6】
前記板部を複数の板材を組み合わせて構成することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の緑化体。
【請求項7】
前記容器に前記板部を支持する支持部を設け、
前記支持部及び前記育成材で前記板部を支持することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の緑化体。
【請求項8】
前記容器の下方に貯水層を設け、
前記貯水層から導水部を介して前記容器内に水分を導くことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の緑化体。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の緑化体を敷設面に複数敷設することを特徴とする緑化設備。
【請求項10】
敷設面の上側に育成材を敷設し、
所定湿潤時における前記育成材の単位体積当りの重量よりも軽量な板部を前記育成材上に載置し、
上下に連通する連通部を前記板部に形成し、
前記連通部に植物を植栽することを特徴とする緑化設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−187601(P2010−187601A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35742(P2009−35742)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】