説明

美容支援装置、美容カウンセリング方法および視線追跡データ取得方法

【課題】鏡に映る自分の鏡像に対する視線の推移を正確に把握することが可能な美容支援装置を提供する。
【解決手段】美容支援装置100は、光束分離部12、撮像部14、視線取得部20、視点位置情報調整部および出力部40を備えている。光束分離部12は、入射光の一部を透過して他の一部を反射する。撮像部14は、光束分離部12を透過した被験者Sの頭部画像52を撮像する。視線取得部20は、光束分離部12で反射された被験者の鏡像50を目視する被験者Sの視点VPの推移を示す視線追跡データ62を取得する。視点位置情報調整部は、頭部画像52における頭部位置情報と、視線追跡データ62が示す視点位置情報と、を互いに対応づける。出力部40は、頭部画像52に対応づけられた視線追跡データ62を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容支援装置、美容カウンセリング方法および視線追跡データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡に向かって自ら化粧メイクやヘアメイクをする女性は、その方法が正しいのか、またその結果が自分に本当に似合っているのか不安を感じることがある。
【0003】
特許文献1には、被観察者(患者)の顔画像と、被観察者を観察する観察者(医師)の視線データとを重畳させて表示出力する画像出力装置が記載されている。この装置によれば、観察者(医師)が被観察者(患者)をどのように目視しているかを閲覧者(医学実習生や看護婦)に対して表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−289658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、化粧メイクやヘアメイク(以下、「メイク」という場合がある)に対して似合いや仕上げ方の良否の判断をする際の不安をもたらす要因の一つとして、鏡に映る自分の鏡像をどのように目視して似合いや仕上げ方の良否を判断すればよいかが不明である点が挙げられる。また、美容に関する素人は、かりに美容アドバイザーから似合いの判断手法、たとえば髪型と肌色とを全体的に観察する等、に関する具体的な情報を得たとしても、これを自ら実践することは難しい。なぜならば、美容に関する素人は、鏡に映る自分の鏡像に対して自らの視線を現にどのように推移させて似合いの判断を行っているかを正確に把握することがそもそも困難だからである。
【0006】
ここで、特許文献1の装置を用いて、たとえば医師に代えて、美容に関する素人を観察者とし、患者に代えて、鏡に映る観察者の鏡像を被観察者として視線データを取得したとしても、観察者は自分の視線の推移を正確に把握することはできない。特許文献1の装置の場合には、観察者の鏡像と、これを目視する観察者の視線を、ともに遮ることのないよう、観察者や鏡に対して斜め上方または斜め下方からこれらを撮像する必要があり、鏡像と視線データとを正確に重畳することが困難だからである。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、鏡に映る自分の鏡像に対する視線の推移を正確に把握することが可能な美容支援装置および美容カウンセリング方法、ならびにかかる視線の推移を正確に把握するための視線追跡データ取得方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の美容支援装置は、被験者の美容行為を支援する美容支援装置であって、入射光の一部を透過して他の一部を反射する光束分離手段と、前記光束分離手段を透過した前記被験者の頭部画像を撮像する撮像手段と、前記光束分離手段で反射された前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す視線追跡データを取得する視線取得手段と、前記頭部画像における頭部位置情報と前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を互いに対応づける視点位置情報調整手段と、前記頭部画像に対応づけられた前記視線追跡データを出力する出力手段と、を備える。
【0009】
本発明の美容カウンセリング方法は、情報処理装置を用いて被験者の美容行為を支援する美容カウンセリング方法であって、前記被験者の頭部画像を前記被験者に正対して撮像するとともに、前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点位置の推移を示す視線追跡データを取得する工程と、前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す前記視点位置情報と、を前記情報処理装置によって互いに対応づける工程と、前記頭部画像に対応づけられた前記視線追跡データを出力する工程と、を含む。
【0010】
ここで、美容カウンセリングとは、美容に関するアドバイスをカウンセラーが被カウンセラーに与えることのほか、被カウンセラーが自ら美容行為に関する知見を得る(いわゆるセルフカウンセリングをおこなう)ことをいう。したがって、美容カウンセリングは、美容アドバイスを含む。
【0011】
本発明の視線追跡データ取得方法は、情報処理装置を用いて被験者の視線に関する視線追跡データを取得する方法であって、被験者の頭部画像を前記被験者に正対して撮像するとともに、前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す前記視線追跡データを取得する工程と、前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を前記情報処理装置によって互いに対応づける工程と、を含む。
【0012】
なお、本発明の美容支援装置の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の装置として形成されていること、一つの構成要素が複数の装置で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0013】
また、本発明の美容カウンセリング方法および視線追跡データ取得方法は、複数の工程を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番を必ずしも限定するものではない。このため、本発明の方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができる。
さらに、本発明の美容カウンセリング方法および視線追跡データ取得方法は、複数の工程が個々に相違するタイミングで実行されることに限定されず、ある工程の実行中に他の工程が発生すること、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の美容支援装置および美容カウンセリング方法によれば、鏡に映る被験者の鏡像に対する自らの視線の推移が正確に出力されるため、被験者は自らメイクを行う際の似合いの判断に資することができる。また、被験者の視線追跡データの出力を被験者とともに知得した美容アドバイザーは、被験者の視点位置の推移に関する客観化された傾向に基づいて、メイクの似合いを判断する際の好ましい目視方法を被験者に助言することができる。また、本発明の視線追跡データ取得方法によれば、被験者の視点位置の推移に関する客観化されたデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一実施形態の美容支援装置の構成図である。
【図2】第一実施形態の美容支援装置の機能ブロック図である。
【図3】被験者が光束分離部(半透過鏡)に対面している状態を示す説明図である。
【図4】第一実施形態の美容カウンセリング方法のフローチャートである。
【図5】第二実施形態の美容支援装置の構成図である。
【図6】第二実施形態の美容支援装置の機能ブロック図である。
【図7】第二実施形態の美容カウンセリング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
<第一実施形態>
(美容支援装置)
図1は本発明の第一の実施形態にかかる美容支援装置100の一例を示す構成図である。筐体10は、説明のため一部を切り欠いて図示している。また、図2は本実施形態の美容支援装置100の機能ブロック図である。
【0018】
はじめに、本実施形態の美容支援装置100の概要について説明する。
被験者Sの美容行為を支援する本実施形態の美容支援装置100は、光束分離部12、撮像部14、視線取得部20、視点位置情報調整部(調整部)76および出力部40を備えている。
光束分離部12は、入射光の一部を透過して他の一部を反射する。
撮像部14は、光束分離部12を透過した被験者Sの頭部画像52を撮像する。
視線取得部20は、光束分離部12で反射された被験者の鏡像50を目視する被験者Sの視点VPの推移を示す視線追跡データ62を取得する。
調整部76は、頭部画像52における頭部位置情報と、視線追跡データ62が示す視点位置情報と、を互いに対応づける。
出力部40は、頭部画像52に対応づけられた視線追跡データ62を出力する。
【0019】
ここで、美容支援装置100の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、たとえば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与された処理装置(データ処理装置または画像処理装置)、コンピュータプログラムにより処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
また、美容支援装置100の各種の構成要素は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。
なお、美容支援装置100においてコンピュータプログラムに対応した各種動作を処理装置に実行させるとは、各種デバイスを処理装置に動作制御させることを含む。
【0020】
次に、図1および図2を用いて本実施形態の美容支援装置100をより詳細に説明する。
本実施形態の美容支援装置100は、ユーザに対して美容カウンセリングを提供する装置である。美容支援装置100のユーザが被カウンセラーにあたる。なお、視線追跡データ62が取得される被験者Sと、視線追跡データ62が提示される被カウンセラーは、共通であってもよく、または異なってもよい。また、被験者Sは、美容に関する素人であってもよく、美容専門家であってもよい。本実施形態では、美容支援装置100のユーザ(被カウンセラー)と被験者Sとを同一とする。したがって、本実施形態の場合、視線取得部20で取得される視線追跡データ62は、美容支援装置100のユーザの視線を示すデータとなる。なお、被カウンセラーと被験者Sとが異なる場合については後述する。
【0021】
美容支援装置100は、撮像部14、視線取得部20、記憶部30(画像蓄積部31および視線データ蓄積部32)および出力部40が、バスライン80に接続されている。
また、図1に示すように、バスライン80には、美容支援装置100に対する各種操作を受け付ける操作部72と、頭部画像52や視線追跡データ62のデータ処理を実行するCPU70とが接続されている。
【0022】
本実施形態において、被験者Sは美容支援装置100のユーザであって、美容に関する素人である。そして、本実施形態の美容支援装置100は、被験者S自らの操作、または美容アドバイザーの操作によって、被験者Sの視線追跡データ62と被験者Sの鏡像50とを位置あわせした状態で重畳して出力部40に出力する。
【0023】
本実施形態の光束分離部12は半透過鏡(ビームスプリッター)である。光束分離部12の光透過率は特に限定されず、例えば5%以上95%以下とすることができる。また、光束分離部12の光透過率を5%以上50%未満、特に8%以上40%以下として、透過光よりも反射光の強度を強くすることで、被験者Sによる鏡像50の自然な目視を妨げることなく、撮像部14による頭部画像52の撮像を行うことができる。
【0024】
撮像部14は、光束分離部12を介して被験者Sの反対側(対向側)に設置されて、被験者Sの頭部60を少なくとも含む静止画像または動画像を撮影する機器である。本実施形態では、光束分離部12の法線(面直)方向を光軸方向として設置されて被験者Sの静止画像を撮影するデジタルカメラを例示する。
本実施形態の撮像部14は、信号線16を介してバスライン80と電気的に接続されている。撮像部14は、撮像した被験者Sの頭部画像52を、信号線16およびバスライン80を介して画像蓄積部31に格納する。ただし、本発明においては信号線16に代えて記憶媒体を用いて頭部画像52の電子データを撮像部14から画像蓄積部31に移送してもよい。
【0025】
なお、本実施形態において頭部画像52とは、被写体人物(被験者S)の頭部60の少なくとも一部を含む画像である。頭部画像52には、髪部および顔部のそれぞれ少なくとも一部に加えて、被写体人物の上半身や下半身、衣服や装飾品などが含まれていてもよい。すなわち、本実施形態にいう頭部画像は全身画像を含む。
また、頭部画像52における頭部位置情報とは、頭部画像52に含まれる頭部60の位置を示す情報である。本実施形態では、頭部画像52における、頭部60のうち両眼の瞳の中央位置などの特徴点が存在する位置をもって、頭部画像52における頭部位置情報を規定することができる。正確に頭部位置情報を規定する観点から、特徴点は2箇所以上あることが好ましい。
【0026】
視線取得部20は、光束分離部12(半透過鏡)に映る鏡像50を目視する被験者Sの視点位置(視線方向)の推移を示す視線追跡データ62を取得する眼検知装置(アイカメラ)である。一例として、Tobii社製の注視点追跡システム(アイトラッカー)を用いることができる。
【0027】
図3は、被験者Sが光束分離部12(半透過鏡)に対面している状態を示す説明図である。
視線取得部20は、光束分離部12に正対する被験者Sに対向して、かつ鏡像50を目視する被験者Sの視野範囲外に配置され、鏡像50を目視する被験者Sの視線を遮ることはない。視線取得部20は、被験者Sの頭部60に向かって赤外線などの光ビーム24を照射するとともに、その反射光を受光する。視線取得部20は、受光光を画像化し、画素のコントラストに基づいて被験者Sの瞳孔位置を算出することで、被験者Sの目の位置を検出してその視点位置(視線方向)を数値データまたは画像データとして取得する。
本実施形態の視線取得部20は、赤外線ダイオードを用いて被験者Sに赤外線波長域の光ビーム24を照射する。光ビーム24の強度は、被験者Sによる鏡像50の自然な目視を妨げない程度に抑制されている。
なお、図1及び図3において視線取得部20が光束分離部12前面下部に配置されているが、被験者Sの頭部60に向かって赤外線などの光ビーム24を照射でき、その反射光を受光できれば、別の位置に配置されても良い。例えば、被験者Sが自らの姿を良く見ようとする際に、光束分離部12(半透過鏡)に近づきがちとなる。一方、視線取得部20の性能上、被験者Sとの距離を適正範囲に保つ必要がある(一例として、上記のアイトラッカーの場合には45〜75cm)。かかる場合には、視線取得部20を図3に示す位置よりさらに下げるか、筐体10の下に配置すれば良い。また、被験者Sが自らの姿の全身を見ようとする際には、光束分離部12(半透過鏡)から遠ざかる必要が生じる場合がある。かかる場合には、視線取得部20と、被験者Sとの距離を適正範囲に保つ為に、視線取得部20を光束分離部12前方に配置しても良い。
【0028】
図3に示すように、被験者Sは、光束分離部12の反射面Cに対して距離Lで正対しているとする。被験者Sは、光束分離部12に映る鏡像50が、光束分離部12から奥行方向に距離Lの位置に存在するものと認識する。したがって、鏡像50を目視する被験者Sの目の焦点距離は2Lとなる。
そして、視線取得部20は、光束分離部12に鏡像50として映る自らの頭部60のメイクの似合いを判断する被験者Sの視線LOSを視線追跡データ62として取得する。被験者Sの視線LOSは、鏡像50の頭部60の一部または全部に対して連続的に向けられる。
【0029】
視線取得部20が取得する具体的な視線追跡データ62の形式は特に限定されるものではない。たとえば、鏡像50に対する被験者Sの視点VPの時系列データのほか、鏡像50に対してどの位置に被験者Sの視線LOSが集中したかを示す、視点VPの頻度データを取得してもよい。視点VPの頻度データは、たとえば、鏡像50を複数の領域に分割して、各領域を視線LOSが通過した回数をカウントして求めることができる。
【0030】
本実施形態の視線取得部20は、光ビーム24の照射および受光と、画像処理による視線追跡データ62の取得を所定時間に亘って連続的におこなう。そして、視線取得部20は、視線追跡データ62として、鏡像50に対する被験者Sの視点VPの推移を示す時刻歴データを取得する。
このように、被験者Sの目線を視線取得部20で追跡して視線追跡データ62を時刻歴データとして取得することで、被験者Sの視線LOSの初期位置データや、視点VPの頻度データなど、多様なデータを取得することができる。
図1に示すように、本実施形態の視線追跡データ62は、視点VPの座標の時系列データであり、視点VPを経時的に線分で結ぶことで視点VPの軌跡を示す、折れ線状、または曲線状のプロット図をなしている。
【0031】
視線取得部20とバスライン80とは信号線22によって電気的に接続されており、視線取得部20で取得した視線追跡データ62は視線データ蓄積部32に保存される。
【0032】
筐体10の形状は特に限定されないが、本実施形態では直方体形状をなし、光束分離部12を除く各面は遮光されている。撮像部14は筐体10の内部に収容され、視線取得部20は光束分離部12の前面(被験者側の面)に設置されている。
このように、遮光性の筐体10の内部に撮像部14を収容することで、光束分離部12を被験者Sが目視した際に、筐体10の内部(撮像部14)を被験者Sは見ることができない。これにより、撮像部14は、光束分離部12に映る鏡像50を目視する被験者Sの視線LOSを遮ることなく、被験者Sの頭部60に正対して静止画像(頭部画像52)を撮像することができる。
【0033】
記憶部30(画像蓄積部31、視線データ蓄積部32)に記憶された頭部画像52と視線追跡データ62とは、調整部76(図2を参照)により互いに対応づけられる。調整部76は、CPU70(図1を参照)による情報処理によって実現される。
【0034】
ここで、視線追跡データ62は、被験者Sの視点VPと視線取得部20との相対位置として視線データ蓄積部32に記憶されている。視線取得部20は光束分離部12に対して既知の位置に固定配置されている。また、撮像部14もまた光束分離部12に対して既知の位置に固定配置されている。このため、視線追跡データ62に含まれる視点VPの座標位置を示す視点位置情報を調整部76で演算処理することで、視点VPを光束分離部12または撮像部14の基準位置との相対位置を所定に位置合わせすることができる。
よって、光束分離部12に映る鏡像50を目視した被験者Sの視線追跡データ62を、撮像部14で撮像した頭部画像52と正確に重ね合わせることができる。
【0035】
本実施形態の調整部76は、頭部画像52と視線追跡データ62とを合成した合成画像64(図1を参照)を生成する。そして、出力部40は、合成画像64を出力する。
【0036】
図2に示すように、美容支援装置100は、合成画像64を記憶する格納部33を備えている。
格納部33に記憶される合成画像64には、被験者Sを識別する固有の識別番号と、視線追跡データ62を取得した日時を示す日時情報とがヘッダー領域に記録されている。
また、美容支援装置100は、美容アドバイザーまたは被験者Sからの各種要求を示す入力情報を受け付ける要求受付部78を備えている。要求受付部78は、操作部72とCPU70とで構成されている。
【0037】
美容アドバイザーまたは被験者Sが、被験者Sの識別番号および任意で日時情報を要求受付部78から入力することにより、格納部33より合成画像64を呼び出して出力部40で表示出力することが可能である。
【0038】
本実施形態の出力部40は、頭部画像52に位置合わせされた視線追跡データ62を、頭部画像52に重畳して出力する表示装置である。具体的には、液晶表示装置などのディスプレイ装置を出力部40として用いることができる。
【0039】
本実施形態の撮像部14は、光束分離部12を真っ直ぐ通過した被験者Sの正像を頭部画像52として撮像する。したがって、光束分離部12に映る被験者Sの鏡像50と、撮像部14が撮像した頭部画像52とは左右が反転している。このため、本実施形態の調整部76は、頭部画像52を左右反転させて、視線追跡データ62の視点VPと位置合わせして、これを出力部40で表示出力する。
これにより、出力部40に表示された頭部画像52(合成画像64)は鏡像50と同じ左右反転画像であって、かつ視線追跡データ62が画像合成されたものとなる。
よって、合成画像64を目視した被験者Sは、通常の鏡に映る被験者Sの鏡像50に対して、自らの視線追跡データ62が重畳された像を知得することができる。
【0040】
(美容カウンセリング方法)
図4は、本実施形態の美容支援装置100を用いておこなう美容カウンセリング方法(以下、本方法という場合がある)のフローチャートである。図1〜3を適宜参照しつつ、図4を用いて本方法を説明する。
【0041】
本方法は、情報処理装置である美容支援装置100を用いて被カウンセラーの美容行為を支援する美容カウンセリング方法に関し、取得工程S10、位置合わせ工程S20および出力工程S30を含む。
取得工程S10では、被験者Sの頭部画像52を被験者Sに正対して撮像するとともに、被験者Sの鏡像50を目視する被験者Sの視点VPの推移を示す視線追跡データ62を取得する。
位置合わせ工程S20では、頭部画像52における頭部位置情報と、視線追跡データ62が示す視点位置情報と、を互いに対応づける。
出力工程S30では、頭部画像52に位置合わせされた視線追跡データ62を出力する。
【0042】
取得工程S10は、撮像工程S12と視線追跡工程S14とからなる。撮像工程S12と視線追跡工程S14とは、いずれを先に行ってもよく、または同時に行ってもよい。
撮像工程S12では、光束分離部12を通過した、被験者Sの頭部画像52を撮像部14で撮像する。
視線追跡工程S14では、光束分離部12に映る鏡像50を目視してメイクの似合いを判断している被験者Sの視線追跡データ62を、視線取得部20を用いて取得する。本方法で取得される視線追跡データ62は、視点VPの座標の時系列データである。
【0043】
位置合わせ工程S20では、画像蓄積部31に記憶された被験者Sの頭部画像52に含まれる頭部位置情報と、視線データ蓄積部32の視点位置情報とを対応づけて、頭部画像52における頭部60と被験者Sの視点VPとの相対位置を所定に位置合わせする。
また、被験者Sと光束分離部12との距離L(図3を参照)と被験者S自身の大きさに応じて決まる鏡像50と頭部画像52とは所定の変換比率の乗算によって互いに寸法が調整される。
かかる寸法調整された頭部画像52における基準位置を視線追跡データ62と位置合わせすると、頭部画像52の各部位(目、鼻、髪等)に対して、被験者Sから距離2Lの焦点位置にある鏡像50に向けられた視点VPの座標位置を重ね合わせることができる。
本実施形態の美容支援装置100では、調整部76(CPU70)によって、左右反転された頭部画像52に対して視線追跡データ62が画像合成されて合成画像64が生成される。
【0044】
出力工程S30では、出力される視線追跡データ62を被カウンセラーに提示する。具体的には、出力部40において合成画像64が表示出力される。なお、本発明においては、合成画像64の表示出力に代えて、頭部画像52と視線追跡データ62とを重畳的にディスプレイ表示してもよい。
以上により、本実施形態の美容支援装置100による視線追跡データ62の出力までの一連の処理が行われる。
【0045】
表示出力される合成画像64を提示する対象(被カウンセラー)は、被験者S自身でもよく、または被験者Sと異なる人物でもよい。ここでは、被験者Sが被カウンセラーである場合、すなわち被験者Sの視線に関する視線追跡データ62を被験者S自身に対して表示出力して、当該被験者Sを被カウンセラーとして美容カウンセリングを提供する場合を例示する。そして、被験者Sと被カウンセラーとを異なる人物とする場合については後述する。
【0046】
視線追跡データ62の提供者である被験者Sに対して、その頭部画像52と視線追跡データ62を重畳して提示することにより、本実施形態では例えば以下の効果を得ることができる。
【0047】
(i)本方法によれば、被験者Sが鏡を見ながら行う行為を撮影した鏡像動画に対して、同時に取得した視線追跡データ62を付与した動画を取得することにより、被験者Sの心象(悩みが解決された姿、希望が叶えられた姿など)をより深く分析することができる。これに対し従来は、鏡を見ながら行う行為一般に関し、行為者の心象を分析する方法としては、行為自体の観察や聞き取りによる方法が一般的であった。すなわち、本方法によれば、観察や聞き取りからでは引き出せないような、被験者Sが無意識に意識している箇所を先ず視線から探り出すことができる。このため、被験者Sの行為中の心象をより深く分析可能にする方法が提供され、商品開発や商品付加情報開発に活用することが可能となる。
【0048】
(ii)また、本方法によれば、静止画や動画に対する被験者S自身または鏡像50に対する視線から、悩みのあるポイントや気になるポイントを把握することで、効率的かつ満足度の高い美容カウンセリングが提供される。これに対し従来は、店頭のカウンセリング等で顧客の悩みのあるポイントや気になるポイントについて特定する場合、顧客の自己申告やカウンセラーの推測によるところが大きく、実情を把握するのが困難であった。これは、顧客の悩みの原因が複雑で個人差も多いことに加え、その悩みの程度や性格によっては、カウンセラーに対して真実を述べることが困難な場合も多かったためである。その上、顧客自身の悩み等が漠然としている場合、言葉で表現して伝えられない場合も考えられる。これに対し、本方法によれば上記のように被験者Sの心象を可視化して分析することができるため、説得力の高い美容カウンセリングを提供することができる。
【0049】
(iii)また、本方法によれば、一般消費者が自分のメイク(ヘアメイク)の良否を、客観的で正しく確認し判断できる方法を提示することができる。これは、美容の素人である一般消費者が、自身の鏡像に対する視線を自分で確認することにより、仕上げ方の良否確認を行うことができるためである。
【0050】
また、本方法では、被験者Sに提示される表示出力を被験者Sとともに目視した美容専門家SPから、より説得力のある美容カウンセリングを得ることができる。
【0051】
(iv)例えば、美容室や化粧品等の店頭で、一般消費者(美容の素人)である被験者Sの鏡像50への視線追跡データ62に対して美容専門家SPによるチェックを受け、美容カウンセリングを行うことができる。このように、自らの視線を可視化した視線追跡データ62に基づいた美容カウンセリングを行うことで、被験者Sに対する説得力が増大する。かかる美容カウンセリングは、インターネットなどのネットワークを経由して提供してもよい。
【0052】
なお、本方法によれば、情報処理装置(美容支援装置100)を用いて被験者の視線に関する視線追跡データを取得する方法が提供される。この視線追跡データ取得方法は、本方法と共通する取得工程S10と位置合わせ工程S20とを含む。
取得工程S10では、被験者Sの頭部画像52を被験者Sに正対して撮像するとともに、被験者Sの鏡像50を目視する当該被験者Sの視点VPの推移を示す視線追跡データ62を取得する。
位置合わせ工程S20では、頭部画像52における頭部位置情報と、視線追跡データ62が示す視点位置情報と、を情報処理装置(美容支援装置100)によって互いに対応づける。
【0053】
このように、被験者Sの頭部画像52と視点位置情報とを対応づけたデータを取得することで、美容カウンセリング(セルフカウンセリングを含む)を行う際に重要なポイントを分析したり把握したりすることができる。
【0054】
(v)例えば、一ないし複数の美容の素人が自身を見る視線とその鏡像を美容専門家SPに見せ、美容判断のポイントを美容専門家SPからヒアリングすることにより、美容カウンセリングを行う際の説明力の根拠を分析することができる。これにより、美容専門家SPの美容に関する納得性の高い説明力の根拠を、具体的にわかり易く見える形で分析することができる。
【0055】
(vi)また、一ないし複数の美容の素人が自身を見る視線とその鏡像と、一ないし複数の他の美容専門家が自身を見る視線とその鏡像を比較して、美容専門家SPに見せて同様のヒアリングを行ってもよい。これにより、美容カウンセリングを行う際の説明力の根拠をさらに詳細に分析することができる。
【0056】
(vii)さらに、一ないし複数の他人(美容の素人または美容専門家)が自身を見る視線とその鏡像を、美容専門家SPおよび美容の素人に見せ、美容判断のポイントの説明をそれぞれヒアリングしてもよい。これにより、美容専門家SPと一般人の説明力の差異から、美容専門家SPの説明力の根拠を分析することができる。
【0057】
(viii)また、本方法によれば、一般消費者に提示する商品情報などの有効性(理解度など)や重要点を客観的に判定することができる。すなわち、商品使用中の顧客を想定した被験者(一般消費者)の鏡像に対する視線データを分析することで、商品の機能や効果を確認したり、使い方情報の有効性を確認したりすることができる。
【0058】
(ix)また、本方法によれば、身に合うメイク(ヘアメイク)に関して一般消費者が持つ悩みのうち、潜在的かつ自身の言葉で表現しにくい部分を客観的に分析することができる。すなわち、被験者(一般消費者)について、対自分の視線と対他人の視線とを比較することで、当該被験者の悩みを分析することができる。
【0059】
<第二実施形態>
図5は本実施形態にかかる美容支援装置100の構成図である。筐体10は、説明のため一部を切り欠いて図示している。また、図6は本実施形態の美容支援装置100の機能ブロック図である。
【0060】
本実施形態の美容支援装置100は、頭部画像52に位置合わせされた視線追跡データ62を鏡像50に重畳して出力部40で出力することを第一の特徴とする。
【0061】
また、本実施形態の美容支援装置100における蓄積部(視線データ蓄積部32)は、サンプル画像55(被験者Sの頭部画像52または他の画像)を目視する視線提供者の視点VPの推移を示す他の視線追跡データ63を保存している。そして、出力部40が、他の視線追跡データ63をさらに出力することを本実施形態の第二の特徴とする。
【0062】
なお、本実施形態において視線データ蓄積部32が視線提供者の視線追跡データ63を保存するとは、視線データ蓄積部32が少なくとも視線追跡データ63を記憶する機能を有することを意味している。このため、視線データ蓄積部32は、視線提供者の視線追跡データが新規に登録されることのほか、視線データ蓄積部32の製造時に登録された視線追跡データを保持して出荷後には新規の視線追跡データが登録されないことも許容する。
一方、視線データ蓄積部32が視線提供者の視線追跡データ63を保存しているとは、本実施形態の美容支援装置100が、少なくとも被験者により使用されるときに視線提供者の視線追跡データを記憶している状態となる機能を有することを意味している。このため、視線データ蓄積部32がサプライヤから出荷される時点で視線提供者の視線追跡データが登録されていることのほか、出荷されるときには登録されていない視線提供者の視線追跡データが、被験者に使用されるまでに登録されることも許容する。
【0063】
本実施形態の筐体10、撮像部14および信号線16、視線取得部20および信号線22、CPU70、操作部72、並びにバスライン80は第一実施形態と共通である。
【0064】
本実施形態の光束分離部12は、入射光の一部を透過して他の一部を反射する半透過鏡であるとともに、表示駆動部(Display Driver:DD)42によって画像データを表示出力する。具体的には、所定の表面反射率を有する鏡面ディスプレイ装置のほか、透明な有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイと半透過鏡とを互いに積層して用いてもよい。
【0065】
また、本実施形態の美容支援装置100は、光束分離部12において画像データの表示出力が可能であることを利用して、視線提供者に視覚的刺激としてサンプル画像55を提示することができる。そして、画像蓄積部31には多数のサンプル画像55が記憶されており、CPU70(画像提示部18)は、いずれかのサンプル画像55を抽出して、表示駆動部42を用いて光束分離部12にてサンプル画像55を表示出力する。
【0066】
本実施形態で用いるサンプル画像55は、モデルの頭部60を含む画像である。モデルには、被験者Sを任意で含んでもよい。
サンプル画像55は、複数のカテゴリに分類されて画像蓄積部31に保存されている。
サンプル画像55の分類は種々の観点でおこなうことができるが、たとえば、髪型のボリューム感の分布の特徴、顔型、顔パーツの相対位置、肌色の分類、虹彩色の分類、年齢などの観点で分類することができる。
髪型のボリューム感の分布とは、たとえば、正面頭部画像に水平線を二段に引き、上側の水平線より上部における毛髪領域の面積(髪トップ面積)と、上下の水平線の間における毛髪領域の面積(髪ミドル面積)と、下側の水平線より下部における毛髪領域の面積(髪ボトム面積)との比率をいう。かかる比率の大小によってサンプル画像55を複数のカテゴリに分類することができる。
顔型とは、丸顔、四角顔、三角顔、面長顔、卵顔などに分類される顔の外形形状である。
顔パーツの相対位置とは、顔における髪、眉、目、鼻、口、耳などの部位の相対的な位置関係をいう。かかる相対位置が互いに類似する顔のサンプル画像55を同一のカテゴリに分類することができる。
ここで肌色の分類とは、黄味か青味か、暖色か寒色か、などの分類である。
また虹彩色の分類とは、濃褐色、淡褐色、琥珀色、緑色、灰色、青色などの分類である。
【0067】
本実施形態の美容支援装置100では、調整部76は、被験者Sの頭部画像52における頭部位置情報と、他の視線追跡データ63が示す視点位置情報と、を互いに対応づける。
そして、出力部40は、被験者Sの頭部画像52に対してともに対応づけられた被験者Sの視線追跡データ62と他の視線追跡データ63とを、それぞれ被験者Sの頭部画像52または鏡像50に重畳して出力する。
【0068】
なお、視線提供者は特に限定されないが、本実施形態では、美容専門家SP、被験者Sと異なる性別の者(異性OP)、および著名人CEを例示する。これらは重複する者であってもよい。ここで、著名人とは、美容分野に限らず、芸能人や文化人など各種分野における有名人である。
【0069】
すなわち、本実施形態では、他の視線追跡データ63として、美容専門家SPの視線に関する専門家視線データと、被験者Sと異なる性別の視線提供者の視線に関する異性視線データと、著名人CEの視線に関する著名人視線データとを用いている。
【0070】
視線追跡データ63は、サンプル画像55を目視した視線提供者(美容専門家SP、異性OPまたは著名人CE)が、サンプル画像55に含まれる頭部60に施されたメイクの似合いを判断する際の視点VPの推移を示す。視線追跡データ63は、光束分離部12に正対した視線提供者から、上述した視線取得部20によって取得することができる。
【0071】
視線提供者から取得した視線追跡データ63は、サンプル画像55と対応づけて視線データ蓄積部32に保存される。視線追跡データ63は、第一実施形態と同様に、サンプル画像55の頭部60に対する視線提供者の視点VPの座標の時系列データとして保存されている。
【0072】
そして、視線データ蓄積部32に格納される視線追跡データ63には、いずれの美容専門家SP、異性OPまたは著名人CEの視線LOSに関するデータであるかを示す目視者識別情報と、目視されたサンプル画像55を示すサンプル識別情報と、がヘッダー情報として付されている。
【0073】
サンプル画像55は、分類された各カテゴリより少なくとも一枚が、光束分離部12にて視線提供者に順次提示される。
視線データ蓄積部32には、これらサンプル画像55の個々に対する、美容専門家SPの視線に関する専門家視線データと、異性OPの視線に関する異性視線データと、著名人CEの視線に関する著名人視線データとが記憶されている。
【0074】
図6に示すように、美容支援装置100は、撮像部14で撮像した被験者Sの頭部画像52との一致度に基づいて、サンプル画像55を複数枚より抽出する抽出部74をさらに備えている。調整部76は、抽出されたサンプル画像55に対応する視線追跡データ63(専門家視線データ、異性視線データまたは著名人視線データ)と、被験者Sの視線追跡データ62とにおける視点VPを、光束分離部12に映る鏡像50に含まれる頭部60に対してそれぞれ位置合わせする。
そして、出力部40を構成する表示駆動部42および光束分離部12は、抽出されたサンプル画像55に対応づけられた視線追跡データ63を、鏡像50に重畳して表示出力する。
これにより、被験者Sは、あたかも美容専門家SP、異性OPまたは著名人CEが被験者Sを目視したかのように、視線追跡データ63を自己の鏡像50に重畳して目視することができる。
【0075】
また、出力部40は、鏡像50と頭部画像52とを互いに位置合わせして、視線追跡データ62を鏡像50に重畳して出力する。すなわち、本実施形態は、光束分離部12を表示装置として、被験者Sの鏡像50に対して被験者Sの視線追跡データ62を重畳して表示出力する。ここで、本実施形態では、被験者Sに正対して撮像した頭部画像52を用いていることにより、被験者Sの視線追跡データ62と鏡像50との位置およびサイズを正確に対応づけることができる。
本実施形態においては、被験者Sの頭部画像52は表示出力されず、被験者Sの視線追跡データ62と鏡像50との位置合わせ、および鏡像50とサンプル画像55との一致度の判定に用いられる。
【0076】
本実施形態によれば、被験者Sは、美容専門家SP、異性OPまたは著名人CEが被験者Sの髪型、髪色および/または化粧メイクの似合いを判断するにあたってどの部位に着目するかを客観的に、かつ正確に知得することができる。このため、被験者Sは、自らが行う美容行為における似合いの判断ポイントの妥当性について不安を解消することができ、また特に注意してメイクを施すべき箇所を知得することができる。
【0077】
出力部40である表示駆動部42と光束分離部12は、被験者Sの視線追跡データ62と視線提供者の視線追跡データ63とをともに表示出力する。視線追跡データ62、63は同時に表示出力されてもよく、時間的に相前後して表示出力されてもよい。
【0078】
美容支援装置100は要求受付部78を有しており、美容アドバイザーまたは被験者Sから、視線提供者を特定する情報の入力を受け付けることによって、抽出部74(CPU70)は対応する視線追跡データ63を視線データ蓄積部32より呼び出して出力部40で出力する。
【0079】
本実施形態の美容支援装置100を用いて行われる美容カウンセリング方法(本方法)を説明する。
図7は、本方法のフローチャートである。図5、6を適宜参照しつつ、図7を用いて本方法を説明する。なお、本方法は視線追跡データ取得方法を包含する。
【0080】
本方法は、第一実施形態における美容カウンセリング方法に対して、さらに、サンプル画像55を目視する視線提供者の視点VPの推移を示す他の視線追跡データ63を取得する工程と、被験者Sの頭部画像52における頭部位置情報と他の視線追跡データ63が示す視点位置情報とを互いに位置合わせする工程と、被験者Sの頭部画像に対してともに対応づけられた被験者Sの視線追跡データ62と他の視線追跡データ63とを被験者Sの鏡像50に重畳する工程と、を含む。
【0081】
本方法では、まず、鏡像50を目視した被験者Sの視線追跡データ62を取得する(ステップS10)。具体的には、撮像部14は被験者Sの頭部画像52を撮像し(ステップS12)、視線取得部20は、光束分離部12に映る鏡像50を目視する被験者Sより視線追跡データ62を取得する(ステップS14)。
視線追跡データ62における視点VPの基準位置は、調整部76によって頭部画像52の頭部60と位置合わせがされて(ステップS20)、視線データ蓄積部32に保存される。
【0082】
ここで、美容支援装置100を視線提供者(美容専門家SP、異性OPまたは著名人CE)に供してサンプル画像55を目視した場合の視線追跡データ63を取得する場合(ステップS50:Y)、サンプル画像55に対する視線追跡データ63を取得する予備取得工程(ステップS52〜S56)を行う。
この場合、CPU70は、画像蓄積部31よりサンプル画像55を一枚呼び出して表示駆動部42に転送し、これを光束分離部12で表示させる(ステップS52)。
視線取得部20は、光束分離部12で表示されたサンプル画像55を目視してそのメイクの似合いを判断する視線提供者の視線追跡データ63を取得する(ステップS54)。
取得された視線追跡データ63は視線データ蓄積部32に記憶される。
【0083】
つぎに、光束分離部12で表示するサンプル画像55に切り替えて更なる視線追跡データ63を取得する場合(ステップS56:Y)、CPU70は他のサンプル画像55を抽出して表示駆動部42に転送する。ここで、CPU70は、抽出済みのサンプル画像とは異なるカテゴリから新たなサンプル画像55を抽出する。
新たなサンプル画像55は光束分離部12で表示される(ステップS52)。視線取得部20は、当該新たなサンプル画像55に対する視線提供者の視線追跡データ63を取得する(ステップS54)。
【0084】
十分な視線追跡データ63が取得されると、サンプル画像55の切り替えおよび予備取得工程を終了する(ステップS56:N)。
【0085】
つぎに、本実施形態の美容支援装置100を用いて被験者Sに美容アドバイスを行う方法(ステップS60〜)を説明する。
まず、美容支援装置100の操作部72(図1を参照)より、いずれの視線追跡データ62、63を出力するかを選択する(ステップS60)。
被験者Sの視線追跡データ62を出力する場合(ステップS60:N)、CPU70および表示駆動部42は、位置合わせ工程(ステップS20)で頭部画像52と位置合わせされた視線追跡データ62を、光束分離部12に映る鏡像50に重畳して出力する(ステップS30)。
このとき、視線追跡データ62は、鏡像50と頭部画像52との寸法調整比率である変換比率を乗算してから光束分離部12で出力するとよい。
【0086】
なお、被験者Sの視線追跡データ62を出力するか否かによらず、位置合わせ工程(ステップS20)で頭部画像52と位置合わせされた視線追跡データ62を、光束分離部12に映る鏡像50に重畳した新たなデータを取得して、記憶部30に蓄積してもよい。これにより、本実施形態による視線追跡データ取得方法が提供される。
【0087】
つぎに、視線提供者の視線追跡データ63を追加出力する場合(ステップS70:YおよびステップS60:Y)、画像蓄積部31にライブラリとして保存されたサンプル画像55より、頭部画像52に類似しているものを抽出部74(図2を参照)により抽出する(ステップS62)。
この工程は、具体的にはCPU70によるサンプル画像55の検索処理によって行われる。
上述のように、画像蓄積部31に記憶されているサンプル画像55は、複数のカテゴリに分類されている。一例として、CPU70は、撮像部14がステップS12で撮像した被験者Sの頭部画像52を、サンプル画像55と同様にカテゴリ分類し、頭部画像52と同一カテゴリに分類されているサンプル画像55を選択する。
このほか、ステップS62では、CPU70は、髪型のボリューム感の分布の特徴、顔型、顔パーツの相対位置などの観点から、頭部画像52ともっとも類似度の高いサンプル画像55を検索してもよい。
【0088】
頭部画像52に対応するサンプル画像55が画像蓄積部31から抽出されると、CPU70は、当該サンプル画像55に対応づけられた視線追跡データ63を、視線データ蓄積部32より呼び出す(ステップS64)。具体的には、CPU70は、画像データとして記憶されている視線追跡データ63のヘッダー情報に基づいて、ステップS42で抽出されたサンプル画像55に対応する視線追跡データ63を検索する。
【0089】
つぎに、呼び出された視線追跡データ63を鏡像50に位置合わせするためのサイズ変換工程を行う(ステップS66)。具体的には、調整部76(図6を参照)にて、視線追跡データ63に対応づけられたサンプル画像55を鏡像50と同一サイズに調整する。これにより、当該サンプル画像55に対する視線追跡データ63を、光束分離部12に映る鏡像50と位置合わせすることができる。
具体的には、CPU70は、視線追跡データ63に対応づけられたサンプル画像55と頭部画像52とにそれぞれ含まれる頭部60のサイズを正規化し、さらに、頭部画像52と鏡像50との間の変換比率を視線追跡データ63に乗じる。正規化の基準としては、たとえば、両目の中心を結んだライン上での顔幅を採ればよい。調整部76によって視点位置情報が調整された視線追跡データ63は、格納部33に格納されたうえで光束分離部12で表示出力される。
これにより、美容専門家SPや異性OP、著名人CEに提示したサンプル画像55と、被験者Sの頭部画像52とが異なるものであっても、専門家視線データ、異性視線データおよび著名人視線データを鏡像50に重ね合わせて表示出力することが可能となる。
すなわち、美容専門家SP、異性OPおよび著名人CEの視線追跡データ63を、有限枚のサンプル画像55に対して取得しておくだけで、不特定の被験者Sの鏡像50に対して視線追跡データ63を重畳して光束分離部12で表示出力することができる。
【0090】
光束分離部12でさらに出力する他の視線追跡データ63が存在しない場合は(ステップS70:N)、本方法の一連の処理を終了する。
本方法によれば、美容アドバイザーおよび被験者Sは、かかる光束分離部12を目視して、被験者Sの視線と美容専門家SPや異性OP、著名人CEの視線とを対照して視点VPの傾向を把握することができる。
【0091】
上記実施形態は種々の変形を許容する。
【0092】
第二実施形態においては、被験者Sの視線追跡データ62と他の視線追跡データ63とを被験者Sの鏡像50に重畳することを説明したが、これに代えて、頭部画像52に重畳して光束分離部12にて出力してもよい。
このとき、視線追跡データ62、63と頭部画像52とを画像合成してから光束分離部12で出力してもよく、または視線追跡データ62、63と頭部画像52とを個別のデータとして光束分離部12上で重畳的に表示してもよい。
【0093】
第二実施形態では、視線提供者の視線追跡データ63を被験者Sの鏡像50に重畳して光束分離部12で表示出力することを説明したが、本発明はこれに限られない。視線提供者の視線追跡データ63は、たとえば視点VPのプロット図や目視頻度の分布図などの形態にて、光束分離部12とは異なるディスプレイ装置に表示出力してもよい。または、視線提供者の視線追跡データ63は、サンプル画像55と画像合成した状態で、光束分離部12とは異なるディスプレイ装置に表示出力してもよい。この場合、視線追跡データ63とサンプル画像55との合成画像には、視線提供者を識別する固有の識別番号と、サンプル画像55を示す識別番号とをヘッダー領域に付与するとよい。
そして、美容アドバイザーまたは被験者Sの操作によって、視線提供者とサンプル画像55の識別番号をそれぞれ要求受付部78(操作部72)より入力する。すると、CPU70は、対応するサンプル画像55に対する当該視線提供者の視線追跡データ63を格納部33から呼び出して、出力部40で表示出力させる。これにより、被験者Sは、光束分離部12で鏡像50と重畳表示される自らの視線追跡データ62と、サンプル画像55に重ね合わされてディスプレイ装置で表示出力される視線追跡データ63とを交互に対照することが可能となる。
【0094】
また、視線データ蓄積部32に蓄積する視線追跡データ63の視線提供者は、上記のように美容専門家SP、異性OPまたは著名人CEに限られず、被験者S自身より過去に取得した視線追跡データでもよい。
これにより、過去の被験者S自身の視線追跡データを、現在の被験者Sの視線追跡データ62とともに出力部40で出力することにより、被験者Sは、メイクの似合いの判断時の着目点に関する自己の変化や成長を確認することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、サンプル画像55を複数のカテゴリに分類して画像蓄積部31に記憶することを説明したが、本発明はこれに限られない。サンプル画像55には複数の項目に関するスコアを付与して画像蓄積部31に記憶してもよい。項目としては、上述のカテゴリと同様に、髪型のボリューム感の分布の特徴、顔型、顔パーツの相対位置、肌色の分類、虹彩色の分類、年齢などを用いることができる。すなわち、サンプル画像55を各項目に関してスコア付けして、スコアデータをテーブル形式で記憶部30に記憶しておく。そして、本方法のステップS62では、撮像部14で取得した頭部画像52を同様にスコア付けし、スコアの一致度の高いサンプル画像55をテーブル検索して抽出してもよい。
【0096】
また、第一および第二実施形態では、被験者Sの視線追跡データ62(および他の視線追跡データ63)を、視点VPのプロット図として表示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被験者Sまたは視線提供者の目視頻度の分布図(コンター図)として表示出力してもよい。
【0097】
また、視線提供者を美容専門家SPとする場合、化粧メイクの専門家の視線に関するメイク専門家視線データと、ヘアスタイルやヘアカラーの専門家の視線に関するヘア専門家視線データと、をそれぞれ視線データ蓄積部32に蓄積してもよい。なお、化粧メイクとヘアスタイルやヘアカラーとの両方に精通した専門家から視線データを蓄積してもよい。この場合、ヘア専門家視線データとメイク専門家視線データとが、同一人の視線に関する視線データであってよい。
そして、被験者Sが鏡像50における化粧メイクの似合いを判断する場合には、被験者Sの視線追跡データ62とともに、メイク専門家視線データを表示出力してもよい。また、被験者Sが鏡像50におけるヘアメイクやヘアカラーの似合いを判断する場合には、被験者Sの視線追跡データ62とともに、ヘア専門家視線データを表示出力してもよい。
【0098】
第一および第二実施形態では、光束分離部12として半透過鏡(ハーフミラー)を使用することを例示したが、本発明はこれに限られない。被験者Sが鏡像50を目視可能であって、かつ被験者Sの正面より撮像部14で頭部画像が撮像可能であるかぎり、光束分離部12の具体的な機構は特に限定されない。たとえば、半透過鏡に代えて、電気駆動式の光学フィルタを光束分離部12に設け、光束分離部12における透過または反射を短時間でスイッチしてもよい。これにより、透過光と反射光とが短時間で切り替えられて、被験者Sは鏡像50を目視することができ、また撮像部14は被験者Sの頭部画像52を撮像することが可能である。
【0099】
<その他の実施形態>
上述のように、被験者Sを被カウンセラーとして美容アドバイスを提供する場合を例に本発明を説明した。しかしながら、以下に例示するように被験者Sと被カウンセラーとが異なることで、独自の効果を発揮する美容カウンセリング方法が提供される。
【0100】
被験者Sが美容専門家SPである場合、他人にあたる被カウンセラーに対して、美容専門家SPの視線を教授することができる。ここで、被カウンセラーは美容の素人であってもよく、または被カウンセラー自身が他の美容専門家であってもよい。
【0101】
(x)すなわち、美容の素人を被カウンセラーとする場合、美容専門家SPが実演する美容行為の鏡像を自ら目視する場合の視線を被カウンセラーに教授するための、いわゆるハウツー動画が提供される。すなわち、美容行為を実演するハウツー動画に対して、上級者にあたる美容専門家SPの視線情報を付与することにより、被カウンセラーへの伝達力が向上する。
【0102】
(xi)一方、美容専門家を被カウンセラーとする場合、他者による客観的な判定を元に、美容専門家の能力やスキルを向上させる教育的方法を提示することができる。すなわち、美容行為をする専門家の鏡像に対する視線を、一ないし複数の他の専門家が確認することで、専門家同士での相互学習に活用することが可能である。なお、美容に関する知見を自ら学習することも、本発明にいう美容カウンセリングの一態様である。
【0103】
(xii)また、被験者Sが美容専門家SPであることにより、カウンセリングを行なう人のスキルや嗜好による偏りを補うため、スキルの高い美容専門家SPの能力をあらかじめ収集し、活用することができる。例えば、美容師などの美容専門家SPが美容施術している、または美容専門家SP自身が美容施術されている最中の鏡像に対する美容専門家SPの視線を分析することができる。これにより、美容カウンセリングに重要な視点データを収集し、その収集データを活用して適切な美容カウンセリングを行うことが可能となる。
【0104】
これに対し、視線追跡データ62が取得される被験者Sが美容の素人である場合にも、独自の効果を発揮する美容カウンセリング方法が提供される
【0105】
被カウンセラーが美容の素人である場合には、同じく素人にあたる他人(被験者S)が自身の鏡像に対して向ける視線の一般的な移動を知ることで、被カウンセラー自身の視線の移動傾向を客観化することができる。
【0106】
(xiii)また、被験者Sが美容の素人であることで、被験者Sの説明力や表現力に依存せずに、美容に関する被験者Sのニーズを把握することができる。すなわち、鏡像に対する被験者Sの視線を分析することで、被験者の意識的な、または無意識のニーズを把握することができる。
【0107】
上記実施形態は、以下の技術的思想を包含する。
(1)被験者の美容行為を支援する美容支援装置であって、
入射光の一部を透過して他の一部を反射する光束分離手段と、
前記光束分離手段を透過した前記被験者の頭部画像を撮像する撮像手段と、
前記光束分離手段で反射された前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す視線追跡データを取得する視線取得手段と、
前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を互いに対応づける視点位置情報調整手段と、
前記頭部画像に対応づけられた前記視線追跡データを出力する出力手段と、
を備える美容支援装置。
(2)前記視点位置情報調整手段により互いに対応づけられた前記頭部画像と前記視線追跡データとを記憶する記憶手段をさらに備える(1)に記載の美容支援装置。
(3)前記光束分離手段が半透過鏡である(1)または(2)に記載の美容支援装置。
(4)前記視点位置情報調整手段が、前記頭部画像と前記視線追跡データとを合成した合成画像を生成し、
前記出力手段が、前記合成画像を出力することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の美容支援装置。
(5)前記出力手段が、前記鏡像と前記頭部画像とを互いに位置合わせして、前記視線追跡データを前記鏡像に重畳して出力することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の美容支援装置。
(6)前記視点位置情報調整手段が、前記頭部画像を左右反転させて前記頭部位置情報と前記視点位置情報とを対応づける(1)から(5)のいずれかに記載の美容支援装置。
(7)前記被験者の前記頭部画像または他の画像を目視する視線提供者の視点位置の推移を示す他の視線追跡データを保存する蓄積手段をさらに備え、
前記出力手段が、前記他の視線追跡データをさらに出力することを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の美容支援装置。
(8)前記視点位置情報調整手段が、前記被験者の前記頭部画像における前記頭部位置情報と、前記他の視線追跡データが示す前記視点位置情報と、を互いに対応づけ、
前記出力手段が、前記頭部画像に対してともに対応づけられた前記被験者の前記視線追跡データと前記他の視線追跡データとを、それぞれ前記被験者の前記頭部画像または前記鏡像に重畳して出力する(7)に記載の美容支援装置。
(9)前記他の視線追跡データが、美容専門家の視線に関する専門家視線データである(7)または(8)に記載の美容支援装置。
(10)前記他の視線追跡データが、前記被験者と異なる性別の前記視線提供者の視線に関する異性視線データ、または著名人の視線に関する著名人視線データである(7)から(9)のいずれかに記載の美容支援装置。
(11)情報処理装置を用いて被験者の美容行為を支援する美容アドバイス方法であって、
前記被験者の頭部画像を前記被験者に正対して撮像するとともに、前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す前記視線追跡データを取得する工程と、
前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を前記情報処理装置によって互いに対応づける工程と、
前記頭部画像に対応づけられた前記視線追跡データを出力する工程と、
を含む美容アドバイス方法。
(12)前記被験者の前記頭部画像または他の頭部画像を目視する視線提供者の視点位置の推移を示す他の視線追跡データを取得する工程と、
前記被験者の前記頭部画像における前記頭部位置情報と、前記他の視線追跡データが示す前記視点位置情報と、を互いに対応づける工程と、
前記被験者の前記頭部画像に対してともに対応づけられた前記被験者の前記視線追跡データと前記他の視線追跡データとを、前記被験者の前記頭部画像または前記鏡像に重畳して出力する工程と、
をさらに含む(11)に記載の美容アドバイス方法。
【符号の説明】
【0108】
10 筐体
12 光束分離部
14 撮像部
16 信号線
18 画像提示部
20 視線取得部
22 信号線
24 光ビーム
30 記憶部
31 画像蓄積部
32 視線データ蓄積部
33 格納部
40 出力部
42 表示駆動部
50 鏡像
52 頭部画像
55 サンプル画像
60 頭部
62、63 視線追跡データ
64 合成画像
70 CPU
72 操作部
74 抽出部
76 調整部
78 要求受付部
80 バスライン
100 美容支援装置
S 被験者
VP 視点
LOS 視線
SP 美容専門家
OP 異性
CE 著名人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の一部を透過して他の一部を反射する光束分離手段と、
前記光束分離手段を透過した被験者の頭部画像を撮像する撮像手段と、
前記光束分離手段で反射された前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す視線追跡データを取得する視線取得手段と、
前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を互いに対応づける視点位置情報調整手段と、
前記頭部画像に対応づけられた前記視線追跡データを出力する出力手段と、
を備える美容支援装置。
【請求項2】
前記視点位置情報調整手段により互いに対応づけられた前記頭部画像と前記視線追跡データとを記憶する記憶手段をさらに備える請求項1に記載の美容支援装置。
【請求項3】
前記光束分離手段が半透過鏡である請求項1または2に記載の美容支援装置。
【請求項4】
前記視点位置情報調整手段が、前記頭部画像と前記視線追跡データとを合成した合成画像を生成し、
前記出力手段が、前記合成画像を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の美容支援装置。
【請求項5】
前記出力手段が、前記鏡像と前記頭部画像とを互いに位置合わせして、前記視線追跡データを前記鏡像に重畳して出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の美容支援装置。
【請求項6】
前記視点位置情報調整手段が、前記頭部画像を左右反転させて前記頭部位置情報と前記視点位置情報とを対応づける請求項1から5のいずれか一項に記載の美容支援装置。
【請求項7】
前記被験者の前記頭部画像または他の画像を目視する視線提供者の視点位置の推移を示す他の視線追跡データを保存する蓄積手段をさらに備え、
前記出力手段が、前記他の視線追跡データをさらに出力することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の美容支援装置。
【請求項8】
前記視点位置情報調整手段が、前記被験者の前記頭部画像における前記頭部位置情報と、前記他の視線追跡データが示す前記視点位置情報と、を互いに対応づけ、
前記出力手段が、前記頭部画像に対してともに対応づけられた前記被験者の前記視線追跡データと前記他の視線追跡データとを、それぞれ前記被験者の前記頭部画像または前記鏡像に重畳して出力する請求項7に記載の美容支援装置。
【請求項9】
前記他の視線追跡データが、美容専門家の視線に関する専門家視線データである請求項7または8に記載の美容支援装置。
【請求項10】
前記他の視線追跡データが、前記被験者と異なる性別の前記視線提供者の視線に関する異性視線データ、または著名人の視線に関する著名人視線データである請求項7から9のいずれか一項に記載の美容支援装置。
【請求項11】
情報処理装置を用いて被カウンセラーの美容行為を支援する美容カウンセリング方法であって、
被験者の頭部画像を前記被験者に正対して撮像するとともに、前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す視線追跡データを取得する工程と、
前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を前記情報処理装置によって互いに対応づける工程と、
前記頭部画像に対応づけられた前記視線追跡データを出力する工程と、
を含む美容カウンセリング方法。
【請求項12】
出力される前記視線追跡データを、前記被カウンセラーに提示することを特徴とする請求項11に記載の美容カウンセリング方法。
【請求項13】
前記被験者が前記被カウンセラーである請求項12に記載の美容カウンセリング方法。
【請求項14】
前記被験者と前記被カウンセラーとが異なる請求項12に記載の美容カウンセリング方法。
【請求項15】
前記被験者が美容専門家である請求項14に記載の美容カウンセリング方法。
【請求項16】
情報処理装置を用いて被験者の視線に関する視線追跡データを取得する方法であって、
被験者の頭部画像を前記被験者に正対して撮像するとともに、前記被験者の鏡像を目視する当該被験者の視点の推移を示す前記視線追跡データを取得する工程と、
前記頭部画像における頭部位置情報と、前記視線追跡データが示す視点位置情報と、を前記情報処理装置によって互いに対応づける工程と、
を含む視線追跡データ取得方法。
【請求項17】
前記被験者の前記頭部画像または他の頭部画像を目視する視線提供者の視点位置の推移を示す他の視線追跡データを取得する工程と、
前記被験者の前記頭部画像における前記頭部位置情報と、前記他の視線追跡データが示す前記視点位置情報と、を互いに対応づける工程と、
前記被験者の前記頭部画像に対してともに対応づけられた前記被験者の前記視線追跡データと前記他の視線追跡データとを、前記被験者の前記頭部画像または前記鏡像に重畳する工程と、
をさらに含む請求項16に記載の視線追跡データ取得方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−92691(P2011−92691A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148644(P2010−148644)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】