説明

線状スルホポリエステルと変性グアーガムを含む化粧品組成物、該組成物の使用方法および用途

【課題】耐水性のヘアスタイルを形づくりそしてそれを保持するための化粧品組成物の開発。
【解決手段】化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含む化粧品組成物。この化粧品組成物を使用して、ヘアスタイルを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステル(water−dispersible linear sulphonic polyester)と少なくとも一つの変性グアーガム(modified guar gum)を含んでいる化粧品組成物、およびこの組成物の使用方法である。本願はまた、化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含んでいる化粧品組成物の、ヘアスタイルを固定するための用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルを形づくるための及び/又はその形を保持するための化粧品組成物は、本質的に、一般にアルコール性の溶液と、固定用成分と称されその役割がヘア間の結合を形成すること又はヘアを包むことである一般にポリマー樹脂である一つまたはそれ以上の成分とから構成された、スプレーされるべき組成物であることができる。これら固定用成分はしばしば、様々な化粧品助剤との混合物として処方される。
【0003】
これら化粧品組成物は一般に、ポンプ作用型スプレーとして包装されるか又は噴射剤を使用して加圧される適切なエアゾール容器に包装されるかどちらかであり;エアゾールシステムは一方において液相(または分散可性)をそして他方において噴射剤を含んでいる。
スタイリング組成物をゲル、クリームまたはフォームの形態で使用することも可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアに適用されたら、固定用成分はヘアの固定を可能にしなければならない。
実際には、スタイリング組成物の中に一般に固定用成分として使用されているポリマーは、ヘアスタイルがたとえば雨または汗でぬれたときや水浴び:海水浴またはスイミングプールなどでの水浴び中のように水と長時間接触した場合には、ヘアスタイルの形状を保持することを可能にしない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことには、そして有益なことには、本出願人の会社(the Applicant Company)は、化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含んでいる化粧品組成物の使用はヘアスタイルを固定すること及び形づくることを可能にし、そしてヘアスタイルが長時間にわたって水と接触したときにもヘアスタイルの形状を保持することを可能にする、ということを見いだした。
本願の意図する範囲内では、この現象は「耐水性」と称される。
用語「長時間」は、本願の意図する範囲内では、最低でも、1分間、好ましくは10分間、より好ましくは20分間、水と接触することを意味すると理解される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は大気水分に耐性であるヘアスタイルを得ることをも可能にする。
本発明による組成物は、ヘアの良好な固定と良好な形保持、すなわち、1日中(実際には数日間にもわたって)持続するそして良好な耐水性(特に反復水浴びに対する良好な耐性)を示すスタイリング効果、を可能にする;これら組成物はシャンプーで除去できる利点をも示す。
これら組成物は良好な美粧的諸性質を授けることをも可能にする。
【0007】
本発明の主題は、化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含む化粧品組成物である。
【0008】
本発明の別の主題は、本発明による化粧品組成物が使用される、ヘアスタイルを形づくる又はその形を保持する方法である。
【0009】
本発明の第三の主題は、化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含んでいる化粧品組成物の、ヘアの固定と形保持のためのスタイリング組成物としての用途、特に、ヘアが長時間にわたって水と接触する時すなわち雨または汗でぬれる場合や水浴び:海水浴またはスイミングプールなどに入るとき向きの用途、に関する。本発明のこの第三の主題によれば、この組成物の使用は耐水性のヘアスタイル(ヘアの付形)を得ることを可能にする。
本発明のこの第三の主題によれば、本発明に従って使用される化粧品組成物は全ての形態:ローション、スプレー、フォーム、ゲルまたはクリーム、で提供することができる。
【0010】
本発明のその他の主題、特徴、局面および利点は以下の記述および実施例を閲読することで更に明白になるであろう。
【0011】
用語「スタイリング化粧品組成物」は、本願の意図する範囲内では、ヘアスタイルを形づくるための又はその形を保持するための組成物を意味すると理解される。
【0012】
本発明による化粧品組成物の中に使用される化粧品向けに許容できる媒体は水性、水性/アルコール性またはアルコール性の媒体であり、場合によっては少なくとも一つの追加的な有機溶剤を含んでいてもよい。
【0013】
本発明による組成物の中に使用されるアルコールはそれで、低級C〜Cアルコールから選ばれたモノヒドロキシル化アルカノール、たとえば、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールまたはn−ブタノールであり;好ましくは、使用アルコールはエタノールである。
本発明による組成物の中のアルコールの濃度は組成物の総重量に対して0〜50重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
【0014】
本発明による組成物の中に使用できる追加的な有機溶剤としてはポリオール、たとえば、プロピレングリコール、ポリオールエーテルおよびそれらの混合物が挙げられる。
本発明による組成物中の追加的な有機溶剤の濃度は組成物の総重量に対して0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である。
【0015】
本発明による組成物は水分散性線状スルホポリエステルを含んでいる。
用語「水分散性線状スルホポリエステル」は、分散体(すなわち、第一相を形成している微細粒子が連続相である第二相の中に一様に分散されているところの2相系)を形成する能力を示す全てのスルホポリエステルを意味すると理解される。
用語「スルホポリエステル」は、少なくとも一つのジカルボン酸またはそのエステル類の一つと少なくとも一つのジオールと芳香環上において−SOM基(ここで、Mは水素原子または金属イオンたとえばNa、LiまたはKを表わす)で置換されている少なくとも一つの二官能性スルホアリールジカルボキシル化合物との重縮合によって得られるコポリエステルを意味すると理解される。
【0016】
水分散性線状スルホポリエステルは一般に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(またはGPC)によって測定されたときに約1000〜60000、好ましくは4000〜20000、の重量平均分子量を示す。
これらスルホポリエステルのガラス転移温度(Tg)は一般に、10℃〜100℃の範囲内にある。好ましくは、使用されるポリエステル(単数または複数)のTgは50℃以上である。
ガラス転移温度(Tg)は標準規格ASTM D3418−97に従って示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry)(DSC)によって測定される。
【0017】
それらは特許出願US3734874号、US3779993号、US4119680号、US4300580号、US4973656号、US5660816号、US5662893号およびUS5674479号の各明細書の中に更に詳細に記載されている。
【0018】
本発明に好ましく使用されるスルホポリエステルは、少なくとも、イソフタル酸に由来する単位とスルホアリールジカルボン酸の塩に由来する単位とジエチレングリコールに由来する単位とを含んでおり、そして特に、本発明に使用されるスルホポリエステルはイソフタル酸とスルホイソフタル酸のナトリウム塩とジエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られる。
スルホポリエステルの例としては、特に、ジグリコール/CHDM/イソフタレート/SIPのINCI名で知られておりそしてイーストマンケミカル(Eastman Chemical)によって「イーストマンAQポリマー」(AQ35S、AQ38S、AQ55S、AQ48ウルトラ)の商品名で販売のものを挙げてもよい。
【0019】
本発明による組成物の中に使用される水分散性線状スルホポリエステル(単数または複数)の濃度は組成物の総重量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、である。
【0020】
本発明による組成物は少なくとも一つの変性グアーガムを含んでいる。
用語「変性グアーガム」は本願の意図する範囲では、少なくとも一つのC1〜8アルキル基によってアルキル化されているグアーガム、少なくとも一つのC1〜8ヒドロキシアルキル基によってヒドロキシアルキル化されているグアーガム、または少なくとも一つのC1〜8アシル基によってアシル化されているグアーガムを意味すると理解される。
それは好ましくはヒドロキシプロピル化グアーガム、たとえば、ローディア(Rhodia)によってジャグアー(Jaguar)HP 105の名で販売のもの、であろう。
【0021】
本発明による組成物の中に使用される変性グアーガムの濃度は組成物の総重量に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。
【0022】
有利には、水分散性線状スルホポリエステル/変性グアーガム比率は0.01〜100、好ましくは1〜75、より好ましくは2〜50である。
【0023】
本願による組成物はまた、一つまたはそれ以上の追加的な化粧品助剤、たとえば、以下のもの、をも含むことができる。
従来使用されてきたあらゆる陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性の固定用ポリマーおよびそれらの混合物が本願による組成物の中に使用することができる。
この追加的な固定用ポリマーは化粧品向けに許容できる媒体の中に可溶性であってもよいし、又はこの同媒体の中に不溶性であってもよくそしてこの場合には固体または液体ポリマー粒子の分散物(ラテックスまたはプソイドラテックス)の形態で使用されてもよい。
【0024】
一般に使用される陰イオン性の固定用ポリマーはカルボン酸、スルホン酸またはリン酸に由来する基を含むポリマーであり、そして約500〜5000000の数平均分子量を有する。
カルボキシル基は次の式に相当するもののような不飽和のモノ−またはジ−カルボン酸モノマーによって与えられる:
【0025】
【化1】

【0026】
式中、nは0〜10の整数であり、Aはメチレン基を表わし、場合によって、不飽和基の炭素原子に結合されていてもよく又はnが1より大きい場合には酸素や硫黄のようなヘテロ原子を介して隣接メチレン基に結合されていてもよく、Rは水素原子またはフェニルもしくはベンジル基を表わし、Rは水素原子または低級アルキルもしくはカルボキシル基を表わし、そしてRは水素原子、低級アルキル基、または−CH−COOH、フェニルもしくはベンジル基を表わす。
上記式の中で、低級アルキル基は好ましくは、炭素原子数1〜4の基、特に、メチルおよびエチル基、を表わす。
【0027】
好ましくは、陰イオン性の固定用ポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸またはそれらの塩の単独重合体または共重合体、クロトン酸の共重合体、C〜Cのモノ不飽和カルボン酸または酸無水物の共重合体、カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド、スルホ基(sulpho group)を含む単独重合体または共重合体、陰イオン性ポリウレタン、および陰イオン性のグラフト化されたシリコーンポリマーから選ばれる。
【0028】
本発明によれば、カルボキシル基を含む好ましい陰イオン性の固定用ポリマーは下記のものである:
A)アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの塩の単独重合体または共重合体、特に、アライドコロイド(Allied Colloid)によってバーシコール(Versicol)(登録商標)EまたはKの名でおよびBASFによってウルトラホールド(Ultrahold)(登録商標)の名で販売の製品類、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体それらのナトリウム塩の形態をハーキュリーズ(Hercules)によってレテン(Reten)421、423または425の名で販売、またはポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩。
【0029】
B)アクリル酸またはメタクリル酸と、モノエチレン性モノマーたとえばエチレン、スチレン、ビニルエステルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルとの共重合体、場合によってはポリアルキレングリコールたとえばポリエチレングリコールの上にグラフトされていてもよいし、そして場合によっては架橋されていてもよい。かかるポリマーは特に、仏国特許第1222944号および独国特許出願第2330956号の各明細書の中に開示されており、このタイプの共重合体はそれらの鎖の中に、場合によってN−アルキル化および/または−ヒドロキシアルキル化されていてもよいアクリルアミド単位を含んでおり、たとえば、特にルクセンブルグ特許出願第75370号および第75371号の各明細書の中に開示されている又はアメリカンシアナミド(American Cyanamid)によってクァッドレーマー(Quadramer)の名で提供される。また、アクリル酸とC〜Cアルキルメタクリレートの共重合体や、ビニルピロリドンとアクリル酸とC〜C20アルキルメタクリレートたとえばラウリルメタクリレートとの三元共重合体、たとえば、ISPによってアクリリドン(Acrylidone)(登録商標)LMの名で販売のもの、およびメタクリル酸/エチルアクリレート/tert−ブチルアクリレート三元共重合体、たとえば、BASFによってルビマー(Luvimer)(登録商標)100Pの名で販売の製品、を挙げてもよい。
【0030】
また、メタクリル酸/アクリル酸/エチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体の水性分散物、アメルコール(Amerchol)によってアメルホールド(Amerhold)(登録商標)DR25の名で販売、を挙げてもよい。
【0031】
C)クロトン酸の共重合体、たとえば、それらの鎖の中にビニルアセテートまたはプロピオネート単位を含むもの、そして場合によってはその他のモノマー、たとえば、アリルもしくはメタリルエステル類、ビニルエーテル、または長い炭化水素鎖たとえば炭素原子数少なくとも5のようなものを含む線状または枝分れ飽和カルボン酸のビニルエステル、を含んでいてもよく、場合によってはこれらポリマーがグラフト化または架橋されることが可能である;または代わりに別のモノマー(それはα−もしくはβ−環式カルボン酸のビニル、アリルもしくはメタリルエステルである)を含むもの。かかるポリマーは、中でも、仏国特許第1222944号、第1580545号、第2265782号、第2265781号、第1564110号および第2439798号の各明細書の中に開示されている。このクラスに入る商品はナショナルスターチ(National Starch)によって販売のレジン28−29−30、26−13−14および28−13−10である。
【0032】
D)C〜Cモノ不飽和カルボン酸または酸無水物の共重合体であって下記のものから選ばれる:
−(i)一つまたはそれ以上のマレイン酸、フマル酸またはイタコン酸またはそれら酸無水物と、(ii)ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、フェニルビニル誘導体、アクリル酸およびそのエステルから選ばれた少なくとも一つのモノマーとの共重合体、これら共重合体の酸無水物官能は場合によってはモノエステル化またはモノアミド化されていてもよい。かかるポリマーは特に米国特許第2047398号、第2723248号および第2102113号および英国特許第839805号の各明細書の中に記載されている。商品は特に、ISP社によってガントレズ(Gantrez)(登録商標)ANまたはESの名で販売のものである;
【0033】
−(i)一つまたはそれ以上の無水マレイン酸、無水シトラコン酸または無水イタコン酸の単位と、(ii)アリルまたはメタリルエステルから選ばれた一つまたはそれ以上のモノマーとを含む共重合体、場合によっては、それらの鎖の中に、一つまたはそれ以上のアクリルアミド、メタクリルアミド、α−オレフィン、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸、またはビニルピロリドンの基を含んでいてもよく、
これら共重合体の酸無水物官能基は場合によってはモノエステル化またはモノアミド化されていてもよい。
【0034】
これらポリマーはたとえば本出願人よる仏国特許第2350384号および第2357241号の各明細書の中に開示されている。
【0035】
E)カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド。
【0036】
スルホ基を含む単独重合体および共重合体はビニルスルホン酸単位、スチレンスルホン酸単位、ナフタレンスルホン酸単位またはアクリルアミド−アルキルスルホン酸単位を含むポリマーである。
【0037】
これらポリマーは特に下記のものから選ぶことができる:
−約1000〜100000の分子量を有するポリビニルスルホン酸の塩、同様に、不飽和コモノマー、たとえばアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル、さらには、アクリルアミドまたはその誘導体、ビニルエーテルおよびビニルピロリドン、との共重合体;
−ポリスチレンスルホン酸の塩、たとえば、ナトリウム塩、たとえば、ナショナルスターチによってフレキサン(Flexan)(登録商標)500およびフレキサン(登録商標)130の名で販売。これら化合物は仏国特許第2198719号明細書の中に開示されている;
−ポリアクリルアミドスルホン酸の塩、たとえば、米国特許第4128631号明細書の中に挙げられているもの、および特にポリアクリルアミドエチルプロパンスルホン酸、ヘンケル(Henkel)によってコスメディア(Cosmedia)ポリマーHSP1180の名で販売。
【0038】
本発明に従って使用できるその他の陰イオン性の固定用ポリマーとしては、ノベオン(Noveon)によってフィクセート(Fixate)G−100の名で販売の陰イオン性の枝分れブロックポリマーを挙げてもよい。
【0039】
本発明によれば、陰イオン性の固定用ポリマーは好ましくは、次のものから選択される:アクリル酸共重合体、たとえば、アクリル酸/エチルアクリレート/N−tert−ブチルアクリルアミド三元共重合体(特に、BASFによってウルトラホールド(登録商標)ストロング(Strong)の名で販売)、クロトン酸から誘導された共重合体、たとえば、酢酸ビニル/tert−ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸三元共重合体およびクロトン酸/酢酸ビニル/ネオデカノン酸ビニル三元共重合体(特に、ナショナルスターチによってレジン28−29−30の名で販売)、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸またはそれらの酸無水物と、ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、フェニルビニル誘導体またはアクリル酸やそのエステルとから誘導されたポリマー、たとえば、モノエステル化されたメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(たとえば、ISPによってガントレズ(登録商標)の名で販売)、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体(ロームファーマ(Rohm Pharma)によってユードラギット(Eudragit)(登録商標)Lの名で販売)、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体(BASFによってルビマー(Luvimer)(登録商標)MAEXまたはMAEの名で販売)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(BASFによってルビセット(Luviset)CA66の名で販売)、ポリエチレングリコールによってグラフト化された酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(BASFによってアリストフレックス(Aristoflex)(登録商標)Aの名で販売)、またはノベオン(Noveon)によってフィクセート(Fixate)G−100の名で販売のポリマー。
【0040】
本発明の関連での使用に好ましいのは、上記の陰イオン性の固定用ポリマーの中でも、特に、ISPによってガントレズ(登録商標)ES425の名で販売のモノエステル化されたメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、BASFによってウルトラホールド(Ultrahold)(登録商標)ストロングの名で販売のアクリル酸/エチルアクリレート/N−tert−ブチルアクリルアミド三元共重合体、ロームファーマによってユードラギット(登録商標)Lの名で販売のメタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、酢酸ビニル/tert−ブチル安息香酸ビニル/クロトン酸三元共重合体およびクロトン酸/酢酸ビニル/ネオドデカン酸ビニル三元共重合体(ナショナルスターチによってレジン28−29−30の名で販売)、BASFによってルビマー(登録商標)MAEXおよびMAEの名で販売のメタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体、ISPによってアクリリドン(登録商標)LMの名で販売のビニルピロリドン/アクリル酸/メタクリル酸ラウリル三元共重合体、またはノベオンによってフィクセートG−100の名で販売のポリマーである。
【0041】
本発明に従って使用できる皮膜形成性の陽イオン性の固定用ポリマーは好ましくは、重合鎖の部分を形成している又はそれに直接結合している第一、第二、第三または第四アミン基を含んでおりそして500〜約5000000の分子量、好ましくは1000〜3000000の分子量を有するポリマーから選ばれる。
好ましくは、陽イオン性の固定用ポリマーは、アミン化された官能基を含んでいるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドの単独重合体または共重合体、陽イオン性多糖類、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第四級共重合体、およびキトサンから選ばれる。
【0042】
これらポリマーの中でも、特に下記の陽イオン性ポリマーを挙げてもよい:
(1)下記式の単位の少なくとも一つを含んでいるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドから誘導された単独重合体または共重合体;
【0043】
【化2】

【0044】
式中、
は水素原子またはCH基を表わし;
Aは炭素原子数1〜6の線状もしくは枝分れアルキル基または炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基であり;
、RおよびRは、同一または異なり、炭素原子数1〜18のアルキル基またはベンジル基を表わし;
およびRは、同一または異なり、各々は水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基を表わし;
Xはメチルスルフェートアニオンまたはハライドたとえばクロライドやブロマイドを表わす。
【0045】
系統(1)の共重合体はさらにコモノマーに由来する一つまたはそれ以上の単位を含んでおり、コモノマーは、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ジアセトンアクリルアミド類、窒素上において低級(C〜C)アルキル基で置換されているアクリルアミド類およびメタクリルアミド類、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらのエステルから誘導された基、ビニルラクタム類たとえばビニルピロリドンまたはビニルカプロラクタム、またはビニルエステル類の系統から選択できる。
【0046】
それ故に、系統(1)のこれら共重合体の中でも、下記のものを挙げてもよい:
−アクリルアミドと、硫酸ジメチルによって又はハロゲン化メチルによって第4級化されているジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合体、たとえば、ハーキュリーズ(Hercules)によってヘルコフロック(Hercofloc)(登録商標)の名で販売のもの、
−アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの共重合体、たとえば特許出願EP−A−080976号公報の中に開示されてそしてチバガイギー(Ciba−Geigy)によってビナクァット(Bina Quat)P100の名で販売、
−アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェートの共重合体、たとえば、ハーキュリーズ(Hercules)によってレテンの名で販売のもの、
【0047】
−ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレートまたはメタクリレート共重合体、それは第4級化されていてもよいし又はされていなくてもよい、たとえば、ISPによって「ガフクァット(Gafquat)(登録商標)」の名で販売の製品など、たとえば、「ガフクァット(登録商標)734」または「ガフクァット(登録商標)755」、または「コポリマー(Copolymer)(登録商標)845、958および937」の名の製品。これらポリマーは仏国特許第2077143号および第2393573号の各明細書の中に詳細に記載されている、
−脂肪鎖を含みそしてビニルピロリドン単位を含むポリマー、たとえば、ISPによってスタイレゼ(Styleze)W20およびスタイレゼW10の名で販売の製品、
【0048】
−ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン三元共重合体、たとえば、ISP社によってガフィックス(Gaffix)VC713の名で販売の製品、
−および、第4級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体、たとえば、ISPによって「ガフクァット(登録商標)HS100」の名で販売の製品。
【0049】
(2)陽イオン性多糖類、好ましくは、第四アンモニウムを含んでいる、たとえば、米国特許第3,589,578号および第4,031,307号の各明細書の中に開示されているもの、たとえば、トリアルキルアンモニウムカチオン基を含むグアーガム。かかる製品は特に、メイホール(Meyhall)によってジャグアーC13S、ジャグアーC15およびジャグアーC17の商品名で販売されている。
【0050】
(3)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第四級共重合体。
【0051】
(4)キトサンまたはそれらの塩;使用できる塩は特に、キトサンアセテート、ラクテート、グルタメート、グルコネートまたはピロリドンカルボキシレートである。
これら化合物の中でも、アバー・テクノロジーズ(Aber Technologies)によってキタンブルトスタンダード(Kytan Brut Standard)の名で販売の90.5重量%の脱アセチル化度を有するキトサン、またはアメルコールによってキタマー(Kytamer)(登録商標)の名で販売のキトサンピロリドンカルボキシレート、を挙げてもよい。
【0052】
(5)陽イオン性セルロース誘導体、たとえば、第四アンモニウムを含んでいる、セルロースの、または水溶性モノマーによってグラフト化されたセルロース誘導体の、共重合体、特に、特許US4131576号明細書の中に開示されており、たとえば、特に、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムまたはジメチルジアリルアンモニウム塩によってグラフト化されているヒドロキシアルキルセルロースたとえばヒドロキシメチル−、ヒドロキシエチル−またはヒドロキシプロピルセルロースの共重合体。
この定義に相当する市販製品は特に、ナショナルスターチによって「セルクァット(Celquat)L200」および「セルクァットH200」の名で販売の製品である。
【0053】
本発明に従って使用できる両性の固定用ポリマーは重合鎖の中に無作為に分布された単位BおよびCを含むポリマーから選ぶことができ、ここで、Bは少なくとも1個の塩基性窒素原子を含むモノマーに由来する単位を表わし、そしてCは一つまたはそれ以上のカルボキシル基またはスルホ基を含む酸性モノマーに由来する単位を表わす、又はそうでなければBとCは両性イオン性カルボキシベタインまたはスルホベタインモノマーから誘導された基を表わすことができる;
BとCはまた、アミン基の少なくとも一つが炭化水素基を介して結合されたカルボキシル基またはスルホ基を担持している第一、第二、第三または第四アミン基を含んでいる陽イオン性の重合鎖を表わすことができる、又はそうでなければBとCはα,β−ジカルボキシルエチレン単位を含むポリマーの鎖の部分を形成しておりそのカルボキシル基の一つが一つまたはそれ以上の第一または第二アミン基を含むポリアミンと反応されている。
【0054】
好ましくは、両性の固定用ポリマーは、酸性ビニル単位と塩基性ビニル単位を含む共重合体、アシル化および架橋されているポリアミノアミド、両性イオン性単位を含むポリマー、キトサンから誘導されたポリマー、変性(C〜C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、両性ポリウレタンおよび両性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる。
【0055】
上記定義に相当する更に特に好ましい両性の固定用ポリマーは下記ポリマーから選ばれる:
1)酸性ビニル単位と塩基性ビニル単位を含む共重合体、たとえば、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはα−クロルアクリル酸のようなカルボキシル基を担持するビニル化合物から誘導されたモノマーと、特にジアルキルアミノアルキルメタクリレートおよびアクリレートまたはジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドおよび−アクリルアミドのような少なくとも一つの塩基性原子を含む置換ビニル化合物から誘導された塩基性モノマーとの共重合から得られるもの。かかる化合物は米国特許第3,836,537号明細書の中に開示されている。
【0056】
2)下記単位を含むポリマー:
a)窒素原子上においてアルキル基で置換されているアクリルアミドまたはメタクリルアミドから選ばれた少なくとも一つのモノマーに由来する単位と、
b)一つまたはそれ以上の反応性カルボキシル基を含む少なくとも一つの酸性コモノマーに由来する単位と、
c)少なくとも一つの塩基性モノマー、たとえば、アクリル酸およびメタクリル酸の第一、第二、第三および第四アミン置換基を含むエステル、および硫酸ジメチルまたはジエチルによるジメチルアミノエチルメタクリレートの第四級化生成物、に由来する単位。
【0057】
本発明によれば更に特に好ましいN−置換アクリルアミドまたはメタクリルアミドは、その中のアルキル基が炭素原子数2〜12であるところの化合物、特に、N−エチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−デシルアクリルアミドまたはN−ドデシルアクリルアミド、および対応するメタクリルアミド、である。
酸性コモノマーは、特に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸、およびマレイン酸またはフマル酸またはそれらの酸無水物の炭素原子数1〜4のアルキルモノエステルから選ばれる。
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N´−ジメチルアミノエチルまたはN−tert−ブチルアミノエチルメタクリレートである。
【0058】
CTFA名(第4版、1991年)ではオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート共重合体と命名される共重合体、たとえば、ナショナルスターチによってアンフォマー(Amphomer)(登録商標)またはロボクリル(Lovocryl)(登録商標)の名で販売の製品、が特に使用される。
【0059】
(3)下記一般式のポリアミノアミドに由来する部分的にまたは完全にアシル化されかつ架橋されたポリアミノアミド:
【0060】
【化3】

【0061】
[式中、R10は2価基を表わし、飽和ジカルボン酸に由来するか、又はエチレン性二重結合を含む脂肪族モノもしくはジカルボン酸に由来するか、又はこれら酸類の低級C1〜6アルカノールのエステルに由来するか、又は前記酸類のいずれか一つへのビス第一アミンもしくはビス第二アミンの付加から誘導される基に由来し、そしてZはビス第一またはモノもしくはビス第二ポリアルキレンポリアミンに由来する基を表わしそして好ましくは下記のものを表わす:
a)60〜100モル%の割合の、基
【0062】
【化4】

【0063】
(式中、x=2、そしてp=2または3であるか、又は、x=3、そしてp=2であり、この基はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンまたはジプロピレントリアミンに由来する);
b)0〜40モル%の割合の、上記基(III)(式中、x=2、そしてp=1であり、この基はエチレンジアミンに由来する)またはピペラジン由来基:
【0064】
【化5】

【0065】
c)0〜20モル%の割合の、ヘキサメチレンジアミン由来基−NH−(CH−NH−]、
これらポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二酸無水物またはビス不飽和誘導体から選ばれた二官能性架橋剤の付加反応によって、ポリアミノアミドのアミノ基当り0.025〜0.35モルの架橋剤によって、架橋され、かつアクリル酸、クロロ酢酸またはアルカンスルトンまたはそれらの塩との反応によってアシル化される。
【0066】
飽和カルボン酸は好ましくは、炭素原子数6〜10の酸、たとえば、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸または2,4,4−トリメチルアジピン酸、から選ばれ、またはテレフタル酸、およびエチレン性二重結合を含む酸、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸またはイタコン酸。
アシル化に使用されるアルカンスルトンは好ましくは、プロパン−またはブタンスルトンであり、そしてアシル化剤の塩は好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0067】
(4)下記式の両性イオン性単位を含むポリマー:
【0068】
【化6】

【0069】
式中、R11は重合性の不飽和基、たとえば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド基、を表わし、yおよびzは1〜3の整数を表わし、R12およびR13は水素原子またはメチル、エチルもしくはプロピル基を表わし、そしてR14およびR15はR14とR15の中の炭素原子数の和が10を超えないように水素原子またはアルキル基を表わす。
【0070】
かかる単位を含むポリマーは、両性イオン性でないモノマー、たとえば、ジメチル−またはジエチルアミノエチルアクリレートまたはメタクリレートまたはアルキルアクリレートまたはメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、または酢酸ビニル、から誘導された単位をも含むことができる。
例としては、メチルメタクリレート/ジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレート共重合体、たとえば、サンドズ(Sandoz)によってダイアフォーマー(Diaformer)Z301の名で販売の製品、を挙げてもよい。
【0071】
(5)下記式に相当するモノマー単位を含むキトサンから誘導されたポリマー:
【0072】
【化7】

【0073】
[単位(D)は0〜30%の割合で存在し、単位(E)は5〜50%の割合で存在し、そして単位(F)は30〜90%の割合で存在し、この単位(F)の中では、R16は下記式の基を表わすということが理解される:
【0074】
【化8】

【0075】
(式中、q=0の場合には、R17、R18およびR19は同一または異なり、各々は水素原子、メチル、ヒドロキシル、アセトキシもしくはアミノ残基、モノアルキルアミン残基もしくはジアルキルアミン残基(場合によって1個またはそれ以上の窒素原子が介在していてもよくそして/または場合によっては1個またはそれ以上のアミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルキルチオまたはスルホ基で置換されていてもよい)、または、アルキル基がアミノ残基を担持しているところのアルキルチオ残基を表わし、この場合、R17、R18およびR19基の少なくとも一つは水素原子である;
またはq=1の場合には、R17、R18およびR19は各々、水素原子を表わす)]、
およびこれら化合物と塩基または酸とによって形成された塩。
【0076】
(6)下記一般式(V)に相当するポリマー、たとえば、仏国特許第1400366号明細書の中に開示されている:
【0077】
【化9】

【0078】
式中、R20は水素原子またはCHO、CHCHOもしくはフェニル基を表わし、R21は水素原子または低級アルキル基たとえばメチルやエチルを表わし、R22は水素原子または低級C〜Cアルキル基たとえばメチルやエチルを表わし、そしてR23は低級C〜Cアルキル基たとえばメチルやエチル、または式−R24−N(R22に相当する基(ここで、R24は−CH−CH−、−CH−CH−CH−または−CH−CH(CH)−基を表わし、そしてR22は上記の意味を有する)を表わす。
【0079】
(7)キトサンのN−カルボキシアルキル化から誘導されたポリマー、たとえば、N−(カルボキシメチル)キトサンまたはN−(カルボキシブチル)キトサン、ジャンデッカー(Jan Dekker)によって「エバルサン(Evalsan)」の名で販売。
【0080】
(8)下記のものから選ばれた−D−X−D−X−タイプの両性ポリマー:
a)クロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムと、下記式の少なくとも一つの単位を含む化合物との反応によって得られるポリマー:
−D−X−D−X−D− (VI)
式中、Dは基:
【0081】
【化10】

【0082】
を表わし、そしてXは符号EまたはE´を表わし、EまたはE´は同一または異なり、2価基を表わし、それは主鎖の中に7個以下の炭素原子を含む直鎖または枝分れ鎖アルキレン基であり、それは非置換であるか又はヒドロキシル基で置換されておりそしてそれは更に酸素、窒素もしくは硫黄原子または1〜3個の芳香族および/もしくは複素環式の環を含むことができる;酸素、窒素および硫黄原子はエーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミンもしくはアルケニルアミン基、またはヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、第四アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステルおよび/もしくはウレタン基の形態で存在する。
【0083】
b)下記式のポリマー:
−D−X−D−X− (VI´)
式中、Dは基
【0084】
【化11】

【0085】
を表わし、そしてXは符号EまたはE´を表わし、そして少なくとも一度はE´、Eは上記意味を有し、そしてE´は2価基であり、それは主鎖の中に7個以下の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖アルキレン基であり、それは非置換であるか又は一つまたはそれ以上のヒドロキシル基で置換されておりそしてそれは一つまたはそれ以上の窒素原子を含み、窒素原子は、場合によって酸素原子が介在していてもよいアルキル基によって置換されておりそして必要ならば一つまたはそれ以上のカルボキシル官能基および一つまたはそれ以上のヒドロキシル官能基を含みそしてクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムとの反応によってベタイン化されている。
【0086】
(9)N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンたとえばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンによる半アミド化によって又はN,N−ジアルキルアミノアルカノールによる半エステル化によって部分的に変性された(C〜C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体。これら共重合体はその他のビニルコモノマーたとえばビニルカプロラクタムをも含むことができる。
【0087】
本発明によれば、特に最も好ましい上記の両性の固定用ポリマーの中でも、系統(3)のもの、たとえば、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート共重合体のCTFA名をもつ共重合体類、たとえば、ナショナルスターチによってアンフォマー(登録商標)、アンフォマー(登録商標)LV71またはロボクリル(Lovocryl)(登録商標)47の名で販売の製品、および系統(4)のもの、たとえば、メチルメタクリレート/ジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレート共重合体、たとえば、サンドズによってダイアフォーマーZ301の名で販売、が挙げられるであろう。
【0088】
本発明に従って使用できる非イオン性の固定用ポリマーは例えば次のものから選ばれる:
−ポリアルキルオキサゾリン;
−酢酸ビニル単独重合体;
−酢酸ビニル共重合体、たとえば、酢酸ビニルとアクリル酸エステルの共重合体、酢酸ビニルとエチレンの共重合体、または酢酸ビニルとマレイン酸エステルたとえばマレイン酸ジブチルとの共重合体;
−アクリル酸エステル単独重合体および共重合体、たとえば、アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートの共重合体、たとえば、ロームアンドハース(Rohm & Haas)によってプリマル(Primal)(登録商標)AC−261Kおよびユードラギット(登録商標)NE30Dの名で、BASFによって8845の名で又はヘキスト(Hoechst)によってアップレタン(Appretan)(登録商標)N9212の名で、提供された製品;
【0089】
−アクリロニトリルと非イオン性モノマー(たとえばブタジエンおよびアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる)の共重合体;ロームアンドハースによってCJ0601の名で提供された製品を挙げてもよい;
−スチレン単独重合体;
−スチレン共重合体、たとえば、スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、たとえば、ヘキストによって提供された製品モウィリス(Mowilith)(登録商標)LDM6911、モウィリス(登録商標)DM611およびモウィリス(登録商標)LDM6070またはレーネポーレンク(Rhoene−Poulenc)によって提供された製品ロードパス(Rhodopas)(登録商標)SD215およびロードパス(登録商標)DS910、スチレンとアルキルメタクリレートとアルキルアクリレートの共重合体、スチレンとブタジエンの共重合体、またはスチレンとブタジエンとビニルピリジンの共重合体;
【0090】
−ポリアミド;
−ビニルピロリドン単独重合体以外のビニルラクタム単独重合体、たとえば、ポリビニルカプロラクタム、BASFによってルビスコール(Luviskol)(登録商標)プラス(Plus)の名で販売;および
−ビニルラクタム共重合体、たとえば、ポリ(ビニルピロリドン/ビニルラクタム)共重合体、BASFによってルビテック(Luvitec)(登録商標)VPC55K65Wの名で販売、ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)共重合体、たとえば、ISPによってPVPVA(登録商標)S630Lの名で又はBASFによってルビスコール(登録商標)VA73、VA64、VA55、VA37およびVA27の名で販売のもの、およびポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル)三元共重合体、たとえば、BASFによってルビスコール(登録商標)VPA343の名で販売のもの。
【0091】
上記の非イオン性ポリマーのアルキル基は好ましくは炭素原子数1〜6を有する。
【0092】
本発明によれば、ポリシロキサン部分と無シリコーンの有機鎖から構成された部分とを含むグラフト化されたシリコーンタイプの固定用ポリマーを使用することも可能であり、この2つの部分の一方がポリマーの主鎖を構成し、そして他方が前記主鎖上にグラフト化されている。
これらポリマーは、たとえば、特許出願EP−A−0412704号、EP−A−0412707号、EP−A−0640105号、WO95/00578号、EP−A−0582152号、およびWO93/23009号の各公開公報、および特許US4693935号、US4728571号およびUS4972037号の各明細書の中に開示されている。
これらポリマーは両性、陰イオン性または非イオン性であることができ、そしてそれらは好ましくは陰イオン性または非イオン性である。
【0093】
かかるポリマーは、たとえば、
a)50〜90重量%のtert−ブチルアクリレート、
b)0〜40重量%のアクリル酸、
c)5〜40重量%の下記式のシリコーンマクロマー(silicone macromer):
【0094】
【化12】

【0095】
(式中、vは5〜700の範囲の数である)
から形成されたモノマーの混合物からのラジカル重合によって得ることが可能である共重合体であり、重量%はモノマーの総重量に対して計算されている。
【0096】
グラフト化されたシリコーンポリマーのその他の例は特に、チオプロピレンタイプの連結基を介してポリ((メタ)アクリル酸)タイプとポリ(アルキル(メタ)アクリレート)タイプの混合ポリマー単位がグラフト化されたポリジメチルシロキサン類(PDMSs)、および、チオプロピレンタイプの連結基を介してポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)タイプのポリマー単位がグラフト化されたポリジメチルシロキサン類(PDMSs)である。
固定用シリコーンポリマーのその他のタイプとしては、BASFによって販売の製品ルビフレックス(Luviflex)(登録商標)シルク(Silk)を挙げてもよい。
【0097】
固定用ポリマーとしては、また、官能化されていてもよいし又はいなくてもよい、そしてシリコーンを含んでいてもよいし又はいなくてもよい、陽イオン性、非イオン性、陰イオン性または両性のポリウレタンまたはそれらの混合物が使用されてもよい。
【0098】
本発明によって特に目標とされるポリウレタンは、本出願人の会社が所有者である出願EP0751162号、EP0637600号、EP0648485号、およびFR2743297号の各公開公報の中に、およびBASFの出願EP0656021号およびWO94/03510号およびナショナルスターチの出願EP0619111号の各公開公報の中に開示されているものである。
本発明に特に大いに適するポリウレタンとしては、BASFによってルビセットPUR(登録商標)およびルビセット(登録商標)Si PURの名で販売の製品を挙げてもよい。
【0099】
本発明による組成物が一つまたはそれ以上の追加的な固定用ポリマー(単数または複数)を含む場合には、それらの濃度は組成物の総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0100】
本発明による組成物は、変性グアーガム以外の追加的な化粧品助剤として、少なくとも一つの追加的な増粘性ポリマー(「レオロジー調節剤」とも称される)をも含むことができる。
レオロジー調節剤は、脂肪酸アミド(ココナッツジエタノール−またはモノエタノールアミド、オキシエチレン化アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド)、セルロース増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、微生物起源のガム(キサンタンガム、スクレログルカン(scleroglucan)ガム)、アクリル酸またはアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋単独重合体、および会合性ポリマーから選ぶことができる。
【0101】
本発明に従って使用できる会合性ポリマーは、水性媒体中で相互にまたは他の分子と可逆的に会合できる水溶性ポリマーである。
それらの化学構造は親水性領域と少なくとも一つの脂肪鎖を特徴とする疎水性領域とを含んでいる。
本発明に従って使用できる会合性ポリマーは陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性のタイプのものであることができる。
【0102】
追加的な増粘性ポリマー(単数または複数)の濃度は組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。
【0103】
本願による組成物はまた、追加的な化粧品助剤として、シリコーン類、シリコーンを含む脂肪物質およびシリコーンを含まない脂肪物質から選ばれた少なくとも一つの化合物を含むこともできる。
本発明による組成物の中に使用できるシリコーンは線状、環式、枝分れまたは非枝分れでそして揮発性または不揮発性であることができる。それらは可溶性の形態、分散された形態またはミクロ分散された形態であることができ、そして油、樹脂またはガムの形態で提供されることができる。それらは特に、化粧品向けに許容できる媒体の中に不溶性であるポリオルガノシロキサンであることができる。
オルガノポリシロキサンはWalter Nollによる研究“Chemistry and Technology of Silicones”(1968),Academic Pressの中により詳細に定義されている。それらは揮発性または不揮発性であることができる。
【0104】
揮発性である場合には、シリコーンは特に60℃〜260℃の沸点を有するものから選択され、そして更に特に次のものから選択される:
(i)ケイ素原子数3〜7の、好ましくは4〜5の、環式シリコーン。それらは、たとえば、次のものである:オクタメチルシクロテトラシロキサン、特に、ユニオンカーバイド(Union Carbide)によって「ボラタイルシリコーン(Volatile Silicone)7207」の名でまたはローディアによって「シルビオン(Silbione)70045V2」の名で販売、デカメチルシクロペンタシロキサン、ユニオンカーバイドによって「ボラタイルシリコーン7158」の名でまたはローディアによって「シルビオン70045V5」の名で販売。
【0105】
また、下記の化学構造をもつ、ユニオンカーバイドによって販売の「シリコーンボラタイルFZ3109」のような、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型の環状共重合体を挙げてもよい:
【0106】
【化13】

【0107】
また、環式シリコーンとケイ素由来有機化合物との混合物、たとえば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリトリトールの(50/50)混合物およびオクタメチルシクロテトラシロキサンと1,1´−オキシ(2,2,2´,2´,3,3´−ヘキサトリメチルシリルオキシ)ビスネオペンタンの混合物、を挙げてもよい。
【0108】
(ii)ケイ素原子数2〜9を有しそして25℃において5×10−6/s以下の粘度を有する揮発性の線状シリコーン。それらは、たとえば、デカメチルテトラシロキサン、特に、東レシリコーン(Toray Silicone)によって「SH200」の名で販売のもの、である。このクラスに入るシリコーンはCosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,p.27−32に掲載されて刊行されたTodd & Byersの論文“Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”の中にも記載されている。
【0109】
不揮発性シリコーンは、中でも、特に、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、シリコーンガムおよびレジン、有機官能基によって変性されたポリオルガノシロキサンおよびそれらの混合物を挙げてもよい。
【0110】
本発明に従って使用できる有機変性シリコーンは、それらの構造の中に、炭化水素基を介して結合された一つまたはそれ以上の有機官能基を含んでいる上記定義通りのシリコーンである。
【0111】
有機変性シリコーンは、中でも、下記ポリオルガノシロキサンを挙げてもよい:
−C〜C24アルキル基を含んでいてもよいポリエチレンオキシおよび/またはポリプロピレンオキシ基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば、ジメチコンコポリオール(dimethicone copolyol)と命名された製品類、ダウコーニング(Dow Corning)によってDC1248の名で販売、またはユニオンカーバイドからのオイル類シルウェット(Silwet)(登録商標)L722、L7500、L77またはL711、および(C12)アルキルメチコンコポリオール、ダウコーニングによってQ2 5200の名で販売;
−置換された又はされてないアミン化された基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば、ゲネシー(Genesee)によってGP4シリコーンフルイッド(Silicone Fluid)およびGP7100の名で販売の製品またはダウコーニングによってQ2 8220およびダウコーニング929または939の名で販売の製品。置換されたアミン化された基は特にC〜Cアミノアルキル基である;
−チオール基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば、ゲネシーによって「GP72A」および「GP71」の名で販売の製品;
【0112】
−アルコキシル化された基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば、SWSシリコーンズ(Silicones)によって「シリコーンコポリマー(Silicone Copolymer)F−755」の名でおよびゴールドシュミット(Goldschmidt)によってアビルワックス(Abil Wax)(登録商標)2428、2434および2440の名で販売の製品;
−ヒドロキシル化された基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば、仏国特許出願FR−A−85 16334号の公開公報の中に開示されたヒドロキシアルキル官能基を含むポリオルガノシロキサン;
−アシルオキシアルキル基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば特許US−A−4957732号明細書の中に開示されているポリオルガノシロキサン;
【0113】
−次の型の陰イオン基を含むポリオルガノシロキサン:カルボン酸型のそれ、たとえば、チッソ株式会社の特許EP186507号明細書の中に開示された製品におけるような、又はアルキルカルボキシル型のそれ、たとえば、信越(Shin−Etsu)からの製品X−22−3701Eの中に存在するもの;2−ヒドロキシアルキルスルホネート型のそれ;または2−ヒドロキシアルキルチオスルフェート型のそれ、たとえば、ゴールドシュミットによって「アビル(登録商標)S201」および「アビル(登録商標)S255」の名で販売の製品;
−ヒドロキシアシルアミノ基を含むポリオルガノシロキサン、たとえば、出願EP342834号公開公報の中に開示されたポリオルガノシロキサン。たとえば、ダウコーニングからの製品Q2−8413を挙げてもよい。
【0114】
本発明による組成物の中に使用できるシリコーン油は、周囲温度で液状またはペースト状である線状または環状シリコーン鎖を含む揮発性または不揮発性のポリメチルシロキサンである;特に、シクロポリジメチルシロキサン類(シクロメチコン類)、たとえば、シクロヘキサシロキサン;側鎖のアルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含む又はシリコーン鎖の末端にアルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含むポリジメチルシロキサン類、それら基は炭素原子数2〜24を有する;フェニル化されたシリコーン類、たとえば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン、(2−フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートまたはポリメチルフェニルシロキサン;およびそれらの混合物。
【0115】
本発明による組成物の中に使用できるシリコーンガムは200000〜2000000の高分子量のポリジオルガノシロキサンであり、それだけで使用されるか、又は揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン油、ポリメチルフェニルシロキサン油、ポリジフェニルジメチルシロキサン油、イソパラフィン、塩化メチレン、ペンタン、炭化水素またはそれらの混合物から選ばれた溶剤の中の混合物として使用される。
好ましくは、1500000未満の分子量をもつシリコーンガムが使用される。これらシリコーンガムはたとえば、ポリジメチルシロキサン類、ポリフェニルメチルシロキサン類、ポリ(ジフェニルシロキサン/ジメチルシロキサン)類、ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)類、ポリ(ジメチルシロキサン/フェニルメチルシロキサン)類またはポリ(ジフェニルシロキサン/ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)類である。
これらシリコーンガムは鎖末端においてトリメチルシリルまたはジメチルヒドロキシシリル基によって停止されていることができる。
【0116】
本発明による組成物の中に使用できるシリコーン樹脂は、単位RSiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2(ここでRは炭素原子数1〜6の炭化水素基またはフェニル基を表わす)を含有する架橋シロキサン系である。これら製品の中で特に好ましいものはRが低級(C〜C)アルキル基またはフェニル基を表わす場合のものである。
【0117】
本発明による組成物の中に使用できる無シリコーンの脂肪物質は全ての有機もしくは無機の、天然もしくは合成の、無シリコーンの油、ワックスまたは樹脂である。
【0118】
本発明の意図する範囲内の油は、周囲温度(約25℃)では液状でありそして可逆性の固/液の状態変化を示す親油性化合物である。動物性および植物性の油はプロパン−1,2,3−トリオールのトリエステルを必須成分として含んでいる。
【0119】
本発明による組成物の中に使用できる油としては、たとえば、次のものを挙げてもよい:
−動物起源の炭化水素油、たとえば、ペルヒドロスクアレン(perhydrosqualene);
−植物起源の炭化水素油、たとえば、炭素原子数4〜10の脂肪酸の液状トリグリセリド、たとえば、ヘプタン酸もしくはオクタン酸のトリグリセリド、または、やはり、たとえば、ひまわり油、とうもろこし油(maize oil)、大豆油、きゅうり油、ぶどう種子油、ごま油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカデミア油、アララ油(arara oil)、ひまし油またはアボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、たとえば、ステアリネリースデュボイス(Stearineries Dubois)によって販売のものまたはダイナミットノーベル(Dynamit Nobel)によってミグリオール(Miglyol)810、812および818の名で販売のもの、ホホバ油(jojoba oil)またはシアバター油(shea butter oil);
【0120】
−合成エステルおよびエーテル、特に、脂肪酸のそれら、たとえば、式RCOORおよびRORの油(式中、Rは炭素原子数8〜29の脂肪酸の残基を表わし、そしてRは炭素原子数3〜30の枝分れまたは非枝分れ炭化水素鎖を表わす)、たとえば、パーセリン油(purcellin oil)、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケート(erucate)またはイソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、たとえば、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレエートまたはトリイソセチルシトレート;脂肪アルコールのヘプタノエート、オクタノエートまたはデカノエート;ポリオールエステル、たとえば、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート;およびペンタエリトリトールエステル、たとえば、ペンタエリスリチルテトライソステアレート;
【0121】
−鉱物または合成起源の線状または枝分れ炭化水素、たとえば、揮発性または不揮発性の液状パラフィンおよびそれらの誘導体、液状ワセリン(liquid petrolatum)、ポリデセンまたは水素化ポリイソブテン、たとえば、パーレアム油(parleam oil);
−炭素原子数8〜26の流体脂肪アルコール、たとえば、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、オレイルアルコール、リノレイル(linoleyl)アルコールまたはリノレニル(linolenyl)アルコール;
−アルコキシル化された、特に、エトキシル化された、脂肪アルコール、たとえば、オレト(oleth)−12;
【0122】
−炭化水素を含む部分フッ素化油、たとえば、公報JP−A−2−295912の中に開示されているもの。フッ素化油としては、次のものも挙げられる:ペルフルオロメチルシクロペンタンおよびペルフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、たとえば、BNFLフルオロケミカルズ(Fluorochemicals)によって「フルテック(Flutec)PC1(登録商標)」および「フルテックPC3(登録商標)」の名で販売;ペルフルオロ(1,2−ジメチルシクロブタン);ペルフルオロアルカン、たとえば、ドデカフルオロペンタンおよびテトラフルオロへキサン、たとえば、3Mによって「PF5050(登録商標)」および「PF5060(登録商標)」の名で販売、又は更にはブロモペルフルオロオクタン、たとえば、アトケム(Atochem)によって「フォルアルキル(Foralkyl)(登録商標)」の名で販売;ノナフルオロメトキシブタン、たとえば、3Mによって「MSX4518(登録商標)」の名で販売、およびノナフルオロエトキシイソブタン;またはペルフルオロモルホリン誘導体、たとえば、4−(トリフルオロメチル)ペルフルオロモルホリン、たとえば、3Mによって「PF5052(登録商標)」の名で販売。
【0123】
上記油リストの中の用語「炭化水素油」は、主として炭素と水素原子を含みそして場合によってはエステル基、エーテル基、フルオロ基、カルボン酸基および/またはアルコール基を含んでいてもよい全ての油を意味すると理解される。
【0124】
本発明の意図する範囲内のワックスは周囲温度(約25℃)で固体である親水性化合物であり、それは可逆的な固/液の状態変化を示し、融点が約40℃より高く200℃にまで及ぶことができ、そしてそれは固体状態においてはアニソトロピック結晶質配列を示す。動物性および植物性ワックスは必須成分としてカルボン酸と長鎖アルコールとのエステルを含んでいる。一般に、ワックスの結晶の大きさは、結晶が光を拡散および/または散乱してそれらを含む組成物に多少の不透明な曇った外観を与える、そのようなものである。ワックスをその融点にもっていくと、それを油と混和性にすることそして微視的に均質な混合物を形成することが可能であるが、混合物の温度を周囲温度に戻すと、混合物の油の中でワックスの再結晶化が得られ、その再結晶化は微視的に及び巨視的に検出できる(乳光)。
【0125】
本発明の中に使用できるワックスとしては以下のものを挙げてもよい:動物起源のワックス、たとえば、蜜蝋、鯨油、ラノリンワックスおよびラノリン誘導体;植物性ワックス、たとえば、ひまわり、コメまたはアップルピール(apple peal)のワックス類、カルナバ蝋、カンデリラ蝋、オーリキュリーワックス(ouricury wax)、モク蝋(japan wax)、カカオバターまたはコルクファイバー(cork fibre)またはさとうきび(sugarcane)のワックス類;鉱物性ワックス、たとえば、パラフィンワックス、ワセリンワックス(petrolatum wax)、亜炭蝋(lignite wax)または微結晶質ワックス、セレシン(ceresin)またはオゾケライト(ozokerite);合成ワックス、たとえば、ポリエチレンワックスまたはフィッシャートロプシュワックス;およびそれらの混合物。
【0126】
シリコーン類、シリコーンを含んでいる脂肪物質、およびシリコーンを含有しない脂肪物質から選ばれた化合物(単数または複数)の濃度は組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは、0.05〜10重量%、である。
【0127】
本発明によるスタイリング組成物はさらに、次のものから選ばれた少なくとも一つの添加剤を含むことができる:非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の界面活性剤、本発明に従って組成物の中に使用される固定用ポリマー以外の非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の追加的なポリマー、セラミドおよび擬似セラミド、ビタミンおよびプロビタミン(パンテノール(panthenol)も含めて)、シリコーンを含んでいてもよい又はいなくてもよい水溶性および脂溶性のサンスクリーン剤、固体の充填剤および粒子、たとえば、着色していてもよい又はいなくてもよい無機および有機の顔料、真珠光沢付与剤および不透明剤、光輝顔料(glitter)、活性粒子、染料、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、塩基性化剤、中和剤、無機および有機の増粘剤、抗酸化剤、ヒドロキシ酸、浸透剤、香料および防腐剤。
【0128】
当業者はこれら任意的な添加剤およびその量を、それらが本発明の組成物の諸性質に有害にならないように、注意して選択するであろう。
これら添加剤は本発明の組成物の中に組成物の総重量に対して0〜20重量%の範囲の量で存在する。
【0129】
下記実施例は本発明を例証しており、どのようにも本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
実施例
下記処方物AおよびBが調製される。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
イーストマンによって販売のイーストマンAQ55Sはジエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/イソフタレート/スルホイソフタレート共重合体である。
【0133】
手順
−重量2.7gおよび長さ27cmをもつ一房の天然ヘアに、試験すべき処方物2gを適用する。
−この処理された一房のヘアを、付形するために、直径1cmのローラーに巻きつける。
−この組合せ物を自然乾燥してから、ローラーから一房のヘアを静かにはずす。
−こうして付形された一房のヘアを、次いで、周囲温度で、100回転/分の磁気的攪拌を伴う8リットル容の食塩水浴(3%NaCl)の中に浸漬する。
−ヘア形状の形保持を評価するために、一房のヘアの長さを時間にわたって測定する。
【0134】
ヘア形状の形保持の測定
ヘア形状の形保持%:(L−L)/(L−L100
L:カールした一房のヘアの、時間tにおける長さ
:ヘアを付形してローラーからはずした後のカールした一房のヘアの長さ
:ローラーでヘアを付形する前の一房のヘアの長さ
【0135】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含む化粧品組成物。
【請求項2】
水分散性線状スルホポリエステルが、少なくとも一つのジカルボン酸もしくはそのエステル類の一つと、少なくとも一つのジオールと、芳香環上において−SOM基(ここで、Mは水素原子または金属イオンたとえばNa、LiまたはKを表わす)で置換されている少なくとも一つの二官能性スルホアリールジカルボキシル化合物との重縮合体である、請求項1の化粧品組成物。
【請求項3】
水分散性線状スルホポリエステルが、イソフタル酸とスルホイソフタル酸のナトリウム塩とジエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られる、請求項1または2の化粧品組成物。
【請求項4】
使用された水分散性線状スルホポリエステル(単数または複数)のTgが50℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項5】
水分散性線状スルホポリエステル(単数または複数)の濃度が組成物の総重量に対して0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%ある、請求項1〜4のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項6】
少なくとも一つのC1〜8アルキル基によってアルキル化された少なくとも一つのグアーガム、少なくとも一つのC1〜8ヒドロキシアルキル基によってヒドロアルキル化された一つのグアーガム、または少なくとも一つのC1〜8アルキル基によってアシル化された一つのグアーガムを含んでいる、請求項1〜5のいずれか一つの化粧品組成物。
【請求項7】
変性グアーガムがヒドロキシプロピル化グアーガムである、請求項6の化粧品組成物。
【請求項8】
変性グアーガムの濃度が組成物の総重量に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%ある、請求項1〜7のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項9】
水分散性線状スルホポリエステル/変性グアーガム比率が0.01〜100、好ましくは1〜75、より好ましくは2〜50である、請求項1〜8のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項10】
陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性の固定用ポリマーまたはそれらの混合物から選ばれた追加的な固定用ポリマーを含んでいる、請求項1〜9のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項11】
陽イオン性の固定用ポリマーが、アミン化された官能基を含んでいるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドの単独重合体または共重合体、陽イオン性多糖類、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第4級共重合体、およびキトサンから選ばれる、請求項10の化粧品組成物。
【請求項12】
陰イオン性の固定用ポリマーが、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの塩の単独重合体または共重合体、クロトン酸の共重合体、C〜Cモノ不飽和カルボン酸または酸無水物の共重合体、カルボキシレート基を含むポリアクリルアミド、スルホ基を含む単独重合体または共重合体、陰イオン性ポリウレタンおよび陰イオン性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる、請求項10の化粧品組成物。
【請求項13】
両性の固定用ポリマーが、酸性ビニル単位と塩基性ビニル単位を含む共重合体、アシル化および架橋されているポリアミノアミド、両性イオン性単位を含むポリマー、キトサンから誘導されたポリマー、変性(C〜C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、両性ポリウレタンおよび両性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる、請求項10の組成物。
【請求項14】
非イオン性の固定用ポリマーが、ポリアルキルオキサゾリン、酢酸ビニル単独重合体および共重合体、アクリル酸エステル単独重合体および共重合体、アクリロニトリル共重合体、スチレン単独重合体および共重合体、ポリアミド、ビニルピロリドン単独重合体以外のビニルラクタム単独重合体、ビニルラクタム共重合体、非イオン性ポリウレタンおよび非イオン性グラフト化シリコーンポリマーから選ばれる、請求項10の組成物。
【請求項15】
追加的な固定用ポリマー(単数または複数)の濃度が、組成物の総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である、請求項10の化粧品組成物。
【請求項16】
変性グアーガム以外の追加的な増粘性ポリマーを含んでいる、請求項1〜15のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項17】
追加的な増粘性ポリマーの濃度が組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である、請求項1〜16のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項18】
シリコーン類、シリコーンを含む脂肪物質およびシリコーンを含まない脂肪物質から選ばれた少なくとも一つの化合物を含んでいる、請求項1〜17のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項19】
シリコーン類、シリコーンを含む脂肪物質およびシリコーンを含まない脂肪物質から選ばれた化合物(単数または複数)の濃度が組成物の総重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%である、請求項18の化粧品組成物。
【請求項20】
非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の表面活性剤、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性の追加的なポリマー、セラミドおよび擬似セラミド、ビタミンおよびプロビタミン(パンテノールも含めて)、シリコーンを含んでもよいし又は含まなくてもよい水溶性および脂溶性のサンスクリーン剤、固体の充填剤および粒子、たとえば、着色していてもよいし又はしていなくてもよい無機質および有機質の顔料、真珠光沢付与剤および不透明剤、光輝顔料、活性粒子、染料、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、塩基性化剤、中和剤、無機質および有機質の増粘剤、抗酸化剤、ヒドロキシ酸、浸透剤、香料および防腐剤から選ばれた少なくとも一つの添加剤を含む、請求項1〜19のいずれか一項の化粧品組成物。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項の化粧品組成物を使用する、ヘアスタイルを形づくるための又はその形を保持するための方法。
【請求項22】
化粧品向けに許容できる媒体の中に少なくとも一つの水分散性線状スルホポリエステルと少なくとも一つの変性グアーガムを含む組成物の、ヘアの固定および形保持のための用途。
【請求項23】
水分散性線状スルホポリエステルが、イソフタル酸とスルホイソフタル酸のナトリウム塩とジエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られる、請求項22の化粧品組成物の用途。
【請求項24】
変性グアーガムがヒドロキシプロピル化グアーガムである、請求項22または23の化粧品組成物の用途。
【請求項25】
耐水性のヘアスタイルを得るための、請求項22〜24のいずれか一項の組成物用途。

【公開番号】特開2006−36764(P2006−36764A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−201422(P2005−201422)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】