説明

繊維機械におけるドラフト機構の配置構造

繊維機械におけるドラフト機構の配置構造であって、キャリア(2)が設けられており、該キャリア(2)が、トップローラを収容するために形成されており、支持体(1)が設けられており、該支持体(1)に、キャリア(2)が配置されており、該キャリア(2)が、繊維機械の少なくとも1つのホルダロッド(6)に固定するために設けられており、互いに向き合って配置された複数の支持体(1)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)に向いた側の接触面(5)で、少なくとも1つのホルダロッド(6)を部分的に収容するための少なくとも1つの凹部(3)を備えており、支持体(1)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)に対して平行な軸線を中心に旋回可能に互いに結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、繊維機械におけるドラフト機構の配置構造に関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第1971929号明細書から、請求項1の上位概念に記載の形式のドラフト機構の配置構造が公知である。各機械側の、互いに向き合う支持体は、それぞれ水平方向で延びるホルダロッドに取り付けられて、ホルダロッドに対して平行に、支持体の間に配置されたブリッジによって相互結合される。比較的高い安定性を得るために、両方の支持体は、追加的にブリッジに対して平行な、支持体の間に配置されたウェブによって結合される。
【0003】
この場合の欠点によれば、このようなドラフト機構の装備および装備変更は極めて面倒である。なぜならば先ず支持体は、ホルダロッドに対して調整して、次いで支持体に被せ嵌められたキャリアをホルダロッドに対して調整する必要があるという理由による。
【0004】
したがって本発明の課題は、繊維機械におけるドラフト機構を使用する際の融通性を高めて、特に繊維機械の装備に関する手間を低減することである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成によって解決された。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0007】
請求項1の構成によれば、支持体が、少なくとも1つのホルダロッドに対して平行な軸線を中心に旋回可能に相互結合されている。これによって、繊維機械の少なくとも1つのホルダロッドに支持体を取り付けるために、支持体は、互いに旋回することができ、支持体に配置されたキャリアを備えた、相互結合された支持体は、先ず少なくとも1つのホルダロッドに被せ嵌めて、同時にドラフト機構の、対応するボトムローラに対して調整することができる。この場合個々の支持体の落下はもはや生じず、もしくはキャリアが支持体によって少なくとも1つのホルダロッドに取り付けられるまえに、キャリアを調整するために、ホルダロッドに各支持体を一時的に取り付けるための追加的な補助手段は不要となる。したがって装備コストが削減される。なぜならば最初の組立および装備変更に際して掛かる時間が短縮されるからである。
【0008】
有利には、向き合った支持体は、緊締スリーブによって結合することができ、緊締スリーブの長手軸線を中心に支持体は旋回可能である。支持体は、緊締スリーブによって、簡単かつ安価な形式で結合可能であり、これによって少なくとも1つのホルダロッドに被せ嵌める際の操作が簡略化される。
【0009】
このために支持体は、それぞれ接触面に対して垂直方向で延びる少なくとも1つの突出部を備えており、突出部は、ホルダロッドに対して平行の貫通孔を備えており、貫通孔は、緊締スリーブを収容するのに役立つ。支持体における少なくとも1つの突出部は以下のように形成されていて、すなわち突出部は、別の支持体の少なくとも1つの突出部と係合するように形成されており、これによって相互結合される両方の支持体の整合した配置構造が達成される。このようにするとホルダロッドに支持体を取り付ける際に、両方の支持体の接触面は互いに平行になり、支持体は互いに整合する。
【0010】
有利には、貫通孔の中心点は、各接触面に対して幾分か引っ込めることができる。ホルダロッドに支持体を固定する際に、つまり支持体の凹部がホルダロッドを包囲して、接触面が互いに接触する場合、貫通孔は、幾分か外向きに移動し、これによって緊締スリーブはクランプされて、変形される。それゆえプレロードが形成され、これによってホルダロッドにおける支持体の固定は改善される。
【0011】
特に支持体は、同形に形成することができる。対向する支持体が同形に形成されていることによって、大量の生産数に基づいて、経済的な製造が達成され、したがって繊維機械の装備過程が簡単になり、取付に際して、緊締スリーブによって整合して相互結合するために、対応する構成を有する支持体が対を成して配置するよう考慮する必要はない。むしろ同形に形成された支持体は、少なくとも1つのホルダロッドに鏡像的に配置すればよく、これによって取付が簡単になる。
【0012】
さらに少なくとも1つのホルダロッドは、多角形の横断面を有することができる。これによって支持体に設けられた収容部における形状結合(形状による束縛)式の配置構造が得られ、支持体は、少なくとも1つのホルダロッドに対して相対回動不能に配置されている。
【0013】
選択的に鏡像的に配置された支持体を固定するために、互いに平行に配置された2つのホルダロッドを設けてもよい。したがってホルダロッドは、円形の横断面を有してよい。このようなホルダロッドは、簡単な幾何学横断面形状に基づいて安価に製造可能である。
以下に図面につき、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0014】
図1には、図示していないドラフト機構の2つの支持体1を示しており、支持体1は、繊維機械の、図示していない機械架台の、互いに平行に配置された2つのホルダロッド6に取り付けるのに役立つ。支持体1は、それぞれキャリア2を備えており、キャリア2は、支持体1に、支承軸線を中心として旋回可能に配置されている。キャリア2は、図示していないトップローラを収容するのに役立ち、トップローラは、各ドラフト機構の、図示していない対応するボトムローラと協働して、糸を延伸させるために用いられる。
【0015】
図1には、支持体1は、ホルダロッド6に被せ嵌め可能な位置で示した。このために支持体1は、対向して配置されていて、互いに向き合う端部で、緊締スリーブ4によって、図2に示したように、緊締スリーブ4の長手軸線を中心に旋回可能に結合される。支持体1は、キャリア2とは反対側で、互いに平行な2つの突出部7を備えており、突出部7は、緊締スリーブ4を収容するための、ホルダロッド6に対して平行な貫通孔10を備えている。両方の支持体1を結合するために、各突出部7は、互いにオーバーラップして配置されており、各貫通孔10が水平方向でみて整合するので、緊締スリーブ4は、貫通孔10を通って挿入することができる。
【0016】
さらに突出部7の下方で、支持体1の接触面5にそれぞれ2つの凹部3が配置されている。凹部3は、その形状および寸法でホルダロッド6に対応しているので、ホルダロッド6は、支持体1の固定姿勢で、凹部3に収容されている。凹部3の配置構造は、支持体1の固定姿勢でホルダロッド6に対して同軸的である。支持体1の各突出部7の貫通孔10は、接触面5に対して幾分か後退されているので、支持体1の凹部3がホルダロッド6を包囲して、支持体1の接触面が接触する場合、貫通孔10の中心点は、水平方向でみて互いに変位しており、その結果貫通孔10が緊締スリーブ4を変形する。
【0017】
緊締スリーブ4の変形によって、支持体1をホルダロッド6にクランプする際にプレロードが形成される。
【0018】
図3には、ホルダロッド6に固定された位置で支持体1を示した。このために支持体1は、緊締スリーブ4の長手軸線を中心に互いに接近するように旋回されるので、接触面5は互いに接触して、支持体1は互いに整合して配置される。支持体1を結合して固定するために、結合手段が設けられており、結合手段は、支持体1の、突出部7とは反対側に配置されている。
【0019】
図4には、結合手段の配置構造を示した。結合手段は、ねじ8とナット9とを備えており、ナット9は、有利にはプッシュナットとして形成されている。ねじ8およびナット9は、支持体1の側壁の間で、ホルダロッド6に対して横向きに、支持体1の、突出部7とは反対側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ドラフト機構の、ホルダロッドに被せ嵌められる2つの支持体を示す側面図である。
【図2】図1に示した支持体を上からみて示す詳細図である。
【図3】図1に示した、ホルダロッドに固定された両方の支持体を示す側面図である。
【図4】図3のBで示した部分の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械におけるドラフト機構の配置構造であって、
キャリア(2)が設けられており、該キャリア(2)が、トップローラを収容するために形成されており、支持体(1)が設けられており、該支持体(1)に、キャリア(2)が配置されており、該キャリア(2)が、繊維機械の少なくとも1つのホルダロッド(6)に固定するために設けられており、互いに向き合って配置された複数の支持体(1)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)に向いた側の接触面(5)で、少なくとも1つのホルダロッド(6)を部分的に収容するための少なくとも1つの凹部(3)を備えている形式のものにおいて、
支持体(1)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)に対して平行な軸線を中心に旋回可能に互いに結合されていることを特徴とする、繊維機械におけるドラフト機構の配置構造。
【請求項2】
互いに向き合った支持体(1)が、緊締スリーブ(4)によって結合されており、該緊締スリーブ(4)の長手軸線を中心として、支持体(1)が旋回されるようになっている、請求項1記載の配置構造。
【請求項3】
支持体(1)が、接触面(5)に対して垂直方向で延びる少なくとも1つの突出部(7)を備えており、該突出部(7)が、緊締スリーブ(4)を収容するようになっている、請求項1または2記載の配置構造。
【請求項4】
少なくとも1つの突出部(7)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)に対して平行な貫通孔(10)を備えている、請求項3記載の配置構造。
【請求項5】
貫通孔(10)の中心点が、接触面(5)に対して幾分か後退している、請求項4記載の配置構造。
【請求項6】
支持体(1)が、同形に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の配置構造。
【請求項7】
支持体(1)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)に鏡像的に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の配置構造。
【請求項8】
少なくとも1つのホルダロッド(6)が、多角形状の横断面を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の配置構造。
【請求項9】
互いに向き合う支持体(1)を固定するために、互いに平行に配置された2つのホルダロッド(6)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の配置構造。
【請求項10】
ホルダロッド(6)が、円形の横断面を有している、請求項9記載の配置構造。
【請求項11】
支持体(1)の下側に、結合手段(8,9)が配置されており、該結合手段(8,9)が、少なくとも1つのホルダロッド(6)を部分的に包囲する複数の支持体(1)を相互結合するようになっている、請求項1から10までのいずれか1項記載の配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−511768(P2009−511768A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535907(P2008−535907)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008463
【国際公開番号】WO2007/045300
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(507403964)エーリコン アコーテックス テクスパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Accotex Texparts GmbH
【住所又は居所原語表記】Maria−Merian−Strasse 8, D−70736 Fellbach, Germany
【Fターム(参考)】