説明

繊維製品の耐洗濯性のある抗菌加工方法

【課題】繊維製品の表面を抗菌加工するにあたり、吸水性を低下させる事がなく、バインダーを添加しなくても、繰り返し洗濯後も抗菌効力を十分保持することのできる繊維製品を提供することを課題とする。
【解決手段】pHを6〜13に調整したグレープフルーツ種子抽出液からなる処理液を用いて、天然繊維の場合は常圧下、温度50℃〜100℃で吸尽処理し、合成繊維の場合は加圧下、温度110〜130℃で吸尽処理するか、あるいは常圧下、浸漬処理あるいはスプレー処理後、温度130〜230℃で加熱処理をすることを特徴とする繊維製品の抗菌加工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の抗菌加工方法に関するものであり、さらに詳しくは繊維製品を細菌などの微生物に対して、抗菌処理するにあたり、安全で、繰り返し洗濯後も抗菌性が十分保持される繊維製品を提供するための抗菌加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維製品に耐洗濯性のある抗菌性を付与する方法として、セルロースに対して反応性のある有機シリコン系四級アンモニウム塩を用いる方法が良く知られている。(例えば非特許文献1参照)この有機シリコン系四級アンモニウム塩はセルロースの第一級水酸基に化学結合することが出来る為、セルロース繊維製品に対して耐洗濯性のある抗菌性を付与することが可能である。しかしながら水酸基の無い合成繊維などに対しては耐洗濯性のある抗菌性を付与することは極めて困難である。またその薬剤を用いて処理した繊維製品は一般に撥水性が大きくなり、その為水分を吸収する能力(吸水性)が低下する欠点が指摘されている。
【0003】
その他の薬剤としてポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩などが知られている。(例えば非特許文献2参照)ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩やクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて繊維製品を処理した場合、被処理物に対して吸水性を低下させることはないが、耐洗濯性のある抗菌性を被処理物に付与することは、通常の方法では困難である。
【0004】
その他、安全性の面から化学薬品系ではなく食品添加物であるグレープフルーツ種子抽出物をプラスチックフィルムや紙に処理して制菌や防かびを行っている例(例えば特許文献1参照)があるが、繊維製品でないため、衣料用のような耐洗濯性の必要がなく、特許文献1記載のpH2.5〜3では、例え、そのままグレープフルーツ種子抽出物を繊維製品にコーティングしただけでは耐洗濯性が得られない。
【0005】
フェルラ酸あるいはその誘導体とグレープフルーツ等を併用し、マイクロカプセル化あるいは、サイクロデキストリンによる包摂化した後、バインダーを用いて繊維に処理することにより老化防止効果や抗アトピー効果を狙った機能性付与剤の例(例えば特許文献2参照)があるが、マイクロカプセル化あるいは、サイクロデキストリン化する必要があり、耐洗濯性を得るためには、バインダーを併用する必要があった。バインダーを加えることにより、風合いの硬化や黄変等の着色の問題があり、また、バインダーの使用量によっては薬剤の表面をバインダーが覆うために性能の低下等の問題があった。
【0006】
【非特許文献1】「抗菌のすべて」(繊維社)1997年9月5日発行P603〜606
【非特許文献2】「抗菌のすべて」(繊維社)1997年9月5日発行P146〜147
【特許文献1】特開平02−193901号公報
【特許文献2】特開2004−324026号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況のもとで天然繊維製品及び合成繊維製品において、吸水性を低下させる事がなく、バインダーを使用しなくても繰り返し洗濯後も抗菌性が十分保持される抗菌性繊維製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、pHを6〜13に調整したグレープフルーツ種子抽出液からなる処理液を用いて、天然繊維の場合は常圧下、温度50℃〜100℃で吸尽処理し、合成繊維の場合は加圧下、温度110〜130℃で吸尽処理するか、あるいは繊維製品を常圧下、pHを6〜13に調整したグレープフルーツ種子抽出液からなる処理液を用いて、浸漬処理あるいはスプレー処理後、温度130〜230℃で加熱処理を行うことにより容易に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の対象となる繊維製品としてはセルロース繊維、天然ポリアミド繊維などの天然繊維製品および、ポリエステル繊維、合成ポリアミド繊維、アクリル系繊維或いはポリオレフィン系繊維等の合成繊維製品が挙げられる。
【0010】
抗菌繊維製品を製造する方法としては、浸漬法、吸尽法、スプレー法など従来の方法で製造される。
【0011】
グレープフルーツ種子抽出液はpH2.5〜5であるため、アルカリ剤を加えてpHを6から13に調整する。
【0012】
アルカリ剤としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム等のようなアルカリ性物質あるいは炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリクロル酢酸ナトリウム、トリクロル酢酸カリウム等のような加熱によりアルカリを発生するもの等を挙げることができる。アルカリ剤としてはアルカリ性物質あるいはアルカリ発生物質であれば特にこだわらない。
【0013】
グレープフルーツ種子抽出液はグレープフルーツの種を粉砕し、加熱蒸留法、加水分解法、溶媒抽出法、圧搾等によって抽出されたものである。このような液体は特開平6−40834号公報などに記載されているように周知なものであり、主成分は脂肪酸及びフラボノイドからなり、製品安定化のためグリセリンと1:1あるいは1:2混合液として使用され、食品衛生法の既存添加物として認められている。
【0014】
グレープフルーツ種子抽出液が、例えばグリセリンとの1:2(重量比)混合液として得られた場合の物性は粘度:50〜150(mPa・S)、pH2.5〜5.0、比重(25℃)1.1〜1.2である。
【0015】
以下に耐洗濯性のある抗菌性繊維製品の製造法の例を示す。
上記のように得られたグレープフルーツ種子抽出物の使用量は0.01%から10.0%、好ましくは0.1%〜5.0%含有する水溶液を用いて繊維製品を浸漬法、吸尽法あるいはスプレー法などで処理する。この範囲よりも使用量が少ないと十分な抗菌効力は発揮されないし、過剰に使用してもコストが高くつくだけで何ら益は無い。
【0016】
天然繊維を吸尽法で処理する場合は、常圧下、処理液の温度は通常、50℃及至100℃で、処理時間は通常5分から60分で、好ましくは20分から60分である。
【0017】
合成繊維を吸尽法で処理する場合は、加圧下、処理液の温度は通常、110℃及至130℃で、処理時間は通常5分から60分で、好ましくは20分から60分である。
【0018】
処理pHは6.0〜13.0、好ましくは8.0〜12.0であり、pH6.0よりも低いpHでは抗菌剤の水溶性が高く、耐洗濯性は得られない。また、pH13.0よりも高い場合は加工時の安全性の面からも良くない。pH6.0より低いpHで染色と同時に抗菌処理するような場合は耐洗濯性のある抗菌性が得られないので、染色とは別浴で抗菌加工をする必要がある。吸尽処理後の乾燥については、特に乾燥温度に制限はないが通常50℃〜120℃で乾燥される。
【0019】
浸漬法或いはスプレー法で処理する場合は、繊維製品を常圧下、常温で処理液に浸漬或いはスプレーしたのち必要に応じてマングルで絞り、所定量の加工剤を付与し、次いで加熱処理固着させる。処理pHは6.0〜13.0が洗濯耐久性を得る為には必要であるため、これより低いpHで染色と同時に抗菌処理するような場合は吸尽法と同様、抗菌性が得られないので、染色とは別浴で抗菌加工をする必要がある。乾燥温度は通常50℃〜120℃で格別制限はない。合成繊維に対して繊維耐久性を得るためには乾燥後に加熱処理を行う必要がある。加熱処理温度は通常130℃〜230℃で好ましくは160℃〜200℃であり、処理時間は30秒〜30分間である。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1
比重1.15(20℃)のグレープフルーツ種子抽出物(リリース科学工業株式会社製)を0.3%濃度になるようにイオン交換水でうすめ、1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整した。ポリエステルジャージをこの水溶液に浸漬してマングルで絞り率100%に絞り、100℃で3分間乾燥後、180℃で5分間加熱処理し、抗菌性繊維製品を得た。その後洗濯試験を行い、それぞれを抗菌試験用試験布として洗濯試験前後の抗菌力の抗菌性試験を行った。結果を表−1に示す。
【0022】
実施例2
ポリエステルジャージを6−ナイロンジャージ、加熱処理温度を180℃で5分間から160℃で5分間に替えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0023】
洗濯試験
洗濯試験はJIS 10217(1976)103に規定する試験にしたがって家庭用洗濯機を用いて行った。洗剤として(社)繊維評価技術協議会提供のJAFET標準洗剤1.33グラム/リットルを含有する28リットル(浴比1:30)の40℃の水中で5分間洗濯後、2分間濯ぎ、脱水、2分間濯ぎ、脱水を1回として同様の操作を10回繰り返し行った。
【0024】
抗菌性試験方法
抗菌試験はJIS L1902 菌液吸収法に準じて生菌数と静菌活性値を測定した。生菌数は数字が小さい方が抗菌性が高いことを示し、静菌活性値は数字が大きい方が抗菌性が高いことを示す。結果を表−1、表−2に示す。試験菌として肺炎桿菌(ATCC4352)を用いた。
【0025】
実施例3
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを6に調整する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0026】
実施例4
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを8に調整する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0027】
実施例5
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整し、130℃で10分間熱処理する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0028】
実施例6
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%にする以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0029】
実施例7
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを11にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%にする以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0030】
実施例8
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを8にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を1.0%にする以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0031】
実施例9
1規定炭酸ナトリウム水溶液でpHを8にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を5.0%にする以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0032】
実施例10
1規定炭酸ナトリウム水溶液でpHを8にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を8.0%にする以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0033】
実施例11
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、230℃で90秒間熱処理する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0034】
実施例12
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、150℃で5分間熱処理する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0035】
実施例13
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、130℃で10分間熱処理する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0036】
比較例1
グレープフルーツ種子抽出物0.3%濃度の替りに、3−(メトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドの0.5%水溶液を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0037】
比較例2
グレープフルーツ種子抽出物0.3%濃度の替りに、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩の1.0%水溶液を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0038】
比較例3
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを7にする替りに1規定塩酸水溶液でpHを2に調整する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0039】
比較例4
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを7にする替りにpHを調整しない以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0040】
比較例5
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、180℃で5分間熱処理する替わりに、100℃で5分間熱処理する以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0041】
実施例14
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを6に調整する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0042】
実施例15
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを8に調整する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0043】
実施例16
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを12に調整し、130℃で10分間熱処理する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0044】
実施例17
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%にする以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0045】
実施例18
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを11にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%にする以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0046】
実施例19
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを8にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を1.0%にする以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0047】
実施例20
1規定炭酸ナトリウム水溶液でpHを8にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を5.0%にする以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0048】
実施例21
1規定炭酸ナトリウム水溶液でpHを8にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を8.0%にする以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0049】
実施例22
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、230℃で90秒間熱処理する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0050】
実施例23
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、150℃で5分間熱処理する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0051】
実施例24
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、130℃で10分間熱処理する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0052】
比較例6
グレープフルーツ種子抽出物0.3%濃度の替りに、3−(メトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドの0.5%水溶液を用いた以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0053】
比較例7
グレープフルーツ種子抽出物0.3%濃度の替りに、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩の1.0%水溶液を用いた以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0054】
比較例8
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを7にする替りに1規定塩酸水溶液でpHを2に調整する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0055】
比較例9
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを7にする替りにpHを調整しない以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0056】
比較例10
1規定水酸化ナトリウム水溶液でpHを9にし、グレープフルーツ種子抽出物の濃度を0.5%、160℃で5分間熱処理する替わりに、100℃で5分間熱処理する以外は実施例2と同様に行った。結果を表−2に示す。
【0057】
【表−1】

【0058】
【表−2】

【0059】
表−1、表−2から明らかなように、本発明の実施例は洗濯後もすぐれた抗菌性を示した。
【0060】
実施例25
綿ニットに対し浴比1:30で生地重量あたり反応染料(スミフィックス ブリリアントレッド3BF150%(住友化学(株)))1%、グレープフルーツ種子抽出物(リリース科学工業株式会社)0.5%、炭酸ナトリウム 15g/l、無水硫酸ナトリウム40g/l、60℃、30分間吸尽法で染色した後、100℃で乾燥した。洗濯試験は実施例1と同様に行った。抗菌試験は試験菌として肺炎桿菌(ATCC4352)の替りに黄色ブドウ球菌(IFO12732)を使用した。結果を表−3に示す。
【0061】
実施例26
グレープフルーツ種子抽出物の濃度を1.0%、50℃、60分間吸尽法で染色した以外は実施例25と同様に行った。結果を表−3に示す。
【0062】
実施例27
ポリエステルジャージに対し浴比1:30で生地重量あたり分散染料(カヤロンポリエステルイエローブラウン3RL200 0.33%、カヤロンポリエステルルビン3GL−S150 0.44%、カヤロンポリエステルブルーBR−SF 0.66%配合(日本化薬(株)))、グレープフルーツ種子抽出物(リリース科学工業株式会社製)0.5%、エスコールT−150(均染剤:センカ(株))1g/lを加えた。次にセンカバファー600(pH調整剤:センカ(株))にてpHを9に調整し、130℃、60分間、高圧吸尽染色した後、還元洗浄、水洗乾燥した。洗濯試験は実施例1と同様に行った。抗菌試験は試験菌として黄色ブドウ球菌(IFO12732)を使用した。結果を表−3に示す。
【0063】
実施例28
グレープフルーツ種子抽出物の濃度を1.0%にする以外は実施例27と同様に行った。結果を表−3に示す。
【0064】
実施例29
6−ナイロンジャージに対し浴比1:30でグレープフルーツ種子抽出物(リリース科学工業株式会社製)1.0%を加えた。pHを1規定水酸化ナトリウムで9に調整後、110℃で30分間、高圧吸尽処理した後、100℃で3分間乾燥した。洗濯試験は実施例1と同様に行った。抗菌試験は試験菌として黄色ブドウ球菌(IFO12732)を使用した。結果を表−3に示す。
【0065】
実施例30
綿ニットに対し浴比1:30でグレープフルーツ種子抽出物(リリース科学工業株式会社製)1.0%、炭酸ナトリウム15g/Lを加えた。次に100℃で60分間、吸尽処理した後、100℃で3分間乾燥した。洗濯試験は実施例1と同様に行った。抗菌試験は試験菌として黄色ブドウ球菌(IFO12732)を使用した。結果を表−3に示す。
【0066】
比較例11
グレープフルーツ種子抽出物0.5%濃度の替りに、3−(メトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドの0.5%水溶液を用いた以外は実施例25と同様に行った。結果を表−3に示す。
【0067】
比較例12
ポリエステルジャージに対し浴比1:30で生地重量あたり分散染料2%(スミカロンレッドSE−RPD(住友化学(株)))、グレープフルーツ種子抽出物(リリース科学工業株式会社製)0.5%、エスコールT−150(均染剤:センカ(株))1g/lを加えた。次に酢酸0.5g/lにてpHを4に調整し、130℃、60分間、高圧吸尽染色した後、還元洗浄、水洗乾燥した。結果を表−3に示す。
【0068】
比較例13
グレープフルーツ種子抽出物の濃度を1.0%にする以外は比較例12と同様に行った。結果を表−3に示す。
【0069】
比較例14
グレープフルーツ種子抽出物0.5%濃度の替りに、3−(メトキシシリル)プロピルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドの0.5%水溶液を用いた以外は実施例27と同様に行った。結果を表−3に示す。
【0070】
比較例15
グレープフルーツ種子抽出物0.5%濃度の替りに、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩の1.0%水溶液を用いた以外は実施例27と同様に行った。結果を表−3に示す。
【0071】
【表−3】

【0072】
表−3から明らかなように、本発明の実施例は洗濯後もすぐれた抗菌性が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH6〜13に調整したグレープフルーツ種子抽出液からなる処理液で処理することを特徴とする繊維製品の耐洗濯性抗菌加工方法。
【請求項2】
前記処理液で繊維製品を加圧下で、温度110〜130℃の加熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の合成繊維用耐洗濯性抗菌加工方法。
【請求項3】
前記処理液で繊維製品を常圧下で、温度50〜100℃の加熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の天然繊維用耐洗濯性抗菌加工方法。
【請求項4】
前記処理液で繊維製品を処理後常圧下で、温度130〜230℃の加熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の合成繊維用耐洗濯性抗菌加工方法。

【公開番号】特開2009−41169(P2009−41169A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232057(P2007−232057)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(391003473)センカ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】