説明

缶、缶用のパネル、および缶用のそのようなパネルを作るための方法

この発明は、パネル(4)とパネルに接続されたタブ(5)とが設けられた本体(2)を含み、タブは、前方タブ部(7)と、把持し傾斜させることにより、前方タブ部を用いてパネルにパネル切目線(13)に沿う開口部を形成するための後方タブ部(6)とを有し、タブは、タブ−パネル接続部の変形により傾斜位置にある、缶(1)、パネル、ならびにそのパネルおよび/または缶を作る方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、缶、缶用のパネル、およびそのようなパネルまたは缶を作るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明に従った缶は、いわゆる開けやすい閉鎖部材を有するタイプのものであってもよい。開けやすい閉鎖部材とは、1本以上の指を用いることにより、開けるための別個の工具を必要とすることなく開口部が形成され得る、缶用の金属製閉鎖部材である。その程度まで、缶には、缶のパネルに開口部を形成するためのタブが設けられている。タブはレバーとして機能する。タブは、消費者が1本以上の指で把持するための後方タブ部を含む。タブをレバーとして用いることにより、タブは動かされ、それにより前方タブ部がパネルに接触する。パネルには、パネル表面に形成された切目線により規定された開口部が設けられている。傾斜した前方タブ部で切目線をポンと開けた後、パネルには切目線に沿って開口部が形成される。所望すれば、切目線により囲まれたパネルの中央部は、タブを用いて引きちぎられてもよい。したがって、開けやすい缶とは、開けるための別個の工具を使う必要なく開口部が形成され得る缶である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような缶は充填され、次に、開けやすいパネルを缶に継ぎ合わせるかはんだ付けすることにより閉鎖され得る。その後、充填された開けやすい缶は、加熱または冷却され、包装および輸送用にさらに取扱われ得る。これは、突出したタブ部による妨害が実質的に回避されるよう、タブ、特に後方タブ部が缶の範囲内(特に缶の継ぎ合わされた縁の内部)に留まることを要する。この要件は、消費者が1本以上の指で把持するための後方タブ部のアクセスしやすさについての要件に反している。
【0004】
したがって、パネルおよび缶の供給業者にとっての最適条件と消費者にとっての最適条件とを組合せた缶用の開けやすいパネルを提供することについて、継続した要望がある。
【0005】
この発明は、その目的として、後方タブ部の下に最適な指の届きやすさを提供し、および/またはより少ない力で後方タブ部を持ち上げて缶に開口部を形成することを可能にする、缶およびそのような缶用のパネルを提供することを有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、この発明は、パネルとパネルに接続されたタブとが設けられた本体を含み、タブは、前方タブ部と、把持し傾斜させることにより、前方タブ部を用いてパネルにパネル切目線に沿う開口部を形成するための後方タブ部とを有し、タブは、タブ−パネル接続部の変形により傾斜位置にある、缶を提供する。
【0007】
この発明は、缶が消費者に入手可能となる前に、パネルの生産業者または缶の供給業者によって開放手順の一部が行なわれ得る、という見識に基づいている。開放手順の開始部分は、タブ−パネル接続部の弾性変形およびその後の塑性変形を経て、切目線がポンと開くことに至り、その後、最初の開放および容器へのアクセスが起こる。缶が消費者に入手可能となる前に行なわれ得るのは、ポンと開く直前に至るまでの開放手順のこの開始部分である。明らかに、開放手順の始まりは、傾斜位置にあるタブが缶の生産および充填、ならびに消費者への輸送を妨げないような程度で行なわれるべきである。さらに、タブの傾斜を所望の程度まで行なうことにより、タブ−パネル接続部は、まず弾性的に、その後塑性的に変形するであろう。これは、開口部をポンと開けるために消費者が加えるべき必要な力の減少をもたらし、および/または、タブ−パネル接続部の弾性変形、およびその後の塑性(永続的)変形が加えられることにより、タブは傾斜位置に留まる。
【0008】
一実施例によれば、変形は、タブ−パネル接続部のタブ部のみで起こる。別の実施例では、変形は、タブ−パネル接続部のパネル部のみで起こる。これら双方の実施例では、タブは、継ぎ合わせ、はんだ付け、または接着によりパネルに直接接続されている。
【0009】
また、それに代えて、タブは構造的接続要素を介してパネルに接続され、変形はこの構造的接続要素で少なくとも部分的に起こる。この構造的接続要素は、パネルの一体部分であってもよく、またはリベットなどの別個の構造的接続要素であってもよい。明らかに、これらすべての実施例において、変形は、タブ部、パネル部、または構造的接続要素で起こるだけでなく、タブ−パネル接続部またはアセンブリを形成する、タブおよびパネル、またはタブ、構造的接続要素およびパネルのアセンブリにおいても起こることもあり得る。
【0010】
一般のまたは標準的な生産および充填作業への妨害を避けるために、後方タブ部は缶の範囲内にあることが好ましい。
【0011】
後方タブ部が凹んだパネル部の上方にある場合、タブが傾斜位置にある状態での後方タブ部の指の届きやすさはさらに改良され得る。
【0012】
上述のように、開放手順の始まりは、タブ−パネル接続部の弾性変形およびその後の塑性変形を経る。塑性変形は実質的に永続的である。しかしながら、弾性変形および塑性変形は、タブ−パネル接続部の異なる部分で同時に起こり得る。タブの固定された傾斜位置を有するために、タブ−パネル接続部の変形は少なくとも部分的に塑性変形を含むことが好ましい。
【0013】
この発明の次の局面は、この発明にしたがったパネルを作るための方法に関する。この方法は、パネルにタブを接続するステップと、その後タブを傾斜させ、それにより、タブが傾斜位置に留まるようタブ−パネル接続部を変形させるステップとを含む。一実施例によれば、傾斜させるステップは、(フックなどを用いた)引っ掛け、(レバーを用いるなどによる)てこ作用、および/または(回転する螺旋状構造物を用いた)螺旋回転により行なわれる。これらすべての実施例において、その後の傾斜作業の実行のために、追加の機械的要素が後方タブ部の下で把持している。
【0014】
別の実施例では、傾斜させるステップは、接着剤引張または磁気引張により行なわれる、これら双方の種類の引張は、タブの下で把持してはいないものの少なくとも後方タブ部の上面と接触する機械的要素を用いて起こる。接着剤引張では、機械的要素は、タブに対する接着剤の作用により、一時的に接触して引張る。好ましいのは、磁力を用いる電磁石を用いることなどによる磁気引張である。
【0015】
最後に、この発明は、この発明に従った方法で得ることができるパネルまたは缶に関する。
【0016】
パネル、缶、および作成方法の上述のならびに他の特徴および特性を、実施例を参照することによりさらに例示する。実施例は例示的な目的のためにのみ異なっており、この発明を少しでも限定するよう意図されてはいない。
【0017】
この点に関し、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】傾斜位置にされたこの発明に従ったパネルが設けられた缶を作る際のステップの断面図である。
【図2】傾斜位置にされたこの発明に従ったパネルが設けられた缶を作る際のステップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は缶1を示す。缶1は本体2を含み、それに継目3を介して開けやすいパネル4が接続されている。パネル4は、後方タブ部6と前方タブ部7とを有するタブ5を含む。
【0020】
タブ5は、構造的接続要素8を介してパネル4に接続されている。この要素8はパネル4と一体であり、リベットの形を有する。リベット9は開口部10に挿入され、広がった上部11により開口部に係止される。
【0021】
前方タブ部7には、パネル4に形成された切目線13と共に動作可能なノーズ12が設けられている。後方タブ部を把持した後にタブ5を傾斜させることにより、ノーズは切目線近傍の領域で接触し、十分な力を加えた後に、最終的にパネル4を切目線13に沿ってポンと開ける。
【0022】
図1に示す缶1は、この発明に従ったパネルおよび缶を生産するためのこの発明に従った方法において使用される、中間の缶と考えられ得る。
【0023】
図2は、タブ5が例示され図示された傾斜位置にされた状態の、この発明に従った缶14を示す。
【0024】
好ましい生産方法によれば、電磁石15が後方タブ部6と接触するようにされ、磁力の下でタブ5が矢印16に従って持ち上げられ、それにより、パネル4と後方タブ部6との間に指アクセス部17を生成した。
【0025】
楕円領域で体系的に示されたタブパネル接続部19における変形18により、タブ5はこの図示された傾斜位置に留まる。この傾斜は、どれもタブ−パネル接続部の一部を形成する、タブ部20、およびまたはリベット部21、およびまたはパネル部22の変形をもたらすことができる。タブ5、リベット9、およびまたはパネル4における変形は、弾性的および/または塑性的であり得る。好ましくは、および理想的には、この変形は少なくとも部分的に塑性的である。なぜならそれは永続的変形であるためである。次にタブは傾斜位置で固定される。
【0026】
なお、最後に、タブを傾斜位置にするためのこの発明に従ったステップは、開けやすいパネルおよび缶の生産に使用される現在の装置で使用される修正されたまたは追加の工具を用いて行なわれてもよい。そのような装置は、開けやすく変形するプレス機、充填された缶用のラベル貼り機、などを含む。明らかに、開けやすいパネルおよび缶の生産ラインの可能などの領域においても、独立型の機械が使用され、挿入されてもよい。
【0027】
最後に、図2に示すように、後方タブ部6の下に凹んだパネル部23がある場合、指の届きやすさは最適に、さらには最大になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルとパネルに接続されたタブとが設けられた本体を含み、タブは、前方タブ部と、把持し傾斜させることにより、前方タブ部を用いてパネルにパネル切目線に沿う開口部を形成するための後方タブ部とを有し、タブは、タブ−パネル接続部の変形により傾斜位置にある、缶。
【請求項2】
変形は、タブ−パネル接続部のタブ部にある、請求項1に記載の缶。
【請求項3】
変形は、タブ−パネル接続部のパネル部にある、請求項1または2に記載の缶。
【請求項4】
タブは構造的接続要素を介してパネルに接続され、変形は構造的接続要素にある、請求項1〜3のいずれかに記載の缶。
【請求項5】
構造的接続要素は、パネルの一体部分である、請求項1〜4のいずれかに記載の缶。
【請求項6】
構造的接続要素は、リベットなどの別個の構造的接続要素である、請求項1〜4のいずれかに記載の缶。
【請求項7】
後方タブ部は缶の範囲内にある、請求項1〜6のいずれかに記載の缶。
【請求項8】
後方タブ部は凹んだパネル部の上方にある、請求項1〜7のいずれかに記載の缶。
【請求項9】
変形は、少なくとも部分的に塑性変形を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の缶。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに定義されたような缶用のパネル。
【請求項11】
請求項10に記載のパネル、または請求項1〜9のいずれかに記載の缶を作るための方法であって、
(i)パネルにタブを接続するステップと、
(ii)タブを傾斜させ、それにより、タブが傾斜位置に留まるようタブ−パネル接続部を変形させるステップとを含む、方法。
【請求項12】
傾斜させるステップii)は、引っ掛け、てこ作用、および/または螺旋回転により行なわれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
傾斜させるステップii)は、接着剤引張または磁気引張により行なわれる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の方法により得ることができる、パネルまたは缶。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−507767(P2011−507767A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538472(P2010−538472)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010877
【国際公開番号】WO2009/080298
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504236330)インプレス・グループ・ベスローテン・フエンノートシャップ (20)
【Fターム(参考)】