説明

繊維機械及び繊維機械用除去物質吸引分離装置

【課題】風綿、糸屑などの除去物質を効率良く吸引除去することができる繊維機械を提供する。
【解決手段】精紡機1は、糸を巻き取る複数の紡績ユニット2と、集中ダクト30と、集中ブロアと、除去物質吸引分離装置63と、を備える。また、除去物質吸引分離装置63は、除去物質吸引ブロア32と、分離ダクト33と、を備える。集中ダクト30は、紡績ユニット2で発生した除去物質が少なくとも流れる。集中ブロアは、集中ダクト30内に空気流を発生させる。除去物質吸引ブロア32は、除去物質を吸引するための吸引流を発生させる。分離ダクト33は、除去物質と吸引流とを遠心分離するとともに前記除去物質を集中ダクト30へ案内する案内路61と、遠心分離された吸引流を外部に排出する排気路62と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、繊維機械に関する。詳細には、繊維機械において発生する風綿、糸屑などのゴミを吸引除去するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、繊維機械においては、糸屑や風綿等のゴミが日常的に発生する。仮にこのようなゴミを放置すれば、製品に付着して品質が低下したり、繊維機械自体の不具合を招いたりする。そこで、繊維機械においては従来から、適宜の箇所に吸引流を作用させて前記ゴミ(以下、除去物質という)を吸引除去する構成が知られている。
【0003】
ところで、精紡機、自動ワインダなどの繊維機械は、多数の巻取ユニットを備えた構成とされる場合がある。このような構成の繊維機械においては、各巻取ユニットにおいて除去物質を吸引除去して1箇所に集めて回収するため、内部が負圧に保たれた共通のダクトに対して各巻取ユニットを接続する構成が公知である。具体的には、多数の巻取ユニットが配列された方向に沿ってダクトが設置され、当該ダクト内はブロアによって負圧に保たれる。各巻取ユニットは、それぞれが前記ダクトに接続され、当該ダクトから負圧の供給を受ける。各巻取ユニットで発生した除去物質は、ダクトから供給される負圧によって当該ダクト内に吸引され、ダクト内に発生している空気流によって、当該ダクト内を前記ブロアに向かって搬送される。そして、ダクト内を搬送された除去物質は適宜のフィルタで回収された後、廃棄される。
【0004】
ところで、上記のような構成においては、巻取ユニットがブロアから遠ざかるに従い、当該巻取ユニットにおける吸引力が低下する。従って、ブロアから離れた位置の巻取ユニットで十分な吸引力を発揮させようとすると、ブロアを大型化したり、ダクトの断面積を大きくせざるを得ないなど、装置の大型化や消費電力の増大に繋がっていた。
【0005】
この点、特許文献1は、主吸引ダクトと、主吸引ダクトに沿って配設された副吸引ダクトと、主吸引ダクトと副吸引ダクトとを適宜の箇所で接続する連通ダクトと、を有する繊維機械を開示する。特許文献1は、これにより、ブロアの吸引能力を変更しなくても主吸引ダクトの吸引力を増加させ、ブロアから離れた位置でも風綿や糸屑を吸引することができるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−2482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成によっても、ブロアから離れるに従って吸引力が低下してしまうことを避けることはできない。従って、巻取ユニットの数が増えるに従い、装置の小型化及び消費電力の節減が困難になっていた。また、特に近年は、繊維機械が備える巻取ユニットの数を更に増大させたいという要望があり、効率良く除去物質の吸引除去を行うことができる構成が求められていた。
【0008】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、風綿、糸屑などの除去物質を効率良く吸引除去することができる繊維機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の繊維機械が提供される。即ち、この繊維機械は、糸を巻き取る複数の巻取ユニットと、集中ダクトと、集中ブロアと、除去物質吸引流発生装置と、分離ダクトと、を備える。前記集中ダクトは、前記巻取ユニットで発生した除去物質が少なくとも流れる。前記集中ブロアは、前記集中ダクト内に空気流を発生させる。前記除去物質吸引流発生装置は、前記除去物質を吸引するための吸引流を発生させる。前記分離ダクトは、前記除去物質と前記吸引流とを遠心分離するとともに前記除去物質を前記集中ダクトへ案内する案内路と、遠心分離された前記吸引流を外部に排出する排気路と、を少なくとも有する。
【0011】
これにより、巻取ユニットで発生した除去物質(ゴミ)を除去物質吸引流発生装置による吸引流で吸引除去することができるので、除去物質を吸引除去するための吸引流を集中ブロアによって発生させる必要が無くなり、当該集中ブロアを小型化して消費電力を削減することができる。また、分離ダクトによって除去物質と吸引流とを遠心分離することができるので、除去物質のみを集中ダクト内に案内することができる。これにより、除去物質吸引流発生装置による大量の空気流が集中ダクト内に流入することを防止できる。従って、小型の集中ブロアであっても、集中ダクト内に空気流を発生させ、集中ダクト内に導入された除去物質を好適に回収することができる。
【0012】
前記の繊維機械において、前記除去物質吸引流発生装置及び前記分離ダクトは、前記複数の巻取ユニットのそれぞれに対して設けられることが好ましい。
【0013】
これにより、各除去物質吸引流発生装置は、1つの巻取ユニットに対してのみ吸引流を発生させれば良いので、小型の装置を用いることが可能となり、消費電力を削減することができる。
【0014】
前記の繊維機械においては、以下のように構成することもできる。即ち、前記複数の巻取ユニットは、所定の数の巻取ユニットから構成される複数の巻取ユニット群から構成される。前記除去物質吸引流発生装置及び前記分離ダクトは、前記複数の巻取ユニット群のそれぞれに対して設けられる。
【0015】
これにより、除去物質吸引流発生装置及び分離ダクトを全ての巻取ユニットに対して備える必要が無いので、部品点数を削減し、製造コストを抑えることができる。
【0016】
前記の繊維機械においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記分離ダクトは、前記除去物質が導入される導入口と、前記除去物質を前記集中ダクト内に排出する除去物質排出口と、排気口と、を有する。また、前記案内路は、前記導入口と前記除去物質排出口とを接続するとともに、途中に曲がり部を有している。前記排気路は、前記案内路の途中から分岐し、前記排気口まで至るように構成される。そして、前記除去物質吸引流発生装置は、前記導入口又は前記排気口の少なくとも何れか一方に接続される。
【0017】
この構成で、導入口から空気流とともに分離ダクトに導入された除去物質は、曲がり部によって進路を曲げられることにより遠心力の作用を受け、案内路の壁面に沿って進む。一方、空気流は排気路側に導かれて、排気口から排気される。これにより、分離ダクトによって除去物質と空気流とを分離して、除去物質のみを集中ダクト内に排出することができる。この分離ダクトは、自然な空気の流れに任せて除去物質を案内路の壁面に沿って移動させ、集中ダクト内に排出することができる。従って、比較的小型の除去物質吸引流発生装置によって十分な吸引力を実現することができる。
【0018】
前記の繊維機械において、前記案内路は、前記排気路が分岐した位置よりも除去物質排出口側の少なくとも一部の流路断面積が、前記排気路の流路断面積よりも狭くなるように形成されることが好ましい。
【0019】
これにより、排気路の方に空気流が流れ易くなり、除去物質と空気流を良好に分離することができる。
【0020】
前記の繊維機械においては、前記排気路が前記案内路から分岐する箇所において、当該排気路は、前記曲がり部よりも除去物質排出口側の位置において、当該曲がり部と同じ方向に曲がるように前記案内路から分岐することが好ましい。
【0021】
即ち、曲がり部の下流側において、曲がり部の内側の方向に排気路が分岐することにより、当該排気路に沿って進む空気流と、遠心力の作用により曲がり部の外側の壁面に沿って進む除去物質と、を良好に分離することができる。
【0022】
前記の繊維機械においては、前記案内路において、前記曲がり部で曲がる前の流路の方向と、前記曲がり部で曲がった後の流路の方向と、が90°以上の角度をなすことが好ましい。
【0023】
これにより、導入口から導入されて案内路を進む除去物質が曲がり部の外側の壁面に対面するように、案内路を形成することができる。従って、除去物質を曲がり部の壁面に確実に当て、当該除去物質を曲がり部の外側の壁面に沿って進ませることができる。
【0024】
前記の繊維機械において、前記除去物質吸引流発生装置は、前記巻取ユニットと前記導入口との間に接続されることが好ましい。
【0025】
これにより、除去物質吸引流発生装置によって吸引流を発生させ、巻取ユニットで発生した除去物質を吸引して分離ダクト内に導入することができる。
【0026】
ただし、前記の繊維機械において、前記除去物質吸引流発生装置は前記排気口に接続することもできる。
【0027】
この場合でも、除去物質吸引流発生装置によって吸引流を発生させ、巻取ユニットで発生した除去物質を吸引して分離ダクト内に導入することができる。また、排気口には除去物質が除去された空気流が流れていくので、除去物質吸引流発生装置としては、除去物質を吸い込むことができない汎用のブロア等を用いることができる。
【0028】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の繊維機械用除去物質吸引分離装置が提供される。即ち、この除去物質吸引分離装置は、吸引流を発生させる除去物質吸引流発生装置と、吸引流と除去物質とを分離する分離ダクトと、を備える。前記分離ダクトは、導入口と、除去物質排出口と、排気口と、案内路と、排気路と、を有する。前記導入口には、吸引された除去物質が導入される。前記除去物質排出口は、前記除去物質を当該分離ダクトの外部に排出する。前記案内路は、前記導入口と前記除去物質排出口とを接続し、途中に曲がり部を有する。前記排気路は、前記案内路の途中から分岐し、前記排気口まで至る。そして、前記除去物質吸引流発生装置は、前記導入口又は前記排気口の少なくとも何れか一方に接続される。
【0029】
この構成で、導入口から空気流とともに分離ダクトに導入された除去物質は、曲がり部によって進路を曲げられることにより遠心力の作用を受け、案内路の壁面に沿って進む。一方、空気流は排気路側に導かれて、排気口から排気される。これにより、分離ダクトによって除去物質と空気流とを分離して外部に排出することができる。また、この分離ダクトは、自然な空気の流れに任せて除去物質を案内路の壁面に沿って移動させ、当該分離ダクトの外部に排出することができる。従って、比較的小型の除去物質吸引流発生装置を用いることができる。また、上記除去物質吸引分離装置は簡単な構成であり、既存の繊維機械に対しても簡単に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示した正面図。
【図2】精紡機の縦断面図。
【図3】除去物質吸引ブロアが吸引した除去物質及び空気流が流れる様子を示す模式図。
【図4】分離ダクトの外観斜視図。
【図5】除去物質及び空気流が分離ダクト内を流れる様子を示す平面断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る精紡機において、除去物質及び空気流が流れる様子を示す模式図。
【図7】(a)変形例に係る分離ダクトの平面断面図。(b)別の変形例に係る分離ダクトの平面断面図。
【図8】変形例に係る自動ワインダの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は本実施形態に係る精紡機1の全体的な構成を示した正面図、図2は精紡機1の縦断面図である。
【0032】
図1に示す繊維機械としての精紡機1は、並設された多数の紡績ユニット(巻取ユニット)2を備えている。この精紡機1は、糸継台車3と、ブロアボックス4と、原動機ボックス5と、を備えている。前記糸継台車3は、紡績ユニット2が並べられる方向に走行可能な構成となっている。
【0033】
また、紡績ユニット2の背面側であって、紡績ユニット2が並べられている方向に、集中ダクト30が配設されている。この集中ダクト30は、ブロアボックス4内に備えられた集中ブロア31に接続されている。この集中ブロア31によって、集中ダクト30の内部が負圧に保たれるように構成されている。
【0034】
図1に示すように、各紡績ユニット2は、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸送り装置11と、巻取装置12と、を主要な構成として備えている。ドラフト装置7は精紡機1のフレーム6の上部に設けられており、紡績装置9は、このドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績するように構成されている。紡績装置9から送り出された紡績糸10は糸送り装置11で送られた後、巻取装置12によって巻き取られ、パッケージ45を形成する。
【0035】
ドラフト装置7は、スライバ13を延伸して繊維束8にするためのものである。このドラフト装置7は図2に示すように、バックローラ14、サードローラ15、エプロンベルト16を装架したミドルローラ17及びフロントローラ18の4つのローラを備えている。
【0036】
紡績装置9は、繊維束8を挿通させることが可能な旋回流発生室(図略)を備える。この旋回流発生室の内部に、図略のノズルから圧縮空気を噴射することにより、当該旋回流発生室内に旋回気流を発生させ、この旋回気流によって繊維束8に撚りを与えて紡績糸10を生成するように構成されている。
【0037】
また図2に示すように、紡績装置9は、除去物質吸引分離装置63を介して、前記集中ダクト30に接続されている。この除去物質吸引分離装置63は、除去物質吸引ブロア(除去物質吸引流発生装置)32と、分離ダクト33と、を備えている。除去物質吸引ブロア32は、吸引流を発生させて旋回流発生室内の除去物質を吸引するとともに、当該吸引した除去物質を集中ダクト30側に送り出すように構成されている。これにより、紡績時に紡績糸10に撚り込まれなかった風綿、糸屑などの除去物質が、旋回流発生室内に滞留して旋回流の発生を阻害することを防ぐことができる。なお、除去物質吸引流発生装置としては、ブロアに代えて、エアサッカーを用いても良い。
【0038】
糸送り装置11は、精紡機1のフレーム6に支持されたデリベリローラ39と、デリベリローラ39に接触するように配置されるニップローラ40と、を備える。この構成で、紡績装置9から排出された紡績糸10をデリベリローラ39とニップローラ40との間に挟んでデリベリローラ39を図示しない電動モータで回転駆動することにより、紡績糸10を巻取装置12側へ送ることができる。
【0039】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、スプライサ(糸継装置)43と、サクションパイプ44と、サクションマウス46と、を備えている。糸継台車3は図1に示すように、精紡機1本体のフレーム6に設けられたレール41上を走行するように設けられている。ある紡績ユニット2で糸切れや糸切断が発生すると、糸継台車3は当該紡績ユニット2まで走行し、停止する。サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、紡績装置9から送出される糸端を吸い込みつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、前記巻取装置12に回転自在に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。スプライサ43は、案内された糸端同士の糸継ぎを行うように構成されている。
【0040】
次に、各紡績ユニット2で発生した糸屑や風綿等の除去物質を吸引除去するための構成について説明する。
【0041】
最初に従来の構成を説明すると、従来の繊維機械においては前述のように、内部を負圧に保たれた共通のダクト(本実施形態の集中ダクト30に対応)によって、各巻取ユニットに吸引流を作用させて除去物質を吸引除去していた。しかしながら、このような従来の構成では、除去物質を吸引除去するために必要な吸引流を発生させると、大量の空気がダクト内に流入する。従って、従来の構成では圧力損失が大きく、ブロア(本実施形態の集中ブロア31に対応)から離れるに従い吸引力が低下してしまっていた。また、このような構成では、1つのブロアで多数の巻取ユニットに吸引流を発生させなければならない。従って、従来の構成においては、巻取ユニットの数が増えるに従い、ブロアが大型化してしまうとともに消費電力も増大してしまっていた。
【0042】
そこで、本実施形態では、前記除去物質吸引ブロア32を各紡績ユニット2に設け、この除去物質吸引ブロア32によって吸引流を発生させることにより、除去物質を吸引除去するように構成したものである。これにより、集中ブロア31からの距離に関係なく、除去物質吸引ブロア32によって、それぞれの紡績ユニット2において十分な吸引力を発生させることができる。また、各除去物質吸引ブロア32は、1つの紡績ユニット2に対してだけ吸引力を発生させれば良いので、小型のブロアを用いることができる。
【0043】
本実施形態のように除去物質吸引ブロア32を備えた精紡機1においては、集中ブロア31による吸引力は、主に、除去物質吸引ブロア32が吸引した除去物質を1箇所に集めて回収するために用いる。即ち、除去物質吸引ブロア32が吸引した除去物質は、集中ダクト30内に導入される。この除去物質は、集中ブロア31の吸引力によって集中ダクト30内に発生している空気流に乗り、当該集中ダクト30内を搬送される。その後、ブロアボックス4内に設置された適宜のフィルタ等によって回収される。
【0044】
このようにして、各紡績ユニット2が備える除去物質吸引ブロア32によって除去物質を吸引除去するとともに、当該除去物質を集中ブロア31によって1箇所に集めて回収することができる。また、除去物質の吸引及び回収を除去物質吸引ブロア32と集中ブロア31で分担する構成により、集中ブロア31としては、除去物質を吸引するための大量の吸引流を発生させる必要が無くなる。従って、集中ブロア31の消費電力を従来の構成に比べて大幅に削減することが可能となり、また、集中ブロア31として小型のブロアを用いることができる。
【0045】
ところで、除去物質吸引ブロア32が吸引流(空気流)によって吸引した除去物質を集中ダクト30内に導入する際に、除去物質と一緒に空気流がそのまま集中ダクト30内に流入すると、集中ダクト30内の空気圧が上昇してしまう。一方で、集中ダクト30内に導入された除去物質を1箇所に回収するためには、集中ブロア31によって集中ダクト30の内部を負圧に保つ必要がある。従って、仮に除去物質吸引ブロア32と集中ダクト30とを直結すれば、除去物質を1箇所に収集する機能を確保するために、結局は大型の集中ブロア31が必要になってしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、除去物質吸引ブロア32が送り出す除去物質が混入した空気流の中から、除去物質のみを分離して集中ダクト30に導入するための分離ダクト33を、各除去物質吸引ブロア32と集中ダクト30との間に設けた構成としている。
【0047】
この構成について、図3を参照して説明する。図3は、紡績ユニット2に接続された除去物質吸引ブロア32が除去物質を吸引した際、除去物質及び空気流が流れる様子を示した模式図である。
【0048】
図3に示すように、各紡績ユニット2には除去物質吸引ブロア32が接続されている。この除去物質吸引ブロア32は、紡績ユニット2の所定の除去物質吸引箇所(例えば図2の例では、紡績装置9の旋回流発生室内)に吸引流を発生させ、除去物質を吸引除去するように構成されている。また、この除去物質吸引ブロア32は、除去物質を吸い込んで、当該除去物質と一緒に正圧の空気を送り出すことができるように構成されている。
【0049】
図3に示すように、除去物質吸引ブロア32が空気流92とともに送り出す除去物質91は、分離ダクト33を介して、集中ダクト30内に導入される。なお、図示は省略しているが、集中ダクト30には、複数の紡績ユニット2がそれぞれ除去物質吸引分離装置63を介して接続されている。これにより、複数の紡績ユニット2からの除去物質が、集中ダクト30内に導入される。
【0050】
分離ダクト33には、導入口34と、除去物質排出口35と、排気口36と、が形成されている。導入口34は除去物質吸引ブロア32の排気部に、除去物質排出口35は集中ダクト30に、それぞれ接続されている。また、排気口36は大気に開放されている。
【0051】
図3に示すように、除去物質吸引ブロア32から送り出される空気流92は、除去物質91が混入した状態で、導入口34から分離ダクト33内に導入される。そして、除去物質91と空気流92は分離ダクト33内で分離され、空気流92の大部分は排気口36から大気中に排出される。一方、除去物質91と、空気流92の一部は、除去物質排出口35から集中ダクト30内に導入される。
【0052】
以上のようにして、除去物質91を含む大容量の空気流92の中から、ほぼ除去物質91のみを分離して集中ダクト30内に導入することができる。
【0053】
なお、上記の説明では除去物質吸引分離装置63(除去物質吸引ブロア32及び分離ダクト33)は1つの紡績ユニット2に対してそれぞれ設ける構成としたが、これに限らない。例えば、複数(例えば4つ)の紡績ユニット2をまとめて紡績ユニット群(巻取ユニット群)を構成し、当該紡績ユニット群それぞれに対して1つの除去物質吸引分離装置63を接続するように構成しても良い。
【0054】
次に、分離ダクト33の構成について、更に詳しく説明する。図4は、分離ダクト33の外観斜視図、図5は分離ダクト33内を流れる除去物質91及び空気流92の様子を示した分離ダクト33の平面断面図である。なお、図4においては、分離ダクト33内の様子をより良く示すために当該分離ダクト33の上部が省略された状態で描かれているが、実際には、図中に2点鎖線で示すように当該分離ダクト33の上部は閉鎖されている。
【0055】
分離ダクト33は板金によって構成されるが、素材はこれに限らず、例えばプラスチック等によって形成することができる。また、図5に示す矩形状の分離ダクト33の一辺の長さは、例えば30〜200mmとすることができるが、これに限定されない。
【0056】
図5に示すように、当該分離ダクト33は、導入口34と除去物質排出口35とを接続する案内路61と、案内路61から分岐して排気口36まで至る排気路62と、を備えている。なお、案内路61と排気路62に関する以下の説明において、導入口34側を上流側、除去物質排出口35側又は排気口36側を下流側と称する場合がある。
【0057】
案内路61は湾曲部(曲がり部)37を備え、当該湾曲部37において湾曲して形成されている。具体的には、案内路61は、導入口34から湾曲部37までは略直線状に形成され、湾曲部37において90°よりもやや大きい角度で向きを変え、更に湾曲部37から除去物質排出口35までは略直線状に形成されている。また、湾曲部37は略円弧状に形成されており、これにより、案内路61は滑らかに向きを変えるように形成されている。
【0058】
排気路62は、湾曲部37のすぐ下流側において、案内路61から分岐するようにして形成されている。また、排気路62は、前記円弧状の湾曲部37の内周側の壁面から、案内路61に接続している。
【0059】
次に、分離ダクト33内を除去物質91及び空気流92が流れるときの様子について説明する。
【0060】
前述のように、導入口34から湾曲部37までの流路は略直線状に形成されている。従って、導入口34から案内路61に導入された除去物質91は、空気流92に乗って湾曲部37まで進み、円弧状の湾曲部37の外周側の壁面に当たる。このとき、案内路61は湾曲部37において90°よりもやや大きい角度で曲がって形成されているので、案内路61の全幅にわたって流れる除去物質91の全てを、円弧状の湾曲部37の外周側の壁面に確実に当てることができる。これにより、除去物質91は円弧状の湾曲部37の外周側の壁面に沿って下流側に流れ、遠心力の作用を受ける。
【0061】
ここで、案内路61及び排気路62は、
(排気路62の流路断面積)>(排気路62が分岐する位置より下流側の案内路61の流路断面積)
となるように形成されている。従って、導入口34から導入された空気流92は、排気口36の方に流れ易く、除去物質排出口35の方には流れにくい。このため、湾曲部37を通過した空気流92は、一部は案内路61に沿って除去物質排出口35の方に流れるものの、大部分は排気路62に沿って流れ、排気口36から分離ダクト33の外部に排出される。
【0062】
一方、除去物質91は、前記遠心力の作用を受けつつ、湾曲部37の外周側の壁面に沿って移動する。従って、除去物質91は、湾曲部37の内周側に接続されている排気路62の方には流れず、湾曲部37を通過した後も慣性力によって案内路61に沿って移動し、除去物質排出口35まで至る。
【0063】
ここで、除去物質排出口35の方には、排気路62に流れていかなかった一部の空気流92が流れる。また、集中ダクト30内は負圧に保たれているので、前記一部の空気流92は、集中ダクト30の方に流れていく。従って、除去物質91は、空気流92に乗って、分離ダクト33内から集中ダクト30内に導入される。
【0064】
また、導入口34及び排気口36は、
(排気口36の流路断面積)>(導入口34の流路断面積)
となるように形成されている。また、この関係から、
(排気口36の流路断面積)+(除去物質排出口35の流路断面積)>(導入口34の流路断面積)
となることも明らかである。これにより、導入口34から空気流を導入する際の圧力が小さくて済むので、小型の除去物質吸引ブロア32を用いることができる。
【0065】
更に、以上のように構成された分離ダクト33について上記以外の特徴を列記すると、以下のようである。
【0066】
即ち、案内路61及び排気路62においては、湾曲部37以外の部分は略直線状に形成されているので、除去物質91及び空気流92は、湾曲部37において1回曲がるだけで比較的スムーズに流れ、圧力損失が小さい。従って、本実施形態の分離ダクト33は、自然な空気の流れに任せて除去物質91を集中ダクト30に導入できるので、除去物質吸引ブロア32によって発生させる圧力は比較的小さくても良く、除去物質吸引ブロア32は小型のブロアを用いることができる。
【0067】
また、分離ダクト33は可動部分等も無く、簡単な構造の流路部材として構成されているから、低コストで製造することができる。
【0068】
また、分離ダクト33からの除去物質は、空気流92及び集中ダクト30の負圧によって、自然に集中ダクト30内に導入される。従って、分離した除去物質91を集中ダクト30内に導入するための構成を別途備える必要がない。
【0069】
更に、本実施形態の構成は、集中ダクト30と各紡績ユニット2との間に、除去物質吸引ブロア32と分離ダクト33とからなる除去物質吸引分離装置63を接続するだけで実現することができる。従って、除去物質を吸引除去するためのダクトを備える既存の繊維機械に対して除去物質吸引分離装置63を取り付けるだけで、消費電力削減等の効果を容易に得ることができる。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本実施形態の精紡機1において、除去物質及び空気流が流れる様子を示す模式図である。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図6に示すように、本実施形態の除去物質吸引分離装置64においては、導入口34に紡績ユニット2が直接接続され、排気口36には負圧を生じる吸引ブロア(除去物質吸引流発生装置)32xが接続されている。
【0072】
本実施形態においては、排気口36に接続された吸引ブロア32xによって分離ダクト33内に負圧を発生させ、これにより導入口34に空気流92を発生させている。これにより、紡績ユニット2の適宜の除去物質吸引箇所に吸引流を発生させ、除去物質91を吸引除去することができる。
【0073】
なお、集中ダクト30内の圧力に比べて分離ダクト33内の圧力の方が低いと、集中ダクト30内の除去物質91が分離ダクト33内に逆流してしまうことが考えられる。そこで、
Pa>Pb>Pc
となるように、集中ブロア31及び吸引ブロア32xの容量が定められている。ここで、Paは導入口34近傍の圧力(大気圧)、Pbは排気口36近傍の圧力(吸引ブロア32xによって発生させる負圧)、Pcは除去物質排出口35近傍の圧力(集中ブロア31によって発生させる負圧、即ち集中ダクト30内の圧力)である。
【0074】
また、本実施形態においては、吸引ブロア32xは、除去物質91を分離した後の清浄な空気流92を吸引している。従って、第1実施形態とは異なり、除去物質91を吸引できない一般の(安価な)ブロアを吸引ブロア32xとして用いることができる。
【0075】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。図7(a)は変形例に係る分離ダクトの平面断面図、図7(b)は別の変形例に係る分離ダクトの平面断面図である。
【0076】
図7(a)に示す変形例の分離ダクト47においては、導入口34のすぐ下流側で、流路断面積が小さくなるように案内路61が形成されている。また、除去物質排出口35のすぐ上流側で、流路断面積が大きくなるように案内路61が形成されている。また、排気路62は、途中で流路断面積が大きくなるように形成されている。この変形例に係る分離ダクト47のように、案内路61又は排気路62の途中の適宜の位置で、流路の断面積や形状を変更しても良い。
【0077】
図7(b)に示す別の変形例の分離ダクト48においては、案内路61には、当該案内路61の一部の流路断面積を絞るように絞り部49が形成されている。即ち、上記第1実施形態等で示した分離ダクトにおいては、空気流が除去物質排出口の方に流れて行きにくくするため、排気路62から分岐した地点より下流側において、案内路61の流路断面積を一様に狭くしていた。しかしこの構成では除去物質が詰まり易いという問題があるため、この変形例では、絞り部49によって案内路61の一部だけ流路断面積を狭くしたものである。これにより、当該絞り部49において流速が大きくなるので、除去物質を詰まりにくくすることができる。
【0078】
また分離ダクト48において、排気路62は、導入口34から湾曲部37に至るまでの案内路61の流路と平行になるように形成されている。この構成では、湾曲部37を通過した空気流は、180°ターンして排気路62に入ることになるが、この構成でも空気流を良好に排気口36まで流すことができる。
【0079】
以上で説明したように、上記第1及び第2実施形態の精紡機1は、糸を巻き取る複数の紡績ユニット2と、集中ダクト30と、集中ブロア31と、除去物質吸引分離装置63又は除去物質吸引分離装置64と、を備える。また、除去物質吸引分離装置63,64は、除去物質吸引ブロア32又は吸引ブロア32xと、分離ダクト33と、を備える。集中ダクト30は、紡績ユニット2で発生した除去物質が少なくとも流れる。集中ブロア31は、集中ダクト30内に空気流を発生させる。除去物質吸引ブロア32(吸引ブロア32x)は、除去物質を吸引するための吸引流を発生させる。分離ダクト33は、除去物質と吸引流とを遠心分離するとともに前記除去物質を集中ダクト30へ案内する案内路61と、遠心分離された吸引流を外部に排出する排気路62と、を有する。
【0080】
これにより、紡績ユニット2で発生した除去物質(ゴミ)を除去物質吸引ブロア32又は吸引ブロア32xによる吸引流で吸引除去することができるので、除去物質を吸引除去するための吸引流を集中ブロア31によって発生させる必要が無くなり、当該集中ブロア31を小型化して消費電力を削減することができる。また、分離ダクト33によって除去物質と吸引流とを遠心分離することができるので、除去物質のみを集中ダクト30内に案内することができる。これにより、除去物質吸引ブロア32又は吸引ブロア32xによる大量の空気流が集中ダクト30内に流入することを防止できる。従って、小型の集中ブロアであっても、集中ダクト30内に空気流を発生させ、集中ダクト30内に導入された除去物質を好適に回収することができる。
【0081】
また、上記実施形態の精紡機1において、除去物質吸引分離装置63又は除去物質吸引分離装置64は、複数の紡績ユニット2のそれぞれに対して設けらている。
【0082】
これにより、除去物質吸引ブロア32又は吸引ブロア32xは、1つの紡績ユニット2に対してのみ吸引流を発生させれば良いので、小型の装置を用いることが可能となり、消費電力を削減することができる。
【0083】
また、上記実施形態の精紡機1においては、以下のように構成することもできる。即ち、複数の紡績ユニット2は、所定の数の紡績ユニット2から構成される複数の巻取ユニット群から構成される。そして、除去物質吸引分離装置63又は除去物質吸引分離装置64は、前記複数の巻取ユニット群のそれぞれに対して設けられる。
【0084】
これにより、除去物質吸引ブロア32び分離ダクト33を全ての紡績ユニット2に対して備える必要が無いので、部品点数を削減し、製造コストを抑えることができる。
【0085】
また、上記実施形態の精紡機1において、分離ダクト33は以下のように構成される。即ち、分離ダクト33は、除去物質が導入される導入口34と、除去物質を集中ダクト30内に排出する除去物質排出口35と、排気口36と、を有する。また、案内路61は、導入口34と除去物質排出口35とを接続し、途中に湾曲部37を有する。排気路62は、案内路61の途中から分岐し、排気口36まで至る。そして、除去物質吸引ブロア32(吸引ブロア32x)は、導入口34又は排気口36の何れか一方に接続される。
【0086】
この構成で、導入口34から空気流92とともに分離ダクト33に導入された除去物質91は、湾曲部37によって進路を曲げられることにより遠心力の作用を受け、案内路61の壁面に沿って進む。一方、空気流92は排気路62側に導かれて、排気口36から排気される。これにより、分離ダクト33によって除去物質91と空気流92とを分離して、除去物質91のみを集中ダクト30内に排出することができる。この分離ダクト33は、自然な空気の流れに任せて除去物質91を案内路61の壁面に沿って移動させ、集中ダクト30内に排出することができる。従って、比較的小型の除去物質吸引ブロア32(吸引ブロア32x)によって十分な吸引力を実現することができる。更に、上記除去物質吸引分離装置63,64は簡単な構成であり、既存の繊維機械に対しても簡単に適用することができる。
【0087】
また、上記実施形態の精紡機1において、案内路61は、排気路62が分岐した位置よりも除去物質排出口35側の少なくとも一部の流路断面積が、排気路62の流路断面積よりも狭くなるように形成されている。
【0088】
これにより、排気路62の方に空気流92が流れ易くなり、除去物質91と空気流92を良好に分離することができる。
【0089】
また、上記実施形態の精紡機1においては、排気路62が案内路61から分岐する箇所において、当該排気路62は、湾曲部37よりも除去物質排出口35側の位置において、当該湾曲部37と同じ方向に曲がるように案内路61から分岐している。
【0090】
即ち、湾曲部37の下流側において、湾曲部37の内側の方向に排気路62が分岐することにより、当該排気路62に沿って進む空気流92と、遠心力の作用により湾曲部37の外側の壁面に沿って進む除去物質91と、を良好に分離することができる。
【0091】
また、上記実施形態の精紡機1においては、案内路61において、湾曲部37で曲がる前の流路の方向と、湾曲部37で曲がった後の流路の方向と、が90°以上の角度をなしている。
【0092】
これにより、導入口34から導入されて案内路61を進む除去物質91が湾曲部37の外側の壁面に対面するように、案内路61を形成することができる。従って、除去物質91を湾曲部37の壁面に確実に当て、当該除去物質91を湾曲部37の外側の壁面に沿って進ませることができる。
【0093】
また、上記第1実施形態の精紡機1において、除去物質吸引ブロア32は、紡績ユニット2と導入口34との間に接続されている。
【0094】
これにより、除去物質吸引ブロア32によって吸引流を発生させ、紡績ユニット2で発生した除去物質を吸引して分離ダクト33内に導入することができる。
【0095】
また、上記第2実施形態の精紡機1において、吸引ブロア32xは排気口36に接続されている。
【0096】
これにより、吸引ブロア32xによって吸引流を発生させ、紡績ユニット2で発生した除去物質を吸引して分離ダクト33内に導入することができる。また、排気口36には除去物質91が除去された空気流92が流れていくので、吸引ブロア32xとしては、除去物質を吸い込むことができない汎用のブロアを用いることができる。
【0097】
以上に本発明の好適な実施の形態及びその変形例について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0098】
上記実施形態では、除去物質吸引箇所を紡績装置9の旋回流発生室内としたが、これに限らない。例えば、ドラフト装置7のドラフトローラの外周面に近接させるようにして、除去物質吸引箇所としての吸引口を配置することができる。また、糸道に近接させて吸引口を設け、紡績糸10又は繊維束8に付着した除去物質を吸引除去するように構成することができる。この場合、特に空気式の精紡機に限らず、他の形式の精紡機(例えば、リング精紡機)にも本発明の構成を適用することができる。
【0099】
また、本発明の構成は精紡機に限らず、他の構成の繊維機械に使用することができる。例えば、図8に、本発明の構成を自動ワインダに適用した様子を示す。図8は、この自動ワインダの縦断面図である。自動ワインダは、多数のワインダユニット(巻取ユニット)100を並列して備えている。また、自動ワインダは、その内部が負圧に保たれた集中ダクト30を備えている。
【0100】
ワインダユニット100の構成を簡単に説明すると、給糸ボビン93から解舒される紡績糸97を、テンサ94によって所定の巻取張力を付与しつつ、巻取ドラム98によってパッケージ99の表面に綾振りして巻き取るものである。また、ワインダユニット100は、走行する紡績糸97の糸欠点を監視するための糸欠点検出装置96と、糸切断時にパッケージ99側の上糸と給糸ボビン93側の下糸を糸継ぎするための糸継装置95を備えている。
【0101】
そして、このワインダユニット100は、給糸ボビンから解舒された紡績糸の糸道に近接して、吸引口(除去物質吸引箇所)70を備えている。この吸引口70は、除去物質吸引分離装置63を介して集中ダクト30に接続されている。そして、吸引口70に吸引流を発生させることによって、給糸ボビン93から解舒された紡績糸97に付着している風綿、糸屑などの除去物質を吸引除去し、集中ダクト30内に回収することができる。
【0102】
また、上記以外にも、例えば撚糸機、合糸機等の繊維機械に本発明の構成を適用することができる。
【0103】
上記第1実施形態において、糸継台車3が糸継作業を行った際に発生するゴミを吸引除去するサクションダクトが精紡機1に設けられていても良い。この場合、糸継台車3と当該サクションダクトとの接続部に除去物質吸引分離装置63を配置して、除去物質と空気流を吸引分離するようにしても良い。
【0104】
1つの巻取ユニットが、1つではなく複数の除去物質吸引箇所を備えていても良い。この場合、複数の除去物質吸引箇所に対してそれぞれ除去物質吸引分離装置を接続しても良いし、複数の除去物質吸引箇所をまとめて1つの除去物質吸引分離装置に接続しても良い。また、複数の除去物質吸引箇所に対してそれぞれ除去物質吸引分離装置を設ける構成の場合は、当該複数の除去物質吸引分離装置に対応して、複数の集中ダクトを繊維機械の機台に設けても良い。
【0105】
第1実施形態のように導入口34に除去物質吸引ブロア32を接続する構成の場合、1つの分離ダクト33に対して複数の除去物質吸引ブロア32を接続することもできる。
【0106】
第2実施形態のように排気口36に吸引ブロア32xを接続する構成の場合、1つの吸引ブロア32xに対して複数の分離ダクト33を接続することもできる。
【0107】
また、図面には案内路61と排気路62の2つの通路から構成される分離ダクト33を図示したが、これに限らず、1つの分離ダクト33に形成される通路の数は任意に定めることができる。
【0108】
曲がり部は円弧状の湾曲部37として説明したが、これに限らず、案内路61を例えば折れ線状又は多角形状に曲げた形状に形成しても良い。ただし、分離ダクト内にスムーズな空気流を形成し、除去物質91に対して良好に遠心力を作用させるためには、滑らかな円弧状の湾曲部37として曲がり部を形成することが好ましい。
【0109】
また、曲がり部において、案内路61が曲がる角度は90°以上とする構成に限らず、90°未満でも良い。ただし、上記実施形態のように曲がり角度を90°以上とすることにより、導入口34から流れてくる除去物質を曲がり部の外側壁面に確実に当て、当該除去物質に対して遠心力を作用させつつ曲がり部の壁面に沿って除去物質排出口35まで良好に案内することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 精紡機(繊維機械)
2 紡績ユニット
30 集中ダクト
31 集中ブロア
32 除去物質吸引ブロア(除去物質吸引流発生装置)
33 分離ダクト
34 導入口
35 除去物質排出口
36 排気口
37 湾曲部(曲がり部)
61 案内路
62 排気路
63 除去物質吸引分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取る複数の巻取ユニットと、
前記巻取ユニットで発生した除去物質が少なくとも流れる集中ダクトと、
前記集中ダクト内に空気流を発生させる集中ブロアと、
前記除去物質を吸引するための吸引流を発生させる除去物質吸引流発生装置と、
前記除去物質と前記吸引流とを遠心分離するとともに前記除去物質を前記集中ダクトへ案内する案内路と、遠心分離された前記吸引流を外部に排出する排気路と、を少なくとも有する分離ダクトと、
を備えたことを特徴とする繊維機械。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維機械であって、
前記除去物質吸引流発生装置及び前記分離ダクトは、前記複数の巻取ユニットのそれぞれに対して設けられていることを特徴とする繊維機械。
【請求項3】
請求項1に記載の繊維機械であって、
前記複数の巻取ユニットは、所定の数の巻取ユニットから構成される複数の巻取ユニット群から構成され、
前記除去物質吸引流発生装置及び前記分離ダクトは、前記複数の巻取ユニット群のそれぞれに対して設けられていることを特徴とする繊維機械。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
前記分離ダクトは、
前記除去物質が導入される導入口と、
前記除去物質を前記集中ダクト内に排出する除去物質排出口と、
排気口と、
を有し、
前記案内路は、前記導入口と前記除去物質排出口とを接続するとともに、途中に曲がり部を有しており、
前記排気路は、前記案内路の途中から分岐し、前記排気口まで至るように構成され、
前記除去物質吸引流発生装置は、前記導入口又は前記排気口の少なくとも何れか一方に接続されることを特徴とする繊維機械。
【請求項5】
請求項4に記載の繊維機械であって、
前記案内路は、前記排気路が分岐した位置よりも除去物質排出口側の少なくとも一部の流路断面積が、前記排気路の流路断面積よりも狭くなるように形成されることを特徴とする繊維機械。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の繊維機械であって、
前記排気路が前記案内路から分岐する箇所において、当該排気路は、前記曲がり部よりも除去物質排出口側の位置において、当該曲がり部と同じ方向に曲がるように前記案内路から分岐することを特徴とする繊維機械。
【請求項7】
請求項4から6までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
前記案内路において、前記曲がり部で曲がる前の流路の方向と、前記曲がり部で曲がった後の流路の方向と、が90°以上の角度をなすことを特徴とする繊維機械。
【請求項8】
請求項4から7までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
前記除去物質吸引流発生装置は、前記巻取ユニットと前記導入口との間に接続されることを特徴とする繊維機械。
【請求項9】
請求項4から7までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
前記除去物質吸引流発生装置は、前記排気口に接続されることを特徴とする繊維機械。
【請求項10】
吸引流を発生させる除去物質吸引流発生装置と、
吸引流と除去物質とを分離する分離ダクトと、
を備え、
前記分離ダクトは、
吸引された除去物質が導入される導入口と、
前記除去物質を当該分離ダクトの外部に排出する除去物質排出口と、
排気口と、
前記導入口と前記除去物質排出口とを接続し、途中に曲がり部を有する案内路と、
前記案内路の途中から分岐し、前記排気口まで至る排気路と、
を有し、
前記除去物質吸引流発生装置は、前記導入口又は前記排気口の少なくとも何れか一方に接続されることを特徴とする繊維機械用除去物質吸引分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−236102(P2010−236102A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81853(P2009−81853)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】