説明

繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法

【課題】鉄骨などの吹きつけ繊維状アスベスト耐火被覆層に塗布し、繊維状アスベストを固定化した後、低温で加熱処理してアスベスト繊維含有複合材を無害化する。
【解決手段】下記式1で示される化合物と触媒をそれぞれ所定量含む第1シラン系コート液組成物を、アスベスト繊維含有複合材に塗布し硬化・固化させた後、貝殻粉末を焼成してなる混合貝殻粉体とバインダ成分をそれぞ所定量含む第2コート組成物を塗布する。その後塩化カルシウムの存在下に、600〜800℃で加熱処理して、前記繊維状アスベストを粒状ないし粉状に分解して無害化する。


(前記式1において、R1 、R2 、R3 及びR4 は、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基である。また、nは、2〜10である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法に関するものであり、さらに詳細には、特に、鉄骨などの建材表面に形成される繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層に塗布し硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化して繊維状アスベストが剥離したり飛散しないようにして、低温加熱処理して、前記繊維状アスベストを粒状ないし粉状に分解して無害化するする繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛇紋岩系のクリソタイル(白石綿、Mg6 Si410OH)8 )や角閃石系のアモサイト(茶石綿、(Fe,Mg)7 Si822OH)2 )などの天然鉱物繊維であるアスベスト(石綿)は、耐熱性、耐薬品性、絶縁性などの諸特性に優れているため、建設資材、電気製品、自動車および家庭用品などに多く利用されており、使用形態としては、紡織品として単独で使用される場合と、鉄骨の耐火被覆材および壁材の吸音・結露防止用としてセメント−アスベスト系の複合材が使用される場合がある。しかしアスベストは石綿肺、肺癌、悪性中皮腫などを引き起こすことが知られれている。
【0003】
セメント−アスベスト系複合材は、吹き付けアスベスト、アスベスト保温材およびアスベスト成形板の3種類に大別することができる。使用量が多く、アスベスト含有量が高く、破壊時にアスベストが飛散しやすい吹き付けアスベストは、鉄骨等の建材の耐火被覆層として用いられ、具体的には、火災時に鉄骨の融解、崩壊を防ぐために、セメントとアスベストを混合し、スプレーガンなどから吹き付けるものである。吹き付け材中に含まれるアスベスト量は、年代や場所によってかなり大きく変化する。この吹き付け材中のアスベストは、全体として繊維状(綿状)を呈し、機械的強度はもたないが、空隙を多く持つことから断熱材としての機能を保有する。アスベストを含んだ耐火被覆層を形成した建材は、建築物が解体されて廃材になる場合には、建材から耐火被覆層を剥離し、剥離した耐火被覆層はその後、特定管理物質として処分される。
【0004】
アスベストの分解無害化するための手段としては、例えば密閉型電気炉溶解法(特許文献1参照)やスラグ浴融解法(特許文献2参照)、アスベストとフロン分解無害化処理によって生成されたフロン化合物とを混合し、次いでこの混合物を低温加熱処理するアスベストの無害化処理方法(特許文献3参照)などが挙げられるが、いずれの方法も1000℃以上の処理温度を要し、膨大なエネルギー消費問題を抱えていることから実用化には至っていない。
また、高温プラズマで溶融させる試みもあるが実施はされていない。
【特許文献1】特許第3085959号公報
【特許文献2】特開平7−171536号公報
【特許文献3】特開2005−168632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしアスベストを含む耐火被覆層のセメント硬化物が中性化すれば繊維状のアスベストの飛散、放散が問題となり、建材から耐火被覆層を剥離・処理する際にアスベスト繊維が飛散、放散する問題や、剥離した耐火被覆層を管理している間にアスベスト繊維が飛散する問題があることから、アスベスト繊維が飛散したり、放散したり、剥離したりしないようにする安全な対策が求められているが、現状では特別な対策はない。
【0006】
そこで、アルコキシシランと酸触媒を用いたゾルを耐火被覆層に塗布してゲル化させるゾル−ゲル法を用いてアスベスト繊維の飛散、放散、剥離を防止することが提案されたが、使用する酸触媒によりセメントが劣化したり、鋼材などの建材が腐食する問題があった。
【0007】
またアクリル系、ウレタン系などの有機ポリマー塗料を耐火被覆層に塗布してアスベスト繊維の飛散、放散、剥離を防止することが提案されたが、有機ポリマー塗料は数年で劣化するため保存性や特性の長期の安定性に欠ける上、塗料が耐火被覆層の内部まで浸透せず、表面塗工のみであるため、耐火被覆層の内部のアスベスト繊維を固形できない問題があるとともに、耐火被覆層の内部のセメントの劣化を補強できないという問題があった。
【0008】
また従来、アスベストの分解無害化するためには、前記のように1000℃以上の処理温度を要するので、加熱処理炉が劣化する問題やエネルギー消費が膨大であるという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、長期の安定性に優れ、セメントを劣化させたり、鋼材などの建材を腐食させたりしないシラン系コート液組成物を、鉄骨などの建材表面に形成される繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層に塗布し、内部まで浸透させて、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化して繊維状アスベストが剥離したり飛散しないようにして、1000℃未満の温度で低温加熱処理して無害化する繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の発明は、下記式1で示される、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する化合物と、前記化合物を硬化・固化させる触媒作用を有する加水分解可能な有機金属化合物からなる触媒を必須成分としてそれぞれ所定量含む第1シラン系コート液組成物を繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト繊維含有複合材に塗布し、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化した後、次いで炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻粉末であって微細な多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されている混合貝殻粉体とバインダ成分を必須成分としてそれぞれ所定量含む第2コート組成物を塗布し、必要に応じて硬化・固化させた後、塩化カルシウムの存在下に、600〜800℃で加熱処理して、前記繊維状アスベストを粒状ないし粉状に分解して無害化することを特徴とする繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法である。
【0011】
【化3】

【0012】
(前記式1において、R1 、R2 、R3 及びR4 は、それぞれ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基である。また、nは、2〜10である。)
【0013】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記シラン系コート液組成物として、さらに下記式2で示される、2個の加水分解可能な置換基と2個は加水分解不可能な置換基を有する化合物を含むシラン系コート液組成物を用いることを特徴とする。
【0014】
【化2】

【0015】
(前記式2において、R5 、R6 、R7 及びR8 は、それぞれ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基である。また、nは、1〜10である。)
【0016】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記加水分解可能な有機金属化合物が、チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成る群から選ばれる一種以上の有機金属化合物であることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記混合貝殻粉体が、少なくとも貝殻主要部分が炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体としている貝殻を天日乾燥して硬化させ、前記天日乾燥により硬化した貝殻を約120℃の温度で焼いた後に、微細に粉砕して多孔質性粒体とした炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を約1000℃の温度で加熱してなる酸化カルシウム粉末とを混合して形成された混合貝殻粉体であることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記アスベスト繊維含有複合材が、鉄骨などの建材表面に吹き付けられて形成した耐火被覆層であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法は、前記式1で示される、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する化合物と、前記化合物を硬化・固化させる触媒作用を有する加水分解可能な有機金属化合物からなる触媒を必須成分としてそれぞれ所定量含む第1シラン系コート液組成物を繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト繊維含有複合材に塗布し、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化した後、次いで炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻粉末であって微細な多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されている混合貝殻粉体とバインダ成分を必須成分としてそれぞれ所定量含む第2コート組成物を塗布し、必要に応じて硬化・固化させた後、塩化カルシウムの存在下に、600〜800℃で加熱処理して、前記繊維状アスベストを粒状ないし粉状に分解して無害化することを特徴とするものであり、下記の(1)〜(9)を含む顕著な効果を奏する。
【0020】
(1)第1シラン系コート液組成物は従来のアクリル系やウレタン系などの有機ポリマーが数年で劣化するのに対して、長期の保存安定性に優れる。
(2)第1シラン系コート液組成物は酸触媒を使用しないので、鋼材などの建材を腐食させない。
(3)従来のアクリル系やウレタン系などの有機ポリマーが耐火被覆層の内部に浸透せず表面塗工であったのに対し、第1シラン系コート液組成物は鉄骨などの建材表面に形成される繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層に塗布すると、外部表面の形状に沿って均一に塗布でき、アスベストを含む耐火被覆層の細孔中に毛細管現象により、前記式1で示されるオリゴマーからなるアルコキシシランと、金属アルコキシドが深部までよく浸透して、前記複合材に含まれる水分および空気中に含まれる水分により金属アルコキシドが加水分解してアルコキシシランと共重合してシロキサン結合のポリマーが内部より成長し、内部から表面へポリマーの成長が起こり、内部から表面への細部にわたる硬化・固化が行われて繊維状アスベストを固定化して剥離したり飛散したりしないようにできる。
(4)従来のアクリル系やウレタン系などの有機ポリマーの塗膜が緻密なのに対して、本発明の第1シラン系コート液組成物の硬化・固化膜は細孔を多く残すので、通気性が保持される。
(5)第2コート組成物はバインダ成分内に混合貝殻粉体を取り込み、よく固定化でき、混合貝殻粉体の抗菌作用および臭気吸着・吸収作用を発揮させることができ、カビなどの微生物の繁殖を防止し、悪臭を除去できる。
(6)空気中の炭酸ガスや水分などが侵入して生じたセメント硬化物の中性化による劣化部分にも第1シラン系コート液組成物の前記式1で示されるオリゴマーからなるアルコキシシランと、金属アルコキシドが深部までよく浸透して、ポリマーの硬化・固化が行われるので、劣化部分を補強したり固定化できる。
(7)第1シラン系コート液組成物の硬化・固化膜は撥水性を有しているため、水分の浸透を防ぎ、セメントの中性化を抑制したり、防止したりできる。第2コート組成物の適用によりさらに水分の浸透を防ぎ、セメントの中性化を抑制したり、防止したりできる。
(8)第1シラン系コート液組成物で処理し次いで第2コート組成物で処理した耐火被覆層は、解体時に細かくならず、ブロック化するので、解体時に繊維状アスベストが剥離したり飛散したりしない。
(9)安全に取り扱うことができ、そして低温で処理するのでエネルギー消費が少なく、加熱処理炉の劣化を防止ないし抑制できる。
【0021】
本発明の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法により、廃棄物費用の低廉化を図るとともに、長年月にわたって健康を害してきた有害物質であるアスベストを含む耐火被覆材を無害化することができ、また、無害化の温度の上限値である800℃は、都市清掃工場からのエネルギー使用で達成することができる温度であり、これによって、アスベストの無害化処理コストの削減も図れるので、この点からも産業上の利用価値は甚だ大きい。
【0022】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記シラン系コート液組成物として、さらに下記式2で示される、2個の加水分解可能な置換基と2個は加水分解不可能な置換基を有する化合物を含むシラン系コート液組成物を用いることを特徴とするものであり、
前記式1で示される3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する化合物のみを使用した場合は、3次元架橋構造の硬く強度のある硬化物が得られるが、前記式2で示される2個の加水分解可能な置換基と2個は加水分解不可能な置換基を有する化合物を併用した場合は、2次元構造に起因する柔軟性を付与できるので、硬さと強度と柔軟性を要求される場合に好ましく使用できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0023】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記加水分解可能な有機金属化合物が、チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成る群から選ばれる一種以上の有機金属化合物であることを特徴とするものであり、
前記有機金属化合物は入手が容易であり、鉄骨などの建材表面に形成される繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層にシラン系コート液組成物を塗布した後、前記複合材に含まれる水分および空気中に含まれる水分により容易に加水分解されて触媒作用を発揮してシラン系コート液組成物を硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0024】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記混合貝殻粉体が、少なくとも貝殻主要部分が炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体としている貝殻を天日乾燥して硬化させ、前記天日乾燥により硬化した貝殻を約120℃の温度で焼いた後に、微細に粉砕して多孔質性粒体とした炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を約1000℃の温度で加熱してなる酸化カルシウム粉末とを混合して形成された混合貝殻粉体であることを特徴とするものであり、
前記炭酸カルシウム粉末は、臭気吸着・吸収作用を有し、前記炭酸カルシウム粉末を約1000℃の温度で加熱してなる酸化カルシウム粉末は、抗菌作用に優れているので、両者を混合して形成された混合貝殻粉体を使用すれば、優れた臭気吸着・吸収作用と抗菌作用を同時に発揮できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法において、前記アスベスト繊維含有複合材が、鉄骨などの建材表面に吹き付けられて形成した耐火被覆層であることを特徴とするものであり、吹き付け材中に含まれるアスベスト量は、年代や場所によってかなり大きく変化するが、第1シラン系コート液組成物および第2コート組成物いずれも前記耐火被覆層の外部表面の形状に沿って容易に均一に塗布でき、第1シラン系コート液組成物を硬化・固化させて繊維状アスベストを容易に固定化して剥離したり飛散したりしないようにできるとともに、第2コート組成物に含まれる前記混合貝殻粉体の抗菌作用および臭気吸着・吸収作用によりカビなどの微生物の繁殖を防止し、悪臭を除去でき、またアスベストを含む耐火被覆層の細孔中に第1シラン系コート液組成物が深部までよく浸透して、硬化・固化するので空気中の炭酸ガスや水分などが侵入しなくなり、セメント硬化物の中性化を防止できる効果があり、また前記混合貝殻粉末は耐火被覆層の補強・強化効果があり、そして繊維状アスベストを固定化した耐火被覆層を鉄骨などの建材表面から剥離するなどした後、塩化カルシウムの存在下に、600〜800℃で加熱処理して、前記繊維状アスベストを粒状ないし粉状に分解して無害化することができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に本発明の内容を図を用いて詳細に説明する。
図1(イ)は第1シラン系コート液組成物を繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト繊維含有複合材に塗布し、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化する方法の例を説明する説明図であり、(ロ)は次いで第2コート組成物を塗布し、必要に応じて硬化・固化させる方法の例を説明する説明図であり、(ハ)は、繊維状アスベストを固定化した耐火被覆層を鉄骨などの建材表面から剥離するなどした後、塩化カルシウムの存在下に、低温で加熱処理して、繊維状アスベストを分解して無害化する方法の例を説明する説明図である。
【0027】
図1(イ)〜(ハ)において、1は繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層を示し、2は第1シラン系コート液組成物、3は耐火被覆層1の細孔、4は第2コート組成物を示す。
【0028】
図1(イ)に示すように、第1シラン系コート液組成物2を耐火被覆層1に塗布すると、耐火被覆層1の外部表面の形状に沿って均一に塗布でき、第1シラン系コート液組成物2は重合度n=2〜10の低分子量のオリゴマーであるので、耐火被覆層1の細孔3中に毛細管現象により内部深くまで容易に浸透する。
細孔3中に浸透した第1シラン系コート液組成物2は耐火被覆層1の複合材に含まれる水分および空気中に含まれる水分により金属アルコキシドが加水分解してアルコキシシランと共重合してシロキサン結合のポリマーが内部より成長し内部から表面へポリマーの成長が起こり、内部から表面への細部にわたる硬化・固化が行われて、繊維状アスベストを固定化して剥離したり飛散したりしないようになる。
アクリル系やウレタン系などの有機ポリマーの塗膜が緻密なのに対して、第1シラン系コート液組成物2の硬化・固化膜は細孔を多く残すので、通気性が保持される。
【0029】
図1(ロ)に示すように、第1シラン系コート液組成物2を硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化した後、次いで第2コート組成物4を塗布し、必要に応じて硬化・固化させると第2コート組成物4内に図示しない微細な混合貝殻粉体が取り込まれ、それによりよく固定化でき、混合貝殻粉体の抗菌作用および臭気吸着・吸収作用を発揮させることができ、カビなどの微生物の繁殖を防止し、悪臭を除去できる。
【0030】
第2コート組成物4のバインダ成分はアクリル系やウレタン系などの有機ポリマーなどの熱可塑性ポリマや熱硬化性ポリマや紫外線硬化性ポリマなどでもよくまた無機系ポリマなどでもよいが、有機ポリマーは数年で劣化するため保存性や特性の長期の安定性に欠ける上、耐火被覆層の内部まで浸透せず、表面塗工のみであるため、耐火被覆層の内部のアスベスト繊維を固形できないなどの問題があるので、本発明においては無機系ポリマが好ましく使用できる。
【0031】
第2コート組成物4のバインダ成分が、第1シラン系コート液組成物2の成分と同じであると第1シラン系コート液組成物2の層とよくなじみ剥離したり飛散したりせず、第1シラン系コート液組成物の諸特性が第2コート組成物4の層にも付与されるのでさらに好ましい。
【0032】
空気中の炭酸ガスや水分などが侵入して生じた耐火被覆層1のセメント硬化物の中性化による図示しない劣化部分にも前記式1で示されるオリゴマーからなるアルコキシシランと、金属アルコキシドが深部までよく浸透して、ポリマーの硬化・固化が行われるので、劣化部分を補強したり固定化できる。
第1シラン系コート液組成物2の硬化・固化膜は撥水性を有しているため水分の浸透を防ぎ、セメントの中性化を抑制したり、防止したりできる。
【0033】
そして図(ハ)に示すように、繊維状アスベストを固定化した耐火被覆層1を鉄骨などの建材表面から剥離するなどして解体するが、シラン系コート液組成物で処理した耐火被覆層1は、解体時に細かくならず、ブロック化するので、解体時に繊維状アスベストが剥離したり飛散したりしない。
そして、塩化カルシウムを含浸させたり、表面にスプレーしたり、ふりかけたりするなどして塩化カルシウムを存在させて600〜800℃の低温で加熱処理する。
塩化カルシウムを存在させて600〜800℃の低温で加熱処理することにより、アスベスト化合物中のMgとSiの化学結合が切断され、繊維状アスベストが粒状または粉状に分解されて、無害化することができる。
【0034】
吹きつけアスベスト(複合材)中のアスベスト分解メカニズムは、前期反応液(コート液)を含浸させた上での加熱により、アスベストがフォレステライトに変化し、含浸させたカルシウム化合物中のカルシウム成分と反応して、最終的に、酸化マグネシウムとケイ酸カルシウムに分解することにより、アスベストが分解するものと考えられる。
すなわち、アスベスト(Mg3 Si25 (OH)4 )1モルが分解すると、以下に示す反応式により、酸化マグネシウム3モルとケイ酸カルシウム2モルが生じることになる。この反応に必要な塩化カルシウムおよび酸化カルシウムは、それぞれ2モルである。
【0035】
反応式:
Mg3 Si25 (OH)4 +2CaO+2CaCl2 →2Ca2 SiO3 Cl2 +3MgO+2H2
【0036】
例えば、クリソタイルアスベスト1モルは277.1gであり、ポルトランドセメント中のCaOの割合を概ね65%とすると、CaOは1モルが56gであるから、2モル必要であるため、ポルトランドセメントとして、112g/0.65g=172g以上必要となる。
よって、アスベスト/セメント=277.1g/172g=1.6よりもアスベストが多く使用されている吹きつけアスベストの場合、CaO成分を添加する必要があり、この目的でもホタテ貝殻粉末が利用される。
【0037】
塩化カルシウムの添加量は、600〜800℃の範囲内で炭酸カルシウムとの低温融体が形成される量が好ましく、その量の2倍程度がさらに好ましい。
処理時間は完全に無害化することができる2時間以上が好ましい。
【0038】
本発明では、式1に示した通り、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解不可能な置換基で置換されたものを繰り返し単位として含む化合物を用いることにより、本発明の目的を達成できるものである。
式1の化合物は、従来、ゾルゲル法で使用されている化合物(テトラアルコシシラン)と比較して、隣接するケイ素原子との間で、強固なシロキサン結合の数が1つ足りないが、その分、未反応な結合がいわば「宙ぶらりん」の形で残るため、コート膜の柔軟性を維持でき、そして結果的にはコート膜の柔軟性を維持できる。
【0039】
また、式1中のR4 は、式1の化合物がその後の加水分解・重縮合反応を受けても、加水分解されないため、製造されるコート膜に有機性を与え、そして結果的にはコート素材に有機性、即ち撥水性を与えることになる。
【0040】
以上のように、安価であるがしかし無機性が強いテトラアルコキシシランと比較しても、式1の化合物を得るための原料(単量体)は同程度の安さで購入できる。したがって、式1の化合物を用いることにより、あえて高価ないわゆるシランカップリングを併用しなくとも、十分に有機性を持ち、かつ十分な強度と柔軟性を持ったコート膜を形成できるシラン系コート液組成物を製造することができる。このように、前記目的を達成するため、式1で示される化合物を使用するものである。
【0041】
本発明では、式1で示される化合物と、前記化合物を硬化・固化させる前記有機金属化合物からなる触媒とを必須成分としてそれぞれ所定量含むシラン系コート液組成物をアスベスト繊維含有複合材からなる耐火被覆層に塗布し、触媒の作用でこれを硬化・固化させるものである。
式1におけるR1 、R2 、R3 及びR4 は、それぞれ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基であり、nは2〜10である。
【0042】
かかる化合物は、単量体(例えば、メチルトリメトキシシラン)を縮合することにより得ることができる。
主鎖の繰り返しがn=2〜10であるのは、n=1、即ち単量体を用いると、ポリマー化に時間が掛かかり、短時間で十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難となること、および単量体は揮発性が高く取り扱い難いからである。しかしながら、nが10を超えると、逆に、塗布した時に、ポリマー化のためのアルコキシ基等の数が不足して、十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難になること、また分子径が大きくなりさらに粘度が高くなるのでアスベスト繊維含有複合材からなる耐火被覆層の細孔中に浸透しにくく細孔の深くまで浸透しない恐れがある。したがって、本発明においては好ましいのは、n=2〜10、中でもn=2〜8の縮合体からなるオリゴマーである。
【0043】
なお、一般に単量体から式1のような縮合体を合成する場合、その重合度を正確に制御することは、技術的にいって、事実上困難である。したがって、本発明でn=2〜10、好ましくはn=2〜8のものを使用するという意味は、重合度の分布から見て、主としてnが2〜10、好ましくは主として2〜8のものが含まれているようなコート液を使用することに他ならず、例えばnが11以上であるオリゴマーが少量含まれていたとしても、差し支えない。
【0044】
式1で示される化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等の縮合体からなるオリゴマーを例示できる。なお、式1の化合物は、かかる単量体の1種類のみを縮合したものであっても、また上記例示した単量体の2種類以上を縮合したものであっても良い。
【0045】
なお、式1の化合物における加水分解不可能な置換基(R4 )の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、同時にコート膜に撥水性を付与するのであれば、R4 はアルキル基とする。
一般に有機性置換基は、炭素数が増える程、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、アルキル基の炭素数や式1の化合物(縮合体)を構成する各単量体の種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好ましい。もっとも、コート膜への撥水性の付与は、後述する式2の化合物を添加することによっても達成可能であるため、式1の化合物におけるR4 をアルキル基とすることが必須というわけではない。
【0046】
式1で示される化合物を硬化・固化させる触媒としては、触媒作用を有する加水分解可能な有機金属化合物を用いる。
シラン系コート液組成物をアスベスト繊維含有複合材からなる耐火被覆層に塗布すると、前記耐火被覆層に含まれている水分又は空気中の水分(湿気)を吸い、有機金属化合物が自ら加水分解するが、この時、式1の化合物とネットワークを形成し、式1の化合物を硬化・固化する。
【0047】
本発明において好ましく用いられる有機金属化合物としては、例えばチタン、ジルコン、アルミ又はスズを含むものを例示できる。より具体的には、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネート、トリプロポキシアルミネート、アルミニウムアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテート又はジブチルスズジラウレート等を例示できる。
【0048】
またシラン系コート液組成物からなるコート液には、式1の化合物、有機金属化合物からなる触媒を必須成分としてそれぞれ所定量含むが、これらを混合する目的で、あるいはコート液の浸透性を上げたり、コート液の粘度調整の目的で場合により必要に応じて有機溶剤を添加することができる。
【0049】
この目的で使用される有機溶剤としては、アルコール類を例示できる。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール又はヘキサノール等を例示できる。またその添加量を制御することによって、コート液の粘度、浸透速度や乾燥速度の調整も可能である。
【0050】
このような調整の目的では、特に、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール又はブトキシプロパノール等のセルソルブ類等の粘度や沸点の高い有機溶剤を単独又は二種以上混合して使用することが好ましい。
むろん、上記粘度や沸点の高い有機溶媒の1種以上と共に、上記アルコール類を同時に添加しても良い。なおコート液の粘度や乾燥速度の調整を目的とする場合は、前記有機溶媒のみならず、界面活性剤によっても同様の効果を達成することができる。
【0051】
特に、前記したグリコール類やセルソルブ類は、その分子内に水酸基を有しているため、式1の化合物の縮合反応によって形成されるシロキサン結合のネットワーク内に導入される事がある。グリコール類やセルソルブ類は有機性を有しているため、これが導入される事により、得られるコート膜の有機性が増す、即ちコート膜の撥水性などの有機性が増すことになる。
【0052】
第1シラン系コート液組成物および第2コート組成物の具体的な塗布の方法は、特に制限されないが、例えば、浸漬法、塗り付け法、、吹き付け法などを例示できる。
【0053】
また、シラン系コート液組成物からなるコート液は、触媒として前記した有機金属化合物(例えばテトラブトキシチタニウム等)を含むので、コート液中に水が含まれなくとも、下記反応式における(1)及び(2)のような反応が進行する。
【0054】
反応式;
(1)Ti−OR+H2 O → Ti−OH+ROH
(2)Ti−OH+RO−Si → Ti−O−Si
【0055】
上記のように、Ti−O結合がコート膜内に導入されることにより、シロキサン結合のみのコート膜に比べ、更に耐熱性および耐摩耗性を向上することができる。このように、触媒として有機金属化合物を使用すると、水を共存させる必用が無いばかりでなく、コート膜の耐熱性・耐摩耗性を更に向上させよりいっそう強いものとできるのである。
【0056】
本発明では、式1の化合物に加え、式2の化合物を含むシラン系コート液組成物からなるコート液を使用することにより、これを使用せずに製造した場合に比べて、式2の化合物が有する有機性等の性質を新たに付与したり、または、有機性等の性質を増加することが可能である。
【0057】
式2の化合物は、4個の置換基のうち、2個が加水分解可能な置換基であり、他の2個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。式2において、R5 、R6 、R7 及びR8 は、それぞれ同一又は異なっても良く、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基である。また、nは、1〜10である。
【0058】
式2で示される化合物としては、具体的に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどや、これらの2〜10分子程度の縮合体からなるオリゴマーを例示できる。なお、式2の化合物は、かかる単量体あるいはオリゴマーの2種以上であっても良い。
【0059】
式2の化合物は、主成分である、前記式1で示される化合物に対し、一般的には総量が50%を超えない範囲にて添加することが好ましい。両者の合計添加量がこの範囲を越えると、塗布した時に、主成分である式1の化合物との間でうまく結合せず、強度が不十分となる可能性があるからである。したがって、実際に式2の化合物を添加する場合には、添加量に依存して強度が低下することを想定し、本明細書の実施例を参照しつつ、予備的な製造試験を行う等し、目的を達成し得る添加量の範囲を明らかにしたうえで、添加を最小限に抑えるようにすることが好ましい。
【0060】
なお、式2の化合物における加水分解不可能な置換基(R6 、R8 )の第一義的な役割は、柔軟性を与えることにあるが、これらはアルキル基であるため、同時に撥水性を付与する役割をも果たす。一般に有機性置換基は、炭素数が増える程、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害により硬化物内に歪が生じて強度低下の原因となる。したがって、有機性置換基の炭素数や式2の化合物(単量体や縮合体)を構成する種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好ましい。
【0061】
耐熱性・耐摩耗性の強いシロキサン結合は、一方でいわゆる「硬い」結合でもある。この「硬さ」のため、柔軟性を有することが求められる場合がある。
【0062】
従来から一般に用いられているゾル・ゲルコート液は、出発原料にテトラアルコキシシラン(Si(OR)4 )やそのオリゴマーが用いられる。このものを完全に加水分解反応させて硬化物を形成させると、ケイ素原子の4個の結合全てが硬いシロキサン結合のネットワークを形成し、セラミックと同様に硬いが、しかし、柔軟性に欠けた脆い膜となってしまう。
【0063】
しかしながら、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解されない式1の化合物を主成分に用いることで、この課題を解決したものである。また本発明では、加水分解されない置換基をそれぞれ2個有する式2の化合物を併用することにより、柔軟性等を増すことが可能となる。
【0064】
次に本発明で用いる炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻粉末であって微細な多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されている混合貝殻粉体について述べる。
本発明で用いる微細な多孔質性粒体は、具体的には、例えば粒径約200μm以下の多孔質性粒体が好ましく、1〜150μmがさらに好ましい。
【0065】
ホタテの不要物として処分されてきた貝殻を、焼成して粉砕すれば、その粉体が、悪臭などの化学物質を吸着して発散させない効果と細菌に対してその繁殖を抑える効果が極めて高い混合貝殻粉体を次のようにして得ることができる。
【0066】
吸着抗菌性を有する混合貝殻粉体を得るに当たっては、まず、少なくとも貝殻主要部分が炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体としている貝殻を用いるもので、この貝殻はホタテの貝殻であり、貝殻の大部分をこの結晶構造体としている点でホタテの貝殻は他の貝殻と異なる。
ホタテの貝殻の主要部において、内面側は、炭酸カルシウムの方解石型構造の結晶構造体が葉状構造となる(針状結晶が剣山状に密に詰まって敷き並べられている状態)とともに、貝内層は、炭酸カルシウムの方解石型構造の結晶構造体が板状構造としている(ベニヤ板のように、針状結晶が同一方向に並んだ層が幾重にも重なり、針状結晶の向きが層ごとに異なっている状態)としているため、後述するようにこのホタテの貝殻から得られた粒体は方解石型構造が残って多孔質性を備えたものとなる。
【0067】
吸着抗菌性を有する混合貝殻粉体を得るに当たってホタテの貝殻を原材料としているが、ホタテの貝柱を取り除いた後において不要物として処理されてきたものを利用でき、廃棄物の有用な利用が行なえる。
まず、集められた貝殻を3年から5年ほどの天日乾燥を行なって乾かし硬化させる。つぎに天日乾燥によって硬化した貝殻を約120℃の温度で20〜30分程度の時間をかけて焼く。この加熱は貝殻に付着している不純物を焼却するためのものであり、不純物の取り除きを行なわないと得ようとする粉体に不純物が多く混じるようになる。そして、不純物の焼却を行なった貝殻を粒径約200μm以下となるまでに粉砕する。粉砕方法自体は特に限定するものではなく、既存の粉砕装置を用いればよい。このようにして炭酸カルシウム粉末が得られるものであり、粒体は多孔性粒体となっている。
つぎに上述の多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末の一部分を用いてこれをセラミックの壷に入れて約1050℃の温度で3時間程度の時間で加熱して酸化カルシウム粉末を得るようにする。そして、このようにして得られた酸化カルシウム粉末と上記炭酸カルシウム粉末とを混合することで吸着抗菌性を有する混合貝殻粉体が得られる。
【0068】
上記混合貝殻粉体中、炭酸カルシウム粉末分は上述したようにホタテの貝殻粉末の独特な多孔質粒体からなるもので、揮発性有機化合物やホルムアルデヒド、空気中に漂う匂い成分などの揮発性化学物質を吸着し、空気中に放散させないようにする吸着脱臭効果がある。
また、酸化カルシウム粉末分はアルカリ性であり、バクテリアなどの細菌やカビなどの繁殖を抑え込む高い抗菌性を示すものである。
上記炭酸カルシウム粉末分と上記酸化カルシウム粉末分との割合は適宜に変更できるものであり、割合を変えることで脱臭吸着の効能の方を高くしたり抗菌性の効能の方を高くすることでき、用途に応じてその割合を変えることが可能である。
また、本発明で用いるコート液は、無機系材料から成り立っている。従来から使用されている有機系コート液を使用した場合、600〜800℃での無害化処理過程で有機系コート液に含まれる有機物と塩化物とが反応しダイオキシンの発生の可能性があるため、本発明で用いるアスベスト低温無害化コート液は、無機系材料から成ることが必須である。
【0069】
第2コート組成物中の混合貝殻粉末の配合量は、全体の10〜80質量%が好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。10質量%未満では貝殻成分が足りず十分に表面を覆うことができない恐れがあり、80質量%を超えるとバインダ成分が不足し、貝殻成分の表面での固定化が不十分になり貝殻成分が弱い力で剥げ落ちる恐れがある。
【0070】
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【実施例】
【0071】
次に実施例および比較例により本発明を説明するが本発明の主旨を逸脱しない限り実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
特許第3456956号に従い、メチルトリメトキシシラン縮合体(3〜4量体が中心)(MTMと称す)(アルコキシシラン縮合体)を合成した。
表1に示す組成で、合成したMTM15g、チタンプロポキシド(金属触媒)1.5g、エタノール15g(溶媒)を配合して第1コート液を調合した。
表2に示す組成で、合成したMTM15g、チタンプロポキシド(金属触媒)1.5g、ホタテ粉末15g、エタノール15g(溶媒)を配合して第2コート液を調合した。
【0073】
この第1コート液および第2コート液の封止材としての評価を以下のように行った。
アスベストを用いた評価試験は、安全性の問題から通常の施設では実施できない。そこで通常アスベスト実験の代用として行なわれている、ロックウール供試体を用いた評価を行なった。
ロックウール供試体の作成は、「飛散防止処理剤の標準試験方法」(アスベスト粉じん飛散防止専門委員会作成)に基づき行なった。なお本実施例及び比較例で使用したロックウール・セメント・水の配合比は、現場で使用している配合比に準じ、また供試体作成用容器は、木枠ではなく入手しやすいポリエチレン製容器を用いた。
【0074】
(ロックウール供試体の作成)
供試体組成比(質量比);ロックウール:セメント:水=25:5:10
容器;直径約106mm、深さ約40mmのポリエチレン製容器を使用。
供試体作成方法;上記組成のロックウール・セメント・水混合品を、エアレスガンを用いて容器内に吹き付けた。初め深さ約20mmまで吹きつけ、木片で押し固めた後、更に約20mm分吹きつけ、上部を押し固め合計約40mmの厚さの供試体を得た。
このものを室温で8日間放置・乾燥させた後、更に60℃で8日間乾燥した。その後60℃で24時間乾燥しても質量変化が1%以内であったものを、評価用供試体とした。
【0075】
上記第1コート液を、上記供試体表面に20g塗工した。塗工後室温で3時間放置した後、第2コート液を20g塗工し、室温で1日放置し乾燥して供試体を作成した。作製した供試体を下記の評価方法1〜4により評価した。評価結果を表4に示す。
【0076】
(評価方法)
評価方法1;塗工表面3ヶ所にそれぞれ水滴1gをたらし、水滴の吸い込まれ具合を測定した。
評価方法2;供試体をハンマーで叩き割り、その割れ方及び割れた固まりの様子を観察した。
評価方法3;液剤の浸透度は、供試体の底まで液剤が浸透しているか、目視により観察した。
評価方法4;供試体の表面を指でなぞり、処理後の表面状態を観察した。
【0077】
(実施例2〜4)
表1に示す組成で第1コート液を調合し、表2に示す組成で第2コート液を調合し、実施例1と同様にして第1コート液および第2コート液をコート液を塗工し、室温で1日放置し乾燥して供試体を作成し、作成した供試体を前記の評価方法1〜4により評価した。評価結果を表4に示す。
【0078】
(比較例1)
コート液を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にして供試体を前記の評価方法1〜4により評価した。評価結果を表4に示す。
【0079】
(比較例2)
表3に示す組成で第1コート液を調合した。この第1コート液を上記供試体表面に30g塗工した。塗工後室温で1日放置・乾燥して供試体を作成し、作成した供試体を前記の評価方法1〜4により評価した。評価結果を表4に示す。
【0080】
(比較例3)
表3に示す組成で第1コート液および第2コート液を調合した。十分に攪拌した後、この第1コート液を上記供試体表面に30g塗工した。その後、室温で3時間放置した後、第2コート液を20g塗工し、室温で1日乾燥した。このようにして作成した供試体を前記の評価方法1〜4により評価した。評価結果を表4に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
表4から、実施例1〜4の場合は、評価1〜4のいずれも優れた結果が得られた。
それに対して、比較例1の場合は、評価1において瞬時に水が吸い込まれてしまい、評価2において繊維状に飛散し、評価4において表面の繊維状物が簡単に剥がれてしまう結果が得られた。
比較例2の場合は、評価1において瞬時に水が吸い込まれてしまい、評価2において、大きな塊状に割れ、液剤が浸透している上部は繊維の飛散が確認できなかったが、液剤が浸透していない下部は繊維状に飛散し、評価3において液剤は上部にのみに浸透しており、評価4において弱くこすると繊維状物が剥がれなかったが、強くこすると簡単に剥がれてしまう結果が得られた。
そして比較例3の場合は、評価1において数分後に水が吸い込まれ、評価2において大きな塊状に割れ、液剤が浸透している上部は繊維の飛散が確認できなかったが、液剤が浸透していない下部は繊維状に飛散し、評価3において液剤は上部にのみに浸透しており、評価4において供試体上部がホタテ粉末で覆われているため、比較的表面は滑らかであり、手でこすっても繊維状物の剥がれが確認できなかった。
【0086】
(実施例5)
次に、アスベストとセメントを有する複合材料中のアスベストの無害化について、以下のようにして評価した。
(1)アスベストの非繊維化
本発明者らは、アスベストが通常の使用形態では繊維状を呈し、この形態を壊して粉末状あるいは粒状に分解できれば無害化できると考えた。
この点の評価は、走査電子顕微鏡で観察することにより行った。この点をさらに詳細に検討するため、水あるいは酢酸で洗浄した。アスベスト以外の物質が存在していたとしても、酢酸に溶解するものであれば除去分離されることになり、評価が容易になるからである。
すなわち、水あるいは酢酸で洗浄する理由は、以下の通りである。
分解物中には、添加した過剰のCaCl2 溶融物や未反応のCaO複合酸化物などが残っており、分解物を電子顕微鏡で観察した場合、残存するこれらの化合物のためアスベスト繊維自体が観察しにくいことがあるが、水で洗浄した場合には、溶融したCaCl2 が水に溶けるためCaCl2 を除去することができ、また、酢酸で洗浄した場合には、CaO系の溶けやすい酸化物を溶かして除去することができるからである。特に、酢酸のような有機酸を使用するのは、前述のような酸化物は溶解するが、アスベストは溶解しないためである。
【0087】
(2)複合材中のアスベストの有無および分解の測定方法
アスベストは、マグネシウム(Mg)とケイ素(Si)とを含む結晶であり、特有の結晶構造を有しており、X線回折法により分析ができる。本発明でもアスベストの有無はこの方法で判定した。また、アスベストの分解は、MgとSiの化学結合が切断されたことにより生成する、酸化マグネシウムの有無により判定した。
【0088】
(3)吹きつけアスベストの調整
廃棄された吹きつけアスベストは、管理型廃棄物であることから入手困難であることや、使用履歴が不明確であるため、本発明の実施では、ポルトランドセメントとクリソタイル型アスベストを混合し、硬化させることにより調整した。実験に使用した吹きつけアスベストは、下記の方法で作製した。
試料の作製方法(アスベスト:セメント=6:4(質量比))
アスベストは最も使用量の多いクリソタイル型(関東化学(株)製)を使用した。アスベストと普通ポルトランドセメント(CaO含有率:約65質量%)を質量比で6:4になるように採取し、また、断熱材としての効用を十分に発揮させるため、発泡剤としてアルミニウム粉をセメント質量の10mass%に相当する量を添加した。
次に、水をセメント、アスベスト及びアルミニウム粉の各使用量の和と等しい質量に相当する量を加え、ビーカー内で混合した。混合は、アスベストとセメントとアルミニウム粉が均一になるまで行った。混合物は静置し、硬化させた。これを実験用吹きつけアスベストとした。
【0089】
(4)吹きつけアスベスト(複合材)中のアスベストの分解・無害化の検討
表5(アスベスト分解実験配合表)に示すように、まず、吹きつけアスベスト1.0g、塩化カルシウム(CaCl2 )1.0gおよび適量の水をルツボ内に入れ、乳鉢を用いて粉砕した。このものを乾燥機(110℃)にて乾燥した。次に、水ガラス/ホタテ貝殻粉末(15g/15gの組成)2.0g、及び、シラン化合物/触媒のエタノール溶液(MTM15g、エタノール15gの組成)2.9gを加え、減圧にて乾燥しアルコールを除去した。
さらにマッフル炉に入れ、800℃まで2.5時間で昇温し、この温度で2時間保持した後、炉から取り出し放冷し、焼成物を得た。
【0090】
【表5】

【0091】
得られた焼成物は走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子(株)、JSM−500)及び粉末X線回折(XRD、理学電気(株)、RINT2100V/PC)で観察した。
なお、焼成物中に存在するアスベストの形態の観察を明確にするために、アスベストを被覆している共存成分を1N酢酸で洗浄して取り除いた。具体的には焼成物を乳鉢で粉砕し、その約100mgをとり、100ml三角フラスコに入れた。そこに純水40mlあるいは20%酢酸水溶液20mlを加えた後、超音波洗浄器を用いて粉砕試料を約30秒振動し、1分30秒静置する操作を6回繰り返した。試料は、メンブランフィルター(孔径1μm、厚さ80μm、空隙率80%)を吸引濾過器に装着し濾過した。取り出したメンブランフィルターは、110℃の乾燥器で24時間乾燥させ、SEM観察用とした。
焼成物試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図2に示す。図2から、アスベストは粒状になっており、当初のアスベストがもつ繊維状の形態は観測されなかった。
【0092】
得られた焼成物試料について粉末X線回折法による分析を行った。その分析結果をフォルステライトおよびアスベストの分析結果とともに図3に示す。
この回折線中には、発泡剤として用いたアルミニウムを含むCa12Al433やMgSiO3 とともに、酸化マグネシウム(MgO)の回折線が確認できた。酸化マグネシウムの存在は、アスベストの構成元素であるSiとMgの化学結合が切断したことを示しており、アスベストが分解されたことを意味する。
アスベストを600〜700℃で脱水すると生成するフォルステライト(Mg2 SiO4 )も見られなかった。フォルステライトはアスベストと異なり脆い結晶であるが、アスベストと同様に繊維状組織を保持しており、環境面からもフォルステライトの存在好ましくない。またアスベスト特有の回折線ピークは、2θで12°と25°であるが、いずれも見られなかった。
【0093】
なお、上記実施例では、いずれもアスベストとして、クリソタイル型アスベストを用いた例で示したが、本発明の方法が、クロジドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトなどの他のアスベストに対しても適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法は、前記式1で示される、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する化合物と、前記化合物を硬化・固化させる触媒作用を有する加水分解可能な有機金属化合物からなる触媒を必須成分としてそれぞれ所定量含む第1シラン系コート液組成物を繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト繊維含有複合材に塗布し、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化した後、次いで炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻粉末であって微細な多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されている混合貝殻粉体とバインダ成分を必須成分としてそれぞれ所定量含む第2コート組成物を塗布し、必要に応じて硬化・固化させた後、塩化カルシウムの存在下に、600〜800℃で加熱処理することにより、アスベスト化合物中のMgとSiの化学結合が切断され、繊維状アスベストが粒状または粉状に分解されて、無害化することができ、建材から耐火被覆層を剥離・処理する際にアスベスト繊維が飛散、放散するのを防止でき、また剥離した耐火被覆層を管理している間にアスベスト繊維が飛散するのを防止でき、安全に取り扱うことができ、そして低温で処理するので従来法に比較してエネルギー消費が少なく、加熱処理炉の劣化を防止ないし抑制できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
【0095】
本発明の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法により、廃棄物費用の低廉化を図るとともに、長年月にわたって健康を害してきた有害物質であるアスベストを含む耐火被覆材を無害化することができ、また、無害化の温度の上限値である800℃は、都市清掃工場からのエネルギー使用で達成することができる温度であり、これによって、アスベストの無害化処理コストの削減も図れるので、この点からも産業上の利用価値は甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】(イ)は第1シラン系コート液組成物を繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト繊維含有複合材に塗布し、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化する方法の例を説明する説明図であり、(ロ)は次いで第2コート組成物を塗布し、必要に応じて硬化・固化させる方法の例を説明する説明図であり、(ハ)は、繊維状アスベストを固定化した耐火被覆層を鉄骨などの建材表面から剥離するなどした後、塩化カルシウムの存在下に、低温で加熱処理して、繊維状アスベストを分解して無害化する方法の例を説明する説明図である。
【図2】実施例5で得られた焼成物の走査型電子顕微鏡による観察結果を示す写真である。
【図3】実施例5で得られた焼成物の粉末X線回折の評価結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0097】
1 繊維状アスベストとセメントの複合材からなる吹き付け耐火被覆層
2 第1シラン系コート液組成物
3 細孔
4 第2コート組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で示される、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する化合物と、前記化合物を硬化・固化させる触媒作用を有する加水分解可能な有機金属化合物からなる触媒を必須成分としてそれぞれ所定量含む第1シラン系コート液組成物を繊維状アスベストと酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト繊維含有複合材に塗布し、硬化・固化させて繊維状アスベストを固定化した後、次いで炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体を備えた貝殻粉末であって微細な多孔質性粒体からなる炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を焼成してなる酸化カルシウム粉末とが混合されている混合貝殻粉体とバインダ成分を必須成分としてそれぞれ所定量含む第2コート組成物を塗布し、必要に応じて硬化・固化させた後、塩化カルシウムの存在下に、600〜800℃で加熱処理して、前記繊維状アスベストを粒状ないし粉状に分解して無害化することを特徴とする繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法。
【化1】

(前記式1において、R1 、R2 、R3 及びR4 は、それぞれ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基である。また、nは、2〜10である。)
【請求項2】
前記シラン系コート液組成物として、さらに下記式2で示される、2個の加水分解可能な置換基と2個は加水分解不可能な置換基を有する化合物を含むシラン系コート液組成物を用いることを特徴とする請求項1記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法。
【化2】

(前記式2において、R5 、R6 、R7 及びR8 は、それぞれ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4のアルキル基である。また、nは、1〜10である。)
【請求項3】
前記加水分解可能な有機金属化合物が、チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成る群から選ばれる一種以上の有機金属化合物であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法。
【請求項4】
前記混合貝殻粉体が、少なくとも貝殻主要部分が炭酸カルシウムの方解石型構造による結晶構造体としている貝殻を天日乾燥して硬化させ、前記天日乾燥により硬化した貝殻を約120℃の温度で焼いた後に、微細に粉砕して多孔質性粒体とした炭酸カルシウム粉末と、前記炭酸カルシウム粉末を約1000℃の温度で加熱してなる酸化カルシウム粉末とを混合して形成された混合貝殻粉体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法。
【請求項5】
前記アスベスト繊維含有複合材が、鉄骨などの建材表面に吹き付けられて形成した耐火被覆層であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の繊維状アスベスト含有複合材の低温無害化方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−301896(P2008−301896A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149590(P2007−149590)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(390027476)株式会社飾一 (8)
【出願人】(595131857)株式会社チャフローズコーポレーション (9)
【出願人】(507051145)株式会社サンヨーエコロジーパートナーズ (4)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】