説明

美容分析および美容治療診断のシステムおよび方法

【課題】被験者の美容分析を実施するために、方法およびシステムを提供する。【解決手段】被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを複数の定義された各身体部分の加重データに変換する。この加重データを分析して美容分析データを生成する。この美容分析データには、被験者の見た目年齢を含めることができる。そこで、美容分析データは美容外科医、美容治療者または被験者自身などのユーザーに提供される。システムおよび方法は、美容分析データに基づいて被験者の治療診断を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の特徴の美容分析に関する。本発明の実施形態の適用例が、ヒト皮膚の見た目年齢を分析するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトの見た目の老化をできるだけ抑えるために、美容外科医および美容師が、皺やしみなど年齢または健康によって変化するヒト皮膚に対して美容治療を実施することが知られている。
【0003】
美容治療の見た目の効果を示すために、「治療前」および「治療後」の画像を用いることが知られている。しかし、「治療前」および「治療後」の画像の差を定量化するのは困難である。このように「治療前」と「治療後」を示そうとすれば、誤解を招くこともあるため、美容治療業界および監督機関内には、「治療前」および「治療後」の画像を用いることに否定的な見方もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
美容治療業界では、ヒトの見た目の特徴を定量化できる分析を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様により、被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを受信するように構成される入力インターフェースと、前記複数の定義された各身体部分の前記評価データを各身体部分と相関をなす加重データに変換し、当該加重データから美容分析データを生成するように構成される美容分析モジュールと、前記美容分析データを出力するように構成される出力インターフェースを含む美容分析システムを提供する。
【0006】
本発明の別の態様により、被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを受信するステップと、前記複数の定義された各身体部分の前記評価データを各身体部分と相関をなす加重データに変換するステップと、前記加重データから美容分析データを生成するステップと、前記美容分析データを出力するステップとを含む美容分析方法を提供する。
【0007】
この美容分析データには、被験者の主観による全身の見た目年齢値を含めることができる。
【0008】
一実施形態では、各身体部分の評価データが、当該身体部分の見た目年齢に基づいている。
【0009】
一実施形態では、評価データの変換は、評価データから各身体部分の老化評価値を求めることと、各老化評価値に、主観による全身の見た目年齢値への各身体部分の老化評価の寄与と相関をなす当該身体部分の重みを適用して、当該身体部分の加重データを求めることが含まれる。
【0010】
身体部分に適用された重みは、被験者の性別に基づいて付けることができる。さらに、各身体部分に適用された重みは、被験者の民族性に基づいて付けることができる。
【0011】
生成した美容分析データによって、主観による全身の見た目年齢値に大きな影響を及ぼす1または複数の身体部分を特定することができる。主観による全身の見た目年齢値に大きな影響を及ぼす身体部分は、被験者の実年齢と主観による全身の見た目年齢値との比較に基づいて特定することができる。
【0012】
生成した美容分析データには、主観による全身の見た目年齢値への相対寄与に基づいて身体部分を順位付けするデータを含めることができる。
【0013】
システムの一実施形態には、1または複数の各身体部分に対して推奨治療を決定し、推奨治療データを出力するように構成される治療診断モジュールがさらに含まれる。この任意の基準に基づいて、推奨治療を順位付けすることができる。任意の基準は、ユーザーが特定してもよい。
【0014】
また、身体部分の影響に基づいて推奨治療を順位付けしてもよく、当該治療は身体部分の主観による全身の見た目年齢に基づいて推奨される。
【0015】
さらに、治療診断モジュールは、被験者の治療計画を策定するように構成することができる。治療計画は、選択された基準に基づいて策定することができる。たとえば、この基準には、1または複数の被験者に設定可能な外科的基準および非外科的基準、補完治療分類、身体部分治療分類ならびに特定の治療期間または回復期間を含めてもよい。
【0016】
一実施形態では、主観調査から主観評価データを得る。たとえば、この調査は、自己評価として被験者が実施してもよく、治療者または美容外科医の診療中に被験者が実施してもよい。システムの一実施形態では、入力インターフェースは被験者が実施した調査の結果から評価データを受信する。
【0017】
実施形態には本発明のあらゆる態様が組み込まれ、本明細書では添付の図面を参照してその一例に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】美容分析システムの一実施形態のブロック図である。
【図2】美容分析方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態の機能ブロック図である。
【図4】身体部分の特徴を評価するのに用いられる画像例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態によって、被験者の美容分析を実施する方法およびシステムを提供する。被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを受信する。評価データは、複数の定義された各身体部分の加重データに変換される。この加重データを分析して美容分析データを生成する。この美容分析データには、被験者の見た目年齢を含めることができる。そこで、美容分析データは美容外科医、美容治療者または被験者自身などのユーザーに提供される。
【0020】
美容分析システムは、美容分析モジュール110、入力インターフェース120および出力インターフェース130を備える。入力インターフェース120は、被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを受信するように構成される。美容分析モジュール110は、複数の定義された各身体部分の評価データを各身体部分と相関をなす加重データに変換するように構成される。身体部分の評価年齢に、観察される特徴に基づき、被験者の全身の見た目年齢への評価年齢の寄与を組み合わせて各身体部分の重みを結び付ける。
【0021】
次に、美容分析モジュール110は、加重データを分析して、美容分析データを生成する。次に、美容分析データは、出力インターフェース130によって出力される。いくつかの実施形態では、入力インターフェース120および出力インターフェース130は、入出力混合インターフェース125として備えてもよい。
【0022】
各身体部分が観察可能な特徴と相関をなすように、ヒト身体を複数の身体部分に分割することができ、身体部分の大きさは異なっていてもよい。観察可能な特徴と相関する特質によって身体部分を定義することができる。たとえば、目のくまとして知られるたるみやしみにかかわる眼の下の顔面部分を身体部分に定義してもよい。この部分は、眼窩下として美容外科医や治療者に知られている。この部分の典型的な老化の問題として、眼の下の皺および下眼瞼の脂肪体がある。この眼窩下の部分は、「カラスの足」として知られる目尻の皺にかかわる目尻の周辺部分から独立して定義して評価され、さらに上眼瞼は身体部分として定義され、眼の下の部分および目尻の部分から独立して評価することができる。
【0023】
各身体部分は、身体部分の観察可能な特徴に基づいて評価される。各身体部分に1または複数の特徴を結び付けてもよい。この評価は、被験者や美容外科医、美容師または治療者などの第三者が身体部分を直接観察して実施することができる。たとえば、被験者の自己評価もしくは治療者または美容外科医などの診察時の被験者の観察による自己評価を加味した調査を用いて評価データを収集してもよい。また、この評価はビデオによる自動評価技術を用いて実施してもよい。各身体部分に特有な見た目の老化の兆候に基づいて各身体部分を評価する。たとえば、表1に示す評価システムを用いてもよい。
【0024】
【表1】

【0025】
皺の常在性もしくは深さまたはしみなどの老化の兆候の度合いによって、各身体部分の評価を区別する。老化の兆候を概観する各身体部分の指針および/または評価を区別する指標基準を用いて評価を分けてもよい。たとえば、目尻の皺に関する「若い」と「軽度」の老化の差は、ほほ笑むなどの動きによって皺が現れるかどうかに基づいて区別することができる。「重度」の老化と「きわめて重度」の老化の差は、常在する目尻の皺の深さや数に基づいて区別することができる。
【0026】
別の実施形態では、さまざまに順位付けした各身体部分の外観の画像例を提供してもよい。たとえば、各身体部分に対してさまざまなレベルの老化を表す一連の画像を提供してもよく、ユーザーは被験者の身体部分の観察可能な特徴に最も近い画像を選択してもよい。そのような画像は、インターネットウェブサイトで出版されるデジタル画像ファイルやCDなどのコンピュータ可読媒体などの電子的形態や、書籍またはポスターなどの印刷された紙媒体形式で提供してもよい。図4は鼻唇溝部分に焦点を合わせた一連の画像を示す。画像は順に25歳410、35歳420、45歳430、55歳440および65歳450の鼻唇溝部分の実例を示し、各画像の説明415、425、435、445および455を設けてもよい。この説明には推奨治療を含めてもよい。
【0027】
画像は、典型例となる被験者の身体部分の写真、各身体部分の観察可能な特徴のコンピュータ生成画像、イラストまたは戯画であってよい。評価を支援するために、画像に特徴およびその特徴の老化指標に関する説明を追加してもよい。このほかに、身体部分の個々の特徴に関する評価値を照合して各部分を評価してもよい。これにより、身体部分の順位に基づいて決めるほか、「ほほ笑んだときにのみ目尻の皺が現れますか。」のように、はい/いいえの2択式または多項選択式の一連の質問項目に被験者が答えることができる。このほかに、保存した画像と評価される被験者の身体部分を新たに撮像した画像とを比較して、身体部分の評価を実施してもよい。たとえば、デジタルビデオまたはスチルカメラでヒト手の甲の画像を撮像してもよく、該当する身体部分の保存した画像群から選択した画像を並べて表示してもよい。そこで、評価者は、たとえば「どちらの画像が老化しているようにみえるか。」または「どちらの画像で静脈が目につきやすいか。」に回答し、2つの画像を比較して評価を入力することができる。これにより、入力された回答は、評価データとして用いることができる。このほかに、評価者の回答は、評価データが任意の基準を満たすまで、ほかに表示する画像および/またはほかに回答を求める質問を選択するのに用いることができる。たとえば、手の評価データ基準に基づき、評価者が3つの画像を見て、撮像した画像のなかから見た目年齢が最も近い画像を選択し、静脈の浮き具合、皺、皮膚の色、角質および手指爪の外観に関して回答を求めてもよい。
【0028】
このようにして、他の身体部分と異なる各身体部分を個別に評価し、対象となる特定の特徴に対する評価に照準を合わせ、被験者の外観に関する全体の印象を用いて客観的に評価することができる。また、個別に各身体部分を評価すれば、各身体部分に対して公平な評価を実施することができ、主観的な「治療前」および「治療後」の評価に対する印象を回避することができる。
【0029】
図2に示すように、各身体部分の評価データは美容分析のシステム100に入力される210。この評価データは処理され220、各身体部分に重みを適用する230。たとえば、評価データの処理には、調査質問の回答を解釈することと、その回答と相関をなす定義された数値を選択するか、A〜Eの順位から数値への変換を選択することを含めてもよい。さらに、この値には評価データを加重データに変換するのに適用される重み付け関数を適用してもよい。たとえば、この値に身体部分の重み値を積算して身体部分の加重値を求めてもよい。このほかに、評価データの処理および重みの適用には、身体部分のA〜Eの順位を解釈し、この順位を用いて身体部分の定義された加重値を検索してもよい。
【0030】
一実施形態では、各身体部分に適用される重みは、身体部分の老化評価と全身の主観年齢との関係に基づいている。たとえば、Aは25歳、Bは35歳、Cは45歳、Dは55歳およびEは65歳以上の各順位と身体部分の見た目年齢を結び付けることができる。各身体部分に対して、全身の主観年齢への寄与に身体部分の見た目年齢を結び付けた各順位に対する重みを数値で設定することができる。美容分析モジュールは、評価した順位に従って各身体部分に重みを適用する。各身体部分を個別に評価することから、被験者の全身体部分が同じ見た目年齢を示さないことがあることを理解する必要がある。身体部分のなかには、他の部分より若くみえたり、老化してみえたりする部分がある。また、各身体部分に適用される重みには、被験者の全身の見た目年齢に及ぼす特定の身体部分の影響を考慮に入れてもよい。たとえば、首の皺が顔の皺よりヒトの見た目年齢に及ぼす影響が大きくなってもよい。
【0031】
図3に、プロセッサに実装される美容分析モジュールの一実施形態を示し、この実施形態では、美容分析モジュールの機能はプロセッサ310で実行可能なソフトウェアとして実装される。図3に示すような実施形態では、プロセッサによってアクセス可能なルックアップテーブル313またはデータベースに格納される加重値に応じて評価データに重みを適用するために、重み付けモジュール312を備える。この実施形態では、重み付けモジュール312は入力順位および身体部分に基づいてテーブルの適した加重値を検索し、この各加重値は、美容分析データを生成するために必要であり、美容分析装置315による分析可能な加重データ群の項目となる。重みテーブル313または重みデータベースには、インターネットなどのネットワークを介してアクセスしてもよい。この実施形態では、各身体部分の各順位に対する重み値を予め設定する。性別ごとにさまざまな重みテーブルを設けてよく、人種または民族性に基づく重みテーブルを任意に設けてもよい。別の実施形態では、身体部分、性別および人種または民族性のうち1または複数の項目に基づいて、複数の数学的重み付け関数を定義してもよく、この数学的重み付け関数は、評価データから求められる各身体部分の老化値に適用される。
【0032】
被験者の見た目年齢を求めるために、加重データに対して美容分析240を実施する。一実施形態では、被験者の見た目年齢は、加重値を合計し、この加算値と各年齢のベンチマーク合計値または所定の合計値を比較することによって求められる。ベンチマーク合計値は、その年齢の典型的なモデル被験者の分析データや、理論的または統計的なモデル特徴データに基づいて求めることができる。
【0033】
重み付けシステムの利点とは、美容分析240によって被験者の見た目年齢に及ぼす身体部分の相対的影響を設定することができることである。他の多くの身体部分より比較的高い順位で身体部分を評価する場合、この身体部分に適用される重みに基づき、この身体部分では他の部分より見た目年齢に及ぼす影響を大きくしてもよい。たとえば、加重データを分析することによって、各身体部分の相対的影響を設定することができる。この分析は、最大値をとるときに影響が最大となる加重値の比較またはパーセント分析によって実施してもよい。また、美容分析は関連部分、目、首、口または手などの特定の顔面部分または特質にかかわる部分を考慮に入れてもよい。比較的高い重み値を有する異なる身体部分より被験者の見た目年齢に及ぼす影響が大きくなるように、それぞれ比較的大きい加重値を有する複数の関連部分を設定してもよい。
【0034】
また、各身体部分の評価データに適用される重みは、被験者の性別に基づいて設定することができる。また、異なる性別を評価するために、さまざまな特徴を定義してもよい。性別に基づいてさまざまな重み値を適用する利点は、身体部分の特徴では、被験者の性別に応じて見た目年齢に及ぼす影響を変えることができることにある。さらに、さまざまな年齢で一部の特徴の変化量を男女間で変化させることができる。たとえば、頭髪の生え際および頭髪の量には、男性および女性の見た目年齢に影響を及ぼす。しかし、男性に関しては、年齢間で頭髪の生え際および頭髪の量を有意に変化させることができる。一方、女性では年齢間で頭髪の生え際および頭髪の量が男性ほど変化しない。
【0035】
図3に示す実施形態では、美容分析装置315は美容分析時に重みルックアップテーブル313を任意に参照してもよい。
【0036】
また、被験者の見た目年齢に影響を及ぼす身体部分は、被験者の実年齢と見た目年齢を比較して求めることができる。たとえば、美容分析装置315はルックアップテーブル313を参照して、被験者の実年齢に基づいて身体部分の加重値を検索し、加重データを比較することによって見た目年齢に及ぼすさまざまな身体部分の相対的影響を評価してもよい。このため、被験者の見た目年齢が実年齢より高い場合、見た目の年齢を引き上げている身体部分を特定することができる。被験者の見た目年齢が見た目年齢以下である場合、美容分析データを分析して、どの身体部分が実年齢より低くみえ、どの身体部分が実年齢より高くみえるのかを特定することができる。このデータは、維持治療に比してどの身体部分に治療処置からの便益がもたらされる可能性があるかを特定するのに有用となる。
【0037】
特徴グループの評価結果に基づいて、見た目の老化に及ぼす影響に関して身体部分を評価することができ、そのグループは、身体部分によって定義される。たとえば、額と頭髪の生え際領域に関する特徴の評価結果によって1つのグループを形成してもよく、目の領域の評価結果によって別のグループを形成してもよい。各グループの加重値を合計することができ、グループの相対的影響値を求めることができる。
【0038】
また、実施形態には1または複数の各身体部分の1または複数の推奨治療260を決定するように構成された治療診断モジュール318を含めることができる。治療診断モジュール318は、プロセッサ310または独立したプロセッサに実装してもよい。たとえば、治療診断のためにインターネットを介して独立した治療診断プロセッサに美容分析データを送信してもよい。治療診断モジュールは、複数の有効な治療にかかわるデータを格納する治療データベース317へのアクセス手段を備えてもよい。治療データベース317は、インターネットなどのネットワークを介してアクセスしてもよい。別の実施形態では、1つのルックアップテーブルまたはデータベースに重み値および治療方法を格納する。このほかに、1または複数の治療データベースを設け、治療診断モジュールは、この1または複数のデータベースから治療データを要求するように構成してもよく、たとえば各治療提供者がデータベースを提供してもよい。治療診断モジュールは、被験者の美容分析に照らして各治療提供者が推奨する治療を解釈し、被験者に推奨する有効な治療群を選択するように構成することができる。治療診断モジュールは、各身体部分に対する複数の治療オプションを回答してもよい。
【0039】
治療モジュールは、全身体部分または選択した身体部分に対する適切な治療を診断することができる。身体部分の数および各身体部分に対して推奨する治療の数は、ユーザーが規定してもよい。見た目年齢または他の基準に及ぼす身体部分の相対的影響に基づいて治療を診断し、順位付けしてもよい。この基準は、被験者、美容外科医または治療者などのユーザーが規定してもよい。たとえば、ユーザーまたは皮膚療法士が非侵襲的治療または非外科的治療にかぎって禁止できるように規定してもよい。このほかに、美容外科医が、被験者の希望、外科医の診療能力または規定の制限事項に基づいて、特異的な外科的治療または侵襲的治療にかぎって推奨してもよいことを規定してもよい。このほかの基準には、アレルギー、外科的治療/非外科的治療の選択、費用制
約条件、時間的制約、局所治療または製品在庫状況などを含めてもよい。
【0040】
さらに、治療診断モジュールは、被験者の治療計画270を策定するように構成することができる。治療計画には、各身体部分に対する推奨治療リストを含めてもよい。また、治療計画には治療日程を含めてもよい。たとえば、治療日程は手術のタイミングおよび順序または補完治療の推奨分類を示してもよい。また、治療診断プロセッサは、あらゆる不適切な治療を特定するように構成することができる。たとえば、2つの異なる特徴を治療するのに適していると考えられる2個の製品が、適切な治療として別々に特定されても、併用すると副作用をもたらすと考えられる場合、その副作用を特定して治療計画に適切な警告および推奨日程を含めることができる。また、治療計画は治療有効期間または治療選択などのユーザーが規定した基準に基づいて策定してもよい。
【0041】
美容分析データ、治療診断および治療計画は、美容外科医、治療者または被験者が利用するために出力する280ことができる。美容分析および治療データは、被験者と治療者が検討するために報告書形式で表示してもよい。次に、治療診断モジュールに被験者の治療選択または制約基準などの検討情報を入力することができ、最新またはオーダーメイドの治療診断報告または治療計画を提供することができる。最終案を決定する前に、治療計画の検討および分析を繰り返してもよい。
【0042】
このほかに、美容分析および治療データは、システムを実現し、評価順位データを入力するのに使用するコンピュータなどのディスプレイに対話形式で表示してもよい。美容分析および治療データの対話表示によって、被験者と治療者または美容外科医が治療オプションを検討し、実施する治療を選択することができる。治療診断モジュールに、このような選択をフィードバックして最新治療計画を提供してもよい。
【0043】
さらに、1または複数の治療実施後の評価と比較するために、被験者の美容分析データを格納することができる。この比較によって、順位が変わった身体部分に関してフィードバックし、1または複数の治療の有効性に関してフィードバックすることができる。たとえば、治療計画時に新たな美容分析を実行して最初の美容分析データと比較することによって、決定した治療の有効性を評価することができる。
【0044】
本システムの実施形態は、スタンドアロン装置として設けることができるか、あるいはコンピュータなどの広くみられる処理装置やインターネットなどの通信ネットワークによって接続されたコンピュータ、サーバおよびデータベースなどの複数のネットワーク装置にシステムを実装できるソフトウェアモジュールおよびデータの形式で設けることができる。スタンドアロンコンピュータにシステムの実施形態を実装するために、システムの一実施形態にプログラム命令およびデータを格納するコンピュータ可読媒体が含まれることが想定される。このほかに、ユーザーがインターネットなどのネットワークを利用し、安全なインターネットウェブページを介して、秘密鍵を用いてシステムにアクセスし、評価データを入力して、美容分析データおよび治療データを受信できるようにシステムを実装してもよい。ユーザー登録手続により秘密鍵を発行するか、マーケティング情報や、評価指示、典型的な老化の過程を示す画像および指針を出版するシステムに関する書籍またはCDなどの教材と合わせて提供してもよい。たとえば、書籍を購入したユーザーには、システムを使用するためのフリーアクセスキーを提供してもよく、書籍を購入しないユーザーには、システムを使用するために登録して料金を支払ってもらい、セキュリティキーを入手することを要求してもよい。
【0045】
このほか、携帯電話、PDAまたは他のユーザー装置にダウンロードできるソフトウェアアプリケーションとしてシステムとのインターフェースを提供することができる。ユーザー装置にダウンロードし、生成することによって秘密鍵を提供してもよく、ユーザー装置識別子を、セキュリティアクセスコードに用いてもよい。たとえば、iPhone(登録商標)などの携帯電話のユーザーが、安全なウェブサイトへのアクセス手段を提供するアプリケーションをダウンロードしてもよい。ユーザーは登録後、アプリケーションサーバーを介し、携帯電話を利用してアプリケーションをダウンロードする。この登録手続の間、アプリケーションサーバーは、国際移動体装置識別番号(IMEI)または国際移動体加入者識別番号(IMSI)などの電話識別子を取得し、セキュリティアクセスコードとして使用するために格納する。ユーザーがアプリケーションを起動すると、安全なウェブサイトへのアクセスを許可するように、電話識別子が認証を目的としてサーバに送信される。次に、ユーザーはモバイル機器を使用してサーバで稼働する美容分析モジュールで処理する評価データを入力することができる。
【0046】
一実施形態では、内蔵デジタルカメラまたは接続されたデジタルカメラを備える携帯電話、パーソナルコンピュータまたは他の装置にアプリケーションを実装し、評価データを取得するためにカメラを使用して撮像した被験者の画像を用いるように構成してもよい。たとえば、デジタルカメラを使用して被験者の顔の画像を撮像することができる。このような撮像画像は、アプリケーションによってマッピングして、鼻唇溝部分、目尻の皺、眉間の皺、髪の生え際部分などの評価対象とする顔面部分を特定することができる。次に、被験者の顔面の特定部分は、独立して表示するか、比較画像と並べて表示して評価することができる。ユーザーは、ユーザーの顔面から取り出された画像と格納されている比較画像を区別できなくてもよい。さらに、各身体部分を独立して観察するため、評価の客観性を強調することができる。ユーザーは各身体部分の評価データを入力すると、美容分析および治療診断を実施するために美容分析サーバに評価データを送信することができる。いくつかの実施形態では、美容分析のなかには電話で動作するアプリケーションによって実施するものがあってもよく、たとえば電話アプリケーションによって入力した評価データを順位または重みに変換してもよいが、美容分析および診療診断は美容分析サーバによって実施される。また、別の実施形態ではダウンロード可能なアプリケーションは美容分析および治療診断を実施してもよい。このアプリケーションは、美容分析システムの小型版であり、目尻の皺、眉間の皺、唇および首などの2、3箇所の指定した部分にかぎって評価するように構成してもよい。このような実施形態の治療計画は、非外科的治療、市販薬による治療、生活習慣を改善する治療などの治療行為にかぎってもよい。市販薬による治療には、スキンケアまたは化粧品の推奨事項を含めてよく、生活習慣を改善する治療には、水分補給またはビタミン消費、サングラスの着用、睡眠に関するアドバイス、運動、禁煙などの行為を含めてもよい。
【0047】
システムの実施形態は、医療システムの一モジュールとして実装してもよい。たとえば、医療システムには、美容分析、スキンケア、皮膚分析、治療診断、撮影画像、電子カルテの格納および管理、予約スケジューリングおよび会計機能のモジュールを実装してもよい。このほか、美容分析システムの一実施形態は、患者記録に美容分析および治療データを直接記録できるように、電子患者記録システムまたは他の医療業務経営システムに対応する形式の美容分析データおよび治療データなどのデータを出力するように構成してもよい。
【0048】
本願請求の範囲および本願明細書の中で、文脈に示す場合を除き、言語または必要とされる言外の意味を表現するため、「含む」、「備える」、「設ける」という用語およびその変化形の用語は、包含的な趣旨で用いられ、記載される特徴の存在を明記するものの、本発明のさまざまな実施形態のこのほかの特徴の存在または追加を除外しない。
【0049】
いかなる国でも、本願明細書にいかなる先行技術文献が参照される場合、このような参照によって、先行技術文献が当該技術分野の一般知識の一部をなすことを承認するものではないことを理解する必要がある。
【実施例1】
【0050】
以下に示す実施例は、複数の治療部分に対する推奨治療を含む複数の重みルックアップテーブルを示す。表2は白人女性のために作成したルックアップテーブルの一部であり、表3は白人男性のために作成したルックアップテーブルの一部である。
【0051】
【表2】





【0052】
被験者(ジェニー、35歳女性)は、評価を実施し、以下の結果を入力する。顎の線=A、首まわり=C、目尻の皺=Cに加えて表に示す他の項目の結果も入力する。美容分析で求めたジェニーの全身の見た目年齢は40歳である。
【0053】
表2では、A評価は25歳女性の特徴を示し、C評価は45歳女性の特徴を示す。
【0054】
美容分析データ出力は、ジェニーの首まわりおよび目尻の皺が彼女の見た目年齢に有意に影響することを示している。また、このデータには推奨治療を含めることができる。次に報告例を示す。
美容分析対象者:ジェニー
実年齢:35歳
見た目年齢:40歳
治療対象部分1:目尻の皺
評価年齢:45歳
推奨治療:
1.目のまわりのスキンケア
2.ボツリヌス毒素
3.フラクショナルリサーフェイシングレーザーの検討
治療対象部分2:首まわり
評価年齢:45歳
推奨治療:
1.ボツリヌス毒素
2.皮膚フィラー
以降省略
【0055】
ジェニーは、この報告を用いて担当の治療者または美容外科医と治療法および維持治療を検討することができる。望ましい治療法が決まると、システムに入力して治療計画を策定する。以下に、その治療計画例を示す。
美容分析対象者:ジェニー
実年齢:35歳
見た目年齢:40歳
臨床治療計画:
治療対象部分1:目尻の皺
評価年齢:45歳
計画した治療法:
ボツリヌス毒素
治療予定日:2009年3月29日
治療対象部分2:首まわり
評価年齢:45歳
計画した治療法:
皮膚フィラー
治療予定日:2009年3月29日
中略
長期継続治療計画:
治療対象部分1:目尻の皺
評価年齢:45歳
処方治療: 目のまわりのスキンケア:
毎日:朝晩潤いを与える(推奨製品あり)。
晴天または陽当たりのよい環境でサングラスを掛ける。
毎日2回、5分間目のリラクゼーション運動を実施する
毎週:20分間冷湿布する。
治療対象部分2:首まわり
評価年齢:45歳
処方治療:
スキンケア:
毎日:朝晩潤いを与える(推奨製品あり)。
日焼け止め剤を塗る(推奨製品あり)。
毎月:ファーミングマスク(推奨製品あり)
【0056】
以下に示す表3は、白人男性のルックアップテーブルの一部である。表2と表3を比較することによって、いくつかの身体部分の説明および重み値が男女間で同じであるが、たとえば男女の異なる皮膚の特徴に基づいて、推奨治療は男女間で異なっていてもよい。
【0057】
【表3】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを受信するように構成される入力インターフェースと、前記複数の定義された各身体部分の前記評価データを各身体部分と相関をなす加重データに変換し、当該加重データから美容分析データを生成するように構成される美容分析モジュールと、前記美容分析データを出力するように構成される出力インターフェースとを含む美容分析システム。
【請求項2】
前記美容分析データは、前記被験者の主観による全身の見た目年齢値を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記評価データの変換は、前記評価データから各身体部分の老化評価値を求めることと、各老化評価値に、主観による全身の見た目年齢への前記身体部分の老化評価の寄与と相関をなす前記身体部分の重みを適用して、前記身体部分の加重データを求めることを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記各身体部分に適用された前記重みは、被験者の性別に基づいて付けられる請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記各身体部分に適用された前記重みは、被験者の民族性に基づいて付けられる請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記美容分析モジュールは、前記主観による全身の見た目年齢値に大きな影響を及ぼす1または複数の身体部分を特定する美容分析データを生成するようにさらに構成される請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記主観による全身の見た目年齢値に大きな影響を及ぼす前記身体部分は、前記被験者の実年齢と前記主観による全身の見た目年齢値との比較にさらに基づいて特定される請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記美容分析モジュールは、前記主観による全身の見た目年齢値への相対寄与に基づいて、身体部分を順位付けする美容分析データを生成するようにさらに構成される請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
1または複数の各身体部分に対して1または複数の推奨治療を決定し、推奨治療データを出力するように構成される治療診断モジュールをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記治療診断モジュールは、任意の基準に基づいて推奨治療を順位付けするようにさらに構成される請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記任意の基準は、ユーザーによって規定される請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記治療診断モジュールは、前記身体部分の影響に基づいて推奨治療を順位付けし、当該治療は前記身体部分の主観による全身の見た目年齢に基づいて推奨されるように構成される請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記治療診断プロセッサは、前記被験者の治療計画を策定するようにさらに構成される請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療計画は、選択された基準に基づく請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記基準は、1または複数の被験者に設定可能な外科的基準および非外科的基準、補完治療分類、身体部分治療分類ならびに特定の治療期間または回復期間を含む請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記入力インターフェースは、調査の結果から評価データを受信する請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
被験者の複数の定義された各身体部分の観察可能な特徴に関する評価データを受信するステップと、前記複数の定義された各身体部分の前記評価データを各身体部分と相関をなす加重データに変換するステップと、前記加重データから美容分析データを生成するステップと、前記美容分析データを出力するステップとを含む美容分析方法。
【請求項18】
前記美容分析データは、前記被験者の主観による全身の見た目年齢値を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記評価データを変換するステップは、前記評価データから各身体部分の老化評価値を求めることと、各老化評価値に、主観による全身の見た目年齢への前記身体部分の老化評価の寄与と相関をなす前記身体部分の重みを適用して、前記身体部分の加重データを求めることを含む請求項18に記載の方法
【請求項20】
前記各身体部分に適用された前記重みは、被験者の性別に基づいて付けられる請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記各身体部分に適用された前記重みは、被験者の民族性に基づいて付けられる請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記主観による全身の見た目年齢値に最も大きな影響を及ぼす身体部分を設定することをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記主観による全身の見た目年齢値への相対寄与に基づいて身体部分の順位付けすることをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項24】
1または複数の各身体部分に対して1または複数の治療を診断して推奨することをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
任意の基準に基づいて推奨治療を順位付けすることをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記任意の基準は、ユーザーによって規定される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記身体部分の影響に基づいて推奨治療を順位付けし、当該治療は前記身体部分の主観による全身の見た目年齢に基づいて推奨される請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記被験者のために治療計画を策定することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記治療計画は、規定された基準に基づく請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記基準は、1または複数の被験者に設定可能な外科的基準および非外科的基準、補完治療分類、身体部分治療分類ならびに特定の治療期間または回復期間を含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記評価データは調査の結果である請求項17に記載の方法。
【請求項32】
被験者が自己評価調査を実施するステップをさらに含む請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−511681(P2011−511681A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546184(P2010−546184)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000166
【国際公開番号】WO2009/100494
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(510204987)
【Fターム(参考)】