説明

耐圧用ボトル

【課題】内部を陽圧にした際の底部の変形を少なくすることができ、かつ外観形状が一般的なボトルの外観形状に近いため、消費者が内容物を誤解しないようになっている、耐圧用ボトルを提供する。
【解決手段】耐圧用ボトル10は、口部11と、胴部12と、底部20とを備えている。底部20は、中央部20aから周縁部20bに延びるとともに下方へ突出する複数の脚部21を有し、各脚部21間に中央部20aから周縁部20bに向かって下方へ延びる平坦面22が形成されている。各脚部21の接地面21aは、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において曲面状に形成されている。これにより、耐圧用ボトル10の内部を陽圧にした際、底部20の変形を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を陽圧とした状態で使用される例えばポリエチレンテレフタレート製の耐圧用ボトルに係り、とりわけボトル内部を陽圧とした際に高い強度を有する耐圧用ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックボトルに使用されるプラスチック材料の使用量を減らすことにより、プラスチックボトルを軽量化することが望まれている。しかしながら、ボトルを軽量化した場合、ボトルの強度が弱くなってしまう。このため、ボトルを段ボール箱内に梱包し、段ボール箱を積載して倉庫内に保存する際に、段ボール箱の段積み数を減らす必要が生じる。
【0003】
また、ボトルを自動販売機で販売するときに、自動販売機から正常に排出できなかったり、自動販売機内での保存中や排出時にボトルが凹む問題が生じやすい。これを解決するために、ボトル飲料を製造する工程において、ボトルに内容液を充填した直後に窒素等の不活性ガスをボトル内に充填してボトルを閉栓する技術がある。これにより、ボトル内部は陽圧となり、ボトルの強度を高くすることが可能である。なお、このようにボトル内部を窒素等の不活性ガスで満たすことは、内容液(例えば緑茶)の酸化を防止する効果もある。
【0004】
また、天然発泡水(スパークリングウォーター)や酸素水等をボトルに充填した場合、ボトル内はわずかに陽圧となる。あるいは緑茶またはコーヒー等の内容液をボトルに充填し、このボトルを加温すると、内容液や内部の空気の熱膨張により、ボトル内が陽圧となる。
【0005】
このように、ボトル内部が陽圧となる場合、図9に示すような一般的な形状の底部101を有するボトル100を用いると、ボトル100内が陽圧になることにより底部101が膨らんでボトル100の全高が高くなってしまう。あるいは、底部101の凹凸が反転(バックリング)することにより、ボトル100が正立しなくなってしまう。
【0006】
このため、ボトルに耐圧性を持たせるために底部をペタロイド形状とすることが一般的に行われている。また、底部をペタロイド形状とする技術のほか、図10に示すように底部101へ補強溝102を設けたり、底部を特公平3−39897(特許文献1)に示す形状とする技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平3−39897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ペタロイド形状の底部を有するプラスチックボトルは耐圧性に優れているため、その多くは炭酸飲料を充填して販売するために使用されている。このため消費者には、ペタロイド形状の底部を有するプラスチックボトルには炭酸飲料が充填されている、というイメージが強い。したがって、消費者が内容物を誤解することを避けるため、このようなペタロイド形状の底部を有するプラスチックボトルを緑茶またはコーヒー等の容器として用いることは事実上困難となっている。
【0009】
また、図10および特公平3−39897(特許文献1)に示すボトルは、耐圧性能に劣るため、ボトル内の圧力をあまり高くすることができない。
【0010】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ボトル内部を陽圧にした際の変形を少なくすることができ、かつ消費者が内容物を誤解しないように、外観を一般的なボトルの外観に近くした耐圧用ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、耐圧用ボトルにおいて、口部と、胴部と、底部とを備え、底部は、中央部から周縁部に延びるとともに下方へ突出する複数の脚部を有し、各脚部間に中央部から周縁部に向かって下方へ延びる平坦面が形成され、各脚部の接地面は、中央部から周縁部に向かう断面において曲面状に形成されていることを特徴とする耐圧用ボトルである。
【0012】
本発明は、各平坦面に、中央部側から周縁部側に延びかつ上方へ引っ込む補強溝が形成されていることを特徴とする耐圧用ボトルである。
【0013】
本発明は、底部の中央部に上方へ引っ込む凹部が形成されていることを特徴とする耐圧用ボトルである。
【0014】
本発明は、底部の中央部に上方へ引っ込む凹部が形成され、凹部の底面と補強溝の底面とが同一面をなすことを特徴とする耐圧用ボトルである。
【0015】
本発明は、各平坦面は、中央部から周縁部に向かう断面において上方へ向けて湾曲する凹状曲面の一部を構成することを特徴とする耐圧用ボトルである。
【0016】
本発明は、各脚部の接地面における平坦面からの突出高さが1mm乃至3mmであることを特徴とする耐圧用ボトルである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、底部は、中央部から周縁部に延びるとともに下方へ突出する複数の脚部を有し、各脚部間に中央部から周縁部に向かって下方へ延びる平坦面が形成され、各脚部の接地面は、中央部から周縁部に向かう断面において曲面状に形成されている。このことにより、耐圧用ボトル内部を陽圧にした際の変形を少なくすることができる。また、耐圧用ボトルを薄肉とした場合であっても、底部の強度を高くすることができる。
【0018】
また本発明によれば、耐圧用ボトル外方から見て底部の脚部が目立たないため、外観が一般的なボトルの外観に似ており、消費者が耐圧用ボトルの内容物を誤解するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態による耐圧用ボトルを示す正面図。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態による耐圧用ボトルの底部を示す斜視図。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態による耐圧用ボトルの底部を示す底面図(図1のIII方向矢視図)。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態による耐圧用ボトルの底部を示す垂直断面図(図3のIV−IV線断面図)。
【図5】図5は、比較例としてのボトルに内圧を加えた際における、底部形状の変化を示す概略断面図。
【図6】図6は、本発明の一実施の形態の変形例による耐圧用ボトルの底部を示す斜視図(図2に対応する図)。
【図7】図7は、本発明の一実施例における、耐圧用ボトルの底深さの変化量を示すグラフ。
【図8】図8は、本発明の一実施例における、耐圧用ボトルの全高変化量を示すグラフ。
【図9】図9は、従来のボトルの底部を示す図。
【図10】図10は、従来のボトルの底部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は本発明の一実施の形態を示す図である。
【0021】
まず、図1乃至図4により本実施の形態による耐圧用ボトルの概要について説明する。なお、本明細書中、「平坦面」とは、表面に凹凸を有していない滑らかな面という意味で用いている。ただしシボ等の微細な凹凸を有していても、「平坦面」とみなす。また本明細書中、「上方」、「下方」とは、それぞれ耐圧用ボトル10を正立させた状態(図1)における上方、下方のことをいう。
【0022】
図1に示すように耐圧用ボトル10は、口部11と、口部11下方に設けられた胴部12と、胴部12下方に設けられた底部20とを備えている。
【0023】
この耐圧用ボトル10は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)を射出成形して製作したプリフォームを二軸延伸ブロー成形したものである。なおプリフォームすなわち耐圧用ボトル10の材料としては、PETの他、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、または他の様々な熱可塑性樹脂を用いることも可能である。
【0024】
また、プリフォームを多層構造とし、中間層に酸素吸収層を設けても良い。中間層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)やMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのガスバリヤー性樹脂層を積層した構成を採ることができる。二種以上の合成樹脂のブレンド成形の場合は、例えば、PETにMXD6などのガスバリヤー性樹脂をブレンドしてプリフォームを射出成形することにより、ガスバリヤー性を向上させることができる。また、合成樹脂のほかに酸素吸収剤をPETにブレンドすることによっても、酸素バリヤー性を向上させることができる。
【0025】
さらに、ボトル容器内壁にシリカ、アルミナなどの無機酸化物や非晶性カーボンを蒸着することにより、透明性を維持しながらガスバリヤー性を向上させることができる。コーティング手段を用いる場合は、メタキシレンジアミンとエピクロルヒドリンを反応させた芳香族系多価エポキシ化合物と多価アミンとの熱硬化型架橋塗膜や、EVOHなどをコーティングすることにより、ガスバリヤー性を向上させることができる。EVOHをコーティングした場合は、吸湿によりガスバリヤー性が低下するため、その上にポリオレフィン系樹脂などの防湿性樹脂をコーティングすることが好ましい。このようなガスバリヤー性向上手段は、いずれか一種を用いてもよいが、二種以上の手段を組み合わせて用いることにより、一層ガスバリヤー性を向上させることができる。
【0026】
図1乃至図4に示すように、底部20は、中央部20aから周縁部20bに延びるとともに下方へ突出する9個(複数個)の脚部21を有している。
【0027】
この脚部21は、耐圧用ボトル10を安定して正立させるためには3個以上設けることが好ましいが、成形性の観点から、その上限は15個程度となる。また、バックリングを効果的に防止するために、脚部21の個数を奇数個とすることが好ましい。
【0028】
図2および図3に示すように、9個の脚部21は、底部20の周縁部20bに沿って等間隔に配置されている。
【0029】
また図3および図4に示すように、各脚部21は、接地面21aと、接地面21aから中央部20a側に向けて上方に延びる内側傾斜面21bと、接地面21aから周縁部20b側に向けて上方に延びる外側傾斜面21cとを有している。このうち接地面21aは、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において曲面状に形成されている(図4の垂直断面図参照)。また内側傾斜面21bは、底面方向から見て略三角形形状を有している(図3参照)。
【0030】
一方、各脚部21間には、中央部20aから周縁部20bに向かって下方へ延びる平坦面22が形成されている。各平坦面22は、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において、上方へ向けて湾曲する凹状曲面の一部を構成する(図4参照)。
【0031】
また各平坦面22に、それぞれ中央部20a側から周縁部20b側に延び、かつ上方へ引っ込む細長状の補強溝23が形成されている。すなわち底部20は、中央部20aから放射状に等間隔に配置された9本の補強溝23を有している。
【0032】
さらに各平坦面22の中央に、上方へ引っ込むとともに、底面方向から見て円形状を有する凹部24が形成されている。この凹部24は、補強溝23と連続して形成されており、凹部24の底面24aと補強溝23の底面23aとが同一面をなしている(図4参照)。
【0033】
さらにまた、各脚部21と、補強溝23と、凹部24とに囲まれた平面領域に、底部内側面25が形成されている。底部内側面25は、平坦面22と連続して形成され、平坦面22と同一面をなしている。
【0034】
このような耐圧用ボトル10のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。例えば図4において、耐圧用ボトル10の容量が500mlである場合、胴部12の径φを60mm乃至70mmとし、各脚部21の接地面21aにおける平坦面22からの突出高さh1を1mm乃至3mmとすることが好ましい。また、底部20の底深さ(すなわち各脚部21の接地面21aと凹部24の底面24aとの距離)h2を7mm乃至22mmとすることが好ましい。
【0035】
なお例えば耐圧用ボトル10の容量が350ml以下である場合は、胴部12の径φが50mm乃至68mm、1000mlの場合は胴部12の径φが70mm乃至90mm、1500mlの場合は胴部12の径φが80mm乃至100mmであり、各脚部21の接地面21aにおける平坦面22からの突出高さh1を1mm乃至3mm、底部20の底深さh2を7mm乃至22mmとすることが好ましい。
【0036】
また、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において、各脚部21の接地面21aの曲率半径Rを3mm乃至8mmとすることが好ましい。さらに、胴部12の肉厚t1を0.1mm乃至0.5mmとすることが好ましい。
【0037】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0038】
まず耐圧用ボトル10内に、例えば緑茶等の内容液を充填し、その後、窒素等の不活性ガスをヘッドスペース内に充填して閉栓する。この際、充填された不活性ガスまたは内容液により、耐圧用ボトル10内部は陽圧(たとえば20〜40kPa)となる。
【0039】
耐圧用ボトル10内部が陽圧となることにより、耐圧用ボトル10の内側から外側への力が作用し、底部20においては、およそ上方から下方へ向けて圧力が加わる。
【0040】
これに対して本実施の形態において、底部20は、中央部20aから周縁部20bに延びるとともに下方へ突出する9個の脚部21を有し、各脚部21間に中央部20aから周縁部20bに向かって下方へ延びる平坦面22が形成されている。この各平坦面22は、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において上方へ向けて湾曲する凹状曲面の一部を構成する。したがって、耐圧用ボトル10内が陽圧になり底部20に下方向の力が加わっても、底部20に応力が集中しにくい形状となっているため、底部20が変形しにくい。さらに、隣り合う脚部21と、各脚部21間に位置する平坦面22とがリブ構造を形成するため、これによっても底部20の変形を防止するように作用する。底部20の補強溝23および凹部24も、同様の作用により、底部20の変形を防止する役割を果たす。
【0041】
また、耐圧用ボトル10が接地する面である接地面21aは、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において曲面状に形成されている。このことにより、耐圧用ボトル10内の圧力が高まり、平坦面22および底部内側面25が下方に変形した場合であっても、耐圧用ボトル10の全高変化量が小さく抑えられる。
【0042】
すなわち、比較例として図5に示すように、仮にボトルの底部の接地面31が平らな水平面からなっている場合、ボトル内部の圧力が高まってボトルの底部が変形する際、接地面31の外縁部31aの角度α1と、接地面31の内縁部31bの角度α2とが、それぞれ大きくなる方向に変形する(図5の仮想線(二点鎖線))。このため、接地面31は、その内縁部31bが下方に向かうように変形してしまうため、ボトルの全高変化量が大きくなってしまう。
【0043】
これに対して本実施の形態において、上述したように、接地面21aは、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において曲面状に形成されているので、耐圧用ボトル10内部の圧力が高まった際、各脚部21の接地面21aの曲率半径Rが大きくなるに過ぎない。これにより、耐圧用ボトル10の全高変化量を小さく抑制することができる。
【0044】
このように本実施の形態によれば、底部20は、中央部20aから周縁部20bに延びるとともに下方へ突出する複数の脚部21を有し、各脚部21間に中央部20aから周縁部20bに向かって下方へ延びる平坦面22が形成されている。また各平坦面22は、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において上方へ向けて湾曲する凹状曲面の一部を構成する。このことにより、底部20の強度が高められ、耐圧用ボトル10の内部を陽圧にした際、底部20の変形(バックリング等)を防止することができる。
【0045】
また本実施の形態によれば、各平坦面22に、中央部20aから周縁部20bに延びかつ上方へ引っ込む補強溝23が形成され、底部20の中央部20aに上方へ引っ込む凹部24が形成されている。このことにより、底部20の強度が高められ、底部20の変形を更に抑えることができる。
【0046】
また本実施の形態によれば、各脚部21の接地面21aは、中央部20aから周縁部20bに向かう断面において曲面状に形成されているので、耐圧用ボトル10内部を陽圧にした際、耐圧用ボトル10の全高変化量を小さくすることができる。
【0047】
さらに本実施の形態によれば、耐圧用ボトル10外方から見て底部20の脚部21が目立ちにくいため、耐圧用ボトル10の外観形状が一般的なボトルの外観形状に近く、消費者が耐圧用ボトル10の内容物を誤解するおそれがない。
【0048】
なお耐圧用ボトル10は外観形状が一般的なボトルの外観形状に近いため、耐圧用ボトル10内部を非陽圧として用いる事も可能である。たとえば、ある時は緑茶を充填した後に窒素を充填して耐圧用ボトル10内を陽圧にして自動販売機用の商品とし、別のときは同じ耐圧用ボトル10に緑茶のみを充填し非自動販売機用の商品とする事も可能である。そのためボトル用の金型を2種類用意する必要が無く、したがってボトルの生産工場においては金型を交換する必要も無いため、金型投資費用や交換時間を節約できる、という副次効果もある。
【0049】
(変形例)
なお、耐圧用ボトル10に対して要求される強度が低い場合は、図6に示す変形例のように、底部20に補強溝23を設けなくても良い。さらに、図示していないが、底部20に補強溝23を設け、凹部24を設けなくても良い。あるいは、底部20に補強溝23および凹部24のいずれも設けなくても良い。
【実施例】
【0050】
次に、本実施の形態における具体的実施例を説明する。
【0051】
まず図1に示す耐圧用ボトル10(実施例)を作製した。この場合、18gのプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより、耐圧用ボトル10(実施例)を作製した。
【0052】
次に、耐圧用ボトル10(実施例)内を陽圧とし、徐々にその内圧を高めていき、この際の耐圧用ボトル10の全高変化量と、底部20の底深さ(すなわち各脚部21の接地面21aと凹部24の底面24aとの間の距離)の変化量とを測定した。ここで、全高変化量とは、内圧が0kPaのときの耐圧用ボトル10の全高に対する、耐圧用ボトル10の全高の変化量をいう。また、底深さの変化量とは、内圧が0kPaのときの底部20の底深さに対する、底部20の底深さの変化量をいう。この結果を図7および図8に示す。
【0053】
この結果、本実施例による耐圧用ボトル10は、内圧が増加するに従って、その全高が増加していき(図8)、かつ底部20の底深さが減少していったが(図7)、内圧が約70〜80kPaとなるまでバックリングすることなく耐えることができた。
【0054】
一方、比較例として、図9に示すボトル100(比較例1)と、図10に示すボトル100(比較例2)とをそれぞれ作製した。この場合、上述した耐圧用ボトル10(実施例)の場合と同様に、それぞれ18gのプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより、ボトル100(比較例1)およびボトル100(比較例2)を作製した。なお、これら3種類のボトルの相違点は底部形状のみであり、他の部分(口部、胴部等)の形状は同一であった。
【0055】
次に、これら3種類のボトル内を陽圧とし、徐々にその内圧を高めていき、このときの各ボトルの全高変化量を測定した。
【表1】

【0056】
この結果、ボトル内圧を40kPaとした場合、図9に示すボトル100(比較例1)の全高変化量が最も大きくなり(1.8mm)、図10に示すボトル100(比較例2)の全高変化量がその次に大きくなった(1.1mm)。他方、図1に示す耐圧用ボトル10(実施例)の全高変化量は、これら3種類のボトルのうち、最も小さく抑えられた(0.7mm)。
【0057】
次に、ボトル内圧を60kPaとした場合、図9に示すボトル100(比較例1)および図10に示すボトル100(比較例2)は、それぞれの底部にバックリングが生じてしまった。他方、図1に示す耐圧用ボトル10(実施例)は、その底部にバックリングが生じることがなく、耐えることができた。この場合、耐圧用ボトル10(実施例)の全高変化量は1.1mmであった。
【符号の説明】
【0058】
10 耐圧用ボトル
11 口部
12 胴部
20 底部
20a 中央部
20b 周縁部
21 脚部
21a 接地面
21b 内側傾斜面
21c 外側傾斜面
22 平坦面
23 補強溝
24 凹部
25 底部内側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧用ボトルにおいて、
口部と、
胴部と、
底部とを備え、
底部は、中央部から周縁部に延びるとともに下方へ突出する複数の脚部を有し、各脚部間に中央部から周縁部に向かって下方へ延びる平坦面が形成され、
各脚部の接地面は、中央部から周縁部に向かう断面において曲面状に形成されていることを特徴とする耐圧用ボトル。
【請求項2】
各平坦面に、中央部側から周縁部側に延びかつ上方へ引っ込む補強溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐圧用ボトル。
【請求項3】
底部の中央部に上方へ引っ込む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の耐圧用ボトル。
【請求項4】
底部の中央部に上方へ引っ込む凹部が形成され、凹部の底面と補強溝の底面とが同一面をなすことを特徴とする請求項2記載の耐圧用ボトル。
【請求項5】
各平坦面は、中央部から周縁部に向かう断面において上方へ向けて湾曲する凹状曲面の一部を構成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の耐圧用ボトル。
【請求項6】
各脚部の接地面における平坦面からの突出高さが1mm乃至3mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の耐圧用ボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−241476(P2010−241476A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93775(P2009−93775)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】