説明

繰り返し使用可能な吸水性樹脂の製法

【課題】 α−オレフィン及びビニル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1個以上の単量体と無水マレイン酸またはマレイン酸エステルとの共重合体にアルカリ金属水酸化物を反応させ、次いでこの反応物100重量部に多価エポキシ化合物14〜30重量部を架橋反応させることを特徴とする吸水性樹脂の製法。
【解決手段】 吸水速度が速く乾燥による放水速度も速い、洗濯に耐え天日干しや乾燥機での乾燥に耐え、繰り返し使用可能な吸水性樹脂を得ること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無水マレイン酸またはマレイン酸エステル共重合体とアルカリ金属水酸化物との反応物を多量の多価エポキシ化合物で架橋反応させることによって繰り返し使用可能な吸水性樹脂を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸水性樹脂は、吸水倍率が高く、少ない樹脂量で多くの水又は塩を含む水を吸水できる(特許文献1)。そのために、その用途は生理用品やおむつ、台所用使い捨て雑布等の使い捨て用途が多い。
【特許文献1】特開昭56−36504号公報(請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の吸水性樹脂では、繰り返し使用することが出来ず、さらに使用後の廃棄についても問題を残しており、環境負荷の点から繰り返し使用可能の志向が高まりつつある。
そこで、少しでも環境負荷の少ない吸水性樹脂が出来ないものかを種々検討した。しかしながら、繰り返し可能な吸水性樹脂は得にくく、また使用する衛材用途において、人それぞれの失禁状態が異なるため塩の濃度によって吸水能力に差が生じ、使いづらいことが分かってきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、α−オレフィン及びビニル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1個以上の単量体と無水マレイン酸またはマレイン酸エステルとの共重合体にアルカリ金属水酸化物を反応させ、次いでこの反応物100重量部に多価エポキシ化合物14〜30重量部を架橋反応させることを特徴とする吸水性樹脂の製法を提供することによって解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、吸水速度が速く乾燥による放水速度も速い、洗濯に耐え天日干しや乾燥機での乾燥に耐え、繰り返し使用可能な吸水性樹脂を得ることができる。また、純水の吸水倍率が5〜48倍、1%の食塩水の吸水倍率が3〜40倍の吸水性樹脂が得られるので、吸水能力は十分優れている。さらに、塩の濃度が異なっている場合でも、吸水能力の差が少ないため、人によって塩濃度の違う尿等の排泄液の処理に極めて有用である。また、得られる吸水性樹脂の体積の膨張が少ないため圧迫感も少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明によって得られる吸水性樹脂は、最終的に粉末状として使用することもできるし、また綿、不織布、紙、繊維などの基材に塗工して、あるいは点付け印刷して使用することもできる。
粉末状として使用する場合は、単独で使用することもできるが、パルプ、綿、発泡ウレタン、不織布、繊維などの破砕物、木粉、紙粉と混合してニ−ドルパンチや糊により複合化して使用することもできる。
塗工や点付け印刷して使用する場合は、基材全面に薄く塗布しても良いし、基材にドット状や線状に塗布しても良い。最終的に得られた吸水性樹脂の含水率は10%以下が望ましい。ここで、含水率とは、20℃、60%RH下で測定した、(水分量/吸水性樹脂)×100で計算される値である。
【0007】
本発明の吸水性樹脂の製造形態を順次説明する。
主原料であるα−オレフィン又はビニル化合物と無水マレイン酸またはマレイン酸エステルとの共重合体にアルカリ金属水酸化物を反応させ、反応物(共重合体とアルカリ金属水酸化物との合計重量)100重量部に対して多価エポキシ化合物14〜30重量部を架橋反応させることによって、本発明の目的とする吸水性樹脂が得られる。
【0008】
次に、α−オレフィン又はビニル化合物と無水マレイン酸またはマレイン酸エステルとの共重合体につき以下説明する。
ここでα−オレフィンとは直鎖状または分岐状の炭素数2〜12、好ましくは2〜8を有する不飽和炭化水素を意味し、その例としてはエチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン等が挙げられる。ここでイソブチレンとしてはイソブチレンを含むリタ−ンBBをも意味する。
【0009】
また、ビニル化合物とは無水マレイン酸またはマレイン酸エステルと共重合しうる不飽和化合物をいい、例えばスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、メチルビニルエ−テル、アクリル酸エステル類あるいは酢酸ビニルをけん化して得られるビニルアルコ−ル等があげられる。
これらの単量体は単独で用いてもよいし、また2種類以上を組合せて用いてもよい。これらの単量体のうち、エチレン、イソブチレン等のα−オレフィン、スチレンあるいはメチルビニルエ−テルが好ましく用いられるが、α−オレフィン、特にイソブチレンが本発明の所期の目的達成のためには最適である。また、無水マレイン酸またはマレイン酸エステルのなかでは、無水マレイン酸が最適である。ここで、マレイン酸エステルとしては、マレイン酸モノエステル、またはジエステルが挙げられ、エステルとしてはメチルエステル、エチルエステル等が挙げられる。
【0010】
α−オレフィン又はビニル化合物と無水マレイン酸またはマレイン酸エステルとの組成比は、共重合体とアルカリ金属水酸化物との反応物が水に溶解するようなものであればどの程度であっても良い。本発明において好ましく用いられるエチレン、イソブチレン、スチレン又はメチルビニルエ−テルと無水マレイン酸との共重合体の場合には、無水マレイン酸1モルに対してエチレンイソブチレン、スチレン又はメチルビニルエ−テル1〜3モル程度、多くの場合1モル程度である。
【0011】
このような無水マレイン酸共重合体は1種あるいは2種以上組合わせて使用することも出来る。これらの共重合体の分子量はジメチルホルムアミド溶液中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.2〜10(dl/g)、さらには0.3〜8(dl/g)に相当するものが望ましく使用される。
これらの共重合体のなかでも反応溶液の粘度が低く、高濃度での反応が可能である点からイソブチレン−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
【0012】
これらの共重合体をアルカリ金属水酸化物と反応させることにより、共重合体のアルカリ中和物となる。この反応は例えば共重合体をアルカリ金属水酸化物の水溶液に添加し反応せしめることによって行われる。この反応の際に反応溶媒として、アルコ−ル等の有機溶剤を使用することも出来る。ここで用いるアルカリ金属水酸化物とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどをいい、共重合体のカルボキシル基と反応して水溶性、または水に完溶しなくても親水性を付与するものである。このアルカリ金属水酸化物の使用は必須であるが、それらは併用してもよいし、溶解性を促進したり架橋反応を高めたりするために有機アミンやアンモニアを少量併用してもよい。
共重合体に対するアルカリ金属水酸化物の中和度(反応割合)は共重合体とアルカリ金属水酸化物との反応物の中和度が0.33〜0.9、さらには0.45〜0.85となることが好適である。また、カルボキシル基を中和せずに残すことによって不快なアンモニアをキャッチし消臭効果を付与することもできる。
【0013】
本発明において多価エポキシ化合物を前記反応物100重量部に対し14〜30重量部使用することが重要であり、好適には14〜22重量部である。多価エポキシ化合物の使用量が14部未満では、後述する比較例からも明らかなように、吸水性樹脂の繰り返し使用が十分おこなうことができず、耐洗濯性が不十分である。また、多価エポキシ化合物の使用量が30重量部を越えると、吸水能力が低下する。
【0014】
このような多価エポキシ化合物としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する水溶性多価エポキシを意味し、その例としてはグリセリングリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルグリシジルエ−テル、グリセリントリグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリプロピレングリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパントリグリシジルエ−テル等の多価アルコ−ル類ジ又はトリグリシジルエ−テルが挙げられる。また、カルボキシル基や脂環エポキシ基を含む多価エポキシ化合物も挙げられる。さらには反応系に均一に溶解しなくても均一に分解するようなもの、たとえば、ビスフェノ−ルAのジグリジルエ−テル、含金属エポキ樹脂等も挙げられる。また、エポキシ化合物の前駆物質であるクロルヒドリンエ−テル化合物、例えばグリセリンジクロルヒドリンエ−テル、グリセリントリクロルヒドリンエ−テル、エチレングリコ−ルジクロルヒドリンエ−テル、プロピレングリコ−ルジクロルヒドリンエ−テル等も使用することができる。
これらの多価エポキシ化合物のなかでもグリセリンジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル又はポリプロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル等の多価アルコ−ルのジグリシジルエ−テルが好ましく使用される。またそのエポキシ当量が100〜500の範囲のものを用いることが好適である。
【0015】
反応物に多価エポキシ化合物を配合した場合、水分がなくなった状態で架橋反応が始まり、低温で架橋が進む。しかしながら、加水分解により多価エポキシ化合物の効果が経時的に減退するの防ぐために、100〜200℃の温度で熱処理することが好適である。
たとえば、反応物と多価エポキシ化合物を配合した後、ナウタ−ミキサ−やロ−ル等で乾燥し、水分を20%以下にし、しかる後に100〜200℃で、5分〜1時間、好適には10分〜40分熱処理を行い、架橋反応させ、粉末状またはフィルム状の吸水性樹脂とすることができる。また、上記配合物を、20〜200℃に耐えうる紙、フィルム、不織布、織布、無機板、多孔板等の基材に塗布または点付け印刷して、同様の条件で、乾燥し、架橋反応させて吸水性樹脂とすることもできる。この場合は基材の表面の一部または全体に吸水性樹脂を含んだ製品となる。
【0016】
このようにして得られる吸水性樹脂は、純水で自重の5〜48倍、1%の食塩水で自重の3〜40倍の吸水倍率を有しており、かならずしも高い吸水能を有してはいないが、塩の濃度による吸水能の差が少ないため各種用途に有用である。また、吸水速度、放水速度が速く、繰り返し使用が可能であり、耐洗濯性に優れている。
【0017】
吸水性樹脂を製造する過程もしくは出来上がった吸水性樹脂に、水、アルコ−ルに溶解した染料、顔料、増量剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防曇剤、殺菌剤、殺虫剤、肥料、消臭剤を含有させても良く、エマルジョン化した前記の添加物を加えて用いても良い。
【0018】
実施例1
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(ジメチルホルムアミド中30℃の極限粘度〔η〕=1.03、共重合体中のモリ比 イソブチレン:無水マレイン酸 = 1 : 1 {(株)クラレ社製「イソバン10」(登録商標) })100重量部、水酸化ナトリウム20重量部及び水380重量部を混合して加熱攪拌して、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム中和物の均一な水溶液を調整した。次いで上記水溶液500重量部にエポキシ当量が148であるグリセリングリシジルエ−テル18重量部(共重合体と水酸化ナトリウム100重量部に対し15重量部)を添加し、充分混合した後、表面温度105℃のテフロン加工をしたバット上にうすく流し真空乾燥機で弱く真空にしながら乾燥し、フィルム状に乾燥したものを粉砕機で粉砕し約8メッシュ(M)パスの粒体となし、さらにオ−ブン中で150℃、15分の熱処理を行い吸水性樹脂粉末とした。
このようにして得られた吸水性樹脂は水に不溶であり、水中で速やかに膨張し純水による吸水倍率は18倍、1%食塩水の吸水倍率は15倍であった。
【0019】
次に、吸水性樹脂の耐洗濯性をつぎのような方法により測定し、吸水性樹脂の繰り返し使用可能の程度を評価した。
耐洗濯性試験
吸水性樹脂5gを200メッシュの布の中に入れ、上部をしばって布からこぼれ落ちないようにし、家庭用ミニ洗濯機に水道水を入れて10分間洗濯し、しかる後に布の中に入った状態で天日にさらし乾燥をし、重量を計りその前後の重量を計測することにより耐洗濯性(繰り返しの吸水、放水テスト)を実施した。
50回繰り返しても吸水倍率は、純水で17倍、1%食塩水で14倍と、両者の差はほとんどなく、また繰り返し前との差もほとんどなく、吸水速度、乾燥速度(放水速度)は早かった。さらに繰り返しを行い、繰り返し80回に達したとき、純水の吸水倍率が繰り返す前の吸水倍率の値から±5%変化した。このときの回数を耐洗濯性の回数とした。
(2)耐洗濯性試験
吸水性樹脂3gと粉砕パルプ7gを十分に混ぜ(吸水性樹脂と粉砕パルプ両者の吸水倍率は純水で34倍、塩水で30倍)、目付け30gのレ−ヨン不職布の中に入れ周囲をミシンがけして封じ込めた。これを家庭用洗濯機に市販の洗濯粉を水100重量部に対して0.1重量部入れた洗濯水にて10分間洗濯し、しかる後に脱水機で5分脱水後、天日干して乾燥重量を計り、その前後の重量を計測することにより耐洗濯性を調べた。
50回繰り返しても吸水倍率(吸水性樹脂と粉砕パルプ両者の)は、純水で33倍、塩水で29倍と差はなく、吸水速度、乾燥速度は早く、吸水性能に差はなかった。さらに繰り返しを行い、繰り返し75回に達したとき、純水の吸水倍率が繰り返す前の吸水倍率の値から±5%変化した。このときの回数を耐洗濯性の回数とした。
耐洗濯性試験
調整したイソブチレン−無水マレイン酸のナトリウム中和物にエチレングリコ−ルグリシジルエ−テルの架橋剤を加えた液を目付50gのポリエステルとレ−ヨンが1:1で混合された不職布に塗工したあと、100℃で乾燥し、さらに150℃で30分の熱処理を行い吸水倍率が純水で28倍、1%食塩水で25倍の吸水性樹脂複合体を得た。市販の洗濯袋に入れ、10分間洗濯し、しかる後に脱水機で5分脱水後、天日干して乾燥重量を計り、その前後の重量を計測することにより耐洗濯性を調べた。50回繰り返しても吸水倍率(吸水性樹脂と不織布両者の)は、純水で27倍、塩水で24倍と差はなく、吸水速度、乾燥速度は早く、吸水性能に差はなかった。さらに繰り返しを行い、繰り返し70回に達したとき、純水の吸水倍率が繰り返す前の吸水倍率の値から±5%変化した。このときの回数を耐洗濯性の回数とした。
【0020】
実施例2
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(ジメチルホルムアルデヒド中、30℃での極限粘度〔η〕= 0.62、共重合体のモル比 イソブチレン:無水マレイン酸 = 1:1 )100重量部、水酸化カリウム( 85%純度 ) 40重量部、25%アンモニア水10重量部、水250重量部を加熱攪拌してイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のカリウム−アンモニア中和物の均一な水溶液を得た。この水溶液400重量部にエポキシ当量が145であるグリセリングリシジルエ−テル20重量部(反応物100重量部に対し14.2重量部)を加え、充分混合した後、実施例1と同様乾燥、熱処理を行い、40〜250μmの粒径に粉砕し吸水性樹脂粉末を調整した。
このようにして得られた吸水性樹脂は純水で23倍、1%食塩水で22倍の吸水倍率を示した。実施例1の(1)、(2)の耐洗濯性試験を行い、(1)では80回、(2)では75回を示した。
【0021】
実施例3〜4
実施例1で用いたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体100重量部、水酸化ナトリ
ウ31重量部及び水369部を混合して均一な水溶液を調整した。中和度は0.53であった。この水溶液500重量部にエポキシ当量が145であるグリセリングリシジルエ−テルを種々の割合で添加し、充分混合した後、表面温度105℃のテフロン加工をしたバット上にうすく流し真空乾燥機で弱く真空にしながら乾燥した。次いで、粉砕機で粉砕し、約8メッシュ(M)パスの粒体となし、オ−ブン中で150℃30分の熱処理を行い、吸水性樹脂粉末を作成した。このようにして得られた吸水性樹脂の純水の吸水倍率、1%の食塩水の吸水倍率及び耐洗濯性(繰り返し吸水、放水テスト)を実施例1の方法で調べたところ、表1に示す結果が得られた。
【0022】
比較例1〜7
実施例3においてグリセリングリシジルエ−テルを表1に示すとおり、本発明で規定す
る範囲外で使用する以外は、実施例3と同様に実施した。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
実施例5
スチレン−無水マレイン酸共重合体(ジメチルホルムアミドφ、30℃ での極限粘度 〔η〕=1.84 共重合体のモル比、スチレン:無水マレイン酸 = 1:1)100重量部、水酸化ナトリウム28重量部、水372重量部を混合して加熱溶解し、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム中和物の均一な水溶液を調整した。この水溶液500重量部にエポキシ当量が145であるグリセリングリシジルエ−テルを20重量部(反応物100重量部び対し15.6重量部)を添加し充分混合した後、表面温度105℃のテフロン加工をしたバット上にうすく流し真空乾燥機で弱く真空にしながら乾燥をした。この乾燥フィルムを粉砕して20メッシュの粉末にした後160℃で1時間の熱処理をして吸水性樹脂を得た。このようにして得られた吸水性樹脂について、純水、1食塩水%、5%食塩水、リンゲル液、人工尿などの吸水能力を測定した。さらに、実施例1で行った耐洗濯性試験の(1)を行ったところ表2に示す結果が得られた。表2から明らかなように、この吸水性樹脂は各種液体に対する吸収能力に差がみられず、耐洗濯性に優れている。
【0025】
比較例8
実施例5において、水酸化ナトリウム28重量部と水372重量部用いるかわりに、25%アンモニア水53重量部及び水347重量部を用いる他は、実施例5と全く同様にして吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂を実施例5と同様の試験に供した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の方法で得られた吸水性樹脂は、吸水放水が繰り返し行えることから、人の失禁の状況に合わせたナプキン、パンツやライナ−、人、動物の失禁マット、洗髪等のタオル、雑布、モップはもとより加湿器のフィルタ−や調湿剤に使える。又、繰り返し使える芳香剤や消臭剤のベ−ス洗剤等の増粘剤としても有用で、今まで使い捨ての分野でしか使われなかった用途で繰り返し使うことができ、環境に対する負荷は激減する。また、繰り返し使用可能なおむつとしても使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−オレフィン及びビニル化合物からなる群より選ばれた少なくとも1個以上の単量体と無水マレイン酸またはマレイン酸エステルとの共重合体にアルカリ金属水酸化物を反応させ、次いでこの反応物100重量部に多価エポキシ化合物14〜30重量部を架橋反応させることを特徴とする吸水性樹脂の製法。
【請求項2】
共重合体が、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合体である請求項1記載の吸水性樹脂の製法。
【請求項3】
多価エポキシ化合物が、グリセリンジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル及び、ポリプロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テルなる群より選ばれたエポキシ当量100〜500である多価アルコ−ルのジグリシジルエ−テルである請求項1または2記載の吸水性樹脂の製法。
【請求項4】
吸水性樹脂が、純水の吸水倍率が5〜48倍、1%の食塩水の吸水倍率が3〜40倍である請求項1〜3のいずれかに記載の吸水性樹脂の製法。

【公開番号】特開2006−249169(P2006−249169A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65154(P2005−65154)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(591121513)クラレトレーディング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】