説明

編地

【課題】着用時快適で、かつ発汗時にも、べとつき感や、蒸れ感のない編地を提供する。
【解決手段】吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維によるウェルトループ、および/またはタックループが、すくなくとも2ループ連続して形成されている部分を有している。編地中には、吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維を10%以上含有していることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水時に伸長する繊維を含有する編地に関し、より詳細には、着用発汗時に吸水伸長する、人体に快適な編地、及び該編地を用いたスポーツ衣料等の衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の衣服は、スポーツなどの運動により発汗した際には布帛が吸汗し、肌と布帛が密着して、いわゆるべとつき感や蒸れ感がある。これを防止するために種々の布帛が開発されているが、布帛構造のみでは吸汗時の快適性に限界があり、これを解消するために使用する繊維の検討が進められている。例えば、吸汗時に自己伸長する繊維を使用して布帛に凹凸をつける方法(特許文献1)や、ニットループが吸水時に大きくなり、通気性が向上する生地が得られる繊維(特許文献2)が提案されているが、これらに使用されている繊維は吸湿性がなく、身体の不感蒸泄による水分は吸収しないため不快であり、さらに、発汗時にもべとつき感や、蒸れ感が残り、不快感の減少は僅かであった。また、セルロース系繊維を使用して布帛製造すれば、吸湿性がよく、通常の着用時では快適であることが知られているが、運動などによる発汗時には吸汗量が不足して、べとつき感や蒸れ感を覚える。以上のように、着用時、発汗時共に快適となる衣服は現在の所、見当たらない。
【特許文献1】特開2005−36374公報
【特許文献2】特開2005−23431公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、着用時快適で、かつ発汗時にもべとつき感や蒸れ感のない編地及び該編地を用いて製造された衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するため、種々の編地について着用テストなどを含み鋭意検討した結果、吸汗時に自己伸長する画期的なセルロース系繊維を使用し、特定の範囲のループ構造をとった編地を用いることにより、上記課題が達成されることを見出した。
【0005】
本願で特許請求される発明は、下記のとおりである。
(1)吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維によるウェルトループおよび/またはタックループが、少なくとも2ループ連続して形成されている部分を有していることを特徴とする編地。
(2)前記セルロース繊維を10%以上含有していることを特徴とする(1)記載の編地。
(3)(1)または(2)記載の編地を用いて製造された衣服。
(4)セルロース繊維を20g/L以上のアルカリ水溶液中に、20℃以上で、5分以上浸漬処理して得られた、吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維を含む糸条を、ウェルトループおよび/またはタックループが、少なくとも2ループ連続して形成される部分を含むように編成することを特徴とする編地の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、上記セルロース系繊維による特殊なループ構造を有することにより、着用時快適で、発汗時にもべとつき感や、蒸れ感のない編地が得られ、この編地をスポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服に適用することにより、快適な着用感が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いるセルロース繊維は、キュプラ、レーヨン、竹繊維、綿、精製セルロースなどがあるが、特に好ましくはキュプラ、レーヨン等の再生セルロースである。また、編地とするためには、これらの長繊維、短繊維(紡績糸)を使用し、長繊維では11dt(デシテックス:以下、同じ記号を使用)〜400dt、短繊維では160S(綿番手:以下、同じ記号)〜10S、またこれらの撚糸した双糸、3子糸、さらに、引き揃えて編成、織布とすることができ、それぞれ組織にあった太さとして使用できる。長繊維では好ましくは40dtから170dt、短繊維では好ましくは30S〜120S程度が扱いやすい。
【0008】
本発明では、セルロース繊維の吸水伸長率が3%以上であり、該セルロース繊維によるウェルトループ、および/またはタックループが、すくなくとも2ループ連続して形成されている部分を有していることが必要であり、また吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維は10%以上含有していることが好ましい。本発明の編地を使用して衣服の製造を行えば、特に運動などの発汗時に快適な衣服となるが、吸水伸長率が3%未満のセルロース繊維の使用では、運動などの発汗時の快適性が減少する。
【0009】
吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維を得るには、通常のセルロース繊維をアルカリ水溶液中で処理すればよい。セルロース繊維をアルカリ処理することは従来より知られており、例えばシルケット加工が最も一般的なものであるが、本発明では、従来の常識を打ち破り、過酷なアルカリ処理を行なうことにより吸水時に3%以上伸長するセルロース繊維の製造に成功した。具体的には、3%以上の吸水伸長率を有するセルロース繊維は、例えば水酸化ナトリウム20g/L(リットル)以上、の水溶液中に20℃以上で、5分以上浸漬処理することにより得られる。吸水伸長率の制御はこれら条件のコントロールにより可能である。例えばアルカリ濃度、温度、時間など、処理条件が弱いほど吸水伸長率は小さくなるが、処理条件を強くしすぎても、ある限度以上、例えば20%の吸水伸長率を有するセルロース繊維は得られない。アルカリ処理剤としては公知のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の使用が可能である。
【0010】
アルカリ濃度としては20〜200g/L水溶液相当がより好ましく、処理温度、時間はそれぞれ20〜110℃で、5〜120分間処理することがより好ましい。また、アルカリ処理については、セルロース繊維の状態で行い、製編後に染色加工を行う方法、あるいは、アルカリ処理前のセルロース繊維を使用して編地製造後にアルカリ処理を行い、引き続き染色加工を行う方法など任意であるが、編地製造後に行うほうが容易である。
【0011】
本発明において、吸水伸長率の測定法は、20℃、65%RH下の環境で、0.1g/dt(デシテックス)の荷重下で繊維長を測定し(A)、次いで、繊維を水に浸して1分後の長さを0.1g/dtの荷重下で測定し(B)、下記式(1)により吸水伸長率を求める。また、編地中の繊維の吸水伸長率測定は、布帛中より繊維を抜き出して同条件で測定する。さらに、インターレース加工等による複合糸の場合でも、複合糸中より繊維を抜き出して同条件で測定する。
【0012】
吸水伸長率(%)=((B−A)/A)×100 (1)
本発明の編地では、吸放湿性に特に優れたセルロース繊維を使用していることが着用快適性に大きく寄与し、これまで提案されている特許文献1及び2に示されるような布帛と、着用快適性に大きな差を生じる。すなわち、本発明の編地の大きな特徴である吸水伸長する特殊なセルロース繊維を用いることにより、吸水時(衣服着用場面においては吸汗時)にセルロース繊維が伸長し、放湿性を向上させることが可能で、セルロース繊維使用の効果をより高めることができる。
【0013】
また本発明の編地は、吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維によるウェルトループ、および/またはタックループが、すくなくとも2ループ連続して形成されている部分を有している必要がある。すなわち、該セルロース繊維によるウェルトループ、および/またはタックループが、コース方向、もしくはウェール方向、または両方向共に、少なくとも2ループ連続して形成されている部分を有していることが必要である。
【0014】
ここで、タックループ、ウェルトループとは、編地を構成するループの3要素である、ニットループ、タックループ、ウェルトループに含まれるループであり、すなわち、タックループとは針に糸は供給するが、ノックオーバーしない組織のことをいい、ウェルトループとは、針に糸を供給しない組織のことをいう。このタックループ、ウェルトループは編地中をほぼ直線状、または若干屈曲して存在しており、ニットループのように大きく湾曲し、ニットループ下部に大きな屈曲点を持っているループ構造に比べ、吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維が吸水伸長した場合、湾曲が少なく屈曲点も無いことから伸び易いループ構造となっている。従ってこれらタックループ、またはウェルトループが編地の組織を構成することにより、吸水時には編地密度、または充填率が低下して蒸れ感の無い編地とすることが可能となり、特に、ウェルトループ、および/またはタックループが、コース方向、もしくはウェール方向、または両方向共に、少なくとも2ループ連続して形成されている部分を有していることにより、発汗時の蒸れ感減少効果が一層大きくなる。
【0015】
この際、タックループとウェルトループの組み合わせは任意とすることが出来、タックループの連続、もしくはウェルトループの連続、または、タックループとウェルトループの組み合わさった連続ループとすることができる。例えば、コース方向にウェルトループ、タックループとすることや、ウェール方向に、ウェルトループ、ウェルトループと2ウェール続ける、また、ウェール方向に2ウェールウェルトループを作り、そのコース方向にタックループを2ウェール続けるなど、任意な方法を行うことができる。また、ダブル丸編機、シングル丸編機の組織において、ウェール方向にある長さニットループが連続する、いわゆる天竺組織の場合、天竺部分を2給糸に分けて編成し、2給糸で1コース完成する組織として、これを2回以上連続して行なってもよい。なお、タックループ、あるいはウェルトループが連続していない場合は、本発明の効果は小さくなる。
【0016】
本発明による編地では、吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維を10%以上含有することが好ましい。吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維の混率が10%未満の場合、吸水時にセルロース繊維が伸長しても蒸れ感を減少する効果は減少する。より好ましい混率は15〜100%である。セルロース繊維100%の編地が本発明の効果を最も発揮することができるが、風合い、強度面等により、綿、ポリエステル、ナイロンなどと混合すれば、各種衣料に展開可能となる。
【0017】
吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維と、非吸水伸長繊維とを混合する方法については、非吸水伸長繊維と吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維とを編機上で引き揃え等により交編する方法、あるいは、吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維と非吸水伸長繊維と交撚、複合仮撚、インターレースなどの複合糸として編地製造することが可能である。なお、複合糸とする場合には複合方法によっては吸水時に複合糸の伸長が顕著に得られない場合があり、これを避けるためセルロース繊維より非吸水伸長繊維の送り量(フィード率)を同等以上として設計し、また、複合糸において吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維の混率については、編地設計により得られる効果を加味して任意に設定可能であるが、複合糸としても吸水伸長率が3%以上有しているのが好ましい。
【0018】
なお、非吸水伸長繊維とは、本発明による吸水伸長率測定法で測定した結果、吸水伸長率が3%未満の繊維をいい、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、セルロース系繊維、アセテート、綿、ウールなど、任意の繊維の長繊維、あるいは短繊維であり、これらの断面形状も任意で、丸断面の他、W型断面、三角断面などの異型糸である。
【0019】
本発明の編地の製造は、シングル丸編機、ダブル丸編機、などの緯編機により可能で、天竺、鹿の子、スムース、フライス等の組織を利用したタックループ、ウェルトループを含む組織が任意に使用でき、吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維のみで編成することや、非吸水伸長繊維と交互に配置したり、数本置きに配置して、吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維の混率を任意に選定することができる。
【0020】
本発明の編地の染色加工方法は、通常の染色仕上げ工程が使用でき、使用する染色機もセルロース繊維を繊維状態でアルカリ処理する場合はチーズ染色機や綛染色機の使用、アルカリ処理を編地状態としての加工は液流染色機、ウインス染色機など任意な染色機の使用ができる。アルカリ処理後の編地は、繊維素材に応じた染色条件による染色を行うのが好ましい。また、編地状態での加工において、仕上げセットでは、仕上げセット後に吸水伸長率が3%以上のセルロース繊維が皺になったり、突っ張ったりしないように仕上げればよい。また、仕上げ剤として、吸水剤の付与を行うとより吸汗性が向上し好ましい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明を詳述する。無論、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)着用快適性
実施例で得られた編地でTシャツを縫製し、発汗するまで運動を行い、発汗時の快適性をモニター10人による評価を行った。
下記3以上であれば衣服として使用可能であり、数値が高いほど快適である。
5 : 発汗しても蒸れ感なく、極めて快適。
4 : 発汗時、蒸れ感を感じず快適。
3 : 発汗時、やや蒸れ感を感じるが快適である。
2 : 発汗時、衣服内が蒸れる。
1 : 発汗時、衣服内が蒸れてかなり不快である。
【0022】
[実施例1]
28ゲージのシングル丸編機を使用して図1の組織を編成するに際し、1に非吸水繊維、2にセルロース繊維となるように配置し、1を3コース編成後、2を3コース編成する方法で編成した。この編成において、非吸水繊維として167dt/fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を、及びセルロース繊維としてキュプラ繊維84dt/45fを用いて編成した。この場合、使用したキュプラ繊維はアルカリ未処理の通常のキュプラ繊維である。
【0023】
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃、20分精練し、排水後、水酸化ナトリウムを50g/Lの濃度で30℃、20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でポリエステル側のみ染色を行った。染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長し、170℃、60秒の条件で仕上げセットを行った。なお、液流染色中に染色と同時に吸水剤を付与した。
得られた編地のキュプラ繊維を抜き出し、吸水伸長率を測定したところ5.9%であった。
得られた編地を使用してTシャツを縫製して着用試験を行った。着用結果を表1に示す。
【0024】
[実施例2〜8、比較例1〜2]
実施例1において、アルカリ処理条件、及びセルロース繊維の種類を変更し、吸水伸長率の異なるセルロース繊維を製造した。また、ポリエステル加工糸の太さ、及び編成時の糸配列を変えてセルロース繊維の混率を変え、さらに、セルロース繊維のウェルトループ連続数を変更して編地を試作し、これらを使用した編地の着用快適性を評価した。結果を表1に示す。なお、比較例3は、タックループ、ウェルトループ共に有しない天竺組織の例である。
【0025】
[実施例9]
28ゲージのシングル丸編機を使用して図2の組織を編成するに際し、1に非吸水繊維、2にセルロース繊維を含有する複合糸となるよう配置し、1を3コース編成後、2を3コース繰り返す方法で編成した。この編成において、非吸水繊維として167dt/72fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を、及びセルロース繊維を含有する複合糸として、アルカリ未処理の通常のキュプラ繊維56dt/30fと、ポリエステルW型断面糸56dt/30fを用いて、180℃の条件で同時仮撚りしたものを使用して編成した。
【0026】
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃、20分精練し排水後、50g/Lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液中で40℃、20分間アルカリ処理した。次いで、ポリエステル繊維、キュプラ繊維ともに染色を行った。染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃、60秒の条件で仕上げセットを行った。なお、液流染色中に染色と同時に吸水剤を付与した。
得られた編地の複合糸中から、キュプラ繊維を抜き出し、吸水伸長率を測定したところ5.8%であった。
得られた編地を使用してTシャツを縫製して着用試験を行った。着用結果を表1に示す。
【0027】
[実施例10]
22ゲージのダブル丸編機を使用して図3の組織を編成するに際し、1、2に非吸水繊維、3、4にセルロース繊維を含有する複合糸となるよう配置し、1〜2を4回繰り返して編成後、3〜4を4回繰り返す方法で編成した。この編成において、非吸水繊維として167dt/72fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を、セルロース繊維を含有する複合糸として、アルカリ未処理の通常のキュプラ繊維100dt/60fと、ポリエステルW型断面糸56dt/30fを用いて、180℃の条件で同時仮撚りしたものを用い、これらを編成した。編成した生機を液流染色機に投入し、80℃、20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを60g/Lの濃度で30℃、20分間アルカリ処理した。次いで、ポリエステル繊維とキュプラ繊維の両方染色を行った。染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃、60秒の条件で仕上げセットを行った。なお、液流染色中に染色と同時に吸水剤を付与した。
得られた編地のキュプラ繊維を抜き出し、吸水伸長率を測定したところ6.2%であった。
得られた編地を使用してTシャツを縫製して着用試験を行った。着用結果を表1に示す。
【0028】
[実施例11]
22ゲージのダブル丸編機を使用して図4の組織を編成するに際し、1に非吸水繊維、2、3にセルロース繊維を含有する複合糸となるよう配置し、1〜2を4回繰り返し編成後、1、3を4回繰り返し編成し、これらを繰り返す方法で編地とした。この編成において、非吸水繊維として84dt/72fのポリエステル繊維の2ヒーター仮撚り加工糸を、セルロース繊維を含有する複合糸として、アルカリ未処理の通常のキュプラ繊維56dt/30fと、ポリエステルW型断面糸56dt/30fを用いて、180℃の条件で同時仮撚りしたものを使用して編成した。編成した生機を液流染色機に投入し、80℃、20分精練し排水後、水酸化ナトリウムを50g/Lの濃度で30℃、20分間アルカリ処理した。次いで、130℃でエステル側のみ染色を行った。染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長して170℃60秒の条件で仕上げセットを行った。なお、液流染色内で染色と同時に吸水剤を付与した。
得られた編地のキュプラ繊維を抜き出し、吸水伸長率を測定したところ5.9%であった。
得られた編地を使用してTシャツを縫製して着用試験を行った。着用結果を表1に示す。
【0029】
[実施例12]
28ゲージのシングル丸編機を使用して図5の組織を編成するに際し、アルカリ未処理の通常のレーヨン繊維67dt/45fと、ナイロン78dt/68fを用いて、170℃の条件で同時仮撚りし、得られた複合糸のみを使用して編成した。この場合、使用したキュプラ繊維はアルカリ未処理の通常のキュプラ繊維である。
【0030】
編成した生機を液流染色機に投入し、80℃、20分精練し排水後、水酸化ナトリウム濃度50g/Lの水溶液中で30℃、20分間アルカリ処理した。次いで、ナイロン繊維、キュプラ繊維の両側を染色した。染色上がりの編地は凹凸状となっているため、ショートループドライヤーを使用して乾燥後、ピンテンターにて編地のしわが取れる程度に伸長し、170℃、60秒の条件で仕上げセットを行った。なお、液流染色中に染色と同時に吸水剤を付与した。
得られた編地のレーヨン繊維を抜き出し、吸水伸長率を測定したところ8.5%であった。
得られた編地を使用してTシャツを縫製して着用試験を行った。着用結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明による編地を使用して衣服を縫製すれば、着用時快適で、かつ、発汗時にもべとつき感や蒸れ感のない衣服の製造が可能となる。本発明の編地は、スポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服に有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の編地における編成組織の一例を示す図。
【図2】本発明の編地における編成組織の一例を示す図。
【図3】本発明の編地における編成組織の一例を示す図。
【図4】本発明の編地における編成組織の一例を示す図。
【図5】本発明の編地における編成組織の一例を示す図。
【符号の説明】
【0034】
1〜8 編成順

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維によるウェルトループおよび/またはタックループが、少なくとも2ループ連続して形成されている部分を有していることを特徴とする編地。
【請求項2】
前記セルロース繊維を10%以上含有していることを特徴とする請求項1記載の編地。
【請求項3】
請求項1または2記載の編地を用いて製造された衣服。
【請求項4】
セルロース繊維を20g/L以上のアルカリ水溶液中に、20℃以上で、5分以上浸漬処理して得られた、吸水伸長率が3%以上であるセルロース繊維を含む糸条を、ウェルトループおよび/またはタックループが、少なくとも2ループ連続して形成される部分を含むように編成することを特徴とする編地の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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