説明

繊維製品用液体仕上げ剤組成物

【課題】衣類等の繊維製品の乾燥後の残香性が高い繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記(A)成分と(B)成分とを含む繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
(A)炭素数が2以上のアルキル基で変性されたシリコーン
(B)アンブロキサン、イソイースーパー、α−イソメチルイオノン、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ゲラニルアセテート、シクロペンタデカノリド、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、トナリッド、ヘキシルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ベルトフィックス、ベンジルサリシレート、ムスコン、リナリルアセテート及びリリアールからなる群から選ばれる1種以上の香料成分を含有する香料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品用液体仕上げ剤組成物に関する。詳しくは、トリガースプレーによる仕上げ処理、もしくは洗濯時のすすぎ工程等において使用することができる残香性が高い、繊維製品用液体仕上げ剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維に直接噴霧するトリガースプレータイプの繊維仕上げ剤や洗濯時に使用する柔軟仕上げ剤など、繊維製品用の液体仕上げ剤は今や家庭用になくてはならぬ製品となっており、近年は柔軟性などの基本性能のみならず、乾燥後の残香性を改良して消費者の嗜好性を高くした製品も要求されてきている。
従来、第4級アンモニウム塩に植物抽出物や特定組成の香料組成物等を併用し、衣類に対して不快臭の防臭効果を目的とした組成物が提案されている(特許文献1,2)。さらに、これら組成物に水不溶性シリコーンも併用する組成も開示されている。
【0003】
一方、本願発明と同様に乾燥布の残香が高く、しかも柔軟性と帯電防止性という基本性能を付与した柔軟剤組成物が提案されており、エステルアミド型3級アミンもしくはその4級化物に、脂肪酸、芳香族エステルもしくはテルペンエステル、及び不特定成分の香料組成物からなる(特許文献3)。
【0004】
一方、特定のシリコーン化合物を主成分とする、布巾に優れた柔軟性と吸水性を付与し、且つ皮膚刺激の少ない布巾用柔軟処理用組成物が提案されている(特許文献4)。
尚、ベタインとグリセライド類、及び香料を含有し、さらにシリコーン誘導体をも併用して、香気の持続性が優れた乳化組成物提案されているが、該組成物は主として毛髪化粧料用途である(特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−163207号公報(ライオン)
【特許文献2】特開2005−232637号公報(ライオン)
【特許文献3】特開平11−81134号公報(花王)
【特許文献4】特開2001−279581号公報(東レ・ダウコーニング)
【特許文献5】特開平11−139923号公報(花王)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、衣類等の繊維製品の乾燥後の残香性が高い繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アルキル変性シリコーンと、特定の香料成分を含む香料組成物とを併用することにより前記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明により下記(A)成分と(B)成分とを含有することを特徴とする繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供する:
(A)炭素数が2以上のアルキル基で変性されたシリコーン;
(B)アンブロキサン、イソイースーパー、α−イソメチルイオノン、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ゲラニルアセテート、シクロペンタデカノリド、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、トナリッド、ヘキシルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ベルトフィックス、ベンジルサリシレート、ムスコン、リナリルアセテート及びリリアールからなる群から選ばれる1種以上の香料成分を含有する香料組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衣類等の繊維製品の乾燥後の残香性を高くできる。また、本発明の仕上げ剤組成物で繊維製品を処理すると、特に洗濯のすすぎ工程において繊維製品を処理すると柔軟性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[(A)成分:炭素数が2以上のアルキル基で変性されたシリコーン]
本発明における(A)成分は炭素数が2以上のアルキル基で変性されたシリコーン(以下、「アルキル変性シリコーン」と称する)である。シリコーン化合物は平滑性に非常に優れ、繊維製品に吸着した際に、繊維製品に滑らかさと柔軟性を付与することが知られている。
【0010】
本発明におけるアルキル変性シリコーンとは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を、メチル基以外のアルキル基を含む物質に置き換えたシリコーンである。アルキル変性シリコーンは、一般的に他の有機化合物との相溶性が良いので、有機化合物と共に配合することが容易である。香料成分は有機化合物であるので、アルキル変性シリコーンを香料成分と混合することで、香料成分の布への吸着性を高め、香りを長続きすることが出来ると考えられる。
本発明で用いることのできるアルキル変性シリコーンとしては、繊維製品に吸着した時に、滑らかさと柔軟性を付与することが可能であれば特に限定されない。本発明で用いることのできるシリコーン化合物としては市販品を使用することができ、例えば以下のものが挙げられる。
【0011】
SH203、SH230、SF8416、BY16−846、BY16−601、SF8419、SF8422、SM7001EX、SM7002EX、FZ-49、DC2501、DC2502、DC2503、DC580、SS3412、AMS-C30、FZ-3196、SS−3408(東レ・ダウコーニング(株)製)、KF412、KF413、KF414、KF4701、シルキャストU(信越化学(株)製)、SILSOFT 034(GE東芝シリコーン(株)製)。これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0012】
このアルキル変性シリコーンの分子構造は、直鎖状であっても環状であっても、分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。例えば、アルキル基の種類は1種でも2種以上でも良いし、炭素数2以上のアルキル基に加え、ポリエーテル基、メチルフェニル基、高級脂肪酸基、フッ素基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、アミノ基及びアミノポリエーテル基等の他の有機官能基により変性されていてもよい。
尚、本発明のアルキル変性シリコーンはオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。又、上記アルキル変性シリコーンには合成副生物、あるいは粘度調整剤として4〜6量体の環状シリコーンオイルが10質量%以下含まれていてもかまわない。本発明で用いることのできるアルキル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばα−オレフィンとを付加反応させることにより製造することができる。このようなものとして、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。



【0013】
【化1】

【0014】
(式中、M、Nは平均重合度であり、Xはアルキル基を表す。)
Mは、0〜1000、好ましくは0〜100、より好ましくは0〜50、Nは1〜100、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜10が好ましい。Xは炭素数2以上のアルキル基であり、炭素数6〜50のアルキル基であるのが好ましい。
本発明で用いるシリコーン化合物の配合量は特に限定されないが、組成物の粘度の点から、組成物の全質量をベースとして、0.005〜50質量%が好ましく、0.01〜50質量%がより好ましく、さらに好ましくは0.05〜40質量%、特に好ましくは0.1〜30質量%、さらに特に好ましくは0.1〜10質量%、最も好ましくは0.1〜8質量%である。これにより、組成物の粘度の上昇を抑えて使い易くすることができる。
【0015】
[(B)成分:香料組成物]
本発明のB成分は、上記特定の香料成分の少なくとも1種を含む香料組成物であるが、上記特定の香料成分の1種以上を、香料組成物の全質量に対して15%〜70%、好ましくは25〜70%、より好ましくは30〜65%含有する香料組成物であるのが好ましい。この範囲内にあると、(A)成分であるアルキル変性シリコーンとの相溶性が高いので、布への吸着性を高め、香りを長続きすることが出来る。香料成分は複数種含まれるのが好ましい。
本発明で用いる香料成分は、アルキル変性シリコーンと反応性があるものや、水溶性が高すぎるものは不適当である。香料のClogP値が4.0以上7.0以下である香料成分が好ましい。
【0016】
[ClogP]
ここで、ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。前記ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
【0017】
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さ
い香料成分を多く含んで構成された香料は、ClogP値が大きい香料成分を多く含んで
構成された香料よりも親水的な香料であるといえる。すなわち、トップノートからベースノートまでの香りのバランスが良く、かつ香りの持続性と嗜好性の両方を満たすためには、ClogP値が適当な上記範囲に入る香料成分を一定量以上香料組成物中に含有するのが好ましい。
本発明の組成物の全量に対して、(B)成分の香料組成物は、0.001〜5質量%含まれるのが好ましく、0.01〜5質量%含まれるのがより好ましく、0.1〜2質量%含まれるのがより好ましい。この範囲内にあると、組成物全体に対する香りのバランスや強度に優れ、好ましい残香性を得ることができる。
【0018】
[(C)成分:カチオン性化合物]
本発明は、(A)及び(B)成分の繊維製品への吸着性を一段と向上させるために、さらに(C)成分であるカチオン性化合物を含有するのが好ましい。本発明において使用できるカチオン性化合物とはその分子内にアミン基、アミノ基、4級アンモニウム基などの陽イオン性を有する基を持つものであれば良く、4級アンモニウム基を含有するカチオン性化合物又は3級アミノ基を含有するカチオン性化合物であるのが好ましく、特にカチオン性界面活性剤、もしくはカチオン性高分子が望ましい。
カチオン性界面活性剤は、以下に示すアミン化合物とその有機または無機酸による中和物、およびその4級化物を例示することができる。これらは、いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。仕上げ処理した繊維製品の柔軟性を良好にするために、カチオン界面活性剤混合物中の長鎖炭化水素基を2つまたは3つ有する化合物の質量比率が50%以上であることが好ましい。また、使用後自然環境中へ廃棄された後の生分解性を付与するためには、該長鎖炭化水素基の途中にエステル基を含有するカチオン性界面活性剤であることが好ましい。

































【0019】
【化2】

【0020】
カチオン性界面活性剤を構成するRは炭素数10〜24の炭化水素基である。不飽和基を有する場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。また、飽和と不飽和炭化水素基の比率は95/5〜30/70(wt/wt)であることが好ましい。
また、カチオン性界面活性剤を構成するR1は炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される長鎖炭化水素基である。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。R又はR1のもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素化10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素化10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜30/70(wt/wt)、シス/トランス体質量比が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の比率が80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸を2質量%以下、炭素数22の脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが柔軟性向上の観点から好ましい。ここで、各式中に存在するR及びR1は互いに同一でも異なっていてもよく、2以上の式中に存在するR及びR1も互いに同一でも異なっていてもよい。
【0021】
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸が挙げられる。本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミン を液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
【0022】
一般式(III)、(IV)の化合物は前記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、(III)と(IV)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、低分子量であり4級化に所要する4級化剤重量が少ない点で塩化メチルがより好ましい。その際、(III)と(IV)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(III)、(IV)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0023】
一般式(V)、(VI)、(VII)の化合物は前記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、[(V)+(VI)]と(VII)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、反応性の観点からジメチル硫酸がより好ましい。その際、[(V)+(VI)]と(VII)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(V)、(VI)、(VII)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0024】
一般式(VIII)、(IX)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、「J.Org.Chem.,26,3409(1960)」に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(VIII)と(IX)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(VIII)と(IX)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(VIII)、(IX)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0025】
カチオン性界面活性剤の配合量は好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%である。カチオン界面活性剤の配合量をこのような範囲とすることにより、上記(A)及び(B)成分の繊維製品への吸着促進効果を高めて、処理布の香気持続性と最終組成物の香気安定性を高めることが可能となり、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0026】
カチオン性高分子としては、水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であれば特に制限なく使用することができ、例えば、MERQUAT100(Nalco社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業)等の重量平均分子量が5千〜150万の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550(Nalco社)等の重量平均分子量が10万〜500万の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の重量平均分子量が5千〜300万の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン)等の重量平均分子量が1万〜5000万のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(BASF)等の重量平均分子量が3千〜400万の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(BASF)等の重量平均分子量が10万〜1000万のポリエチレンイミン、ポバールCM318(クラレ)等の重量平均分子量が3千〜100万のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する重量平均分子量が5千〜100万の天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。このうち、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、ポリエチレンイミンが好ましい。
なお、本発明において重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフ:島津製作所製)もしくはMALLS法(多角度光散乱検出器:Wyatt社)により測定することができる。
【0027】
カチオン性高分子の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量をベースとして、0.1〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5〜10質量%とするのがよい。カチオン性高分子の配合量をこのような範囲とすることにより、前記(A)及び(B)成分の吸着性を向上する結果、処理布の香気持続性をさらに向上させることが可能となり、かつ、粘度の上昇を抑えて使い易いものとすることができる。
洗濯すすぎ工程において、本発明の組成物中の(B)成分を繊維製品により効率的に吸着させるためには、(C)成分を含有し、かつ(C)成分/(A)成分=4以上(質量比)となることが望ましい。この比率より(C)成分の割合が少ないと、(B)成分が繊維製品に充分吸着されにくい傾向があり、その結果、(C)成分と(A)成分との比が上記範囲内の本発明の組成物で処理した繊維製品よりも残香性が劣る場合がある。
【0028】
[(D):任意成分]
本発明の組成物はさらに、通常、繊維製品用液体仕上げ剤組成物に含まれるその他の成分を含有することができる。具体的には水、溶剤、無機又は有機の水溶性塩類、染料、非イオン界面活性剤、香料、紫外線吸収剤、抗菌剤、消臭剤、スキンケア成分などを含有することができる。
本発明の組成物は、好ましくは水性組成物であり、使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、イオン交換水が好適である。
【0029】
溶剤としては、低級(炭素数1〜4)アルコール、グリコールエーテル系溶剤、多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の水性溶剤である。具体的にはエタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
R2−O−(C2H4O)y−(C3H6O)z−H (X)
〔式中、R2は、炭素数1〜6、好ましくは2〜4のアルキル基又はアルケニル基である。yおよびzは平均付加モル数であり、yは1〜10、好ましくは2〜5、zは0〜5、好ましくは0〜2の数を示す。〕
中でも好ましい例としてはエタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
これらの溶剤は、組成物中に0〜30質量%、好ましくは0.01〜25質量%、より好ましくは0.1〜20質量%配合される。
【0030】
無機又は有機の水溶性塩類は、組成物の粘度をコントロールする目的で用いることができる。無機又は有機の水溶性塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、などの他、硫酸もしくは硝酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩や、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、乳酸などの有機酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムである。無機又は有機の水溶性塩類の配合量は組成物全量に対し0〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。無機又は有機の水溶性塩類の添加は組成物製造のどの工程で入れてもよい。
【0031】
任意の染料及び/又は顔料は、仕上げ剤組成物の外観を向上する目的で配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
液体柔軟剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
【0032】
本発明の液体仕上げ剤組成物に用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報、特開2001−348784号公報、に記載されている染料を用いることもできる。
【0033】
非イオン界面活性剤は、組成物の乳化安定性や粘度安定性を付与する目的で適宜用いられる。特に、商品価値上十分なレベルの凍結復元安定性を保証するためには、必要である。非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導される非イオン界面活性剤を用いることができるが、高級アルコールのアルキレンオキシド付加物が好ましい。高級アルコールは一級でも二級でもよく、その長鎖炭化水素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよく、炭素鎖長に分布があってもよい。炭素鎖長は好ましくは8〜20、より好ましくは10〜18である。炭化水素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は16〜18であるものが好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよい。
一方、高級アルコールに付加するアルキレンオキシドはエチレンオキシド(EO)単独が好ましいが、エチレンオキシドにプロピレンオキシド(PO)又はブチレンオキシド(BO)を併用してもよく、これらアルキレンオキシドの平均付加モル数は3〜80が好ましく、より好ましくは5〜70モルである。
【0034】
アルキレンオキシド付加型の非イオン界面活性剤として、より具体的には、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、イソトリデシルアルコールの平均EO7モル付加物
もしくは平均EO45モル付加物もしくは平均EO60モル付加物、イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60モル付加物、ラウリン酸の平均EO30モル付加物などが挙げられる。それらの具体例として、日本エマルジョン株式会社のエマレックスシリーズ、三洋化成株式会社のエマルミンシリーズ、ライオン化学株式会社のTDAシリーズ、エソミンシリーズ、日本触媒製ソフタノール50もしくは300などのソフタノールシリーズ、BASF社製Lutensolシリーズなどを使用することができる。また、上記化合物には、原料であるアルコールやアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが未反応分として非イオン界面活性剤中に10質量%以下で含まれてもよい。それらは、1種単独でも又は2種以上の混合物としても使用することができる。
【0035】
本発明の液体仕上げ剤組成物に前記の非イオン界面活性剤を配合する場合、好適な配合量は組成物全量に対し0〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
【0036】
前記の化合物以外に、香気や色調の安定性を向上させるための酸化防止剤や還元剤、防腐力、殺菌力を強化する目的で防腐剤、ポリスチレンエマルジョンなどの乳濁剤、機能向上剤として、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、ポリビニルピロリドンなどの移染防止剤、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)などの蛍光増白剤、染料固定剤、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの退色防止剤、染み抜き剤、繊維表面改質剤としてセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ケラチナーゼなどの酵素、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与できるものとしてシルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液があり、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス)、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位からなる非イオン性高分子化合物、例えば互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC−1などの汚染防止剤、などを配合することができる。
【0037】
[pH、粘度]
本発明の組成物のpHは、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4である。このような範囲にあると(C)成分のカチオン界面活性剤が分子内にエステル基を有する場合、その加水分解を抑制できるので好ましい。但し、(C)成分として、前記カチオン性高分子を用いる場合、組成物のpHは、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜6である。
一方、本発明の組成物の粘度は特に限定されないが、洗濯のすすぎ工程ですすぎ水に添加する製品の場合5〜100mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)であることが好ましく、一方、トリガースプレー容器やディスペンサー容器などに充填し、繊維製品に直接噴霧して使用する製品の場合は40mPa・s以下であると使用性が良好である。
【0038】
[繊維製品への使用方法]
本発明の組成物は、例えば洗濯の際のすすぎ時にすすぎ水に添加することにより使用することができる。その場合、適度な濃度に希釈して使用される。
別の例として、トリガースプレー容器やディスペンサー容器、エアゾール缶などに充填し、繊維製品に直接噴霧して使用することができる。
本発明の組成物は、繊維製品の原料が天然繊維でも合成繊維でも区別なく使用することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示し、以下単に「%」と略記する。
[A成分]
表1に、本発明で用いた(A)成分であるアルキル変性シリコーンを示す。
【0040】
【表1】

【0041】
[B成分]
表2〜4に、実施例で用いた(B)成分:香料組成物を示す。





















【0042】
【表2】














【0043】
【表3】













【0044】
【表4】

【0045】
(B)成分合計:0%(ClogP=4.0〜7.0の含有率:39.1%)
(B−3)は、単にClogPが好ましいものを集めても、B成分が含まれないと残香性が低いことを示す比較例用香料組成物である。
[(C)成分]
表5に、本発明で用いた(C)成分であるカチオン性物質を示す。
















【0046】
【表5】

【0047】
(C−3)は以下に従って合成した。すなわち、N−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミン66gと硬化牛脂脂肪酸284gを、撹拌機、温度計及び脱水管を備えた4つ口フラスコに仕込み、180℃まで昇温した。その温度で約10時間、生成する水を留去しながら加熱した結果、反応物(b−2)を300g得た。得られた反応物の酸価、ケン化価、水酸基価、全アミン価、3級アミン価を測定し、反応物の組成を調べた結果、ジアルキル体が86重量%、モノアルキルアミド体が10重量%、未反応脂肪酸が4重量%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析から、未反応のN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンが反応物中に0.1重量%含有されていた。最後に53gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を加え、固形分が85質量%のエタノール溶液を調製した。その他の詳細な合成条件等は、特開平5−230001号公報に準じた。
[任意成分:(D)]
本発明で用いた任意成分(D)を下記表6〜10に示す。(いずれも有り姿基準で記載)
【0048】
【表6】







【0049】
【表7】


(D−2−2:非水溶性任意成分)

















【0050】
【表8】


(D−3−2:非水溶性任意成分)

【0051】
【表9】



(D−4−2:非水溶性任意成分)

【0052】
(D−4−2)成分中のポリエーテル変性シリコーンは、次の様に合成した。即ち、(CH3)3SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して使用した。
【0053】
【化3】

【0054】
【表10】



(D−5−2:非水溶性任意成分)

【0055】
(A)〜(D)成分を用い、表11〜13に示す組成により、また、以下の配合方法に従って仕上げ剤組成物を調製した。仕上げ剤組成物を用いて繊維製品の仕上げ処理を行ったときの柔軟性、残香性を以下の要領で評価した。
トリガースプレー用仕上げ剤組成物の調製方法
[実施例1〜4、比較例1〜2]
[調製方法1]
500mLビーカーに(A)成分を添加し、攪拌しながら、(B)成分と、任意成分(D−1)とを加え、溶解した後にイオン交換水を入れ、400gの仕上げ剤組成物を調製した。
【0056】
洗濯すすぎ工程処理用仕上げ剤組成物の調製方法
[第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤系仕上げ剤;実施例5〜12、比較例3〜5]
[調製方法2]
(A)成分として(A−1)又は(A−2)成分を用いた場合、内径120mmのガラス容器に(A)成分と、(B)成分と、予め55℃に加温して溶融させた(C)成分とを取り、スリーワンモーター(新東科学(株)社製)を用いて1000rpmで攪拌した。得られた混合物に、非水溶性任意成分である(D−2−2)成分又は(D−3−2)成分を加えて混合し油相とした。他方、塩化カルシウム以外の水溶性任意成分、即ち(D−2−1)成分又は(D−3−1)成分を、50℃に加温したイオン交換水に溶解させ水相とした。この水相を該油相に加えて(C)成分の濃度を35%とし、1,500rpmで3分間撹拌した。その後(C)成分の濃度が所定濃度となるように該水相を加えて1,500rpmで2分間撹拌した。引き続き100rpmで撹拌し、そこに、イオン交換水を用いて予め15%の濃度に調製しておいた塩化カルシウムを加えてカチオン性界面活性剤系仕上げ剤組成物を得た。
[調製方法3]
(A)成分として(A−3)成分を用いた場合、(A)成分と(B)成分と(C)成分との混合物を調製したのに代えて、(A−3)成分と(B)成分との混合物を調製し、かつ該混合物を塩化カルシウム水溶液添加後に系に加えたこと以外は調整方法2と同様にして第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤系の繊維製品用液体仕上げ剤組成物を得た。(A−3)成分と(B)成分との混合物は、以下のようにして調製した。即ち、1Lビーカーにイオン交換水を必要量の半分入れ、そこに(A−3)成分の必要量と同量のLutensol TO7(イソトリデシルアルコールのEO7モル付加物:BASF)を加えた。更に、(A−3)成分と(B)成分との混合物中の有効成分が15%となるように(A−3)成分を加えた。スリーワンモーターで500rpmで攪拌しながら80℃で混合し、(A−3)を溶解させた。次いで、所定量の(B)成分を加え、充分撹拌した後に残りのイオン交換水を添加した。得られた混合物の温度を室温まで下げて、目的の混合物を得た。
【0057】
[カチオン性高分子系仕上げ剤;実施例13〜21、比較例6〜7]
[調製方法4]
(A)成分として(A−1)又は(A−2)成分を用いた場合、500mLビーカーに、(A)成分と、(B)成分と、非水溶性任意成分である(D−4−2)成分又は(D−5−2)とを所定量入れ、撹拌羽を用いて十分に撹拌した。次に、得られた混合物を撹拌しながらイオン交換水を添加し、さらに水溶性任意成分である(D−4−1)成分又は(D−5−1)を添加した。最後に、撹拌しながら(C)成分を添加した後、均一になるまで十分に撹拌して、400gの仕上げ剤組成物を調製した。
なお、攪拌羽としては、長さが100mmの羽を30mm間隔で3本有するパドル羽を用いた。
[調製方法5]
(A)成分として(A−3)成分を用いた場合、調製方法3で述べたのと同じようにして(A−3)成分と(B)成分の混合物を得た。ガラス容器中で(A)成分と(B)成分と(C)成分との混合物を調製したのに代えて、ガラス容器に該混合物を投入した後(C)成分を投入したこと以外は調製方法4と同様にして仕上げ剤組成物を調製した。
【0058】
仕上げ剤組成物を用いた綿タオル、アクリルジャージの処理方法
<繊維製品の前処理方法>
家庭用洗濯機(MAN-V8TP、三菱電機)を用い、洗剤として市販洗剤(トップ、ライオン)を40g使用し、強力コースを設定し、水量58Lで綿タオル(東進)を3kg分、2回繰り返して洗浄を行った。アクリルジャージ(谷頭商店)についても同様に前処理を行った。
【0059】
[直接噴霧処理;実施例1〜4、比較例1〜2]
本発明の仕上げ剤組成物を、トリガースプレー容器に充填し処理を行った。トリガースプレー容器は花粉ガード(ライオン製)の内容液を全量取り出して水道水でよく洗浄し、水分を充分乾かした後に用いた。処理には前処理済みの綿タオルをそのまま用いた。処理方法は物干しにかけ、均一になるよう20%o.w.f(=仕上げ剤の重量(g)/布の重量(g)×100)噴霧することで、処理を施した。
【0060】
[洗濯時すすぎ工程での処理;実施例5〜15、比較例3〜7]
前記の方法で供試布の前処理を行い、アクリルジャージ布500gは60cm×30cmに裁断し、綿タオル1kgはそのままで計1.5kg分をそのまま用いて試験に供した。市販洗剤(トップ、ライオン製)20g、および本発明の液体仕上げ剤を10mL用い、洗浄および柔軟処理を施した。処理には家庭用全自動洗濯機(MAN-V8TP、三菱電機(株)製)を用い、標準コース、水量28Lを設定した。市販洗剤および本発明の仕上げ剤は、それぞれ洗濯機に搭載されている粉末洗剤投入口および柔軟剤投入口に収納し、洗濯機により自動的に洗濯浴中に添加された。処理後、20℃、45%RHの恒温恒湿条件下で20時間乾燥させ、下記に示す評価試験に供した。
【0061】
処理布の残香性の評価
乾燥後の綿タオルを用いて、残香性を下記に示す6段階臭気強度表示法に基づき、専門パネル10名により官能評価を行った。結果を10名の平均値で表した。商品価値上、平均点で3.0以上が好ましい。
〔6段階臭気強度表示法〕
0:無臭
1:やっと検知できる程度の香り
2:何の香りか分かる程度の香り
3:楽に感知できる香り
4:強い香り
5:強烈な香り
【0062】
柔軟性の評価
洗濯のみを行った綿タオルもしくはアクリルジャージを対照として、専門パネラー10
人による官能一対比較評価を行い、以下に示す基準で評価を行った。
〔柔軟性の比較評価基準〕
+2:対照よりはっきり良好
+1:対照よりやや良好
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや良好
−2:対照の方がはっきり良好
その評点の平均として、1.1〜2.0点を◎、0.1以上〜1.0点を○、−1.0
〜−0.0点を△、−1.1点以下を×とした。































【0063】
【表11】















【0064】
【表12】



【0065】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と(B)成分とを含むことを特徴とする繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
(A)炭素数が2以上のアルキル基で変性されたシリコーン;
(B)アンブロキサン、イソイースーパー、α−イソメチルイオノン、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ゲラニルアセテート、シクロペンタデカノリド、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、トナリッド、ヘキシルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ベルトフィックス、ベンジルサリシレート、ムスコン、リナリルアセテート及びリリアールからなる群から選ばれる1種以上の香料成分を含有する香料組成物。
【請求項2】
(A)成分が、炭素数6〜50のアルキル基で変性されたシリコーンである請求項1記載の繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
【請求項3】
(B)成分が、アンブロキサン、イソイースーパー、α−イソメチルイオノン、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ゲラニルアセテート、シクロペンタデカノリド、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、トナリッド、ヘキシルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ベルトフィックス、ベンジルサリシレート、ムスコン、リナリルアセテート及びリリアールからなる群から選ばれる1種以上の香料成分を、香料組成物の全質量に対して15〜70質量%含有する香料組成物である、請求項1又は2に記載の繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
【請求項4】
さらに、(C)成分として、4級アンモニウム基を含有するカチオン性化合物又は3級アミノ基を含有するカチオン性化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維製品用液体仕上げ剤組成物。

【公開番号】特開2008−169534(P2008−169534A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195722(P2007−195722)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】