説明

繊維構造の末端ほつれ解決策

第1の端部と第2の端部との間に長さ方向に延びる織物を含む装置。当該織物はまた、当該長さ方向と交差する線方向に延びる。当該線方向は、幅方向あるいは周方向であり得る。当該装置は、当該第1の端部に隣接して当該第1の端部におけるほつれを制限する第1の接着部を含む。当該装置は、当該長さ方向に沿って当該第1の接着部から間隔をおいて置かれて当該第1の端部におけるほつれを制限する第2の接着部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2006年4月3日に出願され、「繊維構造の末端ほつれ解決策(“END FRAY
SOLUTION FOR TEXTILE STRUCTURE”)」と題され、その全体が引用によりこの明細書中に援用されている米国仮特許出願連続番号第60/788,822号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、繊維構造の末端のほつれを制限することに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2.関連技術の説明
繊維構造が所望の大きさに切断される場合、当該繊維構造の末端がほつれるおそれがある。この問題を克服するために、当該繊維構造の当該末端を、乾燥され固化される粘性材料に浸すことができる。当該繊維構造の当該末端を、溶融させて、ほつれの可能性を低減することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
第1の端部と第2の端部との間に長さ方向に延びる織物を含む装置。当該織物はまた、当該長さ方向と交差する線方向に延びる。当該線方向は、幅方向または周方向であり得る。当該装置はまた、第1の端部に隣接して第1の端部におけるほつれを制限する第1の接着部を含む。当該装置はまた、当該長さ方向に沿って第1の接着部から間隔をおいて置かれて第1の端部におけるほつれを制限する第2の接着部を含む。
【0005】
この発明の利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に関連して考慮されるとより容易に認識されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
好ましい実施例の詳細な説明
この発明の複数のさまざまな実施例が本願の図面に示される。この発明のさまざまな実施例には類似する特徴が示されている。類似する特徴には共通の参照番号が付けられており、アルファベット記号で区別されている。また、当該特徴がすべての実施例に示されていないとしても、整合性を高めるために、いずれの特定の図面における特徴も同じアルファベット記号を共有する。類似する特徴は、図面またはこの明細書によって示されていない限り、同様に構成され、同様に作用し、および/または同じ機能を有する。さらに、一実施例の特定の特徴は、図面またはこの明細書によって示されていない限り、別の実施例における対応する特徴と置き換えることができる。
【0007】
ここで図1を参照して、この発明の第1の具体的な実施例においては、織物10は第1の端部12へ長さ方向に延びる。織物10は管状であり、当該長さ方向は、管状織物10の中心軸14と平行に延びる。第1の端部12は、当該長さ方向と交差する線方向を規定する。この発明の第1の具体的な実施例においては、第1の端部12は周方向を規定する。織物10は、第1の端部12に隣接する第1の接着部16を含む。第1の接着部16は、第1の端部12におけるほつれを制限する。織物10は、当該長さ方向に沿って第1の
接着部16から間隔をおいて置かれた、第2の接着部18も含む。第2の接着部18も、第1の端部12におけるほつれを制限する。第1の接着部16および第2の接着部18は、織物10の周囲に満たない長さ延びる。言い換えれば、この発明の第1の実施例においては、前記第1の接着部16と前記第2の接着部18のいずれも、織物10の当該周方向全体にわたっては延びていない。
【0008】
第1の接着部16および第2の接着部18をこのように配置することによって、第1の端部12を別の構造の周囲に嵌装することができる。たとえば、第1の接着部16および第2の接着部18をこのように配置することによって、第1の端部12を若干伸長させて、たとえば取付部品などの、織物10によって保護される何らかの構造物を覆うことができる。仮に、第1の端部12の当該周方向全体が接着されていたとしたら、第1の端部12は、ある操作環境において所望のごとく伸長可能ではないであろう。第2の接着部18は、第1の接着部16と協働し、ほつれの可能性を低減する。第1の接着部16および第2の接着部18は、当該周方向において互いに間隔をおいて置かれる。言い換えれば、第1の接着部16および第2の接着部18は、織物10の当該周方向において互いにずらして置かれる。第1の接着部16と第2の接着部18とのこの協働によって、織物12は、第1の端部12において伸びるまたは伸長することができ、同時にほつれの可能性が低減される。
【0009】
この発明の第1の具体的な実施例の第1の接着部16および第2の接着部18は、当該周方向に沿って、第1および第2の複数の不連続な下位部を含む。たとえば、第1の接着部16は、下位部20−34を含む。第2の接着部18は、下位部36−50を含む。第1の複数の不連続な下位部20−34は、当該周方向に沿って第2の複数の不連続な下位部36−50からずらして置かれる。
【0010】
織物10は、組成、織成、および編成を含むがそれだけには限られない如何なる織物形成方法によっても形成され得る。また、織物10は、織物形成に用いられる如何なる材料からも形成され得る。この発明の第1の具体的な実施例は、溶融可能な材料から編まれている。
【0011】
図2は、織物10aにおいて第1の接着部16aおよび第2の接着部18aを形成するさまざまな方法を示す概略図である。この発明の1つの実施例においては、カラー52aは、加熱され、織物10aに対して圧着される。織物10aは、心棒54aに周設される。心棒54aは、織物10aが心棒54aに接着することを防ぐために冷却され得る。この発明の別の実施例においては、超音波発生器56aが織物10aに向けて用いられ得る。
【0012】
ここで図3を参照して、この発明の第3の具体的な実施例においては、平坦な織物10bは、第1の接着部16bおよび第2の接着部18bを備えて形成される。接着テープ部材58bは、織物10bに取付けられ、織物10bの長さ方向に沿って延びる。
【0013】
この発明の具体的な実施例における織物は、当該接着部の品質と特性を高めるために、少なくとも2つの異なる材料から形成され得る。たとえば、ある織物は、(1)直径0.015インチのナイロン−6,6熱安定化短繊維と、(2)直径0.010インチのPET(ポリエチレンテレフタレート)短繊維と、から形成され得る。当該織物の当該接着部は、超音波溶接によって形成され得、その場合当該織物の不連続な部分は、融点までまたは融点を超えるまで加熱される。当該接着部は、当該2つの材料の混紡体である。超音波溶接によって形成された接着部は、仮に当該織物がPETのみで形成されていた場合よりも強くなる。異なる材料からなる織物から形成された当該接着部は、このようにしてアロイ−2つの材料の混紡体であり当該2つの材料が個別に持つ特性と異なる特性を持った混
紡体−を構成する。当該アロイ組成を、材料の選択、および/または材料の割合の選択によってさまざまに変化させることができる。当該割合を、当該織物を形成する繊維の大きさ、および/またはある材料の繊維の、第2の材料の繊維に対する比率を変化させることによりさまざまに変化させることができる。
【0014】
よって、当該2つの材料の当該選択は、ともに溶融させる当該2つの異なる材料の当該混紡体から形成される、当該アロイについて所望される特性を考慮して行なわれ得る。言い換えれば、当該材料は、当該織物の第1の端部と第2の端部との間の当該長さ方向について所望される特性にのみ必ずしも基づかずに選択され得る。たとえば、ある例示的な織物は、高温に対する耐性が要求される環境において機能してもよい。この要件を考慮に入れると、高温に対する耐性のある当該織物を形成するために、複数の異なる材料を、独立して、または組合せて用ることができる。より広範なこの発明の、具体的な実施例は、当該織物に形成される当該接着部について所望される特性に基づいて、複数の材料から、少なくとも2つの異なる材料が選択されることを規定する。よって、当該選択された材料は、当該織物の長さ方向に沿って、および当該織物の端部について、当該織物の所望される機能特性を満たすだろう。
【0015】
別の例においては、当該織物の当該長さ方向における機能条件は、当該織物に形成される当該接着部について所望される特性に対して、二次的であってもよい。当該織物は当該織物が遮蔽する温度、振動、電磁場、またはその他如何なる条件に関して穏やかな環境で機能してもよい。さらに、当該織物は、一方の端部について、比較的高い強度または靭性を示すことを要求されてもよい。当該接着部について所望される他の特性は、可撓性および柔軟性を含むが、それだけには限られない。これらの要件を考慮して、より広範なこの発明の、具体的な実施例は、当該比較的高い強度または靭性を有する接着部位を生み出す、少なくとも2つの異なる材料が選択されることを規定する。いくつかの他の材料の組合せは、当該接着部について所望される比較的高い強度または靭性を生み出すことができてもよい。材料のある1つの組合せが、当該織物の当該長さ方向についての操作条件に基づいて異なるいくつかの組合せから選択され得る。よって、当該選択された材料は、当該織物の当該端部における当該接着部について所望される機能特性を満たし、また当該織物の長さ方向について所望される機能特性をも満たすだろう。
【0016】
上記の教示を考慮すると、この発明の多くの変形例および変更例が可能となる。したがって、特に規定のない限り、添付の特許請求の範囲内でこの発明が実施可能であることが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1の実施例に従う管状繊維構造を示す斜視図である。
【図2】この発明の第2の実施例に従う管状織物に形成された第1の接着部および第2の接着部を示す概略図である。
【図3】この発明の第3の実施例に従う平坦な織物を示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物を含む装置であって、
前記織物は、第1の端部と第2の端部との間に長さ方向に延びるとともに、前記長さ方向と交差する幅方向および周方向のいずれか1つである線方向に延び、前記第1の端部に隣接して配置されて前記第1の端部におけるほつれを制限する第1の接着部を有するとともに、前記長さ方向に沿って前記接着部と間隔をおいて置かれて前記第1の端部におけるほつれを制限する第2の接着部を有する、装置。
【請求項2】
前記第1の接着部および前記第2の接着部はさらに、前記線方向に沿って互いに間隔をおいて置かれるものと規定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記織物はさらに、軸を取り囲むスリーブであると規定され、前記線方向はさらに、周方向であると規定され、前記第1の接着部および前記第2の接着部はさらに、前記軸の周りで周方向に互いに間隔をおいて置かれるものと規定される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記織物はさらに、平坦で軸であると規定され、前記線方向はさらに、幅方向であると規定され、前記第1の接着部および前記第2の接着部はさらに、前記幅方向に沿って互いに間隔をおいて置かれるものとして規定される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の接着部および前記第2の接着部のうちの少なくとも1つは、前記長さ方向と交差して、前記線方向に満たない距離にわたって延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の接着部および前記第2の接着部の両方は、前記長さ方向と交差して、前記線方向に満たない距離にわたって延びる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の接着部はさらに、前記線方向に沿って互いに間隔をおいて置かれる第1の複数の不連続な下位部として規定される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の接着部はさらに、前記線方向に沿って互いに間隔をおいて置かれる第2の複数の不連続な下位部として規定される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の複数の不連続な下位部は、前記線方向に沿って前記第1の複数の不連続な下位部とずらして置かれる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の接着部および前記第2の接着部のうちの少なくとも1つは、前記織物を溶融させた部分である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の接着部および前記第2の接着部の両方は、前記織物を溶融させた部分である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
織物を第1の端部と第2の端部との間に長さ方向に延在させるとともに、前記織物を前記長さ方向と交差する幅方向および周方向のうちの1つである線方向に延在させるステップと、
第1の接着部を前記第1の端部に隣接して配置し、第1の端部におけるほつれを制限するステップと、
第2の接着部を長さ方向に沿って第1の接着部と間隔をおいて配置し、第1の端部におけるほつれを制限するステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記延在させるステップは、前記織物を形成するために組成、織成および編成のうちの
1つを選択するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の接着部を配置する前記ステップは、前記織物を溶融し、第1の接着部を形成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第2の接着部を配置する前記ステップは、前記織物を溶融し、第2の接着部を形成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融するステップは、前記織物を加熱されたカラーと心棒との間に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融するステップは、前記織物に超音波を当て、第1の接着部を形成するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記織物を形成する2つの異なる材料を、ともに溶融させた2つの異なる材料の混紡体から形成されたアロイの特性に基づいて、選択するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記織物を形成する所定の量の2つの異なる材料を、ともに溶融させた2つの異なる材料の混紡体から形成されたアロイの特性に基づいて、選択するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
織物を含む装置であって、
前記織物は、第1の端部と第2の端部との間に長さ方向に延びるとともに、前記長さ方向と交差する幅方向および周方向のうちの1つである線方向へ延びる2つの異なる材料から形成され、前記第1の端部に隣接して配置されて前記第1の端部におけるほつれを制限する第1の接着部を有するとともに、前記長さ方向に沿って前記第1の接着部と間隔をおいて置かれて前記第1の端部におけるほつれを制限する第2の接着部を有し、前記第1の接着部および前記第2の接着部は、ともに溶解された2つの異なる材料の混紡体から形成されたアロイを規定する、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−538392(P2009−538392A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504422(P2009−504422)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/065872
【国際公開番号】WO2007/118086
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】