線条体巻取装置
【課題】2つのボビンに線条体を交互に連続して巻取ることができると共に、一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取ることができ、しかも把持手段を簡単な構成にできる線条体巻取装置を提供する。
【解決手段】装置本体1に設けた旋回体2に2つの巻取軸4を設けると共に、各巻取軸4に線条体7を把持、把持解放する把持手段10を設け、巻取り位置のボビン6の線条体送り込み位置に、その線条体7を巻き始め位置と、把持手段10の把持部10aと対向した把持位置に移動する線条体移動装置20を設け、巻取り位置のボビン6の送り出し側に切断手段30を設け、線条体7を把持位置に移動して把持手段10の把持部10aで把持し、再び線条体7を巻き始め位置に移動して切断手段30で切断することで空のボビン6の巻取部6aに接して巻取りできると共に、満巻状態のボビン6を取り外しできるようにした線条体巻取装置。
【解決手段】装置本体1に設けた旋回体2に2つの巻取軸4を設けると共に、各巻取軸4に線条体7を把持、把持解放する把持手段10を設け、巻取り位置のボビン6の線条体送り込み位置に、その線条体7を巻き始め位置と、把持手段10の把持部10aと対向した把持位置に移動する線条体移動装置20を設け、巻取り位置のボビン6の送り出し側に切断手段30を設け、線条体7を把持位置に移動して把持手段10の把持部10aで把持し、再び線条体7を巻き始め位置に移動して切断手段30で切断することで空のボビン6の巻取部6aに接して巻取りできると共に、満巻状態のボビン6を取り外しできるようにした線条体巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナーのモノフィラメント、光ファイバー、タイヤコードなどの線条体をボビンに巻取る線条体巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に線条体巻取装置が開示されている。
この線条体巻取装置は、回転自在なタレット盤に、2つのスピンドルと、その各スピンドルを駆動する2つのモータと、2つの線条体の把持手段と、2つのカッタをそれぞれ取付け、その各スピンドルにボビンを着脱自在にそれぞれ取付けた構成で、一方のボビンが満巻状態になったらタレット盤を回転して空のボビンを巻取り位置に公転し、この空のボビンに線条体を把持手段で把持固定すると共に、カッタで切断し、その後に空のボビンに線条体を巻取る。この巻取り動作中に満巻状態のボビンをスピンドルから取り外し、空のボビンを取り付ける。
この動作を繰り返すことで2つのボビンに線条体を交互に連続して巻取ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−137869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の線条体巻取装置は、線条体をボビンに把持固定するので、そのボビンは線条体を把持固定できる特殊形状である。
例えば、ボビンの巻芯部に、把持手段のチャック片が挿入する開口部分を有する形状である。
このために、一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取りできない。
また、前述した従来の線条体巻取装置は、線条体をボビンに把持固定した部分でカッタによって切断しているので、把持手段はカッタを備えた複雑な構造である。
【0005】
本発明の目的は、2つのボビンに線条体を交互に連続して巻取ることができると共に、使用するボビンの形状に制約を受けることがなく一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取ることができ、しかも把持手段と線条体を切断する切断手段を別として把持手段を簡単な構成にできるようにした線条体巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、装置本体1に取付けた旋回体2に少なくとも2つの巻取軸4を、その旋回体2を旋回することで一方の巻取軸4が巻取り位置、他方の巻取軸4が待機位置となるように設け、前記各巻取軸4にボビン6を着脱自在にそれぞれ取付け、前記各巻取軸4に線条体7をそれぞれ把持、把持解放する把持手段10を設け、この把持手段10の把持部10aはボビン6よりも装置本体1寄りに位置し、前記装置本体1に、巻取り位置のボビン6に送り込む線条体7を、ボビン6と対向した巻き始め位置と前記把持部10aと対向した把持位置とに亘って巻取軸4の軸方向に移動する線条体移動装置20を設け、前記線条体7における巻取り位置の巻取軸4に把持手段10で把持された部分と、待機位置の巻取軸4に取付けたボビン6に巻掛けてある部分との間を切断する切断手段10を有することを特徴とする線条体巻取装置である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、把持手段10の把持部10aは、巻取軸4の回転方向に360度連続し、かつ線条体7が接する外周面を有し、その外周面に接した線条体7を把持、把持解放する線条体巻取装置である。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、巻取軸4は回転軸4bと円板4cを有し、その回転軸4bにボビン6が着脱自在に取付けられる形状で、
前記回転軸4b又は円板4cに軸方向にスライド自在で一体的に回転するように設けた押え用リング11と、前記円板4c又は回転軸4bの外周部に設けた環状の受け体12を備え、この受け体12の外周面に接した線条体7を、押え用リング11と受け体12で把持することで、前述の把持手段10とした線条体巻取装置である。
【0009】
第4の発明は、第1又は第2又は第3の発明において、旋回体2に、線条体7をガイドするガイドを各巻取軸4と隣接してそれぞれ設け、
前記各巻取軸4とガイドとの間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、巻取り位置の巻取軸4に設けた把持手段10で線条体7を把持した状態で巻取軸4を回転することで把持された部分7aとガイドとの間の線条体7がカッタ30bに押しつけられて切断するようにした線条体巻取装置である。
【0010】
第5の発明は、第4の発明において、ガイドは、第1ガイド31と第2ガイド32を備え、満巻状態のボビン6が待機位置の時に線条体7は、巻取り位置のボビン6、そのボビン6と隣接した第1ガイド31、満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32を経てそのボビン6に巻取られるようにし、
その第1ガイド31と巻取軸4との間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、
前記第1ガイド31が前記把持手段10の把持部10aと対向した把持位置で、第2ガイド32が線条体7を巻取り位置のボビン6に送り込む巻き始め位置とした線条体巻取装置である。
【0011】
第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、装置本体1に、把持手段10の把持部10aに位置する線条体7を巻き始め位置に向けて押す線条体押し装置27を設けた線条体巻取装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、巻取り位置のボビン6が満巻状態となったら旋回体2を旋回して空のボビン6を巻取り位置とすると共に、線条体移動装置20で線条体7を把持位置として把持手段10で把持し、この後に、前記線条体移動装置20で線条体7を巻き始め位置に移動、切断手段30で線条体7を切断することで、空のボビン6に線条体7を巻取りできると共に、満巻状態のボビン6を巻取軸4から取り外して空のボビン6を取付けて次の動作に備えることができる。
したがって、2つのボビン6に線条体7を交互に連続して巻取ることができる。
【0013】
また、把持手段10は巻取軸4に線条体7を把持、把持解放する構成であるから、使用するボビン6の形状は線条体7の把持、把持解放のために制約を受けることがなく、一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取ることができる。
しかも、把持手段10と切断手段30は別々に設けてあるので、把持手段10を簡単な構成にできる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、把持手段10の把持部10aの外周面に線条体7を接して把持するから、巻取軸4の回転停止位置に関係なく線条体7を把持できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、押え用リング11と受け体12で線条体7を把持、把持解放できる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、巻取軸4とともにボビン6を回転することで線条体7を切断手段30のカッタ30bで切断でき、その切断手段30が簡単な構成である。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、線条体移動装置20で線条体7を把持位置に移動した時に、第1ガイド31が把持位置であるから、その第1ガイド31と線条体移動装置20との間の線条体7は把持部10aに確実に接し、線条体7を確実に把持できる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、線条体7を切断手段30で切断した時に、線条体押し装置27で線条体7を巻き始め位置に向けて押すことで、線条体7をボビン6の巻取部6aと対向した位置に確実に移動して巻取りできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1と図2に示すように、装置本体1に旋回体2を旋回自在に取付け、この旋回体2を旋回機構3で360度旋回する。
例えば、装置本体1を縦横フレーム材を矩形状に連結したフレーム枠1aと前面板1bを有するものとし、その前面板1bの円形孔1cに円板状の旋回体2を回転自在に設けて、360度の範囲で旋回できるようにする。
前記旋回体2に連結した軸3aをフレーム枠1aに回転自在に支承し、この軸3aに設けたスプロケット3bをチェーン3cで駆動スプロケット3dに連結し、その駆動スプロケット3dをモータ3eで回転駆動するようにして旋回機構3とする。
【0020】
前記旋回体2には一対の巻取軸4が回転自在に取付けてある。例えば、旋回体2の旋回中心2aと各巻取軸4の回転中心4aとの間の距離を同一として一対の巻取軸4を旋回中心2aを境として対称位置に設ける。巻取軸4は3つ以上設けても良い。
つまり、少なくとも2つの巻取軸4を設ければ良い。
前記各巻取軸4は駆動源5でそれぞれ別々に回転駆動すると共に、その各巻取軸4にボビン6が着脱自在にそれぞれ取付けられる。
例えば、図3に示すように、前記巻取軸4を回転軸4bと円板4cを有するものとし、前記旋回体2に取付けたプレート2bにモータなどの一対の駆動源5をそれぞれ取付け、この駆動源5で前記回転軸4bを回転駆動する。
前記ボビン6は巻取部6aとフランジ6bを有すると共に、その中心には軸孔6cが形成してあり、その軸孔6cに前記巻取軸4の回転軸4bが挿入、抜き出し自在で、一方のフランジ6bが円板4cに接する。
なお、前記旋回機構3の軸3aは前記プレート2bを回転自在に貫通している。
【0021】
前記旋回体2を180度旋回することで、一方のボビン6が巻取り位置、例えば図1で上の位置となると共に、他方のボビン6が待機位置、例えば図1で下の位置となる。
【0022】
前記各巻取軸4には線条体7を把持、把持解放する把持手段10がそれぞれ設けてある。この把持手段10の把持部10aはボビン6よりも装置本体1寄り位置している。
この把持手段10が線条体を把持することで巻取軸4に線条体が固定され、その線条体は巻取軸4とともに移動する。
前記把持手段10の把持部10aは、巻取軸4の回転方向に360度連続した外周面を有し、この外周面に接した線条体7を把持、把持解放する構成とすることが好ましい。
このようにすれば、巻取軸4の回転停止位置に関係なく線条体7を把持できる。
前記把持部10aの外周面は、ボビン6のフランジ6bの外周面と径方向に略同一位置とすることが好ましい。
前記把持手段10は、図3に示すように、前記回転軸4bに軸方向にスライド自在で一体的に回転する押え用リング11と、前記円板4cの外周部に設けた環状の受け体12とを備え、この受け体12の外周面に接した線条体7を、押え用リング体11と受け体12で把持する。そして、受け体12の外周面が前述した把持部10aの外周面で、巻取軸4の回転方向に360度連続している。
図3に示すように、前記押え用リング11を受け体12に向けて移動して線条体を把持する付勢部13と、その押え用リング11を付勢部13に抗して移動して線条体の把持を解放する作動部14を設け、この押え用リング11と受け体12で前述の把持部10aとする。
例えば、前記回転軸4bがスライドキー15を介して貫通した筒状体16に押え用リング11を螺合等で取付け、この押え用リング11を円板4cの外周面に一体的に設けた断面鉤形の環状の受け体12と相対向し、その受け体12の外周面をフランジ6bの外周面と径方向に略同一位置とする。
前記押え用リング11を貫通したねじ13aを円板4cに螺合し、そのねじ13aの頭部と押え用リング11との間にばね13bを設けて付勢部13とする。
前記筒状体16の鍔部16aに接したレバー14aをシリンダー14bで揺動することで図3に示すように筒状体16をばね13bに抗して移動するようにして作動部14とする。
【0023】
前記レバー14aとシリンダー14bは前面板1bに取付けられ、前述の巻取り位置に公転した巻取軸4の筒状体16の鍔部16aがレバー14aと対向し、シリンダー14bを作動することでレバー14aを揺動することによって筒状体16を移動して把持解放できるようにしてある。
このようにすれば、レバー14aとシリンダー14bより成る作動部14は1つで良いので、構成が簡単である。
前記作動部14はレバー14aとシリンダー14bに限ることはないし、鍔付きの筒状体16に限ることもない。
つまり、作動部14を装置本体1に取付け、巻取り位置に移動した巻取軸4に設けた把持手段7を把持解放できるようにすれば良い。
なお、作動部14を旋回体2にそれぞれ設けても良い。例えば各筒状体16と対向してシリンダーをそれぞれ設け、そのシリンダーで筒状体16を移動するように構成する。
また、前記押え用リング11を円板4cに設け、受け体12を回転軸4bに設けても良い。
【0024】
図1に示すように、装置本体1には線条体7を巻取位置のボビン6よりも装置本体1側に移動し、その線条体7を把持手段10の把持部10aと対向させる線条体移動装置20が取付けてある。
例えば、図1と図4に示すように巻取軸4の軸方向に往復移動する可動体21にガイドローラ22を取付け、このガイドローラ22を経てボビン6に線条体7が巻取られるようにする。
前記ガイドローラ22を図4に示すように、ボビン6の巻き始め位置aよりも装置本体1側で把持手段10の把持部10aと対向した把持位置bに移動できるようにする。
この実施の形態では、可動体21をガイドロッド23に沿って移動自在に支承し、この可動体21に螺合した送りねじ24をモータ25で回転することで可動体21を往復移動するようにしてある。
前記可動体21を移動することでガイドローラ22はボビン6の巻き終り位置cまで移動し、この実施の形態では前述の線条体移動装置20は通常一般の巻取り装置に用いられているトラバース装置と兼用となっている。
なお、線条体移動装置20とトラバース装置を別体としても良い。
【0025】
前記可動体21には補助ローラ26が取付けてあり、この補助ローラ26はガイドローラ22から送り出された線条体7を下方に向けて押し下げ前述の把持手段10の把持部10aに線条体7が押しつけられ易くしてある。
なお、この補助ローラ26は設けなくとも良い。
【0026】
前記線条体移動装置20と巻取り位置の巻取軸4との間には線条体7を巻取軸4の軸方向におけるボビン6側に向けて押すための線条体押し装置27が設けてある。
例えば、装置本体1にシリンダ27aを取付け、このシリンダ27aで押片27bを移動するようにする。
前記シリンダ27aのピストンが縮み作動している時には押片27bは前述の把持位置bよりも装置本体1側に位置し、そのシリンダ27aのピストン杵を伸び作動すると押片27bが前述の巻き始め位置aよりも前方に移動する。
なお、この線条体押し装置27は設けなくとも良い。
【0027】
前記旋回体2には、図1に示すように、各巻取軸4と隣接して切断手段30とガイド、例えば第1ガイド31と第2ガイド32がそれぞれ取付けてある。
前記切断手段30と第1ガイド31は巻取軸4における線条体送り込み側と反対側、つまり旋回体2の旋回方向(図1の矢印d)側に取付けてある。第2ガイド32は巻取軸4における線条体送り込み側、つまり旋回体2の旋回方向と反対側に取付けてある。
前記切断手段30はブラケット30aにカッタ30bを取付けたもので、巻取り位置の巻取軸4と隣接した切断手段30のカッタ30bが上向きとなるようにしてある。
前記第1ガイド31は図2に示すように外周面がV字形状のローラを回転自在に取付けたもので、その外周面の底部(ガイド部位置)は把持手段10の把持部10aと対向し、前述の把持位置であると共に、その外径は装置本体1側が小径で反対側が大径である。
前記第2ガイド32は図2に示すように外周面がV字形状のローラを回転自在に取付けたもので、その外周面の底部(ガイド部位置)は前述の巻き始め位置(一方のフランジ6b)である。なお、ガイドは第1ガイド31のみを設けるようにしても良い。
【0028】
前記装置本体1の前面板1bには図1に示すように、入口ローラ40、ダンサーローラ41、送り込みガイドローラ42等が取付けてあり、線条体7は入口ローラ40、ダンサーローラ41、送り込みガイドローラ42を経て前述のガイドローラ22、補助ローラ26を経て巻取り位置のボビン6の巻取部6aに巻取りされる。
【0029】
次に線条体7の巻取り動作を説明する。
前述のように巻取り位置のボビン6に線条体7を巻取りする時には、巻取り位置の巻取軸4を回転してボビン6を回転すると共に、トラバース装置を兼用する線条体移動装置20のガイドローラ22を巻き始め位置aと巻取り終り位置cとの間に往復移動する。待機位置の巻取軸4は停止している。
【0030】
前記ボビン6が満巻状態となったら、前述のガイドローラ22を巻き始め位置aに停止した状態で旋回体2を矢印d方向に旋回して満巻状態のボビン6を待機位置に向けて公転すると共に、空のボビン6を巻取位置に向けて公転する。
前述の旋回体2の旋回初期には、図5に示すように満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32で線条体7の送り込み部分をガイドする。
この後に旋回体2がさらに旋回すると図6に示すように空のボビン6と隣接した第1ガイド31で線条体7の送り込み部分をガイドし、旋回体2が180度旋回すると図7に示すように満巻状態のボビン6が待機位置、空のボビン6が巻取位置となる。
【0031】
前述の動作中、好ましくは旋回体2が図6に示す位置まで旋回した後に、前記線条体移動装置20のガイドローラ22を前述の把持位置bに移動する。
前記第1ガイド31は前述の把持位置と同じ位置であるから、図8に示すようにガイドローラ22から第1ガイド31に掛け渡しされた線条体7は把持手段10の把持部10a(受け体12の外周面)に接する。
この実施の形態では補助ローラ26によって線条体7が下に押されるので、より確実に把持部10aに接する。
【0032】
そして、旋回体2が図7に示すように180度旋回した状態では、前記ガイドローラ22から送り出された線条体7は前述の把持部10a、空のボビン6と隣接した第1ガイド31、満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32を経て満巻状態のボビン6に巻取りされる。
【0033】
この時、第1ガイド31は装置本体1寄り(例えば、前述の把持位置b)で、第2ガイド32はボビン6寄り(例えば、前述の巻き取り位置a)であるから、線条体7は図9に示すように斜めなると共に、切断手段30(カッタ30b)の上を通過する。
前述のように、線条体7が斜めであっても第1ガイド31のローラはボビン側の外径が装置本体側の外径よりも大きいので、線条体7がローラから外れることはない。
【0034】
前記旋回体2が180度旋回して停止すると共に、線条体7が把持部10aに接している状態で前記ガイドローラ22を巻き始め位置aに移動し、把持手段10の作動部14で押え用リング11を移動して図10に示すように線条体7を把持する。
この状態で巻取軸4を回転することで、線条体7の把持された部分7aとガイドローラ22との間の部分が空のボビン6の巻取部6aに接するようになる。
この実施の形態では、前述の動作の時に線条体押し装置27の押片27bを移動して線条体7を押してボビン6の巻取部6aに確実に接するようにする。
【0035】
この後に、巻取り位置の巻取軸4を回転駆動して空のボビン6を回転する。
これにより、線条体7の把持手段10で把持された部分7aが巻取軸4とともに矢印e方向に移動し、図11に示すように把持された部分7aと第1ガイド(ガイド)31との間の線条体7が切断手段30のカッタ30bに強く押しつけられて切断する。
【0036】
前述のように、線条体7が切断されると線条体7は空のボビン6の巻取部6aに接し、ボビン6の回転によってボビン6の巻取部6aに巻取りされる。
前述の切断された線条体7は満巻状態のボビン6に巻取りされる。
そして、待機位置の巻取軸4を停止し、満巻状態のボビン6を取り外し、空のボビン6を取り付けて次の巻取り動作に備える。
【0037】
前述の動作を繰り返すことで、2つのボビン6に線条体7を交互に連続して巻取ることができる。
【0038】
前述の実施の形態では、切断手段30をボビン6の回転を利用して線条体を切断するものとしたが、可動カッタによって線条体を切断するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態を示す巻取装置の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す巻取装置の一部を省略した側面図である。
【図3】把持手段部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す巻取装置の一部を省略した平面図である。
【図5】旋回体の旋回動作説明用正面図である。
【図6】旋回体の旋回動作説明用正面図である。
【図7】旋回体の旋回動作説明用正面図である。
【図8】線条体の把持動作説明用平面図である。
【図9】線条体の把持動作説明用側面図である。
【図10】線条体の把持動作説明用平面図である。
【図11】線条体の切断動作説明用の正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…装置本体、2…旋回体、3…駆動機構、4…巻取軸、5…駆動溝、6…ボビン、6a…巻取部、6b…フランジ、7…線条体、10…把持手段、10a…把持部、11…押え用リング、12…受け体、13…付勢部、14…作動部、20…線条体移動装置、22…ガイドローラ、26…補助ローラ、27…線条体押し装置、30…切断手段、30b…カッタ、31…第1ガイド、32…第2ガイド。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナーのモノフィラメント、光ファイバー、タイヤコードなどの線条体をボビンに巻取る線条体巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に線条体巻取装置が開示されている。
この線条体巻取装置は、回転自在なタレット盤に、2つのスピンドルと、その各スピンドルを駆動する2つのモータと、2つの線条体の把持手段と、2つのカッタをそれぞれ取付け、その各スピンドルにボビンを着脱自在にそれぞれ取付けた構成で、一方のボビンが満巻状態になったらタレット盤を回転して空のボビンを巻取り位置に公転し、この空のボビンに線条体を把持手段で把持固定すると共に、カッタで切断し、その後に空のボビンに線条体を巻取る。この巻取り動作中に満巻状態のボビンをスピンドルから取り外し、空のボビンを取り付ける。
この動作を繰り返すことで2つのボビンに線条体を交互に連続して巻取ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−137869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の線条体巻取装置は、線条体をボビンに把持固定するので、そのボビンは線条体を把持固定できる特殊形状である。
例えば、ボビンの巻芯部に、把持手段のチャック片が挿入する開口部分を有する形状である。
このために、一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取りできない。
また、前述した従来の線条体巻取装置は、線条体をボビンに把持固定した部分でカッタによって切断しているので、把持手段はカッタを備えた複雑な構造である。
【0005】
本発明の目的は、2つのボビンに線条体を交互に連続して巻取ることができると共に、使用するボビンの形状に制約を受けることがなく一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取ることができ、しかも把持手段と線条体を切断する切断手段を別として把持手段を簡単な構成にできるようにした線条体巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、装置本体1に取付けた旋回体2に少なくとも2つの巻取軸4を、その旋回体2を旋回することで一方の巻取軸4が巻取り位置、他方の巻取軸4が待機位置となるように設け、前記各巻取軸4にボビン6を着脱自在にそれぞれ取付け、前記各巻取軸4に線条体7をそれぞれ把持、把持解放する把持手段10を設け、この把持手段10の把持部10aはボビン6よりも装置本体1寄りに位置し、前記装置本体1に、巻取り位置のボビン6に送り込む線条体7を、ボビン6と対向した巻き始め位置と前記把持部10aと対向した把持位置とに亘って巻取軸4の軸方向に移動する線条体移動装置20を設け、前記線条体7における巻取り位置の巻取軸4に把持手段10で把持された部分と、待機位置の巻取軸4に取付けたボビン6に巻掛けてある部分との間を切断する切断手段10を有することを特徴とする線条体巻取装置である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、把持手段10の把持部10aは、巻取軸4の回転方向に360度連続し、かつ線条体7が接する外周面を有し、その外周面に接した線条体7を把持、把持解放する線条体巻取装置である。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、巻取軸4は回転軸4bと円板4cを有し、その回転軸4bにボビン6が着脱自在に取付けられる形状で、
前記回転軸4b又は円板4cに軸方向にスライド自在で一体的に回転するように設けた押え用リング11と、前記円板4c又は回転軸4bの外周部に設けた環状の受け体12を備え、この受け体12の外周面に接した線条体7を、押え用リング11と受け体12で把持することで、前述の把持手段10とした線条体巻取装置である。
【0009】
第4の発明は、第1又は第2又は第3の発明において、旋回体2に、線条体7をガイドするガイドを各巻取軸4と隣接してそれぞれ設け、
前記各巻取軸4とガイドとの間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、巻取り位置の巻取軸4に設けた把持手段10で線条体7を把持した状態で巻取軸4を回転することで把持された部分7aとガイドとの間の線条体7がカッタ30bに押しつけられて切断するようにした線条体巻取装置である。
【0010】
第5の発明は、第4の発明において、ガイドは、第1ガイド31と第2ガイド32を備え、満巻状態のボビン6が待機位置の時に線条体7は、巻取り位置のボビン6、そのボビン6と隣接した第1ガイド31、満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32を経てそのボビン6に巻取られるようにし、
その第1ガイド31と巻取軸4との間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、
前記第1ガイド31が前記把持手段10の把持部10aと対向した把持位置で、第2ガイド32が線条体7を巻取り位置のボビン6に送り込む巻き始め位置とした線条体巻取装置である。
【0011】
第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、装置本体1に、把持手段10の把持部10aに位置する線条体7を巻き始め位置に向けて押す線条体押し装置27を設けた線条体巻取装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、巻取り位置のボビン6が満巻状態となったら旋回体2を旋回して空のボビン6を巻取り位置とすると共に、線条体移動装置20で線条体7を把持位置として把持手段10で把持し、この後に、前記線条体移動装置20で線条体7を巻き始め位置に移動、切断手段30で線条体7を切断することで、空のボビン6に線条体7を巻取りできると共に、満巻状態のボビン6を巻取軸4から取り外して空のボビン6を取付けて次の動作に備えることができる。
したがって、2つのボビン6に線条体7を交互に連続して巻取ることができる。
【0013】
また、把持手段10は巻取軸4に線条体7を把持、把持解放する構成であるから、使用するボビン6の形状は線条体7の把持、把持解放のために制約を受けることがなく、一般的な形状のボビンを用いて線条体を巻取ることができる。
しかも、把持手段10と切断手段30は別々に設けてあるので、把持手段10を簡単な構成にできる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、把持手段10の把持部10aの外周面に線条体7を接して把持するから、巻取軸4の回転停止位置に関係なく線条体7を把持できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、押え用リング11と受け体12で線条体7を把持、把持解放できる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、巻取軸4とともにボビン6を回転することで線条体7を切断手段30のカッタ30bで切断でき、その切断手段30が簡単な構成である。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、線条体移動装置20で線条体7を把持位置に移動した時に、第1ガイド31が把持位置であるから、その第1ガイド31と線条体移動装置20との間の線条体7は把持部10aに確実に接し、線条体7を確実に把持できる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、線条体7を切断手段30で切断した時に、線条体押し装置27で線条体7を巻き始め位置に向けて押すことで、線条体7をボビン6の巻取部6aと対向した位置に確実に移動して巻取りできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1と図2に示すように、装置本体1に旋回体2を旋回自在に取付け、この旋回体2を旋回機構3で360度旋回する。
例えば、装置本体1を縦横フレーム材を矩形状に連結したフレーム枠1aと前面板1bを有するものとし、その前面板1bの円形孔1cに円板状の旋回体2を回転自在に設けて、360度の範囲で旋回できるようにする。
前記旋回体2に連結した軸3aをフレーム枠1aに回転自在に支承し、この軸3aに設けたスプロケット3bをチェーン3cで駆動スプロケット3dに連結し、その駆動スプロケット3dをモータ3eで回転駆動するようにして旋回機構3とする。
【0020】
前記旋回体2には一対の巻取軸4が回転自在に取付けてある。例えば、旋回体2の旋回中心2aと各巻取軸4の回転中心4aとの間の距離を同一として一対の巻取軸4を旋回中心2aを境として対称位置に設ける。巻取軸4は3つ以上設けても良い。
つまり、少なくとも2つの巻取軸4を設ければ良い。
前記各巻取軸4は駆動源5でそれぞれ別々に回転駆動すると共に、その各巻取軸4にボビン6が着脱自在にそれぞれ取付けられる。
例えば、図3に示すように、前記巻取軸4を回転軸4bと円板4cを有するものとし、前記旋回体2に取付けたプレート2bにモータなどの一対の駆動源5をそれぞれ取付け、この駆動源5で前記回転軸4bを回転駆動する。
前記ボビン6は巻取部6aとフランジ6bを有すると共に、その中心には軸孔6cが形成してあり、その軸孔6cに前記巻取軸4の回転軸4bが挿入、抜き出し自在で、一方のフランジ6bが円板4cに接する。
なお、前記旋回機構3の軸3aは前記プレート2bを回転自在に貫通している。
【0021】
前記旋回体2を180度旋回することで、一方のボビン6が巻取り位置、例えば図1で上の位置となると共に、他方のボビン6が待機位置、例えば図1で下の位置となる。
【0022】
前記各巻取軸4には線条体7を把持、把持解放する把持手段10がそれぞれ設けてある。この把持手段10の把持部10aはボビン6よりも装置本体1寄り位置している。
この把持手段10が線条体を把持することで巻取軸4に線条体が固定され、その線条体は巻取軸4とともに移動する。
前記把持手段10の把持部10aは、巻取軸4の回転方向に360度連続した外周面を有し、この外周面に接した線条体7を把持、把持解放する構成とすることが好ましい。
このようにすれば、巻取軸4の回転停止位置に関係なく線条体7を把持できる。
前記把持部10aの外周面は、ボビン6のフランジ6bの外周面と径方向に略同一位置とすることが好ましい。
前記把持手段10は、図3に示すように、前記回転軸4bに軸方向にスライド自在で一体的に回転する押え用リング11と、前記円板4cの外周部に設けた環状の受け体12とを備え、この受け体12の外周面に接した線条体7を、押え用リング体11と受け体12で把持する。そして、受け体12の外周面が前述した把持部10aの外周面で、巻取軸4の回転方向に360度連続している。
図3に示すように、前記押え用リング11を受け体12に向けて移動して線条体を把持する付勢部13と、その押え用リング11を付勢部13に抗して移動して線条体の把持を解放する作動部14を設け、この押え用リング11と受け体12で前述の把持部10aとする。
例えば、前記回転軸4bがスライドキー15を介して貫通した筒状体16に押え用リング11を螺合等で取付け、この押え用リング11を円板4cの外周面に一体的に設けた断面鉤形の環状の受け体12と相対向し、その受け体12の外周面をフランジ6bの外周面と径方向に略同一位置とする。
前記押え用リング11を貫通したねじ13aを円板4cに螺合し、そのねじ13aの頭部と押え用リング11との間にばね13bを設けて付勢部13とする。
前記筒状体16の鍔部16aに接したレバー14aをシリンダー14bで揺動することで図3に示すように筒状体16をばね13bに抗して移動するようにして作動部14とする。
【0023】
前記レバー14aとシリンダー14bは前面板1bに取付けられ、前述の巻取り位置に公転した巻取軸4の筒状体16の鍔部16aがレバー14aと対向し、シリンダー14bを作動することでレバー14aを揺動することによって筒状体16を移動して把持解放できるようにしてある。
このようにすれば、レバー14aとシリンダー14bより成る作動部14は1つで良いので、構成が簡単である。
前記作動部14はレバー14aとシリンダー14bに限ることはないし、鍔付きの筒状体16に限ることもない。
つまり、作動部14を装置本体1に取付け、巻取り位置に移動した巻取軸4に設けた把持手段7を把持解放できるようにすれば良い。
なお、作動部14を旋回体2にそれぞれ設けても良い。例えば各筒状体16と対向してシリンダーをそれぞれ設け、そのシリンダーで筒状体16を移動するように構成する。
また、前記押え用リング11を円板4cに設け、受け体12を回転軸4bに設けても良い。
【0024】
図1に示すように、装置本体1には線条体7を巻取位置のボビン6よりも装置本体1側に移動し、その線条体7を把持手段10の把持部10aと対向させる線条体移動装置20が取付けてある。
例えば、図1と図4に示すように巻取軸4の軸方向に往復移動する可動体21にガイドローラ22を取付け、このガイドローラ22を経てボビン6に線条体7が巻取られるようにする。
前記ガイドローラ22を図4に示すように、ボビン6の巻き始め位置aよりも装置本体1側で把持手段10の把持部10aと対向した把持位置bに移動できるようにする。
この実施の形態では、可動体21をガイドロッド23に沿って移動自在に支承し、この可動体21に螺合した送りねじ24をモータ25で回転することで可動体21を往復移動するようにしてある。
前記可動体21を移動することでガイドローラ22はボビン6の巻き終り位置cまで移動し、この実施の形態では前述の線条体移動装置20は通常一般の巻取り装置に用いられているトラバース装置と兼用となっている。
なお、線条体移動装置20とトラバース装置を別体としても良い。
【0025】
前記可動体21には補助ローラ26が取付けてあり、この補助ローラ26はガイドローラ22から送り出された線条体7を下方に向けて押し下げ前述の把持手段10の把持部10aに線条体7が押しつけられ易くしてある。
なお、この補助ローラ26は設けなくとも良い。
【0026】
前記線条体移動装置20と巻取り位置の巻取軸4との間には線条体7を巻取軸4の軸方向におけるボビン6側に向けて押すための線条体押し装置27が設けてある。
例えば、装置本体1にシリンダ27aを取付け、このシリンダ27aで押片27bを移動するようにする。
前記シリンダ27aのピストンが縮み作動している時には押片27bは前述の把持位置bよりも装置本体1側に位置し、そのシリンダ27aのピストン杵を伸び作動すると押片27bが前述の巻き始め位置aよりも前方に移動する。
なお、この線条体押し装置27は設けなくとも良い。
【0027】
前記旋回体2には、図1に示すように、各巻取軸4と隣接して切断手段30とガイド、例えば第1ガイド31と第2ガイド32がそれぞれ取付けてある。
前記切断手段30と第1ガイド31は巻取軸4における線条体送り込み側と反対側、つまり旋回体2の旋回方向(図1の矢印d)側に取付けてある。第2ガイド32は巻取軸4における線条体送り込み側、つまり旋回体2の旋回方向と反対側に取付けてある。
前記切断手段30はブラケット30aにカッタ30bを取付けたもので、巻取り位置の巻取軸4と隣接した切断手段30のカッタ30bが上向きとなるようにしてある。
前記第1ガイド31は図2に示すように外周面がV字形状のローラを回転自在に取付けたもので、その外周面の底部(ガイド部位置)は把持手段10の把持部10aと対向し、前述の把持位置であると共に、その外径は装置本体1側が小径で反対側が大径である。
前記第2ガイド32は図2に示すように外周面がV字形状のローラを回転自在に取付けたもので、その外周面の底部(ガイド部位置)は前述の巻き始め位置(一方のフランジ6b)である。なお、ガイドは第1ガイド31のみを設けるようにしても良い。
【0028】
前記装置本体1の前面板1bには図1に示すように、入口ローラ40、ダンサーローラ41、送り込みガイドローラ42等が取付けてあり、線条体7は入口ローラ40、ダンサーローラ41、送り込みガイドローラ42を経て前述のガイドローラ22、補助ローラ26を経て巻取り位置のボビン6の巻取部6aに巻取りされる。
【0029】
次に線条体7の巻取り動作を説明する。
前述のように巻取り位置のボビン6に線条体7を巻取りする時には、巻取り位置の巻取軸4を回転してボビン6を回転すると共に、トラバース装置を兼用する線条体移動装置20のガイドローラ22を巻き始め位置aと巻取り終り位置cとの間に往復移動する。待機位置の巻取軸4は停止している。
【0030】
前記ボビン6が満巻状態となったら、前述のガイドローラ22を巻き始め位置aに停止した状態で旋回体2を矢印d方向に旋回して満巻状態のボビン6を待機位置に向けて公転すると共に、空のボビン6を巻取位置に向けて公転する。
前述の旋回体2の旋回初期には、図5に示すように満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32で線条体7の送り込み部分をガイドする。
この後に旋回体2がさらに旋回すると図6に示すように空のボビン6と隣接した第1ガイド31で線条体7の送り込み部分をガイドし、旋回体2が180度旋回すると図7に示すように満巻状態のボビン6が待機位置、空のボビン6が巻取位置となる。
【0031】
前述の動作中、好ましくは旋回体2が図6に示す位置まで旋回した後に、前記線条体移動装置20のガイドローラ22を前述の把持位置bに移動する。
前記第1ガイド31は前述の把持位置と同じ位置であるから、図8に示すようにガイドローラ22から第1ガイド31に掛け渡しされた線条体7は把持手段10の把持部10a(受け体12の外周面)に接する。
この実施の形態では補助ローラ26によって線条体7が下に押されるので、より確実に把持部10aに接する。
【0032】
そして、旋回体2が図7に示すように180度旋回した状態では、前記ガイドローラ22から送り出された線条体7は前述の把持部10a、空のボビン6と隣接した第1ガイド31、満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32を経て満巻状態のボビン6に巻取りされる。
【0033】
この時、第1ガイド31は装置本体1寄り(例えば、前述の把持位置b)で、第2ガイド32はボビン6寄り(例えば、前述の巻き取り位置a)であるから、線条体7は図9に示すように斜めなると共に、切断手段30(カッタ30b)の上を通過する。
前述のように、線条体7が斜めであっても第1ガイド31のローラはボビン側の外径が装置本体側の外径よりも大きいので、線条体7がローラから外れることはない。
【0034】
前記旋回体2が180度旋回して停止すると共に、線条体7が把持部10aに接している状態で前記ガイドローラ22を巻き始め位置aに移動し、把持手段10の作動部14で押え用リング11を移動して図10に示すように線条体7を把持する。
この状態で巻取軸4を回転することで、線条体7の把持された部分7aとガイドローラ22との間の部分が空のボビン6の巻取部6aに接するようになる。
この実施の形態では、前述の動作の時に線条体押し装置27の押片27bを移動して線条体7を押してボビン6の巻取部6aに確実に接するようにする。
【0035】
この後に、巻取り位置の巻取軸4を回転駆動して空のボビン6を回転する。
これにより、線条体7の把持手段10で把持された部分7aが巻取軸4とともに矢印e方向に移動し、図11に示すように把持された部分7aと第1ガイド(ガイド)31との間の線条体7が切断手段30のカッタ30bに強く押しつけられて切断する。
【0036】
前述のように、線条体7が切断されると線条体7は空のボビン6の巻取部6aに接し、ボビン6の回転によってボビン6の巻取部6aに巻取りされる。
前述の切断された線条体7は満巻状態のボビン6に巻取りされる。
そして、待機位置の巻取軸4を停止し、満巻状態のボビン6を取り外し、空のボビン6を取り付けて次の巻取り動作に備える。
【0037】
前述の動作を繰り返すことで、2つのボビン6に線条体7を交互に連続して巻取ることができる。
【0038】
前述の実施の形態では、切断手段30をボビン6の回転を利用して線条体を切断するものとしたが、可動カッタによって線条体を切断するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態を示す巻取装置の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す巻取装置の一部を省略した側面図である。
【図3】把持手段部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す巻取装置の一部を省略した平面図である。
【図5】旋回体の旋回動作説明用正面図である。
【図6】旋回体の旋回動作説明用正面図である。
【図7】旋回体の旋回動作説明用正面図である。
【図8】線条体の把持動作説明用平面図である。
【図9】線条体の把持動作説明用側面図である。
【図10】線条体の把持動作説明用平面図である。
【図11】線条体の切断動作説明用の正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…装置本体、2…旋回体、3…駆動機構、4…巻取軸、5…駆動溝、6…ボビン、6a…巻取部、6b…フランジ、7…線条体、10…把持手段、10a…把持部、11…押え用リング、12…受け体、13…付勢部、14…作動部、20…線条体移動装置、22…ガイドローラ、26…補助ローラ、27…線条体押し装置、30…切断手段、30b…カッタ、31…第1ガイド、32…第2ガイド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体1に取付けた旋回体2に少なくとも2つの巻取軸4を、その旋回体2を旋回することで一方の巻取軸4が巻取り位置、他方の巻取軸4が待機位置となるように設け、
前記各巻取軸4にボビン6を着脱自在にそれぞれ取付け、
前記各巻取軸4に線条体7をそれぞれ把持、把持解放する把持手段10を設け、この把持手段10の把持部10aはボビン6よりも装置本体1寄りに位置し、
前記装置本体1に、巻取り位置のボビン6に送り込む線条体7を、ボビン6と対向した巻き始め位置と前記把持部10aと対向した把持位置とに亘って巻取軸4の軸方向に移動する線条体移動装置20を設け、
前記線条体7における巻取り位置の巻取軸4に把持手段10で把持された部分と、待機位置の巻取軸4に取付けたボビン6に巻掛けてある部分との間を切断する切断手段30を有することを特徴とする線条体巻取装置。
【請求項2】
把持手段10の把持部10aは、巻取軸4の回転方向に360度連続し、かつ線条体7が接する外周面を有し、その外周面に接した線条体7を把持、把持解放する請求項1記載の線条体巻取装置。
【請求項3】
巻取軸4は回転軸4bと円板4cを有し、その回転軸4bにボビン6が着脱自在に取付けられる形状で、
前記回転軸4b又は円板4cに軸方向にスライド自在で一体的に回転するように設けた押え用リング11と、前記円板4c又は回転軸4bの外周部に設けた環状の受け体12を備え、この受け体12の外周面に接した線条体7を、押え用リング11と受け体12で把持することで、前述の把持手段10とした請求項2記載の線条体巻取装置。
【請求項4】
旋回体2に、線条体7をガイドするガイドを各巻取軸4と隣接してそれぞれ設け、
前記各巻取軸4とガイドとの間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、巻取り位置の巻取軸4に設けた把持手段10で線条体7を把持した状態で巻取軸4を回転することで把持された部分7aとガイドとの間の線条体7がカッタ30bに押しつけられて切断するようにした請求項1〜3いずれか一項記載の線条体巻取装置。
【請求項5】
ガイドは、第1ガイド31と第2ガイド32を備え、満巻状態のボビン6が待機位置の時に線条体7は、巻取り位置のボビン6、そのボビン6と隣接した第1ガイド31、満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32を経てそのボビン6に巻取られるようにし、
その第1ガイド31と巻取軸4との間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、
前記第1ガイド31が前記把持手段10の把持部10aと対向した把持位置で、第2ガイド32が線条体7を巻取り位置のボビン6に送り込む巻き始め位置とした請求項4記載の線条体巻取装置。
【請求項6】
装置本体1に、把持手段10の把持部10aに位置する線条体7を巻き始め位置に向けて押す線条体押し装置27を設けた請求項1〜5いずれか一項に記載の線条体巻取装置。
【請求項1】
装置本体1に取付けた旋回体2に少なくとも2つの巻取軸4を、その旋回体2を旋回することで一方の巻取軸4が巻取り位置、他方の巻取軸4が待機位置となるように設け、
前記各巻取軸4にボビン6を着脱自在にそれぞれ取付け、
前記各巻取軸4に線条体7をそれぞれ把持、把持解放する把持手段10を設け、この把持手段10の把持部10aはボビン6よりも装置本体1寄りに位置し、
前記装置本体1に、巻取り位置のボビン6に送り込む線条体7を、ボビン6と対向した巻き始め位置と前記把持部10aと対向した把持位置とに亘って巻取軸4の軸方向に移動する線条体移動装置20を設け、
前記線条体7における巻取り位置の巻取軸4に把持手段10で把持された部分と、待機位置の巻取軸4に取付けたボビン6に巻掛けてある部分との間を切断する切断手段30を有することを特徴とする線条体巻取装置。
【請求項2】
把持手段10の把持部10aは、巻取軸4の回転方向に360度連続し、かつ線条体7が接する外周面を有し、その外周面に接した線条体7を把持、把持解放する請求項1記載の線条体巻取装置。
【請求項3】
巻取軸4は回転軸4bと円板4cを有し、その回転軸4bにボビン6が着脱自在に取付けられる形状で、
前記回転軸4b又は円板4cに軸方向にスライド自在で一体的に回転するように設けた押え用リング11と、前記円板4c又は回転軸4bの外周部に設けた環状の受け体12を備え、この受け体12の外周面に接した線条体7を、押え用リング11と受け体12で把持することで、前述の把持手段10とした請求項2記載の線条体巻取装置。
【請求項4】
旋回体2に、線条体7をガイドするガイドを各巻取軸4と隣接してそれぞれ設け、
前記各巻取軸4とガイドとの間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、巻取り位置の巻取軸4に設けた把持手段10で線条体7を把持した状態で巻取軸4を回転することで把持された部分7aとガイドとの間の線条体7がカッタ30bに押しつけられて切断するようにした請求項1〜3いずれか一項記載の線条体巻取装置。
【請求項5】
ガイドは、第1ガイド31と第2ガイド32を備え、満巻状態のボビン6が待機位置の時に線条体7は、巻取り位置のボビン6、そのボビン6と隣接した第1ガイド31、満巻状態のボビン6と隣接した第2ガイド32を経てそのボビン6に巻取られるようにし、
その第1ガイド31と巻取軸4との間にカッタ30bを設けて切断手段30とし、
前記第1ガイド31が前記把持手段10の把持部10aと対向した把持位置で、第2ガイド32が線条体7を巻取り位置のボビン6に送り込む巻き始め位置とした請求項4記載の線条体巻取装置。
【請求項6】
装置本体1に、把持手段10の把持部10aに位置する線条体7を巻き始め位置に向けて押す線条体押し装置27を設けた請求項1〜5いずれか一項に記載の線条体巻取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−168945(P2007−168945A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366180(P2005−366180)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
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