説明

縄梯子

【課題】 軽量で回転軸に収納がし易く、使い方が簡単な縄梯子を提供する。
【解決手段】 本発明の縄梯子10は、縄16を亀甲状の網に編んだ梯子本体15を有する。梯子本体15は、亀甲状の孔18の6角形の頂点が上下になるように配置され、それぞれの6角形孔の斜辺は1本の縄で、縦辺は2本の縄が重複するように形成され、梯子の長さ方向と直交する方向の任意の位置における断面内の縄の本数が一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の梯子として、あるいは、避難用の梯子として使用することができる縄梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定の場所に設置された避難用梯子だと、出火位置が悪ければ、いざという時に全く使えない場合もある。あらゆる場所から避難できるように、取付け自在な構造を有する避難用梯子が望ましい。すなわち、非常時に簡単に取付けできるように、着脱容易で、軽量で、取付け位置へ持ち運びがし易いように、コンパクトに収納できるものが望まれる。
【0003】
避難用に用いられる縄梯子としては、特許文献1に記載のものが知られている。これは、一対の平行なロープ間に所定間隔で複数の踏桟を取り付けたものである。ロープの素材としては、ワイヤーロープ、ワイヤー入り繊維ロープ、繊維ロープ等が用いられ、踏桟にはアルミ等の剛性の丸い棒状材が用いられる。踏桟を剛性にしたのは、踏桟をロープにすると、人が乗ったとき踏桟が下方に引張られ、安定性を欠くからである。
【0004】
このような縄梯子は、不使用の場合は、ハンドルを回して回転軸に巻き取ってコンパクトにしている。このようにすることで、設置場所を小さくすることができる。
【特許文献1】特開2003−135610
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、剛性の踏桟を設けた構造だと回転軸に巻き取ったとき、嵩張ってコンパクトに巻き取ることができない。特許文献1では、踏桟を板状にせず、棒状にしているので、嵩張り方は少なくなるが、それでも、踏桟を回転軸の周りに均等に分散させることはできず、踏桟が重なる部分ができ、コンパクトに巻き取ることができない。また、踏桟が丸棒状なので、踏み込んだときの安定が悪く、しかも、剛性なので滑り易く、使い方が難しい。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、軽量で回転軸に収納がし易く、使い方が簡単な縄梯子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明の縄梯子は、縄を亀甲状の網に編んだ梯子本体を有することを特徴としている。
【0008】
又は、前記梯子本体は、亀甲状の6角形の頂点が上下になるように配置され、それぞれの6角形の斜辺は1本の縄で、縦辺は2本の縄が重複するように形成され、梯子の長さ方向と直交する方向の任意の位置における断面内の縄の本数が一定である構成とすることができる。
【0009】
前記梯子本体で、2本の縄が重複する部分を縄と別の結合体で結合した構成としたり、前記結合体が、2本の縄が重複する部分の両端部に設けられている構成としたり、前記梯子本体の一端を固定する回転軸と、該回転軸を回転するハンドルとを設け、前記梯子本体を前記回転軸に巻き取り可能とした構成にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の亀甲状に形成された梯子本体を有する縄梯子によれば、縄梯子の全体をロープで製造することができるので、軽量であり、回転軸に巻き取りやすく、また、巻き取った形で持ち運びし易いという優れた効果を奏し得る。
【0011】
また、梯子の機能としては、梯子本体がロープにより亀甲状に編まれているため、梯子の横方向の揺れに強く、体重が亀甲状に分散して作用するので安定している。
【0012】
亀甲状の孔に足を突っ込んで踏むのだが、アルミ製の踏桟に比べて足が滑りにくく、また、足を掛けやすい。また、6角孔が亀甲状に多数できるので、1段の高さを選択することができ、大人でも子供でも同じ縄梯子を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、亀甲状に編まれた縄梯子を示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【0014】
この縄梯子10を避難用梯子として使用する場合は、建造物の内部から外部に脱出可能なベランダや窓などに設置する。窓やベランダの壁などの適当なところに、コ字型の取付部材11を固定する。
【0015】
取付部材11には、回転軸12があり、回転軸12の両側には鍔13,13が固定されている。また、回転軸12の一端には、回転軸12を回すハンドル14が取り付けられている。
【0016】
携帯
回転軸12は円柱形状で、ここには、梯子本体15の一端が固定されている。ハンドル14を回転することで、梯子本体15は、回転軸12に巻き取られ、コンパクトに収容することができる。
【0017】
図2は、梯子本体15の要部拡大図である。この実施例における梯子本体15は、6本の縄16(16−1〜16−6)を編んで構成されている。縄16としては、綿ロープ、麻ロープ、ワイヤー入りロープ、合成繊維のロープ、ワイヤーロープ等多様な素材を使用することができる。いずれを使用しても、滑りにくいものとなる。
【0018】
6本の縄16(16−1〜16−6)を図2に示すように配策し、多数の6角形の孔18を亀甲状に連続的に形成する。6角形の斜め方向の辺は、縄が1本で、上下方向の辺の縄は2本が重なっている。また、梯子本体15の両側には、1本の縄が配策された状態となる。そして、上下方向の辺等で重なった2本の縄は、重なり部分の両端を結合体17によって結合され、網状に形成されている。
【0019】
通常、このような6角孔の網は、縄同士を結んで編目を形成している。本発明の縄梯子10でもそのように縄を結んで編目を形成してもよい。しかし、結び目にすると、結び目の径が縄2本分の径より太くなるので、梯子本体15を回転軸12に巻き取る際、結び目が嵩張り、若干コンパクト性に欠ける。
【0020】
これに対し、本発明の実施例のように、縄とは別の適当な部材からなる結合体17にすると、結合部の太さが太くならず、嵩張ることなく巻き取ることができる。このような結合体17としては、天然繊維や合成繊維などの糸や紐、金属製の針金などを使用することができる。また、可撓性のある素材で形成したリングを使用することもできる。
【0021】
縄梯子10を使用する場合は、ハンドル14を回して梯子本体15を解き、垂下させる。その後、6角形の孔に足を入れて下側の2つの斜辺を踏桟として使用し、昇降するのだが、どれか一つの孔に力を掛けたとしても、力は分散されるので足が抜け難くなる程、形状が変化することはない。
【0022】
梯子本体15に形成される6角形の孔18は、図2の実施例では、梯子本体15の中央に1つだけできる孔18aと、2つできる孔18bに分けることができる。この縄梯子10を登る場合は、孔18aと孔18bとを交互に利用する登り方と、孔18aだけ、又は孔18bだけを利用する登り方の2通りの登り方がある。
【0023】
孔18aと孔18bとを交互に利用する登り方の場合は、1段の高さは、図示のAであり、孔18aだけ、又は孔18bだけを利用する登り方の場合は、1段の高さは、図示のBとなる。そして、AとBとの間には、2A=Bの関係がある。すなわち、1つの梯子本体15で、1段の高さを2通りに使用することができる。したがって、Aは大人用、Bは子供用のように、使用する人に合わせて1段の高さを変更することができる。
【0024】
上記の実施例では、取付部材11で縄梯子10を建物の壁などに固定することとしているが、この使い方に限定されるものではない。取付部材11にフックを設け、建物の壁や、窓枠などにフックを掛けて使用するようにしてもよい。その場合は、縄梯子10だけを持ち歩き、適当なところで使用することができる。また、回転軸12も必須ではなく、梯子本体15に直接フックを取り付けてもよい。しかし、回転軸12に梯子本体15を巻き付けることで、梯子本体15をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】亀甲状に編まれた避難用縄梯子本体の形状を示した図で、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図2】梯子本体の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0026】
10 縄梯子
11 取付部材
12 回転軸
13 鍔
14 ハンドル
15 梯子本体
16 縄
17 結合体
18 孔
18a 孔
18b 孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縄を亀甲状の網に編んだ梯子本体を有することを特徴とする縄梯子。
【請求項2】
前記梯子本体は、亀甲状の6角形の頂点が上下になるように配置され、それぞれの6角形の斜辺は1本の縄で、縦辺は2本の縄が重複するように形成され、梯子の長さ方向と直交する方向の任意の位置における断面内の縄の本数が一定であることを特徴とする請求項1に記載の縄梯子。
【請求項3】
前記梯子本体で、2本の縄が重複する部分を縄と別の結合体で結合したことを特徴とする請求項2に記載の縄梯子。
【請求項4】
前記結合体が、2本の縄が重複する部分の両端部に設けられていることを特徴とする請求項3記載の縄梯子。
【請求項5】
前記梯子本体の一端を固定する回転軸と、該回転軸を回転するハンドルとを設け、前記梯子本体を前記回転軸に巻き取り可能としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の縄梯子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−270396(P2009−270396A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124233(P2008−124233)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(301059259)株式会社日幸 (4)
【Fターム(参考)】