縮小型X線管用高電圧ケーブル
直径約1mm台、またはそれ以下の縮小型X線管の場合、高電圧ケーブルは、X線管の陰極に電流および高電圧を伝達するため、並びに管の陰極および陽極に高電圧を伝達するために、様々な実施態様で提供される。ケーブルの様々な実施態様では、2つの導体は、ケーブルの中心領域に位置し、コンパクトで、できるだけ滑らかな外部形状を呈する様々な形状で、互いに密接にパックされて、内側導体を囲み、内側導体とほぼ同心状態の外側高電圧接地端子に対する誘電特性を最大化する。外側接地端子に対抗して高電圧を搬送する内側導体は、逆D形かつ同軸で、並列する2つの扁平導体であるか、または単に、できるだけ密接に配置された1対の円筒状ワイヤで良い。内側導体と外側接地端子との間の空間は、ガラス絶縁体、ポリマー、およびポリマーと接着剤との連続層、空気、気体、真空またはその他の誘電体が充填される。部分導電領域は、内側導体を取り囲むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年3月26日米国に出願された出願番号第10/397,498号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、乳房組織の術後の放射線療法、および人体の様々な内腔、たとえば血管内における処置を含む用途のために、縮小型X線源に通じ、縮小型X線源に接続される高電圧ケーブルの構成、構造および組立てに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの治療用縮小型または小型X線管は、いくつかの先行特許、たとえば米国特許第5,854,822号、第5,621,780号および第6,319,188号、並びに本願と同一所有者による同時に係属中の出願番号第10/397,498号に開示されている。このような小型X線管は、人体の外科的開口部内で腫瘍を治療するため、そのような管を含むカテーテルを使用して血管内で治療を行うため、および人体内のその他の放射線療法のために提案および開発された。引用した係属出願は、MEMS技術によって製造された陰極を含む陰極組立体について説明し、抽出器カップを形成し、抽出器カップを高電圧に電気的に接続するための手段を開示している。この出願は、誘電特性を最大化して、ケーブル上の外側の位置における接地端子に対するアーク放電を防止する構成で、複数の内側導体上で陰極加熱電流を搬送するデバイスの高電圧ケーブルのいくつかの構成も開示している。この出願は、いくつかの実施態様を開示し、X線管の陰極端部に対するケーブル接続の1つの形態を示している。
【0004】
このような縮小型X線デバイスに意図されたX線管の電位は25kVより大きく、好ましくは40kVより大きく、50kVを超えても良い。ケーブル内の絶縁および構成要素は、高い可撓性で直径が小さく、X線管より小さいことが好ましく、非常に高度の誘電場に耐える必要がある。効果的な絶縁材料は、高電圧内側導体を取り囲んでカプセル化し、この導体を外側接地端子から絶縁しなければならない。非常に小さいプロファイル内で十分な絶縁保護を提供し、アーク放電およびケーブルの不具合を防止するのは難問である。できるだけ小さいプロファイル内でできるだけ多くの絶縁保護を行い、場の勾配をできるだけ低下させなければならない。代表的なHVケーブルの状況は、非常に大きいサイズまたは非常に低い電圧に関連していたため、高電圧および非常に小さいサイズに関連するこのような問題は以前には取り扱われなかった。材料および設計は重要であり、外径約1mm台までサイズを縮小する場合はさらに重要になり、多くの場合、狭い半径湾曲部を通過するという要件がある。
【0005】
高電圧は、気体、固体または液体が導体間に存在するかどうかに関わらず、様々な電位で導体間の何らかの経路に沿って分圧される。電圧の分圧は、距離(線形分圧)またはその他の何らかの分布に比例させることができる。分布が線形ではない場合、電圧勾配が平均的な線形勾配より高くなる場所が存在する。この分布は時間、および破壊および材料の損傷に応じて変化する可能性がある。分布が、使用する誘電体が支持できるより高い場合、アークが生じる可能性がある。
【0006】
固体絶縁体を誘電体として使用する場合、これは、抵抗が非常に大きい材料である。電圧は、主に誘電体のキャパシタンスに基づいて導体間で分圧する。
【0007】
ポリマーによっては、ガラスよりも誘電体として優れた絶縁特性を有する。しかし、ガラスは、殆ど欠陥がない状態で引き抜くことができるため、究極の絶縁体であると思われる。ガラスは、ほぼ完全である場合、縮小型HVケーブルに最適な誘電材料である。ガラスを使用する場合、導体に対するガラスのシーリングは重要である。以下で説明する本発明では、ガラスは、実施態様によっては一次絶縁体として使用されているが、他の実施態様では、ポリマーの使用も開示されている。
【0008】
X線管の陰極端部では、HVケーブルは、頑丈な方法であって、厳しい設計半径を通って移動することができるように、デバイスの可撓性を著しく減少させない方法、および接地端子を含むHV導体を有効に接続する方法で、アーク放電および破壊を促進する条件を導入しないように接続しなければならない。
【0009】
これらの問題の解決方法は、以下で説明する本発明の主題である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
直径約1〜4mm台、好ましくは2mmまたは1mm以下の縮小型X線管の場合、高電圧ケーブルは、X線管の陰極に電流および高電圧を伝達するため、および接地端子をその管の陰極に設けるために、様々な実施態様で提供される。患者の内腔または組織内における多くの放射線手順の場合、ケーブルは、狭い湾曲部を通過するのに十分な可撓性がなければならない。好ましい実施態様では、本発明のケーブルは、ケーブルの外径の最小で10倍、好ましくは外径の約8倍の半径を有する湾曲部を通過することができる。
【0011】
ケーブルの様々な実施態様では、少なくとも2つの導体がケーブルの中心領域に位置し、コンパクトで、できるだけ滑らかな外部形状を呈する様々な形状で、互いに密接にパックされて、内側導体を囲み、内側導体とほぼ同心状態の外部高電圧接地端子に対する誘電特性を最大化する。外側接地端子に対抗して高電圧を搬送する内側導体は、逆D形かつ同軸で、並列する2つの扁平導体であるか、または単に、できるだけ密接に配置された1対の円筒状ワイヤで良い。内側導体と外側接地端子との間の空間は、ガラス絶縁体、ポリマーと誘電充填材との混合物、ポリマー、ポリマーおよび接着剤の連続する層、空気、気体、真空またはその他の誘電体が充填される。
【0012】
誘電体が、半導体であるように誘電体に装填され、公称量の電流が導体間に流れるようにする場合、確立される電圧勾配は、絶縁材料のキャパシタンスではなく、抵抗分圧器によるものである。絶縁体の絶縁耐力の一部を無効にする欠点が存在する場合、抵抗分圧器が作動し、線形抵抗器の平行性による電圧分布を平滑化する。
【0013】
ポリマーは、従来、ケーブル内の導体を互いから、かつ外部の影響から電気的に絶縁するために使用される。しかし、X線管の性質、並びに高度の真空および焼き出し温度環境に耐えることが可能であるという要件の点で、X線管上におけるポリマーのシールは不可能である。ポリマーにより導体を絶縁する方法の代案は、ガラスを使って絶縁することである。ガラスは、効果的な電気絶縁を提供するが、保護しない限り、低応力で破壊しやすい。絶縁ガラスの製造時に保護を施す場合、ガラスの強度は、一般に見られる強度の最大100倍である。この高度の初期強度は、表面保護コーティングをガラス上に施すことによって保存することができる。この技術は、ファイバが、ファイバの屈曲および取扱い時に生じる高度の応力に耐えることを可能にするため、光ファイバケーブルの製造に使用される。本明細書では、ガラス絶縁金属導体の表面保護のコンセプトについて開示する。
【0014】
有効であるためには、金属導体とガラスとの間のシールは、X線管デバイスの真空完全性を損なわないように、十分に良好でなければならない。また、すべての位置において、金属導体とガラスとの間のシールは、界面におけるHVコロナ破壊を防止するのに適していなければならない。これらは、材料の選択、HVケーブルの構成および構築の際に考慮すべき事項である。
【0015】
したがって、本発明の目的は、直径が非常に小さく、実施態様によっては約4mm以下であり、実施態様によっては約1mm以下の効率的なHVケーブルであって、ケーブルが、耐久性、信頼性、高度の絶縁強度、狭い半径の周囲で回転する能力を示すHVケーブルを提供することである。本発明の上記およびその他の利点および特徴は、好ましい実施態様に関する以下の説明を添付の図面に関連して考察すると明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これらの図面では、図1は、切り替え可能なX線源を使用するX線を管理するための本発明によるシステム10を大まかに示す。このシステムは、制御装置16に接続されたケーブル14の遠位端に、縮小型X線源12を備える。ケーブルおよびX線源14、12は、上記の様々な目的のために、人体内で重要な用途がある。コネクタ18は、好ましくは、患者の人体の外側に存在するある位置に含まれる。
【0017】
X線源12に至るケーブル14は、約50〜60kV以下の高電圧電位を搬送するほか、低電圧陰極フィラメントヒータ回路を支持する。低電圧導体は、好ましくは高電圧電位も搬送する。直径が小さく、半径が狭い湾曲部の周囲を移動するように可撓性であり、破壊に耐えるように高絶縁特性を有するこのようなケーブルの構造は、その他の図面および以下の開示事項の主な主題である。
【0018】
図2は、高電圧ケーブル14の一実施態様を示す。ケーブル14は1対の内側導体20および22を有し、これらの内側導体は、この実施態様では、陰極を加熱するためのこれらの2つの内側導体によって搬送される低電圧を短絡させないように、並置して離間配置される。2つの内側導体20、22は、内側導体を囲む抵抗誘電体24でクラッドされると同時に、適切に所定の位置に保持される。この抵抗誘電体24の外側には、高電圧接地端子電位を搬送する外側同軸導体26が存在する。
【0019】
抵抗誘電体24がガラスである場合、好ましくは光ファイバ性の、殆ど欠点のない引抜きガラスであれば最も好ましい。
【0020】
別法によると、誘電材料24は、高絶縁強度のポリマー材料を含むことができる。このような絶縁ポリマーはこの目的に有効である可能性があるが、一般には、ほぼ純粋な引抜きガラスほど効果的ではなく、内側導体と外側導体との間を十分に分離して、アーク放電および破壊を防止するためには、比較的大きい全体の径が必要である。
【0021】
図2の組立体では、2つの内側導体には薄い絶縁層が塗布されるか、または一方の導体のみが、このように塗布され、次に、2つの導体が接触される。さもなければ、2つの導体20および22は、絶縁24と組み立てる時に、わずかに離して配置される。
【0022】
誘電体24のまさに外側にある接地端子層26は、誘電体の周囲に螺旋状または編組パターンで巻かれた多くの非常に小さい直径を有する導体から構成することができる。別法によると、この接地端子は、誘電体24の外面上にスパッタまたは蒸着される導電金属材料から形成することができる。
【0023】
ジャケット層28は、ケーブル14上の接地端子層26を囲んでいるように示されている。
【0024】
図3は、修正された高電圧ケーブル構造を示す。修正されたケーブル14aは、1対の内側導体20、22を有する図2の構造に類似する構造を有するが、この場合、内側導体の一方または両方は、薄い絶縁コーティングを有し、共に抵抗/部分導電コーティング30で覆われている。層30は、円形、またはわずかに長円形もしくは楕円形であり、高電圧を搬送する非常に小さいケーブルであって、縮小型X線管に至るケーブルの破壊を防止するのに役立つ。導体20および22を覆い隠すコーティング30には、2つの利点がある。第1に、このコーティングは、高電位からのアーク放電を対向するHV導体、接地端子26から阻止しなければならない界面として、滑らかで丸く、円形またはほぼ円形の遷移部分を呈する。アーク放電は、内側HV導体が、外側接地端子方向に不規則な表面を呈する場合に生じやすい。第2に、陰極ヒータワイヤが位置する中心領域と外側接地端子との間に電界緩和遷移部分が存在するという利点がある。
【0025】
ケーブル内の絶縁体の絶縁強度は、ある程度固有の破壊電圧を有し、ケーブル全体の勾配が均一であり、この破壊電圧に非常に近い場合、このケーブルは、最大または最適な程度まで使用されている。高電圧の中心導体と接地端子との間の実際の勾配が均一ではない場合、平均より高い場合は常に、誘電体を破壊して、連鎖的な電圧破壊を生じ、その結果ケーブルが故障する可能性がある。したがって、勾配を画定するため、その材料について、典型的に1015Ω−cm台のどこかという非常に高い抵抗性を許すとするよりむしろ、誘電体内に不純物を投入すると、特に中心の周囲において、ケーブルの損失を多少大きくすることができる。これで所望の勾配が確立され、それによって、勾配を常に最適化することが保証される。
【0026】
したがって、誘電体24は、中心導体を囲む内側領域30内で半導体となるように充填され、どちらの中心導体にも絶縁コーティングがないと仮定すると、公称量の電流が中心導体間に流れることが可能になる。確立される電圧勾配は、絶縁材料のキャパシタンスではなく、むしろ抵抗分圧器に起因する。絶縁体24の絶縁耐力の部分を無効にする欠点が存在する場合、抵抗分圧器は、遷移部分、および線形抵抗器の並列性による電圧分布を平滑化するのに役立つ。
【0027】
この抵抗/部分導電コーティングまたは領域理論の唯一の負の影響は、ケーブルの損失が多少大きくなり、ケーブル内で、ある程度の電力が少量の熱として散逸することである。これは、ケーブルを通過する電力と比べて非常に小さくなるため、完全に絶縁されないケーブルに対する合理的なトレードオフである。
【0028】
図3に類似する幾何学的方法では、導体20および22は、実質的な抵抗分圧器網が生じるのを防止するために絶縁される。この場合、抵抗領域30は、ポリマー/導体もしくはポリマー/半導体、またはガラス/導体もしくはガラス/半導体から構成され、複合材料は半導体として作用する。半導体の不純物を選択することによって、AC電界の吸収特性が生じ、動作時に生じる遷移的な変化(たとえば、X線源のアークによって生じる)により良好に耐えることが可能になるという利点が得られる。炭素導体およびフェライト半導体は、この点で有用である。
【0029】
図3では、中心導体の非円形対称部分をマスクする抵抗/部分導電コーティングまたは領域30は、領域30が存在する場合、領域30全体で抵抗性/導電性を一貫させることが可能であり、誘電絶縁材料24の非常に高い抵抗まで急激に変化するか、または中心から外側に減少する勾配になる可能性がある。後者の場合、導電性は、半径が増加するにつれて減少する絶縁体内の不純物の分布によって徐々に衰え、これは、外側接地端子26まで続く可能性がある。これは、硬質な境界をなくし、破壊を生じる原因になる鋭利な壁部をなくす効果を有する。
【0030】
図4は、もう1つのHVケーブル構造の断面を示し、この場合、内側導体20aおよび22aは、図示のとおり、背中合わせのD形導体である。やはり、目標は、複合材料の高電圧支持体に滑らかな表面を与え、同時に、導体の対をできるだけ小さくして、これらの中心導体と外側接地端子26との間の誘電材料24に、より多くの距離を残すことである。2つのD形導体は、非常に薄い絶縁体によって分離されている場合、接地端子方向にほぼ円筒状の表面を呈する。図4のケーブル14bのその他の構造は、図2と同様、外側ジャケット(図示しない)、絶縁材料24として高誘電ポリマー、より好ましくは、絶縁体24としてほぼ完全な引抜きガラスを有する。
【0031】
図5では、HVケーブル14cは、図4のケーブル14bに類似しているが、この場合、D形中心導体20aおよび22aを囲む抵抗/部分導電コーティングまたは領域30aが含まれる。したがって、ケーブル14cは、図3および4の両方の構造に関する上記の利点が得られ、破壊の防止にもはるかに有効である。
【0032】
図6では、HVケーブル14d内に、部分的に扁平な中心導体20bおよび22bが示されている。この2つの扁平導体は、扁平な形状に巻かれた円筒状導体であり、やはり、単純かつ容易に実行される構成で、中心導体の対をコンパクトにする。導体20bおよび22bは、わずかに離して配置することができ、一方または両方に絶縁体の薄い被膜を施して、陰極の加熱に必要な低差電圧を防止することができる。上記の前の実施態様のように、誘電体24の外面の接地端子26は、誘電体24を含む成形ケーブルをアルミニウムなどの溶融金属内に浸漬することによって形成することができる。また、非常に小さいワイヤの編組シートとして、あるいはワイヤを螺旋状に、好ましくは対向する2方向に形成しても良い。
【0033】
図7は、HVケーブル14eがその内部に扁平な中心導体20b、22bを有する図6の構造であって、この中心導体は、図3および5と同様に抵抗/部分導電コーティング30bで被覆され、類似の利点を有する構造の修正を示す。
【0034】
図8では、HVケーブル14fは、内側導体35および36の同軸の対を有する。これは、アーク放電および破壊を防止するために効果的な構造として、内側導体の滑らかな表面を集合的に外側接地端子26に与えるのに最適な設計である。2つの導体35および36は、寸法通りではない図面に表わされているものより互いに近接しても良く、唯一の要件は、中心導体35と、内側導体の周囲に同軸状に配置された第2の導体36との間の薄い絶縁層である。このような絶縁層38は、ポリマーまたはガラス材料で良い。
【0035】
図9は、HVケーブル14gのさらに他の形態を大まかに示すもう1つの断面図である。この場合、内側導体35および36はやはり同軸だが、組立体は、図3、5および7で使用したものとほぼ同様の抵抗/部分導電材料40の外側層40を含む。やはり、図3、5および7と同様、この層40は、鋭利に画定された境界40aを有することができるか、または同軸導体36に隣接する導電性が最も高い部分から、たとえば40aに示す位置における導電性が最も低く、抵抗性が非常に高い部分まで、もしくは接地端子26から実質的に完全に外側に延在する勾配上に存在することができる。この特定の構造は、本質的に、ケーブル内の破壊に対する最大限の保護を提供する。
【0036】
図10は、HVケーブル14hのもう1つの実施態様を示し、この場合、図3と同様の2つのほぼ円筒状の離間配置された内側導体20cおよび22c、並びに2つの内側導体を囲む抵抗/部分導電コーティング30cを有する。この場合、絶縁コーティング42は、ガラスで良いが、1つの内側導体20cを囲む(図面は寸法通りではない)。したがって、2つの内側導体20cおよび22cは、一方を絶縁した状態で互いに緊密に保持することができる。抵抗/部分導電コーティング30cは、他の実施態様に関連する上記の説明と同じである。
【0037】
上記のすべての実施態様では、誘電材料24は、ガラスではなく、非常に良好な絶縁特性を有するポリマー材料で良いことを理解するべきである。しかし、一般に、最大の耐圧を得るためには、HVケーブルの外径が小さくなればなるほど、ほぼ完全な引抜きガラスを誘電体24として使用することが重要になる。
【0038】
上記で考察したとおり、図3、5、7、9および10のように内側導体を囲む抵抗/部分導電層または領域が含まれる場合、この層または領域は、様々な方法で形成することができる。1つの方法は、ガラスが溶融状態の時に、チタンまたはチタン酸化物(酸化は処理中に生じる)などの半導体粒子を中心領域に添加し、内側の導電ワイヤの周囲に絶縁体を形成することであるが、これは、ガラス予備成形物をワイヤ上に引き抜くか、または内部にワイヤが配置されたガラス管を設け、低粘度の硬化性材料(光などによる)を真空状態で充填することによって行われる。添加物質を所定の位置に配置した後、部分導電領域は特定の半径に固定の境界を有することが可能か、または融点まで加熱して、ガラスを融解させるか、もしくは外側に拡張するように不純物を加えて、上記のとおり有利な勾配状に配置された導電材料を形成することができる。別法によると、各々の層が異なる抵抗を有する複数の層を組み立てることができる。抵抗/部分導電層または領域は、導体を押出し型内に捕捉して押し出すことができる。導電性の勾配を確立することが望ましい場合、各々の層に導電性が低い不純物を添加して、押し出し層を連続的に形成することができる。必要なら、複合材料の構造を後で加熱して、層を互いに融解させると良い。
【0039】
上記のとおり、内側導体を囲む誘電材料はいくつかの形態を取ることができ、いくつかの異なる方法で導体上に組み立てることができる。一般に、直径が小さくなればなるほど(たとえば、最小1mm、または場合によっては最小で約0.5mm)、ほぼ完全であり、かつ優れた誘電体である実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを使用する必要が大きくなる。それにも関わらず、小さいHVケーブルを構成するための様々な方法および材料について、以下で説明する。
【0040】
1つの方法は、導体を挿入するガラス管を使用することである。導体は、ガラス管内部の表面の損傷を防止するために、挿入前にポリマーを上塗りし、いくつかのシリコーン生成物のうちの1つなどの誘電ポリマーと共に、ガラス管類の内径内に埋め込むことができる。導体は、ガラス、次にポリマーの保護膜、さらにポリマーで予め上塗りして、被覆された導体をガラス管内部に埋め込むと良い。
【0041】
もう1つの製造方法では、ガラスを金属導体の周囲に引き抜く。金属導体は裸であり、適切に離して保持するか、またはより好ましくは、金属導体、もしくはそのうちの1つは、ガラスコーティングで予め被覆する。導体の1つに薄い絶縁コーティングを含むと、導体を互いに緊密かつコンパクトに、導体を囲む絶縁体内に配置することができる。HVケーブルとX線管のエンベロープ(図1の12に大まかに示す)との間にヒートシールをうまく形成することができるように、様々なガラスを調査および開発した。こうしたガラスとしては、ポリマーでクラッドされたシリカガラス、アルミニウムでクラッドされたシリカガラス(たとえば、Corningが市販)、導体が内部に配置されるか、または導体の周囲にガラスが引き抜かれた管類、および導体の周囲に引き抜かれたアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス(たとえば、Schott 8250または8253またはKimble N51A)が挙げられる。クラディングは、本質的に光ファイバ性のガラスを保護するための緩衝材として作用し、こうしたガラスは、緩衝材を添加して表面を保護しなければ、引き抜き後に非常に迅速に表面に微細な亀裂が生じることによって劣化が始まる。こうしたタイプのガラスは、図2および10の実施態様に開示したガラスの何れかと共に使用することができる。
【0042】
図11および12は、HVケーブル内においてクラッドガラスで絶縁された導電ワイヤの2つの異なる実施例を示す斜視図である。図11では、HVケーブル50は1対の導体20d、22dを有し、これらの導体は、離間配置されているように示されているが、実際には互いに非常に近接させることができる。この場合、これらの導体は、個々に絶縁層で被覆されているように示されていないが、一方または両方の導体は、ガラスなどの絶縁材料でクラッドすることができる。これらの導体に好ましい材料はモリブデン、タングステン、または金/パラジウム/白金のクラッドバージョンである。ワイヤは、ニオビウムもしくはオスミウム、またはこれらの材料と類似するクラッドバージョンでも良い。ガラス絶縁層は24aで示され、2つの導体20dおよび22dを囲んでいる。製造および材料は、上記の様々な技術を利用して良い。
【0043】
上記のとおり、金属またはポリマー保護クラディング52は、絶縁体24aの外側に固定される。この保護クラディングは、たとえばアルミニウム、ニッケル、金、白金、もしくはパラジウム、またはこれらの合金で良い。このためのポリマーとしては、ポリイミドが挙げられる。この保護クラディングを囲むのは、クラディングがポリマーなどの絶縁材料である場合、接地端子導体(図示しない)である。接地端子導体は、上記のいくつかの図面に26で指示する。前記のとおり、接地端子導体は、クラディングの周囲に螺旋状に巻かれ、反対方向に繰り返されて、ほぼ表面全体を覆う編組ワイヤまたは細いワイヤから構成することができるか、または接地端子は、コーティングまたはめっきなどによって付着された固体金属で良い。
【0044】
図12には、図11の構造の変形が示されている。この場合、金属導体20d、22dは、最初に絶縁層で覆うか、または好ましくは、一方のみを絶縁層で覆う。これは、非常に薄いガラスクラディングであり、導体は、互いに緊密に配置することができる。必要なら、クラディングは、組立体を高温まで加熱しないため、ポリマーで良い。この場合の絶縁体24bは、上記のように予め成形され、内部に金属導体20d、22dが配置された管であり、管の内部に浸潤ポリマー誘電体54が埋め込まれる。誘電体54は、ワイヤを挿入した後に圧入して添加される。選択したポリマーは、表面を湿潤させて、粘着性の気泡を排除しなければならない。真空を使用すると、ポリマー誘電体を添加する前に、空気を除去することができる。
【0045】
HVケーブル50a内のガラス絶縁管24bの外側には、金属またはポリマークラディング52aが存在し、これは、図11に関連して上記で説明したように構成および構築することができる。やはり、クラディングは非導電性であり、編組またはその他のタイプの接地端子が、クラディング52aの外側の周囲に配置される。別法によると、ケーブルを溶融金属槽中に浸漬するか、またはこうした槽を通して引き抜くなどの方法によって、金属コーティングを接地端子に塗布することができる。
【0046】
上記で概略を述べたとおり、高誘電ポリマーは、多くの場合に絶縁体として使用することができる。ケーブルを作製する1つの方法は、内側導体をポリマー絶縁体と同時に押し出すことである。絶縁材料は、内側導体と絶縁材料との間の空隙が最小限な状態で、高電圧の(内側)導体を取り囲んでカプセル化しなければならない。このため、同時押し出しを行うことができる。内側導体は、口径が小さく、約33口径以下の金属ワイヤである。内側導体は、円形押し出しダイから送り出され、溶融ポリマーによって取り囲まれる。類似の方法で、押し出しは、図3に示す層と同様の半導体内側層を有するケーブルの場合、2つのステップで行うことができる。内側層のポリマーは半導体の接着剤を含み、外側層はHV誘電体として作用するであろう。何れの場合も、押し出し後、ポリマーおよび導体組立体は冷却されて、固体状態まで硬化すると、内側導体と絶縁体との間には、実際上隙間または空隙は残らない。この組立体は、ケーブルの外径が過度に小さくない限り、本発明が意図する高電圧(50kV以上)に耐えることができる。組立体は、外径が約3mmの場合に適切に機能する。特定の一実施態様では、50kVのケーブルで、ポリマーの外径は約2.2mmであり、ケーブルの外径は約3.2mmである。
【0047】
図13は、HVケーブル55の別法による構造を示す斜視図である。この場合、離間配置されているように示されているが、好ましくは導体ワイヤの少なくとも一方が高誘電ポリマー材料で予め被覆されている1対の導体56および57は、HVケーブル組立体の中心に示されている。この場合、ケーブルの絶縁体は、TEFLONグレードの熱収縮材料、および接着剤の一連の層から形成される。58、60、62および64には、TEFLONグレードの熱収縮材料の層が大まかに示されている。これらの層は、名称が暗示するとおり、これらの層を前の層上に熱収縮することによって適用される。65、67、69および71には、好ましくは高誘電シリコン材料の接着剤層が示されている。外側層72は、必要に応じて設けられるさらに他の層を指示する。
【0048】
接着剤/シリコン層はHVクリープを提供し、これらの層を実質的に空隙がない状態で接着する。TEFLONグレードの熱収縮は、異なる層で同じ材料であるか、または異なる熱収縮材料で良い。これらの複数の層は高絶縁耐力を提供し、この層化の形式を使用して任意の局所的な欠点を相殺することによって、局所的な欠点が熱収縮層に与える影響を最小限にし、グレードが異なる熱収縮材料の所望の組合せを注意して選択することによって、最適な電界制御を行うことが可能である。接着剤を熱収縮層の間に使用して、閉じ込められた空洞部分を除去する場合、熱収縮管類は、プラスチック表面の接着性を増加するために化学的にエッチングまたはプラズマエッチングされる。場合によっては、熱収縮層の間に適用されるシリコン層は、上記のように耐クリープ性を与える。適切な熱収縮材料を選択することは、重要である。いくつかの好ましい材料は、高品質のFEPおよび/またはPFAであり、どちらもTEFLONグレードである。一定の熱収縮FEPポリマーは、不溶性の粒状不純物を取り除くために特に処理して、高電圧応力時に内部にコロナが形成される傾向を減少させた。図13に示す構造は、外側層72の最小で約2mmの外径に効果的であると思われる。
【0049】
上記の好ましい実施態様は、本発明の原理を具体的に示すことを意図されており、その範囲を制限するものではない。上記の好ましい実施態様以外の実施態様および変形は、当業者にとっては明らかであり、以下の請求の範囲で定義する本発明の精神および範囲を逸脱せずに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】遠位端においてX線源に接続される本発明の高電圧ケーブルを示す図であり、制御装置が示されている。
【図2】1対の離間配置されたほぼ円筒状の導体ワイヤを内側導体として有する高電圧ケーブルの一実施態様を示す略断面図である。
【図3】図2に類似する断面図であり、導体は図2に類似しているが、抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を2つの内側導体上に含む。
【図4】図2に類似するもう1つの断面図であり、内側導体としての1対の背中合わせのD形導体を示す。
【図5】図4に類似する図であり、導体は類似しているが、抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を内側導体上に含む。
【図6】高電圧ケーブルを示すもう1つの断面図であり、この場合、長形の断面の各々に扁平導体を有する。
【図7】図6に類似する断面図であり、内側導体は類似しているが、抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を内側導体上に含む。
【図8】高電圧ケーブルの断面図であり、この実施態様では、同軸の1対の内側導体を示す。
【図9】もう1つの実施態様による同軸の内側導体を示す断面図であり、この場合、内側導体は絶縁コーティングを有し、外側導体は、さらに部分抵抗材料のコーティングを含む。
【図10】高電圧ケーブルのもう1つの実施態様を大まかに示す断面図であり、この場合、図3と同じ2つのほぼ円筒状の離間配置された内側導体を含み、導体の周囲に抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を有するが、内側導体の一方の上に絶縁コーティングが存在する。
【図11】多少修正された実施態様におけるクラッドガラスで絶縁されたワイヤから形成された高電圧ケーブルを示す類似の斜視図である。
【図12】多少修正された実施態様におけるクラッドガラスで絶縁されたワイヤから形成された高電圧ケーブルを示す類似の斜視図である。
【図13】複数のポリマーおよび接着剤層を含む高電圧ケーブル構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
14 50 55 高電圧ケーブル
12 X線源
20 22 35 36 内側導体
24 抵抗誘電体
26 外側導体
30 抵抗/部分誘電領域
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年3月26日米国に出願された出願番号第10/397,498号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、乳房組織の術後の放射線療法、および人体の様々な内腔、たとえば血管内における処置を含む用途のために、縮小型X線源に通じ、縮小型X線源に接続される高電圧ケーブルの構成、構造および組立てに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの治療用縮小型または小型X線管は、いくつかの先行特許、たとえば米国特許第5,854,822号、第5,621,780号および第6,319,188号、並びに本願と同一所有者による同時に係属中の出願番号第10/397,498号に開示されている。このような小型X線管は、人体の外科的開口部内で腫瘍を治療するため、そのような管を含むカテーテルを使用して血管内で治療を行うため、および人体内のその他の放射線療法のために提案および開発された。引用した係属出願は、MEMS技術によって製造された陰極を含む陰極組立体について説明し、抽出器カップを形成し、抽出器カップを高電圧に電気的に接続するための手段を開示している。この出願は、誘電特性を最大化して、ケーブル上の外側の位置における接地端子に対するアーク放電を防止する構成で、複数の内側導体上で陰極加熱電流を搬送するデバイスの高電圧ケーブルのいくつかの構成も開示している。この出願は、いくつかの実施態様を開示し、X線管の陰極端部に対するケーブル接続の1つの形態を示している。
【0004】
このような縮小型X線デバイスに意図されたX線管の電位は25kVより大きく、好ましくは40kVより大きく、50kVを超えても良い。ケーブル内の絶縁および構成要素は、高い可撓性で直径が小さく、X線管より小さいことが好ましく、非常に高度の誘電場に耐える必要がある。効果的な絶縁材料は、高電圧内側導体を取り囲んでカプセル化し、この導体を外側接地端子から絶縁しなければならない。非常に小さいプロファイル内で十分な絶縁保護を提供し、アーク放電およびケーブルの不具合を防止するのは難問である。できるだけ小さいプロファイル内でできるだけ多くの絶縁保護を行い、場の勾配をできるだけ低下させなければならない。代表的なHVケーブルの状況は、非常に大きいサイズまたは非常に低い電圧に関連していたため、高電圧および非常に小さいサイズに関連するこのような問題は以前には取り扱われなかった。材料および設計は重要であり、外径約1mm台までサイズを縮小する場合はさらに重要になり、多くの場合、狭い半径湾曲部を通過するという要件がある。
【0005】
高電圧は、気体、固体または液体が導体間に存在するかどうかに関わらず、様々な電位で導体間の何らかの経路に沿って分圧される。電圧の分圧は、距離(線形分圧)またはその他の何らかの分布に比例させることができる。分布が線形ではない場合、電圧勾配が平均的な線形勾配より高くなる場所が存在する。この分布は時間、および破壊および材料の損傷に応じて変化する可能性がある。分布が、使用する誘電体が支持できるより高い場合、アークが生じる可能性がある。
【0006】
固体絶縁体を誘電体として使用する場合、これは、抵抗が非常に大きい材料である。電圧は、主に誘電体のキャパシタンスに基づいて導体間で分圧する。
【0007】
ポリマーによっては、ガラスよりも誘電体として優れた絶縁特性を有する。しかし、ガラスは、殆ど欠陥がない状態で引き抜くことができるため、究極の絶縁体であると思われる。ガラスは、ほぼ完全である場合、縮小型HVケーブルに最適な誘電材料である。ガラスを使用する場合、導体に対するガラスのシーリングは重要である。以下で説明する本発明では、ガラスは、実施態様によっては一次絶縁体として使用されているが、他の実施態様では、ポリマーの使用も開示されている。
【0008】
X線管の陰極端部では、HVケーブルは、頑丈な方法であって、厳しい設計半径を通って移動することができるように、デバイスの可撓性を著しく減少させない方法、および接地端子を含むHV導体を有効に接続する方法で、アーク放電および破壊を促進する条件を導入しないように接続しなければならない。
【0009】
これらの問題の解決方法は、以下で説明する本発明の主題である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
直径約1〜4mm台、好ましくは2mmまたは1mm以下の縮小型X線管の場合、高電圧ケーブルは、X線管の陰極に電流および高電圧を伝達するため、および接地端子をその管の陰極に設けるために、様々な実施態様で提供される。患者の内腔または組織内における多くの放射線手順の場合、ケーブルは、狭い湾曲部を通過するのに十分な可撓性がなければならない。好ましい実施態様では、本発明のケーブルは、ケーブルの外径の最小で10倍、好ましくは外径の約8倍の半径を有する湾曲部を通過することができる。
【0011】
ケーブルの様々な実施態様では、少なくとも2つの導体がケーブルの中心領域に位置し、コンパクトで、できるだけ滑らかな外部形状を呈する様々な形状で、互いに密接にパックされて、内側導体を囲み、内側導体とほぼ同心状態の外部高電圧接地端子に対する誘電特性を最大化する。外側接地端子に対抗して高電圧を搬送する内側導体は、逆D形かつ同軸で、並列する2つの扁平導体であるか、または単に、できるだけ密接に配置された1対の円筒状ワイヤで良い。内側導体と外側接地端子との間の空間は、ガラス絶縁体、ポリマーと誘電充填材との混合物、ポリマー、ポリマーおよび接着剤の連続する層、空気、気体、真空またはその他の誘電体が充填される。
【0012】
誘電体が、半導体であるように誘電体に装填され、公称量の電流が導体間に流れるようにする場合、確立される電圧勾配は、絶縁材料のキャパシタンスではなく、抵抗分圧器によるものである。絶縁体の絶縁耐力の一部を無効にする欠点が存在する場合、抵抗分圧器が作動し、線形抵抗器の平行性による電圧分布を平滑化する。
【0013】
ポリマーは、従来、ケーブル内の導体を互いから、かつ外部の影響から電気的に絶縁するために使用される。しかし、X線管の性質、並びに高度の真空および焼き出し温度環境に耐えることが可能であるという要件の点で、X線管上におけるポリマーのシールは不可能である。ポリマーにより導体を絶縁する方法の代案は、ガラスを使って絶縁することである。ガラスは、効果的な電気絶縁を提供するが、保護しない限り、低応力で破壊しやすい。絶縁ガラスの製造時に保護を施す場合、ガラスの強度は、一般に見られる強度の最大100倍である。この高度の初期強度は、表面保護コーティングをガラス上に施すことによって保存することができる。この技術は、ファイバが、ファイバの屈曲および取扱い時に生じる高度の応力に耐えることを可能にするため、光ファイバケーブルの製造に使用される。本明細書では、ガラス絶縁金属導体の表面保護のコンセプトについて開示する。
【0014】
有効であるためには、金属導体とガラスとの間のシールは、X線管デバイスの真空完全性を損なわないように、十分に良好でなければならない。また、すべての位置において、金属導体とガラスとの間のシールは、界面におけるHVコロナ破壊を防止するのに適していなければならない。これらは、材料の選択、HVケーブルの構成および構築の際に考慮すべき事項である。
【0015】
したがって、本発明の目的は、直径が非常に小さく、実施態様によっては約4mm以下であり、実施態様によっては約1mm以下の効率的なHVケーブルであって、ケーブルが、耐久性、信頼性、高度の絶縁強度、狭い半径の周囲で回転する能力を示すHVケーブルを提供することである。本発明の上記およびその他の利点および特徴は、好ましい実施態様に関する以下の説明を添付の図面に関連して考察すると明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これらの図面では、図1は、切り替え可能なX線源を使用するX線を管理するための本発明によるシステム10を大まかに示す。このシステムは、制御装置16に接続されたケーブル14の遠位端に、縮小型X線源12を備える。ケーブルおよびX線源14、12は、上記の様々な目的のために、人体内で重要な用途がある。コネクタ18は、好ましくは、患者の人体の外側に存在するある位置に含まれる。
【0017】
X線源12に至るケーブル14は、約50〜60kV以下の高電圧電位を搬送するほか、低電圧陰極フィラメントヒータ回路を支持する。低電圧導体は、好ましくは高電圧電位も搬送する。直径が小さく、半径が狭い湾曲部の周囲を移動するように可撓性であり、破壊に耐えるように高絶縁特性を有するこのようなケーブルの構造は、その他の図面および以下の開示事項の主な主題である。
【0018】
図2は、高電圧ケーブル14の一実施態様を示す。ケーブル14は1対の内側導体20および22を有し、これらの内側導体は、この実施態様では、陰極を加熱するためのこれらの2つの内側導体によって搬送される低電圧を短絡させないように、並置して離間配置される。2つの内側導体20、22は、内側導体を囲む抵抗誘電体24でクラッドされると同時に、適切に所定の位置に保持される。この抵抗誘電体24の外側には、高電圧接地端子電位を搬送する外側同軸導体26が存在する。
【0019】
抵抗誘電体24がガラスである場合、好ましくは光ファイバ性の、殆ど欠点のない引抜きガラスであれば最も好ましい。
【0020】
別法によると、誘電材料24は、高絶縁強度のポリマー材料を含むことができる。このような絶縁ポリマーはこの目的に有効である可能性があるが、一般には、ほぼ純粋な引抜きガラスほど効果的ではなく、内側導体と外側導体との間を十分に分離して、アーク放電および破壊を防止するためには、比較的大きい全体の径が必要である。
【0021】
図2の組立体では、2つの内側導体には薄い絶縁層が塗布されるか、または一方の導体のみが、このように塗布され、次に、2つの導体が接触される。さもなければ、2つの導体20および22は、絶縁24と組み立てる時に、わずかに離して配置される。
【0022】
誘電体24のまさに外側にある接地端子層26は、誘電体の周囲に螺旋状または編組パターンで巻かれた多くの非常に小さい直径を有する導体から構成することができる。別法によると、この接地端子は、誘電体24の外面上にスパッタまたは蒸着される導電金属材料から形成することができる。
【0023】
ジャケット層28は、ケーブル14上の接地端子層26を囲んでいるように示されている。
【0024】
図3は、修正された高電圧ケーブル構造を示す。修正されたケーブル14aは、1対の内側導体20、22を有する図2の構造に類似する構造を有するが、この場合、内側導体の一方または両方は、薄い絶縁コーティングを有し、共に抵抗/部分導電コーティング30で覆われている。層30は、円形、またはわずかに長円形もしくは楕円形であり、高電圧を搬送する非常に小さいケーブルであって、縮小型X線管に至るケーブルの破壊を防止するのに役立つ。導体20および22を覆い隠すコーティング30には、2つの利点がある。第1に、このコーティングは、高電位からのアーク放電を対向するHV導体、接地端子26から阻止しなければならない界面として、滑らかで丸く、円形またはほぼ円形の遷移部分を呈する。アーク放電は、内側HV導体が、外側接地端子方向に不規則な表面を呈する場合に生じやすい。第2に、陰極ヒータワイヤが位置する中心領域と外側接地端子との間に電界緩和遷移部分が存在するという利点がある。
【0025】
ケーブル内の絶縁体の絶縁強度は、ある程度固有の破壊電圧を有し、ケーブル全体の勾配が均一であり、この破壊電圧に非常に近い場合、このケーブルは、最大または最適な程度まで使用されている。高電圧の中心導体と接地端子との間の実際の勾配が均一ではない場合、平均より高い場合は常に、誘電体を破壊して、連鎖的な電圧破壊を生じ、その結果ケーブルが故障する可能性がある。したがって、勾配を画定するため、その材料について、典型的に1015Ω−cm台のどこかという非常に高い抵抗性を許すとするよりむしろ、誘電体内に不純物を投入すると、特に中心の周囲において、ケーブルの損失を多少大きくすることができる。これで所望の勾配が確立され、それによって、勾配を常に最適化することが保証される。
【0026】
したがって、誘電体24は、中心導体を囲む内側領域30内で半導体となるように充填され、どちらの中心導体にも絶縁コーティングがないと仮定すると、公称量の電流が中心導体間に流れることが可能になる。確立される電圧勾配は、絶縁材料のキャパシタンスではなく、むしろ抵抗分圧器に起因する。絶縁体24の絶縁耐力の部分を無効にする欠点が存在する場合、抵抗分圧器は、遷移部分、および線形抵抗器の並列性による電圧分布を平滑化するのに役立つ。
【0027】
この抵抗/部分導電コーティングまたは領域理論の唯一の負の影響は、ケーブルの損失が多少大きくなり、ケーブル内で、ある程度の電力が少量の熱として散逸することである。これは、ケーブルを通過する電力と比べて非常に小さくなるため、完全に絶縁されないケーブルに対する合理的なトレードオフである。
【0028】
図3に類似する幾何学的方法では、導体20および22は、実質的な抵抗分圧器網が生じるのを防止するために絶縁される。この場合、抵抗領域30は、ポリマー/導体もしくはポリマー/半導体、またはガラス/導体もしくはガラス/半導体から構成され、複合材料は半導体として作用する。半導体の不純物を選択することによって、AC電界の吸収特性が生じ、動作時に生じる遷移的な変化(たとえば、X線源のアークによって生じる)により良好に耐えることが可能になるという利点が得られる。炭素導体およびフェライト半導体は、この点で有用である。
【0029】
図3では、中心導体の非円形対称部分をマスクする抵抗/部分導電コーティングまたは領域30は、領域30が存在する場合、領域30全体で抵抗性/導電性を一貫させることが可能であり、誘電絶縁材料24の非常に高い抵抗まで急激に変化するか、または中心から外側に減少する勾配になる可能性がある。後者の場合、導電性は、半径が増加するにつれて減少する絶縁体内の不純物の分布によって徐々に衰え、これは、外側接地端子26まで続く可能性がある。これは、硬質な境界をなくし、破壊を生じる原因になる鋭利な壁部をなくす効果を有する。
【0030】
図4は、もう1つのHVケーブル構造の断面を示し、この場合、内側導体20aおよび22aは、図示のとおり、背中合わせのD形導体である。やはり、目標は、複合材料の高電圧支持体に滑らかな表面を与え、同時に、導体の対をできるだけ小さくして、これらの中心導体と外側接地端子26との間の誘電材料24に、より多くの距離を残すことである。2つのD形導体は、非常に薄い絶縁体によって分離されている場合、接地端子方向にほぼ円筒状の表面を呈する。図4のケーブル14bのその他の構造は、図2と同様、外側ジャケット(図示しない)、絶縁材料24として高誘電ポリマー、より好ましくは、絶縁体24としてほぼ完全な引抜きガラスを有する。
【0031】
図5では、HVケーブル14cは、図4のケーブル14bに類似しているが、この場合、D形中心導体20aおよび22aを囲む抵抗/部分導電コーティングまたは領域30aが含まれる。したがって、ケーブル14cは、図3および4の両方の構造に関する上記の利点が得られ、破壊の防止にもはるかに有効である。
【0032】
図6では、HVケーブル14d内に、部分的に扁平な中心導体20bおよび22bが示されている。この2つの扁平導体は、扁平な形状に巻かれた円筒状導体であり、やはり、単純かつ容易に実行される構成で、中心導体の対をコンパクトにする。導体20bおよび22bは、わずかに離して配置することができ、一方または両方に絶縁体の薄い被膜を施して、陰極の加熱に必要な低差電圧を防止することができる。上記の前の実施態様のように、誘電体24の外面の接地端子26は、誘電体24を含む成形ケーブルをアルミニウムなどの溶融金属内に浸漬することによって形成することができる。また、非常に小さいワイヤの編組シートとして、あるいはワイヤを螺旋状に、好ましくは対向する2方向に形成しても良い。
【0033】
図7は、HVケーブル14eがその内部に扁平な中心導体20b、22bを有する図6の構造であって、この中心導体は、図3および5と同様に抵抗/部分導電コーティング30bで被覆され、類似の利点を有する構造の修正を示す。
【0034】
図8では、HVケーブル14fは、内側導体35および36の同軸の対を有する。これは、アーク放電および破壊を防止するために効果的な構造として、内側導体の滑らかな表面を集合的に外側接地端子26に与えるのに最適な設計である。2つの導体35および36は、寸法通りではない図面に表わされているものより互いに近接しても良く、唯一の要件は、中心導体35と、内側導体の周囲に同軸状に配置された第2の導体36との間の薄い絶縁層である。このような絶縁層38は、ポリマーまたはガラス材料で良い。
【0035】
図9は、HVケーブル14gのさらに他の形態を大まかに示すもう1つの断面図である。この場合、内側導体35および36はやはり同軸だが、組立体は、図3、5および7で使用したものとほぼ同様の抵抗/部分導電材料40の外側層40を含む。やはり、図3、5および7と同様、この層40は、鋭利に画定された境界40aを有することができるか、または同軸導体36に隣接する導電性が最も高い部分から、たとえば40aに示す位置における導電性が最も低く、抵抗性が非常に高い部分まで、もしくは接地端子26から実質的に完全に外側に延在する勾配上に存在することができる。この特定の構造は、本質的に、ケーブル内の破壊に対する最大限の保護を提供する。
【0036】
図10は、HVケーブル14hのもう1つの実施態様を示し、この場合、図3と同様の2つのほぼ円筒状の離間配置された内側導体20cおよび22c、並びに2つの内側導体を囲む抵抗/部分導電コーティング30cを有する。この場合、絶縁コーティング42は、ガラスで良いが、1つの内側導体20cを囲む(図面は寸法通りではない)。したがって、2つの内側導体20cおよび22cは、一方を絶縁した状態で互いに緊密に保持することができる。抵抗/部分導電コーティング30cは、他の実施態様に関連する上記の説明と同じである。
【0037】
上記のすべての実施態様では、誘電材料24は、ガラスではなく、非常に良好な絶縁特性を有するポリマー材料で良いことを理解するべきである。しかし、一般に、最大の耐圧を得るためには、HVケーブルの外径が小さくなればなるほど、ほぼ完全な引抜きガラスを誘電体24として使用することが重要になる。
【0038】
上記で考察したとおり、図3、5、7、9および10のように内側導体を囲む抵抗/部分導電層または領域が含まれる場合、この層または領域は、様々な方法で形成することができる。1つの方法は、ガラスが溶融状態の時に、チタンまたはチタン酸化物(酸化は処理中に生じる)などの半導体粒子を中心領域に添加し、内側の導電ワイヤの周囲に絶縁体を形成することであるが、これは、ガラス予備成形物をワイヤ上に引き抜くか、または内部にワイヤが配置されたガラス管を設け、低粘度の硬化性材料(光などによる)を真空状態で充填することによって行われる。添加物質を所定の位置に配置した後、部分導電領域は特定の半径に固定の境界を有することが可能か、または融点まで加熱して、ガラスを融解させるか、もしくは外側に拡張するように不純物を加えて、上記のとおり有利な勾配状に配置された導電材料を形成することができる。別法によると、各々の層が異なる抵抗を有する複数の層を組み立てることができる。抵抗/部分導電層または領域は、導体を押出し型内に捕捉して押し出すことができる。導電性の勾配を確立することが望ましい場合、各々の層に導電性が低い不純物を添加して、押し出し層を連続的に形成することができる。必要なら、複合材料の構造を後で加熱して、層を互いに融解させると良い。
【0039】
上記のとおり、内側導体を囲む誘電材料はいくつかの形態を取ることができ、いくつかの異なる方法で導体上に組み立てることができる。一般に、直径が小さくなればなるほど(たとえば、最小1mm、または場合によっては最小で約0.5mm)、ほぼ完全であり、かつ優れた誘電体である実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを使用する必要が大きくなる。それにも関わらず、小さいHVケーブルを構成するための様々な方法および材料について、以下で説明する。
【0040】
1つの方法は、導体を挿入するガラス管を使用することである。導体は、ガラス管内部の表面の損傷を防止するために、挿入前にポリマーを上塗りし、いくつかのシリコーン生成物のうちの1つなどの誘電ポリマーと共に、ガラス管類の内径内に埋め込むことができる。導体は、ガラス、次にポリマーの保護膜、さらにポリマーで予め上塗りして、被覆された導体をガラス管内部に埋め込むと良い。
【0041】
もう1つの製造方法では、ガラスを金属導体の周囲に引き抜く。金属導体は裸であり、適切に離して保持するか、またはより好ましくは、金属導体、もしくはそのうちの1つは、ガラスコーティングで予め被覆する。導体の1つに薄い絶縁コーティングを含むと、導体を互いに緊密かつコンパクトに、導体を囲む絶縁体内に配置することができる。HVケーブルとX線管のエンベロープ(図1の12に大まかに示す)との間にヒートシールをうまく形成することができるように、様々なガラスを調査および開発した。こうしたガラスとしては、ポリマーでクラッドされたシリカガラス、アルミニウムでクラッドされたシリカガラス(たとえば、Corningが市販)、導体が内部に配置されるか、または導体の周囲にガラスが引き抜かれた管類、および導体の周囲に引き抜かれたアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス(たとえば、Schott 8250または8253またはKimble N51A)が挙げられる。クラディングは、本質的に光ファイバ性のガラスを保護するための緩衝材として作用し、こうしたガラスは、緩衝材を添加して表面を保護しなければ、引き抜き後に非常に迅速に表面に微細な亀裂が生じることによって劣化が始まる。こうしたタイプのガラスは、図2および10の実施態様に開示したガラスの何れかと共に使用することができる。
【0042】
図11および12は、HVケーブル内においてクラッドガラスで絶縁された導電ワイヤの2つの異なる実施例を示す斜視図である。図11では、HVケーブル50は1対の導体20d、22dを有し、これらの導体は、離間配置されているように示されているが、実際には互いに非常に近接させることができる。この場合、これらの導体は、個々に絶縁層で被覆されているように示されていないが、一方または両方の導体は、ガラスなどの絶縁材料でクラッドすることができる。これらの導体に好ましい材料はモリブデン、タングステン、または金/パラジウム/白金のクラッドバージョンである。ワイヤは、ニオビウムもしくはオスミウム、またはこれらの材料と類似するクラッドバージョンでも良い。ガラス絶縁層は24aで示され、2つの導体20dおよび22dを囲んでいる。製造および材料は、上記の様々な技術を利用して良い。
【0043】
上記のとおり、金属またはポリマー保護クラディング52は、絶縁体24aの外側に固定される。この保護クラディングは、たとえばアルミニウム、ニッケル、金、白金、もしくはパラジウム、またはこれらの合金で良い。このためのポリマーとしては、ポリイミドが挙げられる。この保護クラディングを囲むのは、クラディングがポリマーなどの絶縁材料である場合、接地端子導体(図示しない)である。接地端子導体は、上記のいくつかの図面に26で指示する。前記のとおり、接地端子導体は、クラディングの周囲に螺旋状に巻かれ、反対方向に繰り返されて、ほぼ表面全体を覆う編組ワイヤまたは細いワイヤから構成することができるか、または接地端子は、コーティングまたはめっきなどによって付着された固体金属で良い。
【0044】
図12には、図11の構造の変形が示されている。この場合、金属導体20d、22dは、最初に絶縁層で覆うか、または好ましくは、一方のみを絶縁層で覆う。これは、非常に薄いガラスクラディングであり、導体は、互いに緊密に配置することができる。必要なら、クラディングは、組立体を高温まで加熱しないため、ポリマーで良い。この場合の絶縁体24bは、上記のように予め成形され、内部に金属導体20d、22dが配置された管であり、管の内部に浸潤ポリマー誘電体54が埋め込まれる。誘電体54は、ワイヤを挿入した後に圧入して添加される。選択したポリマーは、表面を湿潤させて、粘着性の気泡を排除しなければならない。真空を使用すると、ポリマー誘電体を添加する前に、空気を除去することができる。
【0045】
HVケーブル50a内のガラス絶縁管24bの外側には、金属またはポリマークラディング52aが存在し、これは、図11に関連して上記で説明したように構成および構築することができる。やはり、クラディングは非導電性であり、編組またはその他のタイプの接地端子が、クラディング52aの外側の周囲に配置される。別法によると、ケーブルを溶融金属槽中に浸漬するか、またはこうした槽を通して引き抜くなどの方法によって、金属コーティングを接地端子に塗布することができる。
【0046】
上記で概略を述べたとおり、高誘電ポリマーは、多くの場合に絶縁体として使用することができる。ケーブルを作製する1つの方法は、内側導体をポリマー絶縁体と同時に押し出すことである。絶縁材料は、内側導体と絶縁材料との間の空隙が最小限な状態で、高電圧の(内側)導体を取り囲んでカプセル化しなければならない。このため、同時押し出しを行うことができる。内側導体は、口径が小さく、約33口径以下の金属ワイヤである。内側導体は、円形押し出しダイから送り出され、溶融ポリマーによって取り囲まれる。類似の方法で、押し出しは、図3に示す層と同様の半導体内側層を有するケーブルの場合、2つのステップで行うことができる。内側層のポリマーは半導体の接着剤を含み、外側層はHV誘電体として作用するであろう。何れの場合も、押し出し後、ポリマーおよび導体組立体は冷却されて、固体状態まで硬化すると、内側導体と絶縁体との間には、実際上隙間または空隙は残らない。この組立体は、ケーブルの外径が過度に小さくない限り、本発明が意図する高電圧(50kV以上)に耐えることができる。組立体は、外径が約3mmの場合に適切に機能する。特定の一実施態様では、50kVのケーブルで、ポリマーの外径は約2.2mmであり、ケーブルの外径は約3.2mmである。
【0047】
図13は、HVケーブル55の別法による構造を示す斜視図である。この場合、離間配置されているように示されているが、好ましくは導体ワイヤの少なくとも一方が高誘電ポリマー材料で予め被覆されている1対の導体56および57は、HVケーブル組立体の中心に示されている。この場合、ケーブルの絶縁体は、TEFLONグレードの熱収縮材料、および接着剤の一連の層から形成される。58、60、62および64には、TEFLONグレードの熱収縮材料の層が大まかに示されている。これらの層は、名称が暗示するとおり、これらの層を前の層上に熱収縮することによって適用される。65、67、69および71には、好ましくは高誘電シリコン材料の接着剤層が示されている。外側層72は、必要に応じて設けられるさらに他の層を指示する。
【0048】
接着剤/シリコン層はHVクリープを提供し、これらの層を実質的に空隙がない状態で接着する。TEFLONグレードの熱収縮は、異なる層で同じ材料であるか、または異なる熱収縮材料で良い。これらの複数の層は高絶縁耐力を提供し、この層化の形式を使用して任意の局所的な欠点を相殺することによって、局所的な欠点が熱収縮層に与える影響を最小限にし、グレードが異なる熱収縮材料の所望の組合せを注意して選択することによって、最適な電界制御を行うことが可能である。接着剤を熱収縮層の間に使用して、閉じ込められた空洞部分を除去する場合、熱収縮管類は、プラスチック表面の接着性を増加するために化学的にエッチングまたはプラズマエッチングされる。場合によっては、熱収縮層の間に適用されるシリコン層は、上記のように耐クリープ性を与える。適切な熱収縮材料を選択することは、重要である。いくつかの好ましい材料は、高品質のFEPおよび/またはPFAであり、どちらもTEFLONグレードである。一定の熱収縮FEPポリマーは、不溶性の粒状不純物を取り除くために特に処理して、高電圧応力時に内部にコロナが形成される傾向を減少させた。図13に示す構造は、外側層72の最小で約2mmの外径に効果的であると思われる。
【0049】
上記の好ましい実施態様は、本発明の原理を具体的に示すことを意図されており、その範囲を制限するものではない。上記の好ましい実施態様以外の実施態様および変形は、当業者にとっては明らかであり、以下の請求の範囲で定義する本発明の精神および範囲を逸脱せずに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】遠位端においてX線源に接続される本発明の高電圧ケーブルを示す図であり、制御装置が示されている。
【図2】1対の離間配置されたほぼ円筒状の導体ワイヤを内側導体として有する高電圧ケーブルの一実施態様を示す略断面図である。
【図3】図2に類似する断面図であり、導体は図2に類似しているが、抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を2つの内側導体上に含む。
【図4】図2に類似するもう1つの断面図であり、内側導体としての1対の背中合わせのD形導体を示す。
【図5】図4に類似する図であり、導体は類似しているが、抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を内側導体上に含む。
【図6】高電圧ケーブルを示すもう1つの断面図であり、この場合、長形の断面の各々に扁平導体を有する。
【図7】図6に類似する断面図であり、内側導体は類似しているが、抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を内側導体上に含む。
【図8】高電圧ケーブルの断面図であり、この実施態様では、同軸の1対の内側導体を示す。
【図9】もう1つの実施態様による同軸の内側導体を示す断面図であり、この場合、内側導体は絶縁コーティングを有し、外側導体は、さらに部分抵抗材料のコーティングを含む。
【図10】高電圧ケーブルのもう1つの実施態様を大まかに示す断面図であり、この場合、図3と同じ2つのほぼ円筒状の離間配置された内側導体を含み、導体の周囲に抵抗/部分導電コーティングまたは複合材料を有するが、内側導体の一方の上に絶縁コーティングが存在する。
【図11】多少修正された実施態様におけるクラッドガラスで絶縁されたワイヤから形成された高電圧ケーブルを示す類似の斜視図である。
【図12】多少修正された実施態様におけるクラッドガラスで絶縁されたワイヤから形成された高電圧ケーブルを示す類似の斜視図である。
【図13】複数のポリマーおよび接着剤層を含む高電圧ケーブル構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
14 50 55 高電圧ケーブル
12 X線源
20 22 35 36 内側導体
24 抵抗誘電体
26 外側導体
30 抵抗/部分誘電領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の陰極および陽極用の高電圧電位を搬送するための縮小型X線源用高電圧ケーブルであって、
前記ケーブルが、約4mm以下の外径を有し、
前記ケーブルが2つの内側導体および1つの外側導体を有し、約10kVを超える電圧を内側導体と外側導体との間に搬送し、
前記内側導体が互いに電気的に隔離され、低差電圧陰極フィラメントヒータ電流も搬送し、
内側導体を外側導体から絶縁する誘電材料を含み、
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約8倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である高電圧ケーブル。
【請求項2】
ケーブルの外径が最小で約1mmである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項3】
ケーブルの外径が最小で約0.5mmである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項4】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約20kVである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項5】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約40kVである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項6】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約50kVである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項7】
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約5倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項8】
ケーブルの外径が約3mmであり、ケーブルは、最小で約20mmの曲率半径を有する湾曲部を通過するのに十分に可撓性である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項9】
誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項10】
内側導体が、内側導体の間に含まれる誘電材料によって離間配置されて取り囲まれる、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項11】
前記誘電体がポリマー材料である、請求項10に記載の高電圧ケーブル。
【請求項12】
2つの内側導体の一方が絶縁コーティングで被覆され、2つの導体は本質的に接触しているが、絶縁コーティングによって分離されており、導体の断面がほぼ円形である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項13】
前記絶縁コーティングがガラスを含み、誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項12に記載の高電圧ケーブル。
【請求項14】
前記ガラス誘電体が、2つの内側導体と接触するように引き抜かれている、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項15】
ガラス誘電絶縁体がガラス管を含み、2つの導体がガラス管の内径内に存在し、内部に誘電詰め込み材料がパックされる、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項16】
ガラス誘電材料内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項17】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて、導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項18】
2つの内側導体の一方が絶縁コーティングで被覆され、2つの導体が本質的に接触しているが、絶縁コーティングによって分離され、内側導体がほぼD形で互いに密接に並置されており、2つの内側導体に実質的に円形の外面を与えて、ケーブルの絶縁強度を改善する、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項19】
D形内側導体の一方が絶縁コーティングで予め被覆され、内側導体が互いに非常に近接しており、本質的に接触している、請求項18に記載の高電圧ケーブル。
【請求項20】
ガラス誘電材料内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項18に記載の高電圧ケーブル。
【請求項21】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項18に記載の高電圧ケーブル。
【請求項22】
2つの内側導体の各々が、扁平なほぼ長円形または楕円形であり、2つの導体の一方が、絶縁コーティングで予め被覆されている、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項23】
前記絶縁コーティングがガラスを含み、前記誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項22に記載の高電圧ケーブル。
【請求項24】
ガラス誘電材料内において、内側導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項23に記載の高電圧ケーブル。
【請求項25】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項23に記載の高電圧ケーブル。
【請求項26】
2つの内側導体が同軸である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項27】
誘電材料がポリマーを含む、請求項26に記載の高電圧ケーブル。
【請求項28】
誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項26に記載の高電圧ケーブル。
【請求項29】
ガラス誘電材料内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項28に記載の高電圧ケーブル。
【請求項30】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項28に記載の高電圧ケーブル。
【請求項31】
誘電材料が内側導体と同時に押し出される、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項32】
2つの内側導体の少なくとも一方が、絶縁コーティングで予め被覆され、2つの内側導体が互いに密接に入れ子状になっており、内側導体が、導体上にPFA材料を押し出すことによって、PFAポリマーと同時に押し出され、その結果、閉じ込められた残留空気が本質的に導体とPFA材料との間に残らず、PFA材料が誘電材料または絶縁体として作用し、前記外側導体が接地端子であり、PFA絶縁体の外面の殆どを覆う編組されたか、または巻かれた一連の導電ワイヤを含み、接地端子導体を覆う保護ジャケットを備える、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項33】
接地端子導体が、PFA絶縁体の外面周囲の2つの対向方向に螺旋状に巻かれたワイヤを含む、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項34】
高電圧ケーブルの保護外側ジャケットがFEPまたはウレタン材料を含む、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項35】
高電圧ケーブルの保護外側ジャケットがTEFLONクラスの材料を含む、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項36】
保護ジャケットを含むケーブルの外径が約3.2mmである、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項37】
誘電体がポリマー材料であり、ポリマー誘電体内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域を含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項38】
内側導体を外側導体から絶縁する誘電材料が、内側導体を囲む一連のポリマー材料層であって、熱収縮材料層を交互に含む層から成る、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項39】
前記熱収縮材料がTEFLONグレードの熱収縮材料を含む、請求項36に記載の高電圧ケーブル。
【請求項40】
少なくとも4つの接着剤層および4つの熱収縮材料層を含む、請求項36に記載の高電圧ケーブル。
【請求項41】
電源の陰極用高電圧電位を搬送し、さらに低差電圧陰極加熱電流を搬送するための縮小型X線源用の高電圧ケーブルであって、
ケーブルの外径が約3mm以下であり、
ケーブルが2つの内側導体および1つの外側導体を有し、内側導体と外側導体との間で約40kVを超える電圧を搬送し、
内側導体が、互いに電気的に隔離され、低差電圧陰極フィラメントヒータ電流も搬送し、
誘電材料が、内側導体を外側導体から隔離して、アーク放電および破壊を防止し、誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含み、
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約10倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である高電圧ケーブル。
【請求項42】
前記外径が最小で約1mmである、請求項41に記載の高電圧ケーブル。
【請求項43】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約50kVである、請求項41に記載の高電圧ケーブル。
【請求項44】
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約5倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である、請求項41に記載の高電圧ケーブル。
【請求項45】
ケーブルの前記外形が最小で約1mmである、請求項44に記載の高電圧ケーブル。
【請求項1】
電源の陰極および陽極用の高電圧電位を搬送するための縮小型X線源用高電圧ケーブルであって、
前記ケーブルが、約4mm以下の外径を有し、
前記ケーブルが2つの内側導体および1つの外側導体を有し、約10kVを超える電圧を内側導体と外側導体との間に搬送し、
前記内側導体が互いに電気的に隔離され、低差電圧陰極フィラメントヒータ電流も搬送し、
内側導体を外側導体から絶縁する誘電材料を含み、
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約8倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である高電圧ケーブル。
【請求項2】
ケーブルの外径が最小で約1mmである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項3】
ケーブルの外径が最小で約0.5mmである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項4】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約20kVである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項5】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約40kVである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項6】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約50kVである、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項7】
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約5倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項8】
ケーブルの外径が約3mmであり、ケーブルは、最小で約20mmの曲率半径を有する湾曲部を通過するのに十分に可撓性である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項9】
誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項10】
内側導体が、内側導体の間に含まれる誘電材料によって離間配置されて取り囲まれる、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項11】
前記誘電体がポリマー材料である、請求項10に記載の高電圧ケーブル。
【請求項12】
2つの内側導体の一方が絶縁コーティングで被覆され、2つの導体は本質的に接触しているが、絶縁コーティングによって分離されており、導体の断面がほぼ円形である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項13】
前記絶縁コーティングがガラスを含み、誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項12に記載の高電圧ケーブル。
【請求項14】
前記ガラス誘電体が、2つの内側導体と接触するように引き抜かれている、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項15】
ガラス誘電絶縁体がガラス管を含み、2つの導体がガラス管の内径内に存在し、内部に誘電詰め込み材料がパックされる、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項16】
ガラス誘電材料内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項17】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて、導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項13に記載の高電圧ケーブル。
【請求項18】
2つの内側導体の一方が絶縁コーティングで被覆され、2つの導体が本質的に接触しているが、絶縁コーティングによって分離され、内側導体がほぼD形で互いに密接に並置されており、2つの内側導体に実質的に円形の外面を与えて、ケーブルの絶縁強度を改善する、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項19】
D形内側導体の一方が絶縁コーティングで予め被覆され、内側導体が互いに非常に近接しており、本質的に接触している、請求項18に記載の高電圧ケーブル。
【請求項20】
ガラス誘電材料内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項18に記載の高電圧ケーブル。
【請求項21】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項18に記載の高電圧ケーブル。
【請求項22】
2つの内側導体の各々が、扁平なほぼ長円形または楕円形であり、2つの導体の一方が、絶縁コーティングで予め被覆されている、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項23】
前記絶縁コーティングがガラスを含み、前記誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項22に記載の高電圧ケーブル。
【請求項24】
ガラス誘電材料内において、内側導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項23に記載の高電圧ケーブル。
【請求項25】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項23に記載の高電圧ケーブル。
【請求項26】
2つの内側導体が同軸である、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項27】
誘電材料がポリマーを含む、請求項26に記載の高電圧ケーブル。
【請求項28】
誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含む、請求項26に記載の高電圧ケーブル。
【請求項29】
ガラス誘電材料内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域をさらに含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項28に記載の高電圧ケーブル。
【請求項30】
内側導体を囲む抵抗/部分導電領域をさらに備え、ガラス絶縁体内に導電性不純物を含み、前記不純物が段階的なパターンであり、半径が増加するにつれて導電性が減少し、ガラス絶縁体の外径では実質的にゼロになる、請求項28に記載の高電圧ケーブル。
【請求項31】
誘電材料が内側導体と同時に押し出される、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項32】
2つの内側導体の少なくとも一方が、絶縁コーティングで予め被覆され、2つの内側導体が互いに密接に入れ子状になっており、内側導体が、導体上にPFA材料を押し出すことによって、PFAポリマーと同時に押し出され、その結果、閉じ込められた残留空気が本質的に導体とPFA材料との間に残らず、PFA材料が誘電材料または絶縁体として作用し、前記外側導体が接地端子であり、PFA絶縁体の外面の殆どを覆う編組されたか、または巻かれた一連の導電ワイヤを含み、接地端子導体を覆う保護ジャケットを備える、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項33】
接地端子導体が、PFA絶縁体の外面周囲の2つの対向方向に螺旋状に巻かれたワイヤを含む、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項34】
高電圧ケーブルの保護外側ジャケットがFEPまたはウレタン材料を含む、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項35】
高電圧ケーブルの保護外側ジャケットがTEFLONクラスの材料を含む、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項36】
保護ジャケットを含むケーブルの外径が約3.2mmである、請求項32に記載の高電圧ケーブル。
【請求項37】
誘電体がポリマー材料であり、ポリマー誘電体内において、導体の周囲に抵抗/部分導電領域を含み、前記領域の外径における実質的に円筒状の構成が、ケーブルの誘電特性を改善する、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項38】
内側導体を外側導体から絶縁する誘電材料が、内側導体を囲む一連のポリマー材料層であって、熱収縮材料層を交互に含む層から成る、請求項1に記載の高電圧ケーブル。
【請求項39】
前記熱収縮材料がTEFLONグレードの熱収縮材料を含む、請求項36に記載の高電圧ケーブル。
【請求項40】
少なくとも4つの接着剤層および4つの熱収縮材料層を含む、請求項36に記載の高電圧ケーブル。
【請求項41】
電源の陰極用高電圧電位を搬送し、さらに低差電圧陰極加熱電流を搬送するための縮小型X線源用の高電圧ケーブルであって、
ケーブルの外径が約3mm以下であり、
ケーブルが2つの内側導体および1つの外側導体を有し、内側導体と外側導体との間で約40kVを超える電圧を搬送し、
内側導体が、互いに電気的に隔離され、低差電圧陰極フィラメントヒータ電流も搬送し、
誘電材料が、内側導体を外側導体から隔離して、アーク放電および破壊を防止し、誘電材料が、実質的に光ファイバ性の引抜きガラスを含み、
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約10倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である高電圧ケーブル。
【請求項42】
前記外径が最小で約1mmである、請求項41に記載の高電圧ケーブル。
【請求項43】
ケーブルで搬送される電圧が少なくとも約50kVである、請求項41に記載の高電圧ケーブル。
【請求項44】
導体および誘電材料に十分な可撓性があり、その結果、ケーブルは、ケーブルの外径の最小で約5倍の曲率半径を有する湾曲部を通過することが可能である、請求項41に記載の高電圧ケーブル。
【請求項45】
ケーブルの前記外形が最小で約1mmである、請求項44に記載の高電圧ケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−516396(P2008−516396A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535720(P2007−535720)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035303
【国際公開番号】WO2006/044169
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507103640)ゾフト インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035303
【国際公開番号】WO2006/044169
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507103640)ゾフト インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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