説明

義歯粘着剤

【課題】この発明は、部分塩の形態であることが好ましいものである、マレイン酸/アルキル・ビニル・エーテル共重合体のナトリウム/マグネシウム/亜鉛塩またはマグネシウム/亜鉛塩を備える義歯粘着剤を提供するものである。
【解決手段】新規な義歯粘着組成物は、粘着ミクスチャーを含み、このミクスチャーは、ナトリウム・カルボキシメチル・セルロースと;アルキル・ビニル・エーテル・マレイン酸共重合体の部分的に中和されたナトリウム、マグネシウムと亜鉛がミックスされた塩または部分的に中和されたマグネシウムと亜鉛とがミックスされた塩のいずれかとを含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
この発明は、総義歯を含む義歯粘着剤に関し、そして、総義歯を含む義歯粘着剤を作り、これを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連の技術の記述
普通に取り外しできる義歯(総義歯を含む義歯)と義歯床は、口内に通常はあったが無くなってしまったすべての歯または一部の歯に代るものとして機能する。総義歯は、通常使用者にぴったり合うようになっているが、時が経つにつれて、嵌まり具合が変化して、不快な感じになり、ずれが生ずる。この不快な感じを和らげ、ずれをコントロールするためには、総義歯粘着剤を総義歯へ適用すればよい。総義歯粘着剤は、付着剤として作用すると共に総義歯と総義歯を嵌めている人の歯ぐきとの間のガスケットまたはクッションとして作用する。
【0003】
総義歯粘着剤には、極めて複雑になっている環境において、即ち、人間の口内において、多岐にわたる一見相反する特性を発揮できることが要求される。総義歯粘着剤は、口腔内粘膜に接触すれば、素早くくっついて、総義歯がゆるゆるになるのを防ぐようになっていなければならない;また総義歯粘着剤は、湿気または唾液で水和されたとき、素早く凝集力を発揮できるものでなければならない。また総義歯粘着剤は、使用時においては、ある程度の時間にわたって、総義歯をその位置に保持するものでなければならない。総義歯粘着剤は、一日1回使用すれば十分であるものでなければならず、毒性がなく、器官感覚受容性があるものでなければならない。それらは、簡単に流れ出るものであってはならない。しかしながら、総義歯粘着剤は、また、使用後総義歯と口腔内粘膜から簡単に取れるものでなければならない。
【0004】
種々の重合体塩を使用して、総義歯粘着剤をうまく作るいくつかの試みがなされてきている。当該分野からの一つの好ましい重合体は、無水マレイン酸とアルキル・ビニル・エーテルの共重合体であり、登録商標Gantrezで市販されているものである。このクラスの重合体は、30年以上前に交付されているジャーマン他の米国特許第3,003,988号にポッシブルな総義歯粘着剤として記載されている。
【0005】
この特許には、総義歯を安定させるための、合成されていて、水にセンシティブであるが、水に溶解しない、低級アルキル・ビニル・エーテルと無水マレイン酸共重合体のミックスされたパーシャル塩を含むマテリアルズが記載されている。前記特許に言及されている塩類は、ナトリウム、カリウムおよび第4級アンモニウム化合物を含む、(a)カルシウムと(b)アルカリ類とが1:1から5;1のモル比で混合された混合物である。前記共重合体にカルシウムとアルカリマテリアルズとが添加され、混合塩を形成する。このクラスのマテリアルズの使用は、種々の他の特許に記載されている。例えば、米国特許第5,093,387;5,037,924;4,980,391および4,373,036号、欧州公開特許出願第406,643号が含まれる。
【0006】
Gantrez(登録商標)ポリマーから作られた総義歯粘着剤に粘着特性と凝集特性とを付加するために、一つのアプローチとして、前記共重合体の塩フォルムに工夫をこらすことが行われている。その例は、WO92/22280、WO92/10988、WO92/10987およびWO92/10986に見られる。
【0007】
一つのアプローチは、1988年7月19日に交付されたシャー他への米国特許第4,758,630号に見られる。この特許は、亜鉛またはストロンチウムの部分塩をもつ総義歯粘着剤に対するものである。
【0008】
他のアプローチは、1991年12月17日に交付されたホレヴァ他への米国特許第5,073,604号でリポートされている。この特許は、Gantrez(登録商標)ポリマーの部分塩から作った総義歯粘着剤に対するものである。カチオン類は、亜鉛イオンまたはストロンチウムイオンであり、これは、カルシウムカチオン、そしてオプショナルにナトリムカチオンと組み合わされたものである。
【0009】
1994年3月29日に交付されたプロサイス他への米国特許第5,298,534号は、ボロンをクロスリンクしたガールガムとキャリアーとしてのオイルベースをもつカルシウム、ナトリウム、ストロンチウム、亜鉛、マグネシウムおよびカリウムのGantrez(登録商標)塩類の使用をリポートしている。好ましい混合塩は、Ca/Na混合塩である。ガールガムは、主張する長い保持力と粘性構築特性にとっての"鍵"になっている。
【0010】
他のアプローチは、組成に粘着アジュバントを用いるか、または、前記共重合体をターポリマーへコンバートするかであって、これらのアプローチの例は、米国特許第3,636,274;5,037,924および5,093,387号に見ることができる。無水マレイン酸/アルキル・ビニル・エーテルのタイプのポリマー類および、それらの塩類の特性を改善しようとする努力にも拘らず、これらの組成では、粘着力、凝集力および総義歯の下からの流出への抵抗力を望み通りに完全に発揮させる手立てにはなっていない。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
それが故に、本発明の主たる目的は、口腔内粘膜にまず最初コンタクトしたときには、十分な粘着性を示し、ついで、湿気または唾液により水和されたとき、良好な保持特性のための凝集力を発揮して、咀嚼により生ずるストレスのようなストレスに耐えることができるようになる新規にして、改良された義歯(総義歯を含むもの)粘着組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、長時間にわたり粘着特性を保持し、流出しない改良された粘着剤を提供することにある。
【0013】
この発明のさらなる目的と利点とは、以下の説明に記載されているものと、この説明から明らかになるものとがあり、また、発明の実施から知ることができる。発明の目的と利点とは、添付の請求の範囲に特に指摘した手段ならびに組み合わせによって実現し、達成されるものである。
【0014】
ここに実例をあげ、そして広く記載したような前記した目的を達成するため、そして、この発明の目的に基づいて、この発明は、部分塩の形態であることが好ましいものである、マレイン酸/アルキル・ビニル・エーテル共重合体のナトリウム/マグネシウム/亜鉛塩またはマグネシウム/亜鉛塩を備える義歯粘着剤を提供するものである。
【0015】
前記目的をさらに達成するために、そして、発明の目的に基づいて、この発明は、さらに、部分塩の形態であることが好ましいものである、マレイン酸/アルキル・ビニル・エーテル共重合体のナトリウム/マグネシウム/亜鉛塩またはマグネシウム/亜鉛塩を備える義歯粘着剤を適用して、取り外し可能な歯用のデバイスを口内に固定する方法を提供する。
【0016】
この明細書は、本発明であるとして特に指摘し、明確に請求した請求の範囲で締めくくるものであるが、この発明の目的と利点とは、添付の図面を参照しながら読解したとき、好ましい実施例の以下の記述から、より簡単に確かめられるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好ましい実施例の記述
この発明の現に好ましい実施例について、詳細に触れることにする。
【0018】
本発明の重合体塩類は、C1〜C4アルキル・ビニル・エーテル・マレイン酸共重合体の混合部分塩類である。メチル・ビニル・エーテル/無水マレイン酸共重合体で、25℃のメチル・エチル・ケトン内で1.2よりも大きい比粘度を有するものが、好ましい共重合体である。さらに好ましい共重合体は、発明者として、サイノディス、スメタナ、ガスマン、ワンおよびクラーケがリストされている、本出願と同時に出願された"改良された義歯粘着組成物"と題する特許出願(WO 96/04883)に記載された共重合体から選ばれるものであり、その出願の記載は、ここに参考文献として組み入れるものである。その発明の共重合体は、好ましい共重合体であるにせよ、この発明は、それらの共重合体の使用に限定されるものではない。
【0019】
この発明のアルキル・ビニル・エーテル/マレイン酸(MVE/MA)部分塩に対しての置換リミットの度合いは:(a)マグネシウム約5%から約55%、さらに好ましくは、マグネシウム約15%から約45%、最も好ましくは、マグネシウム約20%から約40%;(b)亜鉛約5%から約65%、さらに好ましくは、亜鉛約10%から約60%、最も好ましくは、亜鉛約15%から約55%;および(c)ナトリウム約0%から約40%、さらに好ましくは、ナトリウム約0%から約35%、最も好ましくは、ナトリウム約0%から約30%である。
【0020】
この重合体塩は、マグネシウム、亜鉛およびナトリウムの酸化物と水酸化物でMVE/MA共重合体を部分中和して作られる。この塩が作られれば、使用された金属化合物が前記共重合体におけるカルボン酸基と反応し、それらを中和する。前記共重合体鎖におけるカルボン酸基は、100%以下のものが中和されることが好ましい。前記金属化合物は、前記共重合体のカルボン酸基の約20%から約95%のものを中和することが、さらに好ましく、前記共重合体のカルボン酸基の約30%から約90%のものを中和することが最も好ましい。
【0021】
前記カルボン酸基を中和するために使用するアルカリ性無機金属化合物を選ぶに当たっては、前記化合物のアニオンポーションは、酸化物、水酸化物、炭酸塩またはハロゲン化物であることが好ましいものではあるが、これに限定されるものではない。なかでもハロゲン化物、塩化物が最も好ましい。一般的には、酸化物または水酸化物が、取り扱いのしやすさ、入手しやすさ、カルボン酸との反応で形成される副産物が概ね無害である点から好ましいものである。
【0022】
発明の塩を作るには、重合体の溶液を調製するが、これは、昇温温度で行うのが通常である。そして、前記金属化合物の溶液または分散液も調製される。加熱した重合体溶液を十分に冷却した後、金属化合物の溶液または分散液と重合体溶液とを組み合わせ、反応させる。形成されたプロダクト塩をトレイ内またはドラムドライヤー内のいずれかで乾燥し、乾燥したものを好ましくは約100メッシュ以下に粉砕し、ついで、薬理的に許容されるキャリアー内に分散し、当業者に周知の技術を用いて、この発明の義歯粘着剤を形成する。
【0023】
MVE/MA共重合体は、アメリカ合衆国ニュージャージー州のISPコーポレーションからGantrez(登録商標)のものが入手できる。この重合体は、メチル・ビニル・エーテル/マレイン酸であるGantrez−Sシリーズの内およびメチル・ビニル・エーテル/無水マレイン酸であるGantrez ANシリーズの内のものを用いることができる。
【0024】
この発明の義歯粘着剤は、パウダー、液体またはクリームの形態で組成できるものである。また、この組成物には、他の活性および不活性成分が含まれる。
【0025】
本発明の義歯粘着剤組成物には、義歯粘着剤有効量の義歯粘着塩と薬理的に許容される義歯粘着剤用キャリアーとが含まれている。通常の場合、義歯粘着塩は、義歯粘着組成物の約15重量%から約55重量%である。該塩は、義歯粘着組成物の約18重量%から約52重量%であることが好ましく、クリーム組成にあっては、義歯粘着組成物の約27重量%から約36重量%、パウダー組成にあっては、義歯粘着組成物の約45重量%から約55重量%であることが最も好ましい。
【0026】
前記粘着剤における活性成分は、MVE/MA共重合体のNa/Mg/Zn部分塩とカルボキシメチル・セルロース・ガムである。不活性成分には、ペトロラタム、ミネラルオイル、フレイバー類、着色剤、防腐剤、濃化剤およびシリカとタルクのような無害のアンチケーキング剤が含まれる。
【0027】
前記義歯粘着剤のほかに、前記組成物には、薬理的に問題がないキャリアーが含まれる。この薬理的に許容されるキャリアーには、通常用いられているマテリアルズが含まれ、必要に応じて、従来から使用の粘着アジュバントを含むことができる。例えば、このキャリアーには、カルボキシメチル・セルロース.ガムが含まれ、これは、前記粘着剤を湿気に対しセンシティブなものとし、前記組成の凝集特性を向上し、ゲル強度を改善させる。
【0028】
カルボキシエチル・セリロースおよびカルボキシプロピル・セルロースマテリアルズも使用できる。前記セルロース・ガムを入れる場合には、このガムは、クリームフォーミュラの場合、義歯粘着クリーム組成物の約10重量%から約30重量%が好ましく、約15重量%から約25重量%がさらに好ましく、最も好ましくは、約20重量%から約22重量%である。パウダーフォーミュラにおいては、前記セルロース・ガムは、前記組成物の約45重量%から約55重量%が好ましい。前記セルロース・ガムは、フルまたはパーシャル塩の形態、好ましくは、ナトリウム塩として存在する。
【0029】
前記義歯粘着剤組成物のキャリアーポーションに入れる不活性成分には、ペトロラタム、ワックス、ミネラルオイルその他のオイル類のような濃化剤;合成フレイバーオイル類および/または植物と果実から得るオイル類のようなフレイバー類;食品、医薬品および化粧品使用に適し、FD&C着色剤として知られている着色剤;パラベン類、安息香酸および安息香酸塩などのような防腐剤;粘度モディファイヤー;およびシリカ、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクのような非毒性アンチケーキング剤が含まれる。
【0030】
クリームフォーミュラにおいては、ミネラルオイルまたは均等物は、前記組成物の約10重量%から約35重量%、好ましくは、約12重量%から約17重量%であり、ペトロラタムおよび均等物は、前記組成物の約20重量%から約50重量%、好ましくは、約25重量%から約45重量%である。
【0031】
Mg20%/Zn40%/Na塩5%を用いた義歯粘着クリーム配合の好ましい組成は、以下の通りである:
【0032】

【0033】
ポンプ式容器に適合するように特別に処方された義歯粘着クリームとパウダー組成であって、両者いずれもMg20%/Zn40%/Na塩5%を用いた好ましい組成は、以下の通りである:
【0034】

【0035】
実施例1
室温で精製された水900.40グラムを高速攪拌器つき主反応ケトルへ入れた。無水MVE/MA共重合体73.38グラムを主混合ケトルへゆっくり添加し、絶えず混合し続けた。前記バッチを85℃から95℃へ加熱した。
【0036】
室温で精製された水250.11グラムを補助ケトルへ入れ、NaOH 7.52グラム、ZnO 17.21グラムおよびMgO 1.89グラムをゆっくり添加した。ここでの実施例において成分として用いた無機マテリアルズのすべては、特に指摘しない限り、USPグレード無水ロウマテリアルスである。前記補助ケトルのものをよく混合し、均質のスラリーを作った。このスラリーを前記主反応ケトルへゆっくり添加したが、この際は、局部的に反応しないように、高速でミキシングした。温度を下げ、2時間にわたりミキシングを続けた。できた溶液を底が浅いステンレススチールの乾燥トレイへ移し、これらトレイを18時間にわたり70℃のホットエアーコンベンクションオーブン内に配置し、乾燥塩にした。この実施例では、トレイを使用したが、ドラムドライヤーでも構わない。
【0037】
ついで、乾燥したMg/Zn/Na Gantrez塩を適当なミルで粉砕し、#100メッシュの篩で篩別した。得られたパウグーの1%溶液は、約5から約7のpHを有しているものであった。この塩は、MVE/MA共重合体のMg 10%/Zn45%/Na 20%の塩である。
【0038】
実施例2(比較)
Ca(OH)2のモル等量を実施例1に用いたMgOの量に置換した点を除けば、実施例1に記載のものと同じプロセスで、比較する塩を調製した。できた塩は、MVE/MA共重合体のCa 10%/Zn 45%/Na 20%の塩である。
【0039】
実施例3
室温で精製された水900.40グラムを高速攪拌器つき主反応ケトルへ入れた。無水MVE/MA共重合体76.26グラムを主混合ケトルへゆっくり添加し、絶えず混合し続けた。前記バッチを85℃から95℃へ加熱した。
【0040】
室温で精製された水250.11グラムを補助ケトルへ入れ、NaOH 3.91グラム、ZnO 15.89グラムおよびMgO 3.94グラムを前記水へゆっくり添加した。前記補助ケトルのものをよく混合し、均質のスラリーを作った。ついで、このスラリーを前記主反応ケトルへゆっくり添加したが、この際は、局部的に反応しないように、高速でミキシングした。温度を下げ、2時間にわたりミキシングを続けた。できた溶液を底が浅いステンレススチールの乾燥トレイへ移し、これらトレイを18時間から20時間にわたり70℃のホットエアーコンベンクションオーブン内に配置し、乾燥塩にした。
【0041】
ついで、乾燥したMg/Zn/Na Gantrez塩を適当なミルで粉砕し、#100メッシュの篩で篩別した。得られたパウダーの1%溶液は、約5から約7のpHを有しているものであった。この塩は、MVE/MA共重合体のMg 20%/Zn40%/Na 10%の塩である。
【0042】
実施例4(比較)
Ca(OH)2のモル等量を実施例3に用いたMgOの量に置換した点を除けば、実施例3に記載のものと同じプロセスで、比較する塩を調製した。できた塩は、MVE/MA共重合体のCa 20%/Zn 40%/Na 10%の塩である。
【0043】
実施例5
室温で精製された水900.40グラムを高速攪拌器つき主反応ケトルへ入れた。無水MVE/MA共重合体82.37グラムを主混合ケトルへゆっくり添加し、絶えず混合し続けた。前記バッチを85℃から95℃へ加熱した。
【0044】
室温で精製された水250.11グラムを補助ケトルへ入れ、ZnO 7.52グラムおよびMgO 10.11グラムを前記水へゆっくり添加した。前記補助ケトルのものをよく混合し、均質のスラリーを作った。ついで、このスラリーを前記主反応ケトルへゆっくり添加したが、この際は、局部的に反応しないように、高速でミキシングした。温度を下げ、2時間にわたりミキシングを続けた。できた溶液を底が浅いステンレススチールの乾燥トレイへ移し、これらトレイを18時間から20時間にわたり70℃のホットエアーコンベンクションオーブン内に配置し、乾燥塩にした。
【0045】
ついで、乾燥したMg/Zn Gantrez塩を適当なミルで粉砕し、#100メッシュの篩で篩別した。得られたパウダーの1%溶液は、約4.5から約6.5のpHを有しているものであった。この塩は、MVE/MA共重合体のMg 47.5%/Zn17.5%の塩である。
【0046】
実施例6〜9
実施例1〜4の微粉砕した塩から義歯粘着組成物を調製し、以下の方法で、図1に示したマシンを用いて、該組成物の粘着強度のテストを行った:
(a)0.15グラムのサンプルをアクリル樹脂の下位ブロック1の頂部に配置した;
(b)前記サンプルを引きのばし、直径1.5インチのアクリル樹脂の下位ブロック1の頂部を覆うようにした;
(c)上位ブロック2を下位ブロック1の頂部に置いた;
(d)下位ブロック1が丁度水没するように水槽3に水を入れた(水は、前記ブロックの間にゆっくりしみこみ;下位ブロック1の頂部にあるクロス4がテストの間水を吸水して、前記塩類を水和する。前記クロスは、コットンとレイヨンから作られたもので、マーク・ヴィ・ラボラトリーから購入できる);
(e)前記サンプルを10分間放置しておく;
(f)ついで、上位ブロック2へ20ポンドの圧力を5秒間かける;
(g)インストロン・モデル#1122を用いて、下位ブロック1から上位ブロック2を引き離すに必要な力を計測した;
(h)前記ブロックを引き離した後、10秒間にわたり、該ブロックを水中にしたし、ついで下位ブロックの上へ上位ブロックを置き直し、前記サンプルがより多量の水を吸うようにし、そして
(i)前記ステップ(f)(g)(h)を表1に示す時間経過後に繰り返した。
【0047】
前記結果を表1〜7に示す。実施例3の塩と実施例4の塩とを比較するために、各塩の3つの異なるバッチがテストされた。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
実施例10
室温で精製された水900.40グラムを高速攪拌器つき主反応ケトルへ入れた。無水MVE/MA共重合体77.80グラムを主混合ケトルへゆっくり添加し、添加しながら絶えず混合し続けた。前記反応ケトルを85℃から95℃の温度に維持した。
【0056】
室温で精製された水250.11グラムを補助ケトルへ入れ、NaOH 3.99グラム、ZnO 12.18グラムおよびMgO 6.03グラムをもまた前記補助ケトルへ添加した。前記コンビネーションしたものを均質のスラリーになるまでよく混合した。このスラリーを前記主反応ケトルへゆっくり添加したが、この際は、局部的に反応しないように、高速でミキシングした。温度を下げ、2時間にわたりミキシングを続けた。できた溶液を底が浅いステンレススチールの乾燥トレイへ移し、これらトレイを18時間〜20時間にわたり70℃のホットエアーコンベンクションオーブン内に配置した。ついで、乾燥したMg/Zn/Na Gantrez塩を適当なミルで粉砕し、#100メッシュの篩で篩別した。前記パウダーの1%溶液は、約5から約7のpHを有しているものであった。この塩は、MVE/MA共重合体のMg 30%/Zn30%/Na 10%の塩である。
【0057】
実施例11
室温で精製された水900.40グラムを高速攪拌器つき主反応ケトルへ入れた。無水MVE/MA共重合体76.27グラムを主混合ケトルへゆっくり添加し、添加しながら絶えず混合し続けた。前記反応ケトルを85℃から95℃の温度に維持した。室温で精製された水250.11グラムを補助ケトルへ入れ、NaOH 3.91グラム、ZnO 11.94グラムおよびMgO 7.88グラムをもまた前記補助ケトルへ添加した。前記コンビネーションしたものを均質のスラリーになるまでよく混合した。このスラリーを前記主反応ケトルへゆっくり添加したが、この際は、局部的に反応しないように、高速でミキシングした。温度を下げ、2時間にわたりミキシングを続けた。できた溶液を底が浅いステンレススチールの乾燥トレイへ移し、これらトレイを18時間〜20時間にわたり70℃のホットエアーコンベンクションオーブン内に配置した。ついで、乾燥したMg/Zn/Na Gantrez塩を適当なミルで粉砕し、#100メッシュの篩で篩別した。前記パウダーの1%溶液は、約5から約7のpHを有しているものであった。この塩は、MVE/MA共重合体のMg 40%/Zn30%/Na 10%の塩である。
【0058】
実施例12〜19
前記実施例からの塩をシリカと組み合わせ(1%ベース組み合わせ)、上記したと同じように粘着テストした。この結果を図2から図5にそれぞれ示し、それぞれの場合においての本発明の塩を点で示し、比較の塩を+で示す。
【0059】
上記の記述の目的は、限定を意味することなく、本発明のいくつかの実施例を示すためのものである。本発明の範囲とスピリットから逸脱することなしに、本発明の装置または方法において、種々のモディフィケーションとバリエーションとを行うことができることは、当業者にとり明らかなことである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、発明により作られた塩類の粘着力を測定するために使用するテスト装置を示す。
【図2】図2は、長時間にわたっての実施例1と実施例2との塩類の粘着強度のグラフである。
【図3】図3は、長時間にわたっての実施例3と実施例4との塩類の第1バッチの粘着強度のグラフである。
【図4】図4は、長時間にわたっての実施例3と実施例4との塩類の第2バッチの粘着強度のグラフである。
【図5】図5は、長時間にわたっての実施例3と実施例4との塩類の第3バッチの粘着強度のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル・ビニル・エーテルと無水マレイン酸またはマレイン酸との共重合体のミックスされた部分塩であって、前記塩のカチオンが亜鉛イオンとマグネシウムイオンを含むミックスされた部分塩。
【請求項2】
前記カチオンがさらにナトリウムイオンを含む請求項1のミックスされた部分塩。
【請求項3】
前記共重合体のカルボン酸基の約20%から約95%が中和されている請求項1のミックスされた部分塩。
【請求項4】
前記共重合体のカルボン酸基の約30%から約90%が中和されている請求項1のミックスされた部分塩。
【請求項5】
前記共重合体のカルボン酸基の約5%から約55%がマグネシウムにより中和されている請求項1のミックスされた部分塩。
【請求項6】
前記カルボン酸基の約15%から約45%がマグネシウムにより中和されている請求項5のミックスされた部分塩。
【請求項7】
前記カルボン酸基の約20%から約40%がマグネシウムにより中和されている請求項6のミックスされた部分塩。
【請求項8】
前記共重合体のカルボン酸基の約5%から約65%が亜鉛により中和されている請求項1のミックスされた部分塩。
【請求項9】
前記カルボン酸基の約10%から約60%が亜鉛により中和されている請求項8のミックスされた部分塩。
【請求項10】
前記カルボン酸基の約15%から約55%が亜鉛により中和されている請求項9のミックスされた部分塩。
【請求項11】
前記共重合体のカルボン酸基の約5%から約55%がマグネシウムにより中和され、前記カルボン酸基の約5%から約65%が亜鉛により中和され、前記カルボン酸基の約0%から約40%がナトリウムにより中和されている請求項2のミックスされた部分塩。
【請求項12】
前記カルボン酸基の約0%から約35%がナトリウムにより中和されている請求項11のミックスされた部分塩。
【請求項13】
前記カルボン酸基の約0%から約30%がナトリウムにより中和されている請求項12のミックスされた部分塩。
【請求項14】
前記共重合体の前記カルボン酸基の約20%から約95%が中和されている請求項2のミックスされた部分塩。
【請求項15】
前記共重合体の前記カルボン酸基の約30%から約90%が中和されている請求項2のミックスされた部分塩。
【請求項16】
請求項1の重合体塩を含む義歯粘着組成物を用いて、義歯を口腔内粘膜へ付着する方法。
【請求項17】
請求項2の義歯粘着組成物を含む義歯粘着組成物を用いて、義歯を口腔内粘膜へ付着する方法。
【請求項18】
(a)マグネシウムと亜鉛とのカチオンと反応させるために、無水マレイン酸またはマレイン酸とアルキル・ビニル・エーテルとの共重合体を調製する工程と、
(b)前記共重合体を前記カチオンにさらす工程と、
を含む、無水マレイン酸またはマレイン酸とアルキル・ビニル・エーテルとの共重合体のミックスされた部分塩を作る方法。
【請求項19】
前記カチオンは、さらに、ナトリウムイオンを含む請求項18の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−2263(P2007−2263A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250148(P2006−250148)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【分割の表示】特願平8−507414の分割
【原出願日】平成7年8月7日(1995.8.7)
【出願人】(506311839)ブロック ドラッグ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】