缶端部
本発明は、消費者にとって向上したタブへの接近具合を提供する缶端部(1)に関する。本発明の別の観点は、かかる缶端部(1)を備えた容器に関する。缶端部(1)は、缶端部の取っ手(20b)の全て又は一部の下に配置された可動部分(30)を有し、この可動部分は、消費者にとってのタブ接近具合を向上させるよう「上」位置(30a)から「下」位置(30b)に動くことができる。缶端部(1)は、1つ又は2つ以上の下方に傾斜した環状ステップ(31)を備え、これら環状ステップは、パネルを「下」位置から「上」位置に変形させるのに必要な力を大幅に増大させることが判明しており、従って、その結果として、消費者が、可動部分(30)が「下」位置(30b)にある状態で缶端部(1)を備えている容器(40)を受け取る可能性が一段と高くなり、かくしてタブへの接近が容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者にとってタブに接近しやすい缶端部に関する。本発明の別の観点は、かかる缶端部を備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
金属包装分野において、金属製の缶の開けやすい端部が周知である。典型的には開けやすい缶端部は、缶端部の開放又は開封領域を定める刻み目線を含む金属パネルの形態をしている。タブが缶端部に設けられ、消費者がタブを引き上げることにより刻み目線の破断が始まり、次にタブを引っ張ると、結果的に、開放領域周りで缶端部が開く。歴史的に、かかる開けやすい缶端部の開放は、タブと缶端部との間の隙間が制限されているので困難であり、それにより、消費者はタブに指を掛けるのが困難である。2003年12月18日に公開された国際公開第03/104092(A)号パンフレット(出願人は、マエイル・デイリー・インダストリ・カンパニー・インコーポレイテッド(MAEIL DAILY INDUSTRY CO., LTD)、なお、その後指定国米国及び欧州についてはクラウン・パッケージング・テクノロジー・インコーポレイテッド(CROWN Packaging Technology, Inc)に譲渡されている)は、缶端部がタブの下に設けられた押し潰し可能な突出部を備えた上述の問題に対する解決策を提供している。国際公開第03/104092(A)号パンフレットの押し潰し可能な突出部は、上方位置から下方位置に変形可能である。上方位置では、缶端部は、輸送のために容易に積み重ね可能である(即ち、容器に取り付けられる前に置いては)が、缶端部とタブとの間の隙間が殆どないか又は全くない。下方位置に変形したとき(典型的には、缶本体に取り付けた後において)、突出部は、ユーザが自分の手をタブに掛けて缶を開けることができるようにするためにタブと缶端部との間に隙間をもたらす。
【0003】
しかしながら、国際公開第03/104092(A)号パンフレットに記載されている形式の缶端部を備えた容器の次の取り扱い中(即ち、充填及び何らかのレトルト処理後)、突出部がその上方位置に「ポップアップ」して(突然持ち上がって)戻る傾向が生じる場合があり、それにより消費者にとってのタブへの接近が阻害される。突然持ち上がる原因は、例えば、容器が他の容器に当たり又は床の上に落下することである場合がある。同様に、突出部は、高い高度で輸送されているときに突然持ち上がって戻る場合があり、かかる高い高度では、大気圧が低い結果として容器の内部と外部との間の圧力差が小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第03/104092(A)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、消費者にとってのタブへの接近具合を維持する保証の程度を高める改良型の開けやすい缶端部が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、容器本体への取り付けに適した開けやすい缶端部であって、
刻み目線を備えた中央パネルと、
缶端部に取り付けられたタブとを有し、
刻み目線は、中央パネルに設けられた開けることができるパネル部分の周囲を定め、タブは、ノーズ部分及び取っ手部分を有し、中央パネルは、タブの取っ手部分の全て又は一部の下に延びる可動部分を更に有し、可動部分は、
可動部分が缶端部の上方から見て凸状である「上」位置と、
可動部分が缶端部の上方から見て「下」位置とを有し、
可動部分は、「上」位置から「下」位置に変形可能である、開けやすい缶端部において、
可動部分は、少なくとも1つの下方に傾けられた環状ステップ(段)を有する、開けやすい缶端部が提供される。
【0007】
解釈が間違うことのないようにするためにコメントすると、「凸状」という用語は可動部分の全て又は一部が全体として中央パネルから上方に突き出ていることを意味する。同様に、「凹状」という用語は、可動部分の全て又は一部が全体として中央パネルから下方に突き出ていることを意味している。したがって、可動部分は、カメラのレンズに見受けられるように完全に滑らかに湾曲した表面を備える必要はない。
【0008】
代表的には、「下」位置では、それにより、タブの取っ手部分と可動部分との間にはユーザによる指の接近を可能にするのに適した隙間が形成されることが期待される。
【0009】
本発明の目的上、「開けることができるパネル部分」という用語は、以下の形式の缶端部の両方、即ち、
i.開けることができるパネル部分が開放時に缶端部から完全に切り離し可能である場合及び/又は、
ii.開けることができるパネル部分の一部が開放後、缶端部によって保持可能である場合も両方含む。
【0010】
いずれの場合においても、刻み目線を切り離すことにより、缶端部には製品を小出しするために通すことができる孔が形成される。
【0011】
形式(i)の缶端部は、食品用途、例えば、容易には注ぎ出すことができない固形の塊又は粘稠物を含む製品には特によく見受けられる。これらの場合、食品の容易な小出しを可能にするよう孔のサイズを最大にすることが望ましい。この場合、タブのノーズ部分は、代表的には、刻み目線に隣接して配置され、その結果、タブの取っ手を持ち上げると、タブのノーズ部分が刻み目線を切り離すようになっている。
【0012】
形式(ii)の缶端部は、製品を飲むことができ又は缶から真っ直ぐに注ぎ出すことができるように孔が小さいことが望ましい飲料用途に用いられる場合が多い。孔サイズを小さくすることにより、開けることができるパネル部分を例えば容器本体内に内方に折り曲げることにより缶端部で保持することが可能である。開けることができるパネル部分の保持により、これをポイ捨てにする事態が減少する。
【0013】
可動部分は、刻み目線の半径方向内方又は外方に配置可能である。可動部分の配設場所は、缶端部の形式で決まる。例えば、刻み目線が中央パネルの領域のほぼ全てに及ぶ孔を構成する場合(即ち、いわゆる「全開」缶端部)、可動部分とタブの両方は、開けることができるパネル部分に、即ち、刻み目線の内方に形成される。変形例として、刻み目線が中央パネルの領域の一部にしか及ばない孔を構成する場合(即ち、飲料缶に見受けられるようないわゆる「部分開き」缶端部)、可動部分及びタブを刻み目線の外方に設けることが実用的である場合がある。
【0014】
好都合には、可動部分は、缶端部の一体部分として形成される。プレスを用いて缶端部の材料に可動部分を形成することが有利であることが判明した。簡単に言えば、可動部分の存在により、缶端部は、双安定である。「双安定」という用語は、可動部分が2つの互いに異なる状態、即ち、「上」(凸状)位置と「下」(凹状)位置のうちの一方を取ることができるということを意味している。しかしながら、本発明の下方に傾けられた環状ステップを組み込むことにより、可動部分に追加の補強効果が与えられるということが判明した。補強効果は、これにより、可動部分が環状ステップが設けられていないことを除けば同一の缶端部と比較して「下」位置から「上」位置に「ポップアップ」するのに必要な力が増大するようなものである。環状ステップが設けられていることによる補強効果が増大すると、可動部分は、可動部分が変形していったんその「下」(凹状)位置になると、可動部分が変形して「上」(凸状)位置に戻るのに非常に強く抵抗するという点において単安定端部のように挙動する。さらに、補強度のこの増大は、缶端部を形成するために用いられる金属の厚さを増大させないで達成される。金属の厚さを増大させると、その結果として、材料費が増大する。要約すると、容器本体に用いられると、本発明の結果として、容器は、缶端部の可動部分が「上」(凸状)位置に戻り又は突然動くことなく衝撃及び/高い高度(大気圧が低い場所)での輸送に良好に耐えることができる。したがって、消費者は、消費者の指にとって適度のタブ接近をもたらす容器/缶端部を受け取る可能性が高い。缶端部が双安定の状態のままである間、環状ステップが設けられている結果として、可動部分を変形させて「上」(凸状)位置に戻すのに必要な力が大きくなり、即ち、「ポップアップ」力が増大する。
【0015】
本発明の目的上、「環状」という用語は、少なくとも180°の角度の広がりにわたって延びることを意味している。
【0016】
好都合には、環状ステップは、破断部又は隙間なく連続したものとして形成され、例えば、同心円、楕円の形状を描き、或いは、平面図で見て形状が規則的である。しかしながら、変形例として、環状ステップは、各々が隙間により隔てられた一連の2つ又は3つ以上の不連続ステップ部分として形成されても良く、ステップ部分は、一緒になって、環状ステップを構成する。有利には、不連続ステップ部分のうちの1つ又は2つ以上は、互いに半径方向に分散して配置される。より好ましくは、不連続ステップ部分は、互いに円周方向に分散して配置され、例えば、環状ステップが、一緒になって円の全体的形状を構成する数個の不連続ステップ部分で構成されるのが良く、「円」中の円周方向隙間は、環状ステップが不連続であるという性状の原因となっている。半径方向隙間と円周方向隙間の組み合わせを利用すると、不連続ステップ部分の各々を互いに離隔させることができる。好ましくは、環状隙間は、これが連続しているにせよ不連続であるにせよいずれにせよ、実質的に共通の表面を占めるよう形成される。複数個の環状ステップが互いに嵌り合って設けられる場合、各環状ステップは、好ましくは、それ自体の平面を占めるよう形成される。
【0017】
2つ又は3つ以上の環状ステップを可動部分に形成することが可能であるが、以下の表1に詳細が記載された試験結果の実証するところによれば、たった1つの下方に傾けられた環状ステップを用いた場合、「ポップアップ」力が大幅に増大した(環状ステップが設けられていない缶端部と比較して)。
【0018】
本発明の缶端部は、可動部分が当初「上」位置か「下」位置かのどちらの状態でも製造可能である。缶端部が後での缶本体への取付けのために或る場所と或る場所との間で輸送される場合、可動部分が変形して「上」位置になることが好ましい。というのは、これにより缶端部を容易に積み重ねることができるからである。
【0019】
環状ステップの有効性を実証するため、材料規格DR550Nに準拠した0.21mmゲージのダブル冷間圧延(Double Reduced:2度冷間圧延した)ブリキ板で作られ、可動部分を備えた公称直径が73mmの缶端部の2つの別々の設計例を用いて試験を行った。プレスにより缶端部の中央パネルに形成した突出部によって可動部分を設けた。各缶端部の設計の差異は、第1の設計例(設計例“A”)では、突出部が環状ステップを備えておらず、第2の設計例(設計例“B”)では、突出部が単一の下方に傾けられた環状ステップを有しているということに過ぎなかった。採用した環状ステップが連続同心円(缶端部の上方から平面図で見て)の形態をしていた。かかる試験は、突出部が
i.「上」(凸状)位置から「下」(凹状)位置にポップダウン(突然下降)したり、
ii.「上」(凸状)位置にポップアップ(突然上昇)して戻ったりするようにするのに必要な公称圧力を求めた。
【0020】
試験は、以下の表1に示されている通りである。
【0021】
〔表1〕
「ポップダウン」のための 「ポップアップ」のための
真空圧力(ミリバール) 圧力(ミリバール)
設計例“A”; >1000 350
環状ステップなし
設計例“B”; 830 790
環状ステップあり
【0022】
この表は、単一の下方に傾けられた環状ステップ(設計例“B”)が設けられていると、設計例“A”と比較して、突出部が「ポップアップ」するのに必要な差圧が大幅に増大するということを示している。これは又、突出部が設計例“A”と比較して「ポップダウン」するようにするのに必要な差圧を増大させる作用効果を有していた。これら特定の試験において、環状ステップが設けられていることにより、結果として、突出部のポップアップを生じさせるのに必要な圧力が126%増大した。
【0023】
好ましくは、下方に傾けられた環状ステップは、断面が全体として直線状である。しかしながら、これは、必須の要件ではなく、下方に傾けられた環状ステップは、断面が湾曲していても良い。
【0024】
好ましくは、下方に傾けられた環状ステップは、可動部分が「下」位置にあるとき、このステップがこのステップ上の所与の場所で水平に対して8°〜17°の角度をなして下方に傾けられるように形成されている。
【0025】
別の実施形態では、ステップがそのステップ上の所与の場所で水平に対して8°〜17°の角度をなして下方に傾けられると共に0.007インチ(0.1778mm)〜0.013インチ(0.3302mm)の軸方向深さ(缶端部の中心軸線に沿って測定して)を有する。
【0026】
環状ステップの断面が湾曲している場合、この環状ステップの傾斜角は、ステップ上の所与の場所に関し最も上の箇所と最も下の箇所との間で測定される。
【0027】
下方に傾けられた環状ステップが可動部分それ自体に設けられ又はこの上に延びることが必須の要件である。「ポップアップ」を生じさせるのに必要な力を最大にするためには、環状ステップを可動部分の周囲の近くに配置することが好ましいことが判明した。好都合には、環状ステップは、可動部分の周囲上の場所に又は可動部分の周囲と可動部分の周囲の半径方向の場所の内方に向かって最大50%までの距離との間の場所に形成される。環状ステップを可動部分の中心の近くに配置すると、環状ステップにより提供される補強効果が減少するという不利益が生じ、又、その結果ポップアップ圧力の増大分が少なくなる。
【0028】
環状ステップは、平面図で見て円形である。というのは、この形状により、可動部分が「上」(凸状)位置にポップアップして戻るようにするのに必要な力が最大になるからである。換言すると、このようにすると、最適な補強効果を提供することが判明した。しかしながら、環状ステップの他のプロフィール(例えば、平面図で見て楕円形又は不規則形)も又使用できる。
【0029】
環状ステップが好都合には1つ又は2つ以上の連続同心円の形態をしていることが一般的に想定されるが、変形実施形態では、下方に傾けられた環状ステップを上方から見て螺旋に形成された環状ステップとして提供しても良い。本発明の可動部分上に実現された場合、この渦巻体は、正確には、円錐螺旋体と呼ばれ、即ち、渦巻体と螺旋体の両方のハイブリッドである。可動部分は、その最も簡単な形態では、単一の渦巻状に形成された環状ステップを有する。しかしながら、多数の渦巻状に形成された環状ステップを設けても良い。有利には、2つの環状ステップが設けられ、各環状ステップは、渦巻状に形成された環状ステップとして設けられ、渦巻状に形成されたステップは、互いに対して逆方向の関係をなして巻かれる。単一の渦巻状に形成された環状ステップが用いられるか多数の螺旋状に形成された環状ステップが用いられるかとは無関係に渦巻形態の作用効果により、可動部分は、可動部分が変形していったんその「下」(凹状)位置になると、可動部分が変形して「上」(凸状)位置に戻るのに非常に強く抵抗するという点において単安定端部のように挙動する。
【0030】
好都合には、缶端部は、缶端部を従来手段(例えば、二重巻締)により缶本体に継ぎ合わせることができるようにするための継ぎ合わせパネルを有する。好都合には、缶端部は、中央パネルの周囲のところに上方に傾けられた壁を有し、この壁は、缶端部を缶本体に継ぎ合わせることができる継ぎ合わせパネルを形成するよう側方に延びる。
【0031】
本発明の第2の観点では、容器本体に取り付けられた本発明の缶端部を有する容器が提供される。
【0032】
以下の図面を参照して本発明の種々の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の缶端部の第1の実施形態の平面側斜視図である。
【図2】図1の缶端部に関するX−X線矢視断面図であり、可動部分が「上」(凸状)位置にある状態を示す図である。
【図3】図1の缶端部に関するX−X線矢視断面図であり、可動部分が「下」(凹状)位置にある状態を示す図である。
【図4】図1の缶端部の可動部分及び環状ステップの詳細断面図であり、可動部分を「上」(凸状)位置と「下」(凹状)位置の両方で示す図である。
【図5】容器本体に継ぎ合わせた場合の図1の缶端部の斜視図である。
【図6】容器本体に継ぎ合わせたときの図1の缶端部の別の斜視図である。
【図7】可動部分の第2の実施形態の平面図であり、可動部分が円周方向に分散して設けられた不連続ステップ部分で構成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図8】可動部分の第3の実施形態の平面図であり、可動部分が半径方向に分散して設けられた不連続ステップ部分で構成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図9】可動部分の第4の実施形態の平面図であり、可動部分が単一の螺旋に形成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図10】可動部分の第5の実施形態の平面図であり、可動部分が2つの螺旋に形成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図11】可動部分の第6の実施形態の平面図であり、可動部分が単一の螺旋に形成された環状ステップ(図9の環状ステップに類似している)を備えているが、約270°の角度的広がりにわたって延びている状態を示す図である。
【図12】可動部分の第7の実施形態の平面図であり、可動部分が図11の可動部分に対応しているが、環状ステップが各々円周方向隙間によって隔てられた不連続ステップ部分で形成されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、缶端部1を示している。図示の実施形態では、缶端部1は、0.21mmゲージDR550N材料で作られている。缶端部1は、周囲に皿座ぐり部3が設けられた中央パネル2を有する。皿座ぐり部3は、チャック壁4内に上方に延びており、チャック壁は、継ぎ合わせパネル5を形成するよう半径方向外方に延びている。円形刻み目線6が缶端部1に形成されており、刻み目線の内方に開けることができるパネル部分7が形成されている。刻み目線6(一旦切断されると)は、製品(図示せず)を小出しするために通す孔を構成し、開けることができるパネル部分7は、缶端部1から完全に切り離し可能である。ビード8が中央パネル2を強化させる目的で中央パネル2に設けられている。
【0035】
タブ20がリベット21によって中央パネル2に取り付けられている。タブ20の一端部は、刻み目線6に隣接して位置するノーズ部分20aを備えている。タブ20の反対側の端部は、リングの形態をした取っ手部分20bを備えている。
【0036】
可動部分が突出部30として缶端部1に設けられている。突出部30は、缶端部1の材料に作用するプレス(図示せず)の使用により形成される。突出部30は、平面図で見て全体として円形であり、図1に示すように半径RPのものである。
【0037】
突出部30は、2つの互いに異なる状態、即ち、突出部が「上」位置にあり、缶端部の上方から見たときに凸状のプロフィール30aを有する一方の状態(図2及び図4を参照されたい)と、突出部が「下」位置にあり、缶端部1の上方から見たときに凹状のプロフィール30bを有する他方の状態(図3及び図4を参照されたい)との間で行ったり来たりすることができる。突出部が一方の状態から別の状態に戻ることができ、即ち「ポップアップ」と「ポップダウン」との間で動くことができるようにするために機械的手段(図示せず)を用いるのが良い。変形例として、缶内圧力差を利用して突出部が一方の状態から別の状態に戻るようにしても良く、例えば、缶端部が容器本体に取り付けられている場合、負圧を利用して突出部を吸引し又は引き下げても良い。
【0038】
下方に傾斜した環状ステップ(段)31が突出部30の周囲に設けられており、かかるステップも又、平面図で見て円形である。本発明の概要説明の項で上述したように、変形実施形態では、環状ステップ31は、これとは異なり、突出部30の周囲の半径方向内方に或る程度の距離を置いたところに配置されても良く、この場合であっても、環状ステップが設けられていない類似した缶端部に対して突出部のポップアップ力を増大させるのに依然として有効である。
【0039】
図示の実施形態では(特に図4を参照されたい)、環状ステップ31は、水平に対して12.5°の角度“α”をなして下方に傾けられており、このステップは、缶端部1の中心軸線9に沿って測定して0.010インチ(0.025mm)の軸方向深さ“d”を定めている。これら測定値は、突出部30が「下」(凹状)位置30bにある状態で取られる。図示の実施形態では、環状ステップ31の外径“O/D”は、0.950インチ(24.1mm)であり、その内径“I/D”は、0.860インチ(21.8mm)である。図1〜図6に示されている実施形態では、上述の寸法は、環状ステップ全体に関して一様である。
【0040】
線32(図1参照)は、突出部30を形成するために用いられたプレスの成形プロセスの結果としてもたらされる証拠マークを表している。この実施形態では、証拠マーク32は、缶端部の性能にとって機能的に意味がない。
【0041】
プレス(図示せず)を出ると、缶端部1の突出部30は、当初「下」(凹状)位置30b(図3及び図4に示されている)にある。しかしながら、缶端部1を後で缶本体への固定のために互いに異なる場所(例えば、充填材により缶端部を缶本体に取り付ける場所)相互間で輸送する場合、機械的又は他の手段(図示せず)を用いて上向きの力を突出部30に加えて突出部が輸送に先立って「上」(凸状)位置30a(図2及び図4を参照されたい)に戻り又はかちっという音を出して動くようになっている。この理由は、突出部30が「上」位置30aにあり、突出部30によって形成された凹部が下に位置する缶端部のタブを受け入れるスペースを提供する状態で缶端部1が最も効率的に積み重ねられるからである。
【0042】
変形実施形態では、突出部30は、当初、「上」(凸状)位置30a(図2及び図4に示されている)の状態で、プレス内で形成されても良い。図2で理解できるように、突出部30がこの「上」位置にある状態では、タブ20の取っ手部分20bと缶端部1との間の隙間は狭く又は存在しない。しかしながら、前の段落で言及したように、この状態では、缶端部は、積み重ねが容易であり、このことは、缶端部を一まとめに(大量に)輸送する際に特に良好である。
【0043】
図5及び図6は、金属製缶本体41への缶端部1の継ぎ合わせ又は巻締めの結果として得られた容器40を示している。突出部30は、すでに行われていない場合、「下」(凹状)位置に押され又はかちっという音を出して動かされその後缶端部1を缶本体41に取り付ける。変形例として、缶内負圧を利用して、例えば充填及び処理条件の注意深い制御によって突出部を「下」(凹状)位置に吸引し又は引っ張る。容器40は、突出部30がその「下」(凹状)位置30bにあり、その結果、取っ手部分20bと突出部30との間の隙間Δhが約2mm(図3及び図5参照)の状態で図5に示されている。上述したように、消費者は突出部30が「下」(凹状)閉じ位置にあるままの状態で容器40を受け取るべきであることが意図されており、その理由は、これにより、タブへの接近具合が最大に高められ、その結果、開封が容易になるからである。下方に傾斜した環状ステップ31の存在及びその結果としてのポップアップ力の増大により、容器40が隣接の容器又は他の物体と衝突した場合であっても又は高い高度で(例えば、標高約5,250フィート(1,600m)で、この代表は米国デンバーの標高である)輸送されている場合であっても、突出部30の「ポップアップ」が確実に阻止される。
【0044】
使用にあたり、消費者(図示せず)は、自分の指をタブ20の取っ手部分20bに掛けてまず最初にタブ20周りに上方に(矢印Aの方向に、図5参照)こじ開けてノーズ部分20aが刻み目線6の破断を開始させるようにする。しかる後、消費者は、タブ20を引き戻し(矢印Bの方向、図5参照)刻み目線6の残部の引裂きを進めて開けることができるパネル部分7を缶端部1から取り去る。
【0045】
図示の実施形態では、開けることができるパネル部分7は、缶端部1から完全に分離でき、この開けることができるパネル部分上に突出部30及びタブ20がくっついた状態で缶端部の領域のほぼ全てに及ぶ孔(即ち、いわゆる「全開」端部)を生じさせる。図示の実施形態では、食品を収納する缶に特に適しており、この場合、孔のサイズ、そして暗に言えば部分7のサイズは、最大にされる必要がある。
【0046】
しかしながら、別の実施形態では、これとは異なり、開けることができるパネル部分7は、缶端部1の領域のほんの僅かな部分にわたって延びても良く、この場合、開けることができるパネル部分及び刻み目線6の外方に突出部30が形成される。この実施形態では、比較的小さな注ぎ孔が望ましい飲料用途に特に適している場合がある。
【0047】
図7は、可動部分30の領域に局所化された缶端部の平面図であるが、下方に傾斜した環状ステップ131について異なる形態を示している。図7の実施形態では、環状ステップ131は、各々が円周方向隙間“c”だけ隔てられた数個の不連続ステップ部分131a〜131hで構成されている(即ち、131a〜131hは、互いに対して円周方向に分散して配置されている)。不連続ステップ部分は、一緒になって、平面図で見て全体として円形のプロフィールを定め、これらステップ部分の各々は共通の半径方向位置を占める。不連続ステップ部分131a〜131hは、一緒になって、丸一回転にわたって(即ち、360°)延びる。不連続ステップ部分131a〜131hの各々の経路を表すために太線が用いられている。
【0048】
図8の実施形態では、不連続ステップ部分131a〜131hが2つの互いに異なる半径方向位置で交互に互いに半径方向に分散して配置されている(半径方向隙間“r”を参照されたい)点において図7の実施形態とは異なっている。
【0049】
図9及び図10は、この場合も又、可動部分の領域に局所化された缶端部1の平面図であるが、図1〜図8の実施形態で見える形態とは更に別の形態をしている下方に傾斜した環状ステップを示している。図9の実施形態では、可動部分30は、缶端部の上方から見たときに、単一の螺旋に形成された環状ステップ131として設けられた下方に傾斜している環状ステップを有している。この単一の螺旋に形成された環状ステップ131の経路を表すために太線が用いられている。環状ステップの始点及び終点はそれぞれ、Start131及びEnd131で示されている。
【0050】
図10の実施形態は、各々が互いに対して逆方向の関係をなして巻かれた別々の螺旋に形成されている環状ステップ131,231として提供されている2つの下方に傾斜した環状ステップを備えているという点で図9の実施形態とは異なっている。各環状ステップ131,231の始点及び終点は、それぞれ、Start131,231及びEnd131,231で示されている。
【0051】
図9及び図10に示されている実施形態の場合、各螺旋に形成された環状ステップ131,231は、二回転にわたって(即ち、720°)延びている。
図11に示されている更に別の実施形態の場合、単一の環状ステップ131(この場合、螺旋に形成されている)が一回転のうちの270°だけにわたって延びている。図12に示されている最後の実施形態は、図11の実施形態に対応しているが、環状ステップ131は、各々が円周方向隙間“c”だけ隔てられた一連の7個の不連続ステップ部分131a〜131gで構成されている。
【0052】
しかしながら、理解されるべきこととして、本発明の多くの特徴及び利点を本発明の構造及び機能の細部と共に上記において説明したが、この説明は、例示に過ぎず、特許請求の範囲の記載の広義の一般的な意味によって指示される全範囲まで本発明の原理の範囲内における細部の変更、特に諸部分の寸法形状及び配置における変更を実施できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者にとってタブに接近しやすい缶端部に関する。本発明の別の観点は、かかる缶端部を備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
金属包装分野において、金属製の缶の開けやすい端部が周知である。典型的には開けやすい缶端部は、缶端部の開放又は開封領域を定める刻み目線を含む金属パネルの形態をしている。タブが缶端部に設けられ、消費者がタブを引き上げることにより刻み目線の破断が始まり、次にタブを引っ張ると、結果的に、開放領域周りで缶端部が開く。歴史的に、かかる開けやすい缶端部の開放は、タブと缶端部との間の隙間が制限されているので困難であり、それにより、消費者はタブに指を掛けるのが困難である。2003年12月18日に公開された国際公開第03/104092(A)号パンフレット(出願人は、マエイル・デイリー・インダストリ・カンパニー・インコーポレイテッド(MAEIL DAILY INDUSTRY CO., LTD)、なお、その後指定国米国及び欧州についてはクラウン・パッケージング・テクノロジー・インコーポレイテッド(CROWN Packaging Technology, Inc)に譲渡されている)は、缶端部がタブの下に設けられた押し潰し可能な突出部を備えた上述の問題に対する解決策を提供している。国際公開第03/104092(A)号パンフレットの押し潰し可能な突出部は、上方位置から下方位置に変形可能である。上方位置では、缶端部は、輸送のために容易に積み重ね可能である(即ち、容器に取り付けられる前に置いては)が、缶端部とタブとの間の隙間が殆どないか又は全くない。下方位置に変形したとき(典型的には、缶本体に取り付けた後において)、突出部は、ユーザが自分の手をタブに掛けて缶を開けることができるようにするためにタブと缶端部との間に隙間をもたらす。
【0003】
しかしながら、国際公開第03/104092(A)号パンフレットに記載されている形式の缶端部を備えた容器の次の取り扱い中(即ち、充填及び何らかのレトルト処理後)、突出部がその上方位置に「ポップアップ」して(突然持ち上がって)戻る傾向が生じる場合があり、それにより消費者にとってのタブへの接近が阻害される。突然持ち上がる原因は、例えば、容器が他の容器に当たり又は床の上に落下することである場合がある。同様に、突出部は、高い高度で輸送されているときに突然持ち上がって戻る場合があり、かかる高い高度では、大気圧が低い結果として容器の内部と外部との間の圧力差が小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第03/104092(A)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、消費者にとってのタブへの接近具合を維持する保証の程度を高める改良型の開けやすい缶端部が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、容器本体への取り付けに適した開けやすい缶端部であって、
刻み目線を備えた中央パネルと、
缶端部に取り付けられたタブとを有し、
刻み目線は、中央パネルに設けられた開けることができるパネル部分の周囲を定め、タブは、ノーズ部分及び取っ手部分を有し、中央パネルは、タブの取っ手部分の全て又は一部の下に延びる可動部分を更に有し、可動部分は、
可動部分が缶端部の上方から見て凸状である「上」位置と、
可動部分が缶端部の上方から見て「下」位置とを有し、
可動部分は、「上」位置から「下」位置に変形可能である、開けやすい缶端部において、
可動部分は、少なくとも1つの下方に傾けられた環状ステップ(段)を有する、開けやすい缶端部が提供される。
【0007】
解釈が間違うことのないようにするためにコメントすると、「凸状」という用語は可動部分の全て又は一部が全体として中央パネルから上方に突き出ていることを意味する。同様に、「凹状」という用語は、可動部分の全て又は一部が全体として中央パネルから下方に突き出ていることを意味している。したがって、可動部分は、カメラのレンズに見受けられるように完全に滑らかに湾曲した表面を備える必要はない。
【0008】
代表的には、「下」位置では、それにより、タブの取っ手部分と可動部分との間にはユーザによる指の接近を可能にするのに適した隙間が形成されることが期待される。
【0009】
本発明の目的上、「開けることができるパネル部分」という用語は、以下の形式の缶端部の両方、即ち、
i.開けることができるパネル部分が開放時に缶端部から完全に切り離し可能である場合及び/又は、
ii.開けることができるパネル部分の一部が開放後、缶端部によって保持可能である場合も両方含む。
【0010】
いずれの場合においても、刻み目線を切り離すことにより、缶端部には製品を小出しするために通すことができる孔が形成される。
【0011】
形式(i)の缶端部は、食品用途、例えば、容易には注ぎ出すことができない固形の塊又は粘稠物を含む製品には特によく見受けられる。これらの場合、食品の容易な小出しを可能にするよう孔のサイズを最大にすることが望ましい。この場合、タブのノーズ部分は、代表的には、刻み目線に隣接して配置され、その結果、タブの取っ手を持ち上げると、タブのノーズ部分が刻み目線を切り離すようになっている。
【0012】
形式(ii)の缶端部は、製品を飲むことができ又は缶から真っ直ぐに注ぎ出すことができるように孔が小さいことが望ましい飲料用途に用いられる場合が多い。孔サイズを小さくすることにより、開けることができるパネル部分を例えば容器本体内に内方に折り曲げることにより缶端部で保持することが可能である。開けることができるパネル部分の保持により、これをポイ捨てにする事態が減少する。
【0013】
可動部分は、刻み目線の半径方向内方又は外方に配置可能である。可動部分の配設場所は、缶端部の形式で決まる。例えば、刻み目線が中央パネルの領域のほぼ全てに及ぶ孔を構成する場合(即ち、いわゆる「全開」缶端部)、可動部分とタブの両方は、開けることができるパネル部分に、即ち、刻み目線の内方に形成される。変形例として、刻み目線が中央パネルの領域の一部にしか及ばない孔を構成する場合(即ち、飲料缶に見受けられるようないわゆる「部分開き」缶端部)、可動部分及びタブを刻み目線の外方に設けることが実用的である場合がある。
【0014】
好都合には、可動部分は、缶端部の一体部分として形成される。プレスを用いて缶端部の材料に可動部分を形成することが有利であることが判明した。簡単に言えば、可動部分の存在により、缶端部は、双安定である。「双安定」という用語は、可動部分が2つの互いに異なる状態、即ち、「上」(凸状)位置と「下」(凹状)位置のうちの一方を取ることができるということを意味している。しかしながら、本発明の下方に傾けられた環状ステップを組み込むことにより、可動部分に追加の補強効果が与えられるということが判明した。補強効果は、これにより、可動部分が環状ステップが設けられていないことを除けば同一の缶端部と比較して「下」位置から「上」位置に「ポップアップ」するのに必要な力が増大するようなものである。環状ステップが設けられていることによる補強効果が増大すると、可動部分は、可動部分が変形していったんその「下」(凹状)位置になると、可動部分が変形して「上」(凸状)位置に戻るのに非常に強く抵抗するという点において単安定端部のように挙動する。さらに、補強度のこの増大は、缶端部を形成するために用いられる金属の厚さを増大させないで達成される。金属の厚さを増大させると、その結果として、材料費が増大する。要約すると、容器本体に用いられると、本発明の結果として、容器は、缶端部の可動部分が「上」(凸状)位置に戻り又は突然動くことなく衝撃及び/高い高度(大気圧が低い場所)での輸送に良好に耐えることができる。したがって、消費者は、消費者の指にとって適度のタブ接近をもたらす容器/缶端部を受け取る可能性が高い。缶端部が双安定の状態のままである間、環状ステップが設けられている結果として、可動部分を変形させて「上」(凸状)位置に戻すのに必要な力が大きくなり、即ち、「ポップアップ」力が増大する。
【0015】
本発明の目的上、「環状」という用語は、少なくとも180°の角度の広がりにわたって延びることを意味している。
【0016】
好都合には、環状ステップは、破断部又は隙間なく連続したものとして形成され、例えば、同心円、楕円の形状を描き、或いは、平面図で見て形状が規則的である。しかしながら、変形例として、環状ステップは、各々が隙間により隔てられた一連の2つ又は3つ以上の不連続ステップ部分として形成されても良く、ステップ部分は、一緒になって、環状ステップを構成する。有利には、不連続ステップ部分のうちの1つ又は2つ以上は、互いに半径方向に分散して配置される。より好ましくは、不連続ステップ部分は、互いに円周方向に分散して配置され、例えば、環状ステップが、一緒になって円の全体的形状を構成する数個の不連続ステップ部分で構成されるのが良く、「円」中の円周方向隙間は、環状ステップが不連続であるという性状の原因となっている。半径方向隙間と円周方向隙間の組み合わせを利用すると、不連続ステップ部分の各々を互いに離隔させることができる。好ましくは、環状隙間は、これが連続しているにせよ不連続であるにせよいずれにせよ、実質的に共通の表面を占めるよう形成される。複数個の環状ステップが互いに嵌り合って設けられる場合、各環状ステップは、好ましくは、それ自体の平面を占めるよう形成される。
【0017】
2つ又は3つ以上の環状ステップを可動部分に形成することが可能であるが、以下の表1に詳細が記載された試験結果の実証するところによれば、たった1つの下方に傾けられた環状ステップを用いた場合、「ポップアップ」力が大幅に増大した(環状ステップが設けられていない缶端部と比較して)。
【0018】
本発明の缶端部は、可動部分が当初「上」位置か「下」位置かのどちらの状態でも製造可能である。缶端部が後での缶本体への取付けのために或る場所と或る場所との間で輸送される場合、可動部分が変形して「上」位置になることが好ましい。というのは、これにより缶端部を容易に積み重ねることができるからである。
【0019】
環状ステップの有効性を実証するため、材料規格DR550Nに準拠した0.21mmゲージのダブル冷間圧延(Double Reduced:2度冷間圧延した)ブリキ板で作られ、可動部分を備えた公称直径が73mmの缶端部の2つの別々の設計例を用いて試験を行った。プレスにより缶端部の中央パネルに形成した突出部によって可動部分を設けた。各缶端部の設計の差異は、第1の設計例(設計例“A”)では、突出部が環状ステップを備えておらず、第2の設計例(設計例“B”)では、突出部が単一の下方に傾けられた環状ステップを有しているということに過ぎなかった。採用した環状ステップが連続同心円(缶端部の上方から平面図で見て)の形態をしていた。かかる試験は、突出部が
i.「上」(凸状)位置から「下」(凹状)位置にポップダウン(突然下降)したり、
ii.「上」(凸状)位置にポップアップ(突然上昇)して戻ったりするようにするのに必要な公称圧力を求めた。
【0020】
試験は、以下の表1に示されている通りである。
【0021】
〔表1〕
「ポップダウン」のための 「ポップアップ」のための
真空圧力(ミリバール) 圧力(ミリバール)
設計例“A”; >1000 350
環状ステップなし
設計例“B”; 830 790
環状ステップあり
【0022】
この表は、単一の下方に傾けられた環状ステップ(設計例“B”)が設けられていると、設計例“A”と比較して、突出部が「ポップアップ」するのに必要な差圧が大幅に増大するということを示している。これは又、突出部が設計例“A”と比較して「ポップダウン」するようにするのに必要な差圧を増大させる作用効果を有していた。これら特定の試験において、環状ステップが設けられていることにより、結果として、突出部のポップアップを生じさせるのに必要な圧力が126%増大した。
【0023】
好ましくは、下方に傾けられた環状ステップは、断面が全体として直線状である。しかしながら、これは、必須の要件ではなく、下方に傾けられた環状ステップは、断面が湾曲していても良い。
【0024】
好ましくは、下方に傾けられた環状ステップは、可動部分が「下」位置にあるとき、このステップがこのステップ上の所与の場所で水平に対して8°〜17°の角度をなして下方に傾けられるように形成されている。
【0025】
別の実施形態では、ステップがそのステップ上の所与の場所で水平に対して8°〜17°の角度をなして下方に傾けられると共に0.007インチ(0.1778mm)〜0.013インチ(0.3302mm)の軸方向深さ(缶端部の中心軸線に沿って測定して)を有する。
【0026】
環状ステップの断面が湾曲している場合、この環状ステップの傾斜角は、ステップ上の所与の場所に関し最も上の箇所と最も下の箇所との間で測定される。
【0027】
下方に傾けられた環状ステップが可動部分それ自体に設けられ又はこの上に延びることが必須の要件である。「ポップアップ」を生じさせるのに必要な力を最大にするためには、環状ステップを可動部分の周囲の近くに配置することが好ましいことが判明した。好都合には、環状ステップは、可動部分の周囲上の場所に又は可動部分の周囲と可動部分の周囲の半径方向の場所の内方に向かって最大50%までの距離との間の場所に形成される。環状ステップを可動部分の中心の近くに配置すると、環状ステップにより提供される補強効果が減少するという不利益が生じ、又、その結果ポップアップ圧力の増大分が少なくなる。
【0028】
環状ステップは、平面図で見て円形である。というのは、この形状により、可動部分が「上」(凸状)位置にポップアップして戻るようにするのに必要な力が最大になるからである。換言すると、このようにすると、最適な補強効果を提供することが判明した。しかしながら、環状ステップの他のプロフィール(例えば、平面図で見て楕円形又は不規則形)も又使用できる。
【0029】
環状ステップが好都合には1つ又は2つ以上の連続同心円の形態をしていることが一般的に想定されるが、変形実施形態では、下方に傾けられた環状ステップを上方から見て螺旋に形成された環状ステップとして提供しても良い。本発明の可動部分上に実現された場合、この渦巻体は、正確には、円錐螺旋体と呼ばれ、即ち、渦巻体と螺旋体の両方のハイブリッドである。可動部分は、その最も簡単な形態では、単一の渦巻状に形成された環状ステップを有する。しかしながら、多数の渦巻状に形成された環状ステップを設けても良い。有利には、2つの環状ステップが設けられ、各環状ステップは、渦巻状に形成された環状ステップとして設けられ、渦巻状に形成されたステップは、互いに対して逆方向の関係をなして巻かれる。単一の渦巻状に形成された環状ステップが用いられるか多数の螺旋状に形成された環状ステップが用いられるかとは無関係に渦巻形態の作用効果により、可動部分は、可動部分が変形していったんその「下」(凹状)位置になると、可動部分が変形して「上」(凸状)位置に戻るのに非常に強く抵抗するという点において単安定端部のように挙動する。
【0030】
好都合には、缶端部は、缶端部を従来手段(例えば、二重巻締)により缶本体に継ぎ合わせることができるようにするための継ぎ合わせパネルを有する。好都合には、缶端部は、中央パネルの周囲のところに上方に傾けられた壁を有し、この壁は、缶端部を缶本体に継ぎ合わせることができる継ぎ合わせパネルを形成するよう側方に延びる。
【0031】
本発明の第2の観点では、容器本体に取り付けられた本発明の缶端部を有する容器が提供される。
【0032】
以下の図面を参照して本発明の種々の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の缶端部の第1の実施形態の平面側斜視図である。
【図2】図1の缶端部に関するX−X線矢視断面図であり、可動部分が「上」(凸状)位置にある状態を示す図である。
【図3】図1の缶端部に関するX−X線矢視断面図であり、可動部分が「下」(凹状)位置にある状態を示す図である。
【図4】図1の缶端部の可動部分及び環状ステップの詳細断面図であり、可動部分を「上」(凸状)位置と「下」(凹状)位置の両方で示す図である。
【図5】容器本体に継ぎ合わせた場合の図1の缶端部の斜視図である。
【図6】容器本体に継ぎ合わせたときの図1の缶端部の別の斜視図である。
【図7】可動部分の第2の実施形態の平面図であり、可動部分が円周方向に分散して設けられた不連続ステップ部分で構成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図8】可動部分の第3の実施形態の平面図であり、可動部分が半径方向に分散して設けられた不連続ステップ部分で構成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図9】可動部分の第4の実施形態の平面図であり、可動部分が単一の螺旋に形成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図10】可動部分の第5の実施形態の平面図であり、可動部分が2つの螺旋に形成された環状ステップを備えている状態を示す図である。
【図11】可動部分の第6の実施形態の平面図であり、可動部分が単一の螺旋に形成された環状ステップ(図9の環状ステップに類似している)を備えているが、約270°の角度的広がりにわたって延びている状態を示す図である。
【図12】可動部分の第7の実施形態の平面図であり、可動部分が図11の可動部分に対応しているが、環状ステップが各々円周方向隙間によって隔てられた不連続ステップ部分で形成されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、缶端部1を示している。図示の実施形態では、缶端部1は、0.21mmゲージDR550N材料で作られている。缶端部1は、周囲に皿座ぐり部3が設けられた中央パネル2を有する。皿座ぐり部3は、チャック壁4内に上方に延びており、チャック壁は、継ぎ合わせパネル5を形成するよう半径方向外方に延びている。円形刻み目線6が缶端部1に形成されており、刻み目線の内方に開けることができるパネル部分7が形成されている。刻み目線6(一旦切断されると)は、製品(図示せず)を小出しするために通す孔を構成し、開けることができるパネル部分7は、缶端部1から完全に切り離し可能である。ビード8が中央パネル2を強化させる目的で中央パネル2に設けられている。
【0035】
タブ20がリベット21によって中央パネル2に取り付けられている。タブ20の一端部は、刻み目線6に隣接して位置するノーズ部分20aを備えている。タブ20の反対側の端部は、リングの形態をした取っ手部分20bを備えている。
【0036】
可動部分が突出部30として缶端部1に設けられている。突出部30は、缶端部1の材料に作用するプレス(図示せず)の使用により形成される。突出部30は、平面図で見て全体として円形であり、図1に示すように半径RPのものである。
【0037】
突出部30は、2つの互いに異なる状態、即ち、突出部が「上」位置にあり、缶端部の上方から見たときに凸状のプロフィール30aを有する一方の状態(図2及び図4を参照されたい)と、突出部が「下」位置にあり、缶端部1の上方から見たときに凹状のプロフィール30bを有する他方の状態(図3及び図4を参照されたい)との間で行ったり来たりすることができる。突出部が一方の状態から別の状態に戻ることができ、即ち「ポップアップ」と「ポップダウン」との間で動くことができるようにするために機械的手段(図示せず)を用いるのが良い。変形例として、缶内圧力差を利用して突出部が一方の状態から別の状態に戻るようにしても良く、例えば、缶端部が容器本体に取り付けられている場合、負圧を利用して突出部を吸引し又は引き下げても良い。
【0038】
下方に傾斜した環状ステップ(段)31が突出部30の周囲に設けられており、かかるステップも又、平面図で見て円形である。本発明の概要説明の項で上述したように、変形実施形態では、環状ステップ31は、これとは異なり、突出部30の周囲の半径方向内方に或る程度の距離を置いたところに配置されても良く、この場合であっても、環状ステップが設けられていない類似した缶端部に対して突出部のポップアップ力を増大させるのに依然として有効である。
【0039】
図示の実施形態では(特に図4を参照されたい)、環状ステップ31は、水平に対して12.5°の角度“α”をなして下方に傾けられており、このステップは、缶端部1の中心軸線9に沿って測定して0.010インチ(0.025mm)の軸方向深さ“d”を定めている。これら測定値は、突出部30が「下」(凹状)位置30bにある状態で取られる。図示の実施形態では、環状ステップ31の外径“O/D”は、0.950インチ(24.1mm)であり、その内径“I/D”は、0.860インチ(21.8mm)である。図1〜図6に示されている実施形態では、上述の寸法は、環状ステップ全体に関して一様である。
【0040】
線32(図1参照)は、突出部30を形成するために用いられたプレスの成形プロセスの結果としてもたらされる証拠マークを表している。この実施形態では、証拠マーク32は、缶端部の性能にとって機能的に意味がない。
【0041】
プレス(図示せず)を出ると、缶端部1の突出部30は、当初「下」(凹状)位置30b(図3及び図4に示されている)にある。しかしながら、缶端部1を後で缶本体への固定のために互いに異なる場所(例えば、充填材により缶端部を缶本体に取り付ける場所)相互間で輸送する場合、機械的又は他の手段(図示せず)を用いて上向きの力を突出部30に加えて突出部が輸送に先立って「上」(凸状)位置30a(図2及び図4を参照されたい)に戻り又はかちっという音を出して動くようになっている。この理由は、突出部30が「上」位置30aにあり、突出部30によって形成された凹部が下に位置する缶端部のタブを受け入れるスペースを提供する状態で缶端部1が最も効率的に積み重ねられるからである。
【0042】
変形実施形態では、突出部30は、当初、「上」(凸状)位置30a(図2及び図4に示されている)の状態で、プレス内で形成されても良い。図2で理解できるように、突出部30がこの「上」位置にある状態では、タブ20の取っ手部分20bと缶端部1との間の隙間は狭く又は存在しない。しかしながら、前の段落で言及したように、この状態では、缶端部は、積み重ねが容易であり、このことは、缶端部を一まとめに(大量に)輸送する際に特に良好である。
【0043】
図5及び図6は、金属製缶本体41への缶端部1の継ぎ合わせ又は巻締めの結果として得られた容器40を示している。突出部30は、すでに行われていない場合、「下」(凹状)位置に押され又はかちっという音を出して動かされその後缶端部1を缶本体41に取り付ける。変形例として、缶内負圧を利用して、例えば充填及び処理条件の注意深い制御によって突出部を「下」(凹状)位置に吸引し又は引っ張る。容器40は、突出部30がその「下」(凹状)位置30bにあり、その結果、取っ手部分20bと突出部30との間の隙間Δhが約2mm(図3及び図5参照)の状態で図5に示されている。上述したように、消費者は突出部30が「下」(凹状)閉じ位置にあるままの状態で容器40を受け取るべきであることが意図されており、その理由は、これにより、タブへの接近具合が最大に高められ、その結果、開封が容易になるからである。下方に傾斜した環状ステップ31の存在及びその結果としてのポップアップ力の増大により、容器40が隣接の容器又は他の物体と衝突した場合であっても又は高い高度で(例えば、標高約5,250フィート(1,600m)で、この代表は米国デンバーの標高である)輸送されている場合であっても、突出部30の「ポップアップ」が確実に阻止される。
【0044】
使用にあたり、消費者(図示せず)は、自分の指をタブ20の取っ手部分20bに掛けてまず最初にタブ20周りに上方に(矢印Aの方向に、図5参照)こじ開けてノーズ部分20aが刻み目線6の破断を開始させるようにする。しかる後、消費者は、タブ20を引き戻し(矢印Bの方向、図5参照)刻み目線6の残部の引裂きを進めて開けることができるパネル部分7を缶端部1から取り去る。
【0045】
図示の実施形態では、開けることができるパネル部分7は、缶端部1から完全に分離でき、この開けることができるパネル部分上に突出部30及びタブ20がくっついた状態で缶端部の領域のほぼ全てに及ぶ孔(即ち、いわゆる「全開」端部)を生じさせる。図示の実施形態では、食品を収納する缶に特に適しており、この場合、孔のサイズ、そして暗に言えば部分7のサイズは、最大にされる必要がある。
【0046】
しかしながら、別の実施形態では、これとは異なり、開けることができるパネル部分7は、缶端部1の領域のほんの僅かな部分にわたって延びても良く、この場合、開けることができるパネル部分及び刻み目線6の外方に突出部30が形成される。この実施形態では、比較的小さな注ぎ孔が望ましい飲料用途に特に適している場合がある。
【0047】
図7は、可動部分30の領域に局所化された缶端部の平面図であるが、下方に傾斜した環状ステップ131について異なる形態を示している。図7の実施形態では、環状ステップ131は、各々が円周方向隙間“c”だけ隔てられた数個の不連続ステップ部分131a〜131hで構成されている(即ち、131a〜131hは、互いに対して円周方向に分散して配置されている)。不連続ステップ部分は、一緒になって、平面図で見て全体として円形のプロフィールを定め、これらステップ部分の各々は共通の半径方向位置を占める。不連続ステップ部分131a〜131hは、一緒になって、丸一回転にわたって(即ち、360°)延びる。不連続ステップ部分131a〜131hの各々の経路を表すために太線が用いられている。
【0048】
図8の実施形態では、不連続ステップ部分131a〜131hが2つの互いに異なる半径方向位置で交互に互いに半径方向に分散して配置されている(半径方向隙間“r”を参照されたい)点において図7の実施形態とは異なっている。
【0049】
図9及び図10は、この場合も又、可動部分の領域に局所化された缶端部1の平面図であるが、図1〜図8の実施形態で見える形態とは更に別の形態をしている下方に傾斜した環状ステップを示している。図9の実施形態では、可動部分30は、缶端部の上方から見たときに、単一の螺旋に形成された環状ステップ131として設けられた下方に傾斜している環状ステップを有している。この単一の螺旋に形成された環状ステップ131の経路を表すために太線が用いられている。環状ステップの始点及び終点はそれぞれ、Start131及びEnd131で示されている。
【0050】
図10の実施形態は、各々が互いに対して逆方向の関係をなして巻かれた別々の螺旋に形成されている環状ステップ131,231として提供されている2つの下方に傾斜した環状ステップを備えているという点で図9の実施形態とは異なっている。各環状ステップ131,231の始点及び終点は、それぞれ、Start131,231及びEnd131,231で示されている。
【0051】
図9及び図10に示されている実施形態の場合、各螺旋に形成された環状ステップ131,231は、二回転にわたって(即ち、720°)延びている。
図11に示されている更に別の実施形態の場合、単一の環状ステップ131(この場合、螺旋に形成されている)が一回転のうちの270°だけにわたって延びている。図12に示されている最後の実施形態は、図11の実施形態に対応しているが、環状ステップ131は、各々が円周方向隙間“c”だけ隔てられた一連の7個の不連続ステップ部分131a〜131gで構成されている。
【0052】
しかしながら、理解されるべきこととして、本発明の多くの特徴及び利点を本発明の構造及び機能の細部と共に上記において説明したが、この説明は、例示に過ぎず、特許請求の範囲の記載の広義の一般的な意味によって指示される全範囲まで本発明の原理の範囲内における細部の変更、特に諸部分の寸法形状及び配置における変更を実施できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(41)への取り付けに適した開けやすい缶端部(1)であって、
刻み目線(6)を備えた中央パネル(2)と、
前記缶端部に取り付け(21)られたタブ(20)とを有し、
前記刻み目線は、前記中央パネルに設けられた開けることができるパネル部分(7)の周囲を定め、前記タブは、ノーズ部分(20a)及び取っ手部分(20b)を有し、前記中央パネルは、前記タブの前記取っ手部分の全て又は一部の下に延びる可動部分(30)を更に有し、前記可動部分は、
前記可動部分が前記缶端部の上方から見て凸状である「上」位置(30a)と、
前記可動部分が前記缶端部の上方から見て「下」位置(30b)とを有し、
前記可動部分は、前記「上」位置から「下」位置に変形可能である、開けやすい缶端部(1)において、
前記可動部分は、少なくとも1つの下方に傾けられた環状ステップ(31)を有する、開けやすい缶端部(1)。
【請求項2】
前記可動部分(30)は、たった1つの下方に傾けられた環状ステップ(31)を有する、請求項1記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項3】
前記環状ステップ(31)のうちの少なくとも1つは、各々が隙間によって隔てられた一連の2つ又は3つ以上の不連続ステップ部分として形成され、前記ステップ部分は、一緒になって、前記環状ステップを構成する、請求項1又は2記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項4】
前記不連続ステップ部分のうちの1つ又は2つ以上は、
i.互いに半径方向に分散して配置(r)されると共に/或いは、
ii.互いに円周方向に分散して配置(c)されている、請求項3記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項5】
前記環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、前記可動部分(31)が「下」位置(30b)にあるとき、前記ステップ(31)が前記ステップ上の所与の場所で水平に対して8°〜17°(α)の角度をなして下方に傾けられるよう形成されている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項6】
前記環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、前記ステップ上の所与の場所で0.007インチ(0.1778mm)〜0.013インチ(0.3302mm)の軸方向深さ(d)を有する、請求項5記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項7】
前記環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、前記可動部分(30)の周囲(RP)上の場所に又は前記可動部分(30)の前記周囲(RP)と前記可動部分の前記周囲の半径方向の前記場所の内方に向かって最大50%までの距離との間の場所に形成されている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項8】
前記下方に傾けられた環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、平面図で見て円形又は楕円形である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項9】
前記下方に傾けられた環状ステップのうちの前記少なくとも1つは、前記缶端部の上方から見て渦巻状に形成された環状ステップ(131,231)として設けられている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項10】
2つの環状ステップを有し、各環状ステップは、渦巻状に形成された環状ステップ(131,231)として設けられ、前記渦巻状に形成されたステップは、互いに逆方向の関係をなして巻かれている、請求項9記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一に記載の缶端部(1)を有する容器(40)であって、前記缶端部は、缶本体(41)に取り付けられている、容器(41)。
【請求項1】
容器本体(41)への取り付けに適した開けやすい缶端部(1)であって、
刻み目線(6)を備えた中央パネル(2)と、
前記缶端部に取り付け(21)られたタブ(20)とを有し、
前記刻み目線は、前記中央パネルに設けられた開けることができるパネル部分(7)の周囲を定め、前記タブは、ノーズ部分(20a)及び取っ手部分(20b)を有し、前記中央パネルは、前記タブの前記取っ手部分の全て又は一部の下に延びる可動部分(30)を更に有し、前記可動部分は、
前記可動部分が前記缶端部の上方から見て凸状である「上」位置(30a)と、
前記可動部分が前記缶端部の上方から見て「下」位置(30b)とを有し、
前記可動部分は、前記「上」位置から「下」位置に変形可能である、開けやすい缶端部(1)において、
前記可動部分は、少なくとも1つの下方に傾けられた環状ステップ(31)を有する、開けやすい缶端部(1)。
【請求項2】
前記可動部分(30)は、たった1つの下方に傾けられた環状ステップ(31)を有する、請求項1記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項3】
前記環状ステップ(31)のうちの少なくとも1つは、各々が隙間によって隔てられた一連の2つ又は3つ以上の不連続ステップ部分として形成され、前記ステップ部分は、一緒になって、前記環状ステップを構成する、請求項1又は2記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項4】
前記不連続ステップ部分のうちの1つ又は2つ以上は、
i.互いに半径方向に分散して配置(r)されると共に/或いは、
ii.互いに円周方向に分散して配置(c)されている、請求項3記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項5】
前記環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、前記可動部分(31)が「下」位置(30b)にあるとき、前記ステップ(31)が前記ステップ上の所与の場所で水平に対して8°〜17°(α)の角度をなして下方に傾けられるよう形成されている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項6】
前記環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、前記ステップ上の所与の場所で0.007インチ(0.1778mm)〜0.013インチ(0.3302mm)の軸方向深さ(d)を有する、請求項5記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項7】
前記環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、前記可動部分(30)の周囲(RP)上の場所に又は前記可動部分(30)の前記周囲(RP)と前記可動部分の前記周囲の半径方向の前記場所の内方に向かって最大50%までの距離との間の場所に形成されている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項8】
前記下方に傾けられた環状ステップ(31)のうちの前記少なくとも1つは、平面図で見て円形又は楕円形である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項9】
前記下方に傾けられた環状ステップのうちの前記少なくとも1つは、前記缶端部の上方から見て渦巻状に形成された環状ステップ(131,231)として設けられている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項10】
2つの環状ステップを有し、各環状ステップは、渦巻状に形成された環状ステップ(131,231)として設けられ、前記渦巻状に形成されたステップは、互いに逆方向の関係をなして巻かれている、請求項9記載の開けやすい缶端部(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一に記載の缶端部(1)を有する容器(40)であって、前記缶端部は、缶本体(41)に取り付けられている、容器(41)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−515118(P2012−515118A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542609(P2010−542609)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050326
【国際公開番号】WO2009/090171
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506128042)クラウン パッケイジング テクノロジー インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050326
【国際公開番号】WO2009/090171
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506128042)クラウン パッケイジング テクノロジー インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】
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