説明

緩衝部材

【課題】緩衝部材の小型化を図ることである。
【解決手段】x軸方向において長手方向を有する被梱包物の端面と該被梱包物を収容する梱包箱の内周面との間に配置される緩衝部材16b。板状部20は、被梱包物の端面と対向する。板状部20には、板状部20をx軸方向に貫通する孔により構成されているスリットSL11であって、x軸方向から平面視したときに、点a,bを両端とし、かつ、点a,bを結ぶ直線l1に対して点e側に突出しているL字型の軌道有するスリットSL11が設けられている。被梱包物の端面は、直線l1及びスリットSL11により囲まれている領域A1において、板状部20に接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝部材、特に、被梱包物と該被梱包物が収容される梱包箱の内周面との間に配置される緩衝部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の緩衝部材としては、特許文献1に記載の緩衝部材が知られている。図7は、特許文献1に記載の緩衝部材542L,542R、カバー541L,541R、作像カートリッジ521及び梱包資材545を示した図である。
【0003】
作像カートリッジ521には、作像カートリッジ521の長手方向の両端部分にプラスチックからなるカバー541L,541Rが取り付けられる。更に、カバー541L,541Rの上から覆いかぶさるように、緩衝部材542L,542Rが作像カートリッジ521に取り付けられる。緩衝部材542L,542Rは、梱包資材545内で作像カートリッジ521が動いてしまうことにより、作像カートリッジ521が破損することを防止する役割を果たすと共に、外部からの衝撃を吸収する役割を果たす。そこで、緩衝部材542L,542Rは、衝撃吸収性に優れる発泡スチロールにより形成され、作像カートリッジ521の長手方向に延びる2本の脚部543及び脚部543より短い2本の脚部544を備えている。そして、緩衝部材542L,542Rが取り付けられた作像カートリッジ521は、台形の面を有する六面体の梱包資材545に収容される。
【0004】
以上のような緩衝部材542L,542Rによれば、梱包資材545が落下した際の衝撃を、緩衝部材542L,542Rの脚部543,544により吸収することができる。例えば、梱包資材545の長手方向が鉛直方向と一致し、かつ、緩衝部材542Rが緩衝部材542Lよりも下側に位置した状態で落下した場合には、緩衝部材542Rの脚部543,544は、圧縮及び/又は撓むことにより、衝撃を吸収する。これにより、緩衝部材542Rは、作像カートリッジ521に衝撃が伝わることを防止している。
【0005】
ところで、特許文献1に記載の緩衝部材542L,542Rでは、脚部543,544が作像カートリッジ521の長手方向に延在している。そのため、緩衝部材542L,542Rは、作像カートリッジ521の長手方向において大型化してしまうという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−260556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、緩衝部材の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る緩衝部材は、所定方向において長手方向を有する被梱包物の長手方向の端部と該被梱包物を収容する第1の梱包箱の内周面との間に配置される緩衝部材であって、前記被梱包物の長手方向の端部と対向する板状部を、備えており、前記板状部には、該板状部を前記所定方向に貫通する孔により構成されている第1のスリットであって、該所定方向から平面視したときに、第1の点及び第2の点を両端とし、かつ、該第1の点と該第2の点とを結ぶ直線に対して一方の方向に突出する軌道を有する第1のスリットが設けられており、前記被梱包物の長手方向の端部は、前記直線及び前記第1のスリットにより囲まれている領域において、前記板状部に接触していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、緩衝部材の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】現像装置が梱包箱に収容される様子を示した外観斜視図である。
【図2】図2(a)は、梱包箱が梱包箱に収容される様子を示した外観斜視図である。図2(b)は、梱包箱が収容された梱包箱の外観斜視図である。
【図3】緩衝部材の外観斜視図である。
【図4】図4(a)は、緩衝部材をx軸方向の負方向側から平面視した図である。図4(b)は、緩衝部材をx軸方向の正方向側から平面視した図である。
【図5】図5(a)は、衝撃が加わっていないときの図4(b)のA−Aにおける断面構造図である。図5(b)は、衝撃が加わっているときの図4(b)のA−Aにおける断面構造図である。
【図6】変形例に係る緩衝部材の断面構造図である。
【図7】特許文献1に記載の緩衝部材、カバー、作像カートリッジ及び梱包資材を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の一実施形態に係る緩衝部材について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(緩衝部材の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る緩衝部材の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、現像装置2が梱包箱14に収容される様子を示した外観斜視図である。図2(a)は、梱包箱14が梱包箱18に収容される様子を示した外観斜視図である。図2(b)は、梱包箱14が収容された梱包箱18の外観斜視図である。本実施形態では、現像装置2の長手方向をx軸方向と定義する。また、直方体からなる梱包箱14の高さ方向をz軸方向と定義し、x軸方向とz軸方向と直交する方向をy軸方向と定義する。
【0013】
図1には、現像装置(電子機器)2、袋4、緩衝部材6,8,10,12及び梱包箱14が記載されている。現像装置2は、プリンタやMFP等の画像形成装置において、感光体ドラムに現像剤を付与する装置である。現像装置2は、図1に示すように、x軸方向に長手方向を有している。なお、現像装置2の構成は、一般的な画像形成装置の現像装置の構成と同じであるので、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0014】
袋4は、例えば、ポリエチレンからなる袋であり、現像装置2を収容できる大きさを有している。そして、現像装置2は、袋4に収容される。梱包箱14は、図1及び図2(a)に示すように、蓋が閉じられた状態でx軸方向に長手方向を有する直方体をなしている段ボール箱である。梱包箱14は、端面S11,S12、側面S13,S14、底面S15及び上面S16により構成されている。具体的には、端面S11は、梱包箱14のx軸方向の負方向側に位置する面であり、端面S12は、梱包箱14のx軸方向の正方向側に位置する面である。側面S13は、梱包箱14のy軸方向の負方向側に位置する面であり、側面S14は、梱包箱14のy軸方向の正方向側に位置する面である。底面S15は、梱包箱14のz軸方向の負方向側に位置する面であり、上面S16は、梱包箱14のz軸方向の正方向側に位置する面である。
【0015】
緩衝部材6,8,10,12は、図1に示すように、袋4に収容されている現像装置2と梱包箱14の内周面との間に設けられ、落下等による衝撃が現像装置2に伝わることを防止する役割を果たしている。よって、緩衝部材6,8,10,12は、衝撃を吸収しやすい弾性体(例えば、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレン等の弾性領域が広い発泡緩衝材)により作製されている。緩衝部材6は、現像装置2のx軸方向の負方向側の端部に、z軸方向の正方向側から取り付けられる。緩衝部材8は、現像装置2のx軸方向の負方向側の端部に、z軸方向の負方向側から取り付けられる。緩衝部材10は、現像装置2のx軸方向の正方向側の端部に、z軸方向の正方向側から取り付けられる。緩衝部材12は、現像装置2のx軸方向の正方向側の端部に、z軸方向の負方向側から取り付けられる。このように、現像装置2に緩衝部材6,8,10,12が取り付けられることにより、現像装置2は、緩衝部材6,8,10,12により梱包箱14内に固定されるようになる。その結果、現像装置2が梱包箱14内において移動することが制限されるようになる。
【0016】
現像装置2、袋4及び緩衝部材6,8,10,12が梱包箱14に収容されると、図2(a)に示すように、梱包箱14の蓋が閉じられる。梱包箱14の蓋には、テープ等により封が施される。現像装置2、袋4及び緩衝部材6,8,10,12を梱包している梱包箱14を以下では、被梱包物15と呼ぶ。被梱包物15は、梱包箱14と同様に、x軸方向に長手方向を有している。
【0017】
図2(a)には、被梱包物15、緩衝部材16a,16b及び梱包箱18が記載されている。梱包箱18は、蓋が閉じられると、x軸方向に長手方向を有する六面体をなしている段ボール箱であり、被梱包物15及び緩衝部材16a,16bを収容する。梱包箱18は、端面S1,S2、側面S3,S4、底面S5及び上面S6により構成されている。具体的には、底面S5は、梱包箱18のz軸方向の負方向側に位置する面であり、上面S6は、梱包箱18のz軸方向の正方向側に位置する面である。底面S5及び上面S6は、互いに平行であり、かつ、共に同じ平行四辺形をなしている。端面S1は、梱包箱18のx軸方向の負方向側に位置する面であり、端面S2は、梱包箱18のx軸方向の正方向側に位置する面である。端面S1,S2は、互いに平行であり、かつ、同じ長方形をなしている。側面S3は、梱包箱18のy軸方向の負方向側に位置する面であり、側面S4は、梱包箱18のy軸方向の正方向側に位置する面である。側面S3,S4は、互いに平行であり、かつ、同じ長方形をなしている。なお、梱包箱18は、直方体状をなしていてもよい。
【0018】
緩衝部材16a,16bはそれぞれ、被梱包物15の端面S11,S12(すなわち、x軸方向の端部)と梱包箱18の端面S1,S2の内周面との間に設けられ、落下等による衝撃が被梱包物15に伝わることを防止する役割を果たしている。緩衝部材16aは、被梱包物15の端面S11(すなわち、x軸方向の負方向側の端部)に取り付けられる。また、緩衝部材16bは、被梱包物15の端面S12(すなわち、x軸方向の正方向側の端部)に取り付けられる。緩衝部材16a,16bは、衝撃を吸収しやすい弾性体(例えば、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレン等の弾性領域が広い発泡緩衝材)により作製されている。
【0019】
被梱包物15及び緩衝部材16a,16bが梱包箱18に収容されると、図2(b)に示すように、梱包箱18の蓋が閉じられる。梱包箱18の蓋には、テープ等により封が施される。これにより、現像装置2の梱包が完了する。
【0020】
以下に、緩衝部材16a,16bの構成について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図3は、緩衝部材16bの外観斜視図である。なお、図3では、緩衝部材16bの構造を分かり易くするために、緩衝部材16bの一部を切り取って表示してある。図4(a)は、緩衝部材16bをx軸方向の負方向側から平面視した図である。図4(b)は、緩衝部材16bをx軸方向の正方向側から平面視した図である。図5(a)は、衝撃が加わっていないときの図4(b)のA−Aにおける断面構造図である。図5(b)は、衝撃が加わっているときの図4(b)のA−Aにおける断面構造図である。なお、緩衝部材16a,16bは同じ構造を有しているので、以下では、緩衝部材16bを例にとって説明する。
【0021】
緩衝部材16bは、図3及び図4に示すように、板状部20、側壁部22a〜22d及び突起26a〜26h,28a〜28h,30a〜30dを備えている。板状部20は、x軸に対して直交する長方形状の板である。これにより、板状部20は、被梱包物15の端面S12(すなわち、x軸方向の正方向側の端部)と対向している。
【0022】
板状部20には、板状部20をx軸方向に貫通する孔により構成されている直線状のスリットSL1〜SL4が設けられている。より詳細には、板状部20のx軸方向の負方向側の主面を主面Saとし、板状部20のx軸方向の正方向側の主面を主面Sbとする。また、主面Saの対角線の交点を点eとする(図4(a)参照)。スリットSL1〜SL4は、z軸方向から平面視したときに、板状部20の点eから放射状に延びるように設けられている。スリットSL1は、点eに対してz軸方向の正方向側に位置する点aと点eとを繋ぐように設けられている。スリットSL2は、点eに対してy軸方向の負方向側に位置する点bと点eとを繋ぐように設けられている。スリットSL3は、点eに対してz軸方向の負方向側に位置する点cと点eとを繋ぐように設けられている。スリットSL4は、点eに対してy軸方向の正方向側に位置する点dと点eとを繋ぐように設けられている。点a〜dは、点eを中心とする一つの円上に位置している。よって、スリットSL1〜SL4は等しい長さを有している。更に、スリットSL1〜SL4は、z軸方向から平面視したときに、点eを中心として周回する方向において隣り合うもの同士で、等しい角度(90度)をなしている。
【0023】
ここで、z軸方向から平面視したときに、点eを中心として周回する方向において隣り合う2本のスリットSL1〜SL4は、1本のスリットSL11〜SL14を構成している。より詳細には、スリットSL1,SL2は、図4に示すように、スリットSL11を構成している。これにより、スリットSL11は、板状部20をz軸方向に貫通する孔により構成され、点a,bを両端とし、かつ、点a,bを結ぶ直線l1に対して点e側に突出するL字型の軌道を有している。以下、板状部20において、直線l1及びスリットSL11により囲まれている領域を領域A1と呼ぶ。
【0024】
また、スリットSL2,SL3は、図4に示すように、スリットSL12を構成している。これにより、スリットSL12は、板状部20をz軸方向に貫通する孔により構成され、点b,cを両端とし、かつ、点b,cを結ぶ直線l2に対して点e側に突出するL字型の軌道を有している。以下、板状部20において、直線l2及びスリットSL12により囲まれている領域を領域A2と呼ぶ。
【0025】
また、スリットSL3,SL4は、図4に示すように、スリットSL13を構成している。これにより、スリットSL13は、板状部20をz軸方向に貫通する孔により構成され、点c,dを両端とし、かつ、点c,dを結ぶ直線l3に対して点e側に突出するL字型の軌道を有している。以下、板状部20において、直線l3及びスリットSL13により囲まれている領域を領域A3と呼ぶ。
【0026】
また、スリットSL4,SL1は、図4に示すように、スリットSL14を構成している。これにより、スリットSL14は、板状部20をz軸方向に貫通する孔により構成され、点d,aを両端とし、かつ、点d,aを結ぶ直線l4に対して点e側に突出するL字型の軌道を有している。以下、板状部20において、直線l4及びスリットSL14により囲まれている領域を領域A4と呼ぶ。
【0027】
ここで、被梱包物15の端面S12(x軸方向の正方向側の端部)は、領域A1〜A4のそれぞれにおいて、板状部20に対して接触している。より詳細には、被梱包物15の端面S12は、領域A1〜A4において直線l1〜l4のそれぞれから最も離れている部分α〜δ(図4(a)参照)に接触している。そこで、板状部20は、主面Saからx軸方向の負方向側(すなわち、被梱包物15の端面S12)に向かって突出する突起24a〜24dを有している。突起24a〜24dは、図3及び図4(a)に示すように、点eを中心とする半球をスリットSL1〜SL4により4等分した形状をなしている。これにより、部分α〜δはそれぞれ、領域A1〜A4において被梱包物15に向かって最も突出している。その結果、図5(a)に示すように、被梱包物15の端面S12は、部分α〜δにおいて板状部20の突起24a〜24dに接触している。
【0028】
また、板状部20において被梱包物15が接触している主面Saの反対側の主面Sbには、z軸方向から平面視したときに点a〜dと重なる点a'〜d'(図4(b)参照)を結んで得られる円形の軌道を有する溝32が設けられている。これにより、板状部20における溝32が設けられている領域のz軸方向の厚みは、板状部20における他の領域のz軸方向の厚みよりも小さくなっている。
【0029】
更に、図4(b)及び図5(a)に示すように、板状部20の主面Sbには、z軸方向から平面視したときに部分α〜δと重なる部分α'〜δ'に近づくにしたがって、深さが深くなる凹部Gが設けられている。より詳細には、主面Sbの溝32に囲まれている領域内は、x軸方向の負方向側に窪んだドーム状をなしている。その結果、主面Sbの溝32に囲まれている領域において、最も中心近傍に位置している部分α'〜δ'は、x軸方向の最も負方向側に位置するようになる。このように、緩衝部材16bでは、主面Sbの溝32に囲まれている領域内をドーム状とすることにより、板状部20における領域A1〜A4のx軸方向の厚みを薄くしている。
【0030】
側壁部22a〜22dは、図3に示すように、板状部20に対して垂直に立てられた壁であり、x軸方向の負方向側から平面視したときに、ロ字型をなしている。より詳細には、側壁部22aは、板状部20のz軸方向の正方向側に位置する辺からx軸方向の負方向側に向かって延在する長方形状の板である。側壁部22bは、板状部20のy軸方向の負方向側に位置する辺からx軸方向の負方向側に向かって延在する長方形状の板である。側壁部22cは、板状部20のz軸方向の負方向側に位置する辺からx軸方向の負方向側に向かって延在する長方形状の板である。側壁部22dは、板状部20のy軸方向の正方向側に位置する辺からx軸方向の負方向側に向かって延在する長方形状の板である。側壁部22aと側壁部22b,22dとは接続されている。また、側壁部22cと側壁部22b,22dとは接続されている。これにより、側壁部22a〜22dは、図3に示すように、x軸方向の負方向側から平面視したときに、ロ字型をなしている。そして、被梱包物15は、図5(a)に示すように、側壁部22a〜22dに囲まれた領域内に挿入される。これにより、緩衝部材16bが被梱包物15に取り付けられる。
【0031】
突起26a〜26hは、図3及び図4(a)に示すように、側壁部22a〜22dの内周面から側壁部22a〜22dに囲まれた領域の中心に向かって突出している。より詳細には、突起26a,26bは、側壁部22aのz軸方向の負方向側の主面からz軸方向の負方向側に突出するように設けられている。そして、突起26a,26bは、互いに平行にx軸方向に延在している。突起26c,26dは、側壁部22bのy軸方向の正方向側の主面からy軸方向の正方向側に突出するように設けられている。そして、突起26c,26dは、互いに平行にx軸方向に延在している。突起26e,26fは、側壁部22cのz軸方向の正方向側の主面からz軸方向の正方向側に突出するように設けられている。そして、突起26e,26fは、互いに平行にx軸方向に延在している。突起26g,26hは、側壁部22dのy軸方向の負方向側の主面において、y軸方向の負方向側に突出するように設けられている。そして、突起26g,26hは、互いに平行にx軸方向に延在している。
【0032】
以上のように構成された突起26a〜26hは、被梱包物15に緩衝部材16bが取り付けられた際に、被梱包物15の側面S13,S14、底面S15及び上面S16に対して接触する。これにより、被梱包物15は、緩衝部材16bに対して、面(側壁部22a〜22d)で接触するのではなく、線(突起26a〜26h)で接触している。そして、突起26a〜26hは、落下時において圧縮されることにより、衝撃を吸収することができる。
【0033】
突起28a〜28hは、図2、図3及び図4(a)に示すように、側壁部22a〜22dの外周面から突出している。より詳細には、突起28a,28bは、側壁部22aのz軸方向の正方向側の主面からz軸方向の正方向側に突出するように設けられている。そして、突起28a,28bは、互いに平行にx軸方向に延在している。突起28c,28dは、側壁部22bのy軸方向の負方向側の主面からy軸方向の負方向側に突出するように設けられている。そして、突起28c,28dは、互いに平行にx軸方向に延在している。突起28e,28fは、側壁部22cのz軸方向の負方向側の主面からz軸方向の負方向側に突出するように設けられている。そして、突起28e,28fは、互いに平行にx軸方向に延在している。突起28g,28hは、側壁部22dのy軸方向の正方向側の主面において、y軸方向の正方向側に突出するように設けられている。そして、突起28g,28hは、互いに平行にx軸方向に延在している。
【0034】
以上のように構成された突起28a〜28hは、被梱包物15及び緩衝部材16bが梱包箱18に収容された際に、梱包箱18の側面S3,S4、底面S5及び上面S6の内周面に対して接触している。これにより、梱包箱18は、緩衝部材16bに対して、面(側壁部22a〜22d)で接触するのではなく、線(突起28a〜28h)で接触している。そして、突起28a〜28hは、落下時において圧縮されることにより、衝撃を吸収することができる。
【0035】
突起30a〜30dは、図2(a)に示すように、板状部20の主面Sbからx軸方向の正方向側に突出している。突起30a〜30dは、主面Sbの4つの角近傍に設けられている。具体的には、突起30aは、y軸方向の正方向側であってかつz軸方向の正方向側に位置する角に設けられている。突起30bは、y軸方向の負方向側であってかつz軸方向の正方向側に位置する角に設けられている。突起30cは、y軸方向の負方向側であってかつz軸方向の負方向側に位置する角に設けられている。突起30dは、y軸方向の正方向側であってかつz軸方向の負方向側に位置する角に設けられている。そして、相対的にy軸方向の正方向側に設けられている突起30a,30dのx軸方向における長さは、相対的にy軸方向の負方向側に設けられている突起30b,30cのx軸方向における長さよりも長い。これは、図2(a)に示すように、梱包箱18の上面S16及び底面S15が平行四辺形をなしているためである。より詳細には、端面S2は、y軸方向の正方向側にいくにしたがって主面Sbと端面S2との間の隙間が大きくなるように、主面Sbに対して傾いている。そこで、相対的にy軸方向の正方向側に設けられている突起30a,30dのx軸方向における長さを、相対的にy軸方向の負方向側に設けられている突起30b,30cのx軸方向における長さよりも長くしている。これにより、突起30a〜30dの先端は、梱包箱18の端面S2の内周面に接触するようになる。その結果、被梱包物15が梱包箱18において移動することが制限されるようになる。
【0036】
以上で緩衝部材16bの説明を終了する。なお、緩衝部材16aの構成は、緩衝部材16bの構成と基本的に同じであるので説明を省略する。
【0037】
(効果)
緩衝部材16a,16bによれば、小型化を図ることができる。より詳細には、図7に示す特許文献1に記載の緩衝部材542L,542Rでは、脚部543,544が作像カートリッジ521の長手方向に延在している。そのため、緩衝部材542L,542Rは、作像カートリッジ521の長手方向において大型化してしまうという問題を有している。
【0038】
一方、緩衝部材16a,16bでは、スリットSL11〜SL14が設けられることにより、板状部20の領域A1〜A4は、直線l1〜l4を支点とする片持ち梁を構成するようになる。よって、落下時の衝撃などにより、被梱包物15が板状部20の領域A1〜A4にx軸方向の正方向側に押し付けられた場合には、板状部20の領域A1〜A4は、図5(b)に示すように、直線l1〜l4を支点としてx軸方向の正方向側に撓むように弾性変形する。その結果、落下時の衝撃が緩衝部材16a,16bに吸収されるようになり、該衝撃が被梱包物15に伝わることが防止される。以上のように、緩衝部材16a,16bによれば、脚部543,544よりもx軸方向の長さ(厚さ)が短い(薄い)板状部20が衝撃を吸収する構造を有しているため、緩衝部材16a,16bを小型化できる。
【0039】
なお、緩衝部材16a,16bにおいて、脚部543,544に相当する突起30a〜30dが設けられている。しかしながら、突起30a〜30dは、設けられていなくてもよい。ただし、突起30a〜30dは、図5(b)に示すように、衝撃を受けた際に、圧縮及び/又は撓むことにより、衝撃を吸収することができる。よって、突起30a〜30dが設けられることにより、緩衝部材16a,16bでは、より高い衝撃吸収性を得ることができる。そして、突起30a〜30dとスリットSL11〜SL14とが組み合わされることにより、緩衝部材16a,16bを大型化することなく、緩衝部材16a,16bの衝撃吸収性を向上させることができる。換言すれば、緩衝部材16a,16bでは、緩衝部材542L,542Rと同じ衝撃吸収性を得るために、突起30a〜30dを脚部543,544よりも短くしてもよい。よって、緩衝部材16a,16bの小型化が図られる。
【0040】
また、緩衝部材16a,16bでは、より高い衝撃吸収性を得ることができる。より詳細には、被梱包物15の端面S12は、領域A1〜A4において直線l1〜l4から最も離れている部分α〜δに接触している。直線l1〜l4は、領域A1〜A4が撓むように弾性変形する際に、支点となる。よって、直線l1〜l4から最も離れている部分α〜δが押されると、領域A1〜A4は最も大きく撓むようになる。そして、領域A1〜A4が大きく撓めば、領域A1〜A4が撓むのに必要な時間が長くなる。その結果、端面S12が部分α〜δに接触することにより、衝撃を吸収するのに必要な時間を長くすることができ、小さな衝撃が長時間で被梱包物15に伝わるようになる。すなわち、緩衝部材16a,16bでは、大きな衝撃が短時間で被梱包物15に伝わることを防止できる。その結果、緩衝部材16a,16bでは、大きな衝撃が被梱包物15に加わることが防止され、より高い衝撃吸収性を得ることができる。
【0041】
また、緩衝部材16a,16bでは、以下の理由によっても、より高い衝撃吸収性を得ることができる。より詳細には、被梱包物15の端面S12は、突起24a〜24dにおいて板状部20と接触している。突起24a〜24dは、落下時の衝撃により端面S12により押さえつけられると、x軸方向において圧縮されるようになる。これにより、突起24a〜24dは、衝撃を吸収している。その結果、緩衝部材16a,16bにおいて、高い衝撃吸収性を得ることができる。
【0042】
また、緩衝部材16a,16bでは、以下の理由によっても、より高い衝撃吸収性を得ることができる。より詳細には、板状部20の反対側の主面Sbには、図4(b)に示すように、円形の溝32が設けられている。これにより、板状部20における溝32が設けられている領域のz軸方向の厚みは、板状部20における他の領域のz軸方向の厚みよりも小さくなっている。そのため、板状部20における溝32が設けられている領域の剛性は、その他の部分の剛性に比べて低くなる。溝32は、直線l1〜l4の近傍を通過しているので、領域A1〜A4は、溝32の存在により撓みやすくなる。その結果、緩衝部材16a,16bでは、大きな衝撃が短時間で被梱包物15に伝わることを防止できる。以上より、緩衝部材16a,16bでは、大きな衝撃が被梱包物15に加わることが防止され、より高い衝撃吸収性を得ることができる。
【0043】
また、緩衝部材16a,16bでは、以下の理由によっても、より高い衝撃吸収性を得ることができる。より詳細には、主面Sbの溝32に囲まれている領域内は、x軸方向の負方向側に窪んだドーム状をなしている。このように、緩衝部材16bでは、主面Sbの溝32に囲まれている領域内をドーム状とすることにより、板状部20における領域A1〜A4のx軸方向の厚みを薄くしている。これにより、領域A1〜A4の剛性が低下するので、領域A1〜A4は撓みやすくなる。その結果、緩衝部材16a,16bでは、大きな衝撃が短時間で被梱包物15に伝わることを防止できる。以上より、緩衝部材16a,16bでは、大きな衝撃が被梱包物15に加わることが防止され、より高い衝撃吸収性を得ることができる。
【0044】
また、緩衝部材16a,16bでは、高い耐久性を得ることができる。より詳細には、スリットSL11〜SL14が設けられることにより、領域A1〜A4が形成されている。そして、被梱包物15は、領域A1〜A4の4箇所において板状部20に接触している。すなわち、被梱包物15からの力は、領域A1〜A4の4箇所に分散されるようになる。その結果、緩衝部材16a,16bでは、板状部20の1箇所に力が集中する場合に比べて、領域A1〜A4に加わる力の大きさが小さくなり、領域A1〜A4が破損しにくくなる。
【0045】
また、緩衝部材16a,16bでは、以下の理由によっても、高い耐久性を得ることができる。より詳細には、スリットSL1〜SL4は、等しい長さを有していると共に、z軸方向から平面視したときに、点eを中心として周回する方向において隣り合うもの同士で、等しい角度(90度)をなしている。よって、領域A1〜A4は、同じ形状を有するようになる。これにより、被梱包物15が領域A1〜A4のそれぞれに加える力が等しくなる。その結果、領域A1〜A4のいずれかに力が集中して、領域A1〜A4が破損することが防止される。
【0046】
(変形例)
なお、前記の通り、緩衝部材16a,16bにおいて、突起30a〜30dは必須の構成ではない。図6は、変形例に係る緩衝部材16'bの断面構造図である。図6では、衝撃が加わったときの緩衝部材16'bの様子を示してある。
【0047】
緩衝部材16'bは、突起30a〜30dが設けられていない点において、緩衝部材16bと相違点を有している。緩衝部材16'bのその他の構成は、緩衝部材16bのその他の構成と同じである。このような緩衝部材16'bにおいても、領域A1〜A4が撓むように弾性変形することにより衝撃を吸収することができる。そして、板状部20の主面Sbには、凹部Gが設けられている。これにより、板状部20の領域A1〜A4は、図6に示すように、板状部20の主面Sbからx軸方向の正方向に突出することなく、撓むように弾性変形できる。よって、緩衝部材16'bでは、主面Sbが梱包箱18の端面S2に接触していたとしても、領域A1〜A4により衝撃を吸収することが可能となる。
【0048】
なお、スリットSL1〜SL4の本数は、これに限らない。スリットは、点eを中心として3本以上が放射状に延びていればよい。
【0049】
なお、スリットSL11〜SL14は、L字型の軌道を有している。しかしながら、スリットSL11〜SL14の軌道はこれに限らない。よって、スリットSL11〜SL14は、曲線からなる軌道を有していてもよい。
【0050】
なお、前記説明では、被梱包物15は、現像装置2、袋4及び緩衝部材6,8,10,12を梱包している梱包箱14であった。ただし、被梱包物15は、例えば、現像装置2そのものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、緩衝部材に有用であり、特に、緩衝部材の小型化を図ることができる点において優れている。
【符号の説明】
【0052】
A1〜A4 領域
G 凹部
S1,S2、S11,S12 端面
S3,S4,S13,S14 側面
S5,S15 底面
S6,S16 上面
SL1〜SL4,SL11〜SL14 スリット
Sa,Sb 主面
a〜e,a'〜d' 点
l1〜l4 直線
2 現像装置
4 袋
6,8,10,12,16a,16b,16'b 緩衝部材
14,18 梱包箱
15 被梱包物
20 板状部
22a〜22d 側壁部
24a〜24d,26a〜26h,28a〜28h,30a〜30d 突起
32 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向において長手方向を有する被梱包物の長手方向の端部と該被梱包物を収容する第1の梱包箱の内周面との間に配置される緩衝部材であって、
前記被梱包物の長手方向の端部と対向する板状部を、
備えており、
前記板状部には、該板状部を前記所定方向に貫通する孔により構成されている第1のスリットであって、該所定方向から平面視したときに、第1の点及び第2の点を両端とし、かつ、該第1の点と該第2の点とを結ぶ直線に対して一方の方向に突出する軌道を有する第1のスリットが設けられており、
前記被梱包物の長手方向の端部は、前記直線及び前記第1のスリットにより囲まれている領域において、前記板状部に接触していること、
を特徴とする緩衝部材。
【請求項2】
前記被梱包物の長手方向の端部は、前記領域において前記直線から最も離れている第1の部分に接触すること、
を特徴とする請求項1に記載の緩衝部材。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記領域において前記被梱包物に向かって最も突出していること、
を特徴とする請求項2に記載の緩衝部材。
【請求項4】
前記板状部において前記被梱包物が接触している面の反対側の面には、前記所定方向から平面視したときに前記第1の部分と重なる第2の部分に近づくにしたがって、深さが深くなる凹部が設けられていること、
を特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の緩衝部材。
【請求項5】
前記板状部には、前記所定方向から平面視したときに、該板状部の第3の点から放射状に延びる複数本の第2のスリットが設けられており、
前記所定方向から平面視したときに、前記第3の点を中心として周回する方向において隣り合う2本の前記第2のスリットは、1本の前記第1のスリットを構成していること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の緩衝部材。
【請求項6】
前記複数の第2のスリットは、等しい角度をなしていると共に、等しい長さを有していること、
を特徴とする請求項5に記載の緩衝部材。
【請求項7】
前記板状部において前記被梱包物が接触している面の反対側の面には、前記所定方向から平面視したときに前記第1の点及び前記第2の点と重なる第3の点及び第4の点を結んで得られる円形の軌道を有する溝が設けられていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の緩衝部材。
【請求項8】
前記板状部において前記被梱包物が接触している面の反対側の面から突出している突起を、
更に備えていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の緩衝部材。
【請求項9】
前記被梱包物は、電子機器を梱包している第2の梱包箱であること、
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の緩衝部材。
【請求項10】
弾性材料により構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の緩衝部材。
【請求項11】
前記弾性材料は、発泡ポリプロピレン又は発泡ポリエチレンであること、
を特徴とする請求項10に記載の緩衝部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−42373(P2011−42373A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190098(P2009−190098)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】