説明

置敷化粧床材

【課題】表面化粧材と、表面化粧材を保持する床材枠体との分解、組立てが容易であるとともに、歩行等により、ガタつきや位置ずれを生じない置敷表面化粧材を提供する。
【解決手段】表面化粧材2の下面に収容溝21を設け、かつ、収容溝21の側壁面に係合爪収容凹部22を設ける一方、枠体本体部材4の受部41の下面に枢支軸46を突設させ、この突設された枢支軸46を中心に連結部材5の基板部51を回動可能に枢支するとともに、基板部51の上面に設けられた係合爪52を受部41に設けられた孔47bから受部41上方に突出させ、連結部材5を表面化粧材非固定位置にした状態で、表面化粧材2を収容溝21内に係合爪52の爪本体部52aが入り込むように受部41に受けさせたのち、連結部材5を回動させて爪本体部52aの受部対向面52cを係合爪収容凹部22内壁面に圧接状態で係合させることによって表面化粧材2を床材枠体3に連結固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置敷化粧床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から図10に示すような置敷化粧床材100や図11に示すような置敷化粧床材110を建築物のベランダ床や地面等の敷設面に敷き並べて図12に示すような化粧床Aを形成できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、上記従来の置敷化粧床材100や置敷化粧床材110は、平面視略正方形をした9枚の表面化粧材101あるいは平面視略長方形をした3枚の表面化粧材102を床材枠体103の受部に受けさせるとともに、床材枠体103に接着、嵌合、ねじ止めなどによって固定することによって組み立て一体化されていて、床材枠体103の隣接する2辺に沿って所定ピッチで設けられた雌型嵌合部103aに、床材枠体103の他の2辺に沿って雌型嵌合部103aと同じピッチで設けられた雄型嵌合部103bを、嵌合させて置敷化粧床材100あるいは置敷化粧床材110をつぎつぎに連結して建築物のベランダ床や地面等の敷設面に敷き並べられるようになっている。
【0003】
しかし、図10のように、表面化粧材101に方向性が無い置敷化粧床材100の場合、置敷方向による問題は発生しないが、図11に示すように、表面化粧材102が数枚で構成されて方向性のある模様を構成する場合や、図示していないが、表面化粧材が1枚で構成されていても方向性のある模様等がある場合、隣接する置敷化粧床材110の表面化粧材101の方向を変えて連結すると、図12に示すように、表面化粧材110の方向が交互に組み合わさった化粧床Aを構築することができるが、表面化粧材110の方向が一部のみ変わったいろいろな意匠の化粧床を形成することができない。
【0004】
しかも、図11に示す置敷化粧床材100を用いて図13に示すような化粧床Bを構築した場合、得られた化粧床Bは、図14に示すように、端縁に雄型嵌合部103bの部分と雌型嵌合部103aの部分とが交互に並んだものとなる。したがって、そのままでは非常に見栄えが悪いものとなる。また、通常、化粧床は、建物の壁面との間に隙間が生じる場合などは、置敷化粧床材110と連結構造を有する端部床材を化粧床と建物の立ち上がり壁との隙間に配置させて見栄えのよい置敷状態とすることができるが、上記化粧床Bのように、端縁に雄型嵌合部103bの部分と雌型嵌合部103aの部分とが交互に並ぶ場合、1種類の端部床材では対応できず、コスト高になってしまう。
したがって、ランダムに表面化粧材101の方向が変わった化粧床を形成するには、図15に示すように、表面化粧材110と床材枠体103の組立時の組合せ方向が互いに直角方向に異なる置敷化粧床材120を、別途用意しておく必要がある。
【0005】
また、表面化粧材102と床材枠体103が接着により固着一体化されている置敷化粧床材110では、敷設現場において、表面化粧材102と床材枠体103を分解し、表面化粧材102と床材枠体103の組合せ方向を変えて組立て、置敷化粧床材120にすることは、部材破損の恐れを伴い、極めて困難であり、ねじ止めなどによって一体化されている場合は工具や部材の加工を必要とする。
また、表面化粧材の下面に設けられた係合凹部に床材枠体の受面に設けられた嵌合凸部を圧入嵌合して表面化粧材と床材枠体とが一体化されている場合には、分解、組立てに相当な力を必要とし、この場合も部材破損の恐れを伴い、容易に作業を行うことは困難である。
【0006】
そこで、上記係合凹部と嵌合凸部との間にある程度の隙間を持たせれば、敷設現場において容易に、表面化粧材と床材枠体を分解し、方向を組み換えて、例えば、置敷化粧床材110を、置敷化粧床材120に容易に変更することが可能であるが、上記のように、係合凹部と嵌合凸部との間にある程度の隙間を持たせた場合、この隙間によって置敷化粧床材110(120)上を歩行した時に、ガタつきや表面化粧材102の位置ずれを生じやすく、部材の磨耗、破損、意図しない分解等の不具合が発生しやすい欠点がある。
【0007】
さらに、床材枠体側面より表面化粧材を差込み保持する構造の、嵌合部にある程度の隙間を持たせた置敷化粧床材の端面では、上記の不具合に加え、例えば、嵌合するための溝や凹形状などの表面化粧材端面の形状、および床材枠体の嵌合部などが見えてしまうので、見栄えが良くない。
【0008】
【特許文献1】特開平11‐343722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて、置敷化粧床材の表面化粧材と、表面化粧材を保持する床材枠体との分解、組立てが容易であるとともに、敷設された置敷化粧床材が歩行等により、ガタつきや位置ずれを生じない、さらに端面の見栄えが良い置敷表面化粧材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の置敷化粧床材(以下、「請求項1の置敷化粧床材」と記す)は、表面化粧材と、この表面化粧材を下方から受けて支持する床材枠体とを備える置敷化粧床材において、前記床材枠体が表面化粧材を下方から受ける受部を有する枠体本体部材と、この枠体本体部材の上下方向に平行な枢支軸を備え、前記枠体本体部材に回動自在に枢支される基板部と、この基板部の上面に枢支軸を中心にして放射状に設けられた複数の係合爪とを有し、前記受部の下面側からの操作によって前記枢支軸を中心に回動して表面化粧材固定位置と、表面化粧材非固定位置とを選択可能な前記表面化粧材の連結部材とを備え、前記表面化粧材が、前記連結部材を表面化粧材非固定位置にしたとき、連結部材の少なくとも係合爪の一部が内部に収容可能な係合爪収容凹部を下面に有し、係合爪収容凹部内に係合爪部分が収容された状態で前記枢支軸を中心にして前記連結部材を前記表面化粧材固定位置まで回動させたとき、係合爪の少なくとも受部対向面の一部が内壁面に圧接状態に係合して前記床材枠体に表面化粧材を固定し、前記表面化粧材固定位置から逆方向に回動させたとき、係合爪の係合が解除される係合爪係合凹部が前記係合爪収容凹部の側壁面に設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の置敷化粧床材(以下、「請求項2の置敷化粧床材」と記す)は、請求項1の置敷化粧床材において、枠体本体部材が、表面化粧材の受部の下面にボス状の枢支軸が突設されるとともに、前記受部にこの枢支軸形成部を中心にして放射状に設けられたリブによって仕切られた上下に貫通する複数の孔を備え、連結部材が、基板部に前記枢支軸が嵌り込む枢支孔が穿設されていて、この枢支孔に前記枢支軸が嵌り込むとともに、基板部の上面から突出するように設けられた係合爪が前記孔から受部の上側に突出した状態に受部の下面側から枠体本体部材に装着されることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項3に記載の置敷化粧床材(以下、「請求項3の置敷化粧床材」と記す)は、請求項1または請求項2の置敷化粧床材において、1つの枠体本体部材に複数の連結部材を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項4に記載の置敷化粧床材(以下、「請求項4の置敷化粧床材」と記す)は、請求項1〜請求項3のいずれかの置敷化粧床材において、係合爪収容凹部が表面化粧材の側面で開口する溝状収容凹部であって、係合爪係合凹部が前記溝状収容凹部の両側壁面の全長に亘って溝状に形成されているとともに、枠体本体部材が前記受部に受けられた表面化粧材の前記溝状収容凹部を隠蔽する立ち上がり壁を少なくとも備えていることを特徴としている。
【0014】
なお、本発明において、連結部材の表面化粧材非固定位置及び表面化粧材固定位置は、連結される表面化粧材の係合爪収容凹部の形状や配置や表面化粧材の向きによって決定され、同じ床材枠体であっても、表面化粧材の種類が変更されたり、表面化粧材の向きが変更されたりすることによって変わる。
【0015】
本発明において、表面化粧材の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやその他の熱可塑性樹脂等の合成樹脂、タイル、木質材料および金属材料等が挙げられる。
床材枠体の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやその他の熱可塑性樹脂等の合成樹脂、木質材料および金属材料等が挙げられ、合成樹脂製が好ましいが、枠体本体部材と連結部材とは材質が異なっていても構わない。なお、連結部材は、強度的なことからエンジニアリングプラスチックや金属材料であってもよい。
【0016】
請求項2の置敷化粧床材において、枢支軸の数及び位置は、特に限定されないが、複数設けた場合、全ての枢支軸に連結部材を枢支する必要はなく、必要に応じて選択された枢支軸に連結部材を枢支するようにしても構わない。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、請求項1の置敷化粧床材は、表面化粧材と、この表面化粧材を下方から受けて支持する床材枠体とを備える置敷化粧床材において、前記床材枠体が表面化粧材を下方から受ける受部を有する枠体本体部材と、この枠体本体部材の上下方向に平行な枢支軸を備え、前記枠体本体部材に回動自在に枢支される基板部と、この基板部の上面に枢支軸を中心にして放射状に設けられた複数の係合爪とを有し、前記受部の下面側からの操作によって前記枢支軸を中心に回動して表面化粧材固定位置と、表面化粧材非固定位置とを選択可能な前記表面化粧材の連結部材とを備え、前記表面化粧材が、前記連結部材を表面化粧材非固定位置にしたとき、連結部材の少なくとも係合爪の一部が内部に収容可能な係合爪収容凹部を下面に有し、係合爪収容凹部内に係合爪部分が収容された状態で前記枢支軸を中心にして前記連結部材を前記表面化粧材固定位置まで回動させたとき、係合爪の少なくとも受部対向面の一部が内壁面に圧接状態に係合して前記床材枠体に表面化粧材を固定し、前記表面化粧材固定位置から逆方向に回動させたとき、係合爪の係合が解除される係合爪係合凹部が前記係合爪収容凹部の側壁面に設けられているので、係合爪が表面化粧材固定位置にある連結部材を受部の下面側から操作して、係合爪の係合爪係合凹部への嵌合が解除されるように、表面化粧材非固定位置まで回動させれば、表面化粧材を床材枠体から容易に取り外すことができる。また、表面化粧材非固定位置に係合爪がある状態で、係合爪収容凹部に係合爪が収容されるように受部の上方から表面化粧材を下面が受部に受けられるように受部上に載置し、係合爪が係合爪係合凹部内に入り込むように連結部材を回動させることによって、係止爪の受部対向面の一部が係合爪係合凹部の内壁面に圧接され、表面化粧材の下面が受面に圧接された状態で床材枠体に固定される。
すなわち、表面化粧材を容易に床材枠体に着脱でき、敷設現場であっても、容易に表面化粧材を床材枠体から取外し、表面化粧材と床材枠体の組合せ方向を変更して組立て直すことができる。このことにより、表面化粧材が数枚で構成されていて方向性のある模様を構成する場合や、1枚で構成されていても方向性のある模様等がある場合など、表面化粧材の方向が互いに直角方向に異なる置敷化粧床材を部分的に組合せて敷設することが容易にできる。
したがって、表面化粧材が数枚で構成されていて方向性のある模様を構成する場合や、1枚で構成されていても方向性のある模様等がある場合などで、表面化粧材の方向を床材枠体に対して直角に変えた置敷化粧床材をあらかじめ用意しなくてもよくなり、コストダウンを図ることができる。
【0018】
また、連結部材を回動させることで、表面化粧材と床材枠体を強固に連結し、組立てることができるので、置敷化粧床材上歩行時の、ガタつきや表面化粧材の位置ずれを防止し、部材接合部の磨耗、破損、意図しない分解等の不具合を発生しにくくできる。
【0019】
請求項2の置敷化粧床材は、枠体本体部材が、表面化粧材の受部の下面にボス状の枢支軸が突設されるとともに、前記受部にこの枢支軸形成部を中心にして放射状に設けられたリブによって仕切られた上下に貫通する複数の孔を備え、連結部材が、基板部に前記枢支軸が嵌り込む枢支孔が穿設されていて、この枢支孔に前記枢支軸が嵌り込むとともに、基板部の上面から突出するように設けられた係合爪が前記孔から受部の上側に突出した状態に受部の下面側から枠体本体部材に装着されるので、連結部材が枠体本体部材に容易に着脱できるとともに、係合爪が係合爪係合凹部へ係合することによって、枠体本体部材からの離脱が防止され、枠体本体部材に連結部材の支持金具等を設ける必要がなく、構造が簡素化できる。
【0020】
請求項3の置敷化粧床材は、1つの枠体本体部材に複数の連結部材を備えているので、
例えば、受部全体とほぼ同じ大きさの表面化粧材1枚のみを枠材に連結固定した置敷化粧床材や連結部材の数と同数の小さい表面化粧材を連結固定した置敷化粧床材、あるいは、一部の表面化粧材のみを変更したり、方向を変えたりすることができる。
すなわち、1つの枠体本体部材によっていろいろなバリエーションの置敷化粧床材を容易に作製することができ、コストダウンを図ることができる。
【0021】
請求項4の置敷化粧床材は、係合爪収容凹部が表面化粧材の側面で開口する溝状収容凹部であって、係合爪係合凹部が前記溝状収容凹部の両側壁面の全長に亘って溝状に形成されているので、表面化粧材を押出成形や削り出し等によって容易に製造でき、低コスト化できる。しかも、枠体本体部材が受部に受けられた表面化粧材の溝状収容凹部を隠蔽する立ち上がり壁を少なくとも備えているので、外側から溝状収容凹部が見えず、見栄えのよいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明にかかる置敷化粧床材の1つの実施の形態をあらわしている。
【0023】
図1に示すように、置敷化粧床材1は、3枚の表面化粧材2と床材枠体3とを備えている。
3枚の表面化粧材2は、すべて同一形状、同一寸法の長方形の板状材で構成され、図2〜図4に示すように、表面化粧材2の下面側、すなわち、後述する枠体本体部材4の受部41に接する面側に、後述する係合爪52が収容可能な表面化粧材2の長手方向両端で開放された係合爪収容凹部としての収容溝21を備えている。
収容溝21は、その両側壁面の全長に亘って設けられた溝状をした係合爪係合凹部22を備えている。
【0024】
床材枠体3は、枠体本体部材4と、9つの連結部材5とを備えている。
枠体本体部材4は、受部41と、立ち上がり壁42と、複数の雌型嵌合部43と、複数の雄型嵌合部44と、複数の脚部45と、9つの枢支軸46とを備えている。
【0025】
受部41は、外形がほぼ正方形をしていて、9つの連結部材取付部47を備えている。
各連結部材取付部47は、後述する枢支軸46を中心にして十字状に放射状に延びるリブ47aによって仕切られた略四角形の4つの孔47bを備えている。
【0026】
立ち上がり壁42は、受部41の周縁から上方に立ち上がり、その高さが受部41に載置された表面化粧材2の収容溝21の深さと略同じか高くなっている。
雌型嵌合部43は、受部41の隣接する2つの辺に沿って外側に延出するように、等ピッチで設けられている。
【0027】
雄型嵌合部44は、受部41の残りの2つの辺に沿って受部下面から下方に延出するように設けられ、雌型嵌合部43と同じピッチで設けられている。
脚部45は、受部41の下面から延出するように設けられている。
【0028】
枢支軸46は、受部41の各連結部材取付部47の中央部下面から下方に円筒形のボス状に延出するように設けられ、その延出長さ(高さ方向寸法)は脚部45と略同じになっている。
連結部材5は、図5及び図6に示すように、基板部51と、2つの係合爪52とを備えている。
基板部51は、円盤状をしていて、中央に、枢支軸46の外径と略同じ内径をした枢支孔51aが穿設されている。
【0029】
2つの係合爪52は、爪本体部52aと、支持壁部52bとをそれぞれ備え、枢支孔51aの中心軸を中心とする対称位置に設けられている。
支持壁部52bは、基板部51の周縁部から受部41の厚み分以上の高さで立ち上がるように設けられている。
【0030】
爪本体部52aは、支持壁部52bの先端から延出し、支持壁部52b側から離れるに伴って基板部51との間の溝幅Wが徐々に大きくなるように形成されている。
すなわち、爪本体部52aは、溝幅Wが、爪本体部52aの先端側が受部41の厚みと、表面化粧材2の下面から係合爪係合凹部22の壁面までの厚みとの合計厚みより広く、支持壁部52b側が受部41の厚みと、表面化粧材2の下面から係合爪係合凹部22の壁面までの厚みとの合計厚みより狭くなるように、受部対向面52cが勾配面となっている。
【0031】
この置敷化粧床材1は、上記のようになっており、以下のようにして表面化粧材2が床材枠体3に連結固定される。
すなわち、図3に示すように、係合爪52を孔47bから受部41の上側に突出させるように、枠体本体部材4の各枢支軸46に基板部51の枢支孔51aを挿入し、9つの連結部材5をそれぞれ枢支軸46周りに回動可能にセットする。
【0032】
そして、係合爪52が表面化粧材非固定位置、すなわち、2つの係合爪52が固定しようとする表面化粧材2の収容溝21の長手方向に並ぶ位置にした状態に各連結部材5を位置合わせした状態で、3つの連結部材5の係合爪52が1つの表面化粧材2の収容溝21内に収容されるように表面化粧材2の下面を受部41に受けさせたのち、3つの連結部材5の基板部51をそれぞれ手で持ち、受部41の下面側から連結部材5を係合爪52がその支持壁部52b側まで係合爪係合凹部22内に挿入されるまで受部下面側から見て反時計回り(図3の矢印方向)に回動させる。すなわち、係合爪52の爪本体部52aがその支持壁部52b側まで係合爪係合凹部22内に挿入されると、爪本体部52aと基板部51と間の溝幅Wが、爪本体部52aがその支持壁部52b側で、支持壁部52b側で受部41の厚みと、表面化粧材2の下面から係合爪係合凹部22の壁面までの厚みとの合計厚みより狭くなっているので、爪本体部52aの受部対向面52cが係合爪係合凹部22の内壁面に圧接され、この圧接力によって、表面化粧材2の下面が受部41に押圧されて、表面化粧材2がずれ動かない状態にしっかりと床材枠体3に連結固定される。
また、この連結状態では、受部41の周縁に立ち上がり壁42が設けられているので、表面化粧材2の収容溝21の開放端がこの立ち上がり壁42によって隠蔽され、収容溝21及び連結部材5が外部から見えず、見栄えのよい置敷化粧床材1とすることができる。
このようにして得られた置敷化粧床材1は、従来と同様にして雌型嵌合部43と、雄型嵌合部44とを嵌合させながらつぎつぎに連結すれば、図12に示す化粧床Aと同様の意匠の化粧床を構築できる。
【0033】
一方、この連結状態にある連結部材5を受部41下方から基板部51を持ち、枢支軸46を中心に時計回り(図2の矢印方向)に連結部材5を表面化粧材非連結位置まで回動させると、爪本体部52aの係合爪係合凹部22への係合が解除され、表面化粧材2を容易に取り外すことができる。
そして、図7に示すように、表面化粧材2の方向が異なる置敷化粧床材1aが必要な場合は、施工現場等で上記置敷化粧床材1の3つの表面化粧材2を、上記のようにして、床材枠体3から取り外したのち、3つの表面化粧材2を置敷化粧床材1と直交するように配置した状態で、置敷化粧床材1と同様にして連結部材5により床材枠体3に連結固定することによって置敷化粧床材1aとすることができる。
したがって、置敷化粧床材1aを予め別途用意する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0034】
さらに、表面化粧材2を容易に取外し、交換できる構造であるので、例えば、図1で示す置敷化粧床材1の3枚構成の表面化粧材2のうち、図8で示すように、2枚の表面化粧材2を、大きさの違う2枚の表面化粧材2aおよび2枚の表面化粧材2bに交換し、それぞれの配置や床材枠体3に対する方向を変更して組み立てた置敷化粧床材1bとすることもできる。
また、このように、床材枠体3に備えた枢支軸46の数量以内であれば、構成される表面化粧材の1枚の大きさや向き、枚数の組合せを変更することができるので、図9のように、部分的に表面化粧材構成の異なる置敷化粧床材1bを配置して連結し、敷設して意匠感のことなる化粧床Cを施工現場で容易に構築することができる。
【0035】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、置敷化粧床材がほぼ正方形であったが、長方形、三角形や五角形以上の多角形をしていても構わない。また、三角形や五角形以上の多角形をしたものの場合、枠体本体部材の受部が三角形や五角形以上の多角形をしているだけでなく、表面化粧床材も三角形や五角形以上の多角形をしたものを用いるようにしても構わない。
【0036】
上記の実施の形態では、連結部材の基板部が、円盤形状であったが、本発明の機能を有していれば、基板部が多角形や、外周に凹凸を備えた形状、円盤の一部を削除した形状、円盤に孔が開いた形状などをしていてもよい。
また、上記の実施の形態では、連結部材は反時計方向に回動させることによって、爪本体部が係合爪係合凹部に係合されるようになっていたが、時計方向でもよい。
【0037】
上記の実施の形態では、枢支軸が、等距離で配列されていたが、等距離でなくてもよい。
また、上記の実施の形態では、全ての枢支軸に連結部材が枢支されるようになっていたが、間欠的に枢支させるようにしてもよいし、表面化粧材の種類や配置によっては、連結部材が枢支される箇所を限定させるようにしてもよい。
【0038】
上記の実施の形態では、係合爪収容凹部の両端が開口した溝状に形成されていたが、係合爪収容凹部は、両端が開口されていなくても構わないし、係合爪収容凹部が枢支軸周りに放射状に複数設けられていても構わない。また、係合爪収容凹部が表面化粧材の側面で開口していない場合、立ち上がり壁部は無くても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかる置敷化粧床材の1つの実施の形態であって、その平面図である。
【図2】図1の置敷化粧床材を下面より見た部分平面図である。
【図3】図1の置敷化粧床材の連結部材を表面化粧材非連結位置にした状態を下面より見た部分平面図である。
【図4】図2のX−X線断面図である。
【図5】連結部材を上面より見た平面図である。
【図6】図5の連結部材の側面図である。
【図7】図1の置敷化粧床材の表面化粧材の方向を変えた状態をあらわす平面図である。
【図8】表面化粧材の構成を変更した置敷化粧床材の1例をあらわす平面図である。
【図9】表面化粧材の構成を変更した置敷化粧床材を組み合わせた化粧床の1例をあらわす平面図である。
【図10】従来の置敷化粧床材の連結状態の1例をあらわしている斜視図である。
【図11】従来の置敷化粧床材の他の例の平面図である。
【図12】図11の置敷化粧床材を敷き並べた化粧床の1例をあらわす平面図である。
【図13】図11の置敷化粧床材を敷き並べた化粧床の他の例をあらわす平面図である。
【図14】図13の化粧床の端部の雌型嵌合部と雄型嵌合部の配置を説明する平面図である。
【図15】図11と表面化粧材方向が直角の置敷化粧床材を上面より見た平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1,1a,1b 置敷化粧床材
2,2a,2b 表面化粧材
21 収容溝(係合爪収容凹部)
22 係合爪係合凹部
3 床材枠体
4 枠体本体部材
41 受部
42 立ち上がり壁
43 雌型嵌合部
44 雄型嵌合部
45 脚部
46 枢支軸
47 連結部材取付部
47a リブ
47b 孔
5 連結部材
51 基板部
51a 枢支孔
52 係合爪
52a 爪本体部
52b 支持壁部
52c 受部対向面
100,110,120 置敷化粧床材
101,102 表面化粧材
103 床材枠体
103a 雌型嵌合部
103b 雄型嵌合部
A,B,C 化粧床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面化粧材と、この表面化粧材を下方から受けて支持する床材枠体とを備える置敷化粧床材において、
前記床材枠体が表面化粧材を下方から受ける受部を有する枠体本体部材と、
この枠体本体部材の上下方向に平行な枢支軸を備え、前記枠体本体部材に回動自在に枢支される基板部と、この基板部の上面に枢支軸を中心にして放射状に設けられた複数の係合爪とを有し、前記受部の下面側からの操作によって前記枢支軸を中心に回動して表面化粧材固定位置と、表面化粧材非固定位置とを選択可能な前記表面化粧材の連結部材とを備え、
前記表面化粧材が、前記連結部材を表面化粧材非固定位置にしたとき、連結部材の少なくとも係合爪の一部が内部に収容可能な係合爪収容凹部を下面に有し、係合爪収容凹部内に係合爪部分が収容された状態で前記枢支軸を中心にして前記連結部材を前記表面化粧材固定位置まで回動させたとき、係合爪の少なくとも受部対向面の一部が内壁面に圧接状態に係合して前記床材枠体に表面化粧材を固定し、前記表面化粧材固定位置から逆方向に回動させたとき、係合爪の係合が解除される係合爪係合凹部が前記係合爪収容凹部の側壁面に設けられていることを特徴とする置敷化粧床材。
【請求項2】
枠体本体部材が、表面化粧材の受部の下面にボス状の枢支軸が突設されるとともに、前記受部にこの枢支軸形成部を中心にして放射状に設けられたリブによって仕切られた上下に貫通する複数の孔を備え、
連結部材が、基板部に前記枢支軸が嵌り込む枢支孔が穿設されていて、この枢支孔に前記枢支軸が嵌り込むとともに、基板部の上面から突出するように設けられた係合爪が前記孔から受部の上側に突出した状態に受部の下面側から枠体本体部材に装着される請求項1に記載の置敷化粧床材。
【請求項3】
1つの枠体本体部材に複数の連結部材を備えている請求項1または請求項2に記載の置敷化粧床材。
【請求項4】
係合爪収容凹部が表面化粧材の側面で開口する溝状収容凹部であって、係合爪係合凹部が前記溝状収容凹部の両側壁面の全長に亘って溝状に形成されているとともに、枠体本体部材が前記受部に受けられた表面化粧材の前記溝状収容凹部を隠蔽する立ち上がり壁を少なくとも備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の置敷化粧床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−228363(P2009−228363A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77508(P2008−77508)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】