説明

繊維処理剤

【課題】 べたつきの無いしっとり感をもたらし、かつ使用後のサラサラ感、および皮膚へのなじみの良さを付与する繊維処理剤、また該処理剤により処理されてなる紙または繊維、およびシート状物の提供を課題とする。
【解決手段】 分子内にアシル基と親水基とを2個以上ずつ有するアシル化合物の1種以上と、ポリヒドロキシル化合物の1種以上とを含有する繊維処理剤。また、該繊維処理剤により処理された紙、繊維、またはシート状物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパーや紙おむつ等の紙、繊維、シート状物等に適用することで、肌にしっとり感や柔軟感等の良好な感触をもたらすことができる繊維処理剤、およびそれを用いた紙等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙製品、例えばティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙タオル、紙おむつ、ペーパーナプキン、生理用紙等の柔軟剤として下記のような多くの化合物を含有する柔軟剤が開示されている。これらの柔軟剤は、主として皮膚に適用した場合に、より良い感触を得ることできるようにすることを目的とするものである。
【0003】
例えば、特許文献1では、グリセリン等のポリヒドロキシル化合物を保湿剤として添加した保湿性紙が開示されている。しかしながら、このような保湿剤としてポリヒドロキシル化合物のみを使用した場合には、保湿剤を原紙に対し10質量%以上も添加しなければ十分な効果が得られないため、感触として使用時にべたつき感がある、という問題点があった。
【0004】
近年、このような加工紙の使用として皮膚への適用が増加しており、べたつきの無いしっとり感を有し、かつ使用後のサラサラ感、および皮膚へのなじみの良さを有するといった製品への要望は、さらに高まってきている。
【特許文献1】特開平9−154764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、べたつきの無いしっとり感をもたらし、かつ使用後のサラサラ感、および皮膚へのなじみの良さを付与する繊維処理剤、およびそのような感触をもたらす紙または繊維、またはシート状物の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物、即ち、分子内にアシル基と親水基とを2個以上ずつ有する化合物(アシル化合物)の1種以上を含有する処理剤により紙または繊維、またはそれらからなるシート状物を処理することで、べたつきの無いしっとり感を有し、かつ使用後のサラサラ感、および皮膚へのなじみの良さが顕著に向上できることを見出し本発明に至った。即ち本発明は、下記の通りである。
1.下記の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする繊維処理剤。
成分(A):分子内にアシル基と親水基とを2個以上ずつ有するアシル化合物の1種以上
成分(B):ポリヒドロキシル化合物の1種以上
2.アシル化合物が、下記一般式(1)に示すアシル化合物であることを特徴とする前記1.に記載の繊維処理剤。
【0007】
【化1】

(一般式(1)において、Xはm個の官能基、およびそれ以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xに結合しているn(m≧n)個のQは、下記一般式(2)で表される置換基で、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、一般式(2)において、ZはXの有する官能基に由来する結合部であり、R1COは炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を示し、R2は水素であるか、またはヒドロキシル基若しくはカルボキシル基が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、j、kはそれぞれ独立に0,1,2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す)
【0008】
【化2】

3.さらに、成分(C)油性成分を含有することを特徴とする前記の1.または2.のいずれかに記載の繊維処理剤。
4.前記の1.〜3.のいずれかに記載の繊維処理剤を含有することを特徴とする紙。
5.前記の1.〜3.のいずれかに記載の繊維処理剤を含有することを特徴とする繊維。
6.前記の4.に記載の紙または前記の5.に記載の繊維からなるシート状物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の繊維処理剤は、紙、繊維またはシート状物などに用いた場合に、べたつきの無いしっとり感をもたらし、かつ使用後のサラサラ感、および皮膚へのなじみの良さを与する性能に極めて優れる、という効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、具体的に説明する。
【0011】
本発明の繊維処理剤において、処理剤に含有される成分(A)のアシル化合物とは、構造的には分子内に少なくともアシル基と親水基とを2個以上ずつ有する構造の化合物である。
【0012】
アシル化合物の2個以上のアシル基は、それぞれ独立して異なっていても同一でもよい。それぞれのアシル基は、炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものであれば特に制限されず、直鎖、分岐、環状を問わない。ただし、カルボキシル基となっているものを含まない。
【0013】
アシル基としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸のような直鎖脂肪酸;
【0014】
2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、ジメチルオクタン酸、ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、メチルウンデカン酸、ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、メチルドコサン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、メチルトリデカン酸、ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、2−(3−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、2−(2−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、ブチルエチルノナン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ジメチルテトラデカン酸、ブチルペンチルヘプタン酸、トリメチルトリデカン酸、メチルヘキサデカン酸、エチルペンタデカン酸、プロピルテトラデカン酸、ブチルトリデカン酸、ペンチルドデカン酸、ヘキシルウンデカン酸、ヘプチルデカン酸、メチルヘプチルノナン酸、ジペンチルヘプタン酸、メチルヘプタデカン酸、エチルヘキサデカン酸、エチルヘキサデカン酸、プロピルペンタデカン酸、ブチルテトラデカン酸、ペンチルトリデカン酸、ヘキシルドデカン酸、ヘプチルウンデカン酸、オクチルデカン酸、ジメチルヘキサデカン酸、メチルオクチルノナン酸、メチルオクタデカン酸、エチルヘプタデカン酸、ジメチルヘプタデカン酸、メチルオクチルデカン酸、メチルノナデカン酸、メチルノナデカン酸、ジメチルオクタデカン酸、ブチルヘプチルノナン酸のような分岐脂肪酸;
【0015】
オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸、トリデセン酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキセデセン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、オレイン酸、ノナデセン酸、ゴンドイン酸のような直鎖モノエン酸;
【0016】
メチルヘプテン酸、メチルノネン酸、メチルウンデセン酸、ジメチルデセン酸、メチルドデセン酸、メチルトリデセン酸、ジメチルドデセン酸、ジメチルトリデセン酸、メチルオクタデセン酸、ジメチルヘプタデセン酸、エチルオクタデセン酸のような分岐モノエン酸;
【0017】
リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、パリナリン酸、アラキドン酸のようなジまたはトリエン酸;
【0018】
オクチン酸、ノニン酸、デシン酸、ウンデシン酸、ドデシン酸、トリデシン酸、テトラデシン酸、ペンタデシン酸、ヘプタデシン酸、オクタデシン酸、ノナデシン酸、ジメチルオクタデシン酸のようなアセチレン酸;
【0019】
メチレンオクタデセン酸、メチレンオクタデカン酸、アレプロール酸、アレプレスチン酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ヒドノカルプン酸、ショールムーグリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸のような環状酸;
から誘導されるものがあげられる。
【0020】
また、アシル基は、天然油脂から得られる脂肪酸由来のアシル基でも良く、上記の炭素原子数2〜20の飽和または不飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸由来のアシル基が好ましい。例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸、菜種油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基等が挙げられる。これらのアシル基を有するアシル化合物は2種以上組み合わせて用いても良い。
【0021】
成分(A)のアシル化合物が有する2個以上の親水基は、それぞれ独立に異なっていても同一でも良い。親水基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸残基、リン酸残基若しくはそれらの塩等、又はオキシアルキレン基、ポリエチレングリコール基等、又はアミノ基、4級アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウム基若しくはそれらの塩等が挙げられる。親水基は、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩であることが好ましい。
【0022】
アシル化合物に含まれるアシル基または親水基の数は、それぞれ2個以上60個以下であることが好ましく、2個以上40個以下であることがより好ましい。さらには2個以上20個以下であることが特に好ましい。
【0023】
親水基の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられ、具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛等の金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等から任意に選ばれる1種または2種以上との塩が好ましい。これらの中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が特に好ましい。
【0024】
繊維処理剤に含有されるアシル化合物は、その少なくとも1種が一般式(1)および(2)で示されるアシル化合物であることが好ましい。
【0025】
ここでいうアシル化合物は、構造的には一般式(1)および(2)に示すように分子内に少なくとも1個以上のアシル基と親水基とをそれぞれ有する化合物を、適当なスペーサーで連結した構造のものである。
【0026】
一般式(2)中、R1COで示されるアシル基は独立して、すなわち、それぞれ異なっても同一でもよく、上記したように炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものが好ましく、直鎖、分岐、環状を問わない。
【0027】
一般式(2)中、R1COで示されるアシル基は、より好ましくは炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものがよい。
【0028】
一般式(2)中、R2は水素であるか、または、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基若しくはそれらの塩等が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基であり、低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ(イソ)プロピル基、ジヒドロキシ(イソ)プロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)中、Xに結合したn個の置換基Q(式(2))は、それぞれ互いに、異なっても同一でもよい。また、式(2)は、いわゆる酸性アミノ酸がN−アシル化されたものを示すものであり、それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0030】
酸性アミノ酸は、分子中に存在するカルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個のモノアミノジカルボン酸であり、アミノ基はN−メチル基またはN−エチル基でもかまわない。また光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。酸性アミノ酸としては、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸等が挙げられる。
【0031】
Xに付くn個の置換基(式(2))は、酸性アミノ酸がL−酸性アミノ酸分子である場合が、生分解性に優れることから好ましい。
【0032】
一般式(2)中、Zは、Xに置換したm個(m≧n、かつ、2〜20の整数)の官能基(ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基)に由来する結合部(−O−、−NR3−、−S−)である。ここで、R3は水素、または炭素原子数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基若しくはアリール基若しくはアルキルアリール基である。
【0033】
一般式(1)中、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上からなるm個の官能基を有する分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xは、前記ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基を有していてもよい。
【0034】
一般式(1)中、Xは好ましくはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上の官能基をm個有する分子量100万以下のm価の化合物の残基であって、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基を有していてもよい化合物残基である。ここで、m価の上記化合物は、m個の官能基に由来する結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0035】
このようなm価の化合物としては、例えば、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、シスチンジスルホキシド、シスタチオニン、メチオニン、アルギニン、リジン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、オキシプロリン等のアミノ酸類;
【0036】
アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノプロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルアミノエタノール、アミノクレゾール、アミノナフトール、アミノナフトールスルホン酸、アミノヒドロキシ安息香酸、アミノヒドロキシブタン酸、アミノフェノール、アミノフェネチルアルコール、グルコサミン等の分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物類;
【0037】
メルカプトエタノール、メルカプトフェノール、メルカプトプロパンジオール、グルコチオース等の分子内にチオール基とヒドロキシル基を有する化合物類;
【0038】
アミノチオフェノール、アミノトリアゾールチオール等の分子内にチオール基とアミノ基を有する化合物類;
が挙げられる。また、タンパク質やペプチド等、またはそれらを加水分解したもの等でも良い。
【0039】
また、一般式(1)中、Xは好ましくはヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価(m≧n)のポリヒドロキシル化合物残基である。ここで、m価のポリヒドロキシル化合物は、m個のエステル結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0040】
このようなm価のポリヒドロキシル化合物としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ダイマージオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、メバロン酸、3,4−ジヒドロキシけい皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン等およびこれらの各異性体等の2価ヒドロキシル化合物;
【0041】
グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシステアリン酸等の3価ポリヒドロキシル化合物;
【0042】
ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価ポリヒドロキシル化合物;
【0043】
アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価ポリヒドロキシル化合物;
【0044】
ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価ポリヒドロキシル化合物;
またはこれらの脱水縮合物、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0045】
また、糖類、例えばエリスロース、スレオース、エリスルロース等のテトロース;
【0046】
リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、キシルロース、リブロース等のペントース;アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギューロース、イドース、ガラクトース、タロース、フラクトース、ソルボース、プシコース、タガトース等のヘキソース等の単糖類;
【0047】
マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラクトース、ツラノース、トレハロース、サッカロース、マンニトリオース、セロトリオース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース、セロテトロース、スタキオース等のオリゴ糖類;が挙げられる。
【0048】
また、その他の糖類、例えばヘプトース、デオキシ糖、アミノ糖、チオ糖、セレノ糖、アルドン糖、ウロン酸、糖酸、ケトアルドン酸、アンヒドロ糖、不飽和糖、糖エステル、糖エーテル、グリコシド等の残基でもよく、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類またはそれらを加水分解したものでもよい。
【0049】
また、一般式(1)中、Xは好ましくはアミノ基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価のポリアミノ化合物残基である。ここで、m価のポリアミノ化合物は、m個の酸アミド結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0050】
このようなm価のポリアミノ化合物としては、例えばN,N’−ジメチルヒドラジン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジアミノアジピン酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸およびこれらの各異性体等の脂肪族ジアミン類;
【0051】
ジエチレントリアミン、トリアミノヘキサン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチル−オクタン、2,6−ジアミノカプリン酸−2−アミノエチルエステル、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、ジ(アミノエチル)アミンおよびこれらの各異性体等の脂肪族トリアミン類;
【0052】
ジアミノシクロブタン、ジアミノシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、トリアミノシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン類;
【0053】
ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノ安息香酸、ジアミノアントラキノン、ジアミノベンゼンスルホン酸、ジアミノ安息香酸、およびこれらの各異性体等の芳香族ポリアミン類;
【0054】
ジアミノキシレン、ジ(アミノメチル)ベンゼン、ジ(アミノメチル)ピリジン、ジ(アミノメチル)ナフタレン、およびこれらの各異性体等の芳香脂肪族ポリアミン類;
【0055】
ジアミノヒドロキシプロパンおよびこれらの各異性体等のヒドロキシル基が置換したポリアミン類等が挙げられる。
【0056】
また、一般式(1)中、Xは好ましくはチオール基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価のポリチオール化合物残基である。ここで、m価のポリチオール化合物は、m個のチオエステル結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体、例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0057】
このようなm価のポリチオール化合物としては、例えば、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール等のジチオール化合物類等が挙げられる。
【0058】
Xは上に挙げた化合物の残基の中でも、炭素数1〜40の場合が好ましい、さらに好ましくはXは炭素数1〜20である。また、Xは天然に存在する型である場合の方が、生分解性に優れるという点で好ましい。
【0059】
一般式(2)中、Yで示されるカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基およびX中に含まれうるカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等は、種々の塩基性物質との間に塩を形成し得る。
【0060】
かかる塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩、多価金属塩等が挙げられ、具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、チタン、ジルコニウム等の金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等から任意に選ばれる1種または2種以上との塩である。
このような一般式(1)および(2)で示されるアシル化合物の製造方法としては、一般式(3)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物と分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上のm個の官能基を有する化合物とを、水および/または水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させることによって、またはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、アセトン等の不活性溶媒を使用して、あるいは無溶媒で−5℃〜200℃でいずれかの融点以上の温度で混合して反応することで得ることができる。
【0061】
【化3】

【0062】
または一般式(1)および(2)で示されるアシル化合物は、N−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)とポリヒドロキシル化合物またはポリアミノ化合物またはポリチオール化合物、または分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基のうちいずれか2種または3種を有する化合物とをジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中に溶解し、炭酸カリウム等の触媒を加え、減圧下に−5℃〜250℃で加熱反応させた後反応溶媒を除去することで得ることができる。あるいは、無溶媒で加熱溶融し、水酸化ナトリウム等の触媒を加えて室温〜250℃でエステル交換反応させてアシル化合物を得ることができる。
【0063】
繊維処理剤の成分(B)のポリヒドロキシル化合物は、分子内に多数のヒドロキシル基を有する化合物であれば良く、特に制限されない。例えば、すでに上記したようなポリヒドロキシル化合物を用いることができる。
【0064】
繊維処理剤における成分(A)と成分(B)の含有量としては、好ましくは、成分(A)を繊維処理剤に対して0.001〜99.99質量%含有し、成分(A)に対する成分(B)の質量比を100/1〜1/100とするのがよい。成分(A)と(B)との量比がこの範囲内で、繊維処理剤を紙等に用いた場合に、良好なしっとり感とさらさら感が両立しうるようになる。
【0065】
繊維処理剤には、さらに成分(C)油性成分を含有することが好ましい。油性成分を含有することで、紙等の皮膚等へのなじみをさらに良くすることができる。油性成分としては、通常、潤滑油として用いられるものが特に制限無く使用でき、常温(25℃)で液体、固体のいずれでも良い。油性成分としては、例えば、アボガド油、タートル油、トウモロコシ油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、パーシック油、ひまし油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、トリイソオクタン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルコレステロール脂肪酸エステル、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、月見草油、エノ油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギル油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、馬油、硬化やし油、牛脂、牛脚脂、羊脂、硬化牛脂、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ひまし油等の油脂、;
【0066】
流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、スクワラン等の炭化水素;
【0067】
ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カボックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングルコール、ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテルおよびその誘導体等のロウ;
【0068】
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸;
【0069】
ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;
【0070】
コレステロール、フィトステロール等のステロール類;
【0071】
ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアレン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプロピル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セパチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバチル酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等のエステル油;
【0072】
金属石鹸、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、揮発性シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン類等の揮発性および不揮発性の油分;が挙げられる。
【0073】
繊維処理剤における成分(C)油性成分の含有量は、成分(A)に対する成分(C)の質量比を500/1〜1/500とし、成分(B)に対する成分(C)の質量比を100/1〜1/100とするのがよい。成分(C)の量比がこの範囲内で、べたつき感がより少なくなり、繊維処理剤の効果がより向上する。
【0074】
繊維処理剤は、固体状、粉末状、粒状、液体状またはスラリー状であってもかまわなく、例えば水溶液、水分散スラリー、有機溶媒等への分散液または溶解液等の状態でもかまわない。特に、アシル化合物はポリヒドロキシル化合物と油性成分とから成る組成でゲル状態を形成し、該ゲル状組成物は水への分散性に極めて優れるという特徴を有する。この特性を利用すると、油性成分を含有するゲル状組成物を形成した後、これを水へ分散させた分散液として、その後の繊維処理へ用いることができる。または、ゲル状組成物をそのまま繊維処理剤として用い、これを繊維等に塗布した後、水で洗浄して過剰な量を除去する、等の処理もすることもできる。
【0075】
また、繊維処理剤には、本発明の目的が損なわれない限り、用途、目的に応じて、その他の成分、例えば、界面活性剤、4級アンモニウム塩やシリコーン系柔軟剤、または、当該分野で用いられる各種の基材を任意に加えることができる。
【0076】
具体的には、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;
リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子;
ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩若しくはリン酸塩などの陰イオン性高分子;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子等の分散剤;
石鹸等の、疎水基部の炭素数8〜20の高級脂肪酸塩;
【0077】
N−アシルアミノ酸型アニオン界面活性剤(アシル基としては、炭素数8〜20のもので前記したようなものが挙げられ、構成アミノ酸としては、グルタミン酸やアスパラギン酸等の前記した酸性アミノ酸類、またはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、システイン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、オキシプロリン、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、等のアミノ酸等が挙げられる);
【0078】
アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩等、アルキル硫酸エステル塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、アルファ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩(SAS)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルファースルホン化脂肪酸塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、アルファースルホン化脂肪酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ナフタリンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物などのアニオン性界面活性剤;
【0079】
アルキルベタイン類、アルキルアミドベタイン類、アルキルスルホベタイン類、イミダゾリニウムベタイン類、レシチン類などの両性界面活性剤;
【0080】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、等の酸化エチレン縮合型、
【0081】
多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、アルキルポリグルコシド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ等脂肪酸エステル等の多価アルコールエステル、脂肪酸アルカノールアミド、糖アミンアシル化物、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアミンオキサイド、などのノニオン性界面活性剤;
【0082】
第1〜第3級脂肪アミン塩、塩化アルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、ジアルキルモルフォリニウム塩、アルキルイソキノリウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩などのカチオン性界面活性剤;
アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントゴムなどの高分子界面活性剤;
リン脂質、レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニンなどの天然界面活性剤;
グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコールなどのポリオール類;
N−メチルグリシン、N,N−ジメチルグリシン、N,N,N−トリメチルグリシン、N−エチルグリシン、グリシルベタイン等のアルキルグリシン類;
【0083】
ソルビトール、ラフィノース、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類、セラミド類、トレハロース、キシロビオース、マルトース、ショ糖、ブドウ糖、植物性粘質多糖等の(多)糖類およびその誘導体;
水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コンドロイチン硫酸およびその塩等のグリコサミノグリカンおよびその塩;
グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、グルタミン、プロリン酸等のアミノ酸およびその塩等;
アミノカルボニル反応物等の糖アミノ酸化合物;
アロエ、マロニエ等の植物抽出液;
尿素、尿酸、アンモニア、グルコサミン、クレアチニン、DNA、RNA等の核酸関連物質などの保湿剤;
【0084】
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、シリコーンレジン等の水溶性又は油溶性高分子;
【0085】
カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、ポリグリコール/アミン縮合物、4級化コラーゲンポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、ポリアミノポリアミド、カチオン性キチン誘導体、4級化ポリマー等のカチオン性高分子;
【0086】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド、テトラデセンスルホン酸塩等の増粘、増泡成分;
【0087】
デキストリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、 ヒドロキシステアリン酸等の油ゲル化剤;
【0088】
エチレンジアミン四酢酸およびその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸およびその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩、ヒノキチール類などの金属イオン封鎖剤;
【0089】
パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸およびその塩類、フェノキシエタノール、ヒノキチール、サリチル酸およびその塩類、ソルビン酸およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、ホウ酸、レゾルシン、トリブロムサラン、オルトフェニルフェノール、チラム、感光素201号、ハロカルバン、トリクロロカルバニド、酢酸トコフェロール、ジンクピリチオン、フェノール、イソプロピルメチルフェノール、2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシフェノール、ヘキサクロロフェン、クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、トリクロサン、ビオゾール等の防腐・抗菌剤;
【0090】
クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のpH調整剤;
その他トリクロロルカルバニリド、サリチル酸、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノールなどのふけ・かゆみ防止剤;
ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体その他の紫外線吸収剤;
【0091】
アスコルビン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の他、アンモニウム塩、アミノ酸塩等)、アスコルビン酸誘導体(L−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル及びその塩、L−アスコルビン酸グルコシド等)、アルコキシサリチル酸及びその塩(アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、ハイドロキノン配糖体及びその誘導体(アルブチン等)、コウジ酸及びその誘導体、エラグ酸、カミツレエキス、アルテアエキス、カンゾウエキス、ソウハクヒエキス、ラズベリーエキス、リンゴフラボノイド、フスマエキス、ビタミンEおよびその誘導体、ヒノキチオール、プラセンタエキス、ルシノール、カモミラET、グルタチオン、チョウジエキス、茶抽出物、アスタキサンチン、牛胎盤エキス、トラネキサム酸およびその誘導体、レゾルシンの誘導体、アズレン、γ―ヒドロキシ酪酸などの美白剤;
【0092】
センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、ガンマーオリザノールなどの血行促進剤;
トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなどの局所刺激剤;
各種ビタミンやアミノ酸などの栄養剤;
女性ホルモン剤;
毛根賦活剤;
グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤;
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;
メントール、カンフルなどの清涼剤;
塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸誘導体などの抗ヒスタミン剤;
高分子シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン系物質;
トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸、NDGAなどの酸化防止剤;
エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオールなどの皮脂抑制剤;
イオウ、サリチル酸、レゾルシンなどの角質剥離・溶解剤;
グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のα‐ヒドロキシ酸;
【0093】
タルク、カオリン、セリサイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化クロム、水酸化クロム、タール系色素等、マイカ、(合成)セリサイト、炭化ケイ素、窒化硼素、二酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、赤酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄、群青、チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、ベンガラ、粘結顔料、グンジョウピンク、グンジョウバイオレット、水酸化クロム、雲母チタン、酸化クロム、酸化アルミニウムコバルト、カーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ベントナイト、(合成)マイカ、酸化ジルコニウム、(メタ)ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、ポリエチレン粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート−ポリメチルメタクリレート積層末、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合粉末、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合粉末、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン、ポリメチルシルセスキオキサン粉末、植物の実や皮を粉末状にしたもの、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、カルミン、β−カロチン、クロロフィル、サンセットエローFCF、ポンソーSX、エオシンYS、テトラブロモフルオレセイン、ローダミンB、キノリンエローSS、キノリンエローWS、アリザニンシアニングリーン、キニザリングリーン、リソールビンB、リソールビンBCA、パーマトンレッド、ヘリンドンピンクCN、フタロシアニンブルー、β−アポ−8−カロチナール、カプサンチン、リロピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、シソニン、ラファニン、ニノシアニン、カルサミン、サフロールイエロー、ルチン、クエルセチン、カカオ色素、リポフラビン、ラッカイン酸、カルミン酸、ケルメス酸、アリザニン、シコニン、アルカニン、ニキノクローム、血色素、クルクミン、ベタニン、等の化粧品用色材;
【0094】
精製水、カキョクエキス、N−メチル−L−セリン、ホエイ、ニコチン酸アミド、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メバロン酸、γ−アミノ酪酸(γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸を含む)、アルテアエキス、アロエエキス、アンズ核エキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、海水乾燥物、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カロットエキス、キューカンバエキス、ゲンチアナエキス、酵母エキス、米胚芽油、コンフリーエキス、サボンソウエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シラカバエキス、セイヨウハッカエキス、センブリエキス、ビサボロ−ル、プロポリス、ヘチマエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、海草、米ヌカ、カンゾウ、チンピ、トウキ、モモノハの粉砕物、スフィンゴ脂質、グアイアズレン、ビタミンC等のその他成分;を含むことができる。
【0095】
繊維処理剤を得るには、上記のこれらの成分を適宜選択し、所定の比率で乾式または湿式で混合し、常法に従って均一になるまで攪拌したのち、適宜、必要なpH調整や乾燥処理を行えばよい。
【0096】
繊維処理剤の適用対象物としては、紙、繊維、それらからなるシート状物が挙げられる。ここで言う紙とは、繊維状物の絡み合いにより構成された平面形状または平板形状をなし、柔軟性に富むものをいう。例えば、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙タオル、紙おむつ、ペーパーナプキン、生理用紙、ちり紙、京花紙、ワイパー等が挙げられる。
【0097】
繊維としては、例えば、羊毛等の獣毛やレーヨン、綿、アクリル、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維あるいはこれらの混紡繊維自体、およびそれらの繊維によって作られる繊維が挙げられ特に限定されないが、繊維処理剤による処理の効果が大きいことから、木綿・麻、パルプ等のセルロース系繊維、レーヨン・キュプラ・ポリノジック等の再生セルロース繊維、羊毛・絹等のタンパク質繊維等のいずれかであることがより好ましい。これらの繊維の形態は任意であり、単糸や織物であっても良いし、コート、セーター、シャツ、マフラー、ショール、呉服等の衣類、各種裏地、布団、毛布、ぬいぐるみ、カーペット等の形態であっても良い。
【0098】
シート状物とは、紙や繊維にさらに各種の加工を施したシート形状のものをいい、例えば、織物、編物、不織布、フェルト、キルティング様の綿を不織布等でサンドしたもの、綿をシート状に加工したもの等を挙げることができる。
【0099】
繊維処理剤の紙等への適用量は特に限定されないが、一般的には固形分として、紙または繊維、またはそれらからなるシート状物に対して0.01〜50質量%とするのが良いが、目的や用途、素材に応じて、適用量は適宜決めることが出来る。
【0100】
繊維処理剤を紙などに適用する際の使用方法は、特に制限無く色々な方法を取ることができる。例えば、紙または繊維、またはそれらからなるシート状物の製造工程においてまたは出来上がった紙等に対して、繊維処理剤を含浸機(浴)で含浸したり、噴霧器により噴霧したり、塗工機により塗布したり、ロール等で混練または付着させたりする方法により使用することもできる。あるいは、溶融ポリマーに混練して紡糸したり、紡糸浴中に溶解または分散させておき紡糸時に付着させる方法で使用したり、紡糸後に繊維の仕上げ油剤として使用したりすることも可能であるし、さらに、処理剤を付着させ乾燥後、熱処理する方法も使用することが出来る。
【0101】
特に、湿式紡糸により得られる繊維、例えばキュプラやレーヨン等の再生セルロース繊維においては、処理剤を紡糸原液に混合したり、紡糸浴に溶解または分散したり、紡糸後の繊維を処理剤の溶解した処理浴中に浸漬する方法を取ることもできる。
【0102】
繊維処理剤を用いて得られた紙、繊維、シート状物は、べたつきの無いしっとり感を有し、かつ使用後のサラサラ感、および皮膚へのなじみの良さに優れるものである。また、繊維処理剤は、極めて低刺激性であり安全性にも優れるので、直接皮膚等に接触する用途において特に有用である。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例等を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等の具体的態様に限定されるものではない。本発明の実施例等で用いる評価手段などは以下の通りである。
(性能評価)
【0104】
被試験物をモニター10名に直接触ってもらい官能評価した。評価基準は下記の通りとし、10名の平均値で、3点以上を○、3点未満〜2点以上を△、2点未満を×とした。
a)しっとり感
べたつきがなく、しっとりしている ・・・ 4点
ややベタツキがあるが、しっとりしている ・・・ 3点
ベタツキが大きく、あまりしっとりしない ・・・ 2点
ベタツキもないが、しっとりもしていない ・・・ 1点
b)サラサラ感
非常にサラサラ感がある ・・・ 4点
サラサラ感がある ・・・ 3点
未処理のものと変わらない ・・・ 2点
サラサラ感がない ・・・ 1点
c)皮膚とのなじみ性
非常になじみ性が良い ・・・ 4点
なじみ性が良い ・・・ 3点
未処理のものと変わらない ・・・ 2点
なじみ性が悪い ・・・ 1点
(アシル化合物の製造例1)
【0105】
L−リジン塩酸塩9.1g(0.05mol)を水57g中と混合した。この液を25%水酸化ナトリウム水溶液でpH範囲を10〜11に調整しながら、また反応温度を5℃に維持しながら、攪拌下にN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物31.1g(0.1mol)を2時間を要して添加し、反応を実施した。さらに30分攪拌を続けた後、ターシャリーブタノールを液中濃度20重量%となるように添加した後、75%硫酸を滴下して液のpH値を2に、また液の温度を65℃に調整した。滴下終了後、攪拌を停止し、20分間65℃で静置すると有機層と水層とに分層し、これから有機層を分離した。分離した有機層にターシャリーブタノールおよび水を添加して、温度を65℃にして20分攪拌した。攪拌停止後、静置すると有機層と水層とに分層した。得られた有機層に対して、同じ水洗操作をくり返した後、得られた有機層から溶媒を除去し、水酸化ナトリウムで固形分30重量%、pH6.7(25℃)の水溶液に中和調製した後、これを乾燥して式(4)に示すアシル化合物を含有する組成物を得た。
【0106】
【化4】

(式(4)において、Xは、各々独立にHまたはNa(一部、カルボン酸を含む))
(アシル化合物の製造例2)
【0107】
製造例1において、N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物31.1gをN−ステアロイル−L−グルタミン酸無水物39.5g(0.1mol)とし、反応温度を20℃とし、pH6.7(25℃)の水溶液に中和調製したところを固形分20質量%、pH7(60℃)で中和調整とした以外は、製造例1の方法と同じ条件で実施し、式(5)に示すアシル化合物を含有する組成物を得た。
【0108】
【化5】

(式5において、Xは、各々独立にHまたはNa(一部、カルボン酸を含む))
[実施例1〜4、比較例1〜2]
【0109】
銅アンモニアレーヨンの連続フィラメントからなる再生セルロース不織布(旭化成せんい(株)製、商品名「ベンリーゼ(商標)」)を用意した。次に、表1に記載のように繊維処理剤の原料及び組成を変更して各種の繊維処理剤を作成し、これらを先に用意した不織布に対し、繊維処理剤が不織布重量と同重量となるように噴霧状態で均一に付与した。この後、不織布を乾燥、80℃で5秒熱プレスして、処理不織布を得た。これらの性能評価結果を表1に示す。
【0110】
【表1】

[実施例5、比較例3]
【0111】
表2に示す原料と組成の繊維処理剤を作成した。次に、通常の2枚重ねのトイレットペーパーを用意し、グラビア印刷ロールを用いて先に作成した繊維処理剤をトイレットペーパーに対して1g/gとなるように塗布・含浸させ、常温で乾燥させた(実施例5)。なお、繊維処理剤での処理を行わなかった通常のトイレットペーパーに対しても同様の評価を行った(比較例3)。評価結果を表2に示す。
【0112】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする繊維処理剤。
成分(A):分子内にアシル基と親水基とを2個以上ずつ有するアシル化合物の1種以上
成分(B):ポリヒドロキシル化合物の1種以上
【請求項2】
アシル化合物が、下記一般式(1)に示すアシル化合物であることを特徴とする請求項1に記載の繊維処理剤。
【化1】

(一般式(1)において、Xはm個の官能基、およびそれ以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xに結合しているn(m≧n)個のQは、下記一般式(2)で表される置換基で、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、一般式(2)において、ZはXの有する官能基に由来する結合部であり、R1COは炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を示し、R2は水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、j、kはそれぞれ独立に0,1,2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す)
【化2】

【請求項3】
さらに、成分(C)油性成分を含有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の繊維処理剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤を含有することを特徴とする紙。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤を含有することを特徴とする繊維。
【請求項6】
請求項4に記載の紙または請求項5に記載の繊維からなるシート状物。

【公開番号】特開2006−233405(P2006−233405A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2005−236010(P2005−236010)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】