説明

耐光性発泡ポリウレンタン成形品

本発明は、不変色発泡ポリウレタン成形品およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐光性発泡ポリウレンタン成形品およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族結合NCO基を有するイソシアネートをベースとするポリウレタン(PUR)は、光の作用下で変色する傾向を有することが知られている。これは、外部用途において、または光の作用を受ける内部部品にとって問題である。従って、耐光性成形品を製造するために、適切な特性を有する表面が必要である。
【0003】
高い耐光性を有するポリウレタン(PUR)を製造するために、脂肪族的に結合したイソシアネートが通常用いられる。EP0379246B1には、耐光性PURの製造のためのこのようなイソシアネートの使用が記載されている。ここでは、例えばインストルメントパネル上に用いるための耐光性被覆スキンが製造されている。固体および発泡脂肪族スキンを製造することが可能である。発泡剤としての水の使用は、比較的高い硬度をフォームにもたらすが、これは場合によっては望ましくなく、低密度範囲において固体スキンより大きい硬度値をも示す。さらに、脂肪族イソシアネートを用いる場合に発泡反応および架橋反応の触媒作用を調整することが通常問題となる。この場合、特定の金属触媒と共に作用させることが必要となる場合が多い。
【0004】
さらに、内部領域における表面もまた、応力下で柔軟であるが、比較的短期間の後に元の外形を再び回復する表面仕上げを呈することにより、特定の保護機能を担う必要がある。
【0005】
EP−A0652250には、ジフェニルメタン系列のイソシアネートおよびカルバメート発泡剤から作られる多孔質ポリウレタンの製造方法が記載されている。しかし、これらのフォームは、非常に高い収縮値を示す。このような変化は、成形品の寸法安定性において望ましくない。熱膨張は、可能な限り低くあるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0379246号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0652250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、低収縮挙動をさらに示す、例えばダッシュボード、ドアトリムパネル、肘当ておよびコンソールの用途の分野のための広範囲の密度において柔軟弾性表面挙動(触覚学)を有する耐光性ポリウレタン、ならびにその製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外にも、脂肪族イソシアネート、およびイソシアネートに対して反応性である短鎖化合物および長鎖化合物から、発泡剤として特定のカルバミン酸アンモニウムを用いて得られるポリウレタンにより上記の課題を達成することが可能であった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、
A)必要に応じて変性し得る脂肪族イソシアネートおよび/または脂肪族イソシアネートプレポリマー、
B)1000〜15000g/molの平均分子量、および2〜8、好ましくは2〜4の官能価を有するポリオール、
C)鎖延長剤/架橋剤として、62〜500g/molの分子量、および2〜8、好ましくは2〜4の官能価を有するポリオールまたはポリアミン、
D)必要に応じて他の助剤物質および添加剤、
E)発泡剤
から得られ、発泡剤として、式I):
HO−X−N(R)H O−C(O)−N(R)−X−OH (I)
〔式中、
=H、C〜Cアルキル基または−X−OH
X=[CR] n=2〜6
=(CR)−[−O−(−CR−)−] p=2〜4 q=1〜10
=(CR)−[−N(R)−(−CR−)−] r=2〜4 s=1〜10
、R=H、C〜Cアルキル基、
=H、C〜Cアルキル基または−X−OH〕
で示される少なくとも2つのOH基含有カルバミン酸アンモニウム塩が用いられることを特徴とする耐光性発泡ポリウレタン成形品を提供する。
【0010】
カルバミン酸アンモニウムの製造は、EP−A0652250に記載されている。
【0011】
イソシアネートA)として、(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートを用いる。本発明によるポリウレタンを製造するために、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)は特に適当である。該イソシアネートは、純粋化合物の形態でまたは変性形態で、例えばウレットジオン、イソシアヌレート、アロファネートまたはビウレットの形態でまたはウレタン基−およびイソシアネート基含有反応生成物、いわゆるイソシアネートプレポリマーの形態で、および/またはカルボジイミド変性イソシアネートの形態で用いることができる。イソシアネートA)は好ましくは、35重量%〜15重量%のイソシアネート含有量を有する。好ましいイソシアネート成分は、95〜45重量%、好ましく90〜55重量%のモノマー割合を有するIPDIをベースとする低粘度生成物である。
【0012】
成分B)は、2〜8の平均ヒドロキシル官能価を有し、1000〜15000g/モル、好ましくは2000〜13000g/モルの平均分子量を有する少なくとも1つのポリヒドロキシポリエーテル、および/または2000〜10000g/モル、好ましくは2000〜8000g/モルの平均分子量を有する少なくとも1つのポリヒドロキシポリエステルから好ましく構成される。
【0013】
適当なポリヒドロキシポリエーテルは、ポリウレタン化学からそれ自体既知の好ましくは二官能性または三官能性出発分子またはこれらの出発分子の混合物のアルコキシル化生成物である。適当な出発分子は、例えば水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびソルビトールである。アルコキシル化のために用いるアルキレンオキシドは、とりわけプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドであり、これらのアルキレンオキシドを任意の順序でおよび/または混合物として用いることが可能である。
【0014】
適当なポリエステルポリオールは、好ましくは二価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等と、半化学量論的量の好ましくは二官能性カルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはこれらの酸の混合物等とのそれ自体既知のヒドロキシル基含有エステル化生成物である。
【0015】
成分C)は好ましくは、62〜500g/モル、好ましくは62〜400g/モルの分子量を有する二官能性鎖延長剤により構成される。好ましくは鎖延長剤C)として、二価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはこれらのジオールの混合物が挙げられる。また、成分C)としてまたは成分C)の一部として適当なものは、例として先に既に記載の種類の二価出発分子のプロポキシル化および/またはエトキシル化により得ることができる400g/モル未満の分子量を有するエーテル基含有ジオールである。また、鎖延長剤C)として適当なものは、アリールアルキル位にアミノ基を有するジアミン、例えば1,3−キシリレンジアミン等である。例として記載の鎖延長剤の任意の混合物を用いることもできる。鎖延長剤C)は、成分B)の重量を基準として2〜15、好ましくは4〜12重量%の量で用いる。
【0016】
本発明に必要なカルバメートは、既に先に記載の一般式で示される化合物である。
【0017】
カルバメートは、ガス状または固体の二酸炭素により40℃および130℃の間の温度で、ベースとするアルカノールアミンの単純飽和により製造する。
【0018】
カルバメートの製造のための特に好適なアルカノールアミンは、エタノールアミン、イソプルパノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、N−メチルエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンまたはこのようなアルカノールアミンの混合物である。
【0019】
ポリウレタン(PUR)の製造においては、発泡剤として用いるカルバメートは、成分B)の重量を基準として0.1〜6、好ましくは0.5〜5重量%の量で用いる。
【0020】
補助物質および添加剤D)として、それ自体既知の化合物を用いる。
【0021】
必要に応じて組み込むことができる補助物質および添加剤D)は、ポリウレタンフォームの製造において従来から用いる化合物、例えば活性剤、安定剤または他のハロゲン不含発泡剤、例えば特に、成分B)の重量を基準として0.3重量%までの量で必要に応じて組み込む水等である。しかしながら、PURの製造は好ましくは、水を添加せずに行う。
【0022】
さらに、出発成分は、80〜120、好ましくは95〜105のイソシアネート価が得られるような量で用いる。
【0023】
PURの製造のために、成分B)〜E)を通常、次いでポリイソシアネート成分A)と混合し、および密閉金型中で反応させる「ポリオール成分」を形成するために組み合わせる。この操作の間に、通常の測定および計量装置を用いる。
【0024】
成形品は、例えばステアリングホイールまたはドアトリムパネルならびにインストルメントパネルカバーとして、または通常、自動車の内部における防御パッドとして用いる。
【0025】
脂肪族フォームは、車両分野におけるダッシュボードのためのクラッディング、コンソール、ドアまたはグローブボックスのためのクラッディングとして適当である。
【0026】
反応成分(ポリイソシアネート成分A)またはポリオール成分)の温度は通常、20〜60℃の温度範囲内である。成形品の温度は通常20〜90℃である。
【0027】
金型に導入される発泡性材料の量は、200〜700kg/mの成形品の密度が得られるような量である。
【0028】
本発明は、以下の実施例に基づいてより詳細に説明される。
【実施例】
【0029】
表1におけるパーセンテージデータは、重量に関する。
【0030】
ポリイソシアネートI:
30.5重量%および25℃で200mPasの粘度を有する脂肪族ポリイソシアネート(70重量%のIPDI含有量および30重量%のIPDIイソシアヌレート含有量を有する)。
【0031】
ポリオールI:
トリメチロールプロパンとプロピレンオキシド/エチレンオキシド(PO/EO)との78:22の重量比でのアルコキシル化により製造され、27のOH価および主に第1級OH末端基を有するポリエーテルポリオール。
【0032】
ポリオールII:
グリセロールとプロピレンオキシド/エチレンオキシド(PO/EO)との28:72の重量比でのアルコキシル化により製造され、37のOH価および主に第1級OH末端基を有するポリエーテルポリオール。
【0033】
ポリオールIII:
プロピレンオキシドのエチレンジアミンへの添加により製造され、640のOH価を有し、および第2級OH末端基を有するポリエーテルポリオール。
【0034】
カルバメートI:
5モルのCOを、飽和に達するまで、アミノエタノール610gおよびエチレングリコール830gの溶液に導入する。
【0035】
カルバメートの50重量%溶液が形成される。
酸価:166mgKOH/g 計算:168.9mgKOH/g
アミン価:335mgKOH/g 計算:337.9mgKOH/g
【0036】
カルバメートII
1モルのCOを、飽和に達するまで、2−(2−アミノエトキシ)エタノール210gおよびエチレングリコール254gの溶液に導入する。
【0037】
カルバメートの50重量%溶液が形成される。
酸価:107mgKOH/g計算:110mgKOH/g
アミン価:219mgKOH/g 計算:220mgKOH/g
【0038】
以下の表1に、PURの製造のための成分を記載する。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
成分のための反応比は、表1に示されるイソシアネートの量について100重量部のポリオール処方物に関する。
【0042】
金型温度は80℃であり、成形寸法は200×200×5mmであった。
【0043】
用いる成分の温度は、イソシアネートについて室温(25℃)であり、ポリオール処方物について50℃であった。
【0044】
RIM法による通常の機械処理中の使用圧は、イソシアネートサイドおよびポリオールサイドについていずれの場合にも200バールであった。
【0045】
金型に導入する量を、規定の密度が生じるように計算した。
【0046】
脂肪族ポリウレタンフォームは、欠陥のない表面を示し、負荷の後、元の表面構造をわずかな時間遅れて再び生じさせる回復挙動を示す。落球反発弾性の計測中の球の衝撃点は完全に消失した。
【0047】
負荷後の表面の遅延弾性に加えて、EP−A0379246の実施例18〜21からのポリウレタンと比べて実質的により低い硬度のPURフォームも有利である。本発明のポリウレタンフォームは意外にも、EP−A0652250の実施例からのPURと比べて、実質的により低い収縮を示す。その結果、有利な高い寸法安定性が、例えば発泡スキンに存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)必要に応じて変性し得る脂肪族イソシアネートおよび/または脂肪族イソシアネートプレポリマー、
B)1000〜15000g/molの平均分子量、および2〜8、好ましくは2〜4の官能価を有するポリオール、
C)鎖延長剤/架橋剤として、62〜500g/molの分子量、および2〜8、好ましくは2〜4の官能価を有するポリオールまたはポリアミン、
D)必要に応じて他の助剤物質および添加剤、
E)発泡剤
から得られる耐光性発泡ポリウレタン成形品であって、発泡剤として、式I):
HO−X−N(R)H O−C(O)−N(R)−X−OH (I)
〔式中、
=H、C〜Cアルキル基または−X−OH
X=[CR] n=2〜6
=(CR)−[−O−(−CR−)−] p=2〜4 q=1〜10
=(CR)−[−N(R)−(−CR−)−] r=2〜4 s=1〜10
、R=H、C〜Cアルキル基、
=H、C〜Cアルキル基または−X−OH〕
で示される少なくとも2つのOH基含有カルバミン酸アンモニウム塩が用いられることを特徴とする、前記ポリウレタン成形品。
【請求項2】
車両分野におけるダッシュボードのためのクラッディング、コンソール、ドアまたはグローブボックスのためのクラッディングとしての請求項1に記載のポリウレタン成形品の使用。

【公表番号】特表2011−511141(P2011−511141A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545387(P2010−545387)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000551
【国際公開番号】WO2009/097990
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】