説明

耐久性のある親水性コアラップを含む使い捨て吸収性物品

次のものを含む吸収性コア(10)を含む使い捨て吸収性物品:
(a)貯蔵層(60);並びに
(b)耐久性の親水性流体透過性コアラップ(42)であって、前記貯蔵層の少なくとも一部分を囲んでおり、以下を含むコアラップ:
(i)コアラップ基材;及び
(ii)前記基材上にコーティングされた親水性向上組成物であって、前記親水性向上組成物は親水性を向上させる量のナノ粒子(75)を含み、前記ナノ粒子は粒径が約1〜約750ナノメートル(nm)である、親水性向上組成物。
使い捨て吸収性物品を調製する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性の親水性コアラップを含む使い捨て吸収性物品及びその生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ及び成人用失禁製品のような使い捨て吸収性物品は、当該技術分野において周知である。このような使い捨て物品は、着用者によってそれらに沈着される尿及び糞便物質を集め、保持する。
【0003】
合成繊維及び/又は天然繊維から作製される不織布を、吸収性物品において、例えばトップシート材料として、又は吸収性コアの貯蔵層を取り囲むコアラップとして一般に使用する。このような不織布は、通常は疎水性である。しかし、衛生用製品における多くの適用には、親水性の不織布を有することが必要である。それ故に、不織布は、適宜処理されることが必要である。
【0004】
使い捨て吸収性物品の典型的な構成成分の1つはコアラップである。コアラップは典型的には貯蔵層を収容するように、またその貯蔵層が濡れているとき又は乾燥しているときに構造的一体性を与えるように設計された不織布材料である。それらはティッシュラップであってもよく、又はより典型的には、親水性にされた不織布材料である。
【0005】
不織布を親水性とするための一般的な方法は、親水性界面活性剤で不織布の表面をコーティングすることである。このコーティングでは、不織布と界面活性剤との間は強い化学結合とはならないので、界面活性剤は、吸収性物品が濡らされると使用中に洗い流される可能性がある。液体染み通り時間の減少は、不織布を界面活性剤でコーティングするときの所望の効果である。液体が染み通るとは、液体が不織布を通り抜けることをいい、液体染み通り時間とは、特定の量の液体が不織布を通り抜けるのにかかる時間をいう。しかし、コーティングされた不織布が液体にさらされるときに界面活性剤が洗い流されると、次の流れ出しでの染み通り時間は増加する。この結果、このような不織布を含むおむつ又は他の物品の、使用時における性能が低下することになる。更に、それと同時に、液体の染み通りが界面活性剤の使用のために減少すると、不織布と接触した液体の表面張力は減少する。この減少はおむつ中での尿漏れの増加を引き起こす可能性があるため、望ましくない。
【0006】
不織布を親水性にするための別の一般的な方法は、コロナ及び/又はプラズマ処理を適用することによる。プラズマは、ガス又は液体媒体をイオン化することによって得ることができる、ガスのイオン化形態である。プラズマは、種々の材料間の接着性を高めるために、有機材料及び無機材料を処理するために広く使用される。低い表面エネルギーを持った化学的に不活性な表面を有するポリマーは、結合性及び接着性を持つ良好なコーティングを不可能にする。したがって、これらの表面は、他の基質、コーティング、接着剤、及び印刷インクとの結合を受け入れ可能とするように処理される。
【0007】
しかし、コロナ及びプラズマ処理は、その処理された材料を貯蔵する際に、コーティングの耐久性を低下させ、すなわち親水性は時間経過にともなって減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、貯蔵時に耐久性があり、濡らされたときに容易に洗い流されず、不織布が複数回液体にさらされる場合にすばやい液体の染み通りを達成できるようにする、不織布の親水性コーティングが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は吸収性コアを含む使い捨て吸収性物品を提供し、前記吸収性コアは次のものを含む:
(a)貯蔵層;並びに
(b)耐久性の親水性流体透過性コアラップであって、前記コアラップは前記貯蔵層の少なくとも一部分を囲んでおり、次のものを含むコアラップ:
(i)コアラップ基材;及び
(ii)基材上にコーティングされた親水性向上組成物であって、前記親水性向上組成物は親水性を向上させる量のナノ粒子を含み、このナノ粒子は約1〜約750ナノメートル(nm)の粒径を有する親水性向上組成物。
【0010】
本発明の第2の態様は、吸収性コアを含む使い捨て吸収性物品を製造するための方法を提供し、前記吸収性コアは貯蔵層及び耐久性の親水性コアラップを含み、前記コアラップは前記貯蔵層の少なくとも一部分を囲んでおり、前記方法は次の工程を含む:
コアラップ基材を親水性向上組成物でコーティングする工程であって、前記親水性向上組成物は親水性を向上させる量のナノ粒子を含んでおり、前記ナノ粒子は約1〜約750ナノメートル(nm)の粒径を有する工程。
【0011】
本明細書全体にわたって提示されるあらゆる限界が、場合によっては更に低い又は更に高いあらゆる限界を、こうした更に低い又は更に高い限界が本明細書に明確に記載されているかのように包含するということを、理解すべきである。本明細書全体にわたって提示されるあらゆる範囲は、そのような広い範囲内に入るあらゆる更に狭い範囲を、こうした更に狭い範囲がすべて本明細書に明確に記載されたかのように包含する。
【0012】
すべての引用された文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれる;いずれの文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈されるべきではない。特に指定しない限り、すべてのパーセント、比率、及び割合は重量によるものであり、すべての温度は摂氏温度(℃)によるものである。すべての測定値は、特に指定しない限りSI単位による。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明白に請求する特許請求にて結論とするが、以下の好ましい実施形態の説明を添付図面と関連して読むことにより、本発明を更によく理解できると考えられる。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「コーティング」とは、表面又はその一部を完全に覆うコーティング(例えば、表面上に被膜を形成するものを包含する連続コーティング)、並びに乾燥後に表面上のコーティング範囲に隙間を残すコーティングのような、表面を部分的に覆うだけの場合もあるコーティング(例えば、不連続コーティング)を包含する。後者の部類のコーティングは、覆われた部分と覆われていない部分の網状構造、及びナノ粒子間に空間を有することもある表面上のナノ粒子の分布を包含するが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、コーティングは、好ましくは少なくとも1層のナノ粒子の層をコーティングされた表面上に形成し、実質的に均一である。しかし、本明細書に記載のコーティングが表面に適用されていると記載されるときには、それらのコーティングは表面全体に適用される必要はないものとして、又は表面全体を覆うものとして理解される。例えば、表面の一部分を変性するためだけにコーティングを適用する場合でも、コーティングが表面に適用されているものとみなす。
【0015】
用語「親水性」とは、この繊維上に付着した水性液体(例えば、水性体液)によって濡らされる可能性がある繊維又は繊維の表面について表している。親水性及び湿潤性は、典型的には、流体、例えば、不織布を通る流体の接触角及び染み通り時間の観点から規定される。この点については、アメリカ化学会(the American Chemical Society)の出版物(1964年版権)、名称「接触角、湿潤性、及び接着(Contact Angle,Wettability,and Adhesion)」(ロバート・F・グールド(Robert F.Gould)編集)に詳細に説明されている。繊維、又は繊維の表面は、流体と繊維若しくはその表面との間の接触角が90°未満のとき、又は流体が繊維の表面全体に自然に広がる傾向があるときに流体によって濡らされる(すなわち、親水性である)と言われており、通常は両方の条件が共存する。逆に、接触角が90°より大きい場合及び流体が繊維の表面全体に自然に広がらない場合は、繊維又は繊維の表面は疎水性とみなされる。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「親水性を向上させる(hydrophilicity boosting)」とは、組成物が、耐久性の親水性流体透過性コアラップを作製するためにコアラップ基材上にコーティングされる場合に、液体の最初の流れ出しに対する染み通り時間が、試験方法の項にあり、本明細書中に更に記載される染み通り試験に従って試験した場合に、約6秒以下、より好ましくは約4秒以下であり、試験液体の5回目の流れ出しに対する染み通り時間が、好ましくは約6秒以下、より好ましくは約4秒以下である、耐久性の親水性流体透過性コアラップを生ずることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「含む」とは、本発明を実施する際に多様な構成要素、成分、又は工程を組み合わせて使用できることを意味する。それ故に、用語「含む」とは、非限定的であり、より制限的な用語「から本質的に成る」及び「から成る」を包含する。
【0018】
本発明の使い捨て吸収性物品は、その少なくとも一部分が耐久性の親水性流体透過性コアラップで囲まれている吸収性コアを含む。実例となる使い捨て吸収性物品の例としては、おむつ、成人用失禁製品、トレーニングパンツ、女性用衛生パッド、パンティライナーなどが挙げられるが、これらに限定されない。耐久性の親水性流体透過性コアラップは親水性向上組成物でコーティングされたコアラップ基材を含む。基材、及び親水性向上組成物は両方とも、本明細書でより詳細に例示される。
【0019】
図1は使い捨て吸収性物品、具体的には本発明に従う吸収性物品の好ましい実施形態であるおむつ20の平面図である。おむつは完全な非収縮状態(すなわち、弾性による収縮なし)で示されている。その構造の部分を切り取って、おむつ20の下層構造、特に吸収性コア10が示されている。着用者に接触するおむつ20の部分が、読者に向いている。図1のおむつ20のシャーシ22は、おむつ20の本体を含む。シャーシ22は、液体透過性のトップシート24及び/又は液体不透過性のバックシート26を包含する外側カバーを含む。シャーシはまた、トップシート24とバックシート26との間に包まれた吸収性コア10のほとんど又は全てを包含してもよい。
【0020】
一体型吸収性物品の場合、シャーシ22は、複合おむつ構造体を形成するように付加された他の機構と共に、おむつの主要構造体を含む。トップシート24とバックシート26と吸収性コア10は、様々な周知の構成で組み立てられてよいが、好ましいおむつの構成が、米国特許第5,569,234号、名称「使い捨てプルオン・パンツ(Disposable Pull-On Pant)」(ブエル(Buell)ら、1996年10月29日発行);及び米国特許第6,004,306号、名称「多方向延伸性サイドパネルを有する吸収性物品(Absorbent Article With Multi-Directional Extensible Side Panels)」(ロブル(Roble)ら、1999年12月21日発行)に概ね記載されている。
【0021】
図1のトップシート24は、全体的に又は部分的に伸縮性であってもよく、又は短縮させて、トップシート24と吸収性コア10との間に空隙空間を提供してもよい。伸縮性又は短縮させたトップシートを包含する代表的な構造は、米国特許第5,037,416号、名称「弾性的延伸性のトップシートを有する使い捨て吸収性物品」(アレン(Allen)ら、1991年8月6日発行);及び米国特許第5,269,775号、名称「使い捨て吸収性物品のための三等分トップシート及びこのような三等分トップシートを有する使い捨て吸収性物品(Trisection Topsheets for Disposable Absorbent Articles and Disposable Absorbent Articles Having Such Trisection Topsheets)」(フリーランド(Freeland)ら、1993年12月14日発行)に更に詳細に記載されている。
【0022】
図1のバックシート26は、一般に、バックシート26とトップシート24との間の吸収性コア10と共に配置されるおむつ20の部分である。バックシート26は、トップシート24と接合してもよい。バックシート26は、吸収性コア10に吸収されて物品20内に収容された排出物が、おむつ20と接触することがあるベッドシーツ及び下着などの他の外部物品を汚すことを防止する。好ましい実施形態では、バックシート26は、液体(例えば尿)に対して実質的に不透過性であり、不織布と厚さ約0.012mm(0.5mil)〜約0.051mm(2.0mil)の熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムとの積層体を含む。好適なバックシートフィルムとしては、インディアナ州テレホート(Terre Haute)のトレドガーインダストリーズ社(Tredegar Industries Inc.)により製造され、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料は、おむつ20から蒸気を逃しながらも、なお排出物がバックシート26を通過するのを防止する通気性材料を包含してもよい。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブのような複合材料、及びエスポア(ESPOIR)NOの名称で日本の三井東圧株式会社(Mitsui Toatsu Co.)により製造されるような、またエグザイア(EXXAIRE)の名称でテキサス州ベイシティー(Bay City)のエクソンケミカル社(EXXON Chemical Co.)により製造されるような微小多孔性フィルムなどの材料が挙げられ得る。ポリマーブレンドを含む好適な通気性複合材料が、ハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097の名称でオハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のクロペイ社(Clopay Corporation)から入手可能である。
【0023】
本発明によるおむつ20は、再閉鎖が可能な締着装置(図示せず)を備えているか、又はパンツ型のおむつの形態で提供されてもよい。
【0024】
おむつ20はまた、より良好な密着性、封じ込め及び審美的特徴を提供するために、前部及び後部耳パネル、再閉鎖可能な締着装置、ローション、ウエストキャップ機構、パンツ型おむつ、弾性体などを包含する当該技術分野で公知のようなこうした他の特徴(図示せず)を包含していてもよい。使い捨ておむつの構造、組み立て、及び様々な構成要素についての追加の実例ではあるが、非限定的な情報は:米国特許第3,860,003号(ビューエル(Buell));米国特許第5,151,092号(ビューエル);米国特許第5,221,274号(ビューエル);米国特許第5,554,145号(ロー(Roe)ら、1996年9月10日);米国特許第5,569,234号(ビューエルら);米国特許第5,580,411号(ニース(Nease)ら);米国特許第6,004,306号(ロブレス(Robles)ら);米国特許第5,938,648号(ラボン(LaVon)ら);米国特許第5,865,823号(クーロ(Curro));米国特許第5,571,096号(ドブリン(Dobrin)ら);米国特許第5,518,801号(チャペル(Chappell)ら);米国特許第4,573,986号(ミネトラ(Minetola)ら);米国特許第3,929,135号(トンプソン(Thompson));米国特許第4,463,045号(アール(Ahr)ら);米国特許第4,609,518号(クーロら);米国特許第4,629,643号(クーロら);米国特許第5,037,416号(アレン(Allen)ら);米国特許第5,269,775号(フリーランド(Freeland)ら);米国特許第4,610,678号(ワイズマン(Weisman)ら);米国特許第4,673,402号(ワイズマンら);米国特許第4,888,231号(アンシュタット(Angstadt));米国特許第5,342,338号(ロー);米国特許第5,260,345号(デスマライス(DesMarais)ら);米国特許第5,026,364号(ロバートソン(Robertson));米国特許第3,848,594号(ビューエル);米国特許第4,846,815号(スクリップス(Scripps));米国特許第4,946,527号(バトレル(Battrell));米国特許第4,963,140号(ロバートソンら);米国特許第4,699,622号(トゥーサン(Toussant)ら);米国特許第5,591,152号(ビューエルら);米国特許第4,938,753号(ヴァン・ゴムペル(Van Gompel)ら);米国特許第5,669,897号(ラボンら);米国特許第4,808,178号(アジズ(Aziz)ら);米国特許第4,909,803号(アジズら);米国特許第4,695,278号(ローソン(Lawson));米国特許第4,795,454号(ドラグー(Dragoo)に発行);米国特許第5,607,760号(ローオン(Roe on));米国特許第5,609,587号(ロー);米国特許第5,635,191号(ローら);米国特許第5,643,588号(ローら);及び米国特許第5,968,025号(ローら)に見出され得る。
【0025】
図1の吸収性コア10は、一般に、トップシート24とバックシート26との間に配置されている。図2に示されているように、吸収性コア10は、本明細書でより詳細に記載される耐久性の親水性流体透過性コアラップ42(本明細書では耐久性の親水性コアラップ、若しくはコアラップとも呼ばれる)及び貯蔵層60を含んでいる。貯蔵層60は、概ね圧縮性であって、体型に合いやすく、着用者の皮膚に対して非刺激性であり、尿などの液体及び他のある種の身体滲出物を吸収して保持できる、いかなる吸収性材料も含むことができる。貯蔵層60は、エアフェルト若しくはフラフ(fluff)と一般に呼ばれる粉砕木材パルプなどの、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に普通に使用される、種々多様な液体吸収性材料を含んでよい。他の好適な吸収性材料の例としては、捲縮セルロース塊(creped cellulose wadding);コフォームを包含するメルトブローポリマー;化学的に剛化、変性若しくは架橋されたセルロース繊維;ティッシュラップ及びティッシュラミネートを包含するティッシュ;吸収性発泡体;吸収性スポンジ;超吸収性ポリマー(超吸収性繊維など);吸収性ゲル化材料;又はあらゆる他の公知の吸収性材料若しくは材料の組み合わせが挙げられる。好適な吸収性材料の幾つかの組み合わせの例は、フラフ(fluff)と吸収性ゲル化材料及び/若しくは超吸収性ポリマー、並びに吸収性ゲル化材料と超吸収性繊維などである。任意の一実施形態では、貯蔵層はエアフェルトフリーであり、すなわちエアフェルトを含有しない。貯蔵層は、微量(通常10%未満)の非液体吸収性材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを更に含んでもよい。
【0026】
吸収性アセンブリとして使用するための代表的な吸収性構造は、米国特許第4,834,735号、名称「低密度及び低坪量の捕捉区域を有する高密度吸収性部材(High Density Absorbent Members Having Lower Density and Lower Basis Weight Acquisition Zones)」(アレマニー(Alemany)ら、1989年5月30日発行);及び米国特許第5,625,222号、名称「非常に高い水/油比を有する高内相エマルジョンから作られた水性流体のための吸収性フォーム材料(Absorbent Foam Materials For Aqueous Fluids Made From high Internal Phase Emulsions Having Very High Water-To-Oil Ratios)」(デスマライス(DesMarais)ら、1997年7月22日発行)に記載されている。
【0027】
図2は、図1のおむつの吸収性コア10の別の一実施形態の断面を示している、2−2に沿って取られた断面図である。図2においては、貯蔵層60はコアラップ42でC字折り状に(in a in a C-fold)包まれている。コアラップ42は、ナノ粒子75を含有する親水性向上組成物でコーティングされた基材を含んでいる。基材は不織布であっても、ポリマーフィルムであっても、又はそれらの組み合わせであってもよい。基材、親水性向上組成物、不織布、及び多孔質ポリマーフィルムはすべて本明細書でより詳細に例示される。
【0028】
本発明の耐久性の親水性コアラップは、延長した貯蔵寿命と着用寿命の両方を有する基材を提供する。先行技術の高エネルギー処理は短い貯蔵寿命を有する傾向がある。すなわち、消費者による購入から最終使用及び廃棄までの時間の間に、基材はその親水性を失う方向に向かう。先行技術のもののような界面活性剤処理は、一方で適切な貯蔵寿命を有することが多いが、しかし不適当な着用寿命を有する。すなわち、尿などの体液と接触した場合に、基材は即時にその親水特性を失ってしまう。このことは、吸収するように設計されている体液を、その吸収性物品がその総吸収容量に到達していないにもかかわらず、はじいてしまう表面をもたらす場合さえある。
【0029】
本発明の親水性向上組成物で処理された基材は長い貯蔵寿命及び長い着用寿命を有するので、本発明の親水性コアラップでは、これらの制限のいずれも問題とならない、すなわち、コアラップの親水特性は、時間経過と共に、又は尿などの体液と接触した際に、実質的に失われることはない。
【0030】
本発明の任意の一実施形態では、親水性コアラップは洗い流しの表面張力(a wash-off surface tension)が試験方法の項にあり、本明細書で更に記載される表面張力測定試験に従って試験された場合に、約65mN/mよりも大きい。
【0031】
本発明の任意の一実施形態では、吸収性コアは、貯蔵層及び耐久性の親水性コアラップに加えて、着用者の方に面している上側捕捉層、及び下側捕捉層を含む捕捉系を含んでいる。好ましい一実施形態では、上側捕捉層が不織布を含み、下側捕捉層が、好ましくは、化学的に剛化され、撚り合わされ、巻かれた繊維、表面積の大きな繊維、及び熱可塑性の結合繊維の混合物を含む。別の好ましい実施形態では、両方の捕捉層が、好ましくは親水性の不織布材料から準備される。捕捉層は、好ましくは貯蔵層に直接接触している。更に、貯蔵層又は上側捕捉層のような貯蔵層の一部分は、所望により親水性向上組成物でコーティングされてもよい。
【0032】
図3は、図1のおむつの吸収性コア10の別の一実施形態の断面を示している、2−2に沿って取られた断面図である。図3において、貯蔵層60はコアラップ42によって囲まれ、又は包まれている。コアラップ42は親水性向上組成物でコーティングされた基材を含んでおり、それらの両方が本明細書で詳細に例示される。
【0033】
図4は、図1のおむつの吸収性コア10の別の一実施形態の断面を示している、2−2に沿って取られた断面図である。図3において、貯蔵層60はコアラップ42で囲まれ、又は包まれている。コアラップ42は流体を受け入れる最上層70及び最下層80を含む。流体を受け入れる最上層70及び最下層80は、同じであることも異なっていることも可能である。すなわち、それらは同じ親水性向上組成物でコーティングされた同じ基材、同じ親水性向上組成物でコーティングされた異なる基材、又は異なる親水性向上組成物でコーティングされた異なる基材などであってよい。
【0034】
本発明の任意の一実施形態では、最上層70及び最下層80は不織布材料を含んでいてもよい。1つの好ましい材料は、スパンボンドされた層、メルトブローンされた層、及び更にスパンボンドされた層を備える、いわゆるSMS材料である。最上層70及び最下層80は、不織布材料の2以上の別個のシートから準備されてもよく、又は材料の単一シートから準備されてもよい。SMS材料が本明細書でより詳細に例示される。
【0035】
本発明の別の一実施形態では、基材の一部分のみが親水性向上組成物でコーティングされている。この任意の実施形態は図5及び図6に示されている。図5は図1のおむつの吸収性コア10の断面を示している、2−2に沿って取られた断面図である。図5において、貯蔵層60はコアラップ42によりC字折り状に(in a in a C-fold)包まれている。コアラップ42は、親水性向上組成物でコーティングされた部分、すなわちコーティング部分90、及び親水性向上組成物でコーティングされていない部分、すなわち非コーティング部分30の2つの部分を含む。
【0036】
図5に示されたものと別の実施形態が図6に見られる。図6は、図1のおむつの吸収性コア10の別の一実施形態の断面を示している、2−2に沿って取られた断面図である。図6において、貯蔵層60はコアラップ42で囲まれ又は包まれている。コアラップ42は、親水性向上組成物でコーティングされ、コーティング部分90を形成している最上層70、及び親水性向上組成物でコーティングされておらず、非コーティング部分30を形成している最下層80を含んでいる。
【0037】
また別の実施形態では、非コーティング部分30は、所望により、コーティング部分90とは異なる物理特性をその部分に与える異なる組成物でコーティングされていてもよい。例えば、非コーティング部分30は、その部分をより疎水性にするための組成物でコーティングされてもよく、又はコーティング部分90をコーティングするために用いたものとは異なる親水性向上組成物でコーティングされる。
【0038】
本発明の耐久性の親水性コアラップは、好ましくは約1グラム/平方メートル(すなわちgsm)〜約100gsm、より好ましくは約2gsm〜約50gsm、更により好ましくは約5gsm〜約30gsmの秤量を有する。
【0039】
(コアラップ基材)−本発明の耐久性の親水性コアラップは親水性向上組成物でコーティングされたコアラップ基材(基材)を含む。本明細書で重要である基材は布地、衣類、織物、及びフィルムを包含するがこれらの限定されない、いかなる既知のタイプの基材を含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、基材は1以上の繊維を含んでいてもよい。繊維は、動物、植物、鉱物、又は合成由来の微細な毛髪状の構造物として定義される。市販の繊維は、約0.001mm(約0.00004in)未満から約0.2mm(約0.008in)超過までの範囲の直径を有し、幾つかの異なる形態:短繊維(ステープル繊維又は細断(chopped)繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの撚っていない束(麻くず(tow))、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸(yarn))で提供される。
【0040】
基材は、天然に製造された繊維(天然繊維)、人によって製造された繊維(合成繊維若しくは人工繊維)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。天然繊維の例には、羊毛、絹、毛皮、及び毛髪のような動物繊維、セルロース、綿、亜麻、リネン、及び麻のような植物繊維、並びにある種の天然に生じる鉱物繊維が挙げられるが、これらに限定されない。合成繊維は、天然繊維由来のものであることも可能であり、又は天然繊維由来でないものであることも可能である。例えば天然繊維由来の合成繊維には、両方ともセルロース由来であるレーヨン及びリオセルが挙げられるが、これらに限定されない。天然繊維由来でない合成繊維は、他の天然資源又は鉱物資源に由来し得る。天然資源由来の代表的な合成繊維には、デンプンのような多糖類が挙げられるが、これに限定されない。鉱物資源からの代表的な繊維には、石油由来のポリプロピレン繊維及びポリエチレン繊維のようなポリオレフィン繊維、並びにガラス及びアスベストのようなシリケート繊維が挙げられるが、これらに限定されない。合成繊維は一般には、可能な場合は、流体処理法(fluid handling processes)(例えば、樹脂若しくは溶液などの流体の押出成形、延伸、又は紡績)により形成される。合成繊維にはまた、固体処理サイズ減少法(solid handling size reduction processes)(例えば、モノリス、フィルム、若しくは布地など大きな物体の機械切断(chopping)若しくは裁断(cutting))により形成されてもよい。
【0041】
本発明のコアラップ基材の全体若しくは一部を構成し得る好適な合成繊維の例としては、ナイロン(ポリアミド)、アクリル(ポリアクリロニトリル)、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、ブタジエン−スチレンブロックコポリマー類、天然ゴム、ラテックス、スパンデックス(ポリウレタン)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
1種類より多い繰り返し単位を含有する合成繊維は、各マクロ分子ストランド内での分子レベルで(コポリマー)、マクロ分子ストランド間で(ホモポリマーブレンド)、これらの繰り返し単位を組み合わせることにより、又はそれらの組み合わせから(コポリマーブレンド)得ることができ、あるいはそれらは別々のナノ視野的な、マイクロ視野的な、若しくはマクロ視野的な相(phases)を有するより更に高度なスケールレベルで繰り返し単位を組み合わせることにより得ることができる(例えばマルチコンポーネント繊維)。マルチコンポーネント繊維の各構成要素は、ホモポリマー、コポリマー、又はそれらのブレンドである。バイコンポーネント繊維はマルチコンポーネント繊維の一般的な形態である。コポリマーにおける2種類以上の繰り返し単位はランダムに、又は各種類の交互のブロックで配列することができる。異なる種類の繰り返し単位のブロックは、それらのそれぞれの端部において互いに結合することもでき(ブロックコポリマー)、又は少なくとも1つのブロックの各端部の間で結合することもできる(グラフトコポリマー)。
【0043】
不織布材料は、通常は繊維をウェブの形態に作製した布地の一種である。不織布材料については、バトラー(Butler)I、バトラ(Batra)SKら、不織布ハンドブック(Nonwovens Fabrics Handbook)、不織布産業協会(Association of the Nonwoven Fabrics Industry)(1999年)、並びにボーン(Vaughn)EA、不織布選集及び技術参考資料(Nonwoven Fabric Sampler and Technology Reference)、不織布産業協会(Association of the Nonwoven Fabrics Industry)に記載されている。
【0044】
不織布材料を含む基材は、繊維及び不織布材料がほぼ同時に形成される直接押出成形方法によって形成することができ、又は明確にそれに続く時点で不織布材料に載置できる予備形成繊維によって形成することもできる。直接押出成形方法の代表例には、スパンボンド、メルトブロー、溶媒紡糸、電界紡糸、及び典型的には層を形成するこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。「レイイング(laying)」方法の代表例には、湿式レイイング及び乾式レイイングが挙げられる。乾式レイイング(drylaying)方法の例には、エアレイイング、カーディング、及び典型的には層を形成するこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上述の方法を組み合わせると、一般にハイブリッド又は複合体と呼ばれる不織布が生成される。組み合わせの代表例には、典型的には層状に、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−カーディング(SC)、スパンボンド−エアレイド(SA)、メルトブローン−エアレイド(MA)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。直接押出成形を包含する組み合わせは、直接押出成形方法とほぼ同時点で(例えば、SA及びMAのスピンフォーム及びコフォーム)、又はそれに続く時点で組み合わせることができる。上述の例では、各方法によって一層以上の個々の層を形成することができる。例えば、SMSは、三層の「sms」不織布材料、五層「ssmms」不織布材料、又はこれらのいずれかの妥当な変形形態を意味することができ、小文字は個々の層を表し、大文字は類似の隣接層をまとめて表している。
【0045】
不織布材料中の繊維は、典型的には重なり合う接合部の幾つかで、1つ以上の隣接繊維に接合している。これには、各層内での繊維接合、及び一層より多くの層があるときの層間での繊維接合が包含される。繊維は、機械的な絡合、化学結合、又はこれらの組み合わせによって接合することができる。
【0046】
繊維及び不織布材料には、形成後に追加処理を実施することができる。不織布材料については、一般に繊維を互いに接合した後で追加処理を行う(後処理)。追加処理の例としては、機械的応力、化学添加物、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「コアラップ基材」が、2以上の基材若しくはウェブの積層体を包含することもまた、本発明の範囲内である。市販の積層体、又は積層体を構築する目的もまた本発明の範囲内である。加えて、基材は平坦であってもきめがあってもよい。きめのある基材及び積層体の形成は、本発明の一部を形成しない。次の論述は、系統的論述の便宜のためのものであり、本明細書に用いられる基材の種類を限定することは目的としていない。
【0048】
本発明の任意の一実施形態では、基材は高エネルギー表面処理により処理される。この高エネルギー処理は、基材を親水性向上組成物でコーティングする前に、又はコーティングすると同時になされてよい。この高エネルギー処理は、基材の親水性を増大させるいかなる好適な高エネルギー処理であってもよい。好適な高エネルギー処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線放射、イオンビーム処理、電子ビーム処理、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
表面エネルギーを増大させる高エネルギー表面処理は、ナノ粒子との組み合わせにおいて、表面に耐久性の親水特性を与えることができるという点で有用である。次には、増大された表面エネルギーは、濡れを達成するために分散物中で界面活性剤を使用することなしに、基材の湿潤性を増加させる。界面活性剤の使用を回避することは、前述した理由により有用である。非限定的な例では、コロナ処理が布地の熱可塑性表面上に一時的な電荷を配置する。前述したように、部分的若しくは完全な電荷は時間をかけて消散し、部分的な若しくは完全な電荷を布地の熱可塑性表面上に維持するには一般的に限界がある。しかし、ナノ粒子と組み合わせたコロナ処理を使用して、物質に耐久性の電荷を配置し、時間経過の後も水が物質に引き付けられ続けるようにできることが見出された。高エネルギー表面処理と組み合わせたナノ粒子の使用により、こうした処理の一時的な特性をより耐久的な特性へと転換することができる。非限定例においては、13グラム/平方メートルの疎水性SMSポリプロピレン不織布をコロナ処理した後、親水性向上組成物で処理し乾燥すると、複数回の流れ出し又は損傷(insult)の後も一貫して速い染み通りを示した。理論に束縛されることを望まないが、コロナ処理は繊維の表面エネルギーを増大させた。界面活性剤を有さない親水性向上組成物を 、電荷が消散し得るより前に繊維表面と接触させた。高い表面エネルギーによって、分散物が、コロナ処理をしない場合に可能であるよりも、繊維の表面をより濡らすことが可能となった。濡らされる表面では、ナノ粒子が、そうでなければ一時的であるその表面上の部分的な又は完全な電荷と結合する。この結合はファン・デル・ワールス相互作用の形態をとってもよく、又は他の相互作用若しくは結合の形態をとってもよい。ナノ粒子は、その結合が複数回の染み通りに耐えるだけ強い結合となるように、十分小さい。ナノ粒子は、酸素からポリマー内へと転がっていくのに、すなわち全体としての消散するのに、十分に抵抗するだけ大きい。
【0050】
限定されないが、追加の例示的な、機械的な及び繊維の化学結合による絡合に関する情報、並びに不織布材料に対する高エネルギー処理のような追加的な処理については、米国特許系属出願公開番号2002/0151634(出願番号10/060,708、2002年1月30日出願、2002年10月17日公開、P&G整理番号8408M);米国公開特許出願番号2002/0192366(US Published Patent Application No.2002/0192366)(出願番号10/060,694、2002年1月30日出願、2002年12月19日公開、P&G整理番号8837Q);米国公開特許出願番号2002/0150678(US Published Patent Application No.2002/0150678)(出願番号10/060582、2002年1月30日出願、2002年10月17日公開、P&G整理番号8838Q);米国特許出願番号10/338,603(2003年1月8日出願、P&G整理番号8857);及び米国特許出願番号10/338,610(2003年1月8日出願、P&G整理番号8858)に見出し得る。
【0051】
以下の特許は基材に関する開示に関して参照してもよい:米国特許第3,862,472号(1975年1月28日発行);米国特許第3,982,302号(1976年9月28日発行);米国特許第4,004,323号(1977年1月25日発行);米国特許第4,057,669号(1977年11月8日発行);米国特許第4,097,965号(1978年7月4日発行);米国特許第4,176,427号(1979年12月4日発行);米国特許第4,130,915号(1978年12月26日発行);米国特許第4,135,024号(1979年1月16日発行);米国特許第4,189,896号(1980年2月26日発行);米国特許第4,207,367号(1980年6月10日発行);米国特許第4,296,161号(1981年10月20日発行);米国特許第4,309,469号(1982年1月25日発行);米国特許第4,682,942号(1987年7月28日発行);及び米国特許第4,637,859号;同第5,223,096号;同第5,240,562号;同第5,556,509号;並びに同第5,580,423号。
【0052】
(親水性向上組成物)−本発明の親水性向上組成物は、親水性を向上させる量のナノ粒子を含む。親水性を向上させる量とは、その組成物が適用される基材をより親水性にするのに十分な、親水性向上組成物中に存在するナノ粒子の量を意図している。こうした量は、当業者により容易に確認することができ、使用される基材、使用されるナノ粒子、その耐久性の親水性コアラップの所望の親水性、その吸収性コアが使用される消費者製品などを包含するが、これらに限定されない、多くの要因に基づく。好ましくは、ナノ粒子は親水性向上組成物中に、組成物の約0.0001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.001重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約10重量%の濃度で存在する。
【0053】
典型的には、コアラップ基材上に存在する親水性向上組成物の量は、使用される基材、使用されるナノ粒子、その耐久性の親水性コアラップの所望の親水性、その吸収性コアが使用される消費者製品などを包含するが、これらに限定されない、多くの因子によって変わることになる。好ましくは、本発明のコアラップ基材上の親水性向上組成物の量は、基材1平方メートル当たり親水性向上組成物約0.01グラム(すなわち0.01gsm基材)〜約30gsm基材、より好ましくは約0.01gsm基材〜約20gsm基材、更により好ましくは約0.1gsm基材〜約10gsm基材となる。本発明の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は、キャリア中への分散物として基材に適用される。
【0054】
ナノ粒子は、ナノメートルの桁を有する粒径、すなわち直径を有する粒子である。すなわち、ナノ粒子は約1〜約750ナノメートル(nm)の範囲の粒径を有する。このような粒子は、それらがその粒子状の構成要素の非常に小さな寸法のおかげで、新規にして有用な特性を有する耐久性の親水性コアラップを生産するのに利用されるため、技術的に重要である。約2nm〜約750nmの範囲の粒径を有するナノ粒子は経済的に生産できる。ナノ粒子の粒径分布の非限定例は、約2nm〜約750nm未満、あるいは約2nm〜約200nm未満、あるいは約2nm〜約150nm未満の範囲内に入るものである。
【0055】
ナノ粒子の粒径は、ナノ粒子の最も大きな直径である。
【0056】
種々のタイプのナノ粒子の平均粒径は、ナノ粒子の粒子の粒径分布とは異なる場合がある。例えば、層状合成シリケートは約25ナノメートル(nm)の平均粒径を有し得るが、その粒径分布は一般に約10nm〜約40nmの間で変化し得る。(本明細書で記載される粒径は、それらが水性媒体に分散されている場合の粒子に関するものであり、平均粒径は粒子数分布の平均に基づくものであることを理解すべきである。ナノ粒子の非限定例としては、約2〜約750nmの粒径を有する結晶性又は非晶質粒子を挙げることができる。ベーマイトアルミナは2〜750nmの平均粒径分布を有することができる。)
親水性向上組成物は、基材上に存在する場合、典型的には実質的に均一なコーティングとなる。親水性向上組成物が乾燥している場合、例えば、水がすべて蒸発している場合、ナノ粒子は基材上で凝集し合ってより大きな粒子を形成していてもよく、又は使用される観察方法によっては被膜のように見えることさえある。いずれの場合も、ナノ粒子を含む親水性向上組成物を適用することにより、基材の均一なコーティングが得られる。
【0057】
本発明の親水性向上組成物においては、有機又は無機のいずれのナノ粒子を使用してもよい。好適な有機ナノ粒子としては、ナノラテックス類が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、「ナノラテックス」とは、粒径が約750nm以下のラテックスである。「ラテックス」とは、通常は球形の水不溶性ポリマー粒子のコロイド状分散物である。ナノラテックスは、エマルション重合によって形成してもよい。「エマルション重合」とは、界面活性剤を用いてラテックスのモノマーを水に分散させ、安定したエマルションを形成した後で、重合化する方法である。約2〜約600nmの範囲のサイズを取り得る粒子が生成される。
【0058】
有機のナノ粒子は本発明の範囲内ではあるが、無機のナノ粒子が好ましい。無機のナノ粒子は、一般に、酸化物類、ケイ酸塩類、炭酸塩類、及び水酸化物類として存在する。幾つかの層状粘土鉱物類及び無機金属酸化物類は、ナノ粒子の例であることが可能である。本発明で使用されるのに好適な層状粘土鉱物には、スメクタイト類、カオリン類、イライト類、クロライト類、アタパルジャイト類、及び混合層状粘土類の地質学的分類にあるものが挙げられる。これらの分類に属する具体的な粘土類の典型的な例は、スメクタイト類(smectices)、カオリン類、イライト類、クロライト類、アタパルジャイト類及び混合層状粘土類である。スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、葉蝋石、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト(sauconite)、ノントロナイト、タルク、バイデライト、ボルコンスコイト(volchonskoite)及びバーミキュライトが挙げられる。カオリンには、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、アナウキシト(anauxite)、ハロイサイト、インデライト、及びクリソタイルが挙げられる。イライトには、ブラバイサイト(bravaisite)、白雲母、パラゴナイト、金雲母、及び黒雲母が挙げられる。クロライトには、コレンサイト(corrensite)、ペニナイト(penninite)、ドンバサイト(donbassite)、スドイト(sudoite)、ペナイン(pennine)及びクライノクロア(clinochlore)が挙げられる。アタパルジャイトには、海泡石及びポリゴルスカイト(polygorskyte)が挙げられる。混合層状粘土には、アレバルダイト(allevardite)及びバーミキュライトバイオタイトが挙げられる。このような層状粘土鉱物の変異型及び同型の置換体は、独特の用途を提供する。
【0059】
層状粘土鉱物は、天然に存在する物又は合成物のいずれかであってよい。コーティング組成物の非限定的な一実施形態の例は、天然又は合成のヘクトライト類、モンモリロナイト類、及びベントナイト類を使用する。別の実施形態では市販のヘクトライト粘土類が使用され、市販のヘクトライトの典型的な供給源は、サザン・クレイ・プロダクツ社(Southern Clay Products,Inc.)(米国)からのラポナイト類(LAPONITEs)(商標);R.T.バンダービルト(R.T.Vanderbilt)(米国)からのビーガムPro(Veegum Pro)及びビーガムF(Veegum F);並びにバロイド・ディビジョン、ナショナル・リード社(Baroid Division,National Read Comp.)からのバラシム類(Barasyms)、マカロイド類(Macaloids)及びプロパロイド類(Propaloids)である。
【0060】
本発明の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は合成ヘクトライト、ケイ酸リチウムマグネシウムを含む。このような好適なケイ酸リチウムマグネシウムの1つは、次の構造を有するラポナイト(LAPONITE)(商標)である:
[MgLiSi20OH4−yz−
式中、w=3〜6、x=0〜3、y=0〜4、z=12−2w−xであり、全体として負の格子電荷は、対イオンによって平衡を保たれており、対イオンは、Na、K、NH、Cs、Li、Mg++、Ca++、Ba++、N(CH、及びこれらの混合物から成る群から選択される。(ラポナイト(LAPONITE)(商標)がカチオン性有機化合物で「変性」されている場合、「対イオン」は、いずれかのカチオン性有機基(R)とみなすことができる。)
他の好適な合成ヘクトライトには、ラポナイト(LAPONITE)(商標)の同型置換型、例えばラポナイトB(商標)、ラポナイトS(商標),ラポナイトXLS(商標)、ラポナイトRD(商標)、ラポナイトXLG(商標)、及びラポナイトRDS(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
ナノ粒子はまた、酸化チタンシリカ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物などであるが、これらに限定されない無機酸化物を包含する、他の無機物質であってもよい。他の好適な無機酸化物としては、アルミナ及びシリカの種々の無機酸化物がある。
【0062】
本発明の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は、水分散性の無機金属酸化物であるベーマイトアルミナ([Al(O)(OH)])を含み、これは、約2nm〜約750nm以下の平均粒径分布を包含する、種々の粒径又は粒径の範囲を有するように調製できる。例えば、ノース・アメリカン・セイソル社(North American Sasol,Inc.)から、平均粒径分布が25nm前後のベーマイトアルミナのナノ粒子が商品名ジスペラル(Disperal)P2(商標)として、また平均粒径分布が140nm前後のナノ粒子が商品名ジスパール(Dispal)(登録商標)14N4−25として入手可能である。
【0063】
親水性向上組成物中でのナノ粒子の混合物の使用もまた、本発明の範囲内である。
【0064】
本発明の好ましい一実施形態では、ナノ粒子は、二酸化チタン、ベーマイトアルミナ、フルオロケイ酸ナトリウムマグネシウムリチウム、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0065】
任意成分−本発明の親水性向上組成物はまた、キャリア、界面活性剤、及び補助成分のような任意成分を包含してもよい。
【0066】
任意成分は、存在する場合、典型的に組成物の約0.001重量%〜約99.9重量%、好ましくは約0.01重量%〜約98重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約96重量%の濃度で、組成物中で使用される。
【0067】
好適なキャリアには、液体、固体及び気体が包含される。好ましいキャリアの1つは水であり、水は蒸留水、脱イオン水、又は水道水であってもよい。水はその低コスト性、入手のしやすさ、安全性、及び適合性のために有益である。
【0068】
任意で、水に加えて又は水の代わりに、キャリアは低分子量の有機溶媒を含むことができる。好ましくは、溶媒は水への溶解度が高く、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノールなど、及びこれらの混合物である。低分子量のアルコールは、ナノ粒子分散物の表面張力を減少させて基材の湿潤性を改善することができる。このことは特に基材が疎水性である場合に役立つ。低分子量のアルコール類はまた、処理された基材を速く乾燥させるのにも役立つ。任意の水溶性低分子量溶媒は、あらゆる好適な濃度で使用することができる。キャリアは、コーティング組成物の約10重量%〜約99重量%、あるいは約30重量%〜約95重量%を包含するが、これらに限定されない、組成物のいかなる好適な量をも構成することができる。
【0069】
界面活性剤は、本発明の幾つかの実施形態における任意成分である。界面活性剤は、基材上におけるナノ粒子の分散を円滑にする湿潤剤としてコーティング組成物中で特に有用である。界面活性剤は、コーティング組成物が疎水性基材を処理するために使用される場合には、包含されるのが好ましい。
【0070】
好適な界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性(amphoteric)界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物を含む群から選択することができる。本発明の組成物に有用な界面活性剤の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」、北アメリカ版(1986年)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(Allured Publishing Corporation)出版;マカッチャンの「機能材料(Functional Materials)」、北アメリカ版(1992年);米国特許第5,707,950号及び5,576,282号;及び米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)に開示されている。
【0071】
コーティング組成物に界面活性剤が使用される場合、界面活性剤はコーティング組成物の適用を促進するのに有効な量で添加されてよい。界面活性剤は、存在する場合、典型的には組成物の約0.0001重量%〜約60重量%、好ましくは約0.001重量%〜約35重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約25重量%の濃度で組成物中で使用される。
【0072】
典型的には約0.001重量%〜約60重量%の濃度において本明細書で有用な、好ましい非イオン性界面活性剤を包含する界面活性剤の非限定例としては、非イオン性及び両性(amphoteric)界面活性剤類、例えばいわゆる狭いピークを有するアルキルエトキシレート類を包含するC12〜C18アルキルエトキシレート類(「AE」)及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類(特にエトキシレート類及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12〜C18ベタイン類及びスルホベタイン類(「スルタイン類」)、C10〜C18アミンオキシド類などが挙げられる。
【0073】
他の部類の有用な界面活性剤はシリコーン界面活性剤類及び/又はシリコーン類である。それらは、単独で、及び/又は本明細書で記載したアルキルエトキシレート界面活性剤類と組み合わせて使用できる。シリコーン界面活性剤の非限定例は、以下の一般式を有する、ジメチルポリシロキサン疎水性部分と1以上の親水性ポリアルキレン側鎖とを有するポリアルキレンオキシドポリシロキサン類である:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)(R)SiO]Si(CH
式中、a+bは約1〜約50であり、各Rは同じか又は異なっており、メチル、及び一般式:−(CHO(CO)(CO)を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基から成る群から選択され、式中、nは3又は4であり、cの合計(すべてのポリアルキレンオキシ側基に対する)は1〜約100、あるいは約6〜約100の値を有し、dの合計は0〜約14であり、あるいはdは0であり、c+dの合計は約5〜約150、あるいは約9〜約100の値を有し、各Rは同じか又は異なっており、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基から、あるいは水素及びメチル基から成る群から選択される。各ポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、少なくとも1つのポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であるR基を有する。シリコーン超湿潤剤は、ダウコーニング(Dow Corning)から、シリコーングリコールコポリマー類(例えば、Q2−5211及びQ2−5212)として入手可能である。
【0074】
界面活性剤の混合物を使用することもまた、本発明の範囲内である。
【0075】
(補助成分)−本組成物は、加工助剤、抗菌性防腐剤、酸化防止剤、静電気防止剤、キレート化剤、着色剤、染料、充填剤塩、殺真菌剤、昆虫及び蛾駆除剤、殺菌剤、ヒドロトロープ、金属塩を包含するが、これらに限定されない、他の任意の補助成分を含有することができる。これらの任意成分は、あらゆる所望の濃度で包含されてよいが、典型的には組成物の約0.0001重量%〜約99.99重量%の濃度で添加される。
【0076】
親水性向上組成物の基材への適用−親水性向上組成物はあらゆる好適な様式で基材に適用することができる。親水性向上組成物は、基材が少なくとも部分的に組成物の浴内に浸漬される場合に(浸漬加工)、又は基材をコーティング組成物に浸漬せずに(非浸漬加工)、基材に適用され得る。
【0077】
本発明の一実施形態では、親水性向上組成物はキスロールコーティングにより適用される。キスロールコーティングでは、組成物は適切な浴中に保持される。回転シリンダー又はこの方法に適した他のいずれかの装置は、組成物をその表面の少なくとも一部と接触させている。したがって、組成物はシリンダーの表面に広げられる。シリンダーがすでにその表面に広げられた組成物を有した状態で、基材をシリンダーと接触させる。この方法では、基材に適用される組成物の量が、容易に制御でき、基材を組成物に浸漬することを回避することができる。
【0078】
キスロールコーティングの代わりに、組成物を、複数の繊維の表面上に噴霧することもできる。キスロールコーティングのように、噴霧は、水溶液のアドオンレベル(add-on level)を低く、容易に制御可能とし、このことは本発明において好ましい。他の代替方法としては、ロータリー、グラビア、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スロットコーティングなどのような印刷が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
(使い捨て吸収性物品を製造するための方法)−図7は使い捨て吸収性物品を製造する任意の一実施形態、より具体的には吸収性コアの生産工程を例示している。分配ローラー110から、耐久性の親水性コアラップ42がコンベアベルト120へと分配される。耐久性の親水性コアラップ42は、基材を親水性向上組成物でコーティングすることにより予め形成された。耐久性の親水性コアラップ42はコンベアベルト120に沿ってポイント130へと移動し、ポイント130で貯蔵層60の構成要素が大型容器(bin)140及び150から分配される。大型容器(bin)150から分配されたエアフェルト160が吸収性ゲル化材料170と混合されてから、ポイント130において親水性コアラップ42上に付着する。
【0080】
段階170で、貯蔵層60の一部が耐久性親水性コアラップ42によって囲まれる。カプセル封入や包み込みなどの、貯蔵層60の包囲の例に関しては、図2〜図6を参照して本明細書で記載されていることが見出され得る。最終的に、段階180において、耐久性の親水性コアラップ42の端部が封止される。封止の好適な方法には、接着、熱、超音波、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。形成された吸収性コアは、次いで、更に加工されて、使い捨て吸収性物品へと、例えば使い捨ておむつのトップシートとバックシートの間に、組み込まれる。
【実施例】
【0081】
本発明による親水性向上組成物は、以下のようにして調製される:
【表1】

1.ラポナイト(LAPONITE)B(商標)は、サザン・クレイ・プロダクツ社(Southern Clay Products,Inc.)からのフルオロケイ酸ナトリウムマグネシウムリチウムである。
2.ラポナイト(LAPONITE)RD(商標)は、サザン・クレイ・プロドクツ社(Southern Clay Products,Inc.)からのケイ酸ナトリウムマグネシウムリチウムである。
3.ジスペラル(Disperal)14N4−25は、ノース・アメリカン・セイソル社(North American Sasol,Inc)から入手可能なベーマイトアルミナナノ粒子である。
4.ZSM5は、粒径が70〜約400nmのナノサイズのゼオライトである。
5.ネオドール(Neodol)91−6
6.シルウェット(Silwet)L−77
【0082】
(試験方法)−特に指定のない限り、試験はすべて標準の実験室条件(湿度50%及び23℃(73°F))で行う。
【0083】
(接触角)−動的接触角を、ファースト・テン・オングストローム(First Ten Angstroms)(米国)製のFTA200動的接触角分析装置(Dynamic Contact Angle Analyzer)を用いて測定する。試験溶液1滴を試料基材上に滴下する。液滴が基材表面全体にわたって拡散するのをデジタルビデオで記録し、FTA200ソフトウェアによって液体と基材との接触角を時間の関数として測定する。
【0084】
表面張力の判定表面張力(単位:mN/m)を、以下の試験に従って判定する。装置:クルスGmbH(Kruss GmbH)(ドイツ)によって提供されるK10張力計又は等価物。容器の上昇スピードは4mm/minであるべきである。液体表面の高さは、プレート又はリングを用いるときに自動的に感知されるべきである。この装置は、サンプルの位置を自動的に正しい高さに調整可能でなければならない。試験の精度は±0.1mN/mであるべきである。
【0085】
手順(i)較正:40mlの食塩水(脱イオン水中0.9重量%NaCl)をきれいに洗ったビーカーに注ぐ。その食塩水の表面張力を、プラチナリング又はプラチナプレートで、装置の説明書きに記載された方法を用いて試験する。この表面張力は、20℃で71〜72mN/mであるべきである。
【0086】
(ii)方法:脱イオン水及びイソプロパノールでビーカーを洗浄し、それを数秒間ガスバーナーで熱して蒸発させる。そのビーカーの温度が室温と平衡となるまで待つ。10枚の60×60mm試験不織布片をきれいに洗ったビーカーに入れる。その不織布は、秤量が少なくとも10グラム/平方メートル(すなわちgsm)でなければならない。40mlの食塩水(脱イオン水中0.9重量%NaCl)を加え、界面活性剤が付いていない清潔なプラスチック棒を用いて10秒間、手で攪拌する。不織布の入った溶液を5分間放置する。再び10秒間、手で攪拌する。界面活性剤が付いていない清潔なプラスチック棒で不織布を食塩水から取り出す。その溶液を10秒間放置する。次いで、その液体表面張力を、プラチナプレート若しくはプラチナリングで、装置の説明書きに記載された方法を用いて試験する。測定された表面張力は、洗い流しの(wash-off)表面張力である。
【0087】
(液体染み通り試験)−レンジングAG(Lenzing AG)(オーストリア)製のリスタータイプ染み通り装置(Lister-type strike-through equipment)を用いて、液体染み通り時間を測定する。試験手順は、標準EDANA(欧州使い捨て品及び不織布協会(European Disposables And Nonwovens Association))方法150.3−96に基づくものであり、試験試料を、10プライの濾紙(エンピリカル・マニュファクチャリング社(Empirical Manufacturing Co.,Inc.)から得られるアールストロームグレード(Ahlstrom Grade)632又は同等のもの)から構成される吸収性パッド上に設置して実施する。通常の実験では、3連続の5mlの試験液体(0.9%食塩水溶液)の流れ出しを1分の間隔で不織布試料に適用し、吸収性パッドを変えずにそれぞれの染み通り時間を記録する。
【0088】
エダナ方法(Edana Method)に記載されているような最初の流れ出しに対する染み通り時間の測定に加えて、下記に記載の試験では、最初の流れ出しのみを測定するのではなく、その後の数回の流れ出し、特に第5回目の流れ出しを測定する。
【0089】
(装置)−リスター染み通り装置(Lister Strike-through Equipment)−(i)磁気バルブを取り付けた漏斗:3,5(±0.25)秒に25mLの放出速度;(ii)染み通りプレート:厚さ25mmのアクリルガラスで構成される。プレートの全重量は500gでなければならない。電極は非腐蝕性材料のものであるべきである。電極をプレートの底部で切り込まれた断面の溝(4.0mm×7.0mm)にセットし、急速に固まるエポキシ樹脂で固定する。図8、図9、及び図10は、電極210を含有する染み通りプレート200を示している。図8は染み通りプレート200の平面図であり、一方図9は図8の染み通りプレート200の9−9に沿って取られた断面図である。図10は、図8の染み通りプレート200の10−10に沿って取られた断面斜視図である;(iii)ベースプレート:およそ125mm×125mmの正方形のアクリルグラス;(iv)漏斗を支持するためのリングスタンド;(v)0.01秒まで測定する電子タイマー;(vi)容量50mlのビュレット;及び(vii)コア濾紙アールストローム(Ahlstrom)グレード989又はその等価物(平均の染み通り時間1.7秒±0.3秒、寸法:10×10cm)
手順:(1)必要な数だけ12.5cm×12.5cmのサンプルを、サンプルの端でのみサンプルに触るようにして注意深く切断する。(2)10プライのコア濾紙を取り、ベースプレート上の10プライの濾紙のセットの上に1つのサンプルをのせる。このサンプルは、(吸収性物品において適用される場合)使用者の皮膚に面するように意図される不織布の側が最上部にくるように、濾紙の上に配置されるべきである。(3)試験片の中心の上に染み通りプレートの中心を合わせて、プレートをその上に置く。ビュレット及び漏斗をプレートの真上の中心に配置する。(4)電極がタイマーに接続されていることを確認し、タイマーのスイッチを入れて時計をゼロに合わせる。(5)ビュレットを食塩水溶液(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)で満たす。(6)漏斗の排出バルブを閉じたままで、ビュレットから漏斗に5.0mLの液体(=1回の流れ出し)を流す。(7)漏斗の磁気バルブを開け、5.0mLの液体を排出させる。液体の最初の流れが電気回路を完成させ、タイマーを開始する。タイマーは、液体がパッドに浸透し、染み通りプレートの電極のレベルより下に落ちたときに停止する。(8)電子タイマーに示されている時間を記録する。(9)60秒間待ち、工程(4)及び(6)〜(9)を繰り返し、2度目、3度目及びそれに続く何度かの流れ出しを行うが、それぞれの流れ出しは5mLの液体を含む。(例えば、漏斗に5mlを入れ、磁気バルブを開く、など)1度目、2度目及びそれに続くいずれかの流れ出しの時間(秒)を記録する。
【0090】
ラボラトリー・コロナ処理装置(Laboratory Corona Treater)(モデル番号BD−20AC、エレクトロ・テクニック・プロダクツ社(Electro-Technic Products Inc.)(米国)製)及び本発明に従うコーティング組成物に曝露した、SMSポリプロピレン不織布材料(13グラム/平方メートル)の染み通り結果が、表2で報告されている。
【表2】

「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0091】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】吸収性コア及び耐久性の親水性コアラップを包含する使い捨て吸収性物品の、一部が切り取られた平面図。
【図2】図1の使い捨て吸収性物品の吸収性コア10の別の一実施形態の、2−2に沿って取られた部分断面図。
【図3】図1の使い捨て吸収性物品の吸収性コア10のまた別の実施形態の、2−2に沿って取られた断面図。
【図4】図1の使い捨て吸収性物品の吸収性コア10のまた別の実施形態の、2−2に沿って取られた断面図。
【図5】図1の使い捨て吸収性物品の吸収性コア10のまた別の実施形態の、2−2に沿って取られた断面図。
【図6】図1の使い捨て吸収性物品の吸収性コア10のまた別の実施形態の、2−2に沿って取られた断面図。
【図7】本発明に従う吸収性物品を形成するための方法の概略的側面図。
【図8】基材の液体染み通りを測定するために使用され得る染み通りプレートの概略的平面図。
【図9】図8の染み通りプレートの、9−9に沿って取られた断面図。
【図10】図8の染み通りプレートの、10−10に沿って取られた断面斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性コアを含む使い捨て吸収性物品であって、前記吸収性コアが次のものを含む使い捨て吸収性物品:
(a)貯蔵層;並びに
(b)耐久性の親水性流体透過性コアラップであって、前記コアラップは前記貯蔵層の少なくとも一部分を囲んでおり、以下を特徴とするコアラップ:
(i)コアラップ基材;及び
(ii)前記基材上にコーティングされた親水性向上組成物(a hydrophilicity boosting composition)であって、前記親水性向上組成物は親水性を向上させる量の(a hydrophilicity boosting amount of)ナノ粒子を含み、前記ナノ粒子は1〜750ナノメートル(nm)の粒径を有する、親水性向上組成物。
【請求項2】
前記基材が、多孔質ポリマーフィルム、不織布材料及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、二酸化チタン、層状粘土鉱物類、酸化アルミナ、シリケート類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記親水性向上組成物が非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記基材が、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線放射、イオンビーム処理、電子ビーム処理及びこれらの組み合わせから成る群から選択される高エネルギー表面処理で処理された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項6】
前記使い捨て吸収性物品が、おむつ、成人用失禁製品、トレーニングパンツ、女性用衛生パッド、及びパンティライナーから成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
吸収性コアを含む使い捨て吸収性物品を製造するための方法であって、前記吸収性コアが貯蔵層及び耐久性の親水性コアラップを含んでおり、前記コアラップは前記貯蔵層の少なくとも一部分を囲んでおり、前記方法は次の工程により特徴付けられる方法:
親水性向上組成物は親水性を向上させる量のナノ粒子を含み、前記ナノ粒子は1〜750ナノメートル(nm)の粒径を有し、コアラップ基材を前記親水性向上組成物でコーティングする工程。
【請求項8】
前記基材のコーティングの前に、又はコーティングと同時に、前記基材を高エネルギー表面処理で処理し、前記高エネルギー表面処理が、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線放射、イオンビーム処理、電子ビーム処理、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項7に記載の使い捨て吸収性物品を製造するための方法。
【請求項9】
親水性向上組成物がキャリア及び非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項7又は8に記載の使い捨て吸収性物品を製造するための方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1つの方法に従って製造された使い捨て吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−513820(P2006−513820A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518488(P2005−518488)
【出願日】平成16年2月10日(2004.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/003624
【国際公開番号】WO2004/071341
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】