説明

緩衝器

【課題】筒型の緩衝器において、シリンダの外周に設けられて枝管が一体に形成されたセパレータチューブの耐圧性を高め、薄肉化による軽量化を可能にする。
【解決手段】油液が封入されたシリンダ内に、ピストンロッド6が連結されたピストン5を挿入し、ピストン5の移動によって生じる油液の流れを減衰力発生機構25によって制御して減衰力を発生させる。シリンダ2の外周にセパレータチューブ20を設け、セパレータチューブ20の側壁に一体に形成された枝管45を通して減衰力発生機構25に油液を流通させる。セパレータチューブ20の枝管45の下側近傍には、シール部材19を嵌合する内周溝43を形成し、上側近傍には、補強部46を形成する。これにより、セパレータチューブ20は、内圧が作用したとき、枝管45の基部の上部及び下部への応力の集中が緩和されるので、耐圧性が高まり、薄肉化による軽量化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ピストンロッドのストロークに対して、シリンダ内の作動流体の流れを制御することにより減衰力を発生させる緩衝器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、自動車等の車両のサスペンション装置に装着される筒型の緩衝器において、シリンダの外周に円筒状部材を配置してこれらの間に環状の通路を形成し、さらに、円筒状部材の側壁を径方向外側に突出させて環状の通路に連通する円筒状の枝管を一体に形成するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−159563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されているように、円筒状部材の側壁に枝管を一体に形成して作動流体の通路とする緩衝器では、円筒状部材及び枝管は、高圧となる作動流体に対して充分な耐圧性を確保する必要があると共に、軽量化のために板厚を薄くすることが要求されている。
【0005】
本発明は、シリンダの外周に設けられ、このシリンダの側壁との間に作動流体が流通する環状通路を形成する円筒状の側壁及びこの側壁から径方向外側に突出する枝管を有するセパレータチューブの耐圧性を高めて、その薄肉化を可能にする緩衝器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、作動流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に挿入されたピストンと、該ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記シリンダの外周に設けられた外筒と、前記シリンダと前記外筒との間に設けられ、前記シリンダ内と連通する環状通路を形成する略円筒状の側壁を有するセパレータチューブと、前記シリンダと前記外筒との間の前記セパレータチューブの外側に形成されて作動流体及びガスが封入されたリザーバと、前記セパレータチューブの側壁に一体に形成されて径方向外側に突出して前記環状通路に連通する略円筒状の枝管と、 前記外筒の外部に配置されて前記枝管に接続される減衰力発生機構と、を備えた緩衝器において、前記セパレータチューブの側壁の前記枝管の一側には、内側から外側に膨出され、シール部材が装着される環状の内周溝が形成され、前記枝管の他側には、内側から外側又は外側から内側に膨出されて周方向に沿って延びる補強部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る緩衝器によれば、枝管が一体に形成されたセパレータチューブの耐圧性を高めることができ、その薄肉化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る緩衝器の縦断面図である。
【図2】図1の緩衝器のセパレータチューブの枝管部分を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図2のセパレータチューブの枝管部分を示す斜視図である。
【図4】図1の緩衝器の変形例に係るセパレータチューブの枝管部分を拡大して示す縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る緩衝器のセパレータチューブの枝管部分を拡大して示す縦断面図である。
【図6】図5のセパレータチューブの枝管部分の正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る緩衝器のセパレータチューブの枝管部分を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本実施形態は、上記「発明が解決しようとする課題」及び「発明の効果」の欄に記載した内容にとどまらず、その他の様々な課題を解決し、また、効果を奏するものである。本実施形態により、解決可能な主な課題ないし奏し得る主な効果について次に示す。
【0010】
〔減衰力の増大〕
昨今、緩衝器には更なる減衰力の増大が求められている。これは、ロールやピッチングなど車体が一方側に傾くような挙動をしたとき、減衰力を大きくすることにより車体の挙動を抑制し、安定した走行を実現することができるためである。しかし、減衰力を増大させると、シリンダ内圧が高くなり、リザーバとシリンダ内との差圧が大きくなるため、円筒状部材と枝管との繋ぎ目に応力が集中し、耐圧性が低下するという課題がある。
【0011】
〔特性改善〕
先に示した特許文献1に記載されているように、リザーバ内には油液およびガスが封入されており、減衰力発生機構からリザーバに流入する油液の噴流によってリザーバ内の油液の液面付近に渦や気泡が発生し、エアレーションが発生するという課題がある。エアレーションが発生すると安定した減衰力を得ることができないため、その課題を解決し、減衰特性を改善することが求められている。そこで、減衰力発生機構からリザーバに流入する流入口付近に、バッフルプレートを配置し、噴流の発生を抑制することが考えられるが、バッフルプレートの取り付けは、溶接によるコンタミの発生、部品点数及び組付工数といった問題を伴う。
【0012】
〔軽量化〕
自動車に取付けられる部品は、燃費向上等のため、少しでも軽量化することが求められる。そこで、シリンダやセパレータチューブ、外筒は耐圧性を確保しつつ、肉厚を薄くする必要がある。肉厚が薄い部材に枝管を形成すると、枝管部分の肉厚はさらに薄くなり、耐圧性を確保するのが困難になる。肉厚を薄くしつつ、耐圧性を確保した枝管を形成するというトレードオフを解決することは大きな課題である。
【0013】
本発明の第1実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る緩衝器1は、筒型の減衰力調整式油圧緩衝器であって、シリンダ2の外側に外筒3を設けた複筒構造で、シリンダ2と外筒3との間に環状のリザーバ4が形成されている。シリンダ2内には、ピストン5が摺動可能に嵌装され、このピストン5によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン5には、ピストンロッド6の一端がナット7によって連結されており、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通り、シリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8およびオイルシール9に挿通されて、シリンダ2の外部へ延出されている。シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられている。
【0014】
ピストン5には、シリンダ上下室2A、2B間を連通させる通路11、12が設けられている。そして、通路12には、シリンダ下室2B側からシリンダ上室2A側への流体の流通のみを許容する逆止弁13が設けられ、また、通路11には、シリンダ上室2A側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをシリンダ下室2B側へリリーフするディスクバルブ14が設けられている。
【0015】
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる通路15、16が設けられている。そして、通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への流体の流通のみを許容する逆止弁17が設けられ、また、通路16には、シリンダ下室2B側の流体の圧力が所定圧力に達したとき開弁して、これをリザーバ4側へリリーフするディスクバルブ18が設けられている。シリンダ2内には、作動流体として油液が封入され、リザーバ4内には油液及びガスが封入されている。
【0016】
シリンダ2には、上下両端部にシール部材19を介してセパレータチューブ20が外嵌されており、シリンダ2の側壁とその外周に設けられたセパレータチューブ20の円筒状の側壁との間に環状通路21が形成されている。環状通路21は、シリンダ2の上端部付近の側壁に設けられた通路22によってシリンダ上室2Aに連通されている。セパレータチューブ20の側壁の下部には、環状通路21に連通する接続口23を有する小径の略円筒状の枝管45が突出している。また、外筒3の側壁には、枝管45と略同心に大径の流入口24が開口され、外筒3の側壁の流入口24に減衰力発生機構25が取付けられている。
【0017】
減衰力発生機構25は、外筒の流入口24に取付けられた円筒状のケース26内に、パイロット型(背圧型)のメインバルブ27及びメインバルブ27の開弁圧力を制御するソレノイド駆動の圧力制御弁であるパイロットバルブ28が設けられ、更に、パイロットバルブ28の下流側に、フェイル時に作動するフェイルバルブ29が設けられている。そして、枝管45の接続口23に入口通路を形成する連結管30が液密的に挿入され、接続口23から連結管30に油液を導入し、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通してケース26で囲まれた室26Aへ流通させる。室26A内の油液は、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通してリザーバ4へ流入する。
【0018】
このとき、メインバルブ27の開弁前には、パイロットバルブ28によって油液の流れを制御して減衰力を発生し、メインバルブ27の開弁時には、主にメインバルブ27によって減衰力を発生する。また、パイロットバルブ28の上流側の油液の一部をメインバルブ27の背部の背圧室32に導入し、その内圧をメインバルブ27の閉弁方向に作用させる。リード線41を介してソレノイド40に通電する電流によってパイロットバルブ28の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、フェイルバルブ29は、信号待ちで車を停止しているときや、万一ソレノイド40への通電が遮断されたとき閉弁し、常時開となったパイロットバルブ27の代りに油液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持するようになっている。
【0019】
次にセパレータチューブ20について更に詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、セパレータチューブ20は、両端部にシリンダ2の外周に嵌合するように縮径された縮径部42が形成されている(図2及び図3には下端側のみを示す)。縮径部42には、その軸方向の中間部が内側から外側に膨出されて、Oリング19が嵌合される断面形状が略長方形の内周溝43が形成されている。縮径部42及び内周溝43は、円筒状のセパレータチューブ20に例えばビーディング加工することによって形成することができる。セパレータチューブ20の側壁には、下端側の縮径部42の近傍に、環状通路21に連通する接続口23となる略円筒状の枝管45が径方向外側に突出するように一体に形成されている。枝管45は、例えばバーリング加工、絞り加工等によってセパレータチューブ20の側壁に一体に形成することができる。
【0020】
また、セパレータチューブ20の側壁には、枝管45の上部の近傍に、内側から外側に膨出されて円周方向に沿って延びる補強部46が形成されている。セパレータチューブ20の下端側の縮径部42と補強部46とは、枝管45から略等しい距離に配置されている。このようにセパレータチューブ20の側壁の枝管45の一側近傍に内周溝43が形成され、他側近傍に補強部46が形成されることにより、セパレータチューブ20に内圧が作用したとき、枝管45の基部の上部45A及び下部45Bへの応力の集中が緩和されるようになっている。補強部46は、内周溝42と同様、例えばビーディング加工等によって形成することができる。
【0021】
補強部46は、図1乃至図3に示す例では、セパレータチューブ20の円周方向の一部に設けられているが、全周にわたって形成してもよい。円周方向の一部に設ける場合には、図3に示すように、枝管45の径方向長さを超える長さにする。補強部46の突出高さは、外筒3と干渉しない高さとし、補強部46をセパレータチューブ20の全周にわたって形成する場合には、リザーバ4内の油液の流れを妨げないように、外筒3の内周面との間に必要な隙間を設けるようにする。また、補強部46は、セパレータチューブ20の円周方向に沿って複数配置してもよい。
【0022】
さらに、減衰力発生機構25からリザーバ4への流体の流路である流入口24の上方に配置された補強部46を外筒3の内周面に近づけて、または当接させて、補強部46によって流入口24とリザーバ4内の作動流体の液面Sとの間を仕切る仕切部材を形成してもよい。ここで、仕切部材を形成する場合にはリザーバ内の油液の液面から完全に隔離するもではなく、流入口24からリザーバ4内に流入する油液が上方に向うのを抑制するように形成する。
【0023】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
緩衝器1は、ピストンロッド6側を上方に、ベースバルブ10側を下方に向けて車両のサスペンション装置のバネ上(車体側)、バネ下(車輪側)間等の相対移動可能な2部材間に装着され、リード線41が制御装置に接続される。
【0024】
ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が閉じ、ディスクバルブ14の開弁前には、シリンダ上室2A側の流体が加圧されて、通路22及び環状通路21を通り、セパレータチューブ20の接続口23から減衰力発生機構25の入口通路30へ流入する。そして、入口通路30から流入した流体は、メインバルブ27、パイロットバルブ28及びフェイルバルブ29を通ってケース26で囲まれた室26Aへ流れ、更に、ケース26の端部の通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4へ流入する。
【0025】
このとき、ピストン5が移動した分の流体がリザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開いてシリンダ下室2Bへ流入する。なお、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のディスクバルブ14の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ14が開いて、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフすることにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇を防止する。
【0026】
ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動によって、ピストン5の逆止弁13が開き、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉じて、ディスクバルブ18の開弁前には、ピストン下室2Bの流体がシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の流体がシリンダ上室2Aから、上記伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。なお、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のディスクバルブ18の開弁圧力に達すると、ディスクバルブ18が開いて、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフすることにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇を防止する。
【0027】
これにより、ピストンロッド6の伸縮行程時共に、減衰力発生機構25において、メインバルブ27の開弁前(ピストン速度低速域)においては、パイロットバルブ28によって減衰力が発生し、メインバルブ27の開弁後(ピストン速度高速域)においては、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、ソレノイド40への通電電流によってパイロットバルブ28の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室32の内圧が変化してメインバルブ27の開弁圧力及び開度を調整することができる。また、車が信号で停車したときや、万一、ソレノイド40への通電が遮断された場合には、フェイルバルブ29が閉弁し、常時開となったパイロットバルブの代りに油液の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を防止して適度な減衰力を維持することができる。
【0028】
セパレータチューブ20は、枝管45の上下両側の近傍に内周溝43と補強部46とが形成されているので、内圧が作用したとき、枝管45の基部の上部45A及び下部45Bへの応力の集中を緩和することができ、耐圧性を高めることができる。その結果、セパレータチューブ20は、必要な耐圧性を確保しつつ、薄肉化が可能になるので、減衰力を増大させつつ、軽量化を達成することができる。
【0029】
また、補強部46を流入口24とリザーバ4の液面Sとの間を仕切る仕切部材とすることにより、減衰力発生機構25から通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4内に流入する油液が補強部46によってリザーバ4内の油液の液面S側に向うのを抑制することができる。これにより、油圧緩衝器1の使用状態において、減衰力発生機構25から通路31及び外筒3の流入口24を通ってリザーバ4内に流入する油液のうち、リザーバ4内上方への油液の流れが規制され、流入口24を通ってリザーバ4内に流入する油液の噴流による液面Sの付近での渦及び気泡の発生が抑制される。その結果、リザーバ4内のガスの油液中への溶け込みを抑制し、エアレーション及びキャビテーションが発生し難くして、安定した減衰力を得ることができる。
【0030】
さらに、補強部46により、減衰力発生機構25からリザーバ4内へ流入する油液の流路面積の急激な拡大が緩和されるので、リザーバ4への流入による油液の流速の急激な上昇を緩和して渦の発生を抑制することができる。その結果、渦の発生に伴う気泡の発生及び油液中へのガスの溶け込みを抑制し、エアレーション及びキャビテーションが発生し難くして、安定した減衰力を得ることができる。
【0031】
次に上記第1実施形態のセパレータチューブ20に形成された補強部46の変形例について図4を参照して説明する。なお、以下の説明において上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0032】
上記第1実施形態では、補強部46は、セパレータチューブ20の内側から外側へ膨出されているが、図4に示す変形例では、補強部50は、外側から内側に膨出するものとなっている。この場合、図4に示す変形例では、補強部50は、セパレータチューブ20の全周にわたって形成されているが、枝管45の径方向長さを超える長さに形成してもよく、また、円周方向に沿って複数配置してもよい。補強部50は、図4に示すように、セパレータチューブ20の全周にわたって形成する場合は、環状通路21の油液の流れを阻害しないように、シリンダ2の外周面との間に隙間を形成するように突出高さを設定する。これにより、上記第1実施形態と同様、セパレータチューブ20に内圧が作用したとき、枝管45の基部の上部45A及び下部45Bへの応力の集中を緩和して耐圧性を高めることができる。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0034】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、補強部60は、バルジ加工によってセパレータチューブ20の側壁を全周にわたって内側から外側に膨出させることにより形成されている。補強部60は、枝管45の上部は、図7に示すように、外筒3の内周面にほぼ当接するように突出されて、流入口24とリザーバ4の液面S(図1参照)との間を仕切る仕切部材を形成している。補強部60は、上端部がセパレータチューブ20の外周面に沿った円周上にあるのに対して、下端部は、枝管45の上部から両側部にかけて軸方向の寸法が徐々に大きくなり、枝管45を覆う湾曲形状となっている。また、補強部60の突出高さは、枝管45が形成されたセパレータチューブ20の正面では、外筒3の内周面にほぼ当接する高さであるのに対して、側部及び背部では外筒3の内周面との間に隙間を形成して環状通路21の流路を確保するようになっている。
【0035】
このように補強部60を形成することにより、上記第1実施形態のものと同様、セパレータチューブ20に内圧が作用した際の枝管45の基部の上部45A及び下部45Bへの応力の集中を緩和することができ、また、補強部60が仕切部材として機能することにより、エアレーション及びキャビテーションの発生を抑制することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…緩衝器、2…シリンダ、3…外筒、4…リザーバ、5…ピストン、6…ピストンロッド、20…セパレータチューブ、21…環状通路、25…減衰力発生機構、43…内周溝、45…枝管、46…補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内に挿入されたピストンと、
該ピストンに連結されて前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、
前記シリンダの外周に設けられた外筒と、
前記シリンダと前記外筒との間に設けられ、前記シリンダ内と連通する環状通路を形成する略円筒状の側壁を有するセパレータチューブと、
前記シリンダと前記外筒との間の前記セパレータチューブの外側に形成されて作動流体及びガスが封入されたリザーバと、
前記セパレータチューブの側壁に一体に形成されて径方向外側に突出して前記環状通路に連通する略円筒状の枝管と、
前記外筒の外部に配置されて前記枝管に接続される減衰力発生機構と、を備えた緩衝器において、
前記セパレータチューブの側壁の前記枝管の一側には、内側から外側に膨出され、シール部材が装着される環状の内周溝が形成され、前記枝管の他側には、内側から外側又は外側から内側に膨出されて周方向に沿って延びる補強部が形成されていることを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
前記補強部は、前記減衰力発生機構から前記リザーバへの作動流体の流入口と、前記リザーバ内の作動流体の液面との間を仕切る仕切部材を形成することを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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