説明

耐摩擦性の糸、繊維又はフィラメント

本発明は、例えば製紙機械用のフェルトの製造に適した、耐摩耗性が改善された糸、繊維及びフィラメントに関する。とりわけ、本発明はポリアミド又はポリエステルをベースとした糸、繊維及びフィラメントに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐摩耗性が改善された、とりわけ製紙機械用のフェルトの製造に用いられる糸、繊維又はフィラメントに関する。本発明はより特別にはポリアミド又はポリエステルをベースとした糸、繊維又はフィラメントに関する。
【背景技術】
【0002】
紡績品が有するべき特性はその用途によって異なる。そのような特性としては、例えば、機械的強度、透明度、光沢度、白色度、染色性、収縮率、保水力、耐燃性及び耐熱性等が挙げられる。工業分野又は“紡績技術”分野での用途に特に要求され得る特性の一つは耐摩耗性である。
【0003】
このことは、例えば、通常は針で縫うことによって組み立てられる(連続的なモノフィラメントから得た)織層と(切断した繊維から得た)不織層との積み重ねを備えた複合構造体であるフェルトの場合に当てはまる。一般には、耐摩耗性の増加によって糸、繊維又はフィラメントから製造した物品の寿命を延ばすことが可能となる。この特性は、合成繊維から製造される製紙機械用のフェルトの場合は、多くの理由によって重要となる。化学的漂白剤を固体粒子(例えば炭酸カルシウム)に置き換えると、製紙機械の生産速度又は運転温度を上昇させるが、フェルトはより決定的な方法でストレスがかかる。
【0004】
このことはまた、例えば、カーペット(tapis)及びモーケット(moquettes)、ロープ及びベルト、網、或いはシルクスクリーン印刷又は濾過の分野で使用される布地の場合に当てはまる。この場合、これらの物品へ摩擦又は摩耗から受ける機械的ストレスのために、耐摩耗性が直接的にこれらの寿命を決めることとなる。
【0005】
紡績品の耐摩耗性を向上させるための公知の手段は、これらを製造する原料である合成材料の重合度を増加させることである。従って、分子量を一層高めた熱可塑性樹脂から製造した繊維が開発されている。分子量の増加はポリマーの溶融粘度の増加によって反映される。非常に高い溶融粘度をもつ繊維を紡績するためには非常に高い紡糸圧及び/又は非常に高い紡糸温度を使用することが必要となるが、これはポリマーが損傷を受ける原因となる。US5 234 644及びUS5 783 501に記載の別の手段では、慣例的な分子量をもつ糸又は繊維を製造し、次いで(US5 234 644の場合は繊維に、US5 783 501の場合はフェルトに対して)、事後的にポリマーの粘度を増加させている。しかしながら、この手段には限定がある。このプロセスでは付加的な工程が追加され、触媒を含む化学的手段の使用が要求される。
【0006】
別の公知の手段では、溶融粘度の減少を求めながら高分子量のポリマーを紡績する。これは星形巨大分子鎖を含むポリマーを使用することによって得ることができる。そのような星形巨大分子鎖を含むポリマーは、例えば、FR2 743 077、FR2 779 730、US5 959 069、EP0 632 703、EP0 682 057及びEP0 832 149の文献に開示されている。これらの化合物は同一の分子量をもつ線状ポリアミドよりも高い流動性を示すことが知られている。しかしながら、これらのポリマーから得た糸、繊維又はフィラメントは良好な耐摩耗性を示さない。
【0007】
繊維から製造した物品の耐摩耗性を向上するための別の手段では、CA2 076 726に記載のように、三次元的クリンプをもつ物品を使用している。
【0008】
紡績品の耐摩耗性を向上させるために、糸へシリカやモンモリトナイトのようなナノメートルサイズの粒子を導入することも知られている。これらの物品は特にWO01/02629に開示されている。
【特許文献1】米国特許第5 234 644号明細書
【特許文献2】米国特許第5 783 501号明細書
【特許文献3】仏国特許第2 743 077号明細書
【特許文献4】仏国特許第2 779 730号明細書
【特許文献5】米国特許第5 959 069号明細書
【特許文献6】欧州特許第0 632 703号明細書
【特許文献7】欧州特許第0 682 057号明細書
【特許文献8】欧州特許第0 832 149号明細書
【特許文献9】カナダ国特許第2 076 726号明細書
【特許文献10】国際公開第01/02629号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は高い耐摩耗性を有する紡績品を製造するための別の手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明はポリマーマトリクスを含む組成物から得た耐摩耗性の糸、繊維及びフィラメントを提供する。該ポリマーマトリクスは:
− 30〜100mol%(両端を含む)の次式(I)に相当する巨大分子鎖:
3−(X−R2−Y)n−X−A−R1−A−X−(Y−R2−X)m−R3 (I)
− 0〜70mol%(両端を含む)の次式(II)に相当する巨大分子鎖:
4−[Y−R2−X]p−R3 (II)
(式中、
−X−Y−は二つの反応性官能基F1及びF2の縮合によって得られた基であり、
− F1は基−X−の前駆物質でF2は基−Y−の前駆物質であるか、又はその逆であり、
− 該官能基F1同士は縮合によって互いに反応することができず、
− 該官能基F2同士は縮合によって互いに反応することができず、
−Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な脂肪族炭化水素基であり、
−R2は2〜20個の炭素原子をもつ分枝状又は非分枝状で脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、
−R3又はR4は水素、水酸基又は炭化水素基を表し、
−R1は少なくとも2個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な線状又は環状の芳香族又は脂肪族の炭化水素基であり、
−n、m及びpはそれぞれ50〜500、好ましくは100〜400の数字を表す。)
で構成される重縮合体からなる。
【0011】
1及びF2について、公知のすべての重縮合官能基を本発明に使用することができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、該ポリマーマトリクスは:
− 30〜100mol%(両端を含む)の次式(I)に相当する巨大分子鎖:
3−(X−R2−Y)n−X−A−R1−A−X−(Y−R2−X)m−R3 (I)
− 0〜70mol%(両端を含む)の次式(II)に相当する巨大分子鎖:
4−[Y−R2−X]p−R3 (II)
(式中、
−Xが
【化1】

を表すときはYは
【化2】

であり、
−Xが
【化3】

を表すときはYは
【化4】

であり、
−Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な脂肪族炭化水素基であり、
−R2は2〜20個の炭素原子をもつ分枝状又は非分枝状で脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、
−R3又はR4は水素、水酸基又は
【化5】

を含む炭化水素基を表し、
−R5は水素又は1〜6の炭素原子をもつ炭化水素基を表し、
−R1は少なくとも2個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な線状又は環状の芳香族又は脂肪族の炭化水素基であり、
−n、m及びpはそれぞれ50〜500、好ましくは100〜400の数字を表す。)
で構成されるポリアミドA1からなる。
【0013】
本発明の別の一実施形態によれば、該ポリマーマトリクスは:
− 30〜100mol%(両端を含む)の次式(I)に相当する巨大分子鎖:
3−(X−R2−Y)n−X−A−R1−A−X−(Y−R2−X)m−R3 (I)
− 0〜70mol%(両端を含む)の次式(II)に相当する巨大分子鎖:
4−[Y−R2−X]p−R3 (II)
(式中、
−Xが
【化6】

を表すときはYは−O−基であり、
−Xが−O−を表すときはYは
【化7】

であり、
−Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な脂肪族炭化水素基であり、
−R2は2〜20個の炭素原子をもつ分枝状又は非分枝状で脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、
−R3又はR4は水素、水酸基、又は
【化8】

を含む炭化水素基を表し、
−R1は少なくとも2個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な線状又は環状の芳香族又は脂肪族の炭化水素基であり、
−n、m及びpはそれぞれ50〜500、好ましくは100〜400の数字を表す。)
で構成されるポリエステルA2からなる。
【0014】
本発明のポリマーマトリクスはコポリエステルアミドとすることもできる。
【0015】
有利には、m、n及びpは100〜400であり、とりわけ100〜300である。m、n及びpは例えば120〜240とすることができる。m及びnの値は等しくすることができることに留意すべきである。m、n及びpを等しくすることもできる。
【0016】
有利には、R2はペンタメチレン基である。
【0017】
本発明のポリアミドA1又はポリエステルA2は有利には式(I)に相当する巨大分子鎖を少なくとも45mol%、好ましくは少なくとも60mol%、より好ましくは少なくとも80mol%含む。
【0018】
本発明のポリアミドA1又はポリエステルA2は有利には数平均分子量が少なくとも10,000g/mol、好ましくは少なくとも20,000g/mol、より好ましくは少なくとも25,000g/molを有する。
【0019】
ポリアミドA1又はポリエステルA2の数平均分子量は、式(I)及び(II)の二種類の巨大分子鎖のモル分率に基づく数平均分子量を意味すると理解される。
【0020】
ポリマーマトリクス中にポリアミドA1及び/又はポリエステルA2を含む本発明の糸、繊維又はフィラメントは良好な耐摩耗性を示す。これらは特に製紙機械用のフェルトの製造に好適である。ポリアミドA1又はポリエステルA2の使用により、これらが存在しないときよりも低温及び/又は低圧で紡糸することが可能となる。従って、より良好な耐摩耗性を示す糸を得ること、或いは(特に運転温度又は紡糸圧に関して)制約の少ない方法で同様の特性をもつ繊維を得ることが可能となる。
【0021】
本発明に係る糸、繊維及びフィラメントは上記ポリマーに通常使用されるすべての添加剤(例えば熱安定剤、UV安定剤、触媒、顔料及び染料、又は抗菌剤)を含むことができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、ポリアミドA1又はポリエステルA2は:
a)二官能性化合物(該化合物の反応性官能基はアミン、カルボン酸、アルコール、及びそれらの誘導体から選択され、反応性官能基は等しい。)、
b)ポリアミドA1の場合は以下の一般式(IIIa)及び(IIIb)に従うモノマー、
【化9】

b’)ポリエステルA2の場合は以下の一般式(IIIa’)及び(IIIb’)に従うモノマー、
【化10】

(式中:
・R’2は2〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な置換又は未置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素基を表し、
・ポリアミドA1の場合、Y’はX’がカルボキシル基を表すときはアミン基であり、X’がアミン基を表すときはカルボキシル基であり、
・ポリエステルA2の場合、Y’はX’がカルボキシル基を表すときは水酸基であり、X’が水酸基を表すときはカルボキシル基である。)
を含むモノマーの混合物を共重合することによって得られる。
【0023】
本発明では、“カルボン酸”又は“カルボキシル基”はカルボン酸又はそれらの誘導体(例えば酸無水物、酸塩化物、エステル、ニトリル等)を意味するものとして理解される。“アミン”はアミン及びその誘導体を意味するものとして理解される。
【0024】
式(IIIa)又は(IIIb)のモノマーは好ましくはポリアミド−6、ポリアミド−11又はポリアミド−12タイプ等のポリアミドのモノマーである。本発明に好適な式(IIIa)又は(IIIb)のモノマーの例としては、カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ラウリルラクタム等が挙げられる。異なるモノマーの混合物とすることもできる。
【0025】
本発明に好適な式(IIIa’)又は(IIIb’)のモノマーの例としては、カプロラクトン、δ−バレロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
【0026】
モノマーの混合物は、連鎖制限剤のようなポリマーの製造において慣例的に使用されている一官能性モノマーを含むことができる。
【0027】
モノマーの混合物は触媒を含むこともできる。
【0028】
モノマーの混合操作中は、種々の化合物の混合物を乾燥形態、有利には水分量を0.2%未満として、好ましくは0.1%未満として導入することができ、ポリアミド又はポリエステルの重縮合を触媒することのできる化合物を好ましくは0.001%〜1%の重量濃度で添加することができる。水分量はKarl Fischer法によって測定することができる。
【0029】
これらの触媒は、0.001%〜1%の重量濃度で導入するのが好ましく、リン含有化合物、例えばリン酸又は亜リン酸トリス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)(Ciba社よりIrgafos 168の商品名で販売されている。)の単独物若しくはN,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)との混合物(Ciba社よりIrganox B 1171の商品名で販売されている。)から選択することができる。
【0030】
有利には、b)又はb’)のモノマーのモル数に対して化合物a)は0.05〜1mol%、好ましくは0.1〜0.5mol%である。
【0031】
ポリアミドA1の場合、モノマーの共重合はラクタム又はアミノ酸から得られるポリアミドのための慣例の重合条件下で実施する。
【0032】
ポリエステルA2の場合、モノマーの共重合はラクトン又はヒドロキシ酸から得られるポリエステルのための慣例の重合条件下で実施する。
【0033】
重合は所望の重合度を得るために仕上げ工程を含むことができる。
【0034】
本発明の別の一実施形態によれば、ポリアミドA1又はポリエステルA2は、例えば押出機を用いて、ラクタム及び/又はアミノ酸の重合で得られる種類のポリアミド或いはラクトン及び/又はヒドロキシ酸の重合で得られる種類のポリエステルと、二官能性化合物(該化合物の反応性官能基はアミン、カルボン酸、アルコール、及びそれらの誘導体から選択され、反応性官能基は等しい。)との溶融ブレンドによって得ることができる。ポリアミドは、例えば、ポリアミド−6、ポリアミド−11、ポリアミド−12等である。ポリエステルは、例えば、ポリカプロラクトン、ポリ(ピバロラクトン)等である。
【0035】
該二官能性化合物は溶融媒体中のポリアミド又はポリエステルに直接添加する。
【0036】
有利には、二官能性化合物はポリアミド又はポリエステルの重量に対して0.05〜2重量%である。
【0037】
ポリエステル又はポリアミドを二官能性化合物とブレンドする操作中、種々の化合物の混合物を乾燥形態で、有利には水分量を0.2%未満として、好ましくは0.1%未満として、例えば押出機に、導入することができ、ポリアミド又はポリエステルの重縮合を触媒することのできる化合物を好ましくは0.001%〜1%の重量濃度で添加することができる。該化合物はリン含有化合物、例えばリン酸又は亜リン酸トリス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)(Ciba社よりIrgafos 168の商品名で販売されている。)の単独物若しくはN,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)との混合物(Ciba社よりIrganox B 1171の商品名で販売されている。)から選択することができる。該化合物は粉末形態又はポリアミドマトリクス中の濃縮形態(マスターバッチ)で添加することができる。これら種々の化合物のブレンドは一軸又は二軸押出機中で行うことができる。
【0038】
本発明の二官能性化合物は好ましくは次式(IV):
X”−A−R1−A−X” (IV)
(式中、X”はアミン基、水酸基、カルボキシル基又はこれらの誘導体を示す。)
で表される。R1及びAは上述した通りである。)
【0039】
X”基の例としては、第一アミン基、第二アミン基等が挙げられる。
【0040】
二官能性化合物はジカルボン酸とすることができる。二酸の例としては、アジピン酸(これが好ましい酸である。)、デカンニ酸、セバシン酸、ドデカン二酸又はフタル酸(例えばテレフタル酸又はイソフタル酸)が挙げられる。アジピン酸の製造の結果生じる副生成物を含む混合物(例えば、アジピン酸、グルタル酸及びコハク酸の混合物)とすることもできる。
【0041】
二官能性化合物はジアミンとすることができる。ジアミンの例としては、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ブタンジアミン又はメタキシレンジアミンが挙げられる。
【0042】
二官能性化合物はジアルコールとすることができる。ジアルコールの例としては、1,3−プロパンジオール、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びポリテトラヒドロフランが挙げられる。
【0043】
二官能性化合物はジアミンとジアルコールの混合物とすることもできる。
【0044】
ポリアミドA1の場合は、二官能性化合物の反応性官能基は一般にアミン、カルボン酸又はこれらの誘導体である。
【0045】
ポリエステルA2の場合は、二官能性化合物の反応性官能基は一般にアルコール、カルボン酸又はこれらの誘導体である。
【0046】
好ましくは、二官能性化合物はアジピン酸、デカン二酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ブタンジアミン、メターキシレンジアミン、1,3−プロパンジオール、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びポリテトラヒドロフランから選択される。
【0047】
本発明の別の一実施形態によれば、ポリアミドA1又はポリエステルA2は、例えば押出機を用いて、ラクタム及び/又はアミノ酸の重合で得られる種類のポリアミド或いはラクトン及び/又はヒドロキシ酸の重合で得られる種類のポリエステルと、式(V)の化合物との溶融ブレンドによって得ることができる。
G−R−G (V)
(式中、
Rは、置換又は未置換の線状又は環状の芳香族又は脂肪族のヘテロ原子含有可能な炭化水素基であり、
Gは、ポリアミド又はポリエステルのアミン反応性官能基、アルコール反応性官能基又はカルボン酸反応性官能基と選択的に反応して共有結合を形成することのできる官能性基又は基である。)
ポリアミドは、例えば、ポリアミド−6、ポリアミド−11又はポリアミド−12である。ポリエステルは、例えば、ポリカプロラクトン又はポリ(ピバロラクトン)である。
【0048】
式(V)の化合物は溶融媒体中のポリアミド又はポリエステルに直接添加する。
【0049】
有利には、式(V)の化合物はポリアミド又はポリエステルの重量に対して0.05〜2重量%である。
【0050】
ポリエステル又はポリアミドを式(V)の化合物とブレンドする操作中、種々の化合物の混合物を乾燥形態で、有利には水分量を0.2%未満として、好ましくは0.1%未満として、例えば押出機に、導入することができ、ポリアミド又はポリエステルの重縮合を触媒することのできる化合物を好ましくは0.001%〜1%の重量濃度で添加することができる。該化合物はリン含有化合物、例えばリン酸又は亜リン酸トリス(2,4−ジ(t−ブチル)フェニル)(Ciba社よりIrgafos 168の商品名で販売されている。)の単独物若しくはN,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ(t−ブチル)−4−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)との混合物(Ciba社よりIrganox B 1171の商品名で販売されている。)から選択することができる。該化合物は粉末形態又はポリアミドマトリクス中の濃縮形態(マスターバッチ)で添加することができる。これら種々の化合物のブレンドは一軸又は二軸押出機中で行うことができる。
【0051】
ポリアミド又はポリエステルのアミン反応性官能基、アルコール反応性官能基又はカルボン酸反応性官能基と選択的に反応して共有結合を形成する二つの同じ官能性基又は二つの同じ基を一般に有する、当業者に知られた任意のポリマー鎖の結合剤又はポリマー鎖の延長剤を化合物(V)として使用することができる。
【0052】
ポリアミドA1の場合は、化合物(V)は、例えば、これが導入されるポリアミドのアミン官能基と選択的に反応することができる。この場合、該化合物はポリアミドの酸官能性基とは反応しない。
【0053】
紡績品、糸、繊維又はフィラメントは、上述したポリアミドA1又はポリエステルA2を少なくとも含有するポリマーマトリクスを含む組成物から出発して慣例の紡績技術に従って製造される。紡績は溶融形態にある該マトリクスの重合の直後に行うことができる。紡績は該組成物を含む顆粒から出発して行うこともできる。
【0054】
本発明に係る紡績品は、紡績工程後の工程で行うことのできる任意の処理を受けることができる。とりわけ延伸、加工、クリンプ加工、加熱、撚り合わせ、染色、油つけ、切断等を行うことができる。これらの追加操作は紡績装置後に導入して連続的に行うことができ、バッチ式に行うこともできる。列挙した紡績後の操作は限定的ではない。
【0055】
また、本発明は上述した糸、繊維及び/又はフィラメントを含む物品にも関する。
【0056】
本発明に係る糸、繊維又はフィラメントは織物、編物又は不織物の形態で使用することができる。
【0057】
本発明に係る繊維はとりわけ製紙機械用のフェルト、特に製紙機械用のフェルトの不織層の製造に適している。
【0058】
本発明に係る糸、繊維又はフィラメントはモーケット用の糸として使用することもできる。
【0059】
本発明に係る糸、繊維又はフィラメント(特にモノフィラメント)は、シルクスクリーン印刷用、プリント転写用、又は濾過用の布地を製造するため使用することができる。
【0060】
本発明の糸、繊維又はフィラメント(特にマルチストランド)は、ロープ(特に登山用ロープ)又はベルト(特にコンベヤベルト)の製造に使用することもできる。
【0061】
最後に、本発明の糸は網(特に漁網)の製造に使用することができる。
【0062】
本発明のその他の詳細又は利点は、例示目的のためだけに与えた以下の実施例に照らし、より明らかになるであろう。
【実施例】
【0063】
特性評価試験:
・末端基の含量
酸[COOH]及びアミン[NH2]末端基の含量を電位差測定法により定量的に測定した。
・本発明のポリマーの上述した式(I)及び(II)に相当する鎖のモル分率の計算
以下の実施例1〜3では、ポリマーは:
− 各鎖が二つの異なる末端(COOH及びNH2)を有する式(II)に相当する線状鎖群、
− 各鎖が二つの同一の末端(二つのCOOH)を有する式(I)に相当する線状鎖群、
の混合物から構成される。
【0064】
この特定例では、(本明細書で定義した)R3は水酸基で、R4は水素基である。
【0065】
式(I)及び(II)に相当する鎖のモル分率は次式:
モル分率(I) =([COOH]−[NH2])/([COOH]+[NH2])
モル分率(II)=2*[NH2]/([COOH]+[NH2])
に従って評価される。
【0066】
・数平均分子量の計算
数平均分子量[Mn]は次式に従って評価される。
−比較例A及び本発明の実施例では、線状ポリマー(“線状ポリマー”とはそれぞれ二つの末端を有する巨大分子鎖から構成されるポリマーを意味すると理解される。)に相当するので、慣例的な式[Mn]=2×10+6/([COOH]+[NH2])が使用される。
− 比較例Bでは、ポリマーが線状鎖(各ポリマー鎖が二つの末端をもつ)及び四つの枝をもつ星形鎖(各星形ポリマー鎖が四つの末端をもつ)のブレンドであるので、WO97/24388にて規定されている式[Mn]=1×10+6/(Co+[NH2])が使用される。式中、Co=([COOH]+[NH2])/4であり、これは星型ポリマーのコア単位(コア単位の官能基はすべて等しく−COOHである。)を構成する四官能性化合物のモル濃度を表している。
【0067】
上記のすべての式において、濃度[COOH]、[NH2]及びCoはμmol/gで表され、[Mn]はg/molで表される。
【0068】
・パック(スピナレットのヘッド)における圧力損失の標準化
以下に記載する種々の実施例において、濾過エレメント及び毛管で構成されるパック(スピナレットのヘッド)を通過する時の圧力損失(bar)を測定する。しかしながら、ポリマーの種類によっては、パック及びポリマーの温度を調節することが必要である。このことは圧力損失の値を変化させる効果を有する。ポリマーの溶融粘度、又はこの場合の圧力損失は、アレニウスの法則に従って温度と共に変化するので、例えば、実験値(温度T1及び圧力損失ΔP1)から任意の他の温度T2における圧力損失ΔP2を予測することが可能となる。更に、(絶対値|ΔQ/Q|で表される変化量が50%未満のときは)この計算は二つの紡績条件において更に流量(Q1及びQ2)が異なる場合に拡張することができる。
ΔP2=Q2/Q1×ΔP1×Exp[E×(1/T2−1/T1)/R]
(式中、T1及びT2はケルビン(K)で表され、Eは活性化エネルギー(J/mol)であり、Rは気体定数(R=8.31J/mol/K)である。)
この式において、流量Qは幾つかの水準で完全に等価な方法で測定することができる。最も簡単な方法は繊度(単位はdtexであり、10,000mのマルチフィラメントのg量に等しい。)を測定することである。
【0069】
上記条件下にて、Qは次式によって簡単に表される。
Q=t*v/10000
式中、流量Qはg/分で表され、繊度tはdtex=g/10000mで表され、速度vはm/分で表される。
【0070】
すべての試験は同じ輸送速度で実施したので、先の式において、流量比Q2/Q1を繊度比t2/t1に置換することができる。
ポリアミドの場合、活性化エネルギーEは60kJ/molに等しい(エム.アイ・コハン(M.I.Kohan)、“ナイロン・プラスチックス(Nylon Plastics)”、p140、John Wiley&Sons出版、1973年)。
【0071】
以下に詳細に記載する実施例の異なる紡績条件(T1、ΔP1)を比較するために、標準化を行った。すなわち、流量Q1(繊度(dtex)及び速度(m/分)から得られ、試験毎に変化する)及びT1(試験毎に変化する)で測定した圧力損失ΔP1の値を先の式に従いすべて同一温度T2(250℃)及び同一流量Q2(800m/分で200dtexと等価)に較正する。こうして、種々の実施例のΔP2を互いに比較することができる。
【0072】
・耐摩耗性試験
耐摩耗性試験に使用した設備を図1に図示する。参照番号1は糸、参照番号2はセラミックバー、参照番号3は3gの負荷、参照番号4は水を表す。
この試験では、既に文献(“耐摩耗性PA繊維”講義、人工繊維会議(Man−Made Fiber Congress)、ドルンビルン(Dornbirn)、2002年9月)に記載されているように、単一フィラメントが3gの張力を受ける。糸を23℃の水浴に浸漬する。該フィラメントは直径10mmで表面粗さがRa=1.7μm、Rz=8.9μm、Rmax=11.3μmのセラミックバー(FFAB(フェルト・ファイバー・アブレイジョン・テスター)用にロスチャイルド(Rothschild)社より販売されている。)に対して擦られる。該バーは300回転/分で回転し、該バー(テンション・レール)に対する糸の接触角は90°とする。
【0073】
試験前には、まず、フィラメントをソックスレー抽出装置で石油エーテルにて1時間糊抜きし、次いで25℃の水浴中に24時間置く。
【0074】
フィラメントが破断するまでの全回転数を記録する。この数値は、試験毎に変化し得るストランドの繊度を使わないようにするために、ストランドの単位繊度で割る。
【0075】
全部で、この試験は30回繰り返して結果の平均を取った。
【0076】
実施例:
比較例A=ポリアミド−6
<合成>
A1、A2、A3及びA4で示すポリアミド−6を合成した。これらは以下の特性を示した。
【0077】
【表1】

【0078】
<紡績>
上記ポリアミド−6を以下の条件下で紡績した。
− 二軸押出機、
− 充分な紡績性を得るための温度調整、
− 10穴のスピナレット、
− 空冷、
− 輸送速度800m/分
− 全体の繊度200〜240dtex
【0079】
上記の温度及び流量条件下で、パック(濾過エレメント及び毛管を備えた紡糸ブロック)を通過するときの圧力損失を観察した。生の値(温度、繊度、圧力損失)及び再標準化した値(すなわち、一定温度(250℃)及び一定流量(輸送速度800m/分で200dtexの繊度に相当)に較正した値)を下記の表に示す。再標準化は上述の式に従って行った。
【0080】
【表2】

【0081】
<延伸>
所望レベルの破断点伸び(約80%)を延伸後に得るために延伸比を調節した。こうして得られた糸は依然として10本のフィラメントから構成されている。
【0082】
比較例B=星形巨大分子鎖を有するポリマー
<合成>
B1、B2及びB3で示す星形ポリアミドを、文献FR 2 743 077に開示されている方法に従って、約0.5mol%の2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシ−エチル)シクロヘキサノンの存在下でカプロラクタムを共重合することによって得た。これらは以下の特性を示した。
【0083】
【表3】

【0084】
<紡績>
こうして得た糸は10本のフィラメントから構成されており、全体の繊度は240dtex程度であった。
上述したように、これらのポリマーは良好な紡績性が得られる温度及び流量条件下で紡績した。これらの条件下で、圧力損失を観察し、上述したように一定温度及び流量へ再標準化した。
【0085】
【表4】

【0086】
<延伸>
所望レベルの破断点伸びを延伸後に得るために延伸比を調節した。糸は依然として10本のフィラメントから構成されている。
【0087】
本発明の実施例1〜3
<合成>
ポリマーをアジピン酸の存在下でカプロラクタムを重縮合することによって得た。これらは以下の特性を示した。
【0088】
【表5】

【0089】
<紡績>
こうして得た糸は10本のフィラメントから構成されており、全体の繊度は200dtex程度であった。
上述したように、これらのポリマーは良好な紡績性が得られる温度及び流量条件下で紡績した。これらの条件下で、圧力損失を観察し、上述したように一定温度及び流量へ再標準化した。
【0090】
【表6】

【0091】
<延伸>
所望レベルの破断点伸びを延伸後に得るために延伸比を調節した。糸は依然として10本のフィラメントから構成されている。単位繊度は9.9dtexであった。
【0092】
実施例4:耐摩耗性の測定
比較例A、比較例B及び本発明の実施例の流動性及び耐摩耗性に関する特性を以下の表に示す。
【0093】
【表7】

【0094】
図2では横座標にてパックを通過した時の圧力損失(bar)、縦座標にて耐摩耗性(回転/dtex)を表す。図2では、ポリマーAは菱形、ポリマーBは四角形、ポリマー2−3は三角形で示す。
試験したポリマーに関して、耐摩耗性が圧力損失(これ自体は分子量に直接関係する。)に直接関係することが明らかである。換言すれば、この使用特性の改善は圧力損失の増加、すなわち加工性の悪化という犠牲の下に可能となる。実際には、この圧力損失(又は溶融粘度)は、例えばポリマーの熱分解を起こすことなく、無限に増加することはない。
比較例Aの耐摩耗性/圧力損失の相関に比べて、四つの枝を有する星形ポリマーをブレンドして得た比較例Bは妥協状態が悪化している。
一方、本発明に係る実施例は妥協状態が改善している。すなわち、同一の加工性とした場合により高い耐摩耗性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】耐摩耗性試験に使用した設備の概略を示す。
【図2】横座標はパックを通過した時の圧力損失(bar)、縦座標は耐摩耗性(回転/dtex)を表す。
【符号の説明】
【0096】
1・・・糸
2・・・セラミックバー
3・・・負荷
4・・・水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 30〜100mol%(両端を含む)の次式(I)に相当する巨大分子鎖:
3−(X−R2−Y)n−X−A−R1−A−X−(Y−R2−X)m−R3 (I)
− 0〜70mol%(両端を含む)の次式(II)に相当する巨大分子鎖:
4−[Y−R2−X]p−R3 (II)
(式中、
−X−Y−は二つの反応性官能基F1及びF2の縮合によって得られた基であり、
− F1は基−X−の前駆物質でF2は基−Y−の前駆物質であるか、又はその逆であり、
− 該官能基F1同士は縮合によって互いに反応することができず、
− 該官能基F2同士は縮合によって互いに反応することができず、
−Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な脂肪族炭化水素基であり、
−R2は2〜20個の炭素原子をもつ分枝状又は非分枝状で脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、
−R3又はR4は水素、水酸基又は炭化水素基を表し、
−R1は少なくとも2個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な線状又は環状で芳香族又は脂肪族の炭化水素基であり、
−n、m及びpはそれぞれ50〜500の数字を表す。)
で構成される重縮合体からなるポリマーマトリクスを含む組成物から得た耐摩耗性糸、繊維及びフィラメント。
【請求項2】
前記ポリマーマトリクスが:
− 30〜100mol%(両端を含む)の次式(I)に相当する巨大分子鎖:
3−(X−R2−Y)n−X−A−R1−A−X−(Y−R2−X)m−R3 (I)
− 0〜70mol%(両端を含む)の次式(II)に相当する巨大分子鎖:
4−[Y−R2−X]p−R3 (II)
(式中、
−Xが
【化1】

を表すときはYは
【化2】

であり、
−Xが
【化3】

を表すときはYは
【化4】

であり、
−Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な脂肪族炭化水素基であり、
−R2は2〜20個の炭素原子をもつ分枝状又は非分枝状で脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、
−R3又はR4は水素、水酸基又は
【化5】

を含む炭化水素基を表し、
−R5は水素又は1〜6の炭素原子をもつ炭化水素基を表し、
−R1は少なくとも2個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な線状又は環状で芳香族又は脂肪族の炭化水素基であり、
−n、m及びpはそれぞれ50〜500の数字を表す。)
で構成されるポリアミドA1からなるポリマーマトリクスであることを特徴とする請求項1に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項3】
前記ポリマーマトリクスが:
− 30〜100mol%(両端を含む)の次式(I)に相当する巨大分子鎖:
3−(X−R2−Y)n−X−A−R1−A−X−(Y−R2−X)m−R3 (I)
− 0〜70mol%(両端を含む)の次式(II)に相当する巨大分子鎖:
4−[Y−R2−X]p−R3 (II)
(式中、
−Xが
【化6】

を表すときはYは−O−基であり、
−Xが−O−を表すときはYは
【化7】

であり、
−Aは共有結合又は1〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な脂肪族炭化水素基であり、
−R2は2〜20個の炭素原子をもつ分枝状又は非分枝状で脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、
−R3又はR4は水素、水酸基、又は
【化8】

を含む炭化水素基を表し、
−R1は少なくとも2個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な線状又は環状で芳香族又は脂肪族の炭化水素基であり、
−n、m及びpはそれぞれ50〜500の数字を表す。)
で構成されるポリエステルA2からなるポリマーマトリクスであることを特徴とする請求項1に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項4】
n、m及びpが100〜300であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項5】
前記ポリアミドA1又はポリエステルA2は式(I)に相当する巨大分子鎖を少なくとも45mol%、好ましくは少なくとも60mol%含むことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項6】
前記ポリアミドA1又はポリエステルA2は、数平均分子量が少なくとも25,000g/molに等しいことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項7】
2はペンタメチレン基であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項8】
前記ポリアミドA1又はポリエステルA2は:
a)二官能性化合物(該化合物の反応性官能基はアミン、カルボン酸、アルコール、及びそれらの誘導体から選択され、反応性官能基は等しい。)、
b)ポリアミドA1の場合は以下の一般式(IIIa)及び(IIIb)に従うモノマー、
【化9】

b’)ポリエステルA2の場合は以下の一般式(IIIa’)及び(IIIb’)に従うモノマー、
【化10】

(式中:
・R’2は2〜20個の炭素原子をもつヘテロ原子含有可能な置換又は未置換の脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素基を表し、
・ポリアミドA1の場合、Y’はX’がカルボキシル基を表すときはアミン基であり、X’がアミン基を表すときはカルボキシル基であり、
・ポリエステルA2の場合、Y’はX’がカルボキシル基を表すときは水酸基であり、X’が水酸基を表すときはカルボキシル基である。)
を含むモノマーの混合物を共重合することによって得ることを特徴とする請求項2〜7の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項9】
b)又はb’)のモノマーのモル数に対して化合物a)は0.05〜1mol%であることを特徴とする請求項8に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項10】
前記ポリアミドA1又はポリエステルA2は、ラクタム及び/又はアミノ酸の重合で得られる種類のポリアミド或いはラクトン及び/又はヒドロキシ酸の重合で得られる種類のポリエステルと、二官能性化合物(該化合物の反応性官能基はアミン、カルボン酸、アルコール、及びそれらの誘導体から選択され、反応性官能基は等しい。)とを溶融ブレンドすることによって得ることを特徴とする請求項2〜7の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項11】
前記二官能性化合物はポリアミド又はポリエステルの重量に対して0.05〜2重量%であることを特徴とする請求項10に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項12】
前記二官能性化合物が次式(IV):
X”−A−R1−A−X” (IV)
(式中、X”はアミン基、水酸基、カルボキシル基又はこれらの誘導体を示す。)
で表されることを特徴とする請求項8〜11の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項13】
前記二官能性化合物が、アジピン酸、デカンニ酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ブタンジアミン、メタキシレンジアミン、1,3−プロパンジオール、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びポリテトラヒドロフランから選択される請求項8〜12の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項14】
前記ポリアミドA1又はポリエステルA2は、ラクタム及び/又はアミノ酸の重合で得られる種類のポリアミド或いはラクトン及び/又はヒドロキシ酸の重合で得られる種類のポリエステルと、式(V)の化合物:
G−R−G (V)
(式中、
Rは、置換又は未置換の線状又は環状の芳香族又は脂肪族のヘテロ原子含有可能な炭化水素基であり、
Gは、ポリアミド又はポリエステルのアミン反応性官能基、アルコール反応性官能基又はカルボン酸反応性官能基と選択的に反応して共有結合を形成することのできる官能性基又は基である。)
とを溶融ブレンドすることによって得ることを特徴とする請求項2〜7の何れか一項に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項15】
式(V)の化合物はポリアミド又はポリエステルの重量に対して0.05〜2重量%であることを特徴とする請求項14に記載の糸、繊維及びフィラメント。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか一項に記載の糸、繊維及び/又はフィラメントを含む物品。
【請求項17】
製紙機械用のフェルトであることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項18】
カーペット又はモーケットであることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項19】
ロープ又はベルトであることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項20】
プリント転写用又は濾過用の布地であることを特徴とする請求項16に記載の物品。
【請求項21】
網であることを特徴とする請求項16に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−528734(P2006−528734A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520868(P2006−520868)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001974
【国際公開番号】WO2005/019510
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(503015042)
【Fターム(参考)】