説明

縮小投影露光装置用レチクル

【目的】 アライメントマークをずれを生じさせたり、つぶしたりすることなくウェハーに露光し、合わせ精度を高める。
【構成】 縮小投影露光装置用レチクルの、本体チップ領域1周辺のスクライブライン領域3に配置するアライメントマーク4に、保護パターン10,11を配置することによって本体チップ領域1周辺のスクライブライン領域3にアライメントマーク4を配置可能にしたことと、保護パターン10,11を設けたことによって露光時にアライメントマークのつぶれがなくなり、縮小投影露光装置用レチクルの設計のスループットの向上、合わせ精度の向上になり良品収量の向上を実現できた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウェハーにレジスト等を用いてLSIパターンを形成する工程において、露光時の縮小投影露光装置用レチクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の集積度は飛躍的に高まり、ウェハー上に微細パターン形成にはステッパーと呼ばれる縮小投影露光装置を用いてパターンを形成することが主流となっている。
【0003】特に最近チップ自体の面積が増大し、レチクル上のチップ総数が減少の傾向にある為にスクライブライン部分の面積も減少の傾向にある。その上でアライメントマークは、アライメントマークの配置規則を守りつつ、隣接チップで露光の影響がない場所に配置する必要がある。このアライメントマークの配置場所によって良品収量の関係が強く、深刻な問題となっている。
【0004】以下、従来の縮小投影露光装置用レチクルについて図面を参照しながら説明する。
【0005】図4および図5は従来の縮小投影露光装置用レチクルの構成を示す平面図である。図4に示す従来の縮小投影露光装置用レチクルは、9チップ構成の例であり、図5に示す縮小投影露光装置用レチクルは、4チップ構成の例である。従来の縮小投影露光装置用レチクルは、本体チップ領域1、PCM領域2、スクライブライン領域3およびアライメントマーク4とにより構成されている。なおPCM領域2のPCMとはProcess Control Monitorの略語である。
【0006】以上のように構成された従来の縮小投影露光装置用レチクルを用いて、ステッパー等により露光してパターンを形成していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来の構成では以下のような課題を有していた。上記図4に示すようにチップ数が9つの場合はスクライブライン領域3も多く存在するため、アライメントマーク4の配置規則および隣接チップでの露光の影響を考慮にいれても容易にアライメントマーク4の配置が行なえる。しかし近年は本体チップサイズの増大や各種アライメントマークの配置数の増加によってアライメントマークの配置場所が減少してきており、特に本体チップ領域内の本体チップが小数、例えば4つの場合には課題があった。
【0008】以下、図面を参照しながら説明する。図6は図5に示す従来の縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光した時のウェハー上のパターン状態を示す平面図である。ウェハー5上には1ショット分の露光領域6とPCM領域7が形成されている。
【0009】図7は図6に示すウェハー上のアライメントマーク部分を拡大した平面図である。
【0010】図5に示す縮小投影露光装置用レチクルのようにレチクル上に本体チップ領域1が小数、4つの場合はレチクル上でアライメントマーク4を本体チップ領域1周辺のスクライブライン領域3上に配置し、図6に示すようにウェハー5に露光した場合、図7に示すアライメントマーク部分の拡大図のようにウェハー5上のスクライブライン8上に形成されたアライメントマーク9がズレてつぶれてしまう。また隣接するショットによるアライメントマーク9のつぶれによる合わせ不能や、シフトショットによるアライメントマーク9のつぶれによる合わせ不能により良品収量に影響するという課題を有していた。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するもので、縮小投影露光装置用レチクルの本体チップ領域周辺のスクライブライン上にもアライメントマークの配置を可能にするとともに、縮小投影露光装置用レチクルの設計のスループットの向上、良品収量の向上を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明の縮小投影露光装置用レチクルは、以下のような構成を有している。すなわち、レチクル内に少なくとも1つの本体チップ領域と、PCM領域と、前記本体チップ領域間にスクライブライン領域とを備え、前記スクライブライン領域にアライメントマークと、前記アライメントマークに対してY軸に対称の位置に配置した第1の保護パターンと、前記PCM領域によるシフトショット分移動した位置に配置した第2の保護パターンとよりなることを特徴とする。
【0013】
【作用】上記構成により、保護パターンを本体チップ領域周辺のスクライブライン上に配置されているアライメントマークに対して、X軸及びY軸に対称の位置に配置する。また、アライメントマーク配置位置からY軸にPCMによるシフトショット分の位置に配置することによって、縮小投影露光装置用レチクルの本体チップ領域に周辺上にアライメントマークを配置することが可能となり、合わせが可能になり、パターンがズレてつぶれることがなくなる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施例における縮小投影露光装置用レチクルを示す平面図である。
【0016】図1に示す縮小投影露光装置用レチクルは、レチクル上に配置している本体チップ領域1(4チップ)と、PCM領域2、スクライブライン領域3と、アライメントマーク4と、前記アライメントマーク4に対してY軸に対称の第1の保護パターン10およびPCMによるシフトショット分移動した第2の保護パターン11により構成されている。
【0017】まず、アライメントマーク4の配置場所を配置規則に従って配置する。配置された位置が本体チップ領域の周辺上であれば、X軸、Y軸にそれぞれの対称位置に第1の保護パターン10(アライメントマークと保護パターンを重ねて露光して一つのアライメントマークになるパターン)を配置する。
【0018】次に、PCM領域2をショット(1露光)することによって本体チップ領域1のシフトが本体チップ領域1のショットサイズと異なる場合には、アライメントマーク4からシフトショット分移動した場所へ第2の保護パターン11を配置をする。
【0019】以上のようにアライメントマーク4と保護パターン10,11を配置した縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光した場合について説明する。
【0020】図2は図1に示す縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光したときのウェハーの状態を示す平面図である。ウェハー5上には1ショット分の露光領域6とPCM領域7が形成されている。図3は図2に示すウェハー上のアライメントマーク部分を拡大した平面図である。
【0021】図1に示すようなレチクルを用いてウェハー5上に露光すると、図3に示すように、ウェハー5上のスクライブライン8上にアライメントマーク12をつぶさず露光して形成することができる。
【0022】以上のように本実施例によれば、アライメントマーク4の保護パターンとして第1の保護パターン10および第2の保護パターン11を配置することにより、本体チップ領域1周辺のスクライブライン領域3上にもアライメントマーク4を配置でき、なおかつウェハー5上にアライメントマークを形成した場合、アライメントマーク12がつぶれることがなくなる。
【0023】以上のように本体チップ領域周辺上のスクライブライン上もアライメントマークの配置が可能となり、縮小投影露光装置用レチクルの設計のスループットの向上および合わせ精度の向上になり良品収量の向上になる。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明はアライメントマークの保護パターンを配置することによって本体チップ領域の周辺スクライブライン上にもアライメントマークをレチクル上に配置することが可能になり、縮小投影露光装置用レチクルの設計のスループットの向上、合わせ精度の向上になり良品収量の向上が可能な優れた縮小投影露光装置用レチクルを実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る縮小投影露光装置用レチクルの構成を示す平面図
【図2】本発明の一実施例に係る縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光した時のウェハー平面図
【図3】本発明の一実施例に係る縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光した時のウェハー上のアライメントマーク部分を拡大した平面図
【図4】従来の縮小投影露光装置用レチクルの構成(9チップ構成)を示す平面図
【図5】従来の縮小投影露光装置用レチクルの構成(4チップ構成)を示す平面図
【図6】従来の縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光した時のウェハー平面図
【図7】従来の縮小投影露光装置用レチクルを用いて露光した時のウェハー上のアライメントマーク部分を拡大した平面図
【符号の説明】
1 本体チップ領域
2 PCM領域
3 スクライブライン領域
4 アライメントマーク
5 ウェハー
6 1ショット分の露光領域
7 ウェハー上のPCM領域
8 ウェハー上のスクライブライン
9 アライメントマーク
10 第1の保護パターン
11 第2の保護パターン
12 アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】レチクル内に少なくとも1つの本体チップ領域と、PCM領域と、前記本体チップ領域間にスクライブライン領域とを備え、前記スクライブライン領域にアライメントマークと、前記アライメントマークに対してY軸に対称の位置に配置した第1の保護パターンと、前記PCM領域によるシフトショット分移動した位置に配置した第2の保護パターンとよりなることを特徴とする縮小投影露光装置用レチクル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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