説明

置換3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジンのための製法

トランス−4−[(3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−6−イルメチル)−カルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの調製、および、そのトランス−4−(4−アミノ−5−置換イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸化合物への変換を含む製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第61/224090号(2009年7月9日)の優先権を主張する(その内容全体を参照により本明細書に包含させる)。
【0002】
発明の背景
本発明は、3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジンの製造のための方法、および、それらの4−アミノ−5−置換イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジンへのさらなる変換に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願第2007/0112005号は、トランス−4−[(3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−6−イルメチル)−カルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの製造、および、そのトランス−4−(4−アミノ−5−置換イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル化合物への変換を開示している。
【0004】
引き続き代わりとなる改善法が求められており、例えば短縮化した合成工程、改善された拡張性、より効率的な生成物の単離および精製、より簡単な取り扱い、より優れた収量、強化された安全性、より短い反応時間、より少ない出発原料の消費、環境汚染の低減、および、コストの低減を示す方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0112005号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、トランス−4−[(3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−6−イルメチル)−カルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの製造方法、および、そのトランス−4−(4−アミノ−5−置換イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸化合物への変換に関する。一形態において、本発明は、トランス−4−[(3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−6−イルメチル)−カルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの製造方法に関する。その他の形態において、本発明は、トランス−4−(5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの製造方法に関する。本発明のその他の形態は、トランス−4−(4−アミノ−5−置換イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸化合物の製造方法に関し、ここで前記5−置換された基は、任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基である。その他の形態において、本発明は、トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸、または、それらの医薬的に許容される塩、例えばトランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボキシレート2−ヒドロキシ−1,1−ビス−ヒドロキシメチル−エチル−アンモニウムの製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一形態において、本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
で示される化合物またはそれらの塩の製造方法に関し、前記方法は、スキーム1:
【0010】
【化2】

【0011】
に係る反応工程を含み、ここで、3−アミノ−6−((ジベンジルアミノ)メチル)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オンは、適切な触媒、適切な酸、適切な溶媒の存在下、および、適切な反応温度において最初に水素化されている。適切な触媒としては、これらに限定されないが、10%炭素担持パラジウムが挙げられる。適切な酸としては、これらに限定されないが、酢酸が挙げられる。適切な溶媒としては、これらに限定されないが、水、または、酢酸、および、それらの混合物が挙げられる。適切な反応温度は、約30℃〜90℃であり得る。
【0012】
触媒は例えばろ過によって除去されるが、その結果得られた中間生成物はそれでもなお溶液中に存在していることが好ましく、続いてこのような中間生成物を、トランス−4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]カルボニルメチルシクロヘキサンカルボキシレートと適切な塩基の存在下で反応させることによって、式(I)で示される化合物を得ることができる。適切な塩基としては、これらに限定されないが、トリエチルアミン、または、炭酸ナトリウムが挙げられる。このような反応はほぼ大気圧で行ってもよいが、必要に応じてそれより高いまたは低い圧力を用いる場合もある。実質的に等モル量の反応物を用いることができる。
【0013】
前記式(I)で示される化合物は、スキーム1に従って、精製を行わなくても、少なくとも約1.5kg、少なくとも約5kg、または、少なくとも約10kgの規模で、少なくとも約60%、70%、80%、または、90%の収量で得ることができる。
【0014】
その他の形態において、本発明は、式(II)で示される化合物またはそれらの塩の製造方法に関し、ここで式(I)で示される化合物を、反応スキーム2:
【0015】
【化3】

【0016】
に従ってさらに反応させ、ここで:
工程(A):式(I)で示される化合物を、適切な溶媒中で、好ましくは還流下で適切な量のPOClと反応させることによって、トランス−4−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを得ることができる。
【0017】
いくつかの実施態様において、式(I)で示される化合物の量に対して約1.3〜2.0当量のPOClを用いることができる。適切な溶媒としては、これらに限定されないが、アセトニトリル、1,2−ジエトキシエタン、ジメトキシエタン、または、それらの混合物が挙げられる。
【0018】
前記工程(A)からの生成物は、精製しなくても、少なくとも約1.5キログラムの規模で得ることができ、さらに前記工程(A)の収量は、少なくとも生成物約1.5キログラムの規模で少なくとも約95%が可能である。
【0019】
工程(B):工程(A)からの生成物を、N−ブロモスクシンイミドと、適切な溶媒中で、適切な反応温度で、適切な反応時間反応させることによって、トランス−4−(2−アミノ−5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを得ることができる。
【0020】
適切な反応温度は、約−10℃〜40℃である。適切な溶媒としては、これらに限定されないが、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、または、それらの混合物が挙げられる。適切な反応時間は、N−ブロモスクシンイミドの添加が終わってから約10〜30分であり得る。
【0021】
前記工程(B)からの生成物は、精製しなくても、少なくとも約2kgの規模で、前記工程(B)の収量が少なくとも約79%または少なくとも約95%で得ることができる。
【0022】
工程(C):工程(B)からの生成物を、適切な溶媒中で適切な量のtert−ブチル亜硝酸塩と反応させることによって、式(II)で示される化合物を得ることができる。
【0023】
適切な溶媒としては、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、または、混合物が挙げられる。亜硝酸tert−ブチルの適切な量は、工程(B)からの生成物の量に対して約2〜3当量であり得る。
【0024】
前記工程(C)からの生成物は、精製しなくても、少なくとも約2kgの規模で、前記工程(C)の収量が少なくとも約80%で得ることができる。
【0025】
スキーム2に係る反応は、ほぼ大気圧で行ってもよいが、それより高いまたは低い圧力を用いる場合もある。最終産物は、精製しなくても、少なくとも約2kgの規模で得ることができ、スキーム2の全体の収量は、少なくとも約60%、70%、75%であるか、または、それより高い収量であり得る。
【0026】
その他の形態において、本発明は、式(III)で示される化合物またはそれらの塩の製造方法に関し、ここで式(II)で示される化合物を、反応スキーム3:
【0027】
【化4】

【0028】
に従ってさらに反応させ、ここで:
工程(D):式(II)で示される化合物をまず、アセトニトリル中のピリジンまたはトリエチルアミンのような塩基の存在下で1,2,4−トリアゾールおよびPOClと反応させ、続いて得られた中間体化合物をアンモニアと反応させ、続いて適切な塩基を用いて加水分解させることによって、トランス−4−(4−アミノ−5−ブロモ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸を得ることができる。
【0029】
上記アンモニアは、適切なアルコール溶媒中であってもよく、このようなアルコール溶媒としては、これらに限定されないが、エタノール、または、イソプロパノールが挙げられる。適切な塩基としては、これらに限定されないが、NaOHが挙げられる。
【0030】
工程(D)生成物は、精製しなくても、少なくとも約1.25キログラムの規模で、前記工程(D)の収量が約90%または少なくとも約95%で得ることができる。
【0031】
工程(E):工程(D)からの生成物を、適切なリガンド、適切な触媒および適切な塩基の存在下で、さらに適切な溶媒中でR−ボロン酸/エステルと反応させることによって、式(III)で示される化合物を得ることができ、ここでRは、任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基である。
【0032】
アリール基は、フェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、3−ニトロフェニル、2−メトキシフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、2−メチル−3−メトキシフェニル、2,4−ジブロモフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、2−クロロナフチル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、および、2−ヨード−4−メチルフェニルからなる群より選択することができる。ヘテロアリール基は、2−、3−または4−ピリジニル、ピラジニル、2−、4−または5−ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル、インドール、および、ベンゾチエニルからなる群より選択することができる。前記アリールまたはヘテロアリール基はさらに、C〜C10アルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C〜C10アルコキシ、および、フェニルからなる群より選択される1個またはそれより多くの独立した置換基で置換されていてもよい。
【0033】
工程(E)に関して、前記適切なリガンドとしては、これらに限定されないが、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩、または、4,4’−(フェニルホスフィニデン)ビス−ベンゼンスルホン酸二カリウム塩の水和物が挙げられる。前記適切な触媒としては、これらに限定されないが、酢酸パラジウム(II)が挙げられる。前記適切な溶媒としては、これらに限定されないが、水、エタノール、および、テトラヒドロフランの混合物が挙げられる。前記適切な塩基としては、これらに限定されないが、NaCOが挙げられる。
【0034】
前記工程(E)からの生成物は、精製しなくても、少なくとも約1kgの規模で、前記工程(E)の収量が少なくとも約80%で得ることができる。
【0035】
上述のスキーム3に係る反応は、ほぼ大気圧で行ってもよいが、それより高いまたは低い圧力を用いる場合もある。
【0036】
スキーム3のプロセスによれば、最終産物は、精製しなくても、少なくとも約1kg、または、少なくとも約5kgまたは10kgの規模で、全体の収量が約72%で得ることができる。
【0037】
上述のスキーム3に係る工程(E)の形態において、前記工程(E)は、反応スキーム4:
【0038】
【化5】

【0039】
に従って行われ、ここで、トランス−4−(4−アミノ−5−ブロモ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸を、7−メトキシ−2−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドールと反応させることによって、式(IV)で示される化合物を得ることができる。
【0040】
スキーム4に従って式(IV)で示される化合物を製造する典型的な方法において、前記プロセスからの生成物は、精製しなくても、少なくとも約1kg、5kg、または、10kgの規模で、少なくとも約80%の収量で得ることができる。
【0041】
その他の形態において、本発明は、式(V)で示される化合物の製造方法に関し、ここで式(IV)で示される化合物を、反応スキーム5:
【0042】
【化6】

【0043】
に従ってさらに反応させ、ここで、式(IV)で示される化合物を、エタノールおよび水中でトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと反応させることによって、式(V)で示される化合物を得ることができる。
【0044】
式(V)で示される化合物の典型的な製造方法において、前記プロセスは、還流下で行われるか、または、約40℃でスラリーである。前記プロセスの生成物は、精製しなくても、少なくとも約1.5kgの規模で、少なくとも約95%の収量で得ることができる。
【0045】
上述したような全ての製造工程は、有機化学分野でよく知られている合成方法、または、当業者によく知られている修飾および誘導体化によって補足される。ここで用いられる出発原料は市販のものか、または、当業界でよく知られている慣例的な方法(例えば、the Compendium of Organic Synthetic Methods, 第I巻〜第VI巻(出版元:Wiley-Interscience))のような標準的な参考書で開示された方法)で製造されたものでもよい。
【0046】
上記および/または下記の合成順序のいずれかの間に、関連する分子のいずれかにおける影響を受けやすい基または反応性基を保護することが必要であるか、および/または、望ましい可能性がある。これは従来の保護基によって達成でき、このような保護基としては例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley & Sons, 1981; T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley & Sons, 1991、および、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley & Sons, 1999(これらは、参照により本発明に包含させる)で説明されているような保護基が挙げられる。
【実施例】
【0047】
実施例1:3−アミノ−6−[(ジベンジルアミノ)−メチル]−4H−[1,2,4]トリアジン−5−オン(A)
【0048】
【化7】

【0049】
機械式の撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた20Lのジャケット付き反応装置に、ジベンジルアミン(3754g,18.46mol)、および、EtOAc(9L)を添加した。この透明な溶液を60℃に加熱した。ブロモピルビン酸エチル(2.000kg、9.230mol)を23分かけて添加した。この反応混合物が黄色に変化し始め、還流液に対して熱を放出し始めると白色の沈殿が形成された(ジベンジルアミン臭化水素酸塩)。ジャケット温度を60℃に維持した。添加が完了した後、この反応液を1.5時間加熱還流した(80℃)。この反応液を50℃に冷却し、沈殿をろ過によって除去し、EtOAcで洗浄した(2×1L)。暗い色の溶液を真空中で油/スラリー状になるまで濃縮した。このスラリーをEtOH(15L)に溶解させ、重炭酸アミノグアニジン(1295g,9.230mol)を含む、機械式の撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた20Lのジャケット付き反応装置に添加した。この反応液を24時間加熱還流した。この反応液を50℃に冷却し、茶色の沈殿をろ過によって単離した。沈殿を水(3L)およびEtOH(2L)で洗浄した。沈殿を70℃で高真空下で乾燥させ、約1.5キログラムの3−アミノ−6−[(ジベンジルアミノ)−メチル]−4H−[1,2,4]トリアジン−5−オンを得た。収量は約50%であった。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.47 (s, 1H), 3.63 (s, 1H), 6.68 (br s, 1H), 6.68 (br s, 1H), 7.19-7.23 (m, 2H), 7.27-7.32 (m, 4H), 7.35-7.38 (m, 4H)。
【0050】
実施例2:トランス−4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]カルボニルメチルシクロヘキサンカルボキシレート
【0051】
【化8】

【0052】
5Lの反応装置に、N−ヒドロキシスクシンイミド(132.9g,1.155mol)、トランス−4(メトキシカルボニル)シクロヘキサンカルボン酸(195.5g,1.050mol)およびDCM(2.0L)を添加した。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(241.5g,1.260mol)を10分かけて添加した(添加開始時の温度は15℃であり、添加後この反応液はゆっくり発熱して26℃になった)。EDCを添加し始めたところ反応液が曇った溶液から懸濁液になり、添加が終わったら透明な溶液になった。1.5時間後、この反応液を、HO(3×650mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮し、溶媒をヘキサンで交換した。得られた懸濁液をろ過し、高真空下で室温で乾燥させ、トランス−4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]カルボニルメチルシクロヘキサンカルボキシレートを白色の固体として得た(293.2g,98.6%収量)。1H NMR (400 MHz, CDC13): δ 1.51 (dddd, 2H, J=12.8, 12.8, 12.8, 2.8 Hz), 1.62 (dddd, 2H, J=12.8, 12.8, 12.8, 2.8 Hz), 2.08-2.14 (m, 2H), 2.20-2.24 (m, 2H), 2.34 (tt, 1H, J=11.6, 3.6 Hz), 2.64 (tt, 1H, J=11.6, 3.6 Hz), 2.83 (br s, 4H), 3.68 (s, 3H)。
【0053】
実施例3:トランス−4−[(3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−6−イルメチル)−カルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【0054】
【化9】

【0055】
散布管および熱電対を備えた20Lのジャケット付き反応容器で、3−アミノ−6−[(ジベンジルアミノ)−メチル]−4H−[1,2,4]トリアジン−5−オン(2.50kg,7.78mol)をAcOH(1.19L,21.0mol)に慎重にガス放出を制御するような速度で添加した。続いてHO(12.5L)、さらに10%Pd/C(229g,61.7%水溶液,0.0824mol)を添加した。この反応装置を真空でパージし、窒素で再充填し(2回繰り返した)、続いて真空でパージし、水素ガスで再充填した(2回繰り返した)。この反応液を55℃で加熱し、同時にこの反応液に散布管を介して水素ガスを添加した。HPLCでこの反応液が完了したことがわかったら、反応液を室温に冷却し、セライトのプラグを通過させてろ過した。ろ液を清潔な20Lジャケット付き反応装置に移し、トリエチルアミン(3.04L,21.8mol)およびMeCN(2.5L)を入れた。この反応液を50℃に加熱し、トランス−4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]カルボニルメチルシクロヘキサンカルボキシレート(2.20kg,7.78mol)を添加した。反応が完了したら、この反応液を室温に冷却し、ろ過した。固体を水(5.0L)とMeCN(5.0L)で洗浄し、真空中で40〜50℃で乾燥させ、表題の化合物をオフホワイト色の固体としてを得た(1.52kg,2工程分の収量は63%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.25-1.42 (m, 4H), 1.75-1.78 (m, 2H), 1.88-1.93 (m, 2H), 2.14 (tt, 1H, J = 11.6, 3.6 Hz), 2.27 (tt, 1H, J = 11.2, 3.2 Hz), 3.58 (s, 3H), 4.04 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 6.75 (br s, 2H), 7.85(dd, 1H, J = 5.6, 5.6 Hz), 11.92 (br s, 1H)。
【0056】
実施例4:トランス−4−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの製造
【0057】
【化10】

【0058】
トランス−4−[(3−アミノ−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−6−イルメチル)−カルバモイル]−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(1.65kg,5.31mol)およびMeCN(5.8L)を、添加漏斗、コンデンサーおよび窒素注入口を備えた20Lのジャケット付き反応装置に添加した。続いてこの高粘度の懸濁液にPOCl(1.05L,11.1mol)を20分以内に添加し、この反応液を加熱還流した。LCMSによって完了したことがわかったら、反応液を0℃に冷却した。この反応液に炭酸カリウム(3.08kg,22.3mol)水溶液(6.0L)をpH8になるまで30℃未満の温度が(1時間)維持される速度で添加した。懸濁液をクエンチしたら、懸濁液を室温で20分撹拌し、続いて6℃に冷却した。懸濁液をろ過し、淡褐色の固体を水(7.0L)で洗浄した。固体を真空中で40℃で一晩乾燥させ、表題の化合物を得た(1.47kg,95%収量)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.43 (dddd, 2H, J = 13.2, 13.2, 13.2, 3.2 Hz), 1.61 (dddd, 2H, J = 12.8, 12.8, 12.8, 2.8 Hz), 1.93-2.03 (m, 4H), 2.38 (tt, 1H, J = 11.6, 3.6 Hz), 2.98 (tt, 1H, J = 12.0, 3.6 Hz), 3.61 (s, 3H), 6.23 (br s, 2H), 7.46 (s, 1H), 11.06 (br s, 1H)。
【0059】
実施例5:トランス−4−(2−アミノ−5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【0060】
【化11】

【0061】
20Lのジャケット付き反応装置中でトランス−4−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(2.05kg,7.04mol)をDMF(10.1L)中で懸濁した。この反応液に固形のNBS(1.46kg,8.21mol)を10分かけて添加したところ、21℃〜37℃に発熱した(ジャケットの設定は−15℃とした)。続いてこの反応液を室温で撹拌した。1.5時間後サンプルを採取したところ、HPLCによって変換が完了したことが示された。HO(11.4L)を以下の方法で添加した:反応装置のジャケットを10℃に設定し、結晶化が始まるまで水を添加し(6L)、その後添加をやめて、懸濁液を10分撹拌し、続いて残りの水を一部ずつ添加した。懸濁液をろ過し、固体を水(4L)で洗浄した。赤レンガ色の固体を真空中で50℃で乾燥させ、表題の化合物を得た(2.05kg,79%収量)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ.1.40 (dddd, 2H, J = 12.8, 12.8, 12.8, 3.2 Hz), 1.57 (dddd, 2H, J = 12.8, 12.8, 12.8, 3.2 Hz), 1.91-2.02 (m, 4H), 2.38 (tt, 1H, J = 12.0, 3.2 Hz), 2.97 (tt, 1H, J = 12.0, 3.6 Hz), 3.60 (s, 3H), 6.20 (s, 2H), 10.85 (s, 1H)。
【0062】
実施例6:トランス−4−(5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【0063】
【化12】

【0064】
機械式の撹拌器、熱電対、窒素注入口、添加漏斗、乾燥用チューブおよび冷却槽を備えた50Lの三つ口丸底フラスコに、メチルトランス−4−(2−アミノ−5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボキシレート(1.99kg,5.40mol)およびTHF(36L)を入れた。この反応液を撹拌して黄褐色のスラリーを得て、冷却槽を冷たい水道水で充填した。30分後、この反応液に亜硝酸tert−ブチル(1.43L,10.8mol)を90分かけてゆっくり入れ、この反応混合物の温度を15〜25℃に維持した。この反応液を周囲温度で淡褐色の透明な溶液が形成されるように最低でも18時間かけて撹拌した。この反応が完了するまでHPLCでモニターした。この反応混合物に木炭(120g)を一部ずつ添加し、この反応液を2〜3インチのセライトベッドに通過させてろ過した。この反応混合物を減圧下で25〜30℃で全体積がおよそ6−7Lになるまで濃縮した(THFが濃縮される間に生成物が沈殿し、その結果として高粘度の黄色のスラリーが生じた)。全体積がおよそ6Lになったら、ヘプタン(6L)を添加して、さらに多くの生成物を沈殿させた。このスラリーを0〜−10℃で最低2時間撹拌した。この反応液をろ過し、固体をMTBE(3×3L)で洗浄した。固体を真空中で室温で乾燥させ、トランス−4−(5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(1.57kg,82%収量)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.46 (dddd, 2H, J=12.4, 12.4, 12.4, 2.8 Hz), 1.61 (dddd, 2H, J=12.8, 12.8, 12.8, 3.2 Hz), 1.95-2.03 (m, 4H), 2.40 (tt, 1H, J=12.0, 3.6 Hz), 3.08 (tt, 1H, J=12.0, 3.2 Hz), 3.61 (s, 3H), 7.90 (d, 1H, J=4.0 Hz), 10.85 (d, 1H, J=3.6 Hz)。
【0065】
実施例7:トランス−4−(4−アミノ−5−ブロモ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸
【0066】
【化13】

【0067】
機械式の撹拌器、熱電対、窒素注入口、添加漏斗、乾燥用チューブおよび冷却槽を備えた50Lの三つ口丸底フラスコに、1,2,4−トリアゾール(1.54kg,22.3mol)およびピリジン(6.5L)を入れた。このスラリーを10〜15℃に冷却し、反応温度を40℃未満に維持しながらオキシ塩化リン(679mL,7.42mol)を入れた。この懸濁液を20分撹拌した。トランス−4−(5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(1.32kg,3.71mol)をピリジン(6.5L)に溶解させ、得られた曇った溶液を上記反応液に反応温度を25〜30℃に維持しながら30分かけて入れた。この反応液を反応が完了するまで(約18時間)室温で撹拌し、続いて−15℃に冷却した。続いてこの反応液に、アンモニアの8Mエタノール溶液(7.00L,55.7mol)を反応温度を0℃未満に維持しながら45分かけて入れた。続いてこの反応液を冷却しないで1時間撹拌した。反応が完了したら、この反応液を真空中で濃縮した。続いて残留物をエタノール(13L)中でスラリー化し、10℃に冷却した。この反応液に水(10L)で希釈したNaOH溶液(50%w/w水溶液,3.36L,63.1mol)を、この反応混合物を10〜20℃に維持しながら2〜3時間かけて入れた。この反応液を反応が完了するまで室温で撹拌し、この反応液に水(7.0L)に溶解させたクエン酸(7.13kg,37.1mol)を20℃以下の反応温度が維持されるような速度で添加した。続いてこの懸濁液を室温で12時間撹拌し、続いてろ過した。黄褐色の固体を水(3×2.6L)とエタノール(3×2.6L)で洗浄し、トランス−4−(4−アミノ−5−ブロモ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸(1265g,99%収量)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.44 (dddd, 2H, J = 12.4, 12.4, 12.4, 2.8 Hz), 1.60 (dddd, 2H, J = 14.0, 14.0, 14.0, 4.0 Hz), 1.95-2.02 (m, 4H), 2.27 (tt, 1H, J = 12.0, 3.2 Hz), 3.12 (tt, 1H, J = 12.0, 3.6 Hz), 7.06 (br s, 1H), 7.86 (s, 1H), 8.48 (br s, 1H), 11.2 (br s, 1H)。
【0068】
実施例8:トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸
【0069】
【化14】

【0070】
トランス−4−(4−アミノ−5−ブロモ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸(1.10kg,3.22mol)を水(11L)中で懸濁し、この混合物を窒素ガスで泡立てた。炭酸ナトリウム(1.02kg,9.66mol)を添加し、この混合物を室温で10分撹拌した。この混合物をエタノール(11L)で希釈し、この系を窒素で脱気しながら0.5時間撹拌し続けた。4,4’−(フェニルホスフィニデン)ビス−ベンゼンスルホン酸二カリウム塩の水和物(8.00g,16.1mmol)および酢酸パラジウム(II)(2.00g、8.00mmol)を添加し、続いてこの混合物を60℃に加熱した。7−メトキシ−2−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール(1.32kg,4.83mol)をTHF(3.3L)に溶解させ、これを上記反応液に2時間かけて添加した。続いてこの反応液を60℃でさらに5時間撹拌した。続いてこの反応液をそのまま室温に冷却させた。エタノール(11L)を添加し、懸濁液を−10℃に冷却し、少なくとも1時間撹拌した。固体をろ過し、エタノール(3×1.5L)で洗浄した。続いて固体を水(22L)中に懸濁し、4MのHClを用いてpHをpH5〜6に調節した。続いて得られた懸濁液を最低12時間撹拌し、続いてろ過した。固体を水(3×1.5L)とエタノール(3×1.5L)で洗浄し、真空中で乾燥させ、トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸を黄色の固体として得た(1.00kg,77%収量)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.51 (dddd, 2H, J = 12.0, 12.0, 12.0, 3.2 Hz), 1.74 (dddd, 2H, J = 13.2, 13.2, 13.2, 3.6 Hz), 2.03-2.10 (m, 4H), 2.31 (tt, 1H, J = 12.4, 3.6 Hz), 3.22 (tt, 1H, J = 12.0, 3.2 Hz), 3.93 (s, 3H), 6.65 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.72 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0 Hz), 7.18 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.45 (br s, 1H), 7.93 (s, 1H), 11.34 (br s, 1H), 12.08 (br s, 1H)。
【0071】
実施例9:トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボキシレート2−ヒドロキシ−1,1−ビス−ヒドロキシメチル−エチル−アンモニウム
【0072】
【化15】

【0073】
トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボン酸(1.14kg,2.81mol)をエタノール(11.4L)および水(11.4L)中で懸濁した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(1.03kg,8.50mol)を添加し、この反応液を加熱還流した。この溶液を過熱しながらろ過することによって透明化し、続いてをそのまま室温に冷却し、8時間撹拌した。続いてこの懸濁液を2時間で−10℃に冷却し、続いてろ過した。固体をエタノール(3×2.3L)で洗浄し、真空中で70℃で乾燥させ、トランス−4−[4−アミノ−5−(7−メトキシ−1H−インドール−2−イル)−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル]−シクロヘキサンカルボキシレート2−ヒドロキシ−1,1−ビス−ヒドロキシメチル−エチル−アンモニウムを黄色の固体として得た(1.37kg,93%収量)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.49 (dddd, 2H, J = 12.4, 12.4, 12.4, 3.6 Hz), 1.73 (dddd, 2H, J = 12.4, 12.4, 12.4, 3.6 Hz), 2.02-2.08 (m, 4H), 2.26 (tt, 1H, J = 11.6, 3.2 Hz), 3.20 (tt, 1H, J = 12.4, 2.8 Hz), 3.26 (s, 6H), 3.93 (s, 3H), 6.66 (s, 1H), 6.70 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 6.97 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0 Hz), 7.17 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.90 (s, 1H)。
【0074】
ブルカー(Bruker)またはバリアン(Varian)の装置で1H NMR(400MHzまたは300MHz)および13C NMR(100.6MHz)のスペクトルを周囲温度で内部標準としてTMSまたは残留溶媒ピークを用いて記録した。ラインの位置または多重線はppm(δ)で示し、結合定数(J)は絶対値としてヘルツ(Hz)で示した。1H NMRスペクトルにおける多重度は以下のように略記した:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、quint(五重項)、m(多重項)、mc(中心のある多重項(centered multiplet))、brまたはbroad(ブロード)、AA’BB’。
【0075】
定義および略語
本明細書で用いられる用語「アリール」は、6〜12個の炭素原子の、完全に共役したπ電子系を有する全て炭素からなる単環式、二環式または多環式基を意味し、これらは、任意に置換されていてもよい。アリールの例としては、これらに限定されないが、フェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、3−ニトロフェニル、2−メトキシフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、2−メチル−3−メトキシフェニル、2,4−ジブロモフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、2−クロロナフチル、2,4−ジメトキシフェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニルおよび2−ヨード−4−メチルフェニルが挙げられる。
【0076】
用語「ヘテロアリール」は、5〜12個の環原子を有し、N、OおよびSから選択される1個またはそれより多くの環ヘテロ原子を含み、残りの環原子がCであり、加えて完全に共役したπ電子系を有する、置換または非置換の単環式、二環式または多環式基を意味する。このようなヘテロアリール環の例としては、これらに限定されないが、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルが挙げられる。さらに用語「ヘテロアリール」は、部分的にまたは完全に不飽和の融合した炭素環系(例えばベンゼン環)を有し、ベンゾ融合ヘテロアリールを形成しているヘテロアリール環も含む。例えばベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、インドールなどが挙げられる。さらに用語「ヘテロアリール」は、融合した5−6、5−5、6−6環系も含み、これらは任意に環の連結部に1個の窒素原子を有していてもよい。このようなヘテロアリール環の例としては、これらに限定されないが、ピロロピリミジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、イミダゾ[4,5−b]ピリジン、ピロロ[2,1−f][1,2,4]¬トリアジニルなどが挙げられる。ヘテロアリール基は、妥当な場合、その炭素原子またはヘテロ原子を介してその他の基に結合していてもよい。例えばピロールは、窒素原子で、または、いずれかの炭素原子で連結されていてもよい。
【0077】
用語「C〜C10アルキル」は、分岐鎖アルキル基と直鎖アルキル基との両方を含む。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、イソオクチル、ノニル、デシルなどである。
【0078】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、または、ヨードを意味する。
【0079】
用語「アルコキシ」は、架橋を形成する酸素原子に結合させた分岐鎖末端アルキル基と直鎖末端アルキル基との両方を含む。典型的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0080】
特に他の規定がない限り、用語「C〜C12シクロアルキル」は、3〜12個の炭素を有する単環式、二環式または多環式脂肪族環構造を意味し、これらは任意に、例えば、アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびハロで置換されていてもよく、このようなシクロアルキルとしては、例えばシクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−ヒドロキシシクロペンチル、シクロヘキシル、4−クロロシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0081】
用語「精製」は、反応混合物からの生成物の精製に関して、クロマトグラフィーまたは再結晶を意味する。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される化合物またはそれらの塩の製造方法であって、該方法は、
適切な触媒、適切な酸、適切な溶媒の存在下で、および、適切な反応温度で、3−アミノ−6−((ジベンジルアミノ)メチル)−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オンを水素化すること;
触媒を除去すること;
中間生成物と、トランス−4−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]カルボニルメチルシクロヘキサンカルボキシレートとを適切な塩基の存在下で反応させ、式(I)で示される化合物を提供すること;
を含み、
ここで前記式(I)で示される化合物は少なくとも約1.5kgの規模で得られる、上記方法。
【請求項2】
前記水素化反応の触媒が、炭素担持パラジウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化反応の酸が、酢酸を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化反応の溶媒が、水または酢酸の少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化反応の反応温度が、約30℃〜90℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記塩基が、トリエチルアミン、または、炭酸ナトリウムを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法における式中(I)の全体の収量が、最終的に少なくとも約1.5kgの規模で少なくとも約60%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)で示される化合物を反応スキーム2:
【化2】

に従ってさらに反応させ、ここで該反応は、
(A)式(I)で示される化合物を、適切な溶媒中で適切な量のPOClと反応させて、トランス−4−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを得ること;
(B)(A)から得られた生成物を、適切な溶媒中で、適切な反応温度で、適切な反応時間、N−ブロモスクシンイミドと反応させて、トランス−4−(2−アミノ−5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを得ること;および、
(C)(B)から得られた生成物を、適切な溶媒中で適切な量の亜硝酸tert−ブチルと反応させて、式(II)を得ることである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記(A)におけるPOClの量が、式(I)に対して約1.3〜約2当量である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記(A)の溶媒が、アセトニトリル、1,2−ジエトキシエタン、または、ジメトキシエタンのうち少なくとも1種を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記(A)における収量が少なくとも約95%であり、規模が少なくとも約1.5kgのトランス−4−(2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸のメチルエステル生成物である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記(B)の反応温度が、約−10℃〜40℃である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記(B)における収量が少なくとも約79%であり、少なくとも約2kgの規模のトランス−4−(2−アミノ−5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸のメチルエステル生成物である、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記(C)の溶媒が、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドのうち少なくとも1種を含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記(C)における亜硝酸tert−ブチルの量が、トランス−4−(2−アミノ−5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルに対して約2〜3当量である、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法、。
【請求項16】
前記式(II)化合物が、スキーム2全体の収量が少なくとも約60%で、少なくとも約2kgの規模で得られる、請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
式(II)で示される化合物を反応スキーム3:
【化3】

に従ってさらに反応させ、ここで該反応は、
(D)式(II)で示される化合物を1,2,4−トリアゾールおよびPOClで処理し、得られた中間体化合物をアンモニアと反応させ、続いて塩基を用いて加水分解して、トランス−4−(4−アミノ−5−ブロモ−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−7−イル)−シクロヘキサンカルボン酸を得ること;および、
(E)(D)から得られた生成物を、適切なリガンド、適切な触媒および適切な塩基の存在下で、さらに適切な溶媒中でR−ボロン酸/エステルと反応させて、式(III)で示される化合物を得ること;
であり、ここでRは、任意に置換されていてもよいアリール、または、任意に置換されていてもよいヘテロアリール基である、請求項8〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アンモニアが、アルコール溶媒中に存在している、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記R−ボロン酸/エステルが、7−メトキシ−2−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドールである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記(D)の収量が約90%であり、規模が少なくとも約1.25kgの(D)生成物である、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記(E)のリガンドが、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩、または、4,4’−(フェニルホスフィニデン)ビス−ベンゼンスルホン酸二カリウム塩の水和物である、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記(E)の触媒が、酢酸パラジウム(II)を含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記(E)の溶媒が、水、エタノールおよびテトラヒドロフランの混合物を含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記(E)の塩基が、NaCOを含む、請求項17〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記(E)のR−ボロン酸/エステルが、7−メトキシ−2−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドールであり;
前記(E)のリガンドが、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩、または、4,4’−(フェニルホスフィニデン)ビス−ベンゼンスルホン酸二カリウム塩の水和物を含み;
前記(E)の触媒が、酢酸パラジウム(II)を含み;および、
前記(E)の塩基が、NaCOを含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
最終産物が少なくとも約10kgの規模で得られ、スキーム3の全体の収量が少なくとも約72%である、請求項17〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記生成物をさらにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと反応させ、トロメタミン塩を得る、請求項25または26に記載の方法。

【公表番号】特表2012−532882(P2012−532882A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519707(P2012−519707)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041278
【国際公開番号】WO2011/005909
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511205552)オーエスアイ・ファーマシューティカルズ,エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】