説明

縦型充填包装機

【課題】気密性の高い、薄いフィルムからなる4方シール包装品を製造する。
【解決手段】縦型充填包装機において、シゴキローラ5の上方に第1の送りローラ4A,4Bが配置されているのみならず、シゴキローラ5の下方、好ましくは横シール装置6と切断装置8の間にも第2の送りローラ10A,10Bが配置されている。したがって、内容物投入直前の筒状フィルム1が、上方の送りローラ4A,4Bと下方の送りローラ10A,10Bの双方で保持された状態になっており、筒状フィルム1内に内容物が投入されても縦シール部1d及び横シール部1eが折れ曲がらず、筒状フィルム1の両面に線状の大きなたるみ(波を打った部分)が発生し難い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムから包装袋を成形しつつ、その包装袋内に上方から製品を投入する縦型充填包装機において、皺の発生を防止する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛直方向に送られたフィルムを筒状に成形しつつ、液状、ペースト状、または固形状の内容物を筒状フィルム内に入れ、筒状フィルムの上側部分と下側部分をそれぞれ熱シールすることで、封筒形包装袋に入れられた製品を製造する縦型充填包装機が知られている。
【0003】
縦型充填包装機で製造される包装袋には4方シールタイプがある。このタイプは、鉛直方向に延びる帯状のフィルムをその幅中央で折り曲げて筒状に成形し、この筒状フィルムの横側の両端を縦方向に熱シールし、さらに筒状フィルムの上側部分と下側部分のそれぞれを横方向に熱シールしたものである。
【0004】
ここで、4方シールタイプの封筒形包装袋を製造する例で従来の縦型充填包装機を説明する。図3は従来の縦型充填包装機(4方シールタイプ)の主要部を示す図である。
【0005】
図3に示すように、シート状のフィルムが鉛直方向に送られ、製袋ガイド2によって、シート状のフィルムの幅方向端部が互いに重ね合わせられて筒状フィルム1が形成される。
【0006】
製袋ガイド2の下方には、筒状に成形されたフィルム1の折り曲げ部と重ね合わせ部のそれぞれに対して縦方向に熱シールを行う複数の縦シール装置3が配置されている。
【0007】
複数の縦シール装置3は、筒状フィルム1の折り曲げ部と重ね合わせ部を間に挟んだ状態で対向配置され、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動可能である。これらの縦シール装置3によって、筒状フィルム1の両側縁に縦シール部1dが形成される。
【0008】
各縦シール装置3の上側には、筒状フィルム1の両側側縁をそれぞれ挟みながら回転して筒状フィルム1を下方に案内する1対のガイドローラ9が設けられている。
【0009】
各縦シール装置3の下側には、筒状フィルム1の両側側縁付近をそれぞれ挟みながら、不図示のモータで回転駆動されて筒状フィルム1を下方へ送る一対の送りローラ4が設けられている。
【0010】
送りローラ4の下側には、筒状フィルム1を間において対向配置され、送りローラ4の回転に同期して回転させられる1対のシゴキローラ5が設けられている。シゴキローラ5は、筒状フィルム1を横方向の全幅にわたって挟み込むことによって、筒状フィルム1内に投入された内容物を分割するものであり、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動可能である。
【0011】
さらに、筒状フィルム1内に製品を投入する投入パイプ7が、製袋ガイド2の上方から製袋ガイド2の内側を通ってシゴキローラ5の直上まで鉛直方向に延在している。
【0012】
シゴキローラ5の下方には、筒状フィルム1を間において対向配置され、筒状フィルム1の全幅にわたって横方向の熱シール部(以下、横シール部1eと呼ぶ。)を形成する一対の横シール装置6が配置されている。
【0013】
横シール装置6の下方には、製品が封入された筒状フィルム部分を切り離す切断装置(不図示)が配置されている。
【0014】
上述した充填包装機は、縦シール装置3により筒状フィルム1の両側縁にそれぞれ縦シール部1dを形成し、横シール装置6で筒状フィルム1の横方向に横シール部1eを形成し、シゴキローラ5の間を開いた状態で、筒状フィルム1内に投入パイプ7から製品を投入する。この投入量はシゴキローラ5の位置を越える程度とされる。それからシゴキローラ5の間を閉じ、シゴキローラ5によって、筒状フィルム1内の内容物をフィルム送り方向にて分割する。この状態で送りローラ4及びシゴキローラ5を回転させて筒状フィルム1を下方に送ると、シゴキローラ5で筒状フィルム1が偏平に押し潰されつつ、筒状フィルム1内に内容物が存在しない空部分が形成される。
【0015】
空部分が横シール装置6の所まで送られたら、筒状フィルム1の送りを停止し、対向する横シール装置6どうしを接近させていく。これにより横シール装置6間に挟まれたフィルム同士が熱溶着されて横シール部1eが形成され、結果、筒状フィルム1の上側の開口が密閉される。その後、横シール部1eの所で切断装置によりフィルムを切断すると、製品が入った4方シールタイプの封筒形包装袋(以下、4方シール包装品)が得られる。
【0016】
なお、従来の縦型充填包装機の機構例は下記の特許文献1および2にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−62708号公報
【特許文献2】特開2006−341854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述した縦型充填包装機を非常に薄いフィルムからなる4方シール包装品の製造に利用することが検討されている。
【0019】
しかし、従来の縦型充填包装機を使って上記のような薄いフィルムの4方シール包装品を製造したところ、厚いフィルムでは生じなかった横シール部の皺が発生することがあった。包装品の中身が薬剤や食品等である場合はその包装袋には高い気密性能が要求される。横シール部における皺の発生は袋の気密性低下に繋がるため、薄いフィルムの包装品を製造できるように従来の縦型充填包装機を改善する必要があった。
【0020】
そこで、本件出願人は従来の縦型充填包装機において4方シール包装品の横シール部に皺が発生する原因を考えたところ、次のような原因によることがわかった。その原因を、図3及び図4を参照しながら説明する。図4の(a)は、薄厚の筒状フィルムの中に内容物が投入されたときの状態を包装機の正面側から見た概略図、(b)はシゴキローラ間に挟まれこまれる筒状フィルムの様子を包装機の上から見た概略図である。
【0021】
図3から分かるように、内容物投入直前の筒状フィルム1は、横シール部1eを底部として縦方向に延び、上方での送りローラ4の把持で吊られた状態である。このような筒状フィルム1の内部へ製品が投入されると、図4(a)に示すように筒状フィルム1の中腹部が膨らんで、縦シール部1d及び横シール部1eが折れ曲がり、筒状フィルム1の両面に線状の大きなたるみ(波を打った部分)が出来やすい。この状態で図4(b)に示すように筒状フィルム1がシゴキローラ5間に挟まれると、たるみ部分がそのまま偏平に潰されて皺となる。
【0022】
厚みのあるフィルムを使用したときはたるみの発生は少なく問題にならかったが、フィルム厚が薄くなるほどたるみが多くできる。このような原因により、薄いフィルムでは横シール部に皺が入ることがあり、気密性能が低下することが判った。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、上記のような課題を解消し、気密性の高い、薄いフィルムからなる4方シール包装品を提供することにある。
【0024】
本発明の一の態様による縦型充填包装機は、製袋ガイドと、縦シール装置と、複数対の送りローラと、投入パイプと、一対のシゴキローラと、横シール装置と、切断装置と、を備えている。
【0025】
製袋ガイドは、搬送されているシート状のフィルムをその幅方向中央で折り曲げて該フィルムの幅方向端部を互いに重ね合わせることで筒状フィルムを形成するものである。
【0026】
縦シール装置は、シート状のフィルムの幅中央での折り曲げ部とその幅方向端部の重ね合わせ部に対応する筒状フィルムの横方向両側の側縁にそれぞれ熱シールを行って縦シール部を形成する装置である。
【0027】
送りローラは、筒状フィルムの横方向両側の側縁付近を挟み込みつつ回転駆動されて、縦シール部が形成された筒状フィルムを下方へ送るものである。
【0028】
投入パイプは、筒状フィルムの中に内容物を投入するパイプである。
【0029】
シゴキローラは、投入パイプの内容物の出口の下方にあって縦シール装置の下方に配設されている。該シゴキローラの対は、内容物が投入された筒状フィルムを挟み込みつつ筒状フィルムの下方への送りに伴って回転することで筒状フィルムに内容物が入っていない空部を形成する。
【0030】
横シール装置は、一対のシゴキローラの下方に配設されている。そして、該横シール装置は、筒状フィルムの空部の横方向全幅に亘って熱シールを行って横シール部を形成する装置である。
【0031】
切断装置は、横シール装置の下方に配設されており、筒状フィルムを横シール部の位置で切断する装置である。
【0032】
そして、上記課題を解決するために、上記の複数対の送りローラは、第1の送りローラの対と第2の送りローラの対を含み、該第1の送りローラの対はシゴキローラの上方に配置され、該第2の送りローラの対はシゴキローラの下方で、かつ横シール装置と切断装置の間に配置されている。
【0033】
このような態様では、第1の送りローラの対と第2の送りローラの対とが、シゴキローラの位置を間にして、内容物投入直前の筒状フィルムの上側と下側の部分を保持することとなる。つまり、従来技術(図3参照)で説明したようにシゴキローラの上方の送りローラだけで吊り下げられている状態ではない。この状態の筒状フィルムに内容物を投入したとき、縦シール部及び横シール部が折れ曲がらないので、筒状フィルム1の両面に線状の大きなたるみが発生し難い。結果、シゴキローラの間に筒状フィルムを挟み込んだときに皺が出来ず、したがって、横シール部を形成した際に横シール部に皺が入ることもなく、製造された4方シール包装品は高い気密性能を持つものとなる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように本発明によれば、気密性の高い、薄いフィルムからなる4方シール包装品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による縦型充填包装機(4方シールタイプ)の主要部を示す正面図。
【図2】本発明の一実施形態による縦型充填包装機(4方シールタイプ)の主要部を示す斜視図。
【図3】従来の縦型充填包装機(4方シールタイプ)の主要部を示す斜視図。
【図4】図3の包装機で横シール部に皺が発生する原因を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、4方シールタイプ包装袋のレトルトパウチを製造する縦型充填包装機を例にとって説明する。
【0037】
図1は本発明の一実施例による縦型充填包装機を模式的に示す正面図、図2はこの実施例の縦型充填包装機を模式的に示した斜視図である。但し、図3に示した従来の縦型充填包装機と同じ構成要素については同じ符号を付して説明する。
【0038】
図1及び図2を参照すると、本実施例の縦型充填包装機は、縦方向に送られるシート状のフィルム(例えば50ミクロン厚の薄いフィルム)の横幅方向端部を互いに重ね合わせて偏平な筒状フィルム1を形成するための製袋ガイド2を備える。
【0039】
製袋ガイド2の下方には、偏平筒状に成形されたフィルム1の折り曲げ部1aと重ね合わせ部1bのそれぞれに対して縦方向に熱シールを行う複数の縦シール装置3A,3Bが配置されている。筒状フィルム1の折り曲げ部1aと重ね合わせ部1bは筒状フィルム1の横方向の両側縁にそれぞれ位置する。
【0040】
縦シール装置3A,3Bは、筒状フィルム1の折り曲げ部1aと重ね合わせ部1bの所を間に挟んだ状態で対向配置されている。対向する縦シール装置3A,3Bは、不図示の駆動機構によって、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動可能である。これらの縦シール装置3A,3Bによって、筒状フィルム1の横方向の両側縁に縦シール部1dが形成される。
【0041】
各縦シール装置3A,3Bの上側および下側には、筒状フィルム1の横方向の両側端部を挟みながら回転して筒状フィルム1を下方に案内する一対のガイドローラ9A,9Bが設けられている。
【0042】
各縦シール装置3A,3Bの下側のガイドローラ9A,9Bの下方には1対のシゴキローラ5が設けられている。また、各縦シール装置3A,3Bの下側のガイドローラ9A,9Bと、シゴキローラ5との間には、筒状フィルム1の横方向の両側付近をそれぞれ挟みながら、不図示のモータで回転駆動されて筒状フィルム1を下方へ送る複数対の第1の送りローラ4A,4Bが配設されている。
【0043】
一対のシゴキローラ5は、筒状フィルム1を横方向の全幅にわたって挟み込むことによって、筒状フィルム1内に投入された内容物を分割するものであり、筒状フィルム1を挟んだ状態で筒状フィルム1の送りに伴って回転させられる。そのため、1対のシゴキローラ5は筒状フィルム1を間において対向配置されており、不図示の駆動機構によって、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動可能である。
【0044】
筒状フィルム1内に液体またはペースト状の内容物を投入する投入パイプ7は、製袋ガイド2の上方から製袋ガイド2の内側を通ってシゴキローラ5の直上まで鉛直方向に延在している。
【0045】
シゴキローラ5の下方には一対の横シール装置6が配置されている。一対の横シール装置6は間に筒状フィルム1の全幅を挟んで加熱することで、筒状フィルム1に横シール部1eを形成する。そのため、一対の横シール装置6は、筒状フィルム1を間において対向配置されており、不図示の駆動機構によって、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動可能である。横シール装置6の開閉動作は前述の縦シール装置3A,3Bの開閉動作と同期させてある。横シール装置6は筒状フィルム1の全幅を超える長さを持ったブロックで構成されている。片方の横シール装置6を構成するブロックにヒータが内蔵されている。
【0046】
なお、シゴキローラ5と横シール装置6の間の領域において、不図示の成型板を筒状フィルム1のおもて面と裏面のそれぞれに対向配置させ、不図示の駆動機構によって、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動させる構成を追加してもよい。このような成型板を使って、筒状フィルム1の内容物が投入された部分の膨らみを規制することで、筒状フィルム1の内容物が投入された部分の形を整える。これによって、内容物の容量のばらつきも少なくなる。
【0047】
また、横シール装置6の下方には、最終の包装品の縦方向長さ分を隔てて一対の切断装置8が配置されている。一対の切断装置8は筒状フィルム1の横シール部1eの全領域を挟み、フィルム搬送方向における横シール部1eの中間を通るように筒状フィルム1を切断する。そのため、一対の切断装置8は、筒状フィルム1を間において対向配置されており、不図示の駆動機構によって、互いに離間する方向および互いに当接する方向に移動可能である。切断装置8の開閉動作は前述の縦シール装置3A,3Bの開閉動作と同期させてある。また、切断装置8は筒状フィルム1の全幅を超える長さを持ったブロックで構成されている。片方の切断装置8を構成するブロックに刃が仕込まれ、これに相対する切断装置8を構成するブロックにその刃の受け溝が形成されている。また、これらのブロックは、横シール装置6で加熱されてできた横シール部1eの熱を冷却してシール強度を上げる役割も持つ。
【0048】
また、切断装置8と横シール装置6の間には、筒状フィルム1の横方向の両側付近を挟みながら、不図示のモータで回転して筒状フィルム1を下方へ送る一対の第2の送りローラ10A,10Bが配設されている。第2の送りローラ10A,10Bによる筒状フィルムの搬送量は、第1の送りローラ4A,4Bによる搬送量と同じにしている。
【0049】
次に、上述した縦型充填包装機の動作を説明する。
【0050】
シート状のフィルム(例えば50ミクロン厚のフィルム)が製袋ガイド2で折り曲げられ、該フィルムの横幅方向端部が互いに重ね合わさって偏平な筒状フィルム1が形成されるように、作業者は、シート状フィルムを包装機内にセットする。そして、第1の送りローラ4A,4Bにより筒状フィルム1を下方へ送ることと、筒状フィルム1の折り曲げ部1aと重ね合わせ部1bのそれぞれに対して縦シール装置3A,3Bによって縦シール部1dを形成することを交互に繰り返す。しかる後、筒状フィルム1の下端が横シール装置6の間を通過し、第2の送りローラ10A,10Bで挟持されて、切断装置8の位置に来たところで、フィルム送りを停止し、対向する横シール装置6どうしを接近させていく。これにより、筒状フィルム1の横方向に第1の横シール部1eが形成される。
【0051】
そして、シゴキローラ5の間を開いた状態で、第1の横シール部1eを底部として筒状フィルム1内に投入パイプ7から内容物(液体、ペースト状物、固形物、又はそれらの組み合わせ)を投入する。この投入量は液体やペースト状物についてはシゴキローラ5の位置を越える程度とされる。それからシゴキローラ5の間を閉じ、シゴキローラ5によって、筒状フィルム1内の内容物をフィルム送り方向にて分割する。この状態で第1の送りローラ4A,4B及び第2の送りローラ10A、10Bを回転させて筒状フィルム1を下方に送ると、シゴキローラ5間で筒状フィルム1が偏平に押し潰されつつ、筒状フィルム1内に内容物が存在しない空部分が形成される。
【0052】
この空部分の所定の位置が横シール装置6の所まで送られたら、筒状フィルム1の送りを停止し、対向する横シール装置6どうしを接近させていく。これにより、第2の横シール部1eが形成されて、筒状フィルム1の上側の開口が密閉される。
【0053】
その後、再び第1の送りローラ4A,4B及び第2の送りローラ10A、10Bを回転させて筒状フィルム1を下方に送り、第2の横シール部1eの位置が切断装置8の所まで来たら、筒状フィルム1の送りを停止し、対向する切断装置8どうしを接近させていく。これにより、第2の横シール部1eの送り方向幅の中間で筒状フィルム1が切断され、内容物が入った4方シール包装品Wが得られる。以上の一連の動作を繰り返すことで、次々と4方シール包装品Wを製造することができる。
【0054】
以上説明したように、本発明では、従来技術(図3参照)の送りローラ4のようにシゴキローラ5の上方に第1の送りローラ4A,4Bが配置されているのみならず、シゴキローラ5の下方、好ましくは横シール装置6と切断装置8の間にも第2の送りローラ10A,10Bが配置されている。
【0055】
このような構成では、内容物投入直前の筒状フィルム1が、上方の送りローラ4A,4Bと下方の送りローラ10A,10Bの双方で保持された状態になる(図2の状態)。つまり、従来技術(図3参照)で説明したようにシゴキローラ5の上方の送りローラ4だけで吊り下げられている状態ではない。
【0056】
このようにシゴキローラ5の位置を間にして筒状フィルム1の上側と下側の部分を保持しているので、この状態の筒状フィルム1に内容物を投入したとき、縦シール部1d及び横シール部1eが折れ曲がらない。結果、筒状フィルム1の両面に線状の大きなたるみ(波を打った部分)が発生し難い。このため、シゴキローラ5の間に筒状フィルム1を挟み込んだときに皺が出来ず、したがって、横シール部1eを形成した際に横シール部に皺が入ることもなく、製造された4方シール包装品は高い気密性能を持つものとなる。このような本発明の送りローラ配置を持つ縦型充填包装機は、フィルム厚が薄くなるほど皺の防止効果が高かった。
【0057】
なお、本発明では、第2の送りローラ10A,10Bを回転駆動するモータの回転トルクが、第1の送りローラ4A,4B用モータのそれよりも低く設定されていることが好ましい。この理由は次のとおりである。上述した縦型充填包装機は、包装機の上方にある第1の送りローラ4A,4Bと下方にある第2の送りローラ10A,10Bの双方を回転して筒状フィルム1を搬送するものである。このため、特に、一対の第2の送りローラ10A,10Bは、内容物の投入によって膨らんでいる状態の筒状フィルム1を挟み込むことになるため、この挟み込みの際に筒状フィルム1を下側へ引っ張る力が生じる。ここで、第2の送りローラ10A,10Bの回転トルクが第1の送りローラ4A,4Bの回転トルクより大きいと、一対の第1の送りローラ4A,4Bに挟まれたフィルム部分が滑り、フィルムの送り量が変わってしまう虞がある。そのため、第2の送りローラ10A,10Bの方の回転トルクを低くする。
【0058】
さらに、第2の送りローラ10A,10Bは切断装置8に出来るだけ近くに配置されていることが好ましい。このため、第2の送りローラ10A,10Bの外径を出来るだけ小さくすることが好ましい。この理由は次のとおりである。切断装置8の所には、フィルム袋の底部となる横シール部1eが位置するが、この横シール部1eの直ぐ上の筒状フィルム1の両側端部には、筒状フィルム1が内容物で膨らんでいることで屈曲による皺が起きやすい。そのため、第2の送りローラ10A,10Bの位置が切断装置8から離れていると、屈曲による皺が伸ばされないまま出来る。この状態で、切断装置8によるフィルム切断が実施されると、切断位置が正常な位置からずれる虞がある。そのため、第2の送りローラ10A,10Bを切断装置8の極力近くに配置している。
【0059】
また、複数対の第1の送りローラ4A,4Bの配置に関しては、複数対のうちの一対の送りローラがシゴキローラ5の近傍に配置されていることが好ましい。これにより、筒状フィルム1のたるみが出来るだけ少ない状態でシゴキローラ5間に筒状フィルム1を挟ませることができ、皺の発生を一層防ぐことができる。
【0060】
また、横シール装置6が、特許文献2(特開2006−341854の図14)に示すような熱シール/切断機構のカッタ保持バーの部位をカッタ無しのバーに換えたものであっても良い。包装品のフィルム材にアルミニウムを使っている場合、横シール部の形成時にアルミニウムフィルムを加熱し過ぎると発泡を引き起こしシール性能が低下してしまう。このため、この構成によれば、横シール部の冷却が瞬時にでき、シール性能が高まる。
【0061】
また、上述した縦型充填包装機において、縦シール装置3A,3Bの間にこれらと同じ縦シール装置を横方向に複数配設することにより、内容物が入った複数の4方シール包装品を横方向に並べた状態で同時に製造することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 筒状フィルム
1a 折り曲げ部
1b 重ね合わせ部
1d 縦シール部
1e 横シール部
2 製袋ガイド
3A、3B 縦シール装置
4A、4B 第1の送りローラ
5 シゴキローラ
6 横シール装置
7 投入パイプ
8 切断装置
9A、9B ガイドローラ
10A、10B 第2の送りローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されているシート状のフィルムをその幅中央で折り曲げて該フィルムの幅方向端部を互いに重ね合わせることで筒状フィルムを形成する製袋ガイドと、
前記幅中央での折り曲げ部と前記幅方向端部の重ね合わせ部に対応する前記筒状フィルムの横方向両側の側縁にそれぞれ熱シールを行って縦シール部を形成する縦シール装置と、
前記筒状フィルムの横方向両側の側縁付近を挟み込みつつ回転駆動されて、前記縦シール部が形成された前記筒状フィルムを下方へ送る複数対の送りローラと、
前記筒状フィルムの中に内容物を投入する投入パイプと、
前記投入パイプの前記内容物の出口の下方にあって前記縦シール装置の下方に配設され、前記内容物が投入された前記筒状フィルムを挟み込みつつ該筒状フィルムの下方への送りに伴って回転することで前記筒状フィルムに前記内容物が入っていない空部を形成する一対のシゴキローラと、
前記一対のシゴキローラの下方に配設され、前記筒状フィルムの前記空部の横方向全幅に亘って熱シールを行って横シール部を形成する横シール装置と、
前記横シール装置の下方に配設され、前記筒状フィルムを前記横シール部の位置で切断する切断装置と、を備えており、
前記複数対の送りローラは第1の送りローラの対と第2の送りローラの対を含み、
前記第1の送りローラの対は前記シゴキローラの上方に配置され、前記第2の送りローラの対は前記シゴキローラの下方で、かつ前記横シール装置と前記切断装置の間に配置されていることを特徴とする、縦型充填包装機。
【請求項2】
前記第2の送りローラの回転トルクが前記第1の送りローラの回転トルクよりも低く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の縦型充填包装機。
【請求項3】
前記第2の送りローラは前記切断装置の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の縦型充填包装機。
【請求項4】
前記第1の送りローラの対が複数設けられており、少なくとも一対の前記第1の送りローラは前記シゴキローラの近傍に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の縦型充填包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−251759(P2011−251759A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128751(P2010−128751)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(596088093)オリヒロエンジニアリング株式会社 (15)
【Fターム(参考)】