説明

縦型包装装置

【課題】オレンジ等の塊状物品を筒状包材で包装する縦型包装装置において、ホッパや容器等における物品の殺到をなくして、物品の詰まりを防止する。
【解決手段】横断面V字形の上流樋状体21を傾斜させて支持するとともに振動体で加振し、上方から落下してくる物品群を受けて排出する上流フィーダ2と、横断面V字形の下流樋状体31を傾斜させ、その上流端が上流フィーダの下側に落差を設けて位置するように支持するとともに振動体で加振し、上流フィーダから排出される物品を受けて排出する下流フィーダと、下流フィーダからの物品群を受けて下方に移送すると共に包装材Bを筒状に形成するフォーマ4と、を備えてなる縦型包装装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレンジ等の塊状物品を筒状包材で包装する縦型包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数物品をまとめて包装する場合において、それらの物品をホッパに投入し、下方にセットした容器内に落下供給することが一般的に行われている。しかし、オレンジ等の塊状物品は、ホッパの小径部分や包装容器の開口部分に殺到することにより、ブリッジ状の詰まりを生じることがある。
【0003】
そこで、ホッパ下部を周方向に回転し、ブリッジした物品に遠心力を作用させる構造(例えば、特許文献1参照。)や、ホッパ内面に回転ローラーを露出させ、ブリッジした物品の一方に押上力を、他方に押下力を作用させる構造(例えば、特許文献2参照。)で詰まりを解消することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−161805号公報
【特許文献2】実公昭49−3814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記何れの手段を採用しても、複数物品が一か所を同時通過することに変わりなく、完全に詰まりを解消できるとは限らない。特に、後者の構造は、押上力の作用で物品落下速度が遅くなり、高速処理には不適である。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、オレンジ等の塊状物品を筒状包材で包装する縦型包装装置において、ホッパや容器等における物品の殺到をなくして、物品の詰まりを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の縦型包装装置は、底部に向うにつれて幅狭となる横断面を有する上流樋状体を傾斜させて支持するとともに振動体で加振し、上方から落下してくる物品を前記上流樋状体で受けて、その下流端から排出する上流フィーダと、底部に向うにつれて幅狭となる横断面を有する下流樋状体を傾斜させ、その上流端が前記上流樋状体の下流端の下側に落差を設けて位置するように支持するとともに振動体で加振し、前記上流フィーダから排出される物品を前記下流樋状体で受けて、その下流端から排出する下流フィーダと、該下流フィーダからの物品群を受けて該物品群を下方に移送すると共に包装材を筒状に形成するフォーマと、該フォーマにて形成された筒状包材の断面をシールする横シール部と、を備えてなる。
【0008】
また、本発明の縦型包装装置は、前記フォーマの投入口は、前記下流樋状体における物品進行方向から前記フォーマ内における物品落下方向に向けて湾曲し、前記下流樋状体から排出される物品を前記フォーマ内へ案内する樋状ガイド体で、上方を覆われている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の縦型包装装置によれば、上方からまとめて落下してくる塊状物品が幅狭の底部を有する樋状体を走行し、さらに上流樋状体から下流樋状体へ落差をもって排出されることにより、前後方向にバラけて一列に整列されるので、フォーマ内や包材開口部に物品が殺到して詰まることが確実に防止される。上下流のフィーダはともに加振されており、物品を加速しながら整列させるので高速処理にも適するものである。
【0010】
また、下流フィーダからの物品を下方へ通過させるフォーマの上方に湾曲した樋状ガイド体を設けたので、物品の進行方向を滑らかに変更させて、物品をその整列状態を維持しながらフォーマ内へ確実に導入することができるので、物品の高速処理と一列に整列された物品群の形状が担保される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る縦型包装装置1を示す図。
【図2】上記縦型包装装置1の部分拡大図で(b)は(a)のX−X断面相当図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る縦型包装装置1は、その上方に設けられた計量機8の開閉ゲート式の物品排出口8aから間欠的に複数個ずつ落下排出されるオレンジ等の塊状物品群を筒状包材Tで包装する装置であり、図1に示されるように、計量機8からの物品を受けて排出する上流フィーダ2と、上流フィーダ2から排出される物品を受けて排出する下流フィーダ3と、下流フィーダ3からの物品群を受けて下方に移送すると共にこれを包装する筒状包材を形成するフォーマ4と、フォーマ4にて形成された筒状包材の断面をシールする横シール部5と、を備えてなる。また、フォーマ4の投入口41aには、その上方を覆うように取り付けられた樋状ガイド体6が設けられている。なお、計量機8は、各々計量した複数物品の中から、合計重量が所定重量範囲内となる複数物品の組み合わせを選択し、その物品群をまとめて排出する組合せ計量機である。
【0013】
上流フィーダ2は、上流樋状体21と、上流樋状体21を加振する振動体22と、上流樋状体21を傾斜させて支持する脚部23と、を備えてなり、上方から落下してくる物品を上流樋状体21で受けて、その下流端21bから排出する。図2(b)に示されるように、上流樋状体21の物品案内面21cは、左右両側の上縁部21dから中央の底部21eに向かうにつれて幅狭となるV字形の横断面を有する。振動体22は、高周波振動を発生させる電磁振動器である。脚部23は、振動体22に取り付けられ、縦型包装装置1の本体の上部テーブル11上に樋状体21を支持する。
【0014】
下流フィーダ3は、下流樋状体31と、下流樋状体31を加振する振動体32と、下流樋状体31を傾斜させて支持する脚部33と、を備えてなり、下流樋状体31の上流端31aは、上流樋状体21の下流端21bの下側に落差を設けて低く位置し、これにより、上流フィーダ2から落下してくる物品を下流樋状体31で受けて、その下流端31bから排出する。図2(b)に示されるように、下流樋状体31の物品案内面31cは、左右両側の上縁部31dから中央の底部31eに向かうにつれて幅狭となるV字形の横断面を有する。振動体32は、高周波振動を発生させる電磁振動器である。脚部33は、振動体32に取り付けられ、縦型包装装置1の上部テーブル11上に樋状体31を支持する。
【0015】
フォーマ4は、上方が広げられたラッパ状の受入部41と、受入部41の下方に連結される筒部42と、筒部42の周囲に配設される羽根部43と、を備えてなり、下流フィーダ3からの物品群を受入部41で受け入れて、筒部42内を下方に移送する一方、帯状の包装材Bを羽根部43に導入しながら、筒部42に巻き付けて筒状に形成する。受入部41は、下流樋状体31の下流端31bの下方に設けられ、投入口41aが下流端31bに向けて開放されている。筒部42は、物品を一個ずつ通過させる内径に設定され、これにより物品群を一列に整列した状態で移送する。羽根部43は、一端が筒部42を覆う筒状に形成されており、これにより導入した包装材Bから筒状包材Tを形成する。包装材Bは、ロール状に巻かれており、これを保持するロール保持部7から供給される。
【0016】
横シール部5は、ヒーター加熱されるシールジョー51と、シールジョー51を両端に支持し、回転軸52a回りで回転する支持体52と、を備えてなり、フォーマ4の下方で筒状包材Tの前後に配置される。シールジョー51は、筒状包材Tを挟んでその断面を熱シールすると共に、該シール部を不図示のカッターで上下に切断し、これにより物品充填済みの筒状包材Tの上端とそれに続く筒状包材Tの下端の横シールが同時に行われる。回転軸52aは、不図示の回転用モーターで回転すると共に、不図示の軸移動用モーターで前後方向に移動する。これにより、前後一対のシールジョー51は、それぞれD字状の軌跡Pを描き、軌跡Pが重複する直線部P1では筒状包材Tを挟みつけて移動し、直線部P1の下端側で筒状包材Tを解放する。なお、横シール部5のほか、筒状包材の縦方向に延びる重なり部分を筒部42に押付けながら熱シールする縦シール部が設けられている。
【0017】
樋状ガイド体6は、図1に示されるように、下流樋状体31の下流端31b及びフォーマ4の投入口41aの上方を覆うように取り付けられる樋状部材で、下流樋状体31における物品進行方向(斜め下方向)からフォーマ4内における物品落下方向に向けてバナナ状に湾曲し、下流樋状体31から排出される物品をフォーマ4内へ案内する。図2(b)に示されるように、樋状ガイド体6の物品案内面6cは、左右両側部6dから中央部6eへ向かうにつれて幅狭となるV字形の横断面を有してなる。また、物品案内面6cは、下流樋状体31の上方に位置する上流端6a付近では、下流樋状体31の物品案内面31cと対向するように下向きにされており、そこから湾曲させられて、フォーマ4内に位置する下流端6b付近では、下流樋状体31からの物品を堰き止めるように横向きにされている。
【0018】
上記縦型包装装置1は、計量機8からまとめて落下排出される物品群を上流樋状体21の物品案内面21cで受けて、その傾斜に沿って下流端21bへ向かうように走行させ、さらに上流樋状体21から排出される物品群を下流樋状体31の物品案内面31cで受けて、その傾斜に沿って下流端31bへ向かうように走行させる。この際、物品案内面21c,31cは、振動体22、32によって加振されており、しかも上流樋状体21と下流樋状体31との間に落差が設けられているため、組合せ計量された物品群が上方からまとめて排出されるものであっても、物品案内面21c、31cを走行するうちに前後方向にバラけて、横断面V字形の底部21e、31e上に沿って一列に整列した状態で落下排出される。したがって、物品群が下流フィーダ3からフォーマ4に供給されるときに、フォーマ4(特に筒部42)内やそれに続く筒状包材Tの開口部に物品が殺到して詰まることが確実に防止される。本装置は、二台の上流及び下流フィーダ2,3による加振で物品を走行方向に加速するので、物品の高速処理にも適している。
【0019】
下流フィーダ3の下流端31bから排出される物品群は、その下方に設けられるフォーマ4の投入口41aへ供給され、フォーマ4の下方に形成された筒状包材Tに収容され包装される。この際、下流フィーダ3から排出される物品は、横断面V字形の物品案内面6cを有し、下流樋状体31上における物品進行方向からフォーマ4内における物品落下方向に向けて湾曲した樋状ガイド体6によって、上方から覆われた状態でフォーマ4内へ向かうため、図2(a)に示されるように、物品群Gが一列に整列した形状を維持しながら、進行方向を滑らかに変更させてフォーマ4内へ確実に導入することができる。したがって、物品の詰まり防止と高速処理が担保される。
【0020】
本発明に係る縦型包装装置は、上記実施形態に限定されることなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変更を加え得る。例えば、上記実施形態の縦型包装装置1では、上流フィーダ2と下流フィーダ3の二台の振動フィーダのみを備えることとしたが、三台以上の振動フィーダを連続させることとしても良い。また、樋状体の物品案内面21c,31cは、いずれも横断面V字形に形成されていたが、物品を一列に整列させることができるものであれば、例えば、横断面U字形や横断面円弧形等、底部に向うにつれて幅狭となる横断面を有する樋状体を採用しても良い。樋状ガイド体の物品案内面6cも、横断面U字形や横断面円弧形等、底部に向うにつれて幅狭となる横断面を採用しても良い。
【符号の説明】
【0021】
1 縦型包装装置
2 上流フィーダ
21 上流樋状体
21b 下流端
21c 物品案内面
21e 底部
3 下流フィーダ
31 下流樋状体
31b 下流端
31c 物品案内面
31e 底部
4 フォーマ
5 横シール部
6 樋状ガイド体
B 包装材
G 物品群
T 筒状包材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に向うにつれて幅狭となる横断面を有する上流樋状体を傾斜させて支持するとともに振動体で加振し、上方から落下してくる物品を前記上流樋状体で受けて、その下流端から排出する上流フィーダと、
底部に向うにつれて幅狭となる横断面を有する下流樋状体を傾斜させ、その上流端が前記上流樋状体の下流端の下側に落差を設けて位置するように支持するとともに振動体で加振し、前記上流フィーダから排出される物品を前記下流樋状体で受けて、その下流端から排出する下流フィーダと、
該下流フィーダからの物品群を受けて該物品群を下方に移送すると共に包装材を筒状に形成するフォーマと、
該フォーマにて形成された筒状包材の断面をシールする横シール部と、を備えてなることを特徴とする縦型包装装置。
【請求項2】
前記フォーマの投入口は、前記下流樋状体における物品進行方向から前記フォーマ内における物品落下方向に向けて湾曲し、前記下流樋状体から排出される物品を前記フォーマ内へ案内する樋状ガイド体で、上方を覆われていることを特徴とする請求項1に記載の縦型包装装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−208645(P2010−208645A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54044(P2009−54044)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】