説明

繊維処理剤

【課題】機能持続性に優れた繊維処理剤を提供する。
【解決手段】香料複合粒子を含有する繊維処理剤であって、該香料複合粒子がカチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子の内部に香料物質を保持した繊維処理剤であり、アミノ基を有するアルコキシシランで処理した中空メソポーラスシリカ粒子の内部に香料を保持してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能持続性に優れた繊維処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、香りに対する意識の高まりから、香料を保持した繊維処理剤が、衣類等の繊維製品の洗浄剤、仕上げ剤等の分野で用いられ、その残香性を高める検討が進められている。
残香性を高めるためには、比較的揮発蒸散しにくい香料を用いることが一般的であるが、衣類等の繊維製品に香料を付着させることが難しいため、洗濯すすぎ時等に大部分の香料が濯ぎ水と共に排出され、香りを持続させることは困難であった。
【0003】
例えば、特許文献1には、シリカやゼオライトY等の多孔性無機粒子に香料を吸収させた複合粒子、及びその複合粒子と繊維柔軟剤を含む繊維柔軟剤組成物が開示されている。しかしながら、ゼオライトYは細孔径が0.7nmであり、それよりも小さい分子サイズの香料しか担持できない。また、シリカゲルやフュームドシリカは、約10nmの一次粒子が凝集した構造を持ち、その一次粒子間の空隙に由来する数nm〜数10nmの細孔を有するが、その細孔径分布にばらつきがあるため、香料の放出制御が困難である。
一方、数nmの均一な細孔を持つシリカとしてメソポーラスシリカ粒子が知られており(非特許文献1参照)、特許文献2には、片面に1層以上の樹脂層を有している繊維構造物において、該樹脂層中に、機能性薬剤を担持している平均粒径0.01〜5μmのメソポーラスシリカを含有している機能性繊維構造物が開示されている。
また、特許文献3〜5には、外殻部がメソ細孔構造を有する中空メソポーラスシリカ粒子が開示されおり、それらが機能性有機化合物の担体として使用できることが記載されている。
しかし、メソポーラスシリカ粒子に単に機能性物質を保持させても、機能性物質が溶出又は流出しやすいこと、また、複合粒子が繊維へ付着しにくいことから、効果の持続性において、十分に満足できないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−209188号公報
【特許文献2】特開2003−82580号公報
【特許文献3】特開2008−110905号公報
【特許文献4】特開2008−150229号公報
【特許文献5】特開2008−174435号公報
【非特許文献1】C.T.Kresge, et.al., Nature, 359, 710 (1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、機能持続性に優れた繊維処理剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、メソポーラスシリカ粒子にカチオン性有機基を結合させた後、該メソポーラスシリカ粒子に香料を保持させることによって、繊維処理剤中の香料複合粒子の繊維への付着力を向上させ、かつ保持した香料の急速な溶出を抑制できることを見出した。
すなわち、香料複合粒子を含有する繊維処理剤であって、該香料複合粒子がカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の内部に香料を保持してなるものである、繊維処理剤を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、香料の機能を持続させることができる繊維処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の繊維処理剤は、香料複合粒子を含有する繊維処理剤であって、香料複合粒子がカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の内部に香料を保持してなるものであることを特徴とする。
[カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子]
香料複合粒子を構成するメソポーラスシリカ粒子は、カチオン性有機基を有するものであれば特に制限はないが、表面負電荷である繊維表面に効率的に付着し、高性能を発現させるという観点から、カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子の表面電荷が正電荷であることが好ましい。カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子の水分散液のpH=7におけるゼータ電位(25℃)が0〜50mVが好ましく、10〜40mVがより好ましい。
【0009】
前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子のカチオン性有機基としては、特に制限はないが、性能発現、汎用性等の観点から、窒素(N)原子を含有するカチオン性有機基が好ましく、アミノ基、置換アミノ基を持つカチオン性有機基がより好ましい。
アミノ基、置換アミノ基の具体例としては、H2N(CH23−、H2NCH2−、H2N(CH22−、H2N(CH24−、H2N(CH22NH(CH23−、H2N(CH22NHCH2−、H2N(CH22NHCH2CH(Me)CH2−、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23−、H2N(CH26NH(CH23−、MeHN(CH23−、EtHN(CH23−、Me2N(CH23−、Et2N(CH23−、Me2NCH2−、Et2NCH2−、MeHNCH2−、EtHNCH2−、H2C=CHCH2NH(CH23−、H2N(CH22S(CH23−、H2N(C64)−、H2N(CH23OC(Me)2C=C−、Ph−NH(CH23−、HOCH2CH2N(Me)(CH23−、C54N−CH2CH2−、Me3+(CH23−、C1837(Me)2+(CH23−等が挙げられる。
これらの中では、性能発現、汎用性等の観点から、H2N(CH23−、H2N(CH22NH(CH23−、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23−、Me3+(CH23−、C1837(Me)2+(CH23−が好ましく、H2N(CH22NH(CH23−、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23−、C1837(Me)2+(CH23−がより好ましい。
上記のカチオン性有機基は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子が、窒素原子を含むカチオン性有機基を含有する場合、該カチオン性有機基の量は、性能発現、コスト等の観点から、N/Si原子比で好ましくは0.02〜0.4、より好ましくは0.1〜0.3、更に好ましくは0.15〜0.25である。また、カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子中のカチオン性有機基の量は、1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましい。
前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子中のカチオン性有機基は、核磁気共鳴測定を用いたケイ素原子(29Si−NMR)や炭素原子(13C−NMR)の測定、赤外分光分析、元素分析、熱重量分析等により同定、定量することができる。
前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子は、その主成分がシリカで構成されており、その構造中にケイ素に直接結合するカチオン性有機基を有するものであるが、Al、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、B、Mn、Fe等の他元素を担持した形態、又はシリカの一部が他元素で置換された形態であってもよい。これら元素を導入する場合はそれらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加すればよい。
前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子は、SiO2重量換算で好ましくは50〜90質量%、より好ましくは70〜90質量%のシリカを含有することが好ましい。
【0011】
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の粒子内に香料を安定に担持、保持する観点から、前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の平均細孔径が1〜10nmであるものが好ましく、1〜5nmであるものがより好ましく、1〜2nmが更に好ましく、1〜1.5nmが特に好ましい。該メソ細孔径は、その70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上が平均細孔径の±30%以内に入ることが望ましい。
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の細孔径を調整するためには、例えば、所望する細孔径に近い細孔径を有するメソポーラスシリカ粒子を、カチオン性基を付与する前のメソポーラスシリカ粒子として用いればよい。カチオン性基の付与工程において多少の細孔径の減少は起こる可能性があるが、その点を考慮すれば、目的の細孔径のものを調製することができる。
【0012】
また、カチオン性基を付与する前のメソポーラスシリカ粒子の合成時に、細孔径のテンプレートとして働く界面活性剤のアルキル鎖長、水溶性高分子化合物の親水性と親油性の比率等を適宜調整することにより、前記メソポーラスシリカ粒子の細孔径を調整することができる。特に平均細孔径が約5nm以上のメソポーラスシリカ粒子を調製するためには、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロック重合からなる非イオン性高分子化合物を用いることが好ましく、平均細孔径が8nm以下のメソポーラスシリカ粒子を得るためには、第四級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子のBET比表面積は、好ましくは100〜1500m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、更に好ましくは500〜1000m2/gである。
前記カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径は、数平均粒子径であり、用途、内包物等の種類により適宜調整しうるが、好ましくは0.02〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカは、好ましくは一次粒子全体の80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有しており、非常に揃った粒子径の粒子群から構成されていることが望ましい。
【0013】
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の形状は、特に制限されず、不定形、球状等でもよく、それらの混合物でもよいが、香料を徐放する観点から、球状が好ましい。特に、外殻がメソ細孔構造を持ち内部が中空の球状粒子である、カチオン性有機基を有する中空メソポーラスシリカ粒子(A−1)(以下、「中空シリカ粒子(A−1)」ともいう)や、内部が中空ではない粒子、特には球状粒子であって、その中心部から放射状にメソ細孔が配列している球状粒子である、カチオン性有機基を有する中実メソポーラスシリカ粒子(A−2)(以下、「中実シリカ粒子(A−2)」ともいう)がより好ましく、香料の保持量を高める観点から、中空シリカ粒子(A−1)が更に好ましい。
前記メソポーラスシリカ粒子が、中空シリカ粒子(A−1)の場合、中空シリカ粒子(A−1)の外殻部(メソポーラスシリカ部)の平均厚みは、最終的に得られる中空シリカ粒子が担体としての強度を維持できる範囲で薄い方が好ましく、中空部の平均直径(平均容積)は、内包物を多く保持する観点から大きい方が好ましい。これらの観点から、外殻部の平均厚みは、通常10〜500nm、好ましくは20〜400nm、より好ましくは100〜300nmであり、中空部径は、通常10〜5000nm、好ましくは100〜1000nm、より好ましくは200〜800nmである。また、〔外殻部の平均厚み/中空シリカ粒子の平均粒子径〕の比は、通常0.001〜0.4、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.1〜0.3である。
前記メソポーラスシリカ粒子の平均粒子径、平均外殻厚み、BET比表面積、平均細孔径、及び粉末X線回折(XRD)パターンの測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
【0014】
[カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の製造]
本発明に用いられるカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカ粒子を、カチオン性有機基を有する化合物(B)で処理することによって得ることができる。
【0015】
(カチオン性有機基を有する化合物(B))
本発明におけるカチオン性有機基を有する化合物(B)としては、特に制限はないが、メソポーラスシリカ粒子にカチオン性有機基を効率的に含有させる観点から、アミノ基を有するアルコキシシラン及びその誘導体、クロルシラン等のカチオン性有機基を有する加水分解性有機シラン化合物が好ましい。
アミノ基を有するアルコキシシランとしては、アミノアルキルアルコキシシラン、アミノアリールアルコキシシランが挙げられ、より具体的には下記一般式(1)で表されるアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するアルコキシシランが挙げられる。また該アミノ基を有するアルコキシシランの誘導体とは、一般式(1)から誘導可能な化合物であり、具体的には該アルコキシシランの加水分解物又は加水分解縮合物、有機カルボン酸化合物との塩が挙げられる。
12n-1Si(OR34-n (1)
一般式(1)において、R1はアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する有機基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。
OR3は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。nは1〜3の数であり、複数のR2は同一でも異なっていてもよい。
【0016】
アミノ基、置換アミノ基の具体例としては、H2N(CH23−、H2NCH2−、H2N(CH22−、H2N(CH24−、H2N(CH22NH(CH23−、H2N(CH22NHCH2−、H2N(CH22NHCH2CH(Me)CH2−、H2N(CH22NH(CH22NH(CH23−、H2N(CH26NH(CH23−、MeHN(CH23−、EtHN(CH23−、Me2N(CH23−、Et2N(CH23−、Me2NCH2−、Et2NCH2−、MeHNCH2−、EtHNCH2−、H2C=CHCH2NH(CH23−、H2N(CH22S(CH23−、H2N(C64)−、H2N(CH23OC(Me)2C=C−、Ph−NH(CH23−、HOCH2CH2N(Me)(CH23−、C54N−CH2CH2−、Me3+(CH23−、C1837(Me)2+(CH23−等が挙げられる。
【0017】
アミノアルキルアルコキシシランの具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメチル−3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリド、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
また、アミノアリールアルコキシシランの具体例としては、ジフェニルジメトキシシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン等が挙げられる。
【0018】
上記のカチオン性有機基を有する化合物(B)の中では、メソポーラスシリカ粒子にカチオン性有機基を効率的に含有させる観点から、アミノ基及び/又は置換アミノ基を有するアルコキシシランがより好ましく、アミノアルキルアルコキシシランがより好ましい。
特に、炭素数1〜3のアルコキシ基を有するアミノアルキルトリアルコキシシランがより好ましく、特に好適な化合物としては、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドが挙げられる。
上記のカチオン性有機基を有する化合物(B)は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0019】
(カチオン性有機基を有する化合物(B)による処理)
カチオン性有機基を有する化合物(B)による処理方法は特に限定されず、気相法、液相法等の常法に従い行うことができる。カチオン性有機基を有する化合物(B)の種類に依存するが、製造容易性の観点から液相法が好ましい。液相法としては、例えば、メソポーラスシリカ粒子をカチオン性有機基を有する化合物(B)のトルエン溶液に分散させ、120℃で1日攪拌、反応後、洗浄、乾燥する方法が挙げられる。
【0020】
例えば、カチオン性有機基を有する化合物(B)をメソポーラスシリカ粒子の100質量部に対し1〜500質量部添加し、20℃〜150℃で1〜120時間処理することにより行うことができる。
カチオン性有機基を有する化合物(B)として、アミノ基を有するアルコキシシランを用いて液相処理する場合、性能発現、製造容易性、コストの観点から、該アルコキシシランの添加量は、メソポーラスシリカ粒子100質量部に対し、1〜500質量部が好ましく、10〜200質量部がより好ましく、20〜100質量部が更に好ましく、25〜60質量部が特に好ましい。また、処理溶媒はアルコキシシランの種類等にも依存するが、非水系溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、トルエンがより好ましく、トルエンが更に好ましい。処理溶媒は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。処理温度は、20〜150℃が好ましく、50〜140℃がより好ましく、80〜130℃が更に好ましく、処理時間は、1〜120時間が好ましく、2〜80時間がより好ましく、3〜30時間が更に好ましい。
カチオン性有機基を有する化合物(B)の処理工程の後に、未反応化合物や副生化合物を除去するために、未反応化合物や副生化合物の沸点以上の温度で熱処理したり、未反応化合物や副生化合物が可溶な溶媒で洗浄することもできる。
【0021】
なお、カチオン性有機基を含有する中空シリカ粒子(A−1)を得るためには、中空メソポーラスシリカ粒子原料(C−1)(以下、「中空シリカ粒子原料(C−1)」ともいう)を、カチオン性有機基を含有する中実シリカ粒子(A−2)を得るためには、中実メソポーラスシリカ粒子原料(C−2)(以下、「中実シリカ粒子原料(C−2)」ともいう)を、カチオン性有機基を含有する化合物(B)と反応させることが好ましい。
中空シリカ粒子原料(C−1)の製造方法に特に制限はないが、特開2008−110905号公報、特開2008−150229号公報、特開2008−174435号公報記載の方法により容易に調整することができる。
中実シリカ粒子原料(C−2)の製造方法に特に制限はない。例えば加水分解によりシラノール化合物を生成するテトラメチルシランやテトラエトキシシラン等のアルコキシシラン等のシリカ源を、メソ孔のテンプレートとして働く陽イオン界面活性剤又はエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック重合体等の共存下で、水溶液中で反応させることにより製造することができる。
【0022】
[香料複合粒子]
本発明に用いられる香料複合粒子は、例えば、上記の方法で得られたカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子に香料を保持させることにより得ることができる。また、香料を保持させたメソポーラスシリカ粒子や香料を保持させたテンプレート含有シリカ粒子にカチオン性有機基を導入することによっても得ることができる。性能発現の観点から、カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子に香料を保持させる方法が好ましい。
用いられる香料としては、天然香料、合成香料のいずれも使用可能であり、常温常圧下で固体でも液体でも使用可能である。
香料としては、炭化水素系香料、アルコール系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料、エステル系香料、フェノール系香料、エーテル系香料、アミン系香料、ラクトン系香料、アセタール系香料、ニトリル系香料から選ばれるものを適宜選択し、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。主な例を下記に示すが、これらの香料成分に限定されるものではない。なお、本発明で用いた香料素材の名称は、印藤元一著、「合成香料 化学と商品知識」(化学工業日報社、1996年3月6日発行)の記載に従った。
【0023】
炭化水素系香料としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、リモネン、ジテルペン、テルピノーレン、ミルセン等が挙げられ、アルコール系香料としては、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、リナロール、サンダルマイソールコア、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、テトラヒドロリナロール、フェニルエチルアルコール、シトロネロール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール、テルピネロール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、エチルリナロール、テトラヒドロムゴール、cis−3−ヘキセノール、ネロール、l−メントール、3−フェニルプロピルアルコール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、アセチルイソオイゲノール、エストラゴール、トリメチルヘキサノール等が挙げられる。
【0024】
アルデヒド系香料としては、アルデヒドC−111、シトラール、シトロネラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、アミルシンアミックアルデヒド、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド(リラール)、ヘリオトロピン、バニリン、エチルバニリン、アニスアルデヒド、マイラックアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(トリプラール)、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド、n−ヘキサナール、n−オクタナール、n−ノナナール、cis−4−デセナール、ヘリオナール、ベンズアルデヒド、10−ウンデセナール等が挙げられ、ケトン系香料としては、メチルイオノンG、イソ・イー・スーパー、アセチルセドレン、ラズベリーケトン、α−ヨノン、β−ヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、ヘプチルシクロペンタノン、ベンジルアセトン、メチレンテトラメチルヘプタノン、ヘリオトピルアセトン、cis−ジャスモン、エチルマルトール、シクロヘキサデセノン、ムスコン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン等が挙げられる。
【0025】
エステル系香料としては、酢酸フェニルエチル、アリルアミルグリコレート、酢酸スチラリル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、アセチルオイゲノール、酢酸シンナミル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、サリチル酸シクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、エチル−2−tert−ブチルシクロヘキシルカルボネート、酢酸ベンジル、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート、サリチル酸ベンジル、酢酸テルピニル、プロピオン酸トリシクトデセニル、2−シクロヘキシルプロピオン酸エチル、サリチル酸アミル、ヘプタン酸アリル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、酢酸セドリル(セドレニル)、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アリルシクロヘキサン、酢酸ネリル、マンザネート、ヘキサン酸アリル(カプロン酸アリル)、2−メチル酪酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸イソボニル、酢酸cis−3−ヘキセニル、2,2−ジメチルプロピオン酸−3−メチル−3−ブテニル、2−エチルカプロン酸エチル等が挙げられる。
【0026】
フェノール系香料としては、オイゲノール、イソオイゲノール、モスシンス、チモール、バニトロープ等が挙げられ、エーテル系香料としては、アンブロキサン、アネトール、メチルイソオイゲノール、ネロリンヤラヤラ、ガラクソライド、β−ナフトールエチルエーテル、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、アントキサン等が挙げられる。
アミン系香料としては、N−メチルアントラニル酸メチル、アントラニル酸メチル、イソブチルキノリン等が挙げられ、ラクトン系香料としては、オキサシクロヘキサデセン−2−オン、シクロペンタデカノリド、γ−ウンデカラクトン、クマリン、エチレンブラシレート、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ノナラクトン等が挙げられ、アセタール系香料としては、カラナール、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン等が挙げられ、ニトリル系香料としては、ペオニル、シトロネリルニトリル等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、担持容易性や性能発現の観点から、メソポーラスシリカの細孔径よりも小さい香料を用いることが好ましい。用いられるメソポーラスシリカの細孔径にも依存するが、前記香料の中では、炭化水素系香料としてはリモネン、アルコール系香料としては、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、シトロネロール、cis−3−ヘキセノール、l−メントール、トリメチルヘキサノール、アルデヒド系香料としては、シトラール、リリアール、バニリン、エチルバニリン、ヘリオナール、ケトン系香料としては、イソ・イー・スーパー、δ−ダマスコン、エステル系香料としては、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート、アミン系香料としてはアントラニル酸メチル等が好適に挙げられ、リモネン、エチルバニリン、ヘリオナール、δ−ダマスコン、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート、アントラニル酸メチルが更に好ましい。
【0028】
香料の保持は、例えば、前記メソポーラスシリカ粒子に香料を含浸させることにより行うことができる。以下、中空シリカ粒子(A−1)に香料を含浸させる場合を例にして説明する。
香料の含浸処理は、香料が前記メソポーラスシリカ粒子に含浸できる方法であれば特に制限はなく、公知の真空含浸法等を採用することができる。例えば、容器内で香料と前記メソポーラスシリカ粒子とを混合し、該容器内を該香料の蒸気圧より高く、用いる前記メソポーラスシリカ粒子のメソ細孔中における窒素の蒸気圧より小さい条件で含浸することが好ましい。この場合のメソ細孔中における窒素の蒸気圧は窒素の吸着等温線から求められる。
この条件で前記メソポーラスシリカ粒子の細孔内を脱気して香料を強制含浸せしめ、1分間〜10時間、好ましくは1分間〜1時間静置した後に容器内の圧力を一旦大気圧に戻し、更に1分間〜10時間、好ましくは1時間〜10時間静置することで、香料を前記メソポーラスシリカ粒子のメソ細孔内を通して中空内部に導入する方法が挙げられる。なお含浸の程度は、前記メソポーラスシリカ粒子の粒子(中空部、メソ細孔)内全てに香料が包含されるまで行うことが好ましい。
常温常圧下で固体である香料の場合、香料の融点以上の温度で加熱融解し液体状態にして含浸させる方法が好ましい。また、固体香料を溶媒に溶解した溶液を含浸させても良い。
【0029】
香料複合粒子中の香料の含有量は、特に限定されないが、香料の機能を持続させる観点から、香料複合粒子中の組成として、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。
なお、香料複合粒子中の香料の含有量は、熱重量分析、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の常法により求めることができる。
香料を保持する香料複合粒子においては、まず該複合粒子の外表面付近に保持されている香料の揮散が始まり、その後、中空部及びメソ細孔に保持された香料が、長時間、安定した速度で揮散するため、揮散制御が容易である。
これらの香料の中で、酸やアルカリ、ゼオライト等の触媒活性を持つ無機粉体に不安定なエステル類やアセタール類であっても、メソポーラスシリカ粒子の内部に保持させれば、安定に保持され、徐放性、経時残香性に優れた香料粒子とすることができる。
複数の香料等を併用し、それぞれを異なるメソポーラスシリカ粒子に保持させれば、広範なかつ効果的な調香等を行うことができる。
【0030】
[繊維処理剤]
本発明の繊維処理剤は、前記香料複合粒子を含有することを特徴とする。
本発明の繊維処理剤は、香料の可溶化、溶解性、保存安定性等の観点から、本発明の目的を阻害しない範囲で、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両性の界面活性剤を用いることができる。より具体的には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルカリ金属塩等、以下同じ)、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホ脂肪酸メチルエステル塩、長鎖アルキル硫酸エステル塩、オキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤、アミン塩酸塩等が挙げられる。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、繊維処理剤に通常配合される、水溶性無機塩、酸化防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、溶剤、色素等の添加剤を常用量配合して使用することができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等が挙げられ、酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられ、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩、クエン酸等が挙げられる。
【0031】
本発明の繊維処理剤及びそれを含む繊維処理剤組成物の剤型は特に制限されず、液状、粉末状等の各種形態で使用することができるが、使いやすさの観点から、水中油型(O/W型)乳化物とすることが好ましい。
本発明の繊維処理剤及びそれを含む繊維処理剤組成物の使用に際しては、それらを水性液に分散させ、その液中に処理する繊維製品を浸漬、撹拌したり、繊維製品を含む洗濯水や濯ぎ水に適当量添加、処理することよって、繊維処理剤又は繊維処理剤組成物を繊維製品の表面又は内部に効率的に付着、吸着させ、高い残香性等を付与することができる。
また、柔軟剤、洗剤、のり剤等に配合して使用することもできるが、柔軟剤として使用するのが好ましい。柔軟剤としては、洗濯後の衣料のしなやかさを保たせるものであれば、特に制限されない。例えば、長鎖炭化水素基を有するカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
処理対象である繊維製品は特に制限されず、天然繊維製品、合成繊維製品、半合成繊維製品のいずれの処理にも好適に利用することができる。
【実施例】
【0032】
製造例、実施例及び比較例で得られた中空及び中実メソポーラスシリカ粒子、香料を保持した複合粒子(香料複合粒子)、及び繊維処理剤の各種測定及び評価は、以下の方法により行った。
(1)メソポーラスシリカ粒子の粉末X線回折(XRD)パターンの測定
粉末X線回折装置(理学電機工業株式会社製、商品名:RINT2500VPC)を用いて、X線源:Cu-kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、及び受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲を回折角(2θ)1〜20°、走査速度を4.0°/分とした連続スキャン法を用いた。なお、測定は、粉砕した試料をアルミニウム板に詰めて行った。
(2)メソポーラスシリカ粒子の粒子形状の観察
電解放射型高分解能走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所社製、商品名:FE−SEM S−4000)を用いて粒子形状の観察を行った。
【0033】
(3)メソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みの測定
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2100)を用いて加速電圧160kVで粒子の観察を行った。20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、中空部径、及び外殻部厚みを写真上で実測し、平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みを求めた。なお、観察は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(応研商事株式会社製、200−Aメッシュ)に付着させ、余分な試料をブローで除去したものを用いて行った。
【0034】
(4)メソポーラスシリカ粒子のBET比表面積、及び平均細孔径の測定
比表面積・細孔分布測定装置(株式会社島津製作所製、商品名:ASAP2020)を用いて、液体窒素を用いた多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。BET比表面積の導出にはBJH法を採用し、そのピークトップを平均細孔径とした。試料には250℃で5時間の前処理を施した。
(5)メソポーラスシリカ粒子の平均凝集粒子径の測定
レーザー散乱粒度分布計(株式会社堀場製作所社製、商品名:LA−920)を用いて、相対屈折率1.06、超音波強度7、超音波照射時間1分、循環速度4、分散媒をエタノールとした条件で室温にて測定し、体積基準換算のメジアン径を平均凝集粒子径とした。
【0035】
(6)カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子のカチオン性有機基の定量分析
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA)Thermo plus TG8120を用いて、エアーフロー(300mL/min)下、室温から700℃まで10℃/分の速度で昇温した。700℃で残存した質量をシリカ(SiO2)、150〜700℃までの減量をカチオン性有機基由来とした。カチオン性有機基由来の質量%とシリカ由来の質量%から窒素原子とケイ素原子の比率(N/Si原子比)を求めた。
(7)メソポーラスシリカ粒子のゼータ電位の測定
メソポーラスシリカ粒子粉末3mgを水15gに混合、超音波を10分間照射し、0.02質量%水分散液を調製した。塩酸水溶液添加によりpH7に調整した水分散液(25℃)について、ゼータ電位測定装置(NICOMP製、380ZLS)を用い、印加電位7.5mV/cm、測定60秒、積算10回の条件でゼータ電位を測定した。
【0036】
(8)香料複合粒子組成の分析
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA)Thermo plus TG8120を用いて、エアーフロー(300mL/min)下、室温から40℃まで10℃/分の速度で昇温後、40℃で5時間保持、更に700℃まで10℃/分の速度で昇温した。700℃までの減量を香料とカチオン性有機基の総量、700℃で残存した質量をシリカの質量とした。また前記(6)の測定方法から求められる香料担持前のメソポーラスシリカ粒子のシリカ重量に対するカチオン性有機基の比率を用いて、複合粒子のカチオン性有機基の質量を算出し、カチオン性有機基とシリカ以外を全香料とした。これら結果からSiO2、有機基及び全香料からなる香料複合粒子組成を求めた。
【0037】
(9)香料複合粒子の香料残存率の評価
リモネン香料複合粒子(後述するd1、d2〜d5)に関して、繊維処理工程における分散前と分散後の香料複合粒子の香料担持量の違いから、繊維処理工程後の香料複合粒子の香料残存率を求めた。
まず40℃におけるリモネン香料複合粒子の質量減量を時間(分)で微分し、単位シリカ質量(g)当たり、単位時間(分)における香料の質量減量(mg)として揮発速度(mg香料/分/シリカg)を求めた。測定時間30〜200分の範囲内に、揮発速度が1〜3mg香料/分/シリカgで時間に依存せずほぼ一定となる領域が見られるので、この領域に相当する香料量を分散前のメソポーラスシリカ粒子の中空部の香料担持量(シリカ質量に対する質量%)とした。
香料複合粒子の残存率は次のようにして求めた。まず内径13cmの2Lビーカー中、水2000gにリモネン香料複合粒子を含有する繊維処理剤0.67gを添加し、室温で7分磁気撹拌することで分散処理した。なおスターラーピースは、長さ3.5cmの十字型のものを用い、攪拌速度は攪拌時の水高さの下から1/3の位置に渦巻きの頂点が来るように設定された。攪拌終了後すぐにメンブレンフィルター(ADVANTEC社製、材質:セルロールアセテート、孔径:0.2μm)で約10分間ろ過した。
ろ過後すぐに熱質量分析測定を行い、分散後のメソポーラスシリカ粒子の中空部に担持された香料を定量した。分散前に対する分散後の香料担持量の比率を残存率とした。
【0038】
(10)タオルへのシリカ付着率の評価
電気バケツ(パナソニック株式会社製、N−BK2)中、水5.7Lに香料複合粒子を含有する繊維処理剤1.9g添加、すぐにタオル3枚(約285g)を入れ、6分洗浄後、洗濯機で3分脱水した。室内で24時間平干しによりタオルを乾燥させることにより、処理タオルを作製した。処理タオルを灰化、溶解した水溶液中のSi濃度をICPにより定量した。
香料複合粒子を含有しない(香料のみ)繊維処理剤においても、同様に処理タオルを作製し、Si濃度の定量を行った。香料複合粒子を含有する繊維処理剤で処理したタオル中のSi量と、香料複合粒子を含有しない繊維処理剤で処理したタオル中のSi量との差をタオルに付着したシリカ由来のSi量とした。繊維処理剤に配合したSi量に対するタオルに付着したSi量の比率をシリカ付着率とした。
【0039】
(11)処理タオルへの残香性評価
前処理として、電気洗濯乾燥機(パナソニック株式会社製、NA−FV8000)にてタオル20枚を市販の液体アタック(花王株式会社製)で洗浄した(洗剤25g、水道水38L、水温20℃、洗い9分、注水すすぎ2回、脱水7分)。次に、電気バケツ(パナソニック株式会社製、N−BK2)中、水5.7Lに、前処理したタオル3枚(約285g)を入れ、すぐに、香料複合粒子含有繊維処理剤1.9g添加し、6分洗浄後、電気洗濯乾燥機で3分脱水した。室内で24時間平干しによりタオルを乾燥させた。
乾燥させたタオルの香り、更にタオルをこすった後の香りについて専門パネラー11人にて官能評価を行い、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:香料複合粒子を含有しない(香料のみの)場合に比べて、強く香りを感じたパネラーが11人中9人以上
○:香料複合粒子を含有しない(香料のみの)場合に比べて、強く香りを感じたパネラーが11人中6人以上9人未満
×:香料複合粒子を含有しない(香料のみの)場合に比べて、強く香りを感じたパネラーが11人中6人未満
【0040】
製造例1(中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)の製造)
(1)2L−セパラフルフラスコに、イオン交換水600部、メタクリル酸メチル99.5部、塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム0.5部を入れ、内温70℃まで昇温させた。次いで、これに、水溶性重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬株式会社製、商品名:V−50)0.5部をイオン交換水5部に溶かした溶液を添加し、3時間加熱撹拌を行った。
その後、さらに75℃で3時間加熱撹拌を行って冷却した後、得られた混合液から凝集物を200メッシュろ過(目開き約75μm)し、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液(固形分(有効分)含有量14質量%、平均一次粒子径360nm)を得た。
(2)次に、10Lフラスコに、水6kg、メタノール2kg、1M水酸化ナトリウム水溶液45g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド35g、及び上記で得られたカチオン性ポリマー粒子の懸濁液33gを入れて撹拌し、その水溶液に、テトラメトキシシラン34gをゆっくりと加え、5時間撹拌した後、12時間熟成させた。
次いで、得られた白色沈殿物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥した。
得られた乾燥粉末を、焼成炉(株式会社モトヤマ製、商品名:スーパーバーン)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら1℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で2時間焼成することにより有機成分を除去した。
得られた粉末を、ロータースピードミル(FRITSCH社製、商品名:pulverisettel4)を用いて、乾式解砕(20000rpm)、乾式分級(孔径0.2mmスクリーンをパス)することにより、中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)粉末を得た。
(3)この中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.0nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)の粒子形状が球状であることを確認した。
さらに、TEM観察より、この中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)が中空構造を有し、平均一次粒子径が680nm、平均中空部径が360nm、平均外殻部厚みが160nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子原料(c1)粉末は、BET比表面積が1330m2/g、平均細孔径が1.6nm、平均凝集粒子径が0.7μmであった。結果を表1に示す。
【0041】
製造例2(カチオン性有機基を有する中空メソポーラスシリカ粒子(a1)の製造)
(1)室温、攪拌下、トルエン50gに3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製)0.6gを溶解後、製造例1で得られた中空メソポーラスシリカ粒子(c1)粉末2gを分散させ、120℃で24時間処理した。処理液を孔径0.2μmのフィルターでろ過、エタノールで洗浄後、100℃で24時間乾燥させることにより、アミノシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(a1)粉末を得た。
(2)このアミノシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(a1)粉末について、粉末X線回折(XRD)測定を行った結果、d=3.0nmに相当する回折角の非常に強いピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmに相当する回折角の弱いピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子(a1)粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(a1)の粒子形状が球状であることを確認した。
さらに、TEM観察より、この中空メソポーラスシリカ粒子(a1)が中空構造を有し、平均一次粒子径が680nm、平均中空部径が360nm、平均外殻部厚みが160nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子(a1)粉末は、BET比表面積が610m2/g、平均細孔径が1.1nmであった。
中空メソポーラスシリカ粒子(a1)粉末のTG−DTA測定した結果、SiO2は83質量%、カチオン性有機基は15質量%であり、カチオン性有機基量N/Siは0.22であった。結果を表1に示す。
【0042】
製造例3(カチオン性有機基を有する中空メソポーラスシリカ粒子(a2)の製造)
製造例2(1)において、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製)0.6gの代わりに、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)0.6gを用いた以外は、製造例2と同様にして、アミノシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(a2)粉末を得た。
この中空メソポーラスシリカ粒子(a2)粉末について、粉末X線回折(XRD)測定及びTEM観察を行った結果、製造例2と同様の結果が得られた。
この中空メソポーラスシリカ粒子(a2)粉末は、BET比表面積が620m2/g、平均細孔径が1.2nmであった。また、中空メソポーラスシリカ粒子(a2)粉末のTG−DTA測定した結果、SiO2は87質量%、カチオン性有機基は12質量%であり、カチオン性有機基量N/Siは0.16であった。結果を表1に示す。
【0043】
製造例4(カチオン性有機基を有する中空メソポーラスシリカ粒子(a3)の製造)
製造例2(1)において、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製)0.6gの代わりに、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドのメタノール溶液(信越化学株式会社製、50%メタノール溶液)1.2gを用いた以外は、製造例2と同様にして、アミノシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(a3)粉末を得た。
この中空メソポーラスシリカ粒子(a3)粉末について、粉末X線回折(XRD)測定及びTEM観察を行った結果、製造例2と同様の結果が得られた。
この中空メソポーラスシリカ粒子(a3)粉末は、BET比表面積が660m2/g、平均細孔径が1.1nmであった。また、中空メソポーラスシリカ粒子(a3)粉末のTG−DTA測定した結果、SiO2は83質量%、カチオン性有機基は15質量%であり、カチオン性有機基量N/Siは0.03であった。結果を表1に示す。
【0044】
製造例5(カチオン性有機基を有する中実メソポーラスシリカ粒子(a4)の製造)
製造例1(2)において、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液を用いなかった以外は、製造例1、2と同様にして、アミノシラン処理した中実メソポーラスシリカ粒子(a4)粉末を得た。
この中実メソポーラスシリカ粒子(a4)粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.0nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この球状メソポーラスシリカ粒子(a4)粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有すること確認した。また、SEM観察より、この球状メソポーラスシリカ粒子の形状が球状であることを確認した。
さらに、TEM観察より、この球状メソポーラスシリカ粒子(a4)粉末が中空構造ではなく中実構造を有し、平均一次粒子径が500nmであり、ヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。
この中実メソポーラスシリカ粒子(a4)粉末は、BET比表面積が380m2/g、平均細孔径が1.1nmであった。また、中実メソポーラスシリカ粒子粒子(a4)粉末のTG−DTA測定した結果、SiO2は79質量%、カチオン性有機基は15質量%であり、カチオン性有機基量N/Siは0.23であった。結果を表1に示す。
【0045】
製造例6(カチオン性有機基を含む多孔質シリカ粒子(a5)の製造)
製造例2(1)において、中空メソポーラスシリカ粒子粉末(c1)の代わりに、多孔質シリカ粒子(アルドリッチ製、フュームドシリカ、一次粒子径7nm、比表面積390m2/g)を用いた以外は製造例2と同様にして、アミノシラン処理した多孔質シリカ粒子(a5)粉末を得た。
この多孔質シリカ粒子(a5)粉末について、粉末X線回折(XRD)ピーク及び細孔径分布ピークが見られないことから、メソ細孔を有していないことを確認した。また、SEM観察より、この多孔質シリカ粒子は、7nmの球状の一次粒子が凝集していることを確認した。
この多孔質シリカ粒子(a5)粉末は、BET比表面積が190m2/gであった。また、多孔質シリカ粒子(a5)粉末のTG−DTA測定した結果、SiO2は83質量%、カチオン性有機基は13質量%であり、カチオン性有機基量N/Siは0.20であった。結果を表1に示す。
【0046】
製造例7(カチオン性有機基を含む球状シリカ粒子(a6)の製造)
製造例2(1)において、中空メソポーラスシリカ粒子粉末(c1)の代わりに、球状シリカ粒子(触媒化成製、一次粒子径500nm、比表面積4m2/g)を用いた以外は製造例2と同様にして、アミノシラン処理した球状シリカ粒子(a6)粉末を得た。
この球状シリカ粒子(a6)粉末について、粉末X線回折(XRD)ピーク及び細孔径分布ピークが見られないことから、メソ細孔を有していないことを確認した。また、SEM観察より、この球状シリカ粒子は、一次粒子径500nmの球状粒子であることを確認した。
この球状シリカ粒子(a6)粉末は、BET比表面積が4m2/gであった。また、球状シリカ粒子(a6)粉末のTG−DTA測定した結果、SiO2は99質量%、カチオン性有機基は0.9質量%であり、カチオン性有機基量N/Siは0.01であった。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
[香料複合粒子(d1)〜(d13)の製造]
製造例1〜7で得られた中空メソポーラスシリカ粒子(c1)(a1)(a2)(a3)粉末、中実メソポーラスシリカ粒子(a4)粉末、多孔質シリカ粒子(a5)粉末、及び球状シリカ粒子(a6)粉末、各0.5gを20mlのサンプル瓶へ入れ、その上に香料6.0gを注いだ。その容器をガラス製デシケータ中に移し、ロータリーポンプを用い3分間減圧した後、窒素ガスを充填し内圧を常圧に戻した。この操作を3度繰り返した後、サンプルを一晩静置した。翌日、メンブレンフィルター(ADVANTEC社製、材質:ポリテトラフルオロエチレン、孔径:0.2μm)によりろ別し、香料複合粒子(d1)〜(d13)を得た。前記シリカ粒子(c1)(a1)〜(a6)と香料複合粒子(d1)〜(d13)との関係は、表2〜表4に示した。
香料複合粒子(d1)〜(d13)の製造において、香料は下記の香料を用いて、表2〜表4に示す量を担持させた。なお、香料複合粒子(d9)のエチルバニリンについては、80℃で加熱融解し、液体状態で上記担持工程を行った。
香料複合粒子(d1)〜(d5):リモネン(商品名:リモネンフロムオレンジ、長谷川香料株式会社製)
香料複合粒子(d6)、(d11)〜(d13):エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート(商品名:フルテート、花王株式会社製)
香料複合粒子(d7):δ−ダマスコン(IFF株式会社製)
香料複合粒子(d8):アントラニル酸メチル(IFF株式会社製)
香料複合粒子(d9):エチルバニリン(RHODIA株式会社製)
香料複合粒子(d10):ヘリオナール(商品名:ヘリオフレッシュ、宇部興産株式会社製)
【0049】
実施例1(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
(1)繊維処理剤ベース液の調製
300mlLビーカーに、イオン交換水144gを入れ、ウォーターバスで60℃に昇温した。1つの羽根の長さが2cm、幅0.8cmの撹拌羽根で撹拌しながら(200r/min)、非イオン性界面活性剤(炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均20モル付加させたもの)6gを添加し、次に加熱溶解させた陽イオン性界面活性剤(N−(3−アルカノイルアミノプロピル)−N−(2−アルカノイルヒドロキシエチル)−N−メチルアミン塩酸塩のエタノール溶液(エタノール含有量10%。但し、アルカノイル基は、硬化牛脂由来脂肪酸残基とする。)34gを添加した。次に塩化カルシウム(最終濃度0.05質量%)を入れ5分間撹拌後、10%塩酸水溶液と10%水酸化ナトリウム水溶液でpH2.4に調整した。次に60℃のイオン交換水16gを添加した。その後、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、撹拌しながら(80r/min)、室温(25℃)まで冷却した。
(2)香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製
前記(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、リモネン香料の濃度が2質量%となるように、香料複合粒子(d2)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。結果を表2に示す。
(3)香料複合粒子を含有する繊維処理剤による繊維処理
前記(2)で得られた繊維処理剤のシリカ付着率及び残香性を評価した。結果を表2に示す。
【0050】
実施例2〜4、及び比較例1(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製と評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、リモネン香料の濃度が2質量%となるように、表2に示す香料複合粒子(d3)〜(d5)、(d1)を配合しそれぞれの香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。実施例1と同様にしてこれら繊維処理剤の評価を行った。結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
実施例5、及び比較例2〜4(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料の濃度が2質量%となるように、表3に示す香料複合粒子(d6)、(d11)〜(d13)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表3に示す。
実施例6(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、δ−ダマスコン香料の濃度が2質量%となるように、表3に示す香料複合粒子(d7)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表3に示す。
実施例7(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、アントラニル酸メチル香料の濃度が2質量%となるように、表3に示す香料複合粒子(d8)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表3に示す。
実施例8(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、エチルバニリン香料の濃度が2質量%となるように、表3に示す香料複合粒子(d9)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表3に示す。
実施例9(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、ヘリオナール香料の濃度が2質量%となるように、表3に示す香料複合粒子(d10)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
実施例10、比較例5〜7(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料の濃度が0.25質量%となるように、表4に示す香料複合粒子(d6)、(d11)〜(d13)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表4に示す。
実施例11(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、δ−ダマスコン香料の濃度が0.25質量%となるように、表4に示す香料複合粒子(d7)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表4に示す。
実施例12(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、アントラニル酸メチル香料の濃度が0.25質量%となるように、表4に示す香料複合粒子(d8)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表4に示す。
実施例13(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、エチルバニリン香料の濃度が0.25質量%となるように、表4に示す香料複合粒子(d9)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表4に示す。
実施例14(香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製及び評価)
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、ヘリオナール香料の濃度が0.25質量%となるように、表4に示す香料複合粒子(d10)を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。そしてこの繊維処理剤を用いてシリカ付着率及び残香性が評価された。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
表2〜4から、実施例1〜14(カチオン性有機基を含有するメソポーラスシリカ粒子を用いた繊維処理剤)は、比較例1〜7(カチオン性有機基を含有しないメソポーラスシリカ粒子又はカチオン性有機基を含有するシリカ粒子を用いた繊維処理剤)に比べて、シリカ付着率、残香性が格段に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料複合粒子を含有する繊維処理剤であって、該香料複合粒子がカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の内部に香料を保持してなるものである、繊維処理剤。
【請求項2】
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子が、カチオン性有機基を有する中空メソポーラスシリカ粒子である、請求項1に記載の繊維処理剤。
【請求項3】
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子が、アミノ基を有するアルコキシシランでメソポーラスシリカ粒子を処理したものである、請求項1又は2に記載の繊維処理剤。
【請求項4】
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子が、窒素原子を含むカチオン性有機基を有し、該カチオン性有機基量がN/Si原子比で0.02〜0.4である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤。
【請求項5】
香料複合粒子中に香料を10〜90質量%含有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤。

【公開番号】特開2010−133048(P2010−133048A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308784(P2008−308784)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】