説明

縦延伸熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法並びに装置

【課題】縦(フィルム進行)方向の厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】幅方向両端部の厚みが中央部よりも厚い長尺状の未延伸熱可塑性樹脂フィルム27を搬送するとともに、搬送中のフィルム27を加熱した状態でフィルム進行方向に縦延伸する縦延伸熱可塑性樹脂フィルム27の製造方法において、未延伸熱可塑性樹脂フィルム27のフィルム幅方向全幅に配設された全面ヒータ26aにより、フィルム全幅を均一に加熱するとともに、フィルム27の幅方向両端位置に配設された一対の端部ヒータ26b、26bにより、フィルムの両端部を局部加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未延伸熱可塑性樹脂フィルムをフィルム進行方向に延伸する縦延伸熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法並びに装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂フィルムは、包装用フィルム、製版基板、印刷用フィルム、ラミネートフィルム、写真用支持体(例、ネガフィルムあるいはX線フィルム用支持体)、磁気記録媒体あるいは光ディスク等の支持体として広く使用されている。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂のフィルムは、寸法安定性、機械的強度、透明性等の特性に優れていることから、主に写真用支持体、磁気記録媒体の支持体として使用されている。特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、写真分野において、従来からレントゲンフィルム、リスフィルム等のシート状写真感光材料の支持体として利用されている。また最近では、PETより機械強度、熱安定性、ガスバリヤ性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が、これらの特性をほとんど低下させずにフィルムを薄くすることができる熱可塑性樹脂として写真用支持体等の分野で注目されている。
【0003】
このようなポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂は、延伸することにより優れた物性が得られることが知られており、熱可塑性樹脂は、通常一軸延伸フィルムあるいは二軸延伸フィルムとして使用されている。上記二軸延伸フィルムは、縦一軸延伸した後、横延伸することにより製造される。熱可塑性樹脂の連続的に二軸延伸する方法は、通常、樹脂を押出機から冷却ドラム(キャスティングローラ)上に溶融押出して未延伸フィルム(無定形シート)を得、このフィルムを予備加熱した後、加熱しながら周速の異なるローラ間(即ち、低速ローラと高速ローラ間)で、フィルムの進行方向に延伸し(縦延伸)、次いで、テンター式横延伸機内に導入し、フィルム両端をクリップで保持して幅方向に延伸する(横延伸)ことにより行われる。更に詳しく言えば、上記縦延伸は、一本以上の予熱ローラにより樹脂のガラス転移温度(Tg)付近にまで予備加熱した後、赤外線ヒータ等でTg以上に加熱しながら低速ローラと高速ローラとを通過させることにより、あるいは低速ローラに入れる前にTg以上に加熱したのち、低速ローラと高速ローラとを通過させることによって行なわれる。
【0004】
熱可塑性樹脂を縦延伸する際、途中で破断することなく安定して延伸が行なえるように種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、縦延伸を行うための低速ローラ及び高速ローラの間を通過する熱可塑性樹脂フィルムの加熱を、徐々に温度を上げながら行うことが記載されている。また、特許文献2には、安定して高倍率の延伸ができるように、低速ローラ上に2個のピンチローラが設けられた装置が提案されている。上記方法あるいは装置により、縦延伸熱可塑性樹脂を安定して得ることは可能である。
【特許文献1】特開平4−282225号公報
【特許文献2】特開平8−11204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討により、特許文献1または特許文献2の発明では、樹脂の種類、フィルムの製造条件により、得られる延伸フィルムの縦方向に厚みムラが発生するという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、縦(フィルム進行)方向の厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法並びに装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、幅方向両端部の厚みが中央部よりも厚い長尺状の未延伸熱可塑性樹脂フィルムを搬送するとともに、搬送中のフィルムを加熱した状態でフィルム進行方向に縦延伸する縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向全幅に配設された全面ヒータにより、フィルム全幅を均一に加熱するとともに、前記フィルムの幅方向両端位置に配設された一対の端部ヒータにより、前記フィルムの両端部を局部加熱することを特徴とする。
【0008】
縦延伸に使用される上記未延伸フィルムには、通常、幅方向に厚み分布が発生している。即ち、熱可塑性フィルムは、押出機のダイヘッドから冷却ドラム上にシート状に溶融押出しされた時、ダイヘッドから冷却ドラム上に落下するまでの間にそのシートの幅が狭くなり(ネックイン現象)、こうして得られる未延伸フィルムの両端部の厚みが大きくなる傾向がある。
【0009】
そして、本発明者の検討によると、上記の未延伸フィルムの両端部の厚みが大きいことが、最終的に得られる延伸フィルムに縦方向の厚みムラをもたらすとの知見を得た。即ち、本発明者の検討によれば、上記両端の厚みが大きい未延伸フィルムを、その両端まで充分に延伸できるように加熱を行なうと、中央付近の厚みの薄い部分では加熱過剰(即ち加熱量過剰)となり、ドローイング(分子流れ)が起こり、結果として均一な厚みの縦延伸フィルムを得ることができない。また、中央付近の延伸が均一となるように、加熱を抑えた場合には、上記とは反対にフィルム両端部で加熱量不足となり、延伸時に、特に延伸倍率が高い時にその両端部で白化することが明らかとなった。このようなフィルムを更に横延伸しても厚みムラの小さい延伸フィルムを当然得ることはできない。
【0010】
従って、フィルム全幅に設けられた全面ヒータによりフィルム全幅を均一に加熱すると、フィルム中央付近の延伸が均一となるように加熱を抑えた場合にはフィルム両端部で加熱量不足となる。
【0011】
そこで、本発明の発明者は、全面ヒータとは別に、フィルム両端部にそれぞれ設けられた端部ヒータによりフィルム両端部を加熱することで、フィルム両端部で加熱量不足となることがないようにした。この場合、端部ヒータをフィルム進行方向と略平行に設けることにより、フィルム両端部での幅当りの出力を大きくすることができるので好ましい。従って、フィルム進行方向に延伸(縦延伸)する際に、縦延伸後に、端部厚みの大きい未延伸フィルムに起因する縦方向の厚みムラが出ないように、端部ヒータの出力を所望の値に設定することができる。
【0012】
請求項1の発明によれば、幅方向両端部の厚みが中央部よりも厚い長尺状の未延伸熱可塑性樹脂フィルムの縦延伸工程の際に、未延伸熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向全幅に配設された全面ヒータにより、フィルム全幅を均一に加熱するとともに、フィルムの幅方向両端位置に配設された一対の端部ヒータにより、フィルムの両端部を局部加熱するので、縦方向の厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記端部ヒータは、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムに対して、前記全面ヒータの反対面側に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、端部ヒータは、全面ヒータとは反対側のフィルム面を加熱するので、フィルム中央部よりも厚みのあるフィルム両端部を効率よく加熱することができるとともに、設置スペース上でも有効である。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の発明において、前記全面ヒータ及び/又は前記端部ヒータは、発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、全面ヒータ及び/又は端部ヒータが、発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであるので、ヒータ表面の酸化がなくなり、フィルムにその酸化物が落下し付着することでフィルムに欠陥ができてしまうことを防止することができる。尚、全面ヒータ及び/又は端部ヒータのうち、少なくともフィルムの上面に設けられたヒータが発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであれば、酸化物によるフィルムの欠陥を防止することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1の発明において、前記端部ヒータの出力は、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムの中央部と両端部との厚みにより調整されることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明によれば、未延伸熱可塑性樹脂フィルムの中央部と両端部との厚みからヒータの出力を決めるので、縦方向の厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。尚、ここで、両端部の厚みとは、端部または端部付近の極大の厚みを意味し、また中央部の厚みとは、中央位置または中央位置付近の極小の厚みを意味する。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1の発明において、前記端部ヒータの出力は、加熱された前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムの中央部と両端部とのフィルム温度をフィードバックすることにより調整されることを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明によれば、加熱された未延伸熱可塑性樹脂フィルムの中央部と両端部とのフィルム温度からヒータの出力を調整するので、縦方向の厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1の発明において、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムは、両端部の厚みが中央部の厚みの1.2倍以上であることを特徴とする。
【0022】
本発明は、両端部の厚みが中央部の厚みの1.2倍以上である未延伸熱可塑性樹脂フィルムを縦延伸(フィルム進行方向に延伸)する場合に特に有効である。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1の発明において、前記フィルム進行方向の延伸倍率は、2〜7倍の範囲であることを特徴とする。
【0024】
本発明は、縦延伸倍率が2〜7倍の範囲である場合に特に有効に縦方向の厚みムラを防止することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られたことを特徴とする縦延伸熱可塑性樹脂フィルムである。
【0026】
本発明により製造された縦延伸熱可塑性樹脂フィルムは、縦方向の厚みムラが抑制されているので、包装用フィルム、製版基板、印刷用フィルム、ラミネートフィルム、写真用支持体、磁気記録媒体あるいは光ディスク等の支持体として好適に使用することができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
【0028】
請求項9の発明によれば、熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であることで、寸法安定性、機械的強度、透明性等の特性に優れ、写真用支持体、磁気記録媒体等の支持体として好適に使用することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、前記目的を達成するために、長尺状の未延伸熱可塑性樹脂フィルムを搬送するとともに、搬送中のフィルムをヒータで加熱した状態でフィルム進行方向に縦延伸する縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造装置において、前記ヒータは、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向全幅に配設され、フィルム全幅を均一に加熱する全面ヒータと、前記フィルムの幅方向両端部位置に前記フィルム進行方向と略平行に配設され、前記フィルムの両端部を局部加熱する端部ヒータと、を備えたことを特徴とする。
【0030】
請求項10の発明によれば、未延伸熱可塑性樹脂フィルムを縦延伸する際の加熱ヒータを、全面ヒータと、端部ヒータとで構成したので、幅方向両端部の厚みが中央部よりも厚い場合にも、幅方向両端部と中央部の厚みが同じ場合にも対応することができ、縦(フィルム進行方向)に厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、縦方向の厚みムラのない縦延伸熱可塑性樹脂フィルムを簡便に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明について以下に詳細に説明する。
【0033】
本発明において、上記熱可塑性樹脂を用いて縦延伸又は縦横の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、例えば、下記のように行なわれる。図1を参照しながら説明する。熱可塑性樹脂として芳香族系ポリエステル(好ましくは上記微粒子を含む)を用いた場合、これをあらかじめ加熱乾燥させ(一般に80〜180℃で、12〜36時間行なわれ、特にポリエステルのガラス転移温度以下の場合は減圧雰囲気下での乾燥が好ましい)、これをホッパー1から押出機2に投入する。押出機内は予め[Tm+10℃]〜[Tm+70℃](Tm:ポリエステルの融点;好ましくは[Tm+20℃]〜[Tm+50℃])の温度に加熱されており、押出機内でポリエステルは溶融混合される。この溶融混合は、一般に3分以上(好ましくは3〜20分)行なわれる。このようにして得られた溶融樹脂は目開き1〜100μmのフィルターを通過させることが好ましい。溶融ポリエステル(一般に[Tm+10℃]〜[Tm+70℃]に加熱されている)は、ダイヘッド3からキャスティングローラ4上に、シート状に溶融押し出しされ、30〜110℃で冷却固化され、未延伸フィルム(無定型シート)となる。次いで、未延伸フィルムは予熱ローラ6で予備加熱された後、一対の低速ローラ5と一対の高速ローラ7により[Tg+5℃]〜[Tg+60℃](Tg:ガラス転移温度)の温度にて縦方向(長尺方向)に2〜7倍(好ましくは2〜5倍)の倍率に延伸され、次いで冷却ローラ8で冷却される。その後、縦延伸フィルムは、熱風10が送られている横延伸装置9に入り、両側をテンターで保持されて予熱部12で加熱された後、延伸部13で[Tg+5℃]〜[Tg+60℃](好ましくは[Tg+20℃]〜[Tg+50℃])の温度にて横方向(幅方向)に、一般に2〜7倍(好ましくは2〜5倍)に延伸される。このように二軸延伸されたフィルムは、熱固定部14で[Tm−100℃]〜Tm(好ましくは[Tm−50℃]〜Tm)の温度で熱処理され、次いで熱緩和部15で熱緩和され、最後に冷却部16で冷却された後、巻取機11で巻き取られる。延伸時の温度は、例えば、PETの場合、120〜150℃が好ましく、PENの場合、140〜180℃が好ましい。尚、縦延伸のみのフィルムを得る場合は、横延伸装置に入らずそのまま巻き取られる。
【0034】
次いで、本発明の縦延伸熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法を、縦延伸(及びその前後の)工程の一例を示す図2、及び縦延伸時の加熱方法を示す図3を参照しながら詳しく説明する。ダイヘッド20からキャスティングローラ21上に押し出された未延伸フィルム27を、予熱ローラ22a、22b、22c、22d、22eで予備加熱(一般に50〜150℃)した(ニップローラN1 で搬送方向を制御しながら)後、予備加熱された未延伸フィルム27を、加熱された低速ローラ23(予熱ローラでもある;一般に表面温度50〜150℃)を通し、全面ヒータ26aとフィルム両端部にそれぞれ設けられた端部ヒータ26b、26bとで、フィルムの両端部の加熱量が中央部より大きくなるように加熱し、次いで高速ローラ24(冷却ローラでもある;一般に表面温度10〜50℃)とニップローラN2 との間を通す。未延伸フィルム27は高速ローラ24により引き伸ばされ、2〜7倍の倍率に縦延伸される。延伸されたシートは、冷却ローラ25a、25b(一般に10〜50℃)で冷却され、縦延伸ポリエステルフィルムが得られる。N3 はニップローラである。ニップローラは、図2においてニップローラを備えていないローラに対しても適宜設置することができる。本発明では、低速ローラ23以前のローラの少なくとも1個、及び高速ローラ24以後のローラの少なくとも1個は、一対のローラである(例えばニップローラと対をなしている)。
【0035】
上記低速ローラの周速は一般に、0.5〜50m/分である。そして高速ローラの周速は、延伸倍率と低速ローラにより決定される。未延伸フィルムの厚さは、通常、幅方向の端部の厚みが中央部の厚みの1.2倍以上となる。また、その中央部の厚みが400〜3000μmである。上記のように、低速ローラと高速ローラとの間の加熱をフィルムの両側が中央部より大きい加熱量となるように行なうことにより、縦方向の厚みムラ(変動)を極端に小さくすることができる。低速ローラの前の予熱ローラで予備加熱している際に、このような加熱を行っても同様な効果が得られるが、その際できるだけ低速ローラに近い位置で加熱することが好ましい。
【0036】
図3(上面図)及び図4(斜視図)には、未延伸フィルム27を低速ローラ23と高速ローラ23で縦延伸する時の本発明における加熱の方法の例が示されている。低速ローラ23と高速ローラ24との間を通過するフィルム面下側に、未延伸フィルム27の幅方向全幅に2本の全面ヒータ26a、26aが設置されている。そして、フィルム面上側でフィルム両端部位置に、フィルム進行方向と略平行に2本ずつ端部ヒータ26b、26b…(合計4本)が設置されている。尚、図3及び図4では、2本の全面ヒータ26a、4本の端部ヒータ26bで図示したが、この本数に限定されるものではない。また、図4では、フィルム面下側に配置された全面ヒータ26aが見えているが、これは透明フィルムのためである。
【0037】
このように、端部ヒータ26bをフィルム進行方向と略平行に設けることにより、フィルム両端部での幅当りの出力を大きくすることができるので好ましい。更に、端部ヒータ26b、26bは、図2及び図3に示すように、フィルム面において全面ヒータ26aの反対の面側に設置されていることが好ましい。この場合、図1のように、フィルム面上側に全面ヒータ26aを配置し、フィルム面下側に端部ヒータ26bを配置してもよい。端部ヒータ26b、26bがフィルム面において全面ヒータ26aの反対面側に設置されることで、フィルム中央部よりも厚みのあるフィルム両端部を効率よく加熱することができるとともに、設置もしやすい。
【0038】
フィルム全幅に設けられた全面ヒータ26aによりフィルム全幅を均一に加熱する。フィルム中央付近の延伸が均一となるように加熱するのでフィルム両端部で加熱量不足となる。そこで、フィルム進行方向と略平行で、フィルム両端部にそれぞれ設けられた端部ヒータ26b、26bによりフィルム両端部を加熱する。このようにすることで、フィルム両端部で加熱量不足となることがないようにした。特に、端部ヒータ26b、26bはフィルム進行方向と略平行に設けられていることで、フィルム両端部での幅当りの出力を大きくすることができる。従って、フィルム進行方向に延伸(縦延伸)する際に、縦延伸後に、端部厚みの大きいフィルムに起因する縦方向の厚みムラが出ないように、端部ヒータの出力を所望の値に設定することができる。
【0039】
上記加熱の方法として、未延伸フィルムの中央部と両端部との厚みを測定し、そのデータに基づいて全面ヒータ26aの出力と端部ヒータ26bの出力とを制御しても良い。また、両ヒータで加熱されたフィルムの表面温度を測定しながら、そのデータに基づいて全面ヒータ26aの出力と端部ヒータ26bの出力とを制御しても良い。さらに、厚みと表面温度の両方の測定データに基づいて全面ヒータ26aの出力と端部ヒータ26bの出力とを制御しても良い。フィルム厚みを測定する装置としては、例えば、東芝機械社製のβ線厚み計を使用することができ、フィルムの表面温度を測定する温度計としては、例えば、ハイトロニクス社製の赤外線温度計(KT−15型など)を使用することができる。
【0040】
また、全面ヒータ26a及び/又は端部ヒータ26b、26bは、発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであることが好ましい。発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであることで、ヒータ表面の酸化がなくなり、フィルムにその酸化物が落下することを防止することができる。尚、図2及び図3の場合には、全面ヒータ26aが搬送されているフィルムの上面に位置するため、少なくとも全面ヒータ26aが、発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであることで、ヒータ表面の酸化がなくない、フィルムにその酸化物が落下することを防止することができる。従って、フィルムの異物等の欠陥を防止することができる。
【0041】
本発明において、上記芳香族ポリエステルの未延伸フィルム{厚み1000〜2000μm程度で、両端部の厚み(幅方向の最大厚み)が中央部の厚み(幅方向の最小厚み)の1.5倍程度)}は、未延伸フィルムの搬送速度が1m/分程度においては、フィルムの表面温度は両端部が76〜170℃、中央部が75〜150℃、その差が1〜20℃とするのが一般的である。これらの値は、当然フィルムの組成、厚み等によって異なってくる。また、上記未延伸フィルムの搬送速度が大きくなると、予熱ローラの温度も変わる。これらの場合にも、各ヒータの出力を調整して、フィルム両端部と中央部との表面温度の差を1〜20℃の範囲にすることが好ましい。
【0042】
上記縦延伸したポリエステルフィルム(熱可塑性樹脂フィルムも同様)においては、通常その厚み(中央部)は50〜1000μmの範囲であり、50〜600μmの範囲が好ましい。また、そのフィルムの幅は、通常100〜2000mmの範囲であり、100〜1000mmが好ましく、特に100〜500が好ましい。横延伸を予定した縦延伸したポリエステルフィルム(熱可塑性樹脂フィルムも同様)は、上記のように200〜600μmの範囲が好ましい。本発明で縦延伸されたフィルムは更に横延伸されることが好ましい。また、上記縦延伸ポリエステルフィルムを更に横延伸する場合、得られる横延伸したポリエステルフィルム(熱可塑性樹脂フィルムも同様)においては、通常その厚みは20〜300μmの範囲にあり、30〜200μmの範囲にあることが好ましい。また、そのフィルムの幅は通常100〜10000mmの範囲にあり、100〜8000mmが好ましく、特に100〜5000が好ましい。
【0043】
尚、図2では、ニップローラ式による縦延伸方法を説明したが、低速ローラ及び高速ローラを用いる延伸方法であれば、クローバーローラ式、あるいは連続延伸式等のいずれの方法にでも、本発明の方法を適用することができる。また、上記縦延伸フィルムを更に横延伸する場合は、幅方向の厚み変動を抑えるため、フィルム表面の幅方向の温度分布がほぼ一定となるように、フィルム表面を加熱しながら横延伸を行なうことが好ましい。
【0044】
また、二軸延伸フィルムは、二軸延伸して巻取られた後、50℃以上ガラス転移温度以下の範囲の温度で熱処理を行なっても良い。熱処理を行なうために要する時間は、0.1〜1500時間が一般的である。この効果は熱処理温度が高いほど早く進む。しかし熱処理温度がガラス転移温度を超えるとフィルム内の分子がむしろ乱雑に動き逆に自由体積が増大し、分子が流動し易い、即ち巻きぐせの付き易いフィルムとなる。従ってこの熱処理はガラス転移温度以下で行うことが必要である。
【0045】
本発明の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル(芳香族系ポリエステルが好ましい)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレンが好ましい)、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドを挙げることができる。これらの中で、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特に芳香族系ポリエステルが寸法安定性、機械的強度、透明性に優れていることから好ましい。
【0046】
本発明で使用することができるポリエステルの代表例としては、主たるモノマー単位がエチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートからなるポリエステル(即ち、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN))、及びエチレンテレフタレート及びエチレン−2,6−ナフタレートの両方のモノマー単位を含むポリエステル(共重合体)を挙げることができる。特に、上記ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位が0〜40モル%とエチレン−2,6−ナフタレート単位が60〜100モル%とからなる繰り返し単位を持つ芳香族ポリエステルであることが好ましく、またこのような芳香族ポリエステルの極限粘度は、0.50〜0.70の範囲にあることが好ましい。極限粘度が0.50未満では、延伸倍率を高めるとフィルムの破断が生じ易く、また強延伸により白化現象が起こり易い。一方、0.70を超えるとフィルムの厚み変動が大きくなり易い。
【0047】
上記PEN、PETあるいは共重合体は、テレフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸(あるいはこれらのアルキルエステル)とエチレングリコールの重合により得ることができる。上記重合において、テレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に他の二官能性カルボン酸を、全カルボン酸の20モル%以下の範囲で使用してもよい。このような二官能性カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とそれらのアルキルエステル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸とそれらのアルキルエステル、そしてトリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸またはそれらのアルキルエステルなどを挙げることができる。一方、上記重合において、エチレングリコール以外に他のグリコールを、全グリコールの20モル%以下の範囲で使用してもよい。このようなグリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、分子量150〜20000のポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。
【0048】
また、上記ポリエステルの重合には、エステル化反応触媒、エステル交換反応触媒、重縮合反応触媒を適宜使用することができる。使用するエステル化反応触媒、エステル交換反応触媒、重縮合反応触媒は、従来から知られているチタン化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などを適宜使用することができる。触媒の添加量は、ポリエステルに対して50〜500ppmが一般的であり、100〜200ppmが好ましい。また、目的に応じてそのほかの金属化合物や含窒素塩基性化合物、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、染料などを使用してもよい。また、ポリエステルの製造方法は、従来から知られている通常の方法で行うことができる。すなわち、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよく、またエステル交換反応法でも直接エステル化反応法でもよい。更に、これらの重合反応後に、固相重合反応を行なっても良い。
【0049】
本発明で得られる縦延伸熱可塑性樹脂フィルムは、表面の滑り性付与剤として、不活性微粒子を300ppm以下(好ましくは5〜100ppm)の量で含むことが好ましい。不活性微粒子としては、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機化合物や、架橋されたアクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の架橋高分子などの有機化合物を挙げることができる。これらの中でシリカが好ましく、特に破砕型シリカが好ましい。このような熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂と上記微粒子の混合物を溶融押し出しするか、あるいは熱可塑性樹脂の合成段階で微粒子を添加して得られた組成物を溶融押し出しし、ついで延伸することにより得ることができる。本発明では、平均粒径が0.1〜1μmの範囲の不活性微粒子を5〜100ppmの範囲で含んでいることが好ましい。
【0050】
本発明では、熱可塑性樹脂がポリエステルの場合、樹脂フィルム中に、ポリエステル重合工程で触媒等に使用された金属化合物とリン化合物とが反応して、リン酸金属塩として析出した粒子(いわゆる内部粒子)を含んでいても良い。
【実施例】
【0051】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0052】
[実施例1]
(未延伸PETフィルムの作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、連続重合法によりポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂:固有粘度0.66…フェノール/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)を合成した。このPET樹脂を150℃で8時間真空乾燥した後、300℃でTダイから25℃の冷却ドラム上にシート状に溶融押出しして冷却固化した。Tダイから冷却ドラムに押し出すシートに静電印加して冷却ドラムに密着させるようにした。これにより、未延伸のPETフィルムを得た。
【0053】
(延伸PETフィルムの作製)
上記の如く得られた未延伸PETフィルムを、全面ヒータと端部ヒータとを併用した本発明における縦延伸工程により縦延伸した。即ち、図4に示すように、低速ローラ23と高速ローラとの間で縦延伸される未延伸PETフィルム27の下面側に2本の全面ヒータ26aを配置し、未延伸PETフィルム幅方向の両端部で上面側に2本ずつ端部ヒータ26b(合計4本)を配置した。
【0054】
そして、図5の表に示す実施例1〜8の条件下により、未延伸PETフィルム27を縦延伸し、得られた縦延伸PETフィルムについて、長手変動の変動率、ヒータ酸化の程度、及び総合評価を行った。また、端部ヒータ26bを用いない比較例1〜3について同様に評価した。比較例1〜3の条件についても図5の表に示す。
【0055】
図5の表において、「端部ヒータ」有りとは、全面ヒータの他に端部ヒータも使用したことを意味する。「端部ヒータ」なしとは、全面ヒータのみを意味する。
【0056】
「設置位置」の反対側面とは、端部ヒータが配置されるフィルム面が、全面ヒータが配置されたフィルム面の反対側面に配置されていることを意味する。
【0057】
「ヒータ種類」のガラス管被覆とは、全面ヒータ及び端部ヒータの種類として、発熱コイルをガラス管で被覆した赤外線ヒータを用いたことを意味し、ハロゲンとは、全面ヒータ及び端部ヒータの種類としてハロゲンヒータを用いたことを意味する。
【0058】
「出力調整」の温度FBとは、縦延伸時の中央部と両端部のフィルム温度を測定して、その測定温度に基づいて端部ヒータの出力をフィードバック制御することを意味する。また、厚み差FBは、Tダイからの押出し後のフィルムの中央部及び両端部の厚みを測定し、その測定厚みに基づいて端部ヒータの出力をフィードバック制御することを意味する。また、固定出力とは、予め用意された条件だしテーブル(条件だしの表)にのっとって、端部ヒータの出力を制御することを意味する。
【0059】
「厚み比率」とは、フィルム中央部の厚みを1としたときの、フィルム端部の厚み比率であり、例えば1.25とは、フィルム端部がフィルム中央部に比べて1.25倍の厚みになっている未延伸PETフィルムを縦延伸したことを意味する。また、実施例1〜8、及び比較例1〜3の厚み比率の調整は、フィルム端部である耳部の厚みを変えることにより行われるが、本実施例では、Tダイのリップ調整やインナーディッケル位置の調整等の機械的な調整を意図的に大きくすることにより行った。
【0060】
「延伸倍率」とは、縦延伸の延伸倍率を意味する。
【0061】
「長手変動」とは、フィルム進行方向(搬送方向)の厚みムラを意味し、長手変動3%以内であることが許容限界であり、1.5%以下であることがより好ましい。
【0062】
「長手評価」とは、長手変動における評価を◎、○、△、×で示したものであり、◎は長手変動が1%未満、○は1%〜1.5%未満、△は1.5%〜3%未満、×は3%以上を意味する。
【0063】
「ヒータ酸化」とは、ヒータ表面の酸化の程度を示したものであり、○はヒータ酸化がなく酸化物が試験中フィルム上に落下しなかったことを意味し、△はヒータ酸化がやや発現しており、酸化物が試験中フィルム上に落下しなかったものの、長時間の試験では落下する危険性があることを意味する。×はヒータ酸化が大きく酸化物が試験中フィルム上に落下したことを意味する。
【0064】
「総合評価」とは、「長手変動」評価及び「ヒータ酸化」評価の両方を含めた評価である。
【0065】
図5の表の条件で縦延伸した実施例1〜8、及び比較例1〜3は、それぞれ横延伸工程に搬送され、テンター式横延伸機により、横延伸倍率が3.4倍になるように横延伸した。その後、240℃で3秒間熱固定を行い、次いでフィルム幅方向に5%緩和処理しながら冷却し、平均厚み100μmの延伸PETフィルムを作製した。
【0066】
(縦延伸工程での評価結果)
図5の表において、厚み比率が同じ1.25の実施例1、4、5と比較例1〜3とを対比すると、全面ヒータと端部ヒータを併用した本発明の実施例1、4、5は、長手評価が○〜◎と良く、ヒータ酸化も全て○であった。このことは、フィルム中央部に比べてフィルム端部が厚い厚み比率があるフィルムを縦延伸する場合であっても、全面ヒータと端部ヒータを併用することにより、厚み比率に起因した長手変動を効果的に抑制できることが分かる。
【0067】
これに対して、全面ヒータのみを用いた比較例1〜3は、ヒータ酸化は△〜○であったが、長手評価が全て×であり、厚み比率に起因して大きな長手変動が発現した。
【0068】
また、厚み比率が1.25よりも大きな実施例2、6、7、8(厚み比率1.50)、実施例3(厚み比率1.78)についても、長手評価は△〜◎の範囲であり、比較例(厚み比率1.25)に比べて良い評価であった。
【0069】
各実施例の中で、、ヒータ種類、厚み比率及び延伸倍率が同じで、出力調整の異なる実施例2(温度FB)と、実施例6(厚み差FB)と、実施例7(固定出力)とを対比すると、長手評価は実施例2の温度FBと実施例6の厚みさFBが、実施例7の固定出力よりも良い結果であった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ポリエステルフィルムを製造する製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の縦延伸工程の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の縦延伸工程における加熱方法の一例を示す上面図である。
【図4】本発明の縦延伸工程における加熱方法の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例及び比較例の条件と結果を示す表図である。
【符号の説明】
【0071】
1…ホッパー、2…押出機、3…ダイヘッド、4…キャスティングローラ、5…低速ローラ、6…予熱ローラ、7…高速ローラ、8…冷却ローラ、9…横延伸装置、10…熱風、11…巻取機、12…予熱部、13…延伸部、14…熱固定部、15…熱緩和部、16…冷却部、20…ダイヘッド、21…キャスティングローラ、22a,22b,22c,22d,22e…予熱ローラ、23…低速ローラ、24…高速ローラ、25a,25b…冷却ローラ、26a…全面ヒータ、26b…端部ヒータ、27…未延伸(熱可塑性樹脂)フィルム、N1 ,N2 ,N3 …ニップローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向両端部の厚みが中央部よりも厚い長尺状の未延伸熱可塑性樹脂フィルムを搬送するとともに、搬送中のフィルムを加熱した状態でフィルム進行方向に縦延伸する縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、
前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向全幅に配設された全面ヒータにより、フィルム全幅を均一に加熱するとともに、
前記フィルムの幅方向両端位置に配設された一対の端部ヒータにより、前記フィルムの両端部を局部加熱することを特徴とする縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記端部ヒータは、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムに対して、前記全面ヒータの反対面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記全面ヒータ及び/又は前記端部ヒータは、発熱コイルをガラス管で被覆している赤外線ヒータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記端部ヒータの出力は、前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムの中央部と両端部との厚みにより調整されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記端部ヒータの出力は、加熱された前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムの中央部と両端部とのフィルム温度をフィードバックすることにより調整されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムは、両端部の厚みが中央部の厚みの1.2倍以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記フィルム進行方向の延伸倍率は、2〜7倍の範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られたことを特徴とする縦延伸熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の縦延伸熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項10】
長尺状の未延伸熱可塑性樹脂フィルムを搬送するとともに、搬送中のフィルムをヒータで加熱した状態でフィルム進行方向に縦延伸する縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造装置において、
前記ヒータは、
前記未延伸熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向全幅に配設され、フィルム全幅を均一に加熱する全面ヒータと、
前記フィルムの幅方向両端部位置に前記フィルム進行方向と略平行に配設され、前記フィルムの両端部を局部加熱する端部ヒータと、を備えたことを特徴とする縦延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−268971(P2007−268971A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100452(P2006−100452)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】