説明

縁部が上下になったウェブの張力制御装置を備える印刷機

印刷ユニットと、鉛直な回転軸線を有する真空片持ち案内ロールとを有するウェブ印刷機が提供される。ウェブ印刷機は、印刷ユニットと、鉛直な回転軸線を有する真空片持ち案内ロールとを使用する。縁部が上下になるようにウェブを紙通しするための方法は、真空片持ち案内ロールを使用してウェブに真空圧力を加え、ウェブを手作業で真空片持ち案内ロールを通って引き通すことを含む。また、ウェブは印刷の間縁部が上下になるように保持され、これは、真空片持ち案内ロールを使用してウェブに真空圧力を加え、ウェブ張力を測定し、ウェブ張力に関して真空圧力を制御することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して印刷機に関する。
【0002】
背景
米国特許第6161604号明細書は、ウェブ輪転印刷機を開示しており、この場合、材料のウェブがロールスタンドから、供給部を通って、次いで1つ又は2つ以上の印刷ユニットと、乾燥機と、冷却ロールスタンドとを通って供給される。ウェブは、スリッタ機構へ、次いで、折り機の裁断・折り胴区分へ供給されてよい。紙通しプロセスの間、ウェブはまず印刷機を通って供給され、ロールスタンドから折り機へ連続して供給される。このプロセスは概して、ウェブを印刷システムの各構成部分に手作業で通す2人の人員を必要とする。ウェブがスリッタによって複数のリボンに裁断されると、複数のリボンを処理するために付加的な人員が必要とされる。紙通しプロセスは、印刷機のための著しい停止時間を生ぜしめることによって生産性に不都合な影響を与える。
【0003】
紙通しプロセスの間、ウェブ張力は低い。米国特許第6499639号明細書は、紙の違い、環境条件、及びウェブ紙継ぎ等の印刷機進展が、ウェブ張力の変化を生ぜしめることを開示している。印刷機の円滑な運転を達成するためにウェブの張力は所望の範囲に維持されなければならない。
【0004】
米国特許第6161604号明細書及び米国特許第6499639号明細書は引用したことにより本明細書に記載されたものとする。
【0005】
発明の概要
本発明は、印刷ユニットと、垂直な回転軸線を有する真空片持ち案内ロールとを有するウェブ印刷機を提供する。
【0006】
本発明は、真空片持ち案内ロールを使用してウェブに真空圧力を加え、手作業によってウェブを真空片持ち案内ロールを通って引き通すことを含む、縁部が上下になるようにウェブを紙通しする方法をも提供する。
【0007】
本発明はさらに、真空片持ち案内ロールを使用してウェブに真空圧力を加え、ウェブ張力を測定し、ウェブ張力に関して真空圧力を制御することを含む、印刷中に縁部が上下になるようにウェブを保持する方法を提供する。
【0008】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の図面に関連した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による印刷機を示す図である。
【図2】図1の印刷機のウェブ制御システム区分を示す図である。
【図3】図2の真空片持ち案内ロールを示す図である。
【図4】図3の真空片持ち案内ロールの内部構成部材を示す図である。
【図5】図3の真空片持ち案合いロールの上面図である。
【0010】
好適な実施形態の詳細な説明
図1は、ロールスタンド6と、送込み機構8と、水平なウェブ2と、第1の印刷ユニット12と、第2の印刷ユニット14と、第3の印刷ユニット16と、第4の印刷ユニット18と、乾燥機22と、折り機上部構造24と、ウェブ制御システム36とを有するウェブ輪転印刷機20を示している。各印刷ユニット12,14,16,18は、例えば、マゼンタ、シアン、黄及び黒等の異なる色を印刷することができる。
【0011】
折り機上部構造24は、ウェブがウェブ制御システム36を通過する前に、縁部が上下になるようにウェブ2を垂直に変向することができる。縁部が上下になったウェブ2は、折丁34を形成する2対の小孔付きカッタ32,33を備えた"水平方向の"折り機26に進入することができる。以下に定義されるような水平折り機は、カッタが鉛直軸線を有するようなものである。折丁34はコンベヤ30によって収集されてよい。コンベヤ30は、縁部が上下になった折丁34を受容する複数のポケット28を有していてよい(1つのポケットが断面図で示されている)。ポケットコンベヤを示す米国特許第6082702号明細書は引用したことにより本明細書に記載されたこととする。
【0012】
紙通しの間、印刷機運転の第1段階において、ウェブ2は、例えば技術者によってロールスタンド6から引き出され、手作業で印刷機20に連続して通されることができる。ウェブ2が、縁部が上下になるように供給される場合、2人の技術者は、ウェブのたるみを制御し、ウェブ2を水平折り機26まで通すことができる。ウェブ2が真空案内ロール50によって縁部が上下になる位置に保持されるので、紙通し時間は、ウェブ制御システム36がウェブたるみを制御することによって、短縮されることができる。
【0013】
図1及び図2は、印刷機が運転している第2の段階の間に、ウェブ制御システム36と、張力変換ロール38と、真空案内ロール50とが、ウェブ張力を制御していることを示している。張力変換ロール38は、現在のウェブ張力を検出し、この張力を最小低下張力値と比較する。真空案内ロール50によって加えられる張力は、この最小低下張力値と等しいか又は最小低下張力値を超えているが、ウェブの裂断を生じる張力値よりも低くなっている。
【0014】
図2は、真空案内ロール50が、縁部が上下になったウェブ2の走行方向Dに対して垂直な軸線Aを有することを示している。真空案内ロール50は、印刷機運転の第1段階、すなわち紙通しの間、ウェブ張力が通常は低い時にウェブ2を真空案内ロール50に対して保持するために真空ポンプ46の力を利用する。真空案内ロール50は、フレキシブルな管等の真空ポンプアタッチメント48を使用することによって真空ポンプ46に取り付けられている。
【0015】
図2の例示された実施形態において、3位置スイッチ44は、制御ループの一部である3つの可能な値を有している。制御ループは、張力変換ロール38と、変換器回路40と、モータ制御装置42と、3位置スイッチ44とを含み、3位置スイッチ44の出力は、ウェブ張力を制御するためにどのように真空案内ロール50と真空ポンプ46とが機能するかに影響する。この実施形態において、スイッチ44がオフである場合、真空ポンプ46は常にオフである。スイッチ44がオンである場合、真空ポンプ46は、例えば紙通しの間、常にオンである。スイッチ44がオート位置にある場合、真空ポンプ46は、実験的に決定された最小低下張力と比較された、変換ロール38によって検出された張力値に応じて、オン又はオフになる。つまり、真空ロール50及び真空ポンプ46を非効率的に連続してオンにさせるのではなく、真空ポンプ46は断続的に作動することができる。
【0016】
図3、図4及び図5は、真空案内ロール50の内部の作動及び機能を詳細に示している。定置の内側シェル60に設けられた開口160は、空気を、回転する外側シェル56に設けられた孔156(図4)を通って真空ポンプ46(図2)内へ引き込む。シールド58(図3及び図5)は、空気の移動を遮断し、空気を、本発明による定置の内側シェル60の裏側における孔160に方向付ける。シールド58は、シールド58に対して外側シェル56を回転させることができるように、フレキシブルな低摩擦材料から形成されているか、又はPTFE等の低摩擦塗膜を有していてよい。縁部が上下になった移動するウェブ2(図2)と真空案内ロール50との間の摩擦は、回転する外側シェル56を走行方向Dに回転させることができる。玉軸受アセンブリ54,62は、回転する外側シェル56が、ほとんど摩擦抵抗なく回転することを可能にしている。つまり、ウェブ2が、回転する外側シェル56に対して保持されながら、外側シェル56は回転することができる。
【0017】
図4は、取付けフランジ52を介した真空案内ロールの取付け区分を示している。真空ポンプ46は、空気を、孔156,160を介して真空ホースフランジ64及び真空ポンプアタッチメント48(図2)内に引き込む。
【0018】
以上の説明は、単に発明の原理を例示している。したがって、当業者は、発明の原理を具体化する、発明の精神及び範囲に含まれる多くのその他の構成を実施することができることが認められるであろう。例えば、上記開示に基づいて、発明の原理は、発明の利益を達成するために、デジタル信号プロセッサ(DSP)又はマイクロコントローラ等の、3位置スイッチ4以外の異なる制御スキームに容易に対応することができることは明らかである。別の例は、張力は、ウェブ2とウェブ制御システム26とが、0度〜90度のあらゆるその他の角度で固定されている場合に依然として容易に制御されることができ、発明の原理を依然として具体化する。
【符号の説明】
【0019】
2 ウェブ、 6 ロールスタンド、 8 供給機構、 12,14,16,18 印刷ユニット、 22 乾燥機、 24 折り機上部構造、 26 折り機、 28 ポケット、 30 コンベヤ、 32,33 カッタ、 34 折丁、 36 ウェブ制御システム、 38 張力変換ロール、 40 変換器回路、 42 モータ制御装置、 44 3位置スイッチ、 46 真空ポンプ、 48 真空ポンプアタッチメント、 50 真空案内ロール、 52,54 玉軸受アセンブリ、 56 外側シェル、 58 シールド、 60 内側シェル、 64 真空ホースフランジ、 156 孔、 160 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ユニットと、
鉛直な回転軸線を有する真空片持ち案内ロールとが設けられていることを特徴とする、ウェブ印刷機。
【請求項2】
真空片持ち案内ロールに取り付けられた真空ポンプが設けられていることを特徴とする、請求項1記載のウェブ印刷機。
【請求項3】
真空片持ち案内ロールが、定置の内側シェルと、回転する外側シェルとを有することを特徴とする、請求項1記載のウェブ印刷機。
【請求項4】
真空片持ち案内ロールが、さらに、定置の内側シェルと回転する外側シェルとの間に軸受を有することを特徴とする、請求項3記載のウェブ印刷機。
【請求項5】
真空片持ち案内ロールがさらに、定置の内側シェルと回転する外側シェルとの間にシールドを有することを特徴とする、請求項3記載のウェブ印刷機。
【請求項6】
変換ロールと、
制御装置とが設けられており、
該制御装置が、変換ロールから入力を受け取り、
制御装置が、入力に関して真空片持ち案内ロールにおける真空圧力を制御することを特徴とする、請求項1記載のウェブ印刷機。
【請求項7】
変換ロールが、真空片持ち案内ロールの上流に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のウェブ印刷機。
【請求項8】
真空片持ち案内ロールを使用してウェブに真空圧力を加え、
ウェブを手作業で真空片持ち案内ロールを通過するように引っ張ることを特徴とする、ウェブを縁部が上下になるように紙通しするための方法。
【請求項9】
真空片持ち案内ロールを使用してウェブに真空圧力を加え、
ウェブの張力を測定し、
ウェブの張力に関して真空圧力を制御することを特徴とする、印刷中にウェブを縁部が上下になるように保持するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−536683(P2010−536683A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520977(P2010−520977)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/008724
【国際公開番号】WO2009/023078
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(508329715)ゴス インターナショナル アメリカス インコーポレイテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】Goss International Americas, Inc.
【住所又は居所原語表記】121 Technologz Drive, Durham NH 03820, United States of America
【Fターム(参考)】