説明

緩衝装置

【課題】重量を軽減し、部品点数を削減し、且つ安価にすることを可能とする緩衝装置を得る。
【解決手段】ベース3に引き戸65の移動方向に沿って併設された直線ガイド孔23、25の併設方向外端部にストッパ用の係止ガイド孔27、29を備えた一対のガイド部5、7と、ガイド部5、7の直線ガイド孔23、25に沿ってそれぞれ可動支持され係止ガイド孔27、29でのガイドにより係合保持される一対の可動駒体9、11と、可動駒体9又は可動駒体11に形成され直線ガイド孔23、25に交差する方向に開口し開口部63の凸部61a又は凸部61bに係合する係合凹部13又は係合凹部15と、一対の可動駒体9、11間に介設され両可動駒体9、11を直線ガイド孔23、25に沿って引きつけるように付勢する単一のばね17と、一対の可動駒体9、11間に介設さればね17の付勢力を減衰する単一の直線ダンパ19とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸等の開閉動作の緩衝等に利用される緩衝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の引き戸等の開閉動作を緩衝する装置では、自動的な引き込み装置に、油圧を利用した直線ダンパや回転ダンパを選択して組み合わせたものがある。かかる装置では、例えば、引き戸が閉まる手前でスプリングを利用した引き込み装置が作用すると共に直線ダンパや回転ダンパにより減衰し、自動引き込み及び緩衝を行わせることができる。
【0003】
この場合、同様の構造を追加することで引き戸が全開する手前で自動引き込み及び緩衝を行わせることができる。
【0004】
しかし、かかる構造では、各引き戸にスプリング及びダンパが一対必要となり、重量、部品点数が増大し、且つ高価になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−120619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、引き戸等の閉まる手前及び全開する手前等の双方で自動引き込み及び緩衝を行わせる構造にすると重量、部品点数が増大し、且つ高価になるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、重量を軽減し、部品点数を削減し、且つ安価にすることを可能とするため、可動側又は固定側に取り付けられるベースと、前記固定側又は可動側に形成された衝突部と、前記ベースに前記可動側の移動方向に沿って直線的に併設された一対の直線ガイド部と、前記直線ガイド部の併設方向外端部に対応して形成されたストッパ用の係止部と、前記各直線ガイド部に沿ってそれぞれ可動支持され前記係止部に係脱可能に保持される一対の可動駒体と、前記各可動駒体に形成され前記固定側の衝突部に係合又は磁着し若しくは前記可動側の衝突部が係合又は磁着し前記直線ガイド部に沿った移動力を受けたとき前記係止部による係止を外すための係合部と、前記一対の可動駒体間に介設され両可動駒体を前記直線部に沿って引きつけるように付勢する単一のばねと、前記一対の可動駒体間に介設さればねの付勢力を減衰する単一の直線ダンパとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記構成であるから、単一のばねと単一の直線ダンパとで双方向の自動引き込み及び緩衝を行わせることができ、重量を軽減し、部品点数を削減し、且つ安価な緩衝装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】緩衝装置の正面図である。(実施例1)
【図2】緩衝装置の動作説明図に係り、(a)は、固定側との衝突前、(b)は、衝突開始、(c)は、引き込み、(d)は、引き戻し、(e)は、係合復帰を示す説明図である。(実施例1)
【図3】引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図4】引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図5】引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図6】引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図7】引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図8】開口部に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図9】開口部に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図10】開口部に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。(実施例1)
【図11】緩衝装置の平面図である。(実施例2)
【図12】緩衝装置の内部を表した正面図である。(実施例2)
【図13】緩衝装置の側面図である。(実施例2)
【図14】緩衝装置の動作説明図に係り、(a)は、固定側との衝突前、(b)は、衝突開始、(c)は、引き込み、(d)は、引き戻し、(e)は、係合復帰を示す説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0010】
重量を軽減し、部品点数を削減し、且つ安価にすることを可能とするという目的を、ベースと直線ガイド部と係止部と一対の可動駒体と係合部と単一のばね及び直線ダンパにより実現した。
【実施例1】
【0011】
[緩衝装置]
図1は、緩衝装置の正面図である。
【0012】
図1のように、この緩衝装置1は、ベース3と一対のガイド部5、7と一対の可動駒体9、11と係合凹部13、15と単一のばね17及び直線ダンパ19とを備えている。
【0013】
ベース3は、金属、樹脂等で形成され、可動側に取り付けられるものであり、周縁部に取り付け用の締結穴21が複数所定間隔で形成され、下部にダンパ支持部22が形成されている。
【0014】
ガイド部5、7は、直線ガイド部としての直線ガイド孔23、25及び係止部としての係止ガイド孔27、29からなり、可動側の移動方向に沿って直線ガイド孔23、25が併設されている。この直線ガイド孔23、25の併設方向外端部には、前記係止ガイド孔27、29がストッパ用として備えられている。係止ガイド孔27、29は、直線ガイド孔23、25に直交し、直線ガイド孔23、25との間に、傾斜した遷移部27a、29aを備えている。
【0015】
可動駒体9、11は、対称形状に形成され、直線ガイド孔23、25に沿ってそれぞれ可動支持され係止ガイド孔27、29でのガイドにより傾斜して係合保持される構成となっている。
【0016】
すなわち、可動駒体9、11は、ピン31、33、35,37により直線ガイド孔23、25に沿って移動可能に支持され、ピン33、37が係止ガイド孔27、29に至るとピン31、35を中心に回転する。この回転によりピン33、37が係止ガイド孔27、29に係合し、可動駒体9、11が傾斜して係合保持される。
【0017】
可動駒体9、11には、図1において上縁部に前記係合凹部13、15が係合部として直線ガイド孔23、25に交差する方向に矩形に開口し、固定側の衝突部である後述する凸部に係合する構成となっている。可動駒体9、11が直線ガイド孔23、25を移動するときは、係合凹部13、15がベース3の上縁部3aから突出する。図1において可動駒体9、11の下部には、嵌合部39、41、43、45が形成されている。
【0018】
一対の可動駒体9、11間には、前記単一のばね17と、単一の直線ダンパ19とが介設されている。
【0019】
単一のばね17は、引張コイルばねで構成され、一対の可動駒体9、11間でベース3に沿って直線的に配置され、両端部に結合体51、53が取り付けられている。結合体51、53の各先端は球状部51a、53aとなっており、可動駒体9、11の嵌合部39、43に相対回転自在且つ引張力付与可能に結合されている。
【0020】
単一の直線ダンパ19は、ピストン・シリンダ・タイプであり、一対の可動駒体9、11間でばね17に平行且つベース3に沿って直線的に配置されている。ロッド19a及びシリンダ19bの端部には、結合体55、57が設けられている。結合体55、57の各先端は球状部55a、57aとなっており、可動駒体9、11の嵌合部41、45に相対回転自在且つダンピング力付与可能に結合されている。
[可動側ユニットへの取り付けと引き込み動作]
図2は、緩衝装置の動作説明図に係り、(a)は、固定側との衝突前、(b)は、衝突開始、(c)は、引き込み、(d)は、引き戻し、(e)は、係合復帰を示す説明図である。
【0021】
(a)緩衝装置1は、直線移動する可動側ユニットに取り付けられ、固定側ユニット59の凸部61に対し可動側ユニットと共に直線移動する。このとき、ピン33,37が係止ガイド孔27、29に至って係合保持されており、ピン31、35を中心に回転して傾斜状態であり、可動駒体9(11)の係合凹部13(15)が進行方向に指向傾斜している。
【0022】
(b)可動側ユニットの移動により緩衝装置1の傾斜した係合凹部13が凸部61に衝突すると、可動駒体9が凸部61から抵抗を受けて直線ガイド孔23に沿った移動力を受ける。このとき可動駒体9は、ピン31回りに回転し、ピン33が係止ガイド孔27から外れてピン31、33が共にガイド部5の直線ガイド孔23でのガイド状態となる。
【0023】
(c)ピン31、33がガイド部5の直線ガイド孔23でのガイド状態になると、可動駒体9がガイド部5の直線ガイド孔23に沿って直線移動可能となり、凸部61から可動駒体9が受けた衝突力が、可動駒体9の直線移動により嵌合部41、結合体55、ロッド19aを介して直線ダンパ19で受けられる。
【0024】
このとき、シリンダ19b側の結合体57から可動駒体11の嵌合部45に力が伝達されると、ピン37から係止ガイド孔29に力が伝達され、可動駒体11は、そのままの姿勢を維持する。
【0025】
衝突力を受けた直線ダンパ19は、可動駒体9の移動に伴って衝突力を吸収し、同時にばね17から結合体51、53を介し可動駒体9が可動駒体11方向へ引っ張り力を受ける。
【0026】
この引っ張り力で、直線ダンパ19の抵抗を受けながら可動駒体9が直線ガイド孔23をその端部まで静かに移動し、引き込まれる。
【0027】
(d)可動側ユニットが逆方向へ移動すると、凸部61に係合している可動駒体9はそのままの位置を維持するから、ベース3側の移動により可動駒体9が直線ガイド孔23の係止ガイド孔27側へ相対移動する。この相対移動で、ばね17及び直線ダンパ19は伸長する。
【0028】
(e)可動側ユニットが逆方向へさらに移動すると、ピン33が遷移部27aを経て係止ガイド孔27へ移行し、可動駒体9がピン31を中心に回転し、傾斜して係合保持される。
【0029】
この可動駒体9の傾斜により係合凹部13が凸部61から外れ、可動側ユニットはフリーに移動可能となる。
【0030】
(a)〜(e)までの動作は、可動駒体11側においても、逆方向への移動で図示しない凸部との関係により同様に行われる。
[引き戸への取り付け]
図3〜図7は、引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。なお、図3〜図7では、ドア引き込みユニットを拡大して関連図示している。
【0031】
図3〜図7のように、固定側である家屋の開口部63に、可動側である引き戸65が組み付けられ、引き戸65を開口部63に対しスライド移動させることで開口部63を開閉可能となっている。
【0032】
開口部63には、固定側のスライド・レールが取り付けられ、このスライド・レールに引き戸65が直線移動可能に支持されている。開口部1には、固定側の凸部61a,61bが引き戸65の全開位置及び全閉位置に対応して設けられている。引き戸65には、前記緩衝装置1で構成されたドア引き込みユニット67が取り付けられている。
【0033】
図3は、図2の動作説明(c)に対応し、可動駒体9の係合凹部13が、開口部63の凸部61aに係合し、ばね17の引っ張り力で、直線ダンパ19の抵抗を受けながら可動駒体9が直線ガイド孔23をその端部まで静かに移動し、引き戸65が全閉位置へ引き込まれている。
【0034】
図4は、図2の動作説明(d)に対応し、引き戸65が開かれドア引き込みユニット67が移動すると、凸部61aに係合している可動駒体9はそのままの位置を維持するから、引き戸65と共に移動するベース3側に伴って、可動駒体9が直線ガイド孔23の係止ガイド孔27側へ相対移動する。この相対移動で、ばね17及び直線ダンパ19は伸長する。
【0035】
図5は、図2の動作説明(e)に対応し、引き戸65と共にドア引き込みユニット67が開方向へさらに移動すると、ピン33が遷移部27aを経て係止ガイド孔27へ移行し、可動駒体9がピン31を中心に回転し、傾斜して係合保持される。
【0036】
この可動駒体9の傾斜により係合凹部13が凸部61aから外れ、ドア引き込みユニット67はフリーに移動可能となる。
【0037】
このため、ばね17及び直線ダンパ19の抗力を受けることなく引き戸65を全開方向へフリーに開くことができる。
【0038】
図6は、図2の動作説明(b)に対応し、引き戸65と共にドア引き込みユニット67が全開方向へさらに移動すると、ドア引き込みユニット67の可動駒体11の傾斜した係合凹部15が凸部61bに衝突する。この衝突で可動駒体11が凸部61bから抵抗を受けてピン35回りに回転しながらピン37が係止ガイド孔29から外れてピン35、37が共にガイド部7の直線ガイド孔25でのガイド状態となる。
【0039】
図7は、図2の動作説明(c)に対応し、ピン35、37がガイド部7の直線ガイド孔25でのガイド状態になると、可動駒体11がガイド部7の直線ガイド孔25に沿って直線移動可能となり、凸部61bから可動駒体11が受けた衝突力が、可動駒体11の直線移動により嵌合部45、結合体57、シリンダ19bを介して直線ダンパ19で受けられる。
【0040】
このとき、ロッド19a側の結合体55から可動駒体9の嵌合部41に力が伝達されると、ピン33から係止ガイド孔27に力が伝達され、可動駒体9は、そのままの姿勢を維持する。
【0041】
衝突力を受けた直線ダンパ19は、可動駒体11の移動に伴って衝突力を吸収し、同時にばね17から結合体51、53を介し可動駒体11が可動駒体9方向へ引っ張り力を受ける。
【0042】
この引っ張り力で、直線ダンパ19の抵抗を受けながら可動駒体11が直線ガイド孔25をその端部まで静かに移動し、引き戸65が全開状態へ静かに移動する。
[開口部への取り付け]
図8〜図10は、引き戸に装着したドア引き込みユニットの動作説明図である。なお、図8〜図10では、ドア引き込みユニットを拡大して関連図示している。なお、構成要素は、図3〜図7と同一であり、同符号を付し、重複した説明は、省略する。
【0043】
図8〜図10では、緩衝装置1を、固定側である開口部63に取り付け、可動側の衝突部となる凸部61a,61bが引き戸65の全開位置及び全閉位置に対応して引き戸65に設けられている。
【0044】
図8は、図3に対応し、可動駒体9の係合凹部13に、引き戸65の凸部61aが係合し、ばね17の引張り力で、直線ダンパ19の抵抗を受けながら可動駒体9が直線ガイド孔23をその端部まで静かに移動し、引き戸65が全閉位置へ引き込まれている。
【0045】
引き戸65が開かれ凸部61aが移動すると、凸部61aが係合している可動駒体9が直線ガイド孔23の係止ガイド孔27側へ相対移動する。この相対移動で、ばね17及び直線ダンパ19は伸長する。
【0046】
図9は、図5に対応し、引き戸65と共に凸部61aが開方向へさらに移動すると、ピン33が遷移部27aを経て係止ガイド孔27へ移行し、可動駒体9がピン31を中心に回転し、傾斜して係合保持される。
【0047】
この可動駒体9の傾斜により係合凹部13から凸部61aが外れ、ドア引き込みユニット67はフリーに移動可能となる。
【0048】
このため、ばね17及び直線ダンパ19の抗力を受けることなく引き戸65を全開方向へフリーに開くことができる。
【0049】
引き戸65が全開方向へさらに移動すると、ドア引き込みユニット67の可動駒体11の傾斜した係合凹部15に凸部61bが衝突する。この衝突で可動駒体11が凸部61bから抵抗を受けてピン35回りに回転しながらピン37が係止ガイド孔29から外れてピン35、37が共にガイド部7の直線ガイド孔25でのガイド状態となる。
【0050】
図10は、図7に対応し、ピン35、37がガイド部7の直線ガイド孔25でのガイド状態になると、可動駒体11がガイド部7の直線ガイド孔25に沿って直線移動可能となり、凸部61bから可動駒体11が受けた衝突力が、可動駒体11の直線移動により嵌合部45、結合体57、シリンダ19bを介して直線ダンパ19で受けられる。
【0051】
このとき、ロッド19a側の結合体55から可動駒体9の嵌合部41に力が伝達されると、ピン33から係止ガイド孔27に力が伝達され、可動駒体9は、そのままの姿勢を維持する。
【0052】
衝突力を受けた直線ダンパ19は、可動駒体11の移動に伴って衝突力を吸収し、同時にばね17から結合体51、53を介し可動駒体11が可動駒体9方向へ引っ張り力を受ける。
【0053】
この引っ張り力で、直線ダンパ19の抵抗を受けながら可動駒体11が直線ガイド孔25をその端部まで静かに移動し、引き戸65が全開状態へ静かに移動する。
[実施例1の効果]
本発明実施例1の緩衝装置1は、引き戸65又は開口部63に取り付けられるベース3と、開口部63又は引き戸65に形成された凸部61a、凸部61bと、ベース3に引き戸65の移動方向に沿って直線ガイド孔23、25が併設されこの直線ガイド孔23、25の併設方向外端部にストッパ用の係止ガイド孔27、29を備えた一対のガイド部5、7と、各ガイド部5、7の直線ガイド孔23、25に沿ってそれぞれ可動支持され係止ガイド孔27、29でのガイドにより傾斜して係合保持される一対の可動駒体9、11と、可動駒体9、11に形成され直線ガイド孔23、25に交差する方向に開口し開口部63又は引き戸65の凸部61a、凸部61bに係合する係合凹部13、15と、一対の可動駒体9、11間に介設され両可動駒体9、11を直線ガイド孔23、25に沿って引きつけるように付勢する単一のばね17と、一対の可動駒体9、11間に介設さればね17の付勢力を減衰する単一の直線ダンパ19とを備えた。
【0054】
このため、単一のばね17及び直線ダンパ19により何れの可動駒体9、11も引き付け動作させることができる。したがって、引き戸65の全開位置及び全閉位置の双方向の自動引き込み及び緩衝を行わせることができ、重量を軽減し、部品点数を削減し、且つ安価な緩衝装置を得ることができる。
【実施例2】
【0055】
図11〜図14は、本発明の実施例2に係り、図11は、緩衝装置の平面図、図12は、緩衝装置の内部を表した正面図、図13は、緩衝装置の側面図、図14は、緩衝装置の動作説明図に係り、(a)は、固定側との衝突前、(b)は、衝突開始、(c)は、引き込み、(d)は、引き戻し、(e)は、係合復帰を示す説明図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分にAを付し、重複説明は省略する。
[緩衝装置]
図11〜図14のように、この緩衝装置1Aは、ベース3Aと一対の直線ガイド部である直線ガイド孔23A、25Aと一対の可動駒体9A、11Aと係合凸部13A、15Aと単一のばね17A及び直線ダンパ19Aとを備えている。
【0056】
ベース3Aは、金属、樹脂等で形成され、可動側に取り付けられるものであり、天板3Aa、側板3Ab、3Ac、底板3Adの閉じ断面構造であり、両端部が取り付け用のブラケット3Ae、3Afにより閉止されている。両ブラケット3Ae、3Afには、取り付け用の締結穴21Aが形成されている。
【0057】
直線ガイド孔23A、25Aは、天板3Aaに形成されている。
【0058】
ベース3Aの底板3Adには、両端部に段差部27A、29Aが形成されている。段差部27A、29Aは、直線ガイド孔23A、25Aの併設方向外端部に対応してストッパ用として形成され各可動駒体9A、11Aをこの位置で係合保持させるものである。
【0059】
可動駒体9A、11Aは、対称形状に形成され、くびれ部9Aa、11Aaが直線ガイド孔23A、25Aに沿ってそれぞれ可動支持されている。可動駒体9A、11Aの図上の下端は、平坦に形成され、底板3Ad上を摺動可能となっている。可動駒体9A、11Aの下端には、チェック体33Aa、37Aaが支持され、チェックスプリング33Ab、37Abで付勢されている。チェック体33Aa、37Aaがチェックスプリング33Ab、37Abの付勢で段差部27A、29Aに落ち込むと、各可動駒体9A、11Aの係合保持が起立状態で行われる。
【0060】
可動駒体9A、11Aには、図12において上縁部に前記係合凸部13A、15Aが係合部として直線ガイド孔23A、25Aに交差する方向に突出し、固定側の衝突部である後述する磁性体部に磁着する構成となっている。このため、係合凸部13A、15Aには、マグネット13Aa、15Aaが埋め込まれている。
【0061】
一対の可動駒体9A、11A間には、前記単一のばね17Aと、単一の直線ダンパ19Aとが介設されている。
【0062】
単一のばね17Aは、引張コイルばねで構成され、両端部のフック部17Aa、17Abが一対の可動駒体9A、11Aの係止ピン9Ab、11Abに掛け止められている。
【0063】
単一の直線ダンパ19Aは、ロッド19Aa及びシリンダ19Abの端部が、可動駒体9A、11Aに螺合などにより結合されている。ロッド19Aa及びシリンダ19Abの配置関係は、逆にすることもできる。
[可動側ユニットへの取り付けと引き込み動作]
図14は、緩衝装置の動作説明図に係り、(a)は、固定側との衝突前、(b)は、衝突開始、(c)は、引き込み、(d)は、引き戻し、(e)は、係合復帰を示す説明図である。
【0064】
図14の(a)〜(e)の動作は、実施例1の図2の(a)〜(e)の動作に対応している。なお、図14にない符号は、図11〜図13を参照する。
【0065】
(a)緩衝装置1Aは、直線移動する可動側ユニットに取り付けられ、固定側ユニット59Aの磁性体の衝突部61Aに対し可動側ユニットと共に直線移動する。このとき、可動駒体9A、11Aのチェック体33Aa、37Aaが段差部27A、29Aにチェックスプリング33Ab、37Abの付勢力を介して係合保持されている。
【0066】
(b)可動側ユニットの移動により緩衝装置1Aの係合凸部13Aが衝突部61Aに衝突すると、可動駒体9Aが衝突部61Aから抵抗を受けて直線ガイド孔23Aに沿った移動力を受ける。このとき可動駒体9Aのチェック体33Aaがチェックスプリング33Abの付勢力に抗して退避することにより段差部27Aから外れ、底板3Ad上を摺動可能となる。
【0067】
(c)チェック体33Aaが段差部27Aから外れると、可動駒体9Aが直線ガイド孔23Aに沿って直線移動可能となり、衝突部61Aから可動駒体9が受けた衝突力が、可動駒体9Aの直線移動により直線ダンパ19Aで受けられる。
【0068】
衝突力を受けた直線ダンパ19Aは、可動駒体9Aの移動に伴って衝突力を吸収し、同時にばね17Aから可動駒体9Aが可動駒体11A方向へ引っ張り力を受ける。
【0069】
この引っ張り力で、直線ダンパ19Aの減衰を受けながら可動駒体9Aが直線ガイド孔23Aをその端部まで静かに移動し、引き込み力を出す。このとき、直線ガイド孔23Aの端部は、引き込み時のストッパを兼ねる。直線ガイド孔25Aの端部も同様に可動駒体11A引き込み時のストッパを兼ねる。
【0070】
(d)可動側ユニットが逆方向へ移動すると、衝突部61Aに磁着している可動駒体9Aはそのままの位置を維持するから、ベース3A側の移動により可動駒体9Aがブラケット3Ae側へ相対移動する。この相対移動で、ばね17A及び直線ダンパ19Aは伸長する。
【0071】
(e)可動側ユニットが逆方向へさらに移動すると、可動駒体9Aがブラケット3Aeに当接し、チェック体33Aaが段差部27Aにチェックスプリング33Abの付勢力により落ち込み、係合保持される。
【0072】
この可動駒体9Aの係合保持により係合凸部13Aが衝突部61Aから離脱し、可動側ユニットはフリーに移動可能となる。
【0073】
(a)〜(e)までの動作は、可動駒体11A側においても、逆方向への移動で図示しない衝突部との関係により同様に行われる。
【0074】
したがって、本実施例も図3〜図7同様に、開口部の引き戸に適用することができ、同様の作用効果を奏することができる。また、ベース3Aが閉じ断面構造であり、直線ダンパ19Aから液漏れがあっても、外部への流出を規制することができる。
【0075】
なお、本実施例2の緩衝装置1Aも、図8〜図10のように、固定側である固定側ユニット59Aに取り付け、磁性体の衝突部61Aを可動側ユニットに形成することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1、1A 緩衝装置
3、3A ベース
9、9A、11、11A 可動駒体
17、17A ばね
19、19A 直線ダンパ
23、23A、25、25A 直線ガイド孔(直線ガイド部)
27,29 係止ガイド孔(係合部)
27A、29A 段差部(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動側又は固定側に取り付けられるベースと、
前記固定側又は可動側に形成された衝突部と、
前記ベースに前記可動側の移動方向に沿って直線的に併設された一対の直線ガイド部と、
前記直線ガイド部の併設方向外端部に対応して形成されたストッパ用の係止部と、
前記各直線ガイド部に沿ってそれぞれ可動支持され前記係止部に係脱可能に保持される一対の可動駒体と、
前記各可動駒体に形成され前記固定側の衝突部に係合又は磁着し若しくは可動側の衝突部が係合又は磁着し前記直線ガイド部に沿った移動力を受けたとき前記係止部による係止を外すための係合部と、
前記一対の可動駒体間に介設され両可動駒体を前記直線部に沿って引きつけるように付勢する単一のばねと、
前記一対の可動駒体間に介設さればねの付勢力を減衰する単一の直線ダンパと、
を備えたことを特徴とする緩衝装置。
【請求項2】
請求項1記載の緩衝装置であって、
前記直線ガイド部は、直線ガイド孔であり、
前記係止部は、前記直線ガイド孔の併設方向外端部に連続形成され前記各可動駒体を傾斜して係合保持させる係止ガイド孔であり、
前記係合部は、前記各可動駒体に形成され前記直線ガイド孔に交差する方向に開口し前記固定側又は可動側の衝突部に係合する係合凹部である、
ことを特徴とする緩衝装置。
【請求項3】
請求項1記載の緩衝装置であって、
前記直線ガイド部は、直線ガイド孔であり、
前記係止部は、前記ベースに形成され前記各可動駒体を係合保持させる段差部であり、
前記係合部は、前記各可動駒体に形成され前記直線ガイド孔に交差する方向に突出し前記固定側又は可動側の衝突部に磁着する係合凸部である、
ことを特徴とする緩衝装置。
【請求項4】
請求項1記載の緩衝装置であって、
前記ベースは、開口部に備えられた引き戸又は開口部に取り付けられ、
前記衝突部は、前記引き戸の移動方向で前記開口部の全開側及び全閉側に対応して前記開口部又は引き戸に一対設けられた、
ことを特徴とする緩衝装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate