締結構造および回転式真空ポンプ
【課題】排気対象装置および回転式真空ポンプの破損を防止する。
【解決手段】ターボ分子ポンプ1の吸気口フランジ13aと真空装置のフランジ16とをボルト15で締結する。吸気口フランジ13aのボルト孔14は、長穴形状であり、その長手方向が吸気口フランジ13aの円周の接線方向と略一致するように吸気口フランジ13aの周縁近傍に設けられている。ボルト孔14に板状の部材が複数積層された積層板30を配設する。ターボ分子ポンプ1の不具合により、衝撃力が発生した場合、吸気口フランジ13aからボルト15に作用する衝撃力を積層板30で受け止める。これにより、ボルト15にかかる剪断応力と、装置側のフランジ16に伝達される運動エネルギーをともに減少させることができるので、ボルト15の破断や装置側の破損を防止できる。
【解決手段】ターボ分子ポンプ1の吸気口フランジ13aと真空装置のフランジ16とをボルト15で締結する。吸気口フランジ13aのボルト孔14は、長穴形状であり、その長手方向が吸気口フランジ13aの円周の接線方向と略一致するように吸気口フランジ13aの周縁近傍に設けられている。ボルト孔14に板状の部材が複数積層された積層板30を配設する。ターボ分子ポンプ1の不具合により、衝撃力が発生した場合、吸気口フランジ13aからボルト15に作用する衝撃力を積層板30で受け止める。これにより、ボルト15にかかる剪断応力と、装置側のフランジ16に伝達される運動エネルギーをともに減少させることができるので、ボルト15の破断や装置側の破損を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ分子ポンプやモレキュラドラッグポンプ等の回転式真空ポンプに適した締結構造、および回転式真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
高真空排気に用いられるターボ分子ポンプは、交互に配置された複数段の回転翼と複数段の固定翼とを備えている。各回転翼および固定翼は複数のタービンブレードから成り、回転翼はモータにより回転駆動されるロータに形成されており、固定翼はポンプのベースに固定されている。さらに、上述したタービンブレードに加えて、ドラッグポンプ段を備えたターボ分子ポンプも知られている。ドラッグポンプ段は、ロータ下部に形成された円筒部と、その円筒部と近接して配設されるネジ溝ステータとから成る。
【0003】
ターボ分子ポンプでは、タービンブレードおよび円筒部が形成されたロータは数万rpmで高速回転しており、異常な外乱が作用するとロータとステータ側(例えば、ネジ溝ステータ)とが接触するおそれがあり、その場合にはステータ側に大きな衝撃が加わることになる。また、高速回転するロータには大きな遠心力が常に作用しており、ロータとステータ側が接触した場合や、設計時の想定を越える条件下で連続運転された場合には、ロータが破壊するおそれもある。そのような場合にはさらに大きな衝撃がステータ側に加わり、ポンプケーシングを装置本体に締結しているボルトに大きな剪断力が加わるという問題があった。
【0004】
そのため、ボルト孔を拡開する複数の段が形成された孔とすることにより、剪断力が一カ所に集中するのを防いでボルトの破断を防止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−148388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の技術では、ボルトが段付き孔の側面に当接して塑性変形することにより衝撃力を吸収するような構造となっているが、段付き孔であるために塑性変形による効果が十分に得られていないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 請求項1の発明による締結構造は、第1の部材と第2の部材とをボルトによって締結する締結構造において、ボルトを介して、第1の部材または第2の部材のいずれか一方から他方へ伝達される運動エネルギーを吸収するとともに、ボルトに作用する衝撃応力を緩和する部材であって、積層構造を有する積層部材を備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の締結構造において、第1の部材および第2の部材の少なくともいずれか一方には、ボルトが挿通される穴が設けられ、積層部材は、穴の内周面と、ボルトとの間に配設されることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の締結構造において、積層部材を構成する個々の部材の積層方向は、ボルトに作用する衝撃応力の作用方向と略一致、または略直交することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の締結構造において、積層構造は、積層部材によって吸収する運動エネルギーの値および積層部材によって緩和する衝撃応力の値に影響する物性値が異なる複数の部材を積層した構造であることを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項4に記載の締結構造において、積層構造は、材質が異なることで物性値が異なることを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項4に記載の締結構造において、積層構造は、積層部材を構成する個々の部材の少なくとも一部の部材に穴が設けられたことで物性値が異なることを特徴とする。
(7) 請求項7の発明による回転式真空ポンプは、請求項1〜6のいずれか一項に記載の締結構造によって排気対象装置に対して締結される吸気口フランジ、が形成されたポンプケーシングと、回転側排気手段が設けられてポンプケーシング内で高速回転駆動されるロータと、ポンプケーシング内に設けられて回転側排気手段と共働して排気作用を発生する固定側排気手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
(1) 本発明によれば、積層構造を有する積層部材によって、ボルトを介して第1の部材または第2の部材のいずれか一方から他方へ伝達される運動エネルギーを吸収するとともに、ボルトに作用する衝撃応力を緩和するように構成した。これにより、ボルトの破断や、第1の部材および第2の部材の破損を防止できる。
(2) 請求項7の発明によれば、排気対象装置および回転式真空ポンプの破損を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明による真空装置の締結構造を採用したターボ分子ポンプの概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)はフランジ部分を示す平面図である。なお、平面図はフランジの上半分を示したものである。図1に示したターボ分子ポンプ1は磁気軸受式のポンプであり、ロータ2はベース3に設けられた磁気軸受4a〜4cによって非接触支持されている。4a,4bはラジアル磁気軸受であり、4cはアキシャル磁気軸受である。
【0010】
ベース3には、ロータ2を回転駆動するモータ6、タッチダウンベアリング7a,7bおよびロータ2の浮上位置を検出するためのギャップセンサ5a,5b,5cがそれぞれ設けられている。タッチダウンベアリング7a,7bにはメカニカルベアリングが用いられ、磁気軸受4a〜4cによるロータ2の磁気浮上がオフされたときにロータ2を支持する。
【0011】
ロータ2には、回転軸方向に複数段の回転翼8が形成されている。上下に並んだ回転翼8の間には固定翼9がそれぞれ配設されている。これらの回転翼8と固定翼9とにより、ターボ分子ポンプ1のタービン翼段が構成される。各固定翼9は、スペーサ10によって上下に挟持されるように保持されている。スペーサ10は、固定翼9の保持機能とともに、固定翼9間のギャップを所定間隔に維持する機能を有している。
【0012】
さらに、固定翼9の後段(図示下方)にはドラッグポンプ段を構成するネジステータ11が設けられており、ネジステータ11の内周面はロータ2の円筒部12と所定間隔で対向している。ロータ2およびスペーサ10によって保持された固定翼9は、吸気口フランジ13aが形成されたケーシング13内に納められている。図1(b)に示すように、吸気口フランジ13aには長穴形状のボルト孔14が等間隔で8箇所形成されており、吸気口フランジ13aは8本のボルト15によって装置側のフランジ16に固定される。ボルト孔14には、後述する積層板30が配設されている。なお、吸気口フランジ13aの径の大きさによって、フランジ厚さや使用ボルト寸法およびボルト本数は規格によって定められている。
【0013】
ボルト孔14は、長穴の長手方向が吸気口フランジ13aの円周の接線方向と略一致するように吸気口フランジ13aの周縁近傍に設けられている。ボルト孔14には、ロータ回転方向Rとは反対方向である、図1(b)における図示反時計方向に寄せられた状態で積層板30が配設されている。図2は、吸気口フランジ13aのボルト孔14の近傍を模式的に示したものであり、図1(a)のA−A断面を示す模式図である。なお、図2では、座金の記載を省略している。図2における図示左側は、図1(b)における図示反時計方向となる。ボルト孔14のうち、積層板30が設けられていない空間(図2における図示右側の空間)には、ボルト15が挿通されている。ボルト15は、装置側のフランジ16に設けられた雌ねじ部16aに螺合されている。
【0014】
積層板30は、吸気口フランジ13aの厚さ方向に沿って板状の部材が複数積層された構造を有する。積層板30を構成する板状の部材のそれぞれは、単にボルト孔14の内部で積み重ねられているだけであり、隣り合う板状の部材とは特に固定されていない。
【0015】
図3は積層板30の作用を説明する図であり、図2と同様に図1(a)のA−A断面を示す模式図である。ボルト15は、軸の先端から領域H1の部分が装置側フランジ16の雌ネジ部16aに螺合しており、この領域H1は装置側フランジ16によって拘束されている。一方、装置側フランジ16に螺合していない領域H2は非拘束状態になっている。
【0016】
何らかの原因でロータとステータ側が接触した場合や、ロータが破損した場合には、ベース3やケーシング13に対してロータ回転方向Rに衝撃力が作用する。この衝撃力によって吸気口フランジ13aを回転させるようなトルクTが発生し、吸気口フランジ13aが装置側フランジ16に対して図示右側にずれるように回転移動する。この回転移動により、積層板30の図示右側の端面30aがボルト15の軸に当接する。
【0017】
ベース3やケーシング13に作用する衝撃力は非常に大きいため、積層板30とボルト15の軸とが当接した後も吸気口フランジ13aが右側に移動して、積層板30を図示右方向に圧縮して変形させる。この積層板30の変形により、ベース3やケーシング13に与えられた衝撃エネルギーが吸収されるとともに、ボルト15へ伝達される衝撃応力が緩和される。
【0018】
積層板30を介して衝撃力が伝達されると、ボルト15の軸は右側に曲げられるように変形する。そのため、領域H2におけるボルト15の軸とボルト孔14の図示左側端面との距離は、図示上下方向で異なることとなる。しかし、積層板30を構成する板状の部材のそれぞれが、ボルト15の軸の傾きに合わせて図示右方向に圧縮されて変形するため、積層板30は、積層板30の図示右側端面の広い範囲でボルト15の軸と当接することになる。これにより、ボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積が広がる。
【0019】
このように、本実施の形態では、ボルト15に作用する衝撃応力の作用方向とは略直交する方向に板状の部材が積層されている積層板30がボルト孔14に配設されている。これにより、ターボ分子ポンプに異常状態が発生してベース3やケーシング13に衝撃力が作用しても、積層板30によって、ボルト15にかかる剪断応力と、装置側のフランジ16に伝達される運動エネルギーをともに減少させることができる。その結果、ボルト15の破断、装置側の変形や破損を防止できる。
【0020】
図4は比較例として、標準のフランジ構造を示したものであり、(a)は衝撃力が作用する前の締結状態を示し、(b)は衝撃力が作用した場合を示す図である。吸気口フランジ13aにはボルト孔24が設けられている。ボルト15の軸は、領域H1の部分は装置側フランジ16に拘束されており、領域H2は非拘束状態となっている。
【0021】
衝撃力が作用して吸気口フランジ13aを回転させるようなトルクTが発生し、吸気口フランジ13aが装置側フランジ16に対して図示右側にずれるように回転移動する。この回転移動により、図4(b)に示すようにボルト15の領域H2の部分がボルト孔24の側面に当接する。その結果、領域H2の部分は吸気口フランジ13aによって拘束状態となり、剪断応力が領域H1と領域H2との境界部分15aに集中して作用することになる。吸気口フランジ13aは複数のボルト15によって装置側フランジ16に固定されているが、各ボルト孔24の位置誤差により図4(b)のような状態になるのは各ボルト15によって異なる。そのため、最初に図4(b)のような状態となったボルト15のみに剪断応力が集中して発生し、瞬時に破断してしまうという状態が生じることになる。
【0022】
これに対して、本実施の形態では、積層板30が変形することで各ボルト孔14の位置誤差が吸収されるので、締結に用いられているボルト15の全てでトルクTを受け止めることができる。したがって、締結に用いられている全てのボルト15の強度を有効に活用することができ、ボルト15の破断を防止することができる。
【0023】
積層板30による衝撃エネルギーの吸収と衝撃応力の軽減について、以下に説明する。図5に示した簡易モデルを参照して、衝撃エネルギーの吸収について説明する。図5において、100は衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収機構であり、110は、衝撃吸収機構100を支持する支持部であり、120は、衝撃吸収機構100に衝突する衝突物である。衝撃吸収機構100の衝撃エネルギーが作用する方向の長さをLとし、ヤング率をEとし、衝撃エネルギーが作用する方向と垂直な断面の面積をAとし、衝突物120の衝突による変形量を△Lとする。衝突物120の質量をMとし、衝突前の初速をV0とする。
【0024】
衝撃吸収機構100に作用する運動エネルギーをEm0とし、衝撃吸収機構100のひずみエネルギーをEeとし、衝撃吸収機構100のひずみをε=△L/Lとすると、次式(1),(2)が成り立つ。
Em0=1/2×MV02 ・・・(1)
Ee=1/2×Eε2AL ・・・(2)
【0025】
支持部110に作用する運動エネルギーをEm1とすると、エネルギー保存則より次式(3)が成り立つ。
Em1=Em0−Ee ・・・(3)
支持部110に作用する運動エネルギーEm1を減らすためには衝撃吸収機構100で吸収する運動エネルギー、すなわち、ひずみエネルギーEeを増やせばよい。
【0026】
しかし、衝撃吸収機構100の変形時に作用する衝撃応力が大きいと、支持部110に作用する応力も大きくなってしまう。そこで、図6に示した簡易モデルを参照して、衝撃応力の低減について検討する。衝撃応力をσとすると、衝突物120の衝突開始時からの経過時間△tの間に衝撃吸収機構100に与えられた力積Iは次式(4)で表される。
I=−σA△t ・・・(4)
【0027】
衝撃吸収機構100の密度をρとし、応力伝搬速度をCとする。衝突物120と衝撃吸収機構100との反発係数を1とすると、衝撃吸収機構100の区間C△tが初期速度0から△t後に速度V0となる。このときの衝撃吸収機構100の運動量変化△Pは次式(5)で表される。
△P=ρAC△tV0 ・・・(5)
衝撃吸収機構100に与えられた力積Iと衝撃吸収機構100の運動量変化△Pは等しいので、上式(4),(5)式より、次式(6)が導かれる。
σ=−ρCV0 ・・・(6)
【0028】
応力伝搬速度Cは、材料の物性値から次式(7)のように求めることができる。
C=(E/ρ)0.5 ・・・(7)
上式(6),(7)より、次式(8)が導かれる。
σ=−V0(ρE)0.5 ・・・(8)
【0029】
フックの法則より、ひずみεは次式(9)で表される。
ε=−σ/E ・・・(9)
上式(2),(8),(9)より、衝撃吸収機構100で吸収する運動エネルギー(ひずみエネルギー)Eeは、次式(10)で表される。
Ee=1/2×Eε2AL
=EAL/2×(V0ρ0.5/E0.5)2
=ALρV02/2 ・・・(10)
【0030】
以上より、上式(8)で表された衝撃応力σが小さくなるように衝撃吸収機構100を設計することが望ましい。上式(10)で表された衝撃吸収機構100で吸収する運動エネルギー(以下、単に吸収エネルギーと呼ぶ)Eeが大きくなるように、衝撃吸収機構100を設計することが望ましい。そのため、衝撃吸収機構100を次のように設計することが望ましい。
(1) 衝撃吸収機構100の断面積Aを増やしたり長さLを長くする
(2) ヤング率Eの小さい材質を用いる
(3) 密度ρを最適値に調節する
【0031】
この、衝撃吸収機構100についての望ましい設計を本実施の形態の積層板30についてあてはめてみると、次のようになる。上述した(1)については、積層板30を挿入するボルト孔14の大きさに制限があるため、積層板30とボルト15との接触面積を増やすことで、上述した断面積Aを確保して衝撃応力を分散させることが望ましい。
【0032】
上述した(2),(3)については、積層板30に用いる材質に依存する。衝撃応力σの観点から密度ρは小さい値となることが望ましく、吸収エネルギーEeの観点から密度ρは大きい値となることが望ましい。そこで、衝撃応力σをボルト15が破断しない範囲に抑えつつ、密度ρが大きくなるように材質を選定して、吸収エネルギーEeを増やすことが考えられる。すなわち、次式(11)を満たす範囲で密度ρを最大にすることが望ましい。
σ=−V0(ρE)0.5 <(ボルト15の破断応力)/(安全率) ・・・(11)
【0033】
上述した締結構造を採用したターボ分子ポンプでは、次の作用効果を奏する。
(1) 吸気口フランジ13aからボルト15に作用する衝撃力を積層板30で受け止めるように構成した。これにより、簡単な構成でボルト15にかかる剪断応力と、装置側のフランジ16に伝達される運動エネルギーをともに減少させることができるので、ボルト15の破断や装置側の破損を防止できる。
【0034】
(2) 吸気口フランジ13aのボルト孔14に積層板30を配設するように構成した。これにより、吸気口フランジ13aのボルト孔14を長穴に加工し、そのボルト孔14に積層板30を配設するだけでよいので、コスト増が僅かで済み、容易に本発明を適用できる。また、既存のターボ分子ポンプに対しても僅かなコストで本発明を適用できる。
【0035】
(3) 吸気口フランジ13aの厚さ方向に沿って板状の部材が複数積層されるように積層板30を構成した。これにより、単純な構造の積層板30によって、積層板30からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できるので、信頼性が高く、コストも安価で済む。
【0036】
(4) 積層板30に用いる材質を適宜選定することで、吸収エネルギーEeおよび衝撃応力σを制御できるので、積層板30の設計が容易である。また、適用するターボ分子ポンプや真空装置に合わせて積層板30を適宜設計できるので、適用範囲が広い。
【0037】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、吸気口フランジ13aの厚さ方向に沿って板状の部材が複数積層されるように積層板30を構成したが本発明はこれに限定されない。図7は、吸気口フランジ13aを、ボルト孔14の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。40は、上述した積層板30の変形例である積層板である。積層板40では、吸気口フランジ13aの半径方向に沿って板状の部材が複数積層されているが、なお、積層板40では上述した積層板30と同様に、その積層方向はボルト15に作用する衝撃応力の作用方向と略直交する。この積層板40を用いることにより、トルクTによって積層板40とボルト15の軸とが当接した際に、積層板40を構成する板状の部材のそれぞれがボルト15の軸の側面に当接するので、積層板40からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できる。
【0038】
図8は比較例として、標準のフランジ構造を示したものであり、図4(b)における吸気口フランジ13aを、ボルト孔24の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。図4,8に示した標準のフランジ構造では、上述したように剪断応力が境界部分15aに集中してしまう。
【0039】
これに対して、積層板40を用いることで、積層板40からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できるとともに、積層板40の変形により各ボルト孔14の位置誤差が吸収されるので、締結に用いられているボルト15の全てでトルクTを受け止めることができる。したがって、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0040】
(2) 上述の説明では、積層板30,40を構成する板状の部材の積層方向は、ボルト15に作用する衝撃応力の作用方向と略直交する方向であるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図9に示すように、吸気口フランジ13aの円周方向に沿って、すなわち、ボルト15に作用する衝撃応力の作用方向と略一致する方向に板状の部材51,52を複数積層した積層板50を用いてもよい。
【0041】
トルクTによって積層板50の図示右側端面とボルト15の軸とが当接した後、積層板50を構成する板状の部材51,52のそれぞれが変形することによって、積層板50の図示右側端面とボルト15の軸との当接面積が増えるので、積層板50からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できる。また、積層板50の変形により各ボルト孔14の位置誤差が吸収されるので、締結に用いられているボルト15の全てでトルクTを受け止めることができる。したがって、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
さらに、板状の部材51と板状の部材52との材質を変えてもよい。すなわち、異種材料の板を積層させてもよい。たとえば、板状の部材51にヤング率Eが小さい材料Aを用い、板状の部材52に密度ρの高い材料Bを用いることで、板状の部材51によって多くの衝撃応力を低減し、板状の部材52に多くの運動エネルギーを吸収させることができる。積層板50に用いる板状の部材を適宜組み合わせることにより、衝撃応力の低減効果と、運動エネルギーの吸収効果とを適宜調節することができる。
【0043】
(3) 上述の説明では、板状の部材を積層させた積層板30,40,50を用いているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図10に示すように、柱状の部材61を束ねた構造を有する吸収部材60を積層板30,40,50の代わりに用いてもよい。図10(a)は吸収部材60の側面図であり、図10(b)は吸収部材60の平面図であり、図10(c)は吸収部材60の正面図である。衝撃力の作用方向、すなわちトルクTの作用方向は、柱状の部材61の軸線方向と略一致することが望ましい。このような、吸収部材60を用いることで、トルクTによって経時的に変形していくボルト15の軸と、吸収部材60との当接状態が良好となるので、衝撃応力がより分散されることとなる。
【0044】
(4) 上述の説明では、板状の部材の材質を変更することで密度ρを変更しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図11に示す101は、積層板30,40,50を構成する板状の部材の変形例である。この板状の部材101では、空孔部102を複数設けることで、板状の部材101の密度を擬似的に調節している。板状の部材101の材質の密度に板状の部材101の空孔率を乗ずることで、板状の部材101の近似密度が得られる。
【0045】
板状の部材101の空孔率を適宜変更することで、衝撃応力の低減効果と、運動エネルギーの吸収効果とを適宜調節することができ、適用するターボ分子ポンプや真空装置に合わせて積層板30,40,50を適宜設計できる。また、ボルト孔14以外の部位に積層板30,40,50を配設する場合であっても、配設部位毎に最適な特性を有する積層板30,40,50を設計できる。板状の部材101は、板金加工によって得られるので、製造コストが安価である。
【0046】
(5) 上述の説明では、吸気口フランジ13aのボルト孔14に積層板30,40,50を設けるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、装置側のフランジ16に長穴を設けて積層板30,40,50を配設し、吸気口フランジ13aにボルト15を螺合させるように構成してもよい。
【0047】
(6) 上述の説明では、ターボ分子ポンプ1と真空装置とを直接接続しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図12に示すように、ターボ分子ポンプ1やモレキュラドラッグポンプ等の回転式真空ポンプ103を真空チャンバに装着する場合には、ゲートバルブやコントロールバルブ等のバルブを介して固定されることが多い。バルブ101は配管102を介して真空チャンバ100に固定されている。このような構成の場合も、装置側のフランジ16、すなわち真空チャンバ100への衝撃を抑制するために、バルブ101や配管102の各締結部分において上述した説明と同様の締結構造を採用してもよい。すなわち、吸気口フランジ13aのボルト孔14や、配管102のフランジ102a,102bのボルト孔14を上述した説明と同様に長穴に加工して、積層板30,40,50を配設してもよい。これにより、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0048】
(7) 上述の説明では、積層板30,40,50を構成する板状の部材のそれぞれは、単にボルト孔14の内部で積み重ねられているだけであり、隣り合う板状の部材同士は特に固定されていないが、本発明はこれに限定されない。たとえば、吸気口フランジ13aを装置側のフランジ16に固定する際などに板状の部材がバラバラにならないように、板状の部材同士を固定しておいてもよい。このときの固定強度は、上述したトルクTによる積層板30,40,50の変形に際して、それぞれ隣り合う板状の部材の変形に影響がない程度に弱いことが望ましい。吸収部材60についても同様である。
(8) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0049】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、積層部材は積層板30に、ポンプケーシングはケーシング13に、固定側排気手段は固定翼9およびネジステータ11にそれぞれ対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による真空装置の締結構造を採用したターボ分子ポンプの概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)はフランジ部分を示す平面図である。
【図2】吸気口フランジ13aのボルト孔14の近傍を模式的に示した図である。
【図3】積層板30の作用を説明する図である。
【図4】標準のフランジ構造を示した図であり、(a)は衝撃力が作用する前の締結状態を示し、(b)は衝撃力が作用した場合を示す図である。
【図5】衝撃エネルギーの吸収について説明するための簡易モデルを示す図である。
【図6】衝撃応力の低減について検討するための簡易モデルを示す図である。
【図7】変形例を示す図であり、吸気口フランジ13aを、ボルト孔14の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。
【図8】標準のフランジ構造を示す図である。
【図9】変形例を示す図であり、吸気口フランジ13aを、ボルト孔14の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。
【図10】吸収部材60を示す図であり、(a)は吸収部材60の側面図であり、(b)は吸収部材60の平面図であり、(c)は吸収部材60の正面図である。
【図11】変形例における板状の部材101を示す図である。
【図12】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ターボ分子ポンプ 2 ロータ
8 回転翼 9 固定翼
11 ネジステータ 12 円筒部
13 ケーシング 13a 吸気口フランジ
14 ボルト孔 15 ボルト
16 装置側フランジ 30,40,50 積層板
60 吸収部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ分子ポンプやモレキュラドラッグポンプ等の回転式真空ポンプに適した締結構造、および回転式真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
高真空排気に用いられるターボ分子ポンプは、交互に配置された複数段の回転翼と複数段の固定翼とを備えている。各回転翼および固定翼は複数のタービンブレードから成り、回転翼はモータにより回転駆動されるロータに形成されており、固定翼はポンプのベースに固定されている。さらに、上述したタービンブレードに加えて、ドラッグポンプ段を備えたターボ分子ポンプも知られている。ドラッグポンプ段は、ロータ下部に形成された円筒部と、その円筒部と近接して配設されるネジ溝ステータとから成る。
【0003】
ターボ分子ポンプでは、タービンブレードおよび円筒部が形成されたロータは数万rpmで高速回転しており、異常な外乱が作用するとロータとステータ側(例えば、ネジ溝ステータ)とが接触するおそれがあり、その場合にはステータ側に大きな衝撃が加わることになる。また、高速回転するロータには大きな遠心力が常に作用しており、ロータとステータ側が接触した場合や、設計時の想定を越える条件下で連続運転された場合には、ロータが破壊するおそれもある。そのような場合にはさらに大きな衝撃がステータ側に加わり、ポンプケーシングを装置本体に締結しているボルトに大きな剪断力が加わるという問題があった。
【0004】
そのため、ボルト孔を拡開する複数の段が形成された孔とすることにより、剪断力が一カ所に集中するのを防いでボルトの破断を防止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−148388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の技術では、ボルトが段付き孔の側面に当接して塑性変形することにより衝撃力を吸収するような構造となっているが、段付き孔であるために塑性変形による効果が十分に得られていないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 請求項1の発明による締結構造は、第1の部材と第2の部材とをボルトによって締結する締結構造において、ボルトを介して、第1の部材または第2の部材のいずれか一方から他方へ伝達される運動エネルギーを吸収するとともに、ボルトに作用する衝撃応力を緩和する部材であって、積層構造を有する積層部材を備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の締結構造において、第1の部材および第2の部材の少なくともいずれか一方には、ボルトが挿通される穴が設けられ、積層部材は、穴の内周面と、ボルトとの間に配設されることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の締結構造において、積層部材を構成する個々の部材の積層方向は、ボルトに作用する衝撃応力の作用方向と略一致、または略直交することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の締結構造において、積層構造は、積層部材によって吸収する運動エネルギーの値および積層部材によって緩和する衝撃応力の値に影響する物性値が異なる複数の部材を積層した構造であることを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項4に記載の締結構造において、積層構造は、材質が異なることで物性値が異なることを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項4に記載の締結構造において、積層構造は、積層部材を構成する個々の部材の少なくとも一部の部材に穴が設けられたことで物性値が異なることを特徴とする。
(7) 請求項7の発明による回転式真空ポンプは、請求項1〜6のいずれか一項に記載の締結構造によって排気対象装置に対して締結される吸気口フランジ、が形成されたポンプケーシングと、回転側排気手段が設けられてポンプケーシング内で高速回転駆動されるロータと、ポンプケーシング内に設けられて回転側排気手段と共働して排気作用を発生する固定側排気手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
(1) 本発明によれば、積層構造を有する積層部材によって、ボルトを介して第1の部材または第2の部材のいずれか一方から他方へ伝達される運動エネルギーを吸収するとともに、ボルトに作用する衝撃応力を緩和するように構成した。これにより、ボルトの破断や、第1の部材および第2の部材の破損を防止できる。
(2) 請求項7の発明によれば、排気対象装置および回転式真空ポンプの破損を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明による真空装置の締結構造を採用したターボ分子ポンプの概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)はフランジ部分を示す平面図である。なお、平面図はフランジの上半分を示したものである。図1に示したターボ分子ポンプ1は磁気軸受式のポンプであり、ロータ2はベース3に設けられた磁気軸受4a〜4cによって非接触支持されている。4a,4bはラジアル磁気軸受であり、4cはアキシャル磁気軸受である。
【0010】
ベース3には、ロータ2を回転駆動するモータ6、タッチダウンベアリング7a,7bおよびロータ2の浮上位置を検出するためのギャップセンサ5a,5b,5cがそれぞれ設けられている。タッチダウンベアリング7a,7bにはメカニカルベアリングが用いられ、磁気軸受4a〜4cによるロータ2の磁気浮上がオフされたときにロータ2を支持する。
【0011】
ロータ2には、回転軸方向に複数段の回転翼8が形成されている。上下に並んだ回転翼8の間には固定翼9がそれぞれ配設されている。これらの回転翼8と固定翼9とにより、ターボ分子ポンプ1のタービン翼段が構成される。各固定翼9は、スペーサ10によって上下に挟持されるように保持されている。スペーサ10は、固定翼9の保持機能とともに、固定翼9間のギャップを所定間隔に維持する機能を有している。
【0012】
さらに、固定翼9の後段(図示下方)にはドラッグポンプ段を構成するネジステータ11が設けられており、ネジステータ11の内周面はロータ2の円筒部12と所定間隔で対向している。ロータ2およびスペーサ10によって保持された固定翼9は、吸気口フランジ13aが形成されたケーシング13内に納められている。図1(b)に示すように、吸気口フランジ13aには長穴形状のボルト孔14が等間隔で8箇所形成されており、吸気口フランジ13aは8本のボルト15によって装置側のフランジ16に固定される。ボルト孔14には、後述する積層板30が配設されている。なお、吸気口フランジ13aの径の大きさによって、フランジ厚さや使用ボルト寸法およびボルト本数は規格によって定められている。
【0013】
ボルト孔14は、長穴の長手方向が吸気口フランジ13aの円周の接線方向と略一致するように吸気口フランジ13aの周縁近傍に設けられている。ボルト孔14には、ロータ回転方向Rとは反対方向である、図1(b)における図示反時計方向に寄せられた状態で積層板30が配設されている。図2は、吸気口フランジ13aのボルト孔14の近傍を模式的に示したものであり、図1(a)のA−A断面を示す模式図である。なお、図2では、座金の記載を省略している。図2における図示左側は、図1(b)における図示反時計方向となる。ボルト孔14のうち、積層板30が設けられていない空間(図2における図示右側の空間)には、ボルト15が挿通されている。ボルト15は、装置側のフランジ16に設けられた雌ねじ部16aに螺合されている。
【0014】
積層板30は、吸気口フランジ13aの厚さ方向に沿って板状の部材が複数積層された構造を有する。積層板30を構成する板状の部材のそれぞれは、単にボルト孔14の内部で積み重ねられているだけであり、隣り合う板状の部材とは特に固定されていない。
【0015】
図3は積層板30の作用を説明する図であり、図2と同様に図1(a)のA−A断面を示す模式図である。ボルト15は、軸の先端から領域H1の部分が装置側フランジ16の雌ネジ部16aに螺合しており、この領域H1は装置側フランジ16によって拘束されている。一方、装置側フランジ16に螺合していない領域H2は非拘束状態になっている。
【0016】
何らかの原因でロータとステータ側が接触した場合や、ロータが破損した場合には、ベース3やケーシング13に対してロータ回転方向Rに衝撃力が作用する。この衝撃力によって吸気口フランジ13aを回転させるようなトルクTが発生し、吸気口フランジ13aが装置側フランジ16に対して図示右側にずれるように回転移動する。この回転移動により、積層板30の図示右側の端面30aがボルト15の軸に当接する。
【0017】
ベース3やケーシング13に作用する衝撃力は非常に大きいため、積層板30とボルト15の軸とが当接した後も吸気口フランジ13aが右側に移動して、積層板30を図示右方向に圧縮して変形させる。この積層板30の変形により、ベース3やケーシング13に与えられた衝撃エネルギーが吸収されるとともに、ボルト15へ伝達される衝撃応力が緩和される。
【0018】
積層板30を介して衝撃力が伝達されると、ボルト15の軸は右側に曲げられるように変形する。そのため、領域H2におけるボルト15の軸とボルト孔14の図示左側端面との距離は、図示上下方向で異なることとなる。しかし、積層板30を構成する板状の部材のそれぞれが、ボルト15の軸の傾きに合わせて図示右方向に圧縮されて変形するため、積層板30は、積層板30の図示右側端面の広い範囲でボルト15の軸と当接することになる。これにより、ボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積が広がる。
【0019】
このように、本実施の形態では、ボルト15に作用する衝撃応力の作用方向とは略直交する方向に板状の部材が積層されている積層板30がボルト孔14に配設されている。これにより、ターボ分子ポンプに異常状態が発生してベース3やケーシング13に衝撃力が作用しても、積層板30によって、ボルト15にかかる剪断応力と、装置側のフランジ16に伝達される運動エネルギーをともに減少させることができる。その結果、ボルト15の破断、装置側の変形や破損を防止できる。
【0020】
図4は比較例として、標準のフランジ構造を示したものであり、(a)は衝撃力が作用する前の締結状態を示し、(b)は衝撃力が作用した場合を示す図である。吸気口フランジ13aにはボルト孔24が設けられている。ボルト15の軸は、領域H1の部分は装置側フランジ16に拘束されており、領域H2は非拘束状態となっている。
【0021】
衝撃力が作用して吸気口フランジ13aを回転させるようなトルクTが発生し、吸気口フランジ13aが装置側フランジ16に対して図示右側にずれるように回転移動する。この回転移動により、図4(b)に示すようにボルト15の領域H2の部分がボルト孔24の側面に当接する。その結果、領域H2の部分は吸気口フランジ13aによって拘束状態となり、剪断応力が領域H1と領域H2との境界部分15aに集中して作用することになる。吸気口フランジ13aは複数のボルト15によって装置側フランジ16に固定されているが、各ボルト孔24の位置誤差により図4(b)のような状態になるのは各ボルト15によって異なる。そのため、最初に図4(b)のような状態となったボルト15のみに剪断応力が集中して発生し、瞬時に破断してしまうという状態が生じることになる。
【0022】
これに対して、本実施の形態では、積層板30が変形することで各ボルト孔14の位置誤差が吸収されるので、締結に用いられているボルト15の全てでトルクTを受け止めることができる。したがって、締結に用いられている全てのボルト15の強度を有効に活用することができ、ボルト15の破断を防止することができる。
【0023】
積層板30による衝撃エネルギーの吸収と衝撃応力の軽減について、以下に説明する。図5に示した簡易モデルを参照して、衝撃エネルギーの吸収について説明する。図5において、100は衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収機構であり、110は、衝撃吸収機構100を支持する支持部であり、120は、衝撃吸収機構100に衝突する衝突物である。衝撃吸収機構100の衝撃エネルギーが作用する方向の長さをLとし、ヤング率をEとし、衝撃エネルギーが作用する方向と垂直な断面の面積をAとし、衝突物120の衝突による変形量を△Lとする。衝突物120の質量をMとし、衝突前の初速をV0とする。
【0024】
衝撃吸収機構100に作用する運動エネルギーをEm0とし、衝撃吸収機構100のひずみエネルギーをEeとし、衝撃吸収機構100のひずみをε=△L/Lとすると、次式(1),(2)が成り立つ。
Em0=1/2×MV02 ・・・(1)
Ee=1/2×Eε2AL ・・・(2)
【0025】
支持部110に作用する運動エネルギーをEm1とすると、エネルギー保存則より次式(3)が成り立つ。
Em1=Em0−Ee ・・・(3)
支持部110に作用する運動エネルギーEm1を減らすためには衝撃吸収機構100で吸収する運動エネルギー、すなわち、ひずみエネルギーEeを増やせばよい。
【0026】
しかし、衝撃吸収機構100の変形時に作用する衝撃応力が大きいと、支持部110に作用する応力も大きくなってしまう。そこで、図6に示した簡易モデルを参照して、衝撃応力の低減について検討する。衝撃応力をσとすると、衝突物120の衝突開始時からの経過時間△tの間に衝撃吸収機構100に与えられた力積Iは次式(4)で表される。
I=−σA△t ・・・(4)
【0027】
衝撃吸収機構100の密度をρとし、応力伝搬速度をCとする。衝突物120と衝撃吸収機構100との反発係数を1とすると、衝撃吸収機構100の区間C△tが初期速度0から△t後に速度V0となる。このときの衝撃吸収機構100の運動量変化△Pは次式(5)で表される。
△P=ρAC△tV0 ・・・(5)
衝撃吸収機構100に与えられた力積Iと衝撃吸収機構100の運動量変化△Pは等しいので、上式(4),(5)式より、次式(6)が導かれる。
σ=−ρCV0 ・・・(6)
【0028】
応力伝搬速度Cは、材料の物性値から次式(7)のように求めることができる。
C=(E/ρ)0.5 ・・・(7)
上式(6),(7)より、次式(8)が導かれる。
σ=−V0(ρE)0.5 ・・・(8)
【0029】
フックの法則より、ひずみεは次式(9)で表される。
ε=−σ/E ・・・(9)
上式(2),(8),(9)より、衝撃吸収機構100で吸収する運動エネルギー(ひずみエネルギー)Eeは、次式(10)で表される。
Ee=1/2×Eε2AL
=EAL/2×(V0ρ0.5/E0.5)2
=ALρV02/2 ・・・(10)
【0030】
以上より、上式(8)で表された衝撃応力σが小さくなるように衝撃吸収機構100を設計することが望ましい。上式(10)で表された衝撃吸収機構100で吸収する運動エネルギー(以下、単に吸収エネルギーと呼ぶ)Eeが大きくなるように、衝撃吸収機構100を設計することが望ましい。そのため、衝撃吸収機構100を次のように設計することが望ましい。
(1) 衝撃吸収機構100の断面積Aを増やしたり長さLを長くする
(2) ヤング率Eの小さい材質を用いる
(3) 密度ρを最適値に調節する
【0031】
この、衝撃吸収機構100についての望ましい設計を本実施の形態の積層板30についてあてはめてみると、次のようになる。上述した(1)については、積層板30を挿入するボルト孔14の大きさに制限があるため、積層板30とボルト15との接触面積を増やすことで、上述した断面積Aを確保して衝撃応力を分散させることが望ましい。
【0032】
上述した(2),(3)については、積層板30に用いる材質に依存する。衝撃応力σの観点から密度ρは小さい値となることが望ましく、吸収エネルギーEeの観点から密度ρは大きい値となることが望ましい。そこで、衝撃応力σをボルト15が破断しない範囲に抑えつつ、密度ρが大きくなるように材質を選定して、吸収エネルギーEeを増やすことが考えられる。すなわち、次式(11)を満たす範囲で密度ρを最大にすることが望ましい。
σ=−V0(ρE)0.5 <(ボルト15の破断応力)/(安全率) ・・・(11)
【0033】
上述した締結構造を採用したターボ分子ポンプでは、次の作用効果を奏する。
(1) 吸気口フランジ13aからボルト15に作用する衝撃力を積層板30で受け止めるように構成した。これにより、簡単な構成でボルト15にかかる剪断応力と、装置側のフランジ16に伝達される運動エネルギーをともに減少させることができるので、ボルト15の破断や装置側の破損を防止できる。
【0034】
(2) 吸気口フランジ13aのボルト孔14に積層板30を配設するように構成した。これにより、吸気口フランジ13aのボルト孔14を長穴に加工し、そのボルト孔14に積層板30を配設するだけでよいので、コスト増が僅かで済み、容易に本発明を適用できる。また、既存のターボ分子ポンプに対しても僅かなコストで本発明を適用できる。
【0035】
(3) 吸気口フランジ13aの厚さ方向に沿って板状の部材が複数積層されるように積層板30を構成した。これにより、単純な構造の積層板30によって、積層板30からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できるので、信頼性が高く、コストも安価で済む。
【0036】
(4) 積層板30に用いる材質を適宜選定することで、吸収エネルギーEeおよび衝撃応力σを制御できるので、積層板30の設計が容易である。また、適用するターボ分子ポンプや真空装置に合わせて積層板30を適宜設計できるので、適用範囲が広い。
【0037】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、吸気口フランジ13aの厚さ方向に沿って板状の部材が複数積層されるように積層板30を構成したが本発明はこれに限定されない。図7は、吸気口フランジ13aを、ボルト孔14の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。40は、上述した積層板30の変形例である積層板である。積層板40では、吸気口フランジ13aの半径方向に沿って板状の部材が複数積層されているが、なお、積層板40では上述した積層板30と同様に、その積層方向はボルト15に作用する衝撃応力の作用方向と略直交する。この積層板40を用いることにより、トルクTによって積層板40とボルト15の軸とが当接した際に、積層板40を構成する板状の部材のそれぞれがボルト15の軸の側面に当接するので、積層板40からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できる。
【0038】
図8は比較例として、標準のフランジ構造を示したものであり、図4(b)における吸気口フランジ13aを、ボルト孔24の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。図4,8に示した標準のフランジ構造では、上述したように剪断応力が境界部分15aに集中してしまう。
【0039】
これに対して、積層板40を用いることで、積層板40からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できるとともに、積層板40の変形により各ボルト孔14の位置誤差が吸収されるので、締結に用いられているボルト15の全てでトルクTを受け止めることができる。したがって、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0040】
(2) 上述の説明では、積層板30,40を構成する板状の部材の積層方向は、ボルト15に作用する衝撃応力の作用方向と略直交する方向であるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図9に示すように、吸気口フランジ13aの円周方向に沿って、すなわち、ボルト15に作用する衝撃応力の作用方向と略一致する方向に板状の部材51,52を複数積層した積層板50を用いてもよい。
【0041】
トルクTによって積層板50の図示右側端面とボルト15の軸とが当接した後、積層板50を構成する板状の部材51,52のそれぞれが変形することによって、積層板50の図示右側端面とボルト15の軸との当接面積が増えるので、積層板50からボルト15へ伝達される衝撃応力の作用面積を確保できる。また、積層板50の変形により各ボルト孔14の位置誤差が吸収されるので、締結に用いられているボルト15の全てでトルクTを受け止めることができる。したがって、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
さらに、板状の部材51と板状の部材52との材質を変えてもよい。すなわち、異種材料の板を積層させてもよい。たとえば、板状の部材51にヤング率Eが小さい材料Aを用い、板状の部材52に密度ρの高い材料Bを用いることで、板状の部材51によって多くの衝撃応力を低減し、板状の部材52に多くの運動エネルギーを吸収させることができる。積層板50に用いる板状の部材を適宜組み合わせることにより、衝撃応力の低減効果と、運動エネルギーの吸収効果とを適宜調節することができる。
【0043】
(3) 上述の説明では、板状の部材を積層させた積層板30,40,50を用いているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図10に示すように、柱状の部材61を束ねた構造を有する吸収部材60を積層板30,40,50の代わりに用いてもよい。図10(a)は吸収部材60の側面図であり、図10(b)は吸収部材60の平面図であり、図10(c)は吸収部材60の正面図である。衝撃力の作用方向、すなわちトルクTの作用方向は、柱状の部材61の軸線方向と略一致することが望ましい。このような、吸収部材60を用いることで、トルクTによって経時的に変形していくボルト15の軸と、吸収部材60との当接状態が良好となるので、衝撃応力がより分散されることとなる。
【0044】
(4) 上述の説明では、板状の部材の材質を変更することで密度ρを変更しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図11に示す101は、積層板30,40,50を構成する板状の部材の変形例である。この板状の部材101では、空孔部102を複数設けることで、板状の部材101の密度を擬似的に調節している。板状の部材101の材質の密度に板状の部材101の空孔率を乗ずることで、板状の部材101の近似密度が得られる。
【0045】
板状の部材101の空孔率を適宜変更することで、衝撃応力の低減効果と、運動エネルギーの吸収効果とを適宜調節することができ、適用するターボ分子ポンプや真空装置に合わせて積層板30,40,50を適宜設計できる。また、ボルト孔14以外の部位に積層板30,40,50を配設する場合であっても、配設部位毎に最適な特性を有する積層板30,40,50を設計できる。板状の部材101は、板金加工によって得られるので、製造コストが安価である。
【0046】
(5) 上述の説明では、吸気口フランジ13aのボルト孔14に積層板30,40,50を設けるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、装置側のフランジ16に長穴を設けて積層板30,40,50を配設し、吸気口フランジ13aにボルト15を螺合させるように構成してもよい。
【0047】
(6) 上述の説明では、ターボ分子ポンプ1と真空装置とを直接接続しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図12に示すように、ターボ分子ポンプ1やモレキュラドラッグポンプ等の回転式真空ポンプ103を真空チャンバに装着する場合には、ゲートバルブやコントロールバルブ等のバルブを介して固定されることが多い。バルブ101は配管102を介して真空チャンバ100に固定されている。このような構成の場合も、装置側のフランジ16、すなわち真空チャンバ100への衝撃を抑制するために、バルブ101や配管102の各締結部分において上述した説明と同様の締結構造を採用してもよい。すなわち、吸気口フランジ13aのボルト孔14や、配管102のフランジ102a,102bのボルト孔14を上述した説明と同様に長穴に加工して、積層板30,40,50を配設してもよい。これにより、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0048】
(7) 上述の説明では、積層板30,40,50を構成する板状の部材のそれぞれは、単にボルト孔14の内部で積み重ねられているだけであり、隣り合う板状の部材同士は特に固定されていないが、本発明はこれに限定されない。たとえば、吸気口フランジ13aを装置側のフランジ16に固定する際などに板状の部材がバラバラにならないように、板状の部材同士を固定しておいてもよい。このときの固定強度は、上述したトルクTによる積層板30,40,50の変形に際して、それぞれ隣り合う板状の部材の変形に影響がない程度に弱いことが望ましい。吸収部材60についても同様である。
(8) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0049】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、積層部材は積層板30に、ポンプケーシングはケーシング13に、固定側排気手段は固定翼9およびネジステータ11にそれぞれ対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による真空装置の締結構造を採用したターボ分子ポンプの概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)はフランジ部分を示す平面図である。
【図2】吸気口フランジ13aのボルト孔14の近傍を模式的に示した図である。
【図3】積層板30の作用を説明する図である。
【図4】標準のフランジ構造を示した図であり、(a)は衝撃力が作用する前の締結状態を示し、(b)は衝撃力が作用した場合を示す図である。
【図5】衝撃エネルギーの吸収について説明するための簡易モデルを示す図である。
【図6】衝撃応力の低減について検討するための簡易モデルを示す図である。
【図7】変形例を示す図であり、吸気口フランジ13aを、ボルト孔14の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。
【図8】標準のフランジ構造を示す図である。
【図9】変形例を示す図であり、吸気口フランジ13aを、ボルト孔14の近傍でボルト15の軸線方向に対して垂直に切断した際の断面図である。
【図10】吸収部材60を示す図であり、(a)は吸収部材60の側面図であり、(b)は吸収部材60の平面図であり、(c)は吸収部材60の正面図である。
【図11】変形例における板状の部材101を示す図である。
【図12】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ターボ分子ポンプ 2 ロータ
8 回転翼 9 固定翼
11 ネジステータ 12 円筒部
13 ケーシング 13a 吸気口フランジ
14 ボルト孔 15 ボルト
16 装置側フランジ 30,40,50 積層板
60 吸収部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と第2の部材とをボルトによって締結する締結構造において、
前記ボルトを介して、前記第1の部材または前記第2の部材のいずれか一方から他方へ伝達される運動エネルギーを吸収するとともに、前記ボルトに作用する衝撃応力を緩和する部材であって、積層構造を有する積層部材を備えることを特徴とする締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の締結構造において、
前記第1の部材および前記第2の部材の少なくともいずれか一方には、前記ボルトが挿通される穴が設けられ、
前記積層部材は、前記穴の内周面と、前記ボルトとの間に配設されることを特徴とする締結構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の締結構造において、
前記積層部材を構成する個々の部材の積層方向は、前記ボルトに作用する衝撃応力の作用方向と略一致、または略直交することを特徴とする締結構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の締結構造において、
前記積層構造は、前記積層部材によって吸収する前記運動エネルギーの値および前記積層部材によって緩和する前記衝撃応力の値に影響する物性値が異なる複数の部材を積層した構造であることを特徴とする締結構造。
【請求項5】
請求項4に記載の締結構造において、
前記積層構造は、材質が異なることで前記物性値が異なることを特徴とする締結構造。
【請求項6】
請求項4に記載の締結構造において、
前記積層構造は、前記積層部材を構成する個々の部材の少なくとも一部の部材に穴が設けられたことで前記物性値が異なることを特徴とする締結構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の締結構造によって排気対象装置に対して締結される吸気口フランジ、が形成されたポンプケーシングと、
回転側排気手段が設けられて前記ポンプケーシング内で高速回転駆動されるロータと、
前記ポンプケーシング内に設けられて前記回転側排気手段と共働して排気作用を発生する固定側排気手段とを備えることを特徴とする回転式真空ポンプ。
【請求項1】
第1の部材と第2の部材とをボルトによって締結する締結構造において、
前記ボルトを介して、前記第1の部材または前記第2の部材のいずれか一方から他方へ伝達される運動エネルギーを吸収するとともに、前記ボルトに作用する衝撃応力を緩和する部材であって、積層構造を有する積層部材を備えることを特徴とする締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の締結構造において、
前記第1の部材および前記第2の部材の少なくともいずれか一方には、前記ボルトが挿通される穴が設けられ、
前記積層部材は、前記穴の内周面と、前記ボルトとの間に配設されることを特徴とする締結構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の締結構造において、
前記積層部材を構成する個々の部材の積層方向は、前記ボルトに作用する衝撃応力の作用方向と略一致、または略直交することを特徴とする締結構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の締結構造において、
前記積層構造は、前記積層部材によって吸収する前記運動エネルギーの値および前記積層部材によって緩和する前記衝撃応力の値に影響する物性値が異なる複数の部材を積層した構造であることを特徴とする締結構造。
【請求項5】
請求項4に記載の締結構造において、
前記積層構造は、材質が異なることで前記物性値が異なることを特徴とする締結構造。
【請求項6】
請求項4に記載の締結構造において、
前記積層構造は、前記積層部材を構成する個々の部材の少なくとも一部の部材に穴が設けられたことで前記物性値が異なることを特徴とする締結構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の締結構造によって排気対象装置に対して締結される吸気口フランジ、が形成されたポンプケーシングと、
回転側排気手段が設けられて前記ポンプケーシング内で高速回転駆動されるロータと、
前記ポンプケーシング内に設けられて前記回転側排気手段と共働して排気作用を発生する固定側排気手段とを備えることを特徴とする回転式真空ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−278163(P2007−278163A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105023(P2006−105023)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]