説明

縮合したセレノフェンを含むポリマー

本発明は、縮合したセレノフェン環を含むポリマー、半導体、または、光学、電気光学もしくは電子装置における電荷輸送材料としてのそれらの使用、および、それらを含む光学、電気光学または電子装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合したセレノフェン環を含むポリマー、半導体、または、光学、電気光学もしくは電子装置における電荷輸送材料としてのそれらの使用、および、それらを含む光学、電気光学または電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子工学用途に関する有機ポリマーの使用への関心が高まりつつある。例えば有機ポリマーは、有機物質ベースの薄膜トランジスタや有機性の電界効果トランジスタ(TFT、OFET)において活性な層として期待されている(H.E.Katz,Z.Bao and S.L.Gilat,Acc.Chem.Res.,2001,34,5,359を参照)。このような装置は、スマートカード、セキュリティータグ、および、フラットパネルディスプレーにおけるスイッチ素子において将来性のある用途を有する。有機物質を溶液から堆積させることができる場合、それにより迅速で大面積の製造経路が可能になるために、有機物質は、それらのケイ素類似体より優れた実質的なコスト面での利点を有すると予想される。
【0003】
このような装置の性能は、主に、半導体材料の電荷担体の移動度、および、電流オン/オフ比に基づいており、従って、理想的な半導体は、高い電荷担体の移動度(>1×10−3cm−1−1)と同時にオフ状態における低い伝導率を有すると予想される。加えて、半導体材料は酸化に対して比較的安定であることが重要であり、すなわち、酸化により装置の性能の低下が起こるために、高いイオン化ポテンシャルを有することが重要である。
【0004】
位置規則性ヘッド−テールポリ(3−ヘキシル−チオフェン)(P3HT)が報告されており、これは、1×10−5〜4.5×10−2cm−1−1の電荷担体の移動度を有するが、10〜10の相当に低い電流オン/オフ比を有する(Z.Bao等,Appl.Pys.Lett.,1996,69,4108を参照)。この低いオン/オフ電流は、ある程度はポリマーの低いイオン化ポテンシャルに起因しており、それにより、周囲条件下でのポリマーへの酸素のドーピングが起こり、続いて高いオフ電流が生じる可能性がある(H.Sirringhaus等,Adv.Solid State Phys.,1999,39,101を参照)。
【0005】
高い位置規則性により、改善された充填および最適化された微細構造が形成され、それにより改善された電荷担体の移動度が生じる(H.Sirringhaus等,Science,1998,280,1741−1744;H.Sirringhaus等,Nature,1999,401,685−688;および、H.Sirringhaus,等,Synthetic Metals,2000,111−112,129−132を参照)。一般的に、ポリ(3−アルキル−チオフェン)(P3AT)は改善された溶解性を示し、加工して大面積のフィルムを作製することができる溶液にすることができる。しかしながら、P3ATは比較的低いイオン化ポテンシャルを有し、空気中でドーピングを受けやすい。
【0006】
その他の具体的な重要分野は、有機光起電力技術(OPV)である。有機ポリマーは、例えばスピンキャスティング、ディップコーティングまたはインクジェット印刷のような溶液プロセス技術で装置を製造することを可能にすることから、有機ポリマーはOPVにおける用途が見出されている。溶解プロセスは、無機薄膜装置を製造するのに用いられる蒸発技術と比較してより安価で、且つより大規模で行うことができる。現在のところ、ポリマーベースの装置は、4〜5%までの効率を達成している(例えば、K.M.Coakley and M.D.McGehee,Chem.Mater.2004,16,4533−4542を参照)。これは、無機装置によって到達可能な効率(典型的には25%以下)よりも明らかに低いことがわかる。
【0007】
現在のところOPV装置において最高の効率を達成しているポリマーのクラスは、P3ATである。最も一般的に使用されている例は、広範な利用可能性、および、優れた吸収性を有するため、P3HTである。しかしながら、P3HTは、480〜650nmの範囲にわたり強い吸収を示し、560nmにピーク最大吸収を有する。これは、太陽によって放出された光のかなりの部分が吸収されないことを意味しており、これはOPV装置に使用するには不利である。OPV装置の効率を改善するために、太陽スペクトルのより長い波長域(650〜800nm)からより多くの光を吸収するポリマーが必要である。この目的のために、低いバンドギャップ有するポリマーが望ましく、好ましくは1.9eV未満のバンドギャップを有するポリマーが望ましく、それに対して、例えばP3HTは約2.0eVのバンドギャップを有する。
【0008】
光起電力効率をさらに改善するための1つの方策は、太陽スペクトルからより多くのフォトン束を捕獲することができるポリチオフェン類似体の開発である。これは、半導体ポリマーのバンドギャップを減少させることによって達成される。このようなポリマーのバンドギャップを減少させる一般的な方策は、ドナー−アクセプター法であり、この場合、ポリマー主鎖中で、電子が豊富な単位と電子が不足した単位とを共重合させる。このようなポリマーは、電子が豊富な単位がHOMOをとり、および、電子が不足した単位がLUMOをとる傾向があり、それにより全体のバンドギャップが低くなる(Roncali,J.Chem.Rev.1997,97,’73を参照)。しかしながら、このアプローチを用いる場合、装置の開路電圧(VOC)が減少するという望ましくない結果が生じ、それにより電池効率が減少する(Koster,L.J.A.;Mihailetchi,V.D.;Blom,P.W.M.Appl.Phys.Lett.2006,88,093511を参照)。バルクヘテロ共役の装置におけるVOCは、主としてドナーの最高被占分子軌道(HOMO)と、アクセプターの最低空分子軌道(LUMO)とのエネルギー差によって発生する(Scharber,M.C.;Muhlbacher,D.;Koppe,M.;Denk,P.;Waldauf,C.;Heeger,A.J.;Brabec,C.J.Adv.Mater.2006,18,789を参照)。それゆえに、上述のポリマーのバンドギャップを減少させる方策は、ポリマーのHOMOレベルの上昇という不利点を有する(このHOMOレベルは、真空レベルに近い状態に変動する)。
【0009】
McCulloch等,Nature Materials 2006,5(4),328−333において、チエノ[3,2−b]チオフェンを包含しているポリマーは、有機電界効果トランジスタにおいて極めて高い電荷担体の移動度(0.6cm/Vs以下)を示すことが報告されている。しかしながら、これらのポリマーはOFET装置には有用であるが、このポリマーの最大吸収波長(550nm)は、OPV装置での使用にとって最適ではない。上述したように、これらの装置にとっては、約700nmの最大のフォトン束を有する太陽から最大限の量のエネルギーを捕獲することが望ましい。
【0010】
本発明の目的は、上述したような不利益を有さず、合成が容易であり、高い電荷の移動度、優れた加工性および酸化安定性を有する、半導体または電荷輸送材料として使用するための、特にOPVおよびOFET装置に使用するための新規の改善された材料を提供することである。本発明のもう一つの目的は、新規の半導体および電荷輸送の素子、ならびに、これらの素子を含む新規の改善された電気光学、電子および発光装置を提供することである。本発明のその他の目的は、当業者にとって以下の説明から直ちに明らかになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】H.E.Katz,Z.Bao and S.L.Gilat,Acc.Chem.Res.,2001,34,5,359
【非特許文献2】H.Sirringhaus等,Adv.Solid State Phys.,1999,39,101
【非特許文献3】H.Sirringhaus等,Science,1998,280,1741−1744
【非特許文献4】H.Sirringhaus等,Nature,1999,401,685−688
【非特許文献5】H.Sirringhaus,等,Synthetic Metals,2000,111−112,129−132
【非特許文献6】K.M.Coakley and M.D.McGehee,Chem.Mater.2004,16,4533−4542
【非特許文献7】Roncali,J.Chem.Rev.1997,97,’73
【非特許文献8】Koster,L.J.A.;Mihailetchi,V.D.;Blom,P.W.M.Appl.Phys.Lett.2006,88,093511
【非特許文献9】Scharber,M.C.;Muhlbacher,D.;Koppe,M.;Denk,P.;Waldauf,C.;Heeger,A.J.;Brabec,C.J.Adv.Mater.2006,18,789
【非特許文献10】McCulloch等,Nature Materials 2006,5(4),328−333
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の発明者等は、これらの目的は、以下で説明されているような縮合したセレノフェン環を含むポリマーを提供することによって達成できることを見出した。驚くべきことに、特に縮合したセレノフェノ[3,2−b]チオフェン、および、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェンを含むポリマーが、類似するあらゆる硫黄系と比較してより小さいバンドギャップを有することが見出された。加えて、本発明の発明者等は、ポリマー主鎖にセレノフェノ[3,2−b]チオフェンを包含させると、驚くべきことに、自己編成して(自分でまとまって)高秩序化されたフィルムを構築するというポリマーの能力に影響を及ぼすことなく、該ポリマーの溶解性が改善されることを見出した(18頁のコメントも参照)
JP2006−089413Aは、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン基を含む低いモル質量の化合物を開示しているが、本発明に係るポリマーを開示していない。加えてJP2006089413Aは、溶解させる側鎖を含む3,6位で置換されたセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン、または、セレノフェノ[3,2−b]チオフェンまたは、このような化合物の製造方法を開示していない。また、溶解させる側鎖を含む芳香族単位と組み合わせた非置換のセレノフェノ[3,2−b]セレノフェンも開示されていない。このような側鎖の使用は、ポリマーに溶解性を提供することだけでなく、隣接するポリマー主鎖上で側鎖を互いにかみ合わせることによってポリマー主鎖の自己編成を促進することにも重要である。この自己編成により、ポリマー主鎖のより密接した充填が可能になり、これは、電荷が1つの分子から隣接する分子へホッピングするメカニズムによって運搬されるため、ポリマーがトランジスタ装置中で密接して充填できるようにするのに重要である。加えて、有機光電池は、p型およびn型素子を混合したものを利用するが、これは、境界面への効率的な励起、正孔および電子への励起のスプリッティング、それに続くそれぞれの電極における電荷の回収を促進するために、ナノスケールで相分離していなければならない(Padinger,J.;Rittberger,R.S.;Sariciftci,N.S.Adv.Funct.Mater.2003,13,85を参照)。相分離がなければ、このプロセスは非効率的であり、品質の劣った電池しか得られない。本発明の発明者等は、例えばPCBM([6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル)のような典型的なn型素子を含む焼き入れした混合型のフィルムにおいて、目下報告されているポリマーの自己編成能力は、このような相分離を促進することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、式I:
【0014】
【化1】

【0015】
で示されるポリマーに関し、
式中、XおよびXのうち一方はSeであり、他方はSまたはSeであり、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、P−Sp−、置換されていてよいシリル、または、1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビル(これらは、置換されていてもよく、また1個またはそれより多くのヘテロ原子を含んでいてもよい)から選択される同一または異なる基であり、
Pは、重合可能な基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
は、ハロゲンであり、
およびR00は、互いに独立して、H、または、置換されていてもよい1〜20個のC原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
Arは、複数回出現する場合、互いに独立して、−CY=CY、−C≡C−、または、置換されていてよい単核または多核のアリールまたはヘテロアリールであり、
およびYは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
mは、0、1、2、3または4であり、および、
nは、10より大きい整数である。
【0016】
本発明はさらに、1種またはそれより多くの本発明に係るポリマーと、好ましくは半導性、電荷輸送、正孔/電子輸送、正孔/電子遮蔽、導電性、光導電性または発光特性を有するポリマーから選択される1種またはそれより多くのポリマーとを含むポリマーブレンドに関する。
【0017】
本発明はさらに、本発明に係る1種またはそれより多くのポリマーまたはポリマーブレンドと、好ましくは有機溶媒から選択される1種またはそれより多くの溶媒とを含む調合物に関する。
【0018】
本発明はさらに、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネセンスまたは光ルミネセンス素子もしくは装置における電荷輸送、半導性、導電性、光導電性または発光材料としての、本発明に係るポリマー、ポリマーブレンドおよび調合物の使用に関する。
【0019】
本発明はさらに、1種またはそれより多くの本発明に係るポリマー、ポリマーブレンドまたは調合物を含む、電荷輸送、半導性、導電性、光導電性または発光材料または素子に関する。
【0020】
本発明はさらに、本発明に係る1種またはそれより多くのポリマー、ポリマーブレンド、調合物、素子または材料を含む、光学、電気光学または電子素子もしくは装置に関する。
【0021】
上記光学、電気光学、電子、エレクトロルミネセンスおよび光ルミネセンス素子または装置としては、これらに限定されないが、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)、論理回路、キャパシタ、無線周波識別(RFID)タグ、装置または素子、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、フラットパネルディスプレー、ディスプレーのバックライト、有機光起電力装置(OPV)、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機メモリデバイス、センサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板、導電性パターン、電池中の電極材料、配向層、バイオセンサー、バイオチップ、安全保障マーク、安全装置および素子、または、DNA配列を検出して識別するための装置が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーを含み、例えば、統計学的な、交互またはブロックコポリマーを含む。加えて、以下本明細書で用いられる用語「ポリマー」はデンドリマーも含み、これは、例えばM.FischerおよびF.Vogtle,Angew.Chem.,Int.Ed.1999,38,885で説明されているように、典型的には、多官能性のコア基からなる分岐状の高分子化合物であり、さらにこのコア基に分岐状の単量体が規則的な方式で付加され、結果的に樹状構造が形成される。
【0023】
用語「共役ポリマー」は、その主鎖(または主要な鎖)中に主としてC原子を含むポリマーを意味し、このC原子は、sp混成軌道を含んでいるか、または、sp混成も含んでいてもよく、さらにヘテロ原子で置換されていてもよい。最も簡単なケースにおいて、これは、例えばC−C単結合と、二重結合または三重結合とを交互に含む主鎖であるが、さらに1,3−フェニレンのような単位を有するポリマーも含まれる。この点について、「主として」は、共役が妨害される可能性がある自然発生的な(自発的な)欠陥を有するポリマーを意味しており、このようなものも共役ポリマーとみなされる。また、この意味には、主鎖が、例えば、アリールアミン、アリールホスフィン、および/または、ある種の複素環(すなわち、N、O、PまたはS原子を介した共役)、および/または、金属有機複合体(すなわち、金属原子を介した共役)のような単位を含むポリマーも含まれる。
【0024】
用語「位置規則性を有する(regioregular)」は、少なくとも85%の位置規則性を有するポリマーを意味する。「位置規則性(regioregularity)」は、ポリマー中の単量体単位のヘッド−テールのカップリングの数を、カップリングの総数で割ったものを意味し、パーセンテージで示される。特に好ましくは、90%またはそれより高い位置規則性を有するポリマーであり、極めて好ましくは95%またはそれより高い位置規則性、より好ましくは96%〜100%の位置規則性、最も好ましくは98%〜100%の位置規則性を有するポリマーである。
【0025】
用語「電荷/正孔/電子輸送特性」は、電荷/正孔/電子注入材料、または、電極(正孔の場合は陽極であり、および、電子の場合は陰極である)から注入された電荷、正孔(すなわち正電荷)または電子(すなわち負電荷)を輸送することができる材料を意味する。用語「発光特性」は、他の単位からのエネルギー移動によって、または、電気的または光学的のいずれかによって励起子が形成されることによって励起子のエネルギーを受けた際に、輻射減衰を経て光を放出する材料を意味する。用語「正孔/電子遮蔽 特性」は、多層構造中で正孔/電子輸送層に隣接して被覆すると、正孔/電子の流出を防ぐ材料を意味する。
【0026】
特に他の指定がない限り、分子量は数平均分子量Mとして示され、これは、適切な溶媒(例えばクロロホルムまたはクロロベンゼン)中でのポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。重合度(n)は、数平均重合度を意味し、これは、n=M/Mとして示され、式中Mは、単一の反復単位の分子量である(通常は、式I1におけるX21およびX22基のような反復単位の一部ではないポリマーの末端基は考慮しない)。
【0027】
上記および下記で用いられる用語「カルビル基」は、少なくとも1個の炭素原子を含むあらゆる1価または多価の有機ラジカル部分を意味し、これは、炭素原子以外のいかなる原子も含まない(例えば−C≡C−のように)ものでもよいし、または、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeのような少なくとも1個の炭素原子以外の原子を共に含む(例えばカルボニルなど)ものでもよい。用語「ヒドロカルビル基」は、追加で1個またはそれより多くのH原子を含むカルビル基を意味し、さらに例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeのような1個またはそれより多くのヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0028】
また、3個またはそれより多くのC原子の鎖を含むカルビルまたはヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状および/または環状のいずれでもよく、さらにスピロおよび/または縮合環であってもよい。
【0029】
好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基としては、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、および、アルコキシカルボニルオキシが挙げられ、これらはそれぞれ、置換されていてもよく、1〜40個、好ましくは1〜25個、極めて好ましくは1〜18個のC原子を有し、さらに、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有する、置換されていてよいアリールまたはアリールオキシが挙げられ、さらに、アルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシ、および、アリールオキシカルボニルオキシが挙げられ、これらはそれぞれ、置換されていてもよく、6〜40個、好ましくは7〜40個のC原子を有する。
【0030】
上記カルビルまたはヒドロカルビル基は、飽和もしくは不飽和の非環式基でもよいし、または、飽和もしくは不飽和の環式基でもよい。不飽和の非環式または環式基が好ましく、特にアリール、アルケニル、および、アルキニル基(特にエチニル)が好ましい。C〜C40カルビルまたはヒドロカルビル基が非環式である場合、これらの基は、直鎖状または分岐状であり得る。C〜C40カルビルまたはヒドロカルビル基としては、例えば、以下が挙げられる:C〜C40アルキル基、C〜C40アルケニル基、C〜C40アルキニル基、C〜C40アリル基、C〜C40アルキルジエニル基、C〜C40ポリエニル基、C〜C18アリール基、C〜C18ヘテロアリール基、C〜C40アルキルアリール基、C〜C40アリールアルキル基、C〜C40シクロアルキル基、C〜C40シクロアルケニル基など。前述の基のなかでも好ましいものは、C〜C20アルキル基、C〜C20アルケニル基、C〜C20アルキニル基、C〜C20アリル基、C〜C20アルキルジエニル基、C〜C12アリール基、C〜C12ヘテロアリール基、および、C〜C20ポリエニル基のいずれかである。また、炭素原子を有する基と、ヘテロ原子を有する基との組み合わせも挙げられ、例えばアルキニル基であり、好ましくはシリル基、好ましくはトリアルキルシリル基で置換されたエチニルである。
【0031】
さらに好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基としては、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてよい1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子を有する直鎖状、分岐状または環状アルキルが挙げられ、ここで、1個またはそれより多くの隣接していないCH基が、それぞれ出現ごとに互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−SO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00−、−CY=CY−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結されないように置換されていてもよく、ここでYおよびYは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、RおよびR00は、互いに独立して、Hであるか、または、置換されていてもよい1〜20個のC原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素である。
【0032】
およびR00は、好ましくは、H、1〜12個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル、または、6〜12個のC原子を有するアリールから選択される。
−CY=CY−は、好ましくは、−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
【0033】
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIである。
好ましいアルキル基としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、ドデカニル、テトラデシル、ヘキサデシル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロヘキシルなどが挙げられる。
【0034】
好ましいアルケニル基としては、これらに限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルなどが挙げられる。
【0035】
好ましいアルキニル基としては、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニルなどが挙げられる。
好ましいアルコキシ基としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシなどが挙げられる。
【0036】
好ましいアミノ基としては、これらに限定されないが、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノなどが挙げられる。
アリール基は、単核の、すなわち芳香環を1個だけ有するもの(例えばフェニルまたはフェニレンのような)でもよいし、または、多核の、すなわち2個またはそれより多くの芳香環を有するものでもよく、これらの芳香環は縮合していてもよいし(例えば、ナフチルまたはナフチレンのように)、個々に共有結合で連結されていてもよいし(例えばビフェニルのように)、および/または、縮合した芳香環と個々に連結された芳香環との両方の組み合わせでもよい。好ましくは、アリール基は、実質的に基全体にわたって実質的に共役している芳香族基である。
【0037】
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、25個以下のC原子を有する一、二または三環式の芳香族またはヘテロ芳香族基を意味し、これらは縮合環を含んでいてもよく、また置換されていてもよい。
【0038】
好ましいアリール基としては、これらに限定されないが、ベンゼン、ビフェニレン、トリフェニレン、[1,1’:3’,1”]テルフェニル−2’−イルエン、ナフタレン、アントラセン、ビナフチレン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンツピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレンなどが挙げられる。
【0039】
好ましいヘテロアリール基としては、これらに限定されないが、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールのような5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジンのような6員環、および、カルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントリイミダゾール(phenanthrimidazole)、ピリドイミダゾール、ピラジン−イミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール(anthroxazole)、フェナントロオキサゾール(phenanthroxazole)、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジチエノピリジン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンのような縮合した系、または、それらの組み合わせが挙げられる。このようなヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フルオロ、フルオロアルキル、または、さらなるアリールもしくはヘテロアリール置換基で置換されていてもよい。
【0040】
好ましいアリールアルキル基としては、これらに限定されないが、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、2,6−ジ−i−プロピルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、o−t−ブチルフェニル、m−t−ブチルフェニル、p−t−ブチルフェニル、4−フェノキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−カルボメトキシフェニル、4−カルボメトキフェニルなどが挙げられる。
【0041】
好ましいアルキルアリール基としては、これらに限定されないが、ベンジル、エチルフェニル、2−フェノキシエチル、プロピルフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、または、ナフタリニルメチルが挙げられる。
【0042】
好ましいアリールオキシ基としては、これらに限定されないが、フェノキシ、ナフトキシ、4−フェニルフェノキシ、4−メチルフェノキシ、ビフェニルオキシ、アントラセニルオキシ、フェナントレニルオキシなどが挙げられる。
【0043】
上記アリール、ヘテロアリール、カルビルおよびヒドロカルビル基は、1個またはそれより多くの置換基を含んでいてもよく、好ましくは、シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミノ、イミノ、ニトリロ、メルカプト、シアノ、ニトロ、ハロゲン、C1〜12アルキル、C6〜12アリール、C1〜12アルコキシ、ヒドロキシ、および/または、それらの組み合わせから選択される置換基を含んでいてもよい。このような存在しうる置換基は、同じ基、および/または、複数の(好ましくは2つの)上述の基中に、化学的に可能性のあるあらゆる組み合わせを含んでもよい(例えば、アミノとスルホニルが互いに直接結合している場合、スルファモイルラジカルと示される)。
【0044】
好ましい置換基としては、これらに限定されないが、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NR00、置換されていてよいシリル、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有するアリール、2〜40個、好ましくは2〜20個のC原子を有するヘテロアリール、および、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有する直鎖または分岐アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシ−カルボニル、アルキルカルボニルオキシ、または、アルコキシカルボニルオキシが挙げられ、ここで1個またはそれより多くのH原子が、FまたはClで置換されていてもよく、式中RおよびR00は上記で定義された通りであり、Xは、ハロゲンである。
【0045】
特に好ましい置換基は、以下の好ましい基R1,2に関して定義されているように、アルキル、アルコキシ、アルケニル、オキサアルキル、チオアルキル、フルオロアルキル、および、フルオロアルコキシ基から選択される。
【0046】
1,2がアルキルまたはアルコキシラジカルである場合、すなわち末端のCH基が−O−で置換されている場合、R1,2は、直鎖であってもよいし、または、分岐状であってもよい。R1,2は、好ましくは直鎖であり、2〜8個の炭素原子を有するものであり、従って、R1,2は、好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、または、オクトキシであり、さらに、メチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ、または、テトラデコキシである。特に好ましくは、n−ヘキシル、および、n−ドデシルである。
【0047】
1,2が、1個またはそれより多くのCH基が−CH=CH−で置換されているアルキル基である場合、R1,2は、直鎖であってもよいし、または、分岐状であってもよい。R1,2は、好ましくは直鎖であり、2〜12個のC原子を有するものであり、従って、R1,2は、好ましくは、ビニル、プロパ−1−またはプロパ−2−エニル、ブタ−1−、2−またはブタ−3−エニル、ペンタ−1−、2−、3−またはペンタ−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−またはヘキサ−5−エニル、ヘプタ−1−、2−、3−、4−、5−またはヘプタ−6−エニル、オクタ−1−、2−、3−、4−、5−、6−またはオクタ−7−エニル、ノナ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−またはノナ−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−またはデカ−9−エニル、ウンデカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−またはウンデカ−10−エニル、ドデカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、−9、−10またはウンデカ−11−エニルである。上記アルケニル基は、EまたはZ立体配置を有するC=C−結合を含んでもよいし、または、それらの混合型であってもよい。
【0048】
1,2がオキサアルキルである場合、すなわち、1個のCH基が−O−で置換されている場合、R1,2は、好ましくは、例えば、直鎖2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)、または、3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニル、または、2−、3−、4−、5−、6−,7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
【0049】
1,2がチオアルキルである場合、すなわち1個のCH基が−S−で置換されている場合、R1,2は、好ましくは、直鎖チオメチル(−SCH)、1−チオエチル(−SCHCH)、1−チオプロピル(=−SCHCHCH)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)、または、1−(チオドデシル)であり、ここで好ましくは、sp混成軌道のビニルの炭素原子に隣接するCH基が置換されている。
【0050】
1,2がフルオロアルキルまたはフルオロアルコキシである場合、R1,2は、好ましくは、直鎖状の基(O)C2i+1であり、ここでiは1〜15の整数であり、具体的にはCF、C、C、C、C11、C13、C15、または、C17であり、極めて好ましくはC13、または、それに対応するフルオロアルコキシ基である。
【0051】
また上記ポリマーは重合可能な基または反応性基で置換されていてもよく、このような反応性基は、ポリマー形成プロセス中は保護されていてもよい。このタイプの具体的な好ましいポリマーは、式Iで示され、RがP−Spを意味するポリマーである。これらのポリマーは、具体的には半導体または電荷輸送材料として有用であり、これはなぜなら、このようなポリマーは、高い電荷担体の移動度、ならびに高い熱的、機械的および化学的安定性を有する架橋ポリマーフィルムを得るためにポリマーを半導体素子用の薄膜に加工する最中に、またはその後に、例えばin situ重合によってP基を介して架橋することができるためである。
【0052】
好ましくは、重合可能な基または反応性基Pは、CH=CW−COO−、CH=CW−CO−、
【0053】
【化2】

【0054】
CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、および、WSi−から選択され、ここでWは、H、F、Cl、CN、CF、フェニル、または、1〜5個のC原子を有するアルキルであり、具体的にはH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、H、または、1〜5個のC原子を有するアルキルであり、具体的には H、メチル、エチル、または、n−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、WおよびWは、互いに独立して、H、Cl、または、1〜5個のC原子を有するアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、ここでこの1,4−フェニレンは1個またはそれより多くの上記で定義されたL基で置換されていてもよく、および、kおよびkは、互いに独立して、0または1である。
【0055】
あるいは、Pは、これらの基の保護された誘導体であり、これら誘導体は本発明に係るプロセスに関して説明されている条件下で非反応性である。適切な保護基は、一般的な専門家にとっては既知であり、例えばGreen,“Protective Groups in Organic Synthesis”,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),ニューヨーク(1981)という文献で説明されており、例えばアセタールまたはケタールである。
【0056】
特に好ましいP基は、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH=CH−、CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、
【0057】
【化3】

【0058】
または、それらの保護された誘導体である。
P基の重合は、一般的な専門家にとって既知の方法に従って行うことができ、例えばD.J.Broer; G.Challa; G.N.Mol,Macromol.Chem,1991,192,59という文献で説明されている方法に従って行うことができる。
【0059】
用語「スペーサー基」は、従来技術において既知であり、適切なスペーサー基Spは、一般的な専門家にとって既知である(例えば、Pure Appl.Chem.73(5),888(2001)を参照)。スペーサー基Spは、好ましくは、式Sp’−X’で示されるものであり(ここで、P−Sp−は、P−Sp’−X’−になる)、ここで、
Sp’は、非置換であるか、または、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されたていてよい30個以下のC原子を有するアルキレンであり、Sp’はまた、1またはそれより多くの隣接していないCH基が、それぞれ出現ごとに互いに独立して、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−で、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結されないように置換されていてもよく、
X’は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR00−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、または、単結合であり、
およびR00は、互いに独立して、H、または、1〜12個のC原子を有するアルキルであり、および、
およびYは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNである。
【0060】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、または、単結合であり、具体的には−O−、−S−、−C≡C−、−CY=CY−、または、単結合である。その他の好ましい実施態様において、X’は、共役系を形成することができる基であり、例えば−C≡C−または−CY=CY−であるか、または、単結合である。
【0061】
典型的なSp’基は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、ここでpは、2〜12の整数であり、qは、1〜3の整数であり、および、RおよびR00は上記で示した意味を有する。
【0062】
好ましいSp’基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチル−イミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレン、および、ブテニレンである。
【0063】
特に好ましくは、式II:
【0064】
【化4】

【0065】
で示されるポリマーであり、
式中、R1,2、X1,2、Ar、mおよびnは上記で示した意味を有し、RおよびRは、互いに独立して、Rの意味のいずれか1つを有するか、または、−CHCl、−CHO、−CH=CH−SiR’R”R”’、−SnR’R”R”’、−BR’R”、−B(OR’)(OR”)、−B(OH)、または、P−Spを意味し、ここでPおよびSpは上記で定義された通りであり、R’、R”およびR”’は、互いに独立して、上記で示されたRの意味のいずれか1つを有し、および、R’およびR”はまた、それらに結合したヘテロ原子と共に環を形成していてもよい。
【0066】
特に好ましくは、式IおよびIIで示されるポリマーであり、
式中、
−XはSeであり、XはSであり、
−XはSであり、Xは、Seであり、
−XおよびXは、Seであり、
−mは、0であり、
−mは、1または2であり、
−Arは、−CH=CH−または−C≡C−であり、特に好ましくは、mは1であり、
−Arは、アリールもしくはヘテロアリールであり、好ましくは、セレノフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、p−p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、チアゾール、および、オキサゾールから選択され、これらはいずれも、非置換であるか、好ましくは上記で定義されたRで一置換または多置換されててよく、特に好ましくは、mは1または2であり、
−Rおよび/またはRは、Hであり、
−R1,2は、好ましくは、直鎖状のC〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−チオアルキル、C〜C20−シリル、C〜C20−エステル、C〜C20−アミノ、C〜C20−フルオロアルキル、および、置換されていてよいアリールまたはヘテロアリールから選択され、極めて好ましくはC〜C20−アルキル、または、C〜C20−フルオロアルキルであり、
−RおよびRは、H、ハロゲン、−CHCl、−CHO、−CH=CH−SiR’R”R”’、−SnR’R”R”’、−BR’R”、−B(OR’)(OR”)、−B(OH)、P−Sp、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニル、C〜C20−フルオロアルキル、および、置換されていてよいアリールまたはヘテロアリールから選択され、
−R1〜4のうち少なくとも1つ、好ましくは1または2個は、P−Sp−を意味し、
−nは、整数であり、nは、2〜5,000、好ましくは10〜5,000、極めて好ましくは100〜1000の整数であり、
−分子量(M)は、5,000〜300,000、具体的には20,000〜200,000である。
【0067】
特に好ましくは、以下の式で示されるポリマーである:
【0068】
【化5】

【0069】
【化6】

【0070】
【化7】

【0071】
【化8】

【0072】
【化9】

【0073】
式中、それぞれ出現単位ごとに互いに独立して、XおよびXのうち一方はSであり、他方はSeであり、
nは上記で定義された通りであり、および、
Rは、複数回出現する場合、互いに独立して、Hを意味するか、または、上記で示されたRの意味のいずれか1つを有し、好ましくは、好ましくは直鎖状の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−チオアルキル、C〜C20−シリル、C〜C20−エステル、C〜C20−アミノ、C〜C20−フルオロアルキル、および、置換されていてよいアリールまたはヘテロアリールから選択され、極めて好ましくはC〜C20−アルキル、または、C〜C20−フルオロアルキルである。
【0074】
さらに好ましくは、式IIで示され、繰り返しの単位が、上記で示した好ましい式I1〜I24から選択されるポリマーである。
以下で説明される合成方法により、式Iで示され、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン基、例えば、式I1、I2、I5、I6、I9、I10、I11、I12、I17、I19、I20およびI21で示される基を含むポリマーは、セレノチオフェンの方向に関してランダムであると予想され、例えば式Iaで示されるポリマーの場合、以下に示すような構造Ia1およびIa2の両方が存在すると予想される:
【0075】
【化10】

【0076】
本発明のポリマーは、当業者既知であり、文献で説明されている方法に従って、または、それと同様にして合成することができる。その他の製造方法は、実施例から選択することができる。いくつかの好ましい方法を以下で説明する(ここでXは、SまたはSeであり、RはRの意味のいずれか1つを有し、Arは上記で定義されたアリール基を意味する)。
【0077】
セレノフェノ[3,2−b]チオフェン、および、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェンポリマーの合成を、模範的にスキーム1で示す。
【0078】
【化11】

【0079】
上記ポリマーは、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン、および、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェンのホウ素エステルまたは有機スズ試薬のいずれかと、芳香族二臭化物または二ヨウ化物とを共重合させることによって合成される。これまでに、主要なセレノフェノ[3,2−b]チオフェン、および、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン単量体の合成は報告されている(例えば、Shuji,Y.,Jyoji,K.,Takashi,T.Heterocycles 1997,45 1891−1894;Litvinov,V.P.等,J.Prak.Chem.1973 315,850−864を参照)。これらの単量体の有機金属化合物の中間体への変換は、2当量のn−BuLiを用いてリチオ化し、その場で二リチオ化された中間体を得ることによって容易に達成される。続いてこれを、トリアルキルスズ塩化物と反応させて有機スズ中間体を得るか、または、ホウ素エステル、例えば2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させて、ホウ素エステルを得る。パラジウム触媒、および、ホスフィンリガンドの存在下で、有機スズ中間体と、適切な芳香族二臭化物または二ヨウ化物とを重合させることによって、上記ポリマーが得られる。同様に、このようなホウ素エステルは、パラジウム触媒、ホスフィンリガンドおよび塩基の存在下で適切な芳香族二臭化物または二ヨウ化物とを反応させることによって重合する。
【0080】
縮合環上に溶解させる側鎖を含む縮合したセレノフェノ[3,2−b]チオフェン、および、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェンのポリマーの製造を模範的にスキーム2に示す。
【0081】
【化12】

【0082】
非置換の縮合したセレノフェノ[3,2−b]チオフェン、および、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェンを、4当量の臭素またはN−ブロモスクシンイミドでの処理によって四臭化する。続いて酢酸中で亜鉛で処理することによって2,5位の臭素を還元し、3,6−ジブロモ中間体を得る。これをパラジウム触媒の存在下でアルキル亜鉛ハロゲン化物で処理することによって、3,6−ジアルキル中間体を得て、これをN−ブロモスクシンイミドで処理することによって遊離の2,5位で臭素化する。
【0083】
上記および下記のようなポリマーの新規の製造方法は、本発明のその他の形態である。
本発明に係るポリマーは、光学、電気光学、電子、エレクトロルミネセンスまたは光ルミネセンス素子もしくは装置における電荷輸送、半導性、導電性、光導電性または発光材料として有用である。
【0084】
特に好ましい装置は、OFET、TFT、IC、論理回路、キャパシタ、RFIDタグ、OLED、OLET、OPV、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機メモリデバイス、センサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板、および、導電性パターンである。これらの装置において、本発明のポリマーは、典型的には、薄層またはフィルムとして適用される。
【0085】
OFETにおいては、有機半導体(OSC)材料がゲート誘電体とドレインとソース電極との間に薄膜として配置される場合が一般的に知られており、これは、例えばUS5,892,244、WO00/79617、US5,998,804で、さらに、背景の章で引用された参考文献で説明されている。本発明に係るポリマーの溶解特性、すなわち大表面の加工性を利用した低コストでの生産のような利点のために、これらのFETの好ましい用途は、例えば集積回路、TFTディスプレー、および、安全用途である。
【0086】
また本発明に係るポリマーは、例えば、電荷輸送、半導性、導電性、光導電性および/または発光半導体特性を有するその他のポリマーと共に、または、例えば、OLED装置で中間層または電荷遮蔽層として使用するために、正孔遮蔽または電子遮蔽特性を有するポリマーと共にポリマーブレンド中でも用いることができる。従って、本発明のその他の形態は、1種またはそれより多くの本発明に係るポリマーと、1種またはそれより多くの上述の特性をさらに有する1種またはそれより多くのポリマーとを含むポリマーブレンドに関する。これらのブレンドは、従来技術で説明されており、当業者にとって既知の従来の方法によって製造することができる。典型的には、上記ポリマーを互いに混合するか、または、適切な溶媒中に溶解させて得られた溶液を混合する。
【0087】
本発明のその他の形態は、上記および下記のような1種またはそれより多くのポリマーまたはポリマーブレンドと、1種またはそれより多くの有機溶媒とを含む調合物に関する。
【0088】
適切な、且つ好ましい有機溶媒の例としては、これらに限定されないが、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、メシチレン、および/または、それらの混合物が挙げられる。
【0089】
上記ポリマーの溶液中での濃度は、好ましくは、0.1〜10重量%、より好ましくは 0.5〜5重量%である。またこの溶液は、例えばWO2005/055248A1で説明されているように、流動特性を調節するための1種またはそれより多くの結合剤を含んでいてもよい。
【0090】
適切な混合および熟成の後、溶液は、以下のカテゴリー:完全な溶液、境界線上の溶液、または、不溶性のいずれかであると評価される。溶解性と不溶性とを区分けする溶解性パラメーター(水素結合の限界値)の概略を示すために、外形線を引く。溶解性の領域の範囲内に入る「完全な」溶媒は、例えば、“Crowley,J.D.,Teague,G.S.Jr and Lowe,J.W.Jr.,Journal of Paint Technology,38,No 496,296(1966)”で公開された文献に記載のものから選択することができる。また、溶媒のブレンドを用いてもよく、このようなブレンドは、“Solvents,W.H.Ellis,Federation of Societies for Coatings Technology,p9−10,1986”で説明されているものを確認してもよい。このような手順により、本発明のポリマーの両方を溶解させると予想される「非」溶媒のブレンドが生じる可能性があるが、ブレンド中に少なくとも1種の真溶媒を含むことが望ましい。
【0091】
また本発明に係るポリマーは、上記および下記のような装置におけるパターンOSC層で用いることもできる。現代のマイクロエレクトロニクスに適用するために、一般的に、小さい構造またはパターンを製造して、コスト(単位面積あたりの装置数を増やす)と電力消費を少なくすることが望ましい。本発明に係るポリマーを含む薄層のパターン形成は、例えば、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、または、レーザーパターニングによって行うことができる。
【0092】
電子または電気光学装置において薄層として使用するために、本発明のポリマー、ポリマーブレンドまたは調合物は、あらゆる適切な方法で堆積させることができる。装置の液体コーティングは、真空蒸着技術よりも望ましい。特に好ましくは、溶液堆積法である。本発明の調合物は、多数の液体コーティング技術の使用を可能にする。好ましい堆積技術としては、これらに限定されないが、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、ドクターブレードコーティング、ローラー印刷、リバースローラー印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、ブラシコーティング、または、パッド印刷が挙げられる。インクジェット印刷は、高解像度の層および装置の製造を可能にするため、インクジェット印刷が特に好ましい。
【0093】
選択された本発明の調合物は、インクジェット印刷、または、マイクロディスペンシング(microdispensing)によって、予め組み立てられた装置基板に塗布してもよい。基板に有機半導体層を塗布するために、好ましくは工業用圧電プリントヘッドを用いてもよく、このようなヘッドとしては、例えば、これらに限定されないが、アプリオン(Aprion)、日立工機(Hitachi−Koki)、インクジェット・テクノロジー(InkJet Technology)、オン・ターゲット・テクノロジー(On Target Technology)、ピコジェット(Picojet)、スペクトラ(Spectra)、トリデント(Trident)、ザール(Xaar)から提供されたものが挙げられる。加えて、半工業用のヘッド、例えばブラザー(Brother)、エプソン(Epson)、コニカ(Konica)、セイコーインスツル(Seiko Instruments)、東芝TEC(Toshiba TEC)によって製造されたもの、または、シングルノズルマイクロディスペンサー、例えばマイクロドロップ(Microdrop)、および、マイクロファブ(Micro fab)によって生産されたものも使用可能である。
【0094】
インクジェット印刷またはマイクロディスペンシングで塗布するためにために、まず上記ポリマーを適切な溶媒に溶解させるべきである。溶媒は上述の必要条件を満たしていなければならず、選択されたプリントヘッドに対していかなる有害作用も有していてはならない。加えて、溶媒は、プリントヘッド内部での溶液の乾燥によって引き起こされる操作性の問題を防ぐために、100℃より高い沸点、好ましくは140℃より高い沸点、より好ましくは150℃より高い沸点を有すると予想される。上述の溶媒以外で、適切な溶媒としては、置換された、および、非置換のキシレン誘導体、ジ−C1〜2−アルキルホルムアミド、置換された、および、非置換のアニソール、および、その他のフェノール−エーテル誘導体、置換された複素環、例えば置換されたピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン、置換された、および、非置換のN,N−ジ−C1〜2−アルキルアニリン、および、その他のフッ素化、または、塩素化した芳香族化合物が挙げられる。
【0095】
インクジェット印刷で本発明に係るポリマーを堆積させるのに好ましい溶媒は、1個またはそれより多くの置換基で置換されたベンゼン環を有するベンゼン誘導体(ここで、1個またはそれより多くの置換基の炭素原子の総数は少なくとも3である)を含む。例えば、このようなベンゼン誘導体は、プロピル基、または、3個のメチル基で置換されていてもよく、ここで、いずれのケースにおいても、合計で少なくとも3個の炭素原子が存在する。このような溶媒は、上記ポリマーを含む溶媒を含むインクジェット流体の形成を可能にし、それにより、噴霧中のジェットの目詰まりや成分の分離を低減または予防することができる。このような溶媒としては、以下で列挙した例から選択される溶媒が挙げられる:ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、テルピネオール、リモネン、イソジュレン、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼン。このような溶媒は、溶媒混合物、すなわち、2種またはそれより多くの溶媒の組み合わせであってもよく、それぞれの溶媒は、好ましくは100℃より高い沸点、より好ましくは140℃より高い沸点を有する。またこのような溶媒は、堆積させた層中での膜形成も強化し、さらに層中の欠陥も減少させる。
【0096】
好ましくは、インクジェット流体(これは、溶媒、結合剤および半導体化合物の混合物である)は、20℃で、1〜100mPa・sの粘度、より好ましくは 1〜50mPa・sの粘度、最も好ましくは 1〜30mPa・sの粘度を有する。
【0097】
本発明に係るポリマーまたは調合物は、加えて、1種またはそれより多くのさらなる成分を含んでいてもよく、例えば、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気器、希釈剤(反応性のものでもよいし、または、非反応性のものでもよい)、助剤、着色剤、色素、または、顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子、または、阻害剤を含んでいてもよい。
【0098】
本発明に係るOFET装置は、好ましくは:
−ソース電極、
−ドレイン電極、
−ゲート電極、
−有機半導体(OSC)層、
−1またはそれより多くのゲート絶縁層、
−任意に基板、
を含み、ここでOSC層は、1種またはそれより多くの本発明に係るポリマーを含む。
【0099】
OFET装置におけるゲート、ソースおよびドレイン電極、ならびに、絶縁および半導体層は、どのような配列で配置してもよいが、ただし、ソースとドレイン電極は、絶縁層によってゲート電極から離され、ゲート電極と半導体層はいずれも絶縁層と接触しており、ソース電極とドレイン電極はいずれも半導体層と接触していることとする。OFET装置は、上部ゲート装置であってもよいし、または、底部ゲート装置であってもよい。OFET装置の適切な構造および製造方法は当業者には既知であり、例えばWO03/052841という文献で説明されている。
【0100】
本発明に係るOPV装置は、好ましくは、以下を含む:
−低仕事関数電極(例えば、アルミニウム)、
−高仕事関数電極(例えば、ITO)、これらのうち一方は透明であり、
−正孔輸送材料と電子輸送材料とからなる二重層;ここで、この二重層は、2つの別個の層として、または、ブレンドされた混合物として存在する可能性があり(例えば、Coakley,K.M.and McGehee,M.D.Chem.Mater.2004,16,4533を参照)、
−任意に、高仕事関数電極の仕事関数を改変して正孔のためにオーム接触を提供するための導電性ポリマー層(例えば、PEDOT:PSS)、
−任意に、電子のためにオーム接触を提供するための、高仕事関数電極へのコーティング(例えば、LiF)。
【0101】
上記ブレンド中の正孔輸送ポリマーは、本発明のポリマーの1種として存在する。電子輸送材料は、無機物質であってもよく、例えば酸化亜鉛またはセレン化カドミウムであり、または、有機材料であってもよく、例えばフラーレン誘導体である(例えば、PCBM、[(6,6)−フェニルC61−酪酸メチルエステル]、または、ポリマー、例えばCoakley,K.M.and McGehee,M.D.Chem.Mater.2004,16,4533を参照)。二重層がブレンドである場合、装置の性能を最適化するためにアニーリング工程が必要な場合もある。
【0102】
安全用途において、本発明に係る半導体材料を含むOFETおよびその他の装置、例えばトランジスタまたはダイオードが、RFIDタグまたは安全保障マークに用いることができ、それにより、紙幣、クレジットカードまたはIDカード、国民の身分を証明する文書、免許のような価値のある文書、または、刻印、切符、株券、小切手などの金銭的価値を有するあらゆる製品が本物であることを証明し、それらの偽造を防ぐことができる。
【0103】
あるいは、本発明に係る材料は、例えば、ディスプレー用途で、または、例えば液晶ディスプレイのバックライトとしての、有機発光デバイスまたはダイオード(OLED)で用いることができる。多層構造を用いた一般的なOLEDが現実化されている。一般的に、発光層は、1またはそれより多くの電子輸送および/または正孔輸送層の間にはさまれている。電荷担体が発光層に向かって移動する際に電圧電子および正孔を適用することによって、それらが再結合することにより励起が起こり、それにより発光層中に含まれるルモフォア(lumophor)単位が発光する。本発明の化合物、材料およびフィルムは、それらの電気的および/または光学特性に応じて、1またはそれより多くの電荷輸送層、および/または、発光層中で用いられる可能性がある。さらに、本発明に係る化合物、材料およびフィルムそれ自身がエレクトロルミネセンス特性を示すか、または、エレクトロルミネセンス基または化合物を含む場合、発光層内でそれらを使用することは特に有利である。OLEDで使用するための適切なモノマー、オリゴマーおよび高分子化合物または材料の選択、特徴付け、加えて加工は、一般的に、当業者には既知であり、例えば、Meerholz,Synthetic Materials,111−112,2000,31−34,Alcala,J.Appl.Phys.,88,2000,7124−7128、および、そこで引用された文献を参照。
【0104】
その他の用途によれば、本発明に係る材料、特に光ルミネセンス特性を示す材料は、光源の材料、例えばディスプレー装置の材料として用いられる可能性があり、例えばEP0889350A1、または、C.Weder等,Science,279,1998,835−837で説明されているような材料として用いられる可能性がある。
【0105】
本発明のさらなる形態は、本発明に係るポリマーの酸化された形態、および、還元された形態の両方に関する。電子の損失または増量のいずれかにより、高度に非局在化したイオン性の形態の形成が起こり、これは高い伝導率を示す。これは、一般的なドーパントへ曝露されると起こる可能性がある。適切なドーパントおよびドーピング方法は当業者には既知であり、例えばEP0528662、US5,198,153、または、WO96/21659から知ることができる。
【0106】
ドーピング法は、典型的には、酸化還元反応で半導体材料を酸化剤または還元剤で処理して、適用されたドーパントから誘導されたそれに対応する対イオンを用いて、材料中に非局在化したイオン性の中心を形成することを含む。適切なドーピング法は、例えば、大気圧または減圧下でドーピングのための蒸気に曝露すること、ドーパントを含む溶液中で電気化学的にドーピングすること、ドーパントを、熱的に拡散させようとする半導体材料と接触させること、および、半導体材料にドーパントのイオン注入を行うことを含む。
【0107】
電子がキャリアーとして用いられる場合、適切なドーパントは、例えばハロゲン(例えば、I、Cl、Br、ICl、ICl、IBr、および、IF)、ルイス酸(例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、SbCl、BBr、および、SO)、プロトニック酸、有機酸またはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOH、および、ClSOH)、遷移金属化合物(例えば、FeCl、FeOCl、Fe(ClO、Fe(4−CHSO、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoF、MoCl、WF、WCl、UF、および、LnCl(ここでLnは、ランタノイドである)、アニオン(例えば、Cl、Br、I、I、HSO、SO2−、NO、ClO、BF、PF、AsF、SbF、FeCl、Fe(CN)3−、および、様々なスルホン酸のアニオン、例えばアリール−SO)である。正孔がキャリアーとして用いられる場合、ドーパントの例は、カチオン(例えば、H、Li、Na、K、Rb、および、Cs)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、および、Cs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、Sr、および、Ba)、O、XeOF、(NO)(SbF)、(NO)(SbCl)、(NO)(BF)、AgClO、HIrCl、La(NO・6HO、FSOOOSOF、Eu、アセチルコリン、R、(Rはアルキル基である)、R(Rはアルキル基である)、RAs(Rはアルキル基である)、および、R(Rはアルキル基である)である。
【0108】
本発明のポリマーの導電性の形態は、これらに限定されないが、OLED用途における電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレーやタッチスクリーンのためのフィルム、印刷回路基板およびコンデンサーのような電子的な用途における、帯電防止フィルム、印刷導電性基板、パターンまたは溝などの用途において、有機「金属」として用いることができる。
【0109】
その他の用途によれば、本発明に係る材料は、例えば、US2003/0021913で説明されているように、LCDまたはOLED装置の配向層中で、または、そのような配向層として、単独で用いてもよいし、または、他の材料と共に用いてもよい。本発明に係る電荷輸送化合物の使用は、配向層の導電率を増加させることができる。LCDで用いられる場合、この導電率の増加によって、切換え可能なLCD電池において不利な残留した直流の作用を減少させ、画像のスティッキングを防止することができるか、または、例えば強誘電性LCDにおいて、強誘電体LCの自発分極電荷の切り換えによって生産された残留した電荷を減少させることができる。配向層に提供された発光材料を含むOLED装置で用いられる場合、この導電率の増加によって、発光材料のエレクトロルミネッセンスを強化することができる。本発明に係る、メソゲンまたは液晶の特性を有する化合物または材料は、上述のような配向した異方性フィルムを形成することができ、これは、前記異方性フィルム上に提供された液晶媒体中で配向を誘導または強化するための配向層として特に有用である。また、本発明に係る材料は、US2003/0021913で説明されているように、光配向層中で使用するための、または、光配向層として使用するための光異性化可能な化合物および/または発色団と組み合わせてもよい。
【0110】
その他の用途によれば、本発明に係る材料、特にそれらの水溶性誘導体(例えば、極性またはイオン性側基を有するもの)、または、イオンドープされた形態は、化学センサー、または、DNA配列を検出して識別するための材料として用いることができる。このような用途は、例えば、L.Chen,D.W.McBranch,H.Wang,R.Helgeson,F.Wudl and D.G.Whitten,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999,96,12287;D.Wang,X.Gong,P.S.Heeger,F.Rininsland,G.C.Bazan and A.J.Heeger,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2002,99,49;N.DiCesare,M.R.Pinot,K.S.Schanze and J.R.Lakowicz,Langmuir 2002,18,7785;D.T.McQuade,A.E.Pullen,T.M.Swager,Chem.Rev.2000,100,2537で説明されている。
【0111】
文脈が明らかに別の意味を示さない限り、本明細書で用いられるように、本明細書における用語の複数形は、単数形を含むものと解釈されることとし、逆もまた同様である。
本明細書の説明および請求項にわたり、「〜を含む(comprise)」および「〜を含む(contain)」という言葉、ならびに、これらの言葉の変化形、例えば「〜を含む(comprising)」および「〜を含む(comprises)」は、「例えば、これらに限定されないが、〜が挙げられる」ということを意味し、他の成分を排除することを目的としない(排除しない)。
【0112】
当然のことながら、本発明の範囲内に含まれている限り、前述の本発明の実施態様の変化形を作製することができる。本明細書で開示されたそれぞれの特徴は、特に他の指定がない限り、同様の、等価な、または、類似の目的をもたらす代替の特徴で置き換えてもよい。従って、開示されたそれぞれの特徴は、特に他の指定がない限り、一般的な一連の、等価または類似の特徴の単に一例に過ぎない。
【0113】
本明細書において開示された全ての特徴は、このような特徴および/または工程の少なくともいくつかが互いに矛盾するような組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせが可能である。具体的には、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての形態に適用可能であり、どのような組み合わせで用いてもよい。同様に、必須ではない組み合わせで記載されている特徴を別々に用いることも可能である(組み合わせずに)。
【0114】
ここで、以下の実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明するが、これは、単に説明のためであり、本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0115】
特に他の指定がない限り、上記および下記の誘電率(ε)、電荷担体の移動度(μ)、溶解性パラメーター(δ)および粘度(η)の物理的なパラメーターの全ての具体的な値は、20℃の温度(+/−1℃)に関する値を意味する。ポリマー中の単量体または反復単位の比率は、mol%で示した。ポリマーブレンド中のポリマーの比率は、重量%で示した。ポリマーの分子量は、特に他の指定がない限り、重量平均分子量M(GPC、ポリスチレン標準)として示した。調合物の粘度は、自動式のマイクロビスコメーター(例えばアントン・パール社(Anton Paar GmbH),グラーツ,オーストリアより入手可能)を用いて得られ、これは、回転/落下ボール原理に基づく。小さい金属製ボールが回転する毛細管を用い、これを一方向またはそれとは反対の方向に傾けると、ボールは液体を通って落下すると予想されるので、その時間を計測した。液体を通過して設定された距離を通過するのにかかる時間の長さは粘度に比例しており、この最中に毛細管が保持した角度によって、この測定の剪断速度を測定した(これは、ニュートン流体の場合、記録された粘度に影響を与えないと予想される)。
【0116】
実施例1−機能的な化合物の製造
3−(2,2−ジメトキシエチル)セラニルチオフェンの製造:
THF中の塩化リチウムを含むイソ−プロピル塩化マグネシウムの溶液(1.3M,100mL,130mmol)に、−20℃で3−ブロモチオフェン(21.19g,130mmol)を添加した。この反応混合物を23℃に温め、2時間撹拌し、続いてさらに2時間50℃に加熱した。加熱装置を除去し、この反応混合物を23℃で16時間撹拌し、その後0℃に冷却し、セレン粉末(10.25g,130mmol)を添加した。15分後、2−ブロモ−1,1−ジメトキシエタン(23.65g,140mmol)を添加した。得られた混合物を23℃で18時間撹拌した。水(200mL)、および、酢酸エチル(200mL)を添加した。有機層を分離し、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残留物を、シリカでのカラムクロマトグラフィーで石油エーテル(沸点40〜60℃)/酢酸エチル(10:0〜9:1)で溶出させることによって精製し、生成物を黄色の油として得た(14.04g,43%):
【0117】
【表1】

【0118】
セレノフェノ[3,2−b]チオフェンの製造
クロロベンゼン(150mL)中の3−(2,2−ジメトキシエチル)セラニルチオフェン(13.12g,52.23mmol)、および、ポリリン酸(84%,20ml)の混合物を2時間加熱還流した。23℃に冷却した後、この反応混合物を水に注入し、DCM(2×100mL)で抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をシリカでのカラムクロマトグラフィーで石油エーテル(沸点40〜60℃)で溶出させることによって精製し、生成物を白色の固体として得た(4.13g、42%):
【0119】
【表2】

【0120】
2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)セレノフェノ[3,2−b]チオフェンの製造
無水THF(30ml)中のセレノフェノ[3,2−b]チオフェン(1.01g,5.40mmol)の溶液に、BuLi溶液(ヘキサン中の1.6M溶液,7.5mL,12.0mmol)を−78℃で一滴ずつ添加した。この混合物を1時間撹拌し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(2.24g,12mmol)を添加した。得られた混合物を23℃に温め、一晩撹拌した。この反応混合物を飽和NHCl溶液に注入し、10分間撹拌し、次に酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた抽出物を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、オフホワイト色の固体を得て、これをTHF/アセトニトリルで再結晶化し、生成物を白色の結晶として得た(0.73g,31%):
【0121】
【表3】

【0122】
実施例2−ポリマーの製造
ポリマー(1)、ポリ[5,5’−(4,4’−ジヘキサデシル[2,2’]ビチオフェン)−コ−(セレノフェノ[3,2−b]チオフェン)]を製造した:
【0123】
【化13】

【0124】
2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)セレノフェノ[3,2−b]チオフェン(0.25g,0.56mmol)、および、5,5’−ジブロモ−4,4’−ジヘキサデシル−2,2’−ビチオフェン(0.43g,0.56mol)をトルエン(10mL)に溶解させた。Pd(dba)(6.4mg,0.007mmol)、[(t−Bu)PH]BF(7.6mg,0.026mmol)、および、アリクォート(Aliquat)336(0.5g)。この反応混合物を撹拌しながら脱気した(窒素をバブリングすることによって)。撹拌した反応混合物に、脱気した(窒素をバブリングすることによって)KCO(2M,2.0mL)の溶液を注射器で添加した。得られた混合物を加熱還流し、20時間撹拌した。23℃に冷却した後、この反応混合物を、37%HCl(2mL)およびメタノール(50mL)の混合物から沈殿させ、10分間撹拌した。沈殿をろ過して分離し、水とアセトンで洗浄し、未精製のポリマーを得た。未精製のポリマーを、ソックスレー抽出で、メタノールで5時間、アセトンで15時間、および、イソヘキサンで7時間洗浄することによってさらに精製し、その後真空中で乾燥させた。このポリマーを熱いクロロベンゼン(10mL)に溶解させ、メタノール(50mL)から沈殿させた。このポリマーをろ過によって回収し、アセトンで洗浄し、真空中で乾燥させ、生成物を暗赤色の固体として得た(0.37g,82%):
【0125】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

で示されるポリマーであって、
式中、
およびXのうち一方はSeであり、他方はSまたはSeであり、
およびRは、互いに独立して、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、P−Sp−、置換されていてよいシリル、または、1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビル(これらは、置換されていてもよく、また1個またはそれより多くのヘテロ原子を含んでいてもよい)から選択される同一または異なる基であり、
Pは、重合可能な基であり、
Spは、スペーサー基、または、単結合であり、
は、ハロゲンであり、
およびR00は、互いに独立して、H、または、置換されていてもよい1〜20個のC原子を有する脂肪族または芳香族炭化水素基であり、
Arは、複数回出現する場合、互いに独立して、−CY=CY、−C≡C−、または、置換されていてよい単核または多核のアリールまたはヘテロアリールであり、
およびYは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
mは、0、1、2、3または4であり、および、
nは、10より大きい整数である、上記ポリマー。
【請求項2】
式II:
【化2】

から選択され、
式中、R、R、X、Ar、mおよびnは請求項1に記載の意味を有し、RおよびRは、互いに独立して、Rの意味のいずれか1つを有するか、または、−CHCl、−CHO、−CH=CH−SiR’R”R”’、−SnR’R”R”’、−BR’R”、−B(OR’)(OR”)、−B(OH)、または、P−Spを意味し、ここでPおよびSpは、請求項1で定義された通りであり、R’、R”およびR”’は、互いに独立して請求項1に記載のRの意味のいずれか1つを有し、さらにR’およびR”はまた、それらが結合しているヘテロ原子と共に環を形成していてもよい、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
mが1であり、Arが、セレノフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]セレノフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、p−p’−ビフェニル、ナフタレン−2,6−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、2,2−ジチオフェン、2,2−ジセレノフェン、チアゾール、および、オキサゾール(これらはいずれも、非置換であるか、請求項1で定義されたRで一置換または多置換されていてよい)から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
mが1であり、Arが−CH=CH−または−C≡C−であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
1,2が、好ましくは、直鎖状の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−チオアルキル、C〜C20−シリル、C〜C20−エステル、C〜C20−アミノ、C〜C20−フルオロアルキル、および、置換されていてよいアリールまたはヘテロアリールから選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーが、以下の式:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

[式中、
それぞれ出現単位ごとに互いに独立して、XおよびXの一方はSであり、他方はSeであり、
nは、請求項1で定義された通りであり、および、
Rは、複数回出現する場合、互いに独立して、請求項1に記載のRの意味のいずれか1つを有する]
から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の1種またはそれより多くのポリマーと、好ましくは半導性、電荷輸送、正孔/電子輸送、正孔/電子遮蔽、導電性、光導電性または発光特性を有するポリマーから選択される1種またはそれより多くのポリマーとを含むポリマーブレンド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の1種またはそれより多くのポリマーまたはポリマーブレンドと、好ましくは有機溶媒から選択される1種またはそれより多くの溶媒とを含む調合物。
【請求項9】
光学、電気光学、電子、エレクトロルミネセンスまたは光ルミネセンス素子もしくは装置における電荷輸送、半導性、導電性、光導電性または発光材料としての、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー、ポリマーブレンドまたは調合物の使用。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の1種またはそれより多くのポリマー、ポリマーブレンドまたは調合物を含む、電荷輸送、半導性、導電性、光導電性または発光材料または素子。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の1種またはそれより多くのポリマー、ポリマーブレンド、調合物、素子または材料を含む光学、電気光学または電子素子もしくは装置。
【請求項12】
前記素子または装置が、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)、論理回路、キャパシタ、無線周波識別(RFID)タグ、装置または素子、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、フラットパネルディスプレー、ディスプレーのバックライト、有機光起電力装置(OPV)、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導体、光検出器、電子写真装置、電子写真記録装置、有機メモリデバイス、センサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板、導電性パターン、電池中の電極材料、配向層、バイオセンサー、バイオチップ、安全保障マーク、安全装置および素子、または、DNA配列を検出して識別するための装置から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の素子または装置。

【公表番号】特表2010−513611(P2010−513611A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541821(P2009−541821)
【出願日】平成19年12月8日(2007.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010704
【国際公開番号】WO2008/077465
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】