説明

繊維状材料の結び方

【課題】複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつなぐ繊維状材料の結び方において、両端から引いても結び目が解けにくく、切断する場合に、切断後には結び目が解けやすくほぐれ性に優れ、結び目における重複部分を少なくすることができ、しかも、切断時のカットミスを抑制することができ、作業性も良好な繊維状材料の結び方を提供するものである。また、そのような結び方により結ばれた繊維状材料によって繊維強化プラスチックを製造する方法を提供する。
【解決手段】複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつなぐ繊維状材料の結び方であって、該繊維状材料の結び方は、一方を第1の繊維状材料とし、他方を第2の繊維状材料とし、該第1の繊維状材料と第2の繊維状材料とを図1のように結ぶことを特徴とする繊維状材料の結び方。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状材料の結び方に関する。より詳しくは、複数の繊維が束状で供給される際に好適に用いられる繊維状材料の結び方、及び、該結び方により結ばれた繊維状材料によって繊維強化プラスチックを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維状材料は、それ自体が単独で繊維として用いられる他、プラスチック(樹脂)等の他の材料の補強材、複合材として有用であり、特に各種用途における繊維強化プラスチックの原料などとして工業的に多く使用されている。このような繊維状材料は、通常、所定の長さがロール状に巻き取られた状態で供給され、適度な繊維長に切断されて使用される。切断された繊維状材料と樹脂等の他の材料とが混合、複合されて樹脂組成物が調製され、成形や塗工がなされることになる。
工業的な生産工程においては、連続的な生産を行うためにロール状に巻き取られた状態の複数の繊維状材料をつなぎ合わせ、ロール毎に途切れないようにして生産工程へ供給することが行われている。この場合、複数のロール状に巻き取られた繊維状材料をそれらの端部どうしで結び付けることになる。なお、一般的に、繊維強化プラスチックの原料などに用いられるガラス繊維の場合、数本から数十本程度の繊維が集束され、1つの繊維束となったいわゆるロービング形式の繊維状材料が使用されている。そのため、端部どうしでつなぎ合わせる際には、繊維状材料の端部における集束された1本の束どうしが結び付けられている。
【0003】
従来の繊維状材料の結び方としては、例えば、1つの糸条がその一端で2分されており、この2分されたうちの1つが環を形成しており、この環には他の1つの糸条が通っており、更にこれら2つの糸条の端部が2分されていない糸条で形成された環を通っているような結び方が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、1つの糸条をその端前で2分し、この2分されたうちの1本で環を作り、この環を境として環内で、2分された残りの糸条と他の糸条が、交差状に組み合っており、更に、これら2種の糸条の端部が、2分されていない方の糸条で形成された環を通るような結び方が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭48−64244号公報(第1頁、図面)
【特許文献2】特開昭58−31871号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
繊維状材料として複数の繊維が束状で供給される利点は、繊維状材料が切断されるときに複数の繊維が集束された状態からばらけ、効率よく細かく分散できるところにある。これによって、樹脂等の他の材料に混合、複合される際に、繊維状材料の分散性が高められ、分散状態がより均一なものとなる。ところが、複数の繊維の束として供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつないで連続的に供給する場合、つなぎ目(結び目)が生じるために、そこにおける分散性が問題となる。この結び目における分散性を向上することが、連続生産において安定的に繊維状材料を供給する際の課題となる。
【0006】
すなわち、切断後に結んでいた結び目が固く、結び目のままで残存してしまい、解けずに残ってしまうと、集束された複数の繊維がばらばらに分かれることがなく、ばらけた繊維と共に固まりとして混入することになる。
細かい繊維長に切断された繊維状材料と樹脂等の他の材料とが混合、複合されて樹脂組成物が調製される場合、通常、繊維状材料を樹脂又は樹脂組成物に含浸させる工程を経ることになるが、その際に含浸不良が生じることになり、それが成形品等の強度低下につながる場合がある。そのような工程によって調製される繊維強化プラスチックなどにおいては、製品品質に関わり、品質・工程管理において改善することが求められるところである。
また従来においては、繊維状材料が切断される際に、規定の長さに均一に切断されないカットミスが生じる場合があった。例えば、繊維状材料の結び目が緩いと一定のテンションを掛けることができず、繊維状材料の糸が曲がった状態で切断されると繊維長が不均一となる。更に、繊維状材料どうしを連結する結び目がある場合、繊維状材料どうしの重複部分が生じてしまうため、この重複部分における均一性や、重複部分や結び目の切断しやすさが問題となる。これらによって繊維状材料の切断時における均一性が損なわれることをカットミスと言う。特に、繊維がバインダーによって束ねられ、繊維束が固い場合や1つの繊維束を構成する繊維の本数が多い場合において、ほぐれ性やカットミスが生じやすくなる。これらのことが、繊維状材料の分散性に大きく影響することになる。
【0007】
従って、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料の結び方においては、先ず、繊維状材料に一定のテンションを掛けて供給することができるように、両端からある程度の力で引っぱられても結び目が解けないことが要求される。それに加えて、切断時にカットミスが抑制されること、切断された後は、結び目が適度に解けることによって繊維状材料の分散性が向上することが課題となる。しかしながら、従来の繊維状材料の結び方においては、上記課題を充分に解決することはできず、特に、切断後において結び目が解けずに残ってしまい、繊維状材料の分散性が阻害されることとなった。複数の繊維が束状で供給される繊維状材料を用いた工業的な連続生産においては、繊維状材料の分散性を高めるために、結び目を解けやすくしてほぐれ性を向上すると共に、重複部分を抑制することができ、かつカットミスを抑制することができる結び方が求められ、工業生産においてこれらの精度をより高めることができ、しかも作業性よく繊維状材料を連結できるようにする手法が求められるところであった。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつなぐ繊維状材料の結び方において、両端から引いても結び目が解けにくく、切断する場合に、切断後には結び目が解けやすくほぐれ性に優れ、結び目における重複部分を少なくすることができ、しかも、切断時のカットミスを抑制することができ、作業性も良好な繊維状材料の結び方を提供するものである。また、そのような結び方により結ばれた繊維状材料によって繊維強化プラスチックを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料をつないで生産工程に供する場合、繊維状材料が切断されるときに複数の繊維が集束された状態がばらけ、効率よく細かく分散できるという複数の繊維の束として供給される繊維状材料の利点を充分に生かすためには、結び方において上記課題があることを先ず見いだしたものである。例えば、繊維強化プラスチックの製造方法においては、繊維の分散性を高めるためにロービング形式により繊維状材料を供給し、それを切断して樹脂組成物中に細かく分散させる含浸工程が行われる。その際に、複数の繊維状材料をつないで連続的に供給する場合、従来の結び方によって端部と端部とをつないで結び目をつくると、その結び目のところで分散性が低下することが分かった。分散性の低下は、結び目のほぐれ性の低下、繊維状材料の切断における不均一性、カットミスに起因するものである。
そこで、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料どうしの結び方を種々検討したところ、繊維状材料の端部と端部とを結ぶ際に、片方の繊維状材料における繊維の束を分けながら結び、2つの結び目をつくるようにした特定の結び方が有用であることを見いだした。この結び方は、6つの手順に分けて特定することができるものである。これによれば、結び目が引っ張られて張力が掛かっても解けにくく、それでいて結び目の近辺や結び目のところで切断されると繊維の集束がほぐれやすく、しかも繊維状材料どうしの重複部分を短くすることができる。更に、カットミスの抑制にも有利であり、作業性も良好なものとすることができる。特に、結び方の手順の途中において、繊維状材料で輪をつくり、それに別の繊維状材料を通すことになるが、この際に1周360°回って輪をつくる(1周ひねる)と、ねじれがとれにくくなり、ほぐれにくくなる原因となり得る。本発明の好ましい形態においては、この輪をつくる際に1周360°回さなくても結ぶことができる、例えば、半周ひねって輪をつくって結べるようにしたところが肝要である。
このような結び方によって、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつなぐ繊維状材料の結び方であって、上記繊維状材料の結び方は、一方を第1の繊維状材料とし、他方を第2の繊維状材料とし、繊維状材料を上から見たときに下記手順(1)〜(6)をこの順で行うことを特徴とする繊維状材料の結び方である。
(1)第1の繊維状材料を、その切れ端の部分で二束に分け、それらのうちの一束を更に分けて二つにする。
(2)第2の繊維状材料を、第1の繊維状材料の更に分けて二つにした一方の下を通り、もう一方の上を通るようにして交差させる。ただし、この手順及び下記手順では、繊維状材料を交差させる際に一つの繊維状材料を他の繊維状材料の上又は下を通すことになるが、上下が全て逆であってもよい。
(3)第1の繊維状材料の更に分けた二つについて、第2の繊維状材料よりも上にある方、第2の繊維状材料よりも下にある方とすると、第2の繊維状材料よりも下にある方を、第2の繊維状材料よりも上にある方の上を通るように交差させた後、第2の繊維状材料の下、第2の繊維状材料よりも上にある方の上、第2の繊維状材料よりも下にある方の下をこの順に通るように交差させて環をつくる。
(4)第1の繊維状材料の更に分けた二つ又はそれらに加えて第2の繊維状材料を引っ張り、第1の結び目をつくる。
(5)第2の繊維状材料のうち、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端と反対側にある束を分けて二つにし、それらのうちの一方で環をつくる。
(6)第1の繊維状材料の更に分けた二つと、第一の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端がある側の束とをまとめて前記(5)でつくった環に通して引っ張り、第2の結び目をつくる。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明の繊維状材料の結び方は、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料に適用されるものである。通常は、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料が切断されて用いられることになる。
上記繊維状材料としては、複数の繊維が束状で供給されるものであれば、無機繊維や有機繊維など、種々の繊維状材料を用いることができるが、好ましいものとしては、ガラス繊維、炭素繊維及び有機繊維からなる群より選択される少なくとも1種である。より好ましくは、ガラス繊維及び/又は炭素繊維を用いることであり、更に好ましくは、ガラス繊維を用いることである。これらの繊維は、繊維強化プラスチック等における充填材、強化材、補強材等として有用であり、そのような用途においては、樹脂等に混合、分散、含浸等されて用いられることになる。
なお、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料は、一般的には、複数本(例えば、数十本)の繊維(ストランドともいう。)を束ねた繊維の束となっており、その繊維は更に複数本(例えば、数百本)の単繊維(フィラメントともいう。)よりなっている。本明細書においては、繊維状材料を繊維の束と表することもある。
【0012】
上記ガラス繊維を繊維強化プラスチック等の補強材として用いる場合には、例えば、100〜300本のガラスフィラメント(単繊維)を集束したガラスストランド(繊維)を10〜100本合糸し、円筒状に巻き取ったロービング形式により使用することができる。
また、上記炭素繊維においては、例えば、製造工程において、1000〜50000本のアクリル繊維を熱処理することで得られ、結果的に、1000〜50000本のカーボンフィラメントの集束体であるカーボントウの形式により使用することができる。
【0013】
上記ロービング形式のガラス繊維(以降、ガラスロービングともいう。)においては、その固さ、すなわち、繊維の束において繊維どうしがしっかりと合わさっていて離れにくい度合いがほぐれ性、カットミスなどに影響することになる。
ガラスロービングの固さを示す指標の1つとして強熱減量の値がある。強熱減量は、後述する実施例において示される手法によって測定することができる。通常では、繊維の束がバインダーによって結合され、強熱減量はそのバインダー量を示すことになる。強熱減量が大きい程、ガラスロービングの固さが増し、ほぐれ性が低下したりカットミスの割合が多くなったりすることになる。
本発明の結び方においては、強熱減量の値が高いガラスロービングに対しても、ほぐれ性を確保することができ、またカットミスを抑制することができる。従って、強熱減量の広い範囲において本発明を好適に適用することができ、特に本発明においては、大きな強熱減量の値を持つガラスロービングに対して、従来の結び方と比較して大きな優位性を示すことができる。
ガラスロービングにおける強熱減量の好ましい範囲としては、0.5〜3.0質量%である。より好ましくは、0.7〜2.5質量%であり、更に好ましくは、0.9〜2.0質量%である。
またガラスロービングの太さに関しても、ほぐれ性、カットミスなどに影響することになり、これについても本発明においては、太いガラスロービングに対して好適に適用することができる。
ガラスロービングの太さの指標としては、番手(Tex)が挙げられ、日本工業規格(JIS)や国際単位系(SI)において定められた方法に準拠して表すことができる。
本発明の好ましい範囲としては、1000〜10000Texであり、より好ましくは、2000〜8000Tex、更に好ましくは、3000〜6000Texである。
【0014】
上記カーボントウにおいては、ガラスロービングと比較して、繊維の束どうしが接触する結び目などでの摩擦が大きく、ほぐれ性、カットミスなどに影響することになる。
本発明の結び方においては、カーボントウに対してもほぐれ性を確保することができ、また、カットミスを抑制することができる。
カーボントウの太さは、通常、製造工程よりフィラメント数で表されるが、本発明の好ましいカーボントウの太さの範囲としては、1000〜50000本であり、より好ましくは、3000〜24000本であり、更に好ましくは、6000〜15000本である。
本発明の結び方は、種々の用途における繊維状材料に適用することができるが、上記した繊維状材料の固さや太さの範囲は、繊維強化プラスチックの原料として用いられる場合において好適である。
【0015】
本発明の繊維状材料の結び方は、一方を第1の繊維状材料とし、他方を第2の繊維状材料とし、繊維状材料を上から見たときに上記手順(1)〜(6)をこの順で行うものである。これらの手順(1)〜(6)について、図を用いて順に説明する。これらの図は、本発明の結び方の手順を説明しやすいように描いた概念図である。なお、図2〜11においては、ロービング形式となっている繊維状材料における複数の繊維の1つの束をそのまま複数の繊維一本一本まで示してそれらの束として描かれているが、図1においては、本発明の結び方の特徴を分かりやすくするために、本来はロービング形式によって複数の繊維が束となっているのが1本の紐のように模式的に描かれている。
本発明の結び方によって結ばれた部分(繊維状材料の端部と端部とを結んだ部分)を図1に示す。色付けされていない方が第1の繊維状材料を示し、色付けされている方が第2の繊維状材料を示す。第1の繊維状材料側にある結び目が第1の結び目であり、第2の繊維状材料側にある結び目が第2の結び目である。このことは、以下の図面においても同様である。
図1においては、第2の結び目をつくる際に、第2の繊維状材料のうち、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端と反対側にある束を分けて二つにし、それらのうちの一方を半周ひねって環をつくる形態が描かれている。図1の第2の結び目のところに矢印及び点線(第2の結び目の環の中心と束が交差する点とを通る線)が示されているが、点線を中心軸として矢印の方向に半周ひねってつくった環に手順(6)における束が通されている。この第2の結び目においては、半周ひねっていても半周以上(半周を超えて)ひねっていてもよいが、半周ひねりではなく、1周ひねりとすると、ねじれがとれにくくなり、ほぐれにくくなる原因となり得る。従来の結び方の結び目においては、環をつくるときに1周又はそれ以上ひねらなければならなかったが、本発明の結び方においては、1周ひねらなくてもしっかりとした結び目をつくることができる。ここに本発明の結び方の1つの技術的意義があり、第2の結び目において半周ひねった環となっている又は1周よりも少なく半周程度ひねった環となっている形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0016】
上記手順(1)においては、第1の繊維状材料を、その切れ端の部分で二束に分け、それらのうちの一束を更に分けて二つにする。
図2では、好ましい形態として、第1の繊維状材料を、その切れ端の部分で二束に分け、それらのうちの一束を分け目から先端までの長さの半分以下となるように切断し除去している。図3では、第1の繊維状材料のもう一束を更に分けて二つにしている。なお、図3においては、図の右上方に繊維の束の端が描かれている。これは、図2で示したように、第1の繊維状材料はその切れ端の部分で二束に分けられ、それらのうちの一束が分け目から先端までの長さの半分以下となるように切断して除去されるが、その除去された残りの繊維状材料を表している。このことは、以下の図面においても同様である。
この手順(1)において、第1の繊維状材料の二束のうち、結び目をつくらない方の一束については、そのまま残しておいてもよいし、切断し除去してもよいが、好ましくは除去された形態である。
その際、後述するように、第1の繊維状材料の結び目をつくらない方の一束を第1の繊維状材料の二つに分けた分け目から先端までの長さの半分以下となるように切断し除去することが好ましい。これによって、繊維状材料の重複部分を少なくしてできるだけ1つの繊維状材料に近い形態として均一性を向上すると共に、邪魔な部分を少なくして結びにおける作業性を改善することができる。更に、カットミスの抑制にもつながることとなる。
なお、本発明の繊維状材料の結び方には、繊維状材料の束を2つに分ける過程が手順(1)に2回、手順(5)に1回含まれている。その際どのような割合で2つに分けるかについては、例えば、半分ずつに分ければよく、適宜設定すればよい。好ましい範囲を設定すれば、2つに分けた繊維状材料の束のうち、一方ともう一方との繊維の本数の割合を80/20〜20/80とすることである。より好ましくは、65/35〜35/65である。
【0017】
上記手順(2)においては、第2の繊維状材料を、第1の繊維状材料の更に分けて二つにした一方の下を通り、もう一方の上を通るようにして交差させる。
図3においては、第1の繊維状材料を更に2分割して、その間に矢印のようにして第2の繊維状材料が通されているところが示されている。
ただし、この手順(2)及びそれ以後の手順では、繊維状材料を交差させる際に一つの繊維状材料を他の繊維状材料の上又は下を通すことになるが、上下が全て逆である場合も含め、第1の繊維状材料と第2の繊維状材料との相対的な位置関係がこれと同じになるものであれば、全て本発明の繊維状材料の結び方に含まれる。
【0018】
上記手順(3)においては、第1の繊維状材料の更に分けた二つについて、第2の繊維状材料よりも上にある方、第2の繊維状材料よりも下にある方とすると、第2の繊維状材料よりも下にある方を、第2の繊維状材料よりも上にある方の上を通るように交差させた後、第2の繊維状材料の下、第2の繊維状材料よりも上にある方の上、第2の繊維状材料よりも下にある方の下をこの順に通るように交差させて環をつくる。
図4〜図6では、第1の繊維状材料の更に分けた二つのうち、第2の繊維状材料よりも下にある方を持ち、第2の繊維状材料よりも上にある方の上を通るように交差させた後、第2の繊維状材料の下、第2の繊維状材料よりも上にある方の上、第2の繊維状材料よりも下にある方の下をこの順に通るように交差させるように、矢印の方向に1周回るところが順に示されている。
【0019】
本発明の繊維状材料の結び方における手順(4)においては、第1の繊維状材料の更に分けた二つ又はそれらに加えて第2の繊維状材料を引っ張り、第1の結び目をつくる。図7では、矢印で示した第1の繊維状材料の更に分けた二つを引っ張って第1の結び目をしっかり固定しているところが示されている。
【0020】
上記手順(5)においては、第2の繊維状材料のうち、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端と反対側にある束を分けて二つにし、それらのうちの一方で環をつくる。その際、第2の繊維状材料を分けた二つのうち、環をつくる方の繊維の本数(繊維状材料の1つを構成する繊維束における繊維の本数)が二つに分ける前の第2の繊維状材料の繊維の本数と比べて半分以下となるようにすることが好ましい。このようにすることで、環をつくりやすくすると共に、結び目を形成することになる環の本数を減らすことによって切断後のほぐれ性をより向上することができる。
【0021】
上記手順(5)においては、第2の繊維状材料のうち、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端と反対側にある束を分けて二つにし、それらのうちの一方で環をつくる際に、束をひねって環をつくることになる。すなわち、図8において、環の中心と環の根元に当たる束が交差するところとを通る上下方向の点線を中心軸として矢印の方向にひねって環をつくることになる。図8では、第2の繊維状材料のうち、第1の結び目より手前の部分を分けて二つにし、それらのうちの一方の束を半周(180度)ひねって環をつくっている。束をひねる角度は、180度(半周ひねり)〜360度(一周ひねり)であることが好ましい。より好ましくは、180度(半周ひねり)〜270度(3/4周ひねり)とすることであり、更に好ましくは、実質的に180度(半周ひねり)とすることである。このようにすることによって、切断後の結び目がよりほぐれやすくなり、作業性をよりよくすることが可能となる。
【0022】
本発明の繊維状材料の結び方における手順(6)においては、第1の繊維状材料の更に分けた二つと、第2の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端がある側の束とをまとめて上記手順(5)でつくった環に通して引っ張り、第2の結び目をつくる。図9では、上記手順(5)でつくった環に第1の繊維状材料の更に分けた二つと、第2の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端がある側の束とを束ねて矢印の方向に通し、形を調整するところが示されている。このようにして第1の結び目、第2の結び目をつくることで、第1の繊維状材料と第2の繊維状材料とを両端から引いても結び目がほどけないものとなる。
【0023】
本発明の繊維状材料の結び方においては、上記手順(6)の後、更に、第1の結び目から第2の結び目までの長さ、及び、第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さを適切な長さに調節することが好ましい。第1の結び目から第2の結び目までの長さとしては、5〜15cmであることが好ましい。より好ましくは、6〜13cmであり、更に好ましくは、7〜10cmである。ここでいう第1の結び目から第2の結び目までの長さとは、第1の結び目の中心付近から第2の結び目の中心付近までの長さのことを表している。
また、第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さとしては、7〜20cmであることが好ましい。より好ましくは、8〜18cmであり、更に好ましくは、9〜17cmであり、特に好ましくは、10〜15cmである。ここでいう第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さとは、第2の結び目の中心付近から第1の繊維状材料の切れ端の先端までの長さのことを表している。
第1の結び目から第2の結び目までの長さ、及び、第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さを上述のような範囲とすることによって、第1の繊維状材料の二束のうち、結び目をつくらない方の一束が、第1の結び目と第2の結び目との間にある部分と同時に切断されることを防いだり、切断後の結び目がよりほぐれやすくなったりして、作業性がよりよくなること等が期待される。
図10では、第1の結び目から第2の結び目までの長さをAで表し、第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さをBで表している。この図においては、Aを7〜10cmとなるように調節し、Bを10〜15cmとなるように調節することを模式的に表している。
なお、繊維状材料の結び方を、上述したような本発明の繊維状材料の結び方における好ましい形態とした場合には、いずれの形態においてもこれらと同様の効果を期待することができる。
【0024】
上述した本発明の好ましい形態は、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料のつなぎ合わせの際の作業性向上、繊維状材料を切断して他の材料などに混合、分散させる際の結び目のほぐれ性、分散性、均一性などの向上、カットミスの発生抑制などに資するものである。これらの好ましい形態の特徴をまとめると、図11の(a)、(b)、(c)、(d)に示され、下記(1)〜(4)のようになる。
(1)手順(1)において、第1の繊維状材料を、その切れ端の部分で二束に分け、それらのうちの一束を分け目から先端までの長さの半分以下となるように切断し除去する。図11の(a)が切断された切れ端の長さであり、これを上記のように短くすることによって、邪魔な部分を少なくしつつ、結び目の部分などに掛からないようにして、繊維状材料どうしを連結する部分を実質的に1本の繊維状材料に近い形態とすることができる。
(2)第1の結び目から第2の結び目までの長さを上記の範囲となるように調整する。図11の(b)がその長さであり、ここでは、7〜10cmとなるように調整されていることが模式的に示されている。作業性、均一性、ほぐれ性などにおいて有利となる。
(3)第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さを上記の範囲となるように調整する。図11の(c)がその長さであり、ここでは、10〜15cmとなるように調整されていることが模式的に示されている。作業性、均一性などにおいて有利となる。
(4)手順(5)において、第2の繊維状材料のうち、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端と反対側にある束を分けて二つにし、それらのうちの一方で環をつくる際、第2の繊維状材料を分けた二つのうち、環をつくる方の繊維の本数が二つに分ける前の第2の繊維状材料の繊維の本数と比べて半分以下となるようにする。図11においては、(d)によって示されるように、12本ある束が6本ずつに二つに分けられ、環をつくる方の繊維の本数が二つに分ける前の繊維の本数(12本)と比べて半分以下(6本)となるように分けられていることが模式的に示されている。
【0025】
本発明の繊維状材料の結び方によって結ばれた繊維状材料は、切断後に結び目が固くて結び目のまま残存してしまうということが起こりにくく、切断されると複数の繊維が集束された状態からばらけ、効率よく細かく分散される分散性に優れたものとなる。このような結び目のほぐれ性の評価としては、一例としては、切断後の結び目の残存率を求めることによって評価することができる。すなわち、切断前の結び目の数に対して、どれだけ切断後に結び目が残っているのかを求めることによって評価することができる。そして、切断後の結び目の残存率が低いほど結び目のほぐれ性が高いといえる。
結び目の残存率による評価方法としては、種々の条件を設定して評価することが可能であるが、例えば、後述する実施例における条件を適用して比較すれば、その性能を把握することができる。
【0026】
本発明の繊維状材料の結び方は、複数の繊維が束となった状態で連続供給され、カッターにより切断されて短繊維としてプラスチック等の強化材として用いられる際に適用することができる。
本発明を好適に適用することができる短繊維強化複合材の製造方法としては、例えば、SMC(シートモールディングコンパウンド)成形法、TMC(シックモールディングコンパウンド)成形法、BMC(バルクモールディングコンパウンド)成形法、GMT(ガラスマット強化熱可塑性樹脂成形材)成形法、LFT(ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材)成形法、スプレーアップ法、チョップドストランドマットやプリフォームを用いたレジンインジェクション法、コールドプレス法等が挙げられる。
【0027】
本発明における繊維状材料は、通常では繊維状材料を切断して樹脂等の他の材料に混合、分散することによって充填材、強化材、補強材等として用いられることになる。好ましい用途としては、繊維強化プラスチックの材料としての用途が挙げられ、この場合、繊維状材料を切断してプラスチックに配合して繊維強化プラスチックが製造されることになる。
このように、本発明の繊維状材料の結び方により結ばれた繊維状材料を連続的に切断してプラスチックに配合する工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法もまた本発明の1つである。なお、プラスチックに配合されるために切断された繊維状材料を強化繊維とも表する。
【0028】
以下に、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法について説明する。なお、この製造方法においては、上述したいずれの成形体の製造方法も適用することが可能であるが、1つの好適な製法であるSMC成形法による場合を用いて説明する。
本発明の製造方法における好ましい形態は、2枚のキャリアフィルムの両方に熱硬化性樹脂組成物を塗布し、少なくとも一方のキャリアフィルム上に強化繊維を載置し、キャリアフィルム同士で挟むことによって、強化繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸した成形材料を製造し、該成形材料をプレス成形することにより繊維強化プラスチックを製造する形態である。その形態のうちの一形態の概観を図12に示す。
【0029】
上記キャリアフィルムに強化繊維を載置する方法においては、繊維状材料を供給し、ロービングカッターによって切断して、熱硬化性樹脂組成物が塗布されたキャリアフィルム上に落とす形態が好ましい。これにより、強化繊維へ熱硬化性樹脂組成物を充分に含浸させることができる。そして成形材料は、キャリアフィルムが付いた成形材料を巻き取った複合成形材料の形態で得ることができる。
【0030】
上記繊維状材料の供給方法としては、特に制限されず、1束で供給されてもよいし、複数を並列して供給されてもよいが、工業生産においては、経済性、効率性の点から、複数を並列して供給されることが好ましい。
また複数の繊維状材料の供給形態としては、所定の長さがロール状に巻き取られた状態で供給される繊維状材料において、該ロールを複数個並べ積み重ねて、1つのロールにおける最後の端部と他のロールにおける最初の端部とを順次直列につなげて結合し、連続的に供給することが好ましい。例えば、図12においては、縦3列横3列の計9個のロールを1つのパレットに載せて、同様のパレットを4段重ねたものを1つの単位とし、1単位計36個のロールを直列に本発明の繊維状材料の結び方でつなげられている。そして、パレットを4段重ねた1単位を複数並列に配置し、1つのパレットから1本(1束)の繊維状材料を供給し、数パレット分をまとめて供給されている。図12のガラスロービング3においては、パレットを4段重ねた1単位1つから繊維状材料が供給されている様子が示されているが、点線で示した先には、同様のパレットを4段重ねた1単位が繋がっていることを表しており、図12は、一例としてパレットを4段重ねた1単位が4つ並列に配置されている様子を表している。なお、ロービングを直列に本発明の繊維状材料の結び方でつなげている様子を図13に示す。この図においては、1つのロールにおける最後の端部と他のロールにおける最初の端部とが順次直列につなげられている。図中、矢印で示されている部分が、本発明の繊維状材料の結び方で結ばれている箇所を表している。
【0031】
上記繊維強化プラスチックの製造方法において、熱硬化性樹脂組成物を塗布する方法は、特に限定されず、ドクターブレード、ロールコーター、スリット管、シャワー管等を用いて行われるが、中でもドクターブレードを用いることが好ましい。なお、上述のSMC成形法に用いられる成形材料を製造する装置をSMC含浸機とも言う。
【0032】
上記キャリアフィルム同士で挟むとは、キャリアフィルム上に載置された強化繊維及び熱硬化性樹脂組成物を別のキャリアフィルムで覆うことである。このような形態により、キャリアフィルムの間で熱硬化性樹脂組成物を強化繊維により充分に含浸させることができる。例えば、図12において、キャリアフィルム4をキャリアフィルム5で覆うことにより、キャリアフィルムの間で熱硬化性樹脂組成物を強化繊維に、より充分に含浸させることができることになる。
【0033】
上記製造方法においては、熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂(a)を含有することが必須である。その他に必要に応じて、低収縮化剤(b)、充填材(c)、内部離型剤(d)、硬化剤(e)、重合禁止剤(f)、増粘剤(g)が配合される。
【0034】
熱硬化性樹脂組成物の塗布量は、熱硬化性樹脂組成物塗布用ドクターブレードのクリアランスを調整し、塗布物の膜厚が0.3〜3.0mmとすることが好ましく、更に好ましくは、0.5〜2.0mmである。
上記クリアランスとは、ドクターブレードにおいて塗布物を排出する排出口の隙間の高さをいう。
【0035】
上記強化繊維は、熱硬化性樹脂組成物及び強化繊維の総量を100質量部とすると、5〜70質量部含まれるものであることが好ましい。上記範囲とすることにより、成形品が優れた外観や機械的特性、耐水性、耐食性、電気絶縁性等を呈することになる。5質量部未満であれば、上述した効果を充分に発揮することができないおそれがある。70質量部を超えると、熱硬化性樹脂組成物の強化繊維への含浸が悪くなり、成形品に膨れが発生するなど外観が著しく低下するおそれがある。上記強化繊維は、20〜50質量部含まれるものであることがより好ましい。
また繊維状材料が切断された強化繊維は、繊維長が2〜60mmであることが好ましい。繊維長が2mmより短いと、成形材料を成形した場合、強度物性が低下するおそれがある。60mmより長いと、成形品表面の外観が悪くなるおそれがある。繊維長は、より好ましくは10〜35mmである。
【0036】
上記繊維状材料の切断方法としては、繊維状材料を切断することができれば特に制限されないが、例えば、円筒カッターとゴムロールによるロータリーカッターを用いて切断する方法などが好適である。このような装置、切断方法は、繊維強化プラスチックの製造工程などにおいて好適に用いることができる。なお、円筒カッター及びゴムロールの大きさ、円筒カッターにおける刃の間隔、回転速度等の切断するための条件は、使用する繊維状材料や強化繊維の用途等に応じて適宜設定することができる。本発明においては、通常用いられる切断方法、条件において、後述する実施例で示されるように際立って優れた効果を奏するものであり、どのような切断手法においても結び目のほぐれ性や実質的に1本の繊維状材料に近いという均一性が影響し、ほぐれやすく、分散性や均一性が高められるという有利な効果を与えることができる。
【0037】
上記熱硬化性樹脂組成物が含有する熱硬化性樹脂(a)としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特に不飽和ポリエステル樹脂は、経済性に優れるため好ましい。これらの熱硬化性樹脂(a)は、特に限定されず、通常用いられるものを用いることができる。
【0038】
上記不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等を用いた多塩基酸類とエチレングリコール等を用いた多価アルコール類とを反応させて得られる不飽和ポリエステルを、スチレンなどの重合性ビニル単量体に溶解させて製造されたものであることが好ましく、1種又は2種以上を使用することができる。
【0039】
上記成形材料の製造方法において、熱硬化性樹脂(a)は、熱硬化性樹脂(a)及び低収縮化剤(b)の総量を100質量部とすると、40質量部以上、100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは、50質量部以上、90質量部以下である。
また上記熱硬化性樹脂(a)は、不飽和ポリエステルが重合性ビニル単量体で希釈されたものであることが好ましい。上記不飽和ポリエステルは、熱硬化性樹脂(a)及び低収縮化剤(b)の総量を100質量部とすると、20質量部以上が好ましく、70質量部以下であることが好ましい。
【0040】
上記重合性ビニル単量体は、熱硬化性樹脂(a)及び低収縮化剤(b)の総量を100質量部とすると、20〜60質量部含まれるものであることが好ましい。20質量部未満とすると、粘度が高いために作業性に優れたものとはならないおそれがある。60質量部を超えると、充分な硬化性を得られないおそれがある。好ましい下限は30質量部、上限は55質量部であり、より好ましい下限は40質量部、上限は50質量部である。
上記重合性ビニル単量体は、不飽和ポリエステル樹脂製造時に不飽和ポリエステルの溶解に用いる他、低収縮化剤の希釈や熱硬化性樹脂組成物の製造時に加えてもよい。
【0041】
上記熱硬化性樹脂組成物が含有する低収縮化剤(b)は、熱硬化性樹脂組成物の低収縮化剤として慣用されている熱可塑性樹脂を挙げることができる。このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリブタジエン又はその水素添加体、ポリイソプレン又はその水素添加体、芳香族ビニルと共役ジエンとのブロック共重合体又はその水素添加体、ポリスチレン、スチレンと酢酸ビニルとのブロック共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンがあり、更には飽和ポリエステル(分子量:300〜100000)、ポリエーテル等を挙げることができる。
【0042】
上記無機充填材としては、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ガラスマイクロバルーン、シリカ、溶融シリカ、アエロジル(商品名)、クレー、マイカ、水酸化マグネシウム、寒水等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらは、表面処理、コーティングやメッキした充填材を用いることができる。例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の表面改質剤で表面処理したものを好ましく用いることができる。
このような無機充填材は、上記硬化性樹脂(a)及び低収縮化剤(b)の総量を100質量部とすると、5〜1000質量部であることが好ましい。5質量部未満とすると、成形品の外観が悪くなるおそれがある。1000質量部を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり含浸不良が起こりやすくなるおそれがある。より好ましくは、15〜250質量部であり、更に好ましくは、20〜150質量部である。
上記無機充填材が、このような範囲で含有されていると、成形時に発生する収縮を低く抑えられ、成形品の耐衝撃性等の機械的強度をより優れたものとすることができる。
【0043】
上記内部離型剤としては通常用いられるものを使用することができる。例えば、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)、ステアリン酸カルシウムのような金属石鹸、フッ素系の有機化合物、リン酸系の化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0044】
上記硬化剤については、目標とする成形サイクルに応じて通常用いられる有機過酸化物の中から選択することができる。樹脂組成物に配合される硬化剤としては、t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)、t−ブチルパーオキシオクトエート(TBPO)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(THPB)、t−ヘキシルパーオキシオクトエート(THPO)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)シクロヘキサン(DDBPH)、t−アミルパーオキシオク卜エート(TAPO)、t−ブチルイソプロピルパーオキシカーボネート(TBIPC)等の有機過酸化物の中から所望の硬化速度に応じて1種又は2種以上を選ぶことができる。中でも、t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)が好ましい。
上記硬化剤は、上記硬化性樹脂(a)及び低収縮化剤(b)の総量を100質量部とすると、通常0.1〜4質量部であることが好ましい。
【0045】
上記重合禁止剤は通常重合禁止剤として用いられるものを使用することができる。例えば、PBQ(パラベンゾキノン)、MTBHQ(モノt−ブチルハイドロキノン)、BHT(ジt−ブチルヒドロキシトルエン、又は、2,5−ジt−ブチル−4−メチルフェノール)、HQ(ハイドロキノン)、TBC(t−ブチルカテコール)等を1種又は2種以上用いることができる。中でも、PBQ(パラベンゾキノン)が好ましい。
【0046】
上記増粘剤としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム等の2価金属の酸化物又は水酸化物、トリレンイソシアネート(TDI)等のイソシアネート類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、酸化マグネシウムが好ましい。
上記成形材料の製造方法に用いられる熱硬化性樹脂組成物では、このような2価金属の酸化物又は水酸化物の増粘剤は、上記熱硬化性樹脂(a)及び低収縮化剤(b)の総量を100質量部とすると、例えば0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜5質量部である。
【0047】
上記熱硬化性樹脂組成物は、更に、必要に応じて、液体ワックス等の離型剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤(有機系及び/又は無機系)、粘度低下剤、低収縮化剤分離防止剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、潤滑分散剤、顔料分散剤、顔料改質剤、チクソ付与剤、チクソ安定剤、染料等の着色剤、重合促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、親水剤、光触媒、分離防止剤、可塑剤等の種々の添加剤等を用いることができる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態としては、上述した繊維強化プラスチックの製造方法により得られる繊維強化プラスチックでもある。
本発明の繊維強化プラスチックは、上述した成形材料を用い、通常用いられる圧縮成形法等によって、圧縮成形機等の成形機にて所定の温度、所定の圧力で加熱、加圧することにより成形して得ることができる。圧縮成形法としては、プレス成形法が挙げられ、この場合、油圧プレスを取り付けた雄・雌一対の金型で、材料を加熱、加圧して成形される。成形品は、製品裏面に補強用リブ構造を有し、金型からの脱型は突き上げピン及び/又はエアー弁により迅速に脱型される。
【0049】
上記加熱硬化の温度は、通常180℃未満であり、75℃以上、175℃未満であることが好ましく、より好ましくは、80℃以上、170℃未満である。75℃未満であると、硬化速度が低下しすぎて実用的でないおそれがあり、180℃を超えると、製品外観が低下したりするおそれがある。また、上記の温度範囲内で、上金型と下金型に温度差をつけて加熱してもよい。
また上記加熱時間は、特に限定されるものではなく、重合開始剤の10時間半減期温度、成形品の厚さ等により適宜選択することができる。型締め速度、真空条件等は、通常用いられる条件を採用することができる。加熱成形時に加圧する場合は、成形品にかかる圧力は、0.3〜20MPaが好ましく、2〜15MPaがより好ましい。
【0050】
上記成形品として好適なものとしては、例えば、住宅部材、自動車部品、産業資材等の多くの工業製品が挙げられる。
本発明においては、これら様々な用途に対して好適に適用することができ、種々の機能を発揮することになる繊維状材料の連続生産における分散性を向上し、その機能を充分に発揮させ、品質向上、作業効率向上において有利な効果を奏することとなる。
【発明の効果】
【0051】
本発明の繊維状材料の結び方は、上述の構成よりなり、複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつなぐ繊維状材料の結び方において、両端から引いても結び目が解けにくく、切断する場合に、切断後には結び目が解けやすくほぐれ性に優れ、結び目における重複部分を少なくすることができ、しかも、切断時のカットミスを抑制することができ、作業性も良好なものとすることができる。また、そのような結び方により結ばれた繊維状材料によって繊維強化プラスチックを製造する方法においては、繊維状材料の分散性、均一性が向上された成形品を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の繊維状材料の結び方を示したモデル図である。
【図2】図2は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(1)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図3】図3は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(1)及び(2)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図4】図4は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(3)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図5】図5は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(3)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図6】図6は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(3)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図7】図7は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(4)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図8】図8は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(5)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図9】図9は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(6)の好ましい一形態を示した概念図である。
【図10】図10は、本発明の繊維状材料の結び方における手順(6)の後に本発明の好ましい形態となるよう結び方を調節する一形態を示した概念図である。
【図11】図11は、本発明の繊維状材料の結び方における好ましい形態の特徴についてまとめた概観図である。
【図12】図12は、本発明の繊維強化プラスチックを製造する装置の一形態を示すモデル図である。
【図13】図13は、本発明の繊維強化プラスチックを製造する一形態において、ロービングを直列に本発明の繊維状材料の結び方でつなげている様子を示すモデル図である。
【図14】図14は、特開昭58−31871号公報の第1図に記載の繊維状材料の結び方を示したモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0054】
なお、以下の実施例において、強熱減量はJIS R3420:2006に従い、以下のようにして測定した。
繊維状材料から5g程度に相当する長さを切り出し試験片とした。試験片の入ったホルダを105±5℃の乾燥機の中に入れ、30分間加熱した。加熱後、試験片の入ったホルダをデシケータに移し、室温まで放冷した。その後、試験片をホルダとともにほぼ0.1mgまでひょう量した。質量が一定になるまで加熱、冷却及びひょう量を繰り返した。
乾燥した試験片をホルダとともに625℃に調節したマッフル炉の中に入れた。マッフル炉の扉を開けたまま5分間燃焼させた後、扉を閉めて更に10分間以上加熱した。
マッフル炉から試験片及びホルダを取り出した後、デシケータに移し標準室温に放冷した。試験片をホルダとともに0.1mgまでひょう量した。質量が一定になるまで加熱、冷却及びひょう量を繰り返した。
そして、下記式(1)のようにして強熱減量を求めた。
【0055】
【数1】

【0056】
式中における略号は、以下の通りである。
H:試験片の強熱減量[質量分率(%)]
:乾燥後の試験片及びホルダ質量(g)
:乾燥及び加熱後の試験片及びホルダ質量(g)
:ホルダ質量(g)
【0057】
(実施例1)
ガラス繊維GF−1(PG580、日東紡社製、番手;4800Tex、強熱減量;0.9%)を約1m間隔で本発明の結び方の手順の通りに結び、1本につき50箇所の結びをもつガラスロービングを準備した。直径114mmの円筒円周を14分割し、1ピッチ約25mmとした円筒カッターと直径100mmのゴムロールによるロータリーカッターを用いて、回転数30回/分で回転させ、カット後の繊維の結び目の残存数を数えた。そして、カット後の結び目が固く、結び目のままで残存してしまう割合を結び目の残存率として、以下の式により求めた。
結び目の残存率(%)={結び目の残存数(個)/結び目の数(50個)}×100
その結果、結び目の残存率は、0%であった。
また、試験時にロータリーカッターまで繊維が供給される際の張力によって結び目がほどけてしまうと、実使用時に繊維を安定供給することができないと考えられることから、試験時にロータリーカッターまで繊維が供給される際の張力によって、結び目のほどけが発生するか否かについてその有無を確認し、ほどけとして評価した。
その結果、ほどけは無かった。
そしてまた、ロータリーカッターにより切断された繊維の目標長さ(25mm)に対するばらつきを観察し、切断された繊維の長さの均一性を、繊維長均一性として目視により評価した。
その結果、繊維長均一性は、良好であった。
【0058】
(実施例2)
ガラス繊維としてGF−2(ER 55M、CPIC社製、番手;4800Tex、強熱減量;1.2%)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、0%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は良好であった。
【0059】
(実施例3)
ガラス繊維としてGF−3(ER 59B、CPIC社製、番手;4800Tex、強熱減量;2.0%)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、2%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は良好であった。
【0060】
(実施例4)
ガラス繊維としてGF−4(PG580、日東紡社製、番手;6000Tex、強熱減量;0.9%)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、0%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は良好であった。
【0061】
(実施例5)
炭素繊維としてCF(TR50S 12K、三菱レイヨン社製、フィラメント数;12000本)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、0%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は良好であった。
【0062】
(比較例1)
ガラス繊維の結び方を特開昭58−31871号公報に記載の方法(本明細書においては、従来の方法と言う)とした以外は、実施例1と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、2%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は一部不良であった。
特開昭58−31871号公報第1図に記載の繊維状材料の結び方を示すモデル図を図14に示す。
【0063】
(比較例2)
ガラス繊維の結び方を従来の方法とした以外は、実施例2と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、16%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は一部不良であった。
【0064】
(比較例3)
ガラス繊維の結び方を従来の方法とした以外は、実施例3と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、42%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は一部不良であった。
【0065】
(比較例4)
ガラス繊維の結び方を従来の方法とした以外は、実施例4と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、18%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は一部不良であった。
【0066】
(比較例5)
繊維の結び方を従来の方法とした以外は、実施例5と同様にして評価したところ、結び目の残存率は、10%であった。また、ほどけは無く、繊維長均一性は一部不良であった。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
上記実施例及び比較例の結果より、本発明の繊維状材料の結び方を適用することによって、ロータリーカッターまで繊維が供給される際の張力で引っぱった時に結び目がほどけたり、切断時にカットミスが起こりカットされた繊維の長さが揃わずに不均一になったりすることなく、切断後に結び目が解けず残ることが抑制され、結び目の残存率を顕著に低下させることができることが確認された。また、強熱減量の違いについては、本発明の結び方(図1)の方が従来の方法(図14)と比較して、全ての強熱減量の値において結び目の残存率を低下させることができ、また、切断時のカットミスを抑制することができた(実施例1〜3及び比較例1〜3)。特に繊維状材料の強熱減量が高い場合であっても、切断後に結び目が解けず残ってしまうこと、切断時にカットミスが起こることを共に効果的に抑制することができ、際立って優れた結果となることが確認された(実施例3及び比較例3)。また、番手(Tex)の違いについては、繊維状材料の番手が高い場合であっても、本発明の結び方においては、切断後に結び目が解けず残ってしまうこと、切断時にカットミスが起こることを共に効果的に抑制することができた(実施例4及び比較例4)。これらの結果から、本発明の結び方は、複数の繊維が束状で供給される繊維状材料の結び方として適したものである、ということが分かった。また作業性についても、本発明の結び方は良好であり、作業効率の面においても有利なものであった。
また、繊維状材料として炭素繊維を用いた場合においても、ロータリーカッターまで繊維が供給される際の張力で引っぱった時に結び目がほどけたり、切断時にカットミスが起こりカット後の長さが不均一になったりすることなく、切断後に結び目が解けず残ることを抑制することができた(実施例5及び比較例5)。
なお、上記に詳述した繊維強化プラスチックの製造方法に適用すれば、上記実施例、比較例の結果からすると、繊維状材料の分散性が顕著に向上し、その結果、繊維強化プラスチックの品質が際立って優れたものとなり、種々の繊維強化プラスチックの製造方法に対して本発明の結び方を好適に適用することができると言える。
【符号の説明】
【0069】
A:第1の結び目から第2の結び目までの長さ
B:第2の結び目から第1の繊維状材料の先端までの長さ
1:熱硬化性樹脂塗布用ドクターブレードA
2:不飽和ポリエステル樹脂組成物
3:ガラスロービング
4:キャリアフィルムA
5:キャリアフィルムB
6:熱硬化性樹脂塗布用ドクターブレードB
7:ロービングカッター
8:デュアルメッシュ
9:SMC巻取りロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維が束状で供給される複数の繊維状材料の端部と端部とをつなぐ繊維状材料の結び方であって、
該繊維状材料の結び方は、一方を第1の繊維状材料とし、他方を第2の繊維状材料とし、繊維状材料を上から見たときに下記手順(1)〜(6)をこの順で行うことを特徴とする繊維状材料の結び方。
(1)第1の繊維状材料を、その切れ端の部分で二束に分け、それらのうちの一束を更に分けて二つにする。
(2)第2の繊維状材料を、第1の繊維状材料の更に分けて二つにした一方の下を通り、もう一方の上を通るようにして交差させる。ただし、この手順及び下記手順では、繊維状材料を交差させる際に一つの繊維状材料を他の繊維状材料の上又は下を通すことになるが、上下が全て逆であってもよい。
(3)第1の繊維状材料の更に分けた二つについて、第2の繊維状材料よりも上にある方、第2の繊維状材料よりも下にある方とすると、第2の繊維状材料よりも下にある方を、第2の繊維状材料よりも上にある方の上を通るように交差させた後、第2の繊維状材料の下、第2の繊維状材料よりも上にある方の上、第2の繊維状材料よりも下にある方の下をこの順に通るように交差させて環をつくる。
(4)第1の繊維状材料の更に分けた二つ又はそれらに加えて第2の繊維状材料を引っ張り、第1の結び目をつくる。
(5)第2の繊維状材料のうち、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端と反対側にある束を分けて二つにし、それらのうちの一方で環をつくる。
(6)第1の繊維状材料の更に分けた二つと、第1の結び目に対して第2の繊維状材料の切れ端がある側の束とをまとめて前記(5)でつくった環に通して引っ張り、第2の結び目をつくる。
【請求項2】
前記結び方は、手順(1)で最初に分けた第1の繊維状材料の二束のうち、結び目をつくらない方の一束を、第1の繊維状材料の最初の分け目から先端までの長さの半分以下となるようにすることを特徴とする請求項1に記載の繊維状材料の結び方。
【請求項3】
前記結び方は、手順(5)で第2の繊維状材料を分けた二つのうち、環をつくる方の繊維の本数が二つに分ける前の第2の繊維状材料の繊維の本数と比べて半分以下となるようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維状材料の結び方。
【請求項4】
前記繊維状材料は、ガラス繊維、炭素繊維及び有機繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維状材料の結び方。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の繊維状材料の結び方により結ばれた繊維状材料を連続的に切断してプラスチックに配合する工程を含むことを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−94244(P2011−94244A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246258(P2009−246258)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(503090980)ジャパンコンポジット株式会社 (38)
【Fターム(参考)】