説明

義足

歩行、ランニング、および跳躍運動を行うときの足切断者の歩行と快適性を向上させる義足(60)を開示する。義足の足と足関節(61)は、足関節を構成する連結帯を含む弾性部材として一体に形成されている。開口(62)が、弾性部材を貫通して伸びており、開口の後部が、連結帯の前面を構成する。開口の前方の弾性部材は、背屈時の停止部を形成するとともに、足関節軸周りの回転を可能にするための間隙(63)を含む。開口は、上向きに伸びて連結帯を直立した形状にし、また、連結帯は、前に突出するように湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
その機能においてヒトの足を模した義足を開示する。該義足は、足切断者が歩行、ランニング、および跳躍運動を行うときの歩行特性と快適性を向上させるために、足後部の三つの面内の運動能力、足中央部と足前部の二つの面内の運動能力、および高低の動的応答特性を有する。また、既存の小さい高さの義足の機能を向上させるために装着して、足後部が三つの面内の運動ができるようにする支柱関節組立体も開示される。
【背景技術】
【0002】
補綴学分野の当業者は、これまでに種々の程度の運動能力を有する義足を製作してきた。公知の義足の殆どは、そのような運動を可能にするためにゴム製バンパを備えた金属製ヒンジを使用している。これらの部品は、機械的故障と摩耗の原因となる。また、公知の義足は一般的に製造コストと補修費が高い。従来技術による義足は、いずれもヒトの歩行特性を模したものではない。換言すると、公知の設計によってある程度の運動は可能であるものの、従来技術による義足は、ヒト的な特性を反映させたものではない。これらの特性は、歩行中のヒトの足および足関節の生体力学的機能に関係している。先行技術による義足は、その設計上の特徴がヒトの足を模したものではないために、真にヒトの歩行特性を実現したと言うことはできない。
【0003】
ヒトの足は、合計26個の別々の骨から成る複合体である。足の骨は互いに連結して、関節を構成している。足の関節は、これらの連結部を介して、動作を行うことができる。個々の関節の運動能力は、骨の連結構造、補強靭帯、および制御筋に依存する。足の個々の関節の運動能力については、これまで徹底的に研究されてきた。これらの科学的研究のおかげで、ヒトの足のすべての関節には個別の14の回転軸が存在することが発見された。研究者らは周到に分析を行った結果、ヒトの歩行、ランニング、および跳躍運動におけるこれらの回転軸と運動能力とがどのように作用するのかを究明した。本発明の義足は、これらの科学的研究の成果をもとにして製作されたものであり、足切断者が通常のヒトの歩行特性を獲得するとともに、その生活の質を向上させるために、機能的にヒトの足を模した改良型義足を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0004】
本発明による義足は足前部、足中央部、および足後部を有し、足後部は、歩行中に義足が閉連鎖運動をすることができるよう第一の関節と第二の関節とを含む。第一の関節は、足後部が第一の関節の回転軸を中心にして少なくとも主に矢状面において運動するように配置された回転軸を有する。第二の関節は、足後部が第二の関節の回転軸を中心にして少なくとも主に前平面と横断面において運動するように配置された回転軸を有する。例として開示した実施形態において、第一の関節と第二の関節は、足後部を形成する弾性を有する材料を用いて形成された各々の連結帯によって足後部と一体に形成されている。より具体的に言うと、例示としての一実施形態において義足の足前部、足中央部、および足後部は、成形および/または機械加工によってプラスチックの一体構造体に形成されている。
【0005】
第二の実施形態において、本発明による改良型義足は、既存の小さい高さの義足の機能を向上させるために、そのような義足に本発明による支柱足関節組立体を取付けることによって形成される。支柱足関節組立体は、足後部の一部を構成する第一の関節と第二の関節を含む。両方の実施形態において、足後部の第一の関節が足関節に類似した運動を行い、そして第二の関節が距踵関節に類似した運動を行うことによって、義足はヒトの足に類似した機能を果たすことが可能になる。
【0006】
開示した両方の実施形態による足後部の距踵関節は、歩行中に義足が三つの面において閉連鎖運動を行うことを可能にするための手段を構成する。この三つの面における運動能力のために、義足は、歩行の立脚相において足底接地を容易に維持することができる。この運動能力は、また、横断面内の運動に付随して生じる残肢とソケットの間の剪断力を低減する。
【0007】
本発明によるこれらの、並びにその他の目的、特徴、および利点は、例として開示した実施形態に関して図面を添付して記載された以下の詳細な説明によって、より明白になるであろう。
【0008】
上述した説明と本発明の内容は、例示した実施形態に関する以下の詳細な説明と特許請求の範囲を、添付図面を参照しつつ読むことによってより良く理解できるであろう。これらの詳細な説明、特許請求の範囲、および図面は、本発明の開示内容に含まれる。上述した、並びに以下に記述し、また図示した開示内容は本発明による数種類の例示した実施形態にだけ関連しているが、これらは図示しまた例示のみを目的とし、本発明は、ここでの開示内容に限定されるものではないと明確に了解されるものとする。本発明の精神と範囲は、添付した特許請求の範囲に記載された内容によってのみ限定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面を参照して説明すると、本発明の第一の例示の実施形態による義足1は、弾性を有する半剛性の材料、開示した実施形態においてはプラスチック、を用いて形成された本体2を有し、本体は足前部2A、足中央部2B、および足後部2Cを含む。図2に示したように、義足の補正カバー3が本体2を包み込んでいる。開示した実施形態において、本体2は、成形によってまたは本体用の材料を凹んだ型に流し込んで形成される。しかし、本体2を形成するために、弾性を有する半剛性の材料を機械加工する、または、たとえば成形と機械加工とを組み合わせるなどの別の方法を採用することができる。本体2のプラスチックはエラストマであり、例示した実施形態においてはポリウレタンであるが、別の種類のプラスチックまたは複合材を用いてもよい。義足の本体2は、本明細書において記載するヒトの足における足後部の三つの面における運動、足前部の二つの面における運動、さらに足後部、足中央部、および足前部の動的応答特性と運動能力とを円滑に連続させるように形成されかつ構成されている。
【0010】
足後部の三つの面内の運動能力は、歩行中に義足が閉連鎖運動を行うことを可能にする第一の関節4と第二の関節5とを有する足後部2Cによって達成される。第一の関節4は、足関節としての機能を有する。第二の関節5は、距踵関節としての機能を有する。足関節の回転軸4Aは、足後部2Cが少なくとも主に矢状面において回転軸4Aを中心にして回転できるように配置されている。より具体的に言うと、足関節の回転軸4Aは、義足の長手軸X−Xに直交するように引いた線に対して8〜30°の角度αだけ外向きに回転していることが好ましい(図4参照)。足関節の回転軸4Aは、また、内側が外側より基部に近接するよう横断面から8°の角度βだけ偏倚している(図6参照)。足関節の回転軸をこのように配置することによって、義足の動きをヒトの足関節の矢状面と前平面の運動能力に類似させることができる。
【0011】
義足の場合には筋肉による制御が行われないために、開連鎖運動は起こり得ない。しかし、閉連鎖運動において、脚が内側を向いているときに義足が連結された脚を前向きに動かした場合、外転を伴う背屈が生じる。脚が外側を向いているときに義足が連結された脚を後向きに動かした場合、内転を伴う屈曲が生じる。地面からの反力が、義足1を介してこれらの動きを引き起こす。
【0012】
足関節4と距踵関節5は、足後部の弾性を有する材料を用いて形成した各々の連結帯4B、5Bによって足後部2Cと一体化されている。連結帯は、各々の連結軸の方向に各々延在する。足関節の連結帯4Bの前方と後方の側面並びに距踵関節の連結帯5Bの内側と外側の側面は、足関節と距踵関節との回転軸を中心にした足後部の運動を伝動するとともに、力を吸収させるために凹むように湾曲している。連結帯4Bの凹むように湾曲した前方の側面は、連結帯4Bの前部に沿って足後部2Cを貫通する孔6の外縁によって形成されている。孔6の直径d1は15.9mm(5/8インチ)であるが、義足1の本体2の全体的な大きさに応じて変更することができる。
【0013】
孔6の前方には、足後部2Cが回転軸4Aを中心にして回転できるよう間隙7が設けられている。間隙7の高さ8は、本体2の間隙7に隣接した下側の面が対向して配置されて間隙を画成する上側の面に当接することによって停止部として作用し、背屈時に足後部2Cが足関節の回転軸4Aを中心にして回転する大きさを制限するように選定される。前部の間隙が大きいほど、背屈可能な運動範囲が広がる。図示した実施形態において、孔6は回転軸4Aに平行な方向に伸びている。
【0014】
足後部2Cの足関節連結帯4Bの後部面は、例示した実施形態において、38.1〜50.8mm(1.5〜2インチ)の直径d2を有する凹面であるが、この直径は変更可能であり、本体2の全体的な大きさに応じて決定される。たとえば幼児または小さい子供用の義足の場合には、直径d2は小さいものになる。凹面9の基部側面は、足関節の回転軸4Aに平行な方向に延出していることが好ましい。凹面9の先端側面は、足関節の回転軸4Aに平行な方向に延出させるか、または前平面に平行な方向に延出させることができる。この湾曲は、衝撃を吸収するとともに、足関節を中心にした運動範囲を越えて足底が自由に屈曲できるようにするために必要である。足関節に付与する運動能力を調節するために、使用する材料の密度、硬度、およびその他の性質はもとより、プラスチック製の足関節連結帯4Bの幅wと厚さtとを変更することが可能である(図7参照)。たとえば、膝関節より上の位置に装着する義足は、膝関節より下の位置に装着する義足とは異なる運動特性を有していることが必要である。
【0015】
踵のレバーが屈曲トルクを発生させ、また、つま先のレバーが伸展トルクを発生させることは補綴学の専門家のあいだではよく知られている。このために、膝関節より上の位置に装着する義足と膝関節より下の位置に装着する義足とでは、要求される運動特性が異なっている。したがって、膝関節より上の位置に装着する義足は、足関節後部の凹面が異なる大きさの曲率半径を有するとともに、密度が小さい材料を用いて形成される。これにより、踵のレバーと、それに関連して結果として生じる屈曲トルクとが低減される。足関節の回転軸4Aは矢状面に投影したとき、前部が後部より基部に近接するよう横断面より角度θだけ傾斜している(図8参照)。開示した実施形態における角度θは、図6の角度βと同じ8°である。
【0016】
義足1の距踵関節5は足関節4より下に離間して位置されて、足関節4はその反対側に延在する。距踵関節の回転軸5Aは距踵関節の連結帯5Bに沿って配置され、その向きは、足後部2Cが回転軸5Aを中心にして、主に前平面と横断面においてではあるが、前平面、横断面、および矢状面の3つ全ての面において運動することができるように定められている。回転軸5Aは、足後部2Cを後から前に、足底から背面側に、および外側から内側に向けて貫くように配置されている。横断面に投影したとき、回転軸5Aは、図4に示すように義足の長手軸X−Xに対して9〜23°の角度Δ1だけ傾斜していることが好ましい。角度Δ1は、例示した実施形態においては23°である。図1に矢印Bでその方向を示したように矢状面に投影したとき、回転軸5A(距踵関節5の斜めの軸)は、横断面に対して29〜45°の角度Ψだけ傾斜している(図9参照)。開示した実施形態において角度Ψは30°である。
【0017】
距踵関節5は、内側と外側それぞれの境界が回転軸5Aに平行に延在する孔10、11によって画成されている。孔の直径d3は、本体2の全体的な大きさに応じて変化するが、例示した実施形態においては4.8mm(3/16インチ)である。内側の間隙12と外側の間隙13は、距踵関節のそれぞれの孔10、11から義足の本体2の表面まで外向きに伸びて、足後部2Cが距踵関節の回転軸5Aを中心にして回転できるようにする。内側の間隙12の高さ14と外側の間隙13の高さ15は、各々の間隙を画成する足後部2Cの下側の面が対向して配置された間隙を画成する上側の面に当接することによって停止部として作用し、歩行中の外反と内反時における足後部の回転軸5Aを中心にした曲げつまり回転の大きさを制限するように選定される。内側の間隙14の高さは、外側の間隙15の高さより大きいこと、たとえば二倍であることが好ましい。例示した実施形態において、高さ14は3.2mm(1/8インチ)であり、高さ15は1.6mm(1/16インチ)である。図2に矢印Aでその方向を示したように前平面に投影したとき、回転軸5Aは、内側が外側より基部に近接するよう角度ωだけ傾斜している(図10参照)。
【0018】
義足1の距踵関節の回転軸5Aは、機能的にはヒトの足の距踵関節を模したものである。距踵関節5の縦回転軸5Aは義足の長手軸から外向きに9〜23°だけ有意に傾斜しており、それによって、内外および外側の動き、つまり前平面での運動が可能になる。距踵関節5の位置において義足に可能な前平面内の運動の大きさは、距踵関節の内側の間隙14と外側の間隙15の高さによって規定される。ヒトの足は一般に内反が20°、外反が10°の範囲で距踵関節の回転軸を中心にして回転できるために、上述したように内反の範囲を外反の範囲より大きくするために、義足1の内側の間隙14を外側の間隙15の二倍の大きさにすることが好ましい。
【0019】
連結帯5Bの内側と外側に孔10、11によって画成された曲線部が、応力集中を緩和してプラスチック製本体の破損を防止する。距踵関節の傾斜した回転軸により、距踵関節は斜め継ぎヒンジとして機能することが可能である(図9参照)。これにより、簡単なトルク・コンバータが形成され、そして脚、または義足1に接続された垂直部品の回転によって、それとほぼ等しい大きさの回転が水平部品に生じる(角度Ψが45°のとき)。回転軸5Bがこのような向きに定められているために、横断面と前平面における運動能力が改善される。距踵関節5の傾斜した回転軸の角度Ψが45°ではなく30°であると、回転軸は、垂直面との距離の半分になるよう水平面に近接し、そのために、脚の長手軸周りの回転が一定の場合、横断面内の大きさとの比較において二倍の大きさの運動が前平面において義足に発生する。距踵関節5の位置において義足が横断面内の運動を行うことができるように構成されているが、このことは、横断面のトルクを吸収し、残肢とソケットとの接触面に作用する剪断力を低減し、さらに、それにより義足に別体としてのトルク吸収体を追加する必要を回避することを可能にするために重要である。
【0020】
歩行中にヒトの下肢に生じる横断面における平均的な回転の大きさは、19°である。ヒトの足の場合、この19°の回転を生じさせる機構は距踵関節であり、義足1にも同様の機構が組み込まれている。義足1の距踵関節5の閉連鎖運動は、前平面における回外を伴った内反と回内を伴った外反のままである。歩行中の距踵関節の機能上の運動範囲は、運動全体で6°である。義足1に前平面において6°の運動のみが必要な場合、距踵関節5の傾斜軸の傾斜を30〜45°の範囲で大きい側に向けて増大させることによって、装着時の快適性を向上させることができる。
【0021】
義足1の足後部2Cには、また、歩行の初期設置相における足後部の外反が容易に生じるよう、踵の内側角よりさらに外側後方に位置する外側後部角17を有する踵16が形成されている。図4と図5に示すように、踵16の後部面は、外側後部角17が内側角より12.7〜19.1mm(1/2〜3/4インチ)の距離l1だけ後方に偏倚して配置されているダックテール状のトーションバーである。たとえば16°という小さい角度Δを用いるか、または後述するように距踵関節の連結帯5Bをさらに内側に配置することによって、外側後部角17を距踵関節の投影軸より12.7mm(1/2インチ)の距離l2だけさらに外側に偏倚させることができる。このように12.7mm(1/2インチ)外側に偏倚していることによって、足後部は、踵接地時に距踵関節を容易に外反できるようにする。この初期設置時の距踵関節の外反が、ショック・アブソーバとして作用し、踵接地時の衝撃を緩衝する。さらに、義足の外側後部角の形状は、開示した実施形態において、矢状面において38.1〜76.2mm(1.5〜3インチ)の曲率半径を有して上向きに湾曲している(図2、図3参照)。この曲率半径は、義足の全体的な大きさに応じて変化させることができる。曲率半径を大きくすることによって、外側後部角は、踵接地時に基部方向に反り、ショック・アブソーバとして作用することが可能になる。衝撃の緩衝能力をさらに向上させるために、義足1の本体2の後部面に用いられているプラスチックの密度をその他の部位の密度より小さくなるようにすることもできる。
【0022】
義足1の足後部2Cの上端面23は、平面状に形成されていて、プラスチックに埋め込まれた金属製の取付具18を有する。義足1においては、金属製の取付具18は、ステンレス・スチールを用いて形成されているが、チタン合金などの高強度を有し軽量であるその他の合金を用いることができる。取付具18は、図2に模式的に示したように、ヒトの残肢に固定された義足部品24の下部に義足を取り付けることを可能にする。取付具18の下部取付板19は、成形時に足後部2Cを形成するための材料の中に埋設される。下部取付板19は、成形時に取付具を成形されたエラストマ製の本体2に確実に固定するための数個の貫通孔を有することが好ましい。例として開示した実施形態において、取付具は、複数の図に示したように、下部取付板19に複数の固締具21によって離間して連結されたピラミッド形の上部取付板20を有する。もしくは、上部取付板と下部取付板並びに連結要素は、図14に示したように一体として形成してもよい。取付具18は、複数の図に示したように、義足1の長手軸X−Xに沿って足後部2Cに配置される。
【0023】
図14に示した金属製の取付具18’は、一体に形成された下部取付板19’、ピラミッド形の上部取付板20’、および連結帯21’を有する。下部取付板19’は、前部薄片に3.2mm(1/8インチ)の基部方向の偏倚部41並びに内側偏倚部42と外側偏倚部43とを有する。内側孔44と外側孔45並びに前部孔46と後部孔47は、成形時にプラスチック製の本体2に取付具を容易に固定できるようにする。孔44、45を通る線C−Cは、内側が外側よりさらに前になるよう矢状面X−Xに直交した線から8〜30°外向きに回転している。線C−Cは、孔44、45が足関節の連結帯4Bの中間に位置するよう中間つまり同一の向きの線D−Dより距離X’だけ後方に偏倚していることが好ましい。外側の偏倚した孔44、45は、後部孔47と協働して、つま先のレバーの長さを相殺する。これらの特徴は、また、分離された上部取付板20と下部取付板19が固締具によって連結されている取付具18に用いることもできる。
【0024】
足中央部2Bの間隙7前方の背面には、歩行中に体重が義足の前部に伝動されたとき、足中央部2Bと足前部2Aとが背屈することを可能にする背側凹面25が形成されている。中足アーチの凸面26が、足中央部2Bの背側凹面25の前方内側に形成されている。さらに、足中央部2Bと足前部2Aの背面には、機能上はヒトの足の第5放射軸周りの運動に類似した運動をする凹面27が形成されている。本体2の背面に形成された凹面25、27と凸面26の位置を影の濃淡によって示している図11を参照されたい。凹面27は、歩行中に機能上はヒトの足の第5放射軸周りの運動に類似した運動をさせるために、内側が外側より前方に位置するよう義足の長手軸X−Xに対して35°の角度Yだけ傾斜するとともに、ヒトの足の第2から第5中足の回転のための傾斜したロー・ギヤ用軸として機能する長手軸Y−Yを有する。角度Yは、35°より小さくてもよく、15〜35°の範囲にあることが好ましい。
【0025】
義足1の本体2の足底面は、縦方向アーチ28を有し(図12参照)、縦方向アーチ28は、内側はヒトの足の舟状骨に対応し、外側は第4中足の基部に近接する位置にヒトの足に類似した運動をさせるための第1放射運動軸である軸Z−Zに直交する長手軸を有する凹面29を含み、凹面の位置は、義足1の本体2の足底面の図に追加された影の濃淡によって示されている。例示した実施形態において、軸Z−Zは、内側が外側より後方に位置するよう長手軸X−Xに対して45°の角度Σだけ傾斜している。角度Σは、45°未満でもよく、30〜45°の範囲にあることが好ましい。角度Y、Σの値として特定の範囲の小さい側の値を使用することによって、ハイ・ギヤとロー・ギヤの原理間の差を低減させることができる。後者は、たとえば運動のレベルが高い足切断者が使用する。義足1の足底面に位置する縦方向アーチ凹面の前部は、図12に示すように、輪郭を描いて符号31が付されている足底面の接地領域の後部面を画成する全体が環状の中足アーチ部の凹面つまりカップ状領域30をさらに含む。足後部の接地領域は符号31’を付して輪郭が描かれている。
【0026】
縦方向アーチ28はそれ自体が長手軸A−Aを有するように形成された凹面を含み(図12参照)、長手軸A−Aは、内側を外側より高くすることによって、ヒトの足の中足根関節と同様に前平面と矢状面において運動できるようにするために前平面に投影されたとき25〜42°の角度Σだけ偏倚している(図13参照)。縦方向アーチの凹面の内側部分32は、凹面の外側部分33より大きい半径を有するとともに、より基部に近接している。縦方向の凹面の前部は、内側が外側より前方に位置するよう義足の長手軸X−Xに対して35°の角度ηだけ傾斜している長手軸B−Bを有する。縦方向アーチの凹面の中間部は、義足の長手軸A−Aに対して直交する長手軸A−Aを有する。
【0027】
縦方向アーチ28には、歩行中に義足に特定の運動を起こさせるために三次元の扇形状部が設けられている。縦方向アーチの凹面の前部は第1放射軸と中足アーチの凹面29、30に滑らかに移行する。このように形状を滑らかに移行させることによって、本体2のハイ・ギヤ時の動的応答能力を向上させるための縦方向アーチの凹面前部をより前方かつ内側に位置させることができる。縦方向アーチの凹面後部は、内側が外側より後方に位置するよう前平面に対して30°の角度kだけ傾斜した長手軸C−Cを有する(図12参照)。
【0028】
先に説明したように、足中央部2Bは半剛性の材料を用いて形成されており、また、弾性を有する本体2の縦方向アーチ28は歩行中の義足に動的応答能力を発生させるように形成されており、とりわけ、縦方向アーチの内側部分32が縦方向アーチの外側部分33より相対的に高い動的応答能力を有するように形成されている。この構成および上述した義足1の特徴によって、ヒトの足の中足根領域が有する2つの面内の運動能力と同等の能力を足中央部2Bが有することが可能になる中足根領域において、前平面と矢状面における運動が発生することによって、歩行中に足後部の位置を保持しつつ足前部が足底接地の状態を維持することが可能になる。足中央部2Bの傾斜軸は、歩行の推進期に回外する。踵挙上によって作動される足底腱膜の連続運動のために、推進期にこれらの傾斜軸が容易に回外できるようになる。足底接地の状態を維持するためには、歩行中の運動の方向が前平面において4〜6°という僅かな角度だけ傾いていることが必要である。義足の外形はもとよりその物理的特性が、義足が保有する運動能力を規定する。義足1の縦方向アーチ領域は、義足が機能上優れた運動能力を有するよう特定の形状に形成されている。先に説明したように、縦方向アーチの矢状面からの偏倚が、義足1の前平面の運動特性と動的応答特性とを向上させる。
【0029】
足中央部2Bの基部側部分は、足関節の前部の間隙7に隣接した背屈停止部からの力を受承するために平らに形成されている。足中央部2Bは足前部2Aより肉厚である。足中央部の内側部分32、26は、外側部分33、27より肉厚である。義足1の足底は、踵の高さが9.5〜19.1mm(3/8〜3/4インチ)になるように形成されている。本体2の足前部と足中央部の領域の足底面は、先に説明したように、中足凹面つまりカップ状領域30を有する。このカップ状領域は、カップの外側縁に接地部を形成するように作用する。この隆起領域31は、図11に線Y−Yで示した第5放射運動軸に平行に配置されている。
【0030】
本体2の足前部2Aは、前端から後方に向けて切り込まれた2つの伸張用溝34、35を有する。内側の伸張用溝34は、足中央部の足底面に配置された接地領域の後部を通過してカップ状凹面領域30に侵入した位置まで縦方向に伸びており、その終端位置には伸張用孔36が設けられている。外側の伸張用溝35は、足前部内を内側の伸張用溝34よりさらに後方まで伸びて、伸張用孔37で終端を成している。このように形成された2つの伸張用溝は、ヒトの足の場合のハイ・ギヤとロー・ギヤと同様に機能する。図12に示したように、2つの伸張用孔36、37を結んだ直線B−Bは、義足の長手軸から35°の角度ηだけ外向きに傾斜している。足関節から傾斜軸B−Bまでの距離は外側の方が内側より短いために、ハイ・ギヤにシフトする前の踵挙上時にこの軸がまず使用される。全体的なハイ・ギヤ動作つまり内側の押出しのために、足前部から足後部にかけての回内が発生して、足前部の内側部分が支承する荷重が増大する。この結果、足前部2Aは2つの面において運動することが可能になる。
【0031】
より具体的には、伸張用溝34、35は互いに独立して、足前部が背屈と内反とを起こし、足底が屈曲と外反とを起こすことを可能にする。この2つの面内の運動能力のために、足前部は凹凸のある地面上で接地状態を維持することができる。義足1は、この点に関してもヒトの足を模倣している。足後部2Cの位置が変わると、足前部と足中央部はそれとは反対の方向に位置を変える必要がある。この逆方向の捩りのために、義足は足底接地を維持することができる。
【0032】
足切断者が装着した義足1は、ヒトが歩行することによって発生する地面からの反力に応答する閉連鎖運動を行う補綴装置として作用する。歩行の初期設置相において、踵の外側後部がまず接地する。先に説明したように、踵の外側後部は、ダックテール形延長部を介して体重を伝動するために偏倚するよう設計されており、ダックテール形延長部は上向きに反ることによって腓脛部に屈曲トルクを発生させる踵のレバーに負荷された力を吸収する。後部凹面9を設け、かつ距踵関節5の回転軸に対して踵を外側に偏倚量l2だけ偏倚させることにより力が負荷されたとき距踵関節が外反を起こし、これによって、上述したトルクの吸収能力と衝撃緩和特性とを向上させることができる。この外反は、歩行の体重移動相における初期設置時の衝撃を緩和するショック・アブソーバとして作用する。さらに、義足の足関節4の回転軸4Aに対して後方の位置に力が負荷されるようになるために、足関節が足底の屈曲を発生させ、これにより、義足の足中央部2Bと足前部2Cが地面に向けて下ろされる。
【0033】
図12に示した義足の足底に設けられた体重支承面31、31’の場合、歩行の立脚相の全域において体重が踵から足前部へと前向きに伝動されたとき、地面からの反力は、義足1の足底面を押す。体重が足後部2Cを介して伝動されたとき、距踵関節5は、義足1の内部でヒトの運動に関する3つの主要な面、即ち横断面、前平面、および矢状面、における運動を発生する。この3つの面内の運動能力は、先に説明したように、義足の距踵関節の回転軸5Aが横断面、前平面、および矢状面から偏倚する方向に配置されているために可能になる。このような配置のために、3つの面内の運動ができる。矢状面の構成要素は、前平面と横断面それぞれの構成要素より小さい。距踵関節5において矢状面に発生する小さい運動に対して補填するために、足関節4は距踵関節に隣接して設けられている。
【0034】
横断面内の運動を発生させる距踵関節の能力は重要である。それは、歩行の立脚相において、主として距踵関節が脛骨と腓骨を介して足関節そして距踵関節に伝動される横断面内の運動を19°相当分だけ吸収しなければならないからである。距踵関節5は、斜め継ぎヒンジとして作用して、運動を足後部2Cと足中央部2Bに伝動する。この運動は、また、足中央部の動的応答能力並びに足中央部と足前部の2つの面内の運動能力とによって吸収される。したがって、足底面の体重支承特性が向上する。歩行の立脚相における足底接地の前に体重伝動線が義足の前に移動して足関節4に接近したとき、足関節は、地面からの反力によって足底の全面が接地するまで足底の屈曲を発生させる。この足底の屈曲運動は、足関節の前部の間隙7を拡張する、つまりさらに大きくし、そして足関節の後部の凹面9を圧縮することによって引き起こされる。
【0035】
義足1が地面に対して平行になると、体重が足関節4に伝動される。この伝動時に義足の前部により大きい体重が負荷されるために前部の背屈用間隙7が係合し、そしてさらなる背屈が阻止される。つまり、前部の足関節の間隙を画成する対向面が当接することによって運動が停止する。間隙7が大きいほど、背屈の範囲が大きくなる。足関節の間隙7に隣接した前停止部には大きい体重が伝動される。体重は、この前停止部を介して義足1の足中央部2Bに伝動される。このとき、義足1の縦方向アーチ領域に荷重が負荷されるために凹面部が広げられて、これらの垂直方向の力を吸収する。これにより、衝撃緩衝能力と動的応答特性とが向上する。
【0036】
縦方向アーチの基部に近い内側部分は、遠位の外側部分よりかなり大きい半径を有する。このために、内側部分は、縦方向アーチの遠位の外側部分より高い拡張能力および動的応答特性を有する。図12に線Z−Zで示した縦方向第1放射回転軸の内側部分に接近するにしたがって義足1の外側部分により大きい体重が負荷されるために、体重の伝動位置は、義足の前平面の中央部に接近する。
【0037】
義足の足底面と背面は、特定の運動の発生が可能なように、または容易に発生するように設計されている。より具体的には、ヒトの足の第1放射回転軸Z−Zと、この軸に付随した運動能力とは、足前部2Aの足底面に設けられた凹面29を介して義足1に組み込まれる。凹面29の長手軸Z−Zは、ヒトの足の縦方向第1放射回転軸に平行になるように配置されている。この方向は、義足の長手軸に対して45°内側に回転している(図12の角度Σを参照されたい)。
【0038】
この凹面に力を負荷したときの運動と、凹面に設けられた特定の角度とのために、垂直方向の衝撃吸収と動的応答特性とが向上する。縦方向アーチ28はもとより第1放射軸の凹面29が、動的応答能力を発生する。これらの動的応答能力は、体重を凹面の側部に伝動して凹面を伸展させる地面からの反力によってもたらされる。したがって、歩行中に義足1の凹面が広がられ、次に力から解放されたとき、義足1は、元の形に弾性復元してそれまでに蓄えたエネルギーを放出する。
【0039】
また、義足1の足関節4と距踵関節5も、動的応答能力を発生させることができる。たとえば足関節4によって足底が屈曲され、前部の背屈用間隙7が拡張され、また後部凹面が圧縮されたとき、エネルギーが足関節の連結帯4Bに蓄えられる。連結帯4Bは、垂直方向の力から解放されると、もとの位置に復帰する。
【0040】
このように、地面からの反力に対する義足1の動的応答特性は、凹面と凸面の伸張と圧縮、程度は小さいながらも付随して生じた運動、並びに個々の関節の連結帯の設計上の特徴に関係する。連結帯4B、5Bは、足後部2Cのクラス1レバーの中間枢動点を構成する。足関節と距踵関節各々の連結帯は、エネルギーを蓄える能力を有する。設計上の特性はもとより物理的性質が、動的応答能力を生み出す。力の負荷によって運動が生じる。力が取り除かれたとき、連結帯は、その物理的性質のために無負荷時の形状に復元し、これにより動的応答特性が生まれる。義足の第1放射軸と第5放射軸は別個の関節の軸ではないが、義足本体2の外面の形状と構造が機能としての運動能力を規定し、また先に説明したように、これらの特定の運動が容易に発生するように構成されている。
【0041】
足中央部の足底形状と背面形状のあいだの相関関係は、組み込まれた動的応答能力を理解するためには重要である。義足1のこの領域では、内側面と外側面の形状は特定の形状を有し、これらの形状が機能的な運動を可能にする。歩行中に、外側に隣接した第5放射軸周りの凹面27は圧縮されるが、抵抗は小さい。これは、ロー・ギヤの原理に関係している。先に説明したように、足中央部の足底の内側部分と背面(機能的には第1放射軸)とは力が負荷されたとき伸張することによって応答する。伸張には大きい抵抗性が伴っているために、動的応答能力が向上する。この動的応答能力の向上は、ハイ・ギヤの原理に関係している。
【0042】
ハイ・ギヤの原理とロー・ギヤの原理は、歩行の加速、減速、およびスピードの各々の構成要素に関係する。動的応答能力が高まった状態にあるハイ・ギヤは、歩行の加速期と減速期に用いることができる。ロー・ギヤの原理は、上述した加速と減速よりも、歩行のスピードにより大きく関係している。義足1のロー・ギヤの構成要素によって、足切断者は、遅いスピードで歩くときエネルギー消費量を抑えて歩行することができる。このエネルギー消費量の低減は、2つの原理、即ちつま先のレバーの長さ(つま先のレバーの長さは腓脛部の伸展トルクに関係しているため)と、義足の内側部分と外側部分の動的応答特性とに付随している。
【0043】
ハイ・ギヤの場合には、つま先のレバーがロー・ギヤの場合より長い。足切断者が低速歩行するときには、小さいモーメントと慣性力しか発生しない。したがって、長いつま先のレバーがもたらす不都合を効率よく克服する能力は小さい。身体の重心は、低速歩行中には歩行の立脚相においてより大きく外側に振られる。義足1は前平面内の運動能力が向上しているために、足切断者の腓脛部を、足中央部と足前部のロー・ギヤ部またはハイ・ギヤ部へ移動するように配置することができる。義足1を装着した足切断者が加速または減速しているときには、一旦快適な歩行スピードに達した後はハイ・ギヤの機能を使用する。足切断者は、快適な歩行スピードを維持することができる足前部2Aの領域を探索する。足切断者が大きい動的応答特性を求める場合にはより内側への力の伝動が生じ、逆に小さい動的応答特性を求める場合にはより外側への力の伝動が生じる。義足1を装着すると、足切断者は、機能的な運動成果を選択することができる。
【0044】
このように選択的に動的応答特性を制御することによって、足切断者は、総合的な歩行パターンを向上させることができる。義足1の場合には体重の伝動がさらに前方に向けて生じるために、義足本体2に2つの伸張用孔36、37を設け、また足底面と背面の形状と構造を調節することによって、第5放射回転軸を複製することができる。つまり、第5放射回転軸Y−Y周りの本体2の背面は、凹面27に形成される。この凹面のために、長手軸Y−Yに直交した方向の運動が容易に発生するようになる。通常の歩行において、腓脛部、脛骨、および腓骨は、矢状面内を単独では運動しないことが知られている。立脚中期において、膝または腓脛骨が外側に移動し、前平面内の運動が同時に起こることが知られている。このことは、ヒトの膝の大腿関節丘が大きい表面積を有することから分かる。
【0045】
義足1の第5放射回転軸Y−Yの機能は重要である。体重が義足1に対して外側前部にむけて負荷されたとき、第5放射軸Y−Yによってその長手軸に直交する方向への運動が発生する。さらに、2つの伸張用孔36、37を第5放射回転軸上に形成することによって足前部の運動が容易に発生するようになっているために、2つの面における運動能力が向上する。先に説明したロー・ギヤとハイ・ギヤによる運動も、また、強化される。その結果、義足の歩行特性が向上することによってヒトと同様の歩行が可能になる。
【0046】
義足1の足前部の2つの面内における運動特性は、上述したように伸張用溝と伸張用孔を設けることによって向上する。2つの伸張用孔は、特定の運動能力を生み出すために好都合な位置に形成されている。つまり、矢状面に投影したとき、2つの伸張用孔は前平面に平行な線B−Bから45°の角度bだけ縦方向に傾斜している(図2参照)。この傾斜は、距踵関節の斜め継ぎヒンジと殆ど同等の斜め継ぎヒンジとして作用し、これにより、2つの平面における運動能力が向上する。
【0047】
足底面に設けられた足前部2Aの体重支承面31と足後部2Cの体重支承面31’は、また、特定の形状と構成を有する。足底面の伸張用孔36、37は、中足アーチ領域30に形成されている。したがって、体重が義足1の中足頂部に相当する領域に伝動されたとき、伸張用突片38、39、40が体重を支承する。義足1の足底の体重支承面が接地したとき、体重は懸架連続材運動を発生する伸張用突片に負荷される。これにより、義足を安定させるために必要な構造上の剛性を維持しつつも、大きく変形する能力が義足に生じる。義足の2つの面内の運動能力を改良することによって、義足を装着したヒトの歩行特性が向上する。
【0048】
歩行中に体重が負荷される位置がさらに前部の伸張用突片と放射軸領域に移動するために、義足1は、特定の運動を生じるような形状と構成を有する。本体2の背面と足底面の上述した領域は、上向きに突出したアーチに形成されている(図2参照)。背面に設けられた凹面は、第5放射軸の凹面27に滑らかに移行するよう構成されている。このように1つの形状と次の形状をなだらかに連結させることによって、歩行の立脚相後期と遊脚相のあいだの移行が滑らかになる。上向きに形成された放射軸領域は、上述した歩行周期において背屈用つま先として機能する。
【0049】
本発明による義足を、例示した第一の実施形態との関連において説明したが、別の実施形態に具現化することも可能である。たとえば、義足の足関節の高さと、この高さが義足の距踵関節に設けられた連結帯の傾斜軸の方向に与える影響とのあいだには三次元の関係が存在する。開示した実施形態において、足後部の(足底面からピラミッド装着面までの)高さは76.2〜88.9mm(3〜3.5インチ)である。この高さをさらに高くして、足関節の向きを基部に近づけてもよい。足関節の向きを別の方向に定めることによって、距踵関節の傾斜軸を29〜30°から、たとえば42〜45°に変更することができる。開示した実施形態において向きが30°の場合、内反と外反(前平面における運動)が大きく、外転と内転(横断面における運動)が小さい。足関節がさらに基部に近接して配置されている別の実施形態においては、距踵関節の傾斜軸が45°傾斜しているために横断面と前平面における運度が同等になる。この後者の傾斜角が付けられた義足は、例示した実施形態による義足と比較した場合、義足の前平面における運動である内反と外反が小さく、そして外転と内転が大きくなっている。外転と内転のこのような増大に対しては地面からの反力が抵抗として作用するために、内反と外反を起こす能力が低下し、かつ横断面における運動が増大する。
【0050】
別の可能な変形例は、距踵関節の連結帯を義足1の内側に移動させることであり、これによって、図4に示したように外側への偏倚l1が大きくなっている。これにより、距踵関節が歩行の初期設置相において大きい外反を生じやすくなる。結果として、衝撃吸収能力が向上する。さらに、2つの伸張用孔の矢状面内の方向を、図示した第一の実施形態の方向から変更することができる。これらの孔は、前平面において内側または外側に偏倚していてもよい。これらの2つの孔を矢状面とは異なる方向に設けることによって、伸張用溝と伸張用突片が、内外方向に大きく運動するようになる。たとえば2つの伸張用孔の背面側端部が矢状面から外側に20〜30°偏倚していたとすると、地面からの反力が作用したとき3つの伸張用突片は背屈と内転を容易に起こすようになる。伸張用孔の背面側端部が矢状面から内側に20〜30°偏倚している場合には、伸張用突片は背屈と外転を容易に起こす。さらに、2つの伸張用孔の一方の伸張用孔を内側に偏倚させ、他方の伸張用孔を外側に偏倚させることもできる。たとえば外側の伸張用孔の背面側端部を矢状面から内側に35°偏倚させてもよい。このように配置することによって、外側の伸張用突片は、背屈と外転を容易に起こすことが可能になり、ロー・ギヤ効果が向上する。内側の伸張用孔の背面側端部は、矢状面から外側に45°偏倚していてもよい。このように配置することによって、内側の伸張用突片は容易に背屈と内転を起こすようになる。この結果、ハイ・ギヤにおける運動特性に関係する内側の伸張用突片の運動能力が向上する。
【0051】
さらに別の実施形態による義足では、各々1つの伸張用溝と伸張用孔を設けることによって、内側と外側だけの伸張用突片が形成されている。これにより、足前部の剛性が増大し、2つの面における運動能力が低下する。この単一の伸張用孔は、先に説明したように矢状面から偏倚していてもよい。1つまたは複数の伸張用溝を義足の踵領域に形成して、足底面の踵部が凹凸のある地面で足底接地を維持する能力を向上させてもよい。また、足関節を義足の距踵関節の下に移動させてもよい。これにより、義足全体としての高さに影響を与えることなく距踵関節の傾斜を増大させることが可能になるが、それは小さい高さの義足にとっては好都合である。
【0052】
義足1の本体2を、足後部2Cはもとより、足前部2Aと足中央部2Bに異なる密度と硬度の材料を用いることによって、ハイブリッド型の足として形成することもできる。義足の動的応答能力は、設計上の特徴はもとより物理的性質にも依存する。
【0053】
図28は、本発明の例示としての第二の実施形態による義足50を示す。義足50は、本発明による足関節装置、たとえば支柱関節組立体51を有し、該足関節装置は、従来技術による小さい高さのシアトル(Seattle)型または類似の義足52に取付けて、義足の足後部の機能上の特性を向上させることができる。支柱関節組立体は、支柱関節組立体を義足52の足竜骨54にボルト55によって取付けるために端部に埋め込まれたT字形のナット53を有する(図23〜図25参照)。ボルトは、足竜骨の段差付き孔56と義足52の補正カバー57を貫通して延在する。
【0054】
支柱関節組立体の形状と機能上の特徴は、例示した第一の実施形態による義足1の足後部2Cに設けられたものに類似している。義足の頂部に取付けられたとき、後部凹面58が形成される。また、複数の図面から分かるように、滑らかな流線形の前部凹面59が形成されている。支柱関節組立体51は、例示した第一の実施形態による義足の足後部2Cに関して上述した特徴を備えているために、足後部は、3つの面内の運動能力を保有することができる。支柱関節組立体は、各々足関節と距踵関節として機能する第一の連結部60と第二の連結部61とを有することが特徴である。T字形のナットまたは類似の固締具は、支柱関節組立体51の製造時に弾性を有するプラスチックの端面に埋め込まれる。
【0055】
図29〜図31に示した本発明の実施形態による義足60は、先に説明した実施形態の場合と同様に、たとえば図3に示した足の部分2A、2B、2Cのような足前部、足中央部、および足後部を有する。義足60の足後部は、歩行中に義足が閉連鎖運動を行うことができるよう足関節61を有する。足関節は足関節軸61Aを有し、該足関節軸は、足後部がそれを中心にして、換言すると少なくとも主に矢状面において、運動できるような向きに配置されている。先の実施形態と同様に、足関節は、足後部と同じ弾性を有する材料が用いられた連結帯を介して足後部と一体に形成されている。開口62が足後部に形成されており、開口の後部は連結帯の前面である。足後部の開口の前部には間隙63が形成されているために、足後部は、足関節軸を中心にして回転することができる。義足の矢状面に沿った断面で見たとき、開口62が上方に伸びることによって連結帯が直立し、そして前に突出するように湾曲して形成されている(図31参照)。
【0056】
連結帯は、足関節軸61Aの方向に延在し、前に突出するように湾曲した前面64と後部面65とを有する。先に説明した実施形態と同様に、間隙63の高さは、間隙を画成する下側の面が、対向して配置されて間隙を画成する上側の面に当接して停止部として作用し、これにより、背屈時に足関節軸周りの足後部の回転の大きさを制限するように選定される。開口62は、足関節軸に平行な方向に延在する。連結帯の前面が前に突出するように湾曲しているために、連結帯は、歩行中に生じる圧縮と伸張において異なる特性を示すために好都合であり、さらに、上向きに湾曲した義足と協働して、水平要素と垂直要素とを有する動的応答特性を向上させ、これにより使用時の義足の有効性が向上する。
【0057】
義足60は、足と関節を構成するとともに、弾性を有する材料を用いて一体的に形成された義足の本体にねじ付きの固締具67によって結合されている公知の市販されているアダプタ66を有する。アダプタは、義足を足切断者の残肢に着脱可能に連結するための部材(図示せず)を受承するためのソケット69を保有する部材68を含む。アダプタの基部70は、部材68の下に配置されている。基部の上の部材を緩めるためにアレンレンチを受承するアレンソケット71が頂部に形成されているねじ付きの固締具67が緩められたとき、部材は、基部と義足に対して回転することが可能になる。この相対運動は横断面において発生するために、義足に決定的な大きさ、たとえば3.2mm(1/8インチ)、の範囲に収まるうちわまたはそとわを容易に組み込むことが可能になる。
【0058】
部材68のソケット69は、矩形で、面取りがされており、そして足切断者の残肢に装着されたソケットまたは他の部品の下端の相補形の突出部/部材を隙間を空けて受承する。図31の点線を参照されたい。矩形ソケットの各側面の中央にそれぞれ配置された4つのねじ(符号なし)は、義足を足切断者の残肢の支持構造体に連結するために突出部にねじ込んで係合させることができる。突出部とソケットのあいだに隙間が設けられ、また、アダプタの4つのねじの位置が調節できるために、義足と支持構造体を前後方向と横方向に、並びにそれぞれの角度を調節することが可能である。アダプタ66に替えて、義足60には、公知の市販されている、たとえば図1〜図3に示したピラミッド形のアダプタのような別のアダプタを取付けてもよい。
【0059】
例示としての実施形態と可能な変更例または別の実施形態についての説明をこれで終える。しかし、当業者にはその他多数の修正と実施形態を案出することが可能であろうが、それらは、本発明の精神と原理の範囲に含まれると了解されるものとする。とりわけ、構成部品および/または説明した構成配置について本発明の精神から逸脱することなく合理的な変更と修正を行うことが可能であろうが、それらも上述した開示内容、図面、および添付した特許請求の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第一の例示の実施形態による右足の義足を右前方の少し高い位置から見たときの斜視図である。
【図2】一点鎖線で示した足の補正カバーに収容され、また、同様に一点鎖線で示した足切断者の脚に装着されている隣接した補綴部品に連結可能な位置にある図1の義足を外側から見たときの側面図である。
【図3】図1の義足を内側から見たときの側面図である。
【図4】図1の義足の平面図である。
【図5】図1の義足の底面図である。
【図6】義足の前平面に投影したときの足関節軸の模式図であり、足関節軸は内側が外側より基部に近接するよう横断面から角度βだけ偏倚することが示されている。
【図7】図3の線VII−VIIに沿って切断した足関節の連結帯の断面図である。
【図8】義足の矢状面に投影したときの足関節軸の模式図であり、足関節軸は前部が後部より基部に近接するよう横断面から角度θだけ偏倚することが示されている。
【図9】義足の矢状面に投影したときの距踵関節軸の模式図であり、距踵節軸は前部が後部より基部に近接するよう横断面に対して角度Ψをなすことが示されている。
【図10】義足の前平面に投影したときの距踵関節軸の模式図であり、距踵関節軸は内側が外側より基部に近接するよう横断面に対して角度ωをなしている。
【図11】図1の義足の背面の拡大平面図であり、義足本体の背面に設けられて歩行中の足運動を引き起こす凹面と凸面の位置を示す影が追加されている。
【図12】図1の義足の本体足底の拡大底面図であり、歩行の立脚中期において平坦面上で接地する領域を示す線が追加され、また、本体の足底面に設けられて歩行中の足運動を引き起こす凹面を示す影が付けられている。
【図13】義足本体の足中央部の下部を図2の線XIII−XIIIに沿って切断したときの断面図であり、内側が外側より基部に近接するよう横断面に対して縦方向アーチが角度εだけ傾斜することが示されている。
【図14】義足用に一体形成された金属製の取付具の側面図である。
【図15】図14の取付具の平面図である。
【図16】図14の取付具の下部取付板の平面図である。
【図17】本発明による足関節装置の斜視図であり、上部面に支柱が取付けられた足関節装置は、既存の小さい高さのシアトル型または類似の義足の機能を向上させるための取付け部品として有用であり、支柱と関節の組立体は、本発明による改良型義足の別の実施形態を構成する。
【図18】図17の足関節装置を右側から見たときの側面図である。
【図19】図17の足関節装置の正面図である。
【図20】図19の足関節装置を左側から見たときの側面図である。
【図21】図17の足関節装置の背面図である。
【図22】足関節装置が図21の向きにあるときの底面図である。
【図23】図21に類似した足関節装置の背面図であるが、足関節装置をねじ付きボルトによって義足に取り付けるために足関節装置の弾性を有する本体に埋め込まれたT字形ナットが破線によって示されている。
【図24】図23に破線で示されたT字形ナットの平面図である。
【図25】図24のT字形ナットと挿着されたねじ付きボルトの側面図である。
【図26】線XXVII−XXVIIに沿って縦に切断されている従来技術による小さい高さのシアトル型または類似の義足の部分平面図である。
【図27】図26の義足の側面図である。
【図28】本発明の別の実施形態による義足の側面図である。
【図29】本発明の別の実施形態による左義足を内側の上前方から見たときの斜視図である。
【図30】図29の義足の平面図である。
【図31】図29と図30の義足を内側から見たときの側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 義足
2 本体
2A 足前部
2B 足中央部
2C 足後部
3 補正カバー
4 第一の関節/足関節
5 第二の関節/距踵関節
4A 回転軸
4B、5B 連結帯
6 孔
7 間隙
8 高さ
9 凹面
10、11 孔
12、13 間隙
14、15 高さ
16 踵
17 外側後部角
18、18’ 取付具
19、19’ 下部取付板
20、20’ 上部取付板
21、21’ 固締具
23 上端面
24 義足部品
25 背側凹面
26 凸面
27 凹面
28 縦方向アーチ
29 凹面
30 カップ状領域
31 前部接地領域/隆起領域
31’ 後部接地領域
32 内側部分
33 外側部分
34、35 伸張用溝
36、37 伸張用孔
38、39、40 伸張用突片
41 基部方向の偏倚部
42 内側偏倚部
43 外側偏倚部
44 内側孔
45 外側孔
46 前部孔
47 後部孔
50 義足
51 支柱関節組立体
52 義足
53 ナット
54 足竜骨
55 ボルト
56 段差付き孔
57 補正カバー
58 後部凹面
59 前部凹面
60 義足
61 足関節
61A 足関節軸
62 開口
63 間隙
64 前面
65 後部面
66 アダプタ
67 固締具
68 部材
69 ソケット
70 基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足前部と、足中央部と、足後部とを有し、前記足後部は歩行中義足が閉連鎖運動を行うことを可能にする足関節を含み、前記足関節は足関節軸を有するとともに、前記足関節軸は前記足後部を前記足関節軸周りの、少なくとも主に矢状面における運動を可能にする方向に配置されており、さらに、前記足関節は前記足後部と同じ弾性を有する材料を用いた連結帯を介して前記足後部と一体に形成されている義足において、前記足後部に形成された開口の後端が前記連結帯の前面を構成し、前記開口の前方の前記足後部は前記足関節軸周りの前記足後部の前記運動を可能にする間隙を含み、さらに、義足の矢状面に沿った断面で見たとき前記開口は上向きに伸びて前記連結帯を直立した形状にする義足。
【請求項2】
前記連結帯が前記足関節軸の方向に延在する請求項1記載の義足。
【請求項3】
前記連結帯の前面と後部面が、前に突出するように湾曲している請求項1記載の義足。
【請求項4】
前記間隙の高さは、前記間隙を画成する前記足後部の下側の面が対向して配置されて前記間隙を画成する上側の面に当接して停止部として作用することによって、背屈時に前記足後部の前記足関節軸周りの前記閉連鎖運動の大きさを制限するように選定されている請求項1記載の義足。
【請求項5】
前記開口が、前記足関節の前記足関節軸に平行な方向に伸びている請求項1記載の義足。
【請求項6】
前記足関節の上方において義足に連結されたアダプタをさらに有し、前記アダプタは、義足を足切断者の残肢に着脱可能に連結する部材を受承するためのソケットを有する請求項1記載の義足。
【請求項7】
前記アダプタが、前記ソケットを内包した部材と、前記部材の下にある基部と、前記部材と前記基部を相対的に回転できるように前記部材を前記基部の上に連結する着脱可能な固締具とを含む請求項6記載の義足。
【請求項8】
前記アダプタの前記基部の上部に連結された前記部材を内包する前記ソケットの前記相対的な回転が、横断面内において発生する請求項7記載の義足。
【請求項9】
前記アダプタが、前記ソケットに受承された前記部材の位置を変更するための複数の調節用固締具を含む請求項6記載の義足。
【請求項10】
前記ソケットと前記調節用固締具が設けられた前記アダプタが、前記部材と義足の位置を前後方向と横方向に調節し、また、傾斜角を変更することを可能にする請求項9記載の義足。
【請求項11】
足と、
足関節とを有する義足であって、
前記足と前記足関節は、歩行中に義足が足関節軸周りの閉連鎖運動を行うことを可能にする足関節を構成する連結帯を含む弾性部材として一体に形成されており、前記足関節軸は、前記閉連鎖運動が少なくとも主に矢状面において発生する向きに定められており、前記弾性部材に開口が設けられて、前記開口の後端が前記連結帯の前面を構成しており、前記開口の前方の前記弾性部材は、前記足関節軸周りの前記閉連鎖運動を可能にする間隙を含み、さらに、前記連結帯の前記前面は前に突出するように湾曲している義足。
【請求項12】
前記連結帯の後部面が、前に突出するように湾曲している請求項11記載の義足。
【請求項13】
前記開口が、前記弾性部材を矢状面に沿った断面で見たとき上向きに伸びて前記連結帯を直立した形状にする請求項11記載の義足。
【請求項14】
前記連結帯が、前記足関節軸の方向に延在する請求項11記載の義足。
【請求項15】
前記連結帯の前記前面と後部面が、前に突出するように湾曲している請求項11記載の義足。
【請求項16】
前記間隙の高さが、前記間隙を画成する前記部材の下側の面が対向して配置されて前記間隙を画成する前記部材の上側の面に当接して停止部として作用することによって、背屈時に前記足関節軸周りの前記閉連鎖運動の大きさを制限するように選定されている請求項11記載の義足。
【請求項17】
前記開口が、前記足関節の前記足関節軸に平行な方向に伸びている請求項11記載の義足。
【請求項18】
前記足関節の上方において義足に連接されたアダプタをさらに有し、前記アダプタは、義足を足切断者の残肢に着脱可能に連結する部材を受承するためのソケットを有する請求項11記載の義足。
【請求項19】
前記アダプタが、前記ソケットを内包した部材と、前記部材の下にある基部と、前記部材と前記基部を相対的に回転できるように前記部材を前記基部の上に連結する着脱可能な固締具とを含む請求項18記載の義足。
【請求項20】
前記アダプタの前記基部の上部に連結された前記部材を内包する前記ソケットの前記相対的な回転が、横断面内において発生する請求項19記載の義足。
【請求項21】
前記アダプタが、前記ソケットに受承された前記部材の位置を変更するための複数の調節用固締具を含む請求項18記載の義足。
【請求項22】
前記ソケットと前記調節用固締具が設けられた前記アダプタが、前記部材と義足の位置を前後方向と横方向に調節し、また、傾斜角を変更することを可能にする請求項21記載の義足。
【請求項23】
足前部と、足中央部と、足後部とを有し、前記足後部は歩行中義足が閉連鎖運動を行うことを可能にする足関節を含み、前記足関節は足関節軸を有するとともに、前記足関節軸は前記足後部を前記足関節軸周りの、少なくとも主に矢状面における運動を可能にする方向に配置されており、さらに、前記足関節は前記足後部と同じ弾性を有する材料を用いた連結帯を介して前記足後部と一体に形成されている義足において、前記足後部に形成された開口の後端が前記連結帯の前面を構成し、前記開口の前方の前記足後部は前記足関節軸周りの前記足後部の前記運動を可能にする間隙を含み、さらに、前記開口は前記連結帯の前記前面が前に突出して湾曲するように形成されている義足。
【請求項24】
足と、
足関節とを有する義足であって、
前記足と前記足関節は、歩行中に義足が足関節軸周りの閉連鎖運動を行うことを可能にする足関節を構成する連結帯を含む弾性部材として一体に形成されており、前記足関節軸は、前記閉連鎖運動が少なくとも主に矢状面において発生する向きに定められており、前記弾性部材に開口が設けられて、前記開口の後端が前記連結帯の前面を構成しており、前記開口の前方の前記弾性部材は、前記足関節軸周りの前記閉連鎖運動を可能にする間隙を含み、さらに、前記開口は上向きに伸びて前記連結帯を直立した形状にする義足。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2008−501481(P2008−501481A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527601(P2007−527601)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/019615
【国際公開番号】WO2005/122973
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(503224611)
【出願人】(503224622)
【Fターム(参考)】