説明

緩下薬を用いた過敏性腸症候群の治療法

本発明は、過敏性腸症候群の処置法であって、治療上有効な投薬計画においてそのような処置を必要としている患者に浸透圧性緩下薬および繊維を投与する段階を含む方法を提供する。治療上有効な投薬計画には、過敏性腸症候群の症状を軽減もしくは除去するために、または対症的もしくは待期的に患者から苦痛を除去するために、十分な用量、回数および期間、製剤を投与することが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、消化器病学および医学に関する。とりわけ、本発明は、過敏性腸症候群発症の頻度または重症度を軽減するための対症療法のみならず、過敏性腸症候群の治療上の処置も対象とする。
【背景技術】
【0002】
関連分野の概要
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は、痙攣性疼痛、膨満、鼓脹、および排便習慣の変化をもたらす代表的な腸の疾患である。IBSに罹患した人々の一部は、便秘症(すなわち、排便が困難またはまれであること);別の人々は下痢(すなわち、軟便が頻繁にあり、しばしば急に排便しなければならないことがある);および一部の人々は便秘と下痢の両方を交互に繰り返す。米国では2500万人から5000万人の人々がIBSに罹患しており、毎年、250万人から350万人の人々が医師のもとを訪れる。その症状の罹患率は、3つのIBS群におおよそ等しく分割される。IBSに関連した症状の型と重症度は変化に富む。IBSの患者の40%より多くが、仕事を休まなければならない、社会生活を削減しなければならない、性交を避けなければならない、人と会う約束を取りやめなければならない、旅行を止めなければならない、薬剤を服用しなければならない、および困惑を恐れて自分の家に閉じこもらなければならないほどの重篤な症状を抱えている。米国におけるIBSの推定の医療費は毎年80億ドルである(Talley et al., Gastroenterol., 109, 1736, (1995))。
【0003】
IBS患者を評価する診断上のアルゴリズムは、通常は「ローマII(Rome II)」診断基準に従う。(Rome II. The Functional Gastrointestinal Disorders. Diagnosis, Pathophysiology and Treatment: A Multinational Consensus, Drossman, et al., 2nd ed. USA: Degnon Associates, p. 360 (2000))。IBSのローマII診断基準は、12ヶ月のうちに、以下の3つの特徴を少なくとも2つ有する腹部不快感または痛みが、連続的である必要はないが、少なくとも12週間存在することである:1)排便により軽減される;2)便の頻度の変化に伴う発症;および/または3)便の形状(外観)の変化に伴う発症。これらの診断基準に加えて、ローマIIは、IBSの支持的な症状を認めている:1)1週間における排便が3回より少ない;2)1日における排便が3回より多い;3)便が硬くまたはごつごつしている;4)便がゆるく(軟らかく)または水っぽい;5)排便の際に力む;6)切迫感(排便のために急がなければならない);7)排便の不完了感;8)排便の間に粘液(白い物質)が流れる;および/または9)腹部の膨満、鼓脹または膨張。
【0004】
IBS患者は、下痢が優勢なIBSに罹患する患者、便秘が優勢なIBSに罹患する患者、これら2つの群を交互に罹患する患者に分けることができる。腸の筋肉は、普段は1日に数回収縮し、腸にそって便が移動するが、液体や栄養は適切な速度で再吸収され、最終的には排便を引き起こす。通常の運動性は、標準だと考えられている6回から8回の収縮を伴うこれらの定期的な自発的でない大腸の収縮によって達成されている。しかし、便秘が優勢なIBSに罹患する個体では、1日で1回または2回の収縮しか起きていない可能性があり、水の再吸収が増加するために、結果として、便が硬くごつごつしたものとなる。下痢が優勢なIBS患者では、1日に25回も収縮が起こるため、水の再吸収が減少し、結果として便が軟らかく水っぽくなる。
【0005】
いかなる特定の理論にも縛られることはないが、IBSに罹患している個体は、腸の筋肉が、刺激、すなわち1日の収縮回数にさらに影響を与える「誘因」に対して、例外的に敏感であると考えられている(Camilleri, et al., Aliment Pharmacol. Ther., 16, 1407-1430, (2002))。食物またはストレスはIBSに罹患していない個体には通常は影響を与えないであろうが、これらの誘因はIBSに罹患している個体には腸の強い応答を引き起こす可能性がある。例えば、IBSに罹患していない個体は問題なくサラダを食べ、またはコーヒーを飲むかもしれないが、IBSに罹患している個体は、食物などを消費するに当たって、痛み、鼓脹、および下痢などの症状を示す。IBSに罹患している多くの人々は、症状は食事の直後または食事中にでさえしばしば起こると報告している。IBSに罹患しているすべての個体ではないけれども、同じ刺激に対して徴候的に応答する。IBSに罹患しているたいていの人々には共通の要素があるが、誘因の範囲はそれぞれの個体に特有である。症状は断続的なものでもある可能性があり、および摂取した食物または感情の状態に関係する症状は次第に変化する可能性がある。
【0006】
今日までのIBSの処置として、食事および生活様式の変更、ストレスの緩和および薬物療法がある。個々の患者が単独で症状に対処し、発作をいかに避けるかを学ぶため、IBSの処置はしばしば場当たり的なものである。これらの治療方式いずれも恒久的な利益を患者に提供したことはない。IBSに処方される薬剤には、抗コリン作用薬、鎮痙薬、止痢薬、および抗鬱薬が含まれる。患者は、過去に症状を引き起こした食物に曝露するのを減らすこと、およびストレスを減らすことをしばしば助言される。患者は食物繊維の消費量を増やすことも助言されてきたが、高い頻度で繊維を含む緩下薬の使用を避けることを同時に助言されることもあり得る。より具体的には、軟らかく容易に排出される便を維持するために十分な繊維を正確に患者が消費することを、医師らはしばしば推奨している。もちろん、多様な食事を取りながらバランスを達成するのは難しい。その上、高繊維の食事は、ガスおよび鼓脹を引き起こす可能性があるが、それらはIBSの症状に他ならなく、IBSの症状を悪化させる可能性がある。それゆえ、IBSの管理は、便秘と下痢の間で大腸の機能のバランスを取るために、繊維緩下薬の使用を注意深く調整することに関するものであった。この管理はベストを尽くしても不完全であり、ならびに繊維緩下薬の投与量および使用頻度が変化するために、患者は概して、ガス、鼓脹または腹痛に耐えながら、便秘と下痢を交互に繰り返すことになる。事実、現在の医学の意見の一致するところでは、繊維は効果がないということになっている(Evidence-Based Position Statement on the Management of Irritable Bowel Syndrome in North America, Am. J. Gastroenterol., 97, S1-S5, (2002); Brandt, et al. Systematic Review on the Management of Irritable Bowel Syndrome in North America, Am. J. Gastroenterol., 97, S6-S26, (2002))。
【0007】
つい最近、アメリカンカレッジの胃腸科が、アロセトロン(alosetron)およびテガセロッド(tegaserod)の2つの薬剤が、下痢が優勢なIBSまたは便秘が優勢なIBSの処置において、それぞれ効果があるということを十分な証拠に基づいて結論付けた。しかし、アロセトロンの使用はその毒性のため厳しく制限され、テガセロッドの効果は小さい。例えば、プラセボを用いた患者群と比較して、テガセロッドで処置したわずか約1/8の患者でしかIBS症状に関して有意な改善が認められなかった(Evidence-Based Position Statement on the Management of Irritable Bowel Syndrome in North America, Am. J. Gastroenterol., 97, S1-S5, (2002))。
【0008】
したがって、アメリカ家庭医師協会(American Academy of Family Physicians)は、薬物療法の使用を第一とするIBSの処置に対し反対の意見を表明し、その代わりに、健康的な食事を取ること、気分の悪くなるような食物は避けること、およびストレスに対処する方法を見つけることを提唱している(Viera, et al., American Family Physician 1867 (2002))。それゆえ、下痢が優勢なIBS患者、便秘が優勢なIBS患者、またはこれら2つの形態を交互に繰り返す患者のいずれかの症状を安全且つ適切に改善する単一の療法がないため、効果的な処置が医学的に必要とされている。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
哺乳類の過敏性腸症候群を処置する方法であって、治療上有効な量で、浸透圧性緩下薬および繊維で製剤化された混合物を投与する段階、ならびにそのような処置を必要とする患者に対する投薬計画を含む方法を開示する。
【0010】
例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などの浸透圧性緩下薬と緩下性の繊維を含む製剤は、便秘および下痢の両方を同時に改善することによってIBSを軽減することが発見された。過去には、患者は、緩下薬の長期の使用を避けるよう勧告されてきたが、便秘が優勢なIBSの患者は、推奨された期間よりも長期間にわたり緩下薬の使用をしばしば必要としている。
【0011】
一局面において、本発明は、IBSの処置法であって、そのような処置を必要としている患者に対する浸透圧性緩下薬および繊維を含む製剤の治療上有効な投薬計画を管理する段階を含む方法を提供する。ある態様では、浸透圧性緩下薬は、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、ラクツロース、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される。他の態様では、浸透圧性緩下薬はポリエチレングリコールである。ある態様では、ポリエチレングリコールは、約2,000ダルトン(「D」)から約10,000 Dの範囲の平均分子量を有する。別の態様では、浸透圧性緩下薬は、約3,000 Dから約4,000 Dの範囲の平均分子量を有するポリエチレングリコールである。特定の態様では、浸透圧性緩下薬は、約3,350 Dの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。他の特定の態様では、浸透圧性緩下薬は、約4,000 Dの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。ある態様では、浸透圧性緩下薬の濃度は、重量にして全製剤の約0.01%から約99%の範囲にわたる。他の態様では、製剤は重量にして約1%から約40%の浸透圧性緩下薬を含む。特定の態様では、浸透圧性緩下薬の量は、重量にして約2%から約20%、または約5%から約15%の範囲にわたる。
【0012】
ある態様では、繊維は、オオバコ繊維(psyllium fiber)、オオバコ(イスパキュラ(ispaghula))、ポリカルボフィルカルシウム、グアーガム、セルロース、メチルセルロース、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。特定の態様では、繊維は、オオバコ繊維およびセルロースからなる群より選択される。1つの態様では、繊維はオオバコである。別の態様では、繊維はセルロースである。ある態様では、繊維の濃度は、重量にして全製剤の約0.01%から約99%の範囲に及ぶ。他の態様では、製剤は、繊維の重量にして約1%から約40%を含む。特定の態様では、繊維の量は、重量にして約2%から約20%、または約5%から約15%の範囲にわたる。
【0013】
ある態様では、方法は、浸透圧性緩下薬および繊維が重量比約3:1から約1:3で存在する製剤の投与を含む。特定の態様では、方法は、浸透圧性緩下薬および繊維が重量比約1:1で存在する製剤の投与を含む。1つの特定の態様では、約17グラムのPEG 3350および約3グラムから約6グラムのオオバコを含む製剤の投与を含む。別の特定の態様では、17グラムのPEG 3350および約15グラムから約24グラムのセルロースを含む製剤の投与を含む。ある態様では、浸透圧性緩下薬および繊維は、異なる製剤として別々に投与される。
【0014】
ある態様では、製剤または製剤形態のものは経口的に投与される。他の態様では、製剤または製剤形態のものは、鼻腔栄養チューブを通じて投与される。さらに他の態様では、製剤または製剤形態のものは1日に1回投与される。ある態様では、製剤または製剤形態のものは少なくとも1日に2回投与される。ある態様では、製剤または製剤形態のものは、最長約12週まで投与される。
【0015】
詳細な説明
本明細書において引用された特許、刊行された出願特許、および参考文献は、それぞれが具体的且つ個別に参照として組み入れられたのと同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。これらの刊行物と本開示の間のいかなる不一致も本開示を優先するものと決定されるべきである。
【0016】
浸透圧性緩下薬および繊維を患者に投与することにより、IBSが効果的に処置され、およびIBSに関連する症状が緩和されることが発見された。治療上効果的な投与計画は、IBSの症状を軽減または除去するように、過敏性腸症候群を処置するために十分な量、頻度および期間、浸透圧性緩下薬および繊維を別々または同時に投与する段階を含む。
【0017】
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、IBSの処置法を含み、治療上有効な量の浸透圧性緩下薬および繊維を、それを必要としている患者に投与する段階を含む。本明細書において使用される「過敏性腸症候群」または「IBS」という用語は、下痢が優勢なIBS、便秘が優勢なIBS、およびこれらの状態のうちの1つとして特定されない場合には、これら2つの型を交互に繰り返す状態を含むことを意味する。
【0018】
本発明によって提供される方法に関連して用いられる場合に、本明細書において使用される「治療上有効」という用語は、過敏性腸症候群の症状を軽減もしくは除去するのに十分であること、または対症的もしくは待期的に患者の症状の軽減をするのに十分であることを意味する。
【0019】
本発明によって提供される方法に関連して用いられる場合に、本明細書において使用される「処置する」という用語は、浸透圧性緩下薬および繊維を含む製剤の使用を通じて、過敏性腸症候群の症状を軽減もしくは除去すること、または対症的もしくは待期的に患者の症状を軽減することを意味する。
【0020】
有用な浸透圧性緩下薬は、硫酸マグネシウム(例えば、Epsom salt, Humco Epsom Salt, Humco Corp, Texarkana, TX)、水酸化マグネシウム(例えば、Phillips Milk of Magnesia(登録商標), Bayer Corporation, Morristown, NJ)、クエン酸マグネシウム(例えば、magnesium citrate, Oral Solution, Lemon Flavor Laxative, Valu-Rite Products, McKesson Corp., San Francisco, CA)、リン酸ナトリウム(例えば、Fleet's PhosPho-Soda, Lynchburg, Virginia)、硫酸ナトリウム(例えば、Glauber's salt, US Trading & Marketing LLC, Washington, D.C.,)、カリウムナトリウム酒石酸塩(例えば、Rochelle salt, Westco, Inc., North Hollywood, CA)のような難吸収性のイオン;およびラクツロース(例えば、Dulcolax(登録商標), Boehringer Ingelheim Consumer Healthcare Ridgefield, CT)、ソルビトール、マンニトールおよびグリセリンを含むが、これらに限定されない難吸収性の二糖類を含むが、これらに限定されることはない。
【0021】
別の有用な浸透圧性緩下薬は、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、Dow Chemical Company, Midland, MIから市販されている)である。哺乳類に投与された場合に、PEGは、便中の水を誘引および保持することで、便を軟らかくし排便の頻度を増加させ、ならびに腸の運動性および便の形成を改善する。緩下薬として使用された場合には、PEGは、一般的には、例えば約8オンスの水、ジュース、または他の液体に溶解させた後、経口的に投与される。
【0022】
PEGは、その分子量によって決まるが、室温では固体または液体である。PEGは、ポリマーの平均分子量に一致する数字によって特定される。約1,000 Dから約25,000 Dの範囲の平均分子量を有するPEG(言い換えれば、PEG 1000−PEG 25000)を、浸透圧性の薬剤として、哺乳類の便を軟らかくするために使用してもよい。
【0023】
「約」という用語は、本明細書において、ほぼ、概略で、またはおよそを意味するために使用される。「約」という用語が数値の範囲と組み合わせて使用される場合には、定義された数値より多いおよび定義された数値より少ない数値に境界を拡張することによって、その範囲を緩和する。一般的に、本明細書において「約」という用語は、20%の変動により、数値を、表示された値より多い値および表示された値より小さい値に変更するように用いられる。
【0024】
利便性という利益のために、本明細書において開示される製剤は、室温で固体であるPEGを含む。ある態様によれば、製剤に含まれるPEGは、約2,000 Dから約10,000 Dの範囲(すなわち、PEG 2000-PEG 10000)、または約3,000 Dから約4,000 Dの範囲(すなわち、PEG 3000-PEG 4000)の平均分子量を有する。特定の態様では、3,350の平均分子量を有するポリグリコールであるPEG 3350が使用される。他の特定の態様では、PEG 4000が使用される。生産の利便性の問題として、少なくともある態様では、混合物中のPEGの実際の分子量は、名目値の90%以上且つ110%未満である。
【0025】
本発明の方法は、繊維を投与する段階をさらに含む。本明細書において使用される「繊維」または「食物繊維」という用語は、人間の消化酵素による加水分解に抵抗性のあるポリサッカライドおよびリグニンと定義される。繊維は、可溶性の繊維および不溶性の繊維の両方を含む生産物を含む。例えば、Metamucil(登録商標)(Proctor and Gamble, Cincinnati, OH)のようなオオバコ種皮の市販調製品も、本明細書において開示される治療上の製剤を調製する上で使用することができる。食物繊維は便通をよくする効果を有し、全粒パンおよびシリアル、豆、果物および野菜が、良い食物繊維源である。高繊維の食事は、大腸が少し膨張した状態となるのを保ち、これは腸内で痙攣が起こるのを予防するのに役立つと考えられている。ある繊維の形態は便中に水を保持し、それによって便通を困難にさせる硬い便の形成を妨げる。
【0026】
一般的に、可溶性と不溶性の2つの型の繊維がある。可溶性の繊維は、粘着性でゲル形成繊維であるため、そのようなものとして指定される。可溶性の繊維は、水を吸収し、便をより軟らかくし、便通をより容易にする。可溶性の繊維は、麦、マメ科植物、特定の果物、およびオオバコに見出される。不溶性の繊維はゲルを形成しない。不溶性の繊維は便秘を処置するために用いられるが、しばしば下痢を悪化させることがある。不溶性の繊維は、果物、野菜、全粒パン、およびシリアルに見出される。
【0027】
たいていの天然繊維は、実際には可溶性の繊維および不溶性の繊維の混合物である。例えば、オオバコ繊維は可溶性の繊維に富み(約70%)、糠は主に不溶性の繊維を含み、一方、オート麦糠は約7%の可溶性の繊維を含む。
【0028】
市販の3種類の繊維が現在、医学的な使用のために認可されており、本発明の治療上の製剤における封入体に適している:オオバコ(例えば、Metamucil(登録商標), Proctor and Gamble, Cincinnati, OH; Konsyl(登録商標), Konsyl Pharmaceuticals, Edison, NJ)、部分的に加水分解されたグアーガム(例えば、Benefiber(登録商標), Novartis Consumer Health, Parsippany, NJ)、およびセルロース(例えば、Unifiber(登録商標), Niche Pharmaceuticals, Roanoke TX)。使用可能な繊維の量は繊維の型によって変化する。例えば、本発明によって提供される方法で用いられる様々な繊維の量は、約1グラムから約12グラムのオオバコ、および約3グラムから約9グラムのオオバコ;および約6グラムのオオバコ;約2.5グラムから約30グラムの部分的に加水分解されたグアーガム;および約2グラムから約30グラムのセルロース;および約10グラムから約20グラムのセルロース;または約15グラムのセルロースを含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
浸透圧性緩下薬および繊維は、緩下薬と繊維が重量比で約3:1から約1:3の範囲で製剤中に存在する。例えば、浸透圧性緩下薬および繊維は、おおよそ等量の組成で、すなわち緩下薬と繊維が約1:1の重量比で存在してもよい。
【0030】
治療上の製剤を溶液の形態で調製するためには、前述の浸透圧性緩下薬のうち少なくとも1つを、例えば、水、野菜または果物ジュース、炭酸飲料、コーヒー、茶、乳製品、ダイズ飲料、または他の飲料、例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、炭酸水素塩、またはリン酸塩などの生理的電解質を含む、単一の電解質またはそれらの混合物を含む電解質溶液、またはこれらの飲料および電解質の組み合わせなどの、薬学的に許容される溶媒に溶解させる。
【0031】
例えば、PEGが使用される場合、治療上の製剤中のPEGの濃度は、全組成物の重量で約0.01%から約99%の範囲に及ぶ。例えば、組成物は、PEGの重量で約1%から約40%を含むことが可能である。特定の態様では、PEGの量は重量で約2%から約20%、または約5%から約15%となる。それぞれの製剤で使用されるPEGの具体的な濃度は、不快感または切迫感を防ぎながら、軽減を提供するために、必要に応じて増加または減少させてもよい。
【0032】
繊維は溶液に混合されてもよい。繊維の濃度は、全組成物の重量で約0.01%から約99%までの範囲に及ぶ。例えば、その組成物は、繊維の重量で約1%から約40%まで含むことが可能である。特定の態様では、繊維の量は、重量で約2%から約20%、または約5%から約15%の範囲に及ぶ。それぞれの製剤において使用される繊維の具体的な濃度は、不快感または切迫感を防ぎながら、軽減を提供するために、必要に応じて増加または減少させてもよい。例えば、本発明は、過敏性腸症候群を処置するために、米国特許第5,710,183号に記述されている製剤を利用してもよい。
【0033】
または、浸透圧性緩下薬および繊維は、互いに約30分以内であれば任意の順序で個別の溶液として投与することが可能である。緩下薬と繊維を別々に摂取する場合には、緩下薬と繊維の比は通常、重量にして約3:1から約1:3である。特定の例では、浸透圧性緩下薬と繊維はおおよそ等量、すなわち緩下薬と繊維の重量比は約1:1で摂取される。浸透圧性緩下薬溶液の濃度および繊維溶液の濃度は、重量にして約0.01%から約99%の範囲に及ぶ。例えば、浸透圧性緩下薬または繊維のいずれかの溶液は、繊維の重量で約1%から約40%を含む。特定の例では、繊維または浸透圧性緩下薬の量は、重量で約2%から約20%、または約5%から約15%の範囲に及ぶ。
【0034】
本発明の方法において有用な製剤は、任意の数の異なる添加物を含むことが可能である。例えば、シメチコンなどの湿潤剤および/または他の成分を、混合物が自由に流動するようにまたは他の目的のために製剤に加えてもよい。製剤は、サクランボ、ブドウ、茶、リンゴ、レモンライムなどの香味料を、製剤は追加的または代替的に含むことができ、これらはオイルベースのものであってもよい。このような香味料は、例えば、IFF(International Flavors and Fragrances, Chicago, IL)、Flavors of North America(Carol Stream, IL)、Kraft Foods(Glenview, IL)、または食品/医薬の品質等級の香料を取り扱う他の供給メーカーから市販されている。製剤は、砂糖、スクラロース、アセサルファムK、フルクトース、および/またはアスパルテームなどの甘味料も含んでよく、または代替的に含んでよい。これらも例えば、Spectrum Quality Products, New Brunswick, New JerseyまたはMcNeil Nutritionals Division of McNeil-PPC, Inc., Fort Washington, PAまたはその他の食品/医薬の品質等級の薬品を取り扱う供給メーカーから市販されている。リンゴ酸、クエン酸、および/またはアスコルビン酸などであるが、これらに限定されない調味料を加えることができる。これらの調味料は、例えば、Spectrum Quality Products, New Brunswick, NJまたはその他の食品/医薬の品質等級の薬品を取り扱う供給メーカーから市販されている。製剤は、例えば、リンゴジュースには明るい茶色、茶にはこげ茶色、ブドウには紫など、風味に合うように着色することも可能である。有用な着色剤は、例えば、Warner-Jenkinson, St. Louis, MOまたはその他の食品/医薬の品質等級の着色剤を取り扱う供給メーカーから市販されている。保存料は、新鮮さを保つために加えることが可能である。いくつかの有用な保存料には、パラベン、ベンゾエート、ソルベート、およびアルコールが含まれるが、これらに限定されない。これらは例えば、Spectrum Quality Products, New Brunswick, NJまたはその他の食品/医薬の品質等級の薬品を取り扱う供給メーカーから入手することが可能である。製剤は、製品をオレンジジュース、アイスティー、およびその他の飲料のように見せる効果を持った添加物を含んで、透明または不透明(濁った、懸濁液など)であってもよい。その他の添加物は、製剤の味、香り、安定性、溶解性、酸性、色などを最適化するために用いることができる。例えば(International Flavor and Fragrance, Chicago, ILまたはSpectrum Quality Products, New Brunswick, NJまたは他のその他の食品/医薬の品質等級の薬品を取り扱う供給メーカー)を参照のこと。
【0035】
他の薬物が、セファロスポリン(例えば、Keflex(登録商標)、セファレキシン、 Dista Products Company, Indianapolis, IN)、ペニシリン(例えば、Pfizerpen(登録商標)、ペニシリンGカリウム、Pfizer Inc, NY, NY)、エリスロマイシン(例えば、ERY-TAB(登録商標)、エリスロマイシン遅延放出錠剤、Abbott Laboratories, Chicago, IL)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン一水和物カプセル剤、Watson Lab., Inc., Corona, CA; UROBIOTIC(登録商標)-250、塩酸オキシテトラサイクリン、Pfizer, Pfizer Inc, NY, NY)などの抗菌剤、抗真菌剤(例えば、GRIFULVIN(登録商標)、グリセオフルビン錠剤、Ortho Dermatological, Skilman, NJ; NIZORAL(登録商標)、ケトコナゾール、Janssen Titusville, NJ)、抗ウイルス薬(例えば、SYMMETREL(登録商標)、塩酸アマンタジン、 Endo Labs, Chadds Ford,PA);ERIVIR-HBV(登録商標)、ラミブジン、 GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、抗炎症剤(例えば、Advil(登録商標)、イブプロフェン、Wyeth Labs, Madison, NJ; Celebrex(登録商標)、セレコキシブ、G.D. Searle LLC Chicago IL)、抗癌剤(例えば、ADRIAMYCIN RDF(登録商標)、塩酸ドキソルビシン、 Pfizer, Inc. New York, NY; ELOXATIN(商標)、オキサリプラチン、Sanofi-Synthelabo Inc. NY, NY)、抗高血圧剤(例えば、INDERAL(登録商標)、塩酸プロプラノールLA、Wyeth-Ayerst、Philadelphia, PA;DIBENZYLINE(登録商標)、塩酸フェノキシベンザミン、WellSpring, Neptune, NJ;DIOVAN HCT(登録商標)、バルサルタンおよびヒドロクロロチアジド、Novartis, Parsippany, NJ)、抗精神病薬(例えば、HALDOL(登録商標)、ハロペリドール、Ortho-McNeil, Raritan, NJ;CLOZARIL(登録商標)、クロザピン、Novartis, Parsippany, NJ)、胃腸薬(例えば、LOTRONEX(登録商標)、塩酸アロセトロン、GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA;Gas-X Extra Strength Chewable Tablets(登録商標)、シメチコン、Novartis Consumer Products, Parsippany, NJ;ANZEMET(登録商標)、ドラセトロンメシラート、Aventis, Bridgewater, NJ;ASACOL(登録商標)、メサラミン、Procter & Gamble Pharmaceuticals, Mason, OH)または他の物質のような、当技術分野において公知の製剤に含まれていてもよいが、ここで示されたリストは、考えられる薬物のクラスまたは特定の物質のすべてを含むことを意味するものではない。
【0036】
投薬の容易さから、治療上の製剤はゲルとして製剤化されてもよい。典型的なゲル組成物として、PEGのような、少なくとも1つの前述の浸透圧性緩下薬、および水溶性の混合液に溶解した繊維が含まれる。次に、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(AQUALON CO., Hopewell, Virginia)などのゲル化剤を攪拌しながら混合物に加える。少なくともいくつかの態様によると、ゲル化剤の濃度は、全成分の重量にして0.1%から約4.0%までにわたっている。
【0037】
または、治療上の薬剤は乾燥粉末として製剤化されてもよい。乾燥粉末は、患者に投与する前に水または他の液体に溶解される。乾燥粉末を攪拌する場合には、製剤は約1%から約99%の浸透圧性緩下薬、および約1%から約99%の繊維を含む。繊維に対する浸透圧性緩下薬の重量比は、好ましくは約3:1から約1:2の範囲である。乾燥粉末は、患者への経口投与のために、錠剤または菓子もしくはパン製品などの食品に圧縮されてもよい。
【0038】
浸透圧性緩下薬および繊維は、治療上望ましい任意の割合で事前に混合され患者に販売されてもよく、または製剤は、投与する直前に患者もしくは介護者によって調製されてもよい。溶液は経口的にまたは鼻腔栄養チューブを用いて投与されてもよい。
【0039】
IBS症状の持続的軽減を提供するために必要な処置期間は個体間で異なる。例えば、1用量の浸透圧性緩下薬/繊維製剤は毎日1回投与される。必要に応じて、症状を軽減するために2回またはそれ以上の用量が投与されてもよい。ある患者はわずか1日から3日で症状が軽減される可能性があるが、一方で、より長い期間、例えば最長約12週間の処置が必要とされる可能性がある。処置期間はIBSに特有の大腸の痙攣が止むまで継続する。
【0040】
最長約12週間に及ぶ一連の処置において本発明の製剤を使用した後に、IBSの共通の症状である痛み、便秘、および下痢が大幅に軽減されることを患者は実証した。十分な期間、便に保持される水の量を増加させ、便の形状を保持し、かつ腸を適度に膨張した状態に保つことにより腸管を滑らかにすることで、本明細書において開示される製剤および方法はIBSを抑制するだけでなく、しばしば再発性の痙攣をも解消する。いかなる特定の理論に縛られることは望ましくないが、PEG緩下薬の浸透効果および繊維は、便を軟らかく移動性の状態に保ち、過剰の水分を含む作用のあるゲルを形成すると考えられている。これはわずかに腸を膨張させ、痙攣を緩和する可能性がある。
【0041】
次の非限定的な実施例は、本発明のある態様をさらに詳しく例示するものである。
【0042】
実施例1:治療用製剤
製剤1
17グラムのPEG 3350(商品名 MiraLax(登録商標)、Braintree Laboratories, Braintree, MA)および、約24グラムのMetamucil(登録商標)繊維を300mlの水に混合および攪拌する。
【0043】
製剤2
約4000の平均分子量を有するPEGである20グラムのMacrogol(登録商標) 4000(BASF, Toronto, Canada)を、約24グラムのMetamucil(登録商標)繊維(Proctor & Gamble, Cincinnati, OH)と、約125mEq/lのNa+、10mEq/lのK+、35mEq/lのCl-、20mEq/lのHCO3-、および80mEq/lのSO42-を含む約300mlの電解質溶液中に混合し、室温で攪拌する。例示的な電解質は、Morton Salt, Mallinckrodt of St. Louis MO、Spectrum Quality Products of New Brunswick NJ、またはその他の食品/医薬の品質等級の薬品を取り扱う供給メーカーから入手できる。
【0044】
製剤3
17グラムのPEG 3350(商品名 MiraLax(登録商標)、Braintree Laboratories, Braintree, MA)および約20グラムの部分的に加水分解されたグアーガム繊維(Benefiber(登録商標), Novartis Consumer Health, Parsippany, NJ)を300mlの水に混合し、室温で攪拌する。
【0045】
製剤4
20グラムのMacrogol(登録商標) 4000(BASF, Toronto, Canada)を約20グラムの部分的に加水分解されたグアーガム繊維(Benefiber(登録商標), Novartis Consumer Health, Parsippany, NJ)と、約125mEq/lのNa+、10mEq/lのK+、35mEq/lのCl-、20mEq/lのHCO3-、および80mEq/lのSO42-を含む約300mlの電解質溶液中に混合し、室温で攪拌する。
【0046】
製剤5
約17グラムのPEG 3350(商品名 MiraLax(登録商標),Braintree Laboratories, Braintree, MA)および約20グラムのセルロース(商品名 UniFiber(登録商標), Niche Pharmaceuticals, Roanoke TX)を300mlのジュースに混合し、室温で攪拌する。
【0047】
製剤6
20グラムのリン酸ナトリウム(Fleet's PhosPho-Soda, Lynchburg, Virginia)を約20グラムのMetamucil(登録商標)繊維と共に約300mlの溶液に室温で混合する。
【0048】
製剤7
5グラムのラクツロース(Dulcolax(登録商標), Boehringer Ingelheim Consumer Healthcare, Ridgefield, CT)、および約20グラムのセルロースを300mlの牛乳および氷冷水に混合し、ブレンダーで混合する。
【0049】
実施例2:症例研究
症例研究1
27歳の女性の18ヶ月にわたる慢性的な腹痛が報告された。臨床評価により、彼女がIBSのローマII診断基準を満たしていること、および便秘が優勢の便習慣を有していることが明らかにされた。2ヶ月前の子宮摘出手術が彼女の症状を悪化させた。患者は、約17グラムのPEG 3350(商品名 MiraLax(登録商標)、Braintree Laboratories, Braintree, MA)および約24グラムのMetamucil(登録商標)繊維を1日に1回服用するように指導された。4日後、便の回数の増加を伴う著しい臨床症状の改善が患者から報告され、排便の際の力みの減少、硬いまたはごつごつした便の減少が見られ、ならびに腹部膨満、鼓脹および腫脹が改善された。患者の症状は再発しなかった。
【0050】
症例研究2
生涯にわたって便秘および腹痛を患っていた60歳の女性は、便秘が優勢なIBSのローマII診断基準を満たした。患者は、膨張性緩下薬、緩下薬、鉱物油、およびシサプリドを含む数回の治療投薬計画を試みたが、成功しなかった。MiraLax(登録商標)のみ(500ml中51グラム)の1回の投与による処置で、排便の増加を伴ういくらかの改善がなされた。患者は、約17グラムのPEG 3350(商品名 MiraLax(登録商標)、Braintree Laboratories, Braintree, MA)および約24グラムのMetamucil(登録商標)繊維を1日に1回服用するように指導された。3〜4日以内に排便の増加を伴う著しい臨床症状の改善が患者から報告され、排便の際の力みの減少、硬いまたはごつごつした便の減少が見られ、ならびに腹部膨満、鼓脹および腫脹が改善された。8週間にわたる製剤の服用後、患者は、患者の症状が消えたことを報告した。
【0051】
症例研究3
30歳の女性の18ヶ月にわたる慢性の腹痛が報告された。臨床評価により、彼女がIBSのローマII診断基準を満たしていること、および下痢が優勢の便習慣を有していることが明らかにされた。患者は、17グラムのPEG 3350(商品名 MiraLax(登録商標)、Braintree Laboratories, Braintree, MA)および約24グラムのMetamucil(登録商標)繊維を1日1回服用し始め、排便の回数が1日に3回より多い、便がゆるく(軟らかく)または水っぽい、切迫感といった症状が著しく改善されたことが報告され、ならびに腹部膨満、鼓脹および腫脹が7日以内に改善された。患者の症状は再発しなかった。
【0052】
症例研究4
便秘が優勢なIBSを示す患者は、製剤1−7より選択される任意の製剤を、最長12週間にわたって1日1回投与される。1週間の排便の回数が3回より少ない、排便の際に力む、便が硬くまたはごつごつしているといった症状、および腹部膨満、鼓脹または腫脹は、軽減または改善される。
【0053】
症例研究5
下痢が優勢なIBSを示す患者は、製剤1−7より選択される任意の製剤を、最長12週間にわたって1日1回投与される。1日の排便の回数が3回より多い、便がゆるく(軟らかく)または水っぽい、切迫感(排便するために急がなければならない)といった症状、および腹部膨満、鼓脹または腫脹は、軽減または改善される。
【0054】
症例研究6
便秘が優勢なIBS症状および下痢が優勢なIBS症状を交互に繰り返す症状を示す患者は、製剤1−7より選択される任意の製剤を、最長12週間にわたって1日1回投与される。1日の排便の回数が3回より多い、便がゆるく(軟らかく)または水っぽい、切迫感(排便するために急がなければならない)、1週間の排便の回数が3回より少ない、排便の際に力む、便が硬くまたはごつごつしているといった症状、および腹部膨満、鼓脹または腫脹は、軽減または改善される。
【0055】
症例研究7
便秘が優勢なIBSを示す患者は、製剤1−7より選択される任意の製剤を、最長12週間にわたって少なくとも1日2回投与される。1週間の排便の回数が3回より少ない、便が硬くまたはごつごつしている、排便の際に力むといった症状、および腹部膨満、鼓脹または腫脹は、軽減または改善される。
【0056】
症例研究8
下痢が優勢なIBSを示す患者は製剤1−7より選択される任意の製剤を、最長12週間にわたって少なくとも1日2回投与される。1日の排便の回数が3回より多い、便がゆるく(軟らかく)または水っぽい、切迫感(排便するために急がなければならない)といった症状、および腹部膨満、鼓脹または腫脹は、軽減または改善される。
【0057】
症例研究9
便秘が優勢なIBS症状および下痢が優勢なIBS症状を交互に繰り返す症状を示す患者は、製剤1−7より選択される任意の製剤を、最長12週間にわたって少なくとも1日2回投与される。1日の排便の回数が3回より多い、便がゆるく(軟らかく)または水っぽい、切迫感(排便するために急がなければならない)、1週間の排便の回数が3回より少ない、排便の際に力む、便が硬くまたはごつごつしているといった症状、および腹部膨満、鼓脹または腫脹が、軽減または改善される。
【0058】
等価物
前記の発明は、明瞭さと理解のためにある程度詳細に記述してきたが、本発明の範囲および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々な変更が可能なことが、本開示を読むことから当業者により認識されると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透圧性緩下薬および繊維を含む治療上有効な量の製剤を、処置を必要としている患者に投与する段階を含む、過敏性腸症候群を処置する方法。
【請求項2】
浸透圧性緩下薬が、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、ラクツロース、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
浸透圧性緩下薬がポリエチレングリコールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
浸透圧性緩下薬が、約2,000 Dから約10,000 Dの平均分子量を有するポリエチレングリコールである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
浸透圧性緩下薬が、約3,000 Dから約4,000 Dの平均分子量を有するポリエチレングリコールである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
浸透圧性緩下薬がポリエチレングリコール3350である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
浸透圧性緩下薬がポリエチレングリコール4000である、請求項3記載の方法。
【請求項8】
繊維が、オオバコ繊維、イスパキュラ(ispaghula)、ポリカルボフィルカルシウム、グアーガム、セルロース、メチルセルロース、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
繊維が、オオバコ繊維およびセルロースからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
繊維がオオバコ繊維である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
繊維がセルロースである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
製剤が経口的に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
製剤が1日に1回投与される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
製剤が少なくとも1日に2回投与される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
浸透圧性緩下薬および繊維充填剤(fiber-bulking)が重量で約3:1の割合で製剤中に存在している、請求項12記載の方法。
【請求項16】
浸透圧性緩下薬および繊維が重量で約1:3の割合で製剤中に存在している、請求項12記載の方法。
【請求項17】
浸透圧性緩下薬および繊維が重量で約1:1の割合で製剤中に存在している、請求項12記載の方法。
【請求項18】
浸透圧性緩下薬が重量で約1%から約40%の濃度で製剤中に存在している、請求項1記載の方法。
【請求項19】
浸透圧性緩下薬が重量で約2%から約20%の濃度で製剤中に存在している、請求項18記載の方法。
【請求項20】
浸透圧性緩下薬が重量で約5%から約15%の濃度で製剤中に存在している、請求項18記載の方法。
【請求項21】
繊維剤が重量で約1%から約40%の濃度で製剤中に存在している、請求項1記載の方法。
【請求項22】
繊維が重量で約2%から約20%の濃度で製剤中に存在している、請求項21記載の方法。
【請求項23】
繊維が重量で約5%から約15%の濃度で製剤中に存在している、請求項21記載の方法。
【請求項24】
製剤が、約17グラムのPEG 3350および約3グラムから約6グラムのオオバコを含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
製剤が、最長約12週間にわたって1日1回投与される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
製剤が、約17グラムのPEG 3350および約15グラムから約24グラムのセルロースを含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
製剤が、最長約12週間にわたって1日1回投与される、請求項26記載の方法。

【公表番号】特表2007−525476(P2007−525476A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518974(P2006−518974)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/022392
【国際公開番号】WO2005/007170
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(504405545)ブレーントリー ラボラトリーズ インコーポレーティッド (6)
【Fターム(参考)】