説明

耐油性紙包装材および耐油性紙包装容器

【課題】フッ素樹脂を使用せずに耐油性に優れる耐油性紙包装材を提供する。
【解決手段】少なくとも紙基材層10と、耐油層20とを積層してなる紙包装材であり、前記耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものであること特徴とする。上記水性分散液を複数回、塗布および乾燥することで紙基材であっても優れた耐油層を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙トレー、紙カートン、食品包材、化粧品包材、生活品包材など、耐油性と耐水性が同時に求められる用途に関し、フッ素樹脂を使用せずに、水性分散液からなる耐油層を形成してなる、耐油耐水性を有する紙包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
油の浸透を抑制する機能を有する耐油紙は、フライドポテトなどの揚げ物食品やバターなどの油脂食品やその他クッキー、ペットフードなどの油を含む食品の包装材や包装として、その他ラベルや化粧材などとして広く用いられている。
【0003】
このような耐油紙は、高い耐油性および耐水性を有し、臭気が少なく、印刷適正に優れるといった利点を有する点で、有機フッ素樹脂を内添した有機フッ素樹脂内添紙や有機フッ素樹脂を含む塗工液を塗工した有機フッ素樹脂塗工紙など有機性フッ素樹脂を使用し、紙基材層に耐油性を付与したものが主流となっている。
【0004】
また、有機フッ素樹脂の体内蓄積、高温条件下での有害ガスの発生などから、有機フッ素樹脂以外の耐油紙として、ガラス転移点が−25〜30℃の範囲にあるアクリル系、スチレン−アクリル系もしくはスチレン−ブタジエン系の合成樹脂エマルジョンまたはこれらの合成樹脂エマルジョンの混合物100部に対して、オレフィンとマレイン酸との共重合体またはオレフィンとマレイン酸との共重合体とアルケニル無水コハク酸との混合物3〜35部を混合せしめた塗工液を、基紙の表裏面の少なくとも一方の面に2.0〜10g/m2塗工してなることを特徴とする耐油紙が提案されている(特許文献1)。ガラス転移点が−25〜30℃の範囲のアクリル系・スチレン−アクリル系またはスチレン−ブタジエン系合成樹脂エマルジョンを使用すると、塗工層に折り曲げによって破損しない柔軟性とヒートシール性が付与され、さらに前記エマルジョン100部に対してオレフィンとマレイン酸とを共重合させた耐油剤を3〜35部含有させると、塗工層に耐油性が付与され、前記エマルジョン100部に対して無機顔料3〜150部を含有させると、塗工層にインク吸収性を付与しうる、と記載されている。塗工液には、紙基材層への浸透を向上させるために、界面活性剤や有機溶剤などを含有してもよいと記載され、実施例では、前記合成樹脂エマルジョンに公知の耐油剤を配合したものが使用されている。
【0005】
また、紙基材層の少なくとも片面に蒸着法によりフッ素樹脂モノマーからなる樹脂モノマーを蒸着し、均一な皮膜を形成した後、電子線を照射して重合することで樹脂コーテイング層を設けたことを特徴とする耐油紙もある(特許文献2)。フッ素系耐油剤の代替品として、外添により上市されているアクリル系ポリマーを主体とする耐油剤は、特有のアクリル臭が食品に付着するなどの問題があり、ポリエステル系耐油剤も良好な耐油性が得られないという点に鑑みてなされたものであり、上記による耐油紙は、耐油・耐水性が優れ、臭気がなく、容器に形成した場合も罫線耐油強度が強い、という。
【0006】
一方、不飽和カルボン酸またはその無水物、炭素数2〜6のアルケンおよび特定の(メタ)アクリル酸エステルやそのエステルなどを所定の配合で共重合してなり、数平均粒子径が1μm以下のポリオレフィン樹脂からなる水性分散体であって、不揮発性水性化助剤を実質的に含まないことを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体がある(特許文献3)。昨今の、有機溶剤の使用が制限される現状下に、不揮発性水性化助剤を実質的に含まない水性分散体を提供するものであり、安定したポットライフを有し、不揮発性水性化助剤を実質的に含まないため、ポリオレフィン樹脂の特性を損なわず耐水性に優れた被膜を形成することができるという。
【特許文献1】特開2004−19036号公報
【特許文献2】特開2006−022420号公報
【特許文献3】特許3699935号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昨今、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にある。上記特許文献1記載の方法は、界面活性剤や有機溶媒を使用するものであり、これらを使用せずに耐油性に優れる耐油性紙包装材を調製できれば、環境保全に優れる。
【0008】
また、特許文献2記載の耐油紙は、フッ素樹脂モノマーからなる樹脂モノマーの蒸着工程と電子線の照射工程とを必要とし、より原料が高価であり、製造方法も特殊である。従って、より簡便な方法で得られる耐油紙の開発が望まれる。
【0009】
また、特許文献3記載のポリオレフィン樹脂水性分散体は、界面活性剤などの不揮発性水性化助剤を実質的に含まない点で環境保全に優れるが、耐水性被膜を製造しうるが耐油性に関する記載は存在しない。更に、実施例では、2軸延伸PETフィルムにポリオレフィン樹脂水性分散体を塗工しているが、水性分散体であるから、耐油性紙基材層を調製するために、紙基材層へ塗工すると、含浸して塗膜が形成できない可能性がある。
【0010】
本発明は、上記現状に鑑みて、有機フッ素樹脂を使用せずに、安価かつ優れた耐油性を有する、耐油性紙包装材を提供することを目的とする。
また、本発明は、環境保全の観点から、有機溶媒や不揮発水性化助剤を実質的に含まずに得られる耐油性紙包装材を提供することを目的とする。
【0011】
また、このような耐油性紙包装材の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、紙基材層に積層する耐油層について詳細に検討した結果、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗工してなる被膜が耐油性を有すること、前記水性分散液は不揮発水性化助剤を実質的に含まずに調製されるため環境保全に優れること、このような水性分散液は紙基材層に浸透するため一般には被膜を構成できないが、前記水性分散液の塗工と所定温度の乾燥時間とを所定回数行うことで紙基材層に耐油層を形成しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、少なくとも紙基材層と、耐油層とを積層してなる紙包装材であり、
前記耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものであること特徴とする、耐油性紙包装材を提供するものである。
【0014】
更に、少なくとも紙基材層と、耐油層とを積層してなる紙包装材の製造方法であって、
前記紙基材層に、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥し、この水性分散液の塗布および乾燥を、複数回行って耐油層を形成することを特徴とする、耐油性紙包装材の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来のポリオレフィン樹脂水性分散液を使用することで、従来の設備をそのまま使用して、かつ優れた耐油性を有する耐油性紙包装材を製造することができる。
【0016】
本発明の耐油性紙包装材は、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、環境に対する負荷を軽減することができる。
本発明の耐油性紙包装材は、耐油性に優れるとともに耐水性にも優れ、バターなどの含水油脂の包装に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、少なくとも紙基材層と、耐油層とを積層してなる紙包装材であり、前記耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものであること特徴とする、耐油性紙包装材である。
【0018】
(1)耐油性紙包装材の構成
本発明の耐油性紙包装材の好適な態様の一例を図面を用いて説明する。
図1は、紙基材層(10)と耐油層(20)とが積層されてなる耐油性紙包装材の断面図である。図2に示すように、前記紙基材層(10)の表面には、クレーコート層(30)が積層されていてもよい。また、本発明の耐油性紙包装材は、図3に示すように、前記耐油層(20)が前記クレーコート層(30)の上層に積層されるものであってもよい。更に、印刷層やオーバーコート層、その他の層を含むものであってもよい。
【0019】
(2)紙基材層
本発明で使用する紙基材層は、耐屈曲性、剛性、腰、強度等を有するものを使用することができる。紙基材層としては、例えば、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、ミルク原紙等の各種の紙基材層を使用することができる。紙基材層としては、これらの紙を複数層重ねたものであってもよい。また、紙は、坪量80〜600g/m2程度、好ましくは坪量100〜450g/m2程度であり、厚さ110〜860μm程度、好ましくは140〜640μm程度のものを使用することができる。なお、紙基材層には、例えば、文字、図形、記号、その他の所望の絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成することができる。
【0020】
(2)クレーコート層
本発明では、紙基材層は、クレーコート層を積層したものであってもよい。紙基材層は、表面に凹凸があるため、紙基材層に印刷を施すと明瞭な印刷面を構成することができない。このため、紙基材層の上にクレーコート層を形成し、その上に印刷を行うことが望ましい。
【0021】
本発明において、クレーコート層は、クレーを含む塗工液を紙基材層に塗布し、紙基材層の片面にクレーの粒子が敷き詰められたものである。クレーとしては、一般的にクレー、粘土と呼ばれるものであれば、特に限定されないが、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等が用いられる。クレーとしては、このうちカオリン、タルクを用いることが好ましく、カオリンは隠蔽性・吸水性に優れ、タルクは硬度が低く(モース硬度1)、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上や成型時の寸法安定性の向上が期待できる。
【0022】
クレーコート層は、クレーの他に、顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、発泡性硫酸バリウム、サチンホワイト等を含んでいることが好ましい。顔料として炭酸カルシウムや二酸化チタンを用いることにより、クレーコート層の面の平滑度を上げることができ、かつ、隠蔽性を高めることが可能となる。さらに、炭酸カルシウムは安価であるため、好適に用いられる。
【0023】
クレーコート層を塗工するための塗工液は、溶媒に上記クレーと、バインダーと、必要に応じて他の顔料や添加剤を含むものである。溶媒としては、通常、水、アルコール等が用いられる。バインダーとしては、通常、ラテックス系のバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス)、水溶性のバインダー(例えば、デンプン(変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン)、ポリビニルアルコール、カゼイン)等が用いられる。添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤、色材、印刷適性改良剤等が用いられる。
【0024】
クレーコート層用塗工液の配合割合も、特に限定されないが、クレー:顔料:バインダー=1〜20%:50〜90%:10〜30%程度であることが好ましい。
クレーコート層の塗工方法は、特に限定されず、従来公知の塗工方法が用いられるが、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗工方法が用いられる。
【0025】
クレーコート層の塗工量や厚さは、特に限定されないが、通常、乾燥後の坪量が5〜40g/m2であり、10〜40g/m2であることが好ましい。
紙基材層とクレーコート層としては、紙基材層にクレーコート層が既に形成された材料を用いることもできる。
【0026】
なお、クレーコート層は、前記したように、紙の印刷適性を向上させるために設けられる。本発明では、紙基材層のいずれか片面にクレーコート層を形成してもよく、両面にクレーコート層が形成されてもよい。クレーコート層を含む場合、耐油層はクレーコート層の上に形成されてもよい。
【0027】
(4)耐油層
本発明の耐油性紙包装材では、少なくとも紙基材層に耐油層が積層されるが、紙基材層にクレーコート層が積層された場合には、紙基材層に積層されてもクレーコート層に積層されてもよい。従って、例えば、図1に示すように耐油層と紙基材層とが積層されるものや、図2に示すように、耐油層、紙基材層、クレーコート層が順次積層されるもの、図3に示すように、耐油層、クレーコート層、紙基材層の順に積層されるものであってもよい。
【0028】
これらはいずれを内層として内容物を包装してもよい。一般には、耐油層は、内容物と接触する最内層に形成されることが好ましく、これによって内容物の紙基材層への含浸を効率的に防止することができるが、外層側に耐油層を形成してもよい。いずれの場合であっても、内容物の最外層からの浸み出しを防止することができるからである。具体的には、図3の態様において、最内層を紙基材層(10)として内容物を包装しても、耐油層(20)を最内層として内容物を包装してもよい。
【0029】
本発明では、更に印刷層、その他の層を積層することができる。例えば、図4に示すように、内層から外層に向かって、耐油層(20)、クレーコート層(30)、紙基材層(10)、クレーコート層(30)が積層され、さらに、クレーコート層(30)の上に、文字情報や意匠的図形や色彩が表示された印刷層(40)を形成するものである。耐油層(20)によって紙基材層(10)に油脂などが含浸することを防止することができ、外層の印刷層(40)による美観や製品情報の提供をより的確に行うことができる。なお、紙基材層(10)と耐油層(20)との間にクレーコート層(30)が存在しない態様であってもよい。
【0030】
本発明で耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものである。
【0031】
不飽和カルボン酸またはその無水物としては、分子内に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。なお、不飽和カルボン酸はアンモニアやトリエチルアミンなどの有機アミン化合物を含む塩基性化合物によって中和されていてもよい。
【0032】
本発明では、上記不飽和カルボン酸またはその無水物に加えて、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、これらの混合物を更に共重合したものであることが好ましい。
【0033】
更に、上記炭素数2〜6のアルケンに加えて、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、これらの混合物などの他の共重合成分を共重合することが好ましい。なお、共重合の形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれであってもよい。なお、本発明では、エチレン、アクリル酸メチルあるいはアクリル酸エチル、無水マレイン酸からなる三元共重合体を上記配合範囲で共重合したものが好適である。
【0034】
上記した不飽和カルボン酸またはその無水物(I)、炭素数2〜6のアルケン(II)、他の共重合成分(III)の配合割合は、0.01≦(I)/{(I)+(II)+(III)}×100<5であり、かつ(II)/(III)=55/45〜99/1であることが好ましい。これにより、不揮発性水性化助剤を実質的に含まずに水性分散液を調製することができるからである。不揮発性水性化助剤は、被膜形成後にもポリオレフィン共重合樹脂中に残存し、被膜を可塑化することにより、ポリオレフィン共重合樹脂の特性、例えば耐水性等を悪化させる場合があるが、本発明では不揮発性水性化助剤が実質的に含まれないため、被膜特性、特に耐水性、耐油性に優れる。なお、「水性化助剤」とは、水性分散液の製造において、水性化促進や水性分散液の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、不揮発性水性化助剤を積極的には系に添加しないことにより、結果的にこれらを含有しないことを意味する。こうした不揮発性水性化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン共重合樹脂成分に対して0.1質量%未満程度含まれていても差し支えない。なお、アクリル酸エステル単位は、樹脂の水性化の際にエステル結合のごく一部が加水分解してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、それらの変化を加味した各構成成分の比率が規定の範囲にあればよい。
【0035】
本発明では、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄等の他のモノマーが、少量、共重合されていてもよい。得られるポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、0.01〜500g/10分であることが好ましい。
【0036】
上記ポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径(以下、mn)は、水性分散液の保存安定性が向上するという観点から、1μm以下である。重量平均粒子径(以下、mw)は、1μm以下が好ましい。粒子の分散度(mw/mn)は、水性分散液の保存安定性、及び低温造膜性の観点から、1〜3であることが好ましい。
【0037】
また、上記水性分散液におけるポリオレフィン共重合樹脂含有率は、成膜条件、目的とする樹脂被膜の厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、コーティング組成物の粘性を適度に保ち、かつ良好な被膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%が好ましく、3〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、10〜45質量%が特に好ましい。
【0038】
本発明で使用する水性分散液において、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基は、塩基性化合物によって中和されていてもよい。このような塩基性化合物として、被膜形成時に揮発するアンモニア又は有機アミン化合物が被膜の耐水性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃の有機アミン化合物が好ましい。このような有機アミン化合物としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等がある。塩基性化合物の添加量はポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量である。
【0039】
なお、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に有機溶剤を添加することが好ましい。使用する有機溶剤量は、水性媒体中の40質量%以下が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0040】
このような有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられ、中でも沸点が30〜250℃のものが好ましく、50〜200℃のものが特に好ましい。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用しても良い。なお、有機溶剤の沸点が30℃未満の場合は、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化の効率が十分に高まらない場合がある。沸点が250℃を超える有機溶剤は樹脂被膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、被膜の耐水性が悪化する場合がある。上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高く、しかも水性媒体中から有機溶剤を除去し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、低温乾燥性の点からエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
【0041】
上記したように、本発明で使用する水性分散液は、少なくともポリオレフィン共重合樹脂と水とからなり、更に上記有機溶媒を含有するものであるが、その際の水の含有量は、40〜99質量%、好ましくは40〜90質量%、より好ましくは50〜90質量%となる。
【0042】
上記ポリオレフィン共重合樹脂からなる水性分散液を得るための方法は特に限定されないが、たとえば、粒子径1cm以下、好ましくは0.8cm以下の粒状ないしは粉末状の上記組成のポリオレフィン共重合樹脂、塩基性化合物、水、さらに必要に応じて有機溶剤を、好ましくは密閉可能な容器中で加熱、攪拌する。容器としては、固/液撹拌装置や乳化機を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でも十分水性化が達成されるため、簡便な装置でも水性分散液の製造が可能である。温度40℃以下の温度で攪拌混合し、次いで、槽内の温度を80〜200℃に保ち、5〜120分間攪拌を続けることによりポリオレフィン共重合体樹脂を十分に水性化させ水性分散液を得ることができる。
【0043】
本発明では、このようにして得られた水性分散液を、前記紙基材層やクレーコート層に乾燥時の塗布量が0.1〜100g/m2、より好ましくは0.1〜80g/m2となるように塗布、加熱乾燥して形成する。
【0044】
(6)他の層
本発明の耐油性紙包装材には、所望の印刷層を形成することができる。印刷層はいずれの層の上に形成してもよいが、好ましくは、クレーコート層の上である。
【0045】
上記の印刷層としては、例えば、紙基材層やクレーコート層の上に、通常のグラビアインキ組成物、オフセットインキ組成物、凸版インキ組成物、スクリーンインキ組成物、その他のインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、その他の印刷方式を使用し、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他からなる所望の印刷絵柄を形成することにより構成することができる。
【0046】
前記印刷層の上には、オーバーコート層を更に積層してもよい。
(7)耐油性紙包装材の製造方法
本発明の耐油性紙包装材の製造方法に限定はないが、紙基材層に、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥し、この水性分散液の塗布および乾燥を、1〜5回行って耐油層を形成して耐油性紙包装材の製造方法することができる。
【0047】
本発明では、前記したように、紙基材層にクレーコート層が積層されるものであってもよい。紙基材層の上のクレーコート層に上記水性分散液を塗布する場合には、1回の塗布と乾燥とにより耐油層を形成することができる。クレーコート層に含有されるバインダーによって上記水性分散液の紙基材層への含浸が防止されるため、1回の塗工並びに乾燥によって耐油層が形成されると考えられる。水性分散液の塗布量は、乾燥時、0.01〜100g/m2、より好ましくは0.05〜80g/m2、特に好ましくは0.1〜50g/m2である。
【0048】
一方、紙基材層に上記水性分散液を塗布する場合には、使用する紙基材によっても異なるが、塗布と乾燥とを2回以上、より好ましくは2〜5回、特に好ましくは3〜5回繰り返す。上記水性分散液には40〜99質量%の範囲で水を含むため、紙基材層の表面にある凹凸から上記水性分散液が吸液され、一回の塗布並びに乾燥では耐油性を確保することが困難である。しかしながら、上記水性分散液の被膜形成を複数回行うことで耐油性を確保しうることが判明した。従って、紙基材層に直接前記水性分散液を塗工する場合と、クレーコート層に前記水性分散液を塗工する場合とでは、耐油性を確保するのに必要な塗工量が異なる場合がある。
【0049】
例えば、紙基材層に塗工する場合には、上記水性分散液を乾燥時塗布量、0.01〜50g/m2、より好ましくは、0.05〜20g/m2、特に好ましくは、0.1〜10g/m2で塗布した後に乾燥して被膜を形成し、その後に、上記水性分散液を、乾燥時塗布量、0.01〜50g/m2、より好ましくは、0.05〜20g/m2、特に好ましくは、0.1〜10g/m2で塗布しおよび乾燥し、これを繰り返す。紙基材層に直接塗工する場合には、最終的に、上記水性分散液の乾燥時塗布量が、0.01〜100g/m2、より好ましくは、0.05〜80g/m2、特に好ましくは、0.1〜50g/m2となるように積層することで、耐油性を確保することができる。なお、塗工および乾燥条件は、被膜が形成されるものであれば特に制限はない。
【0050】
なお、水性分散液の塗工は、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥又は乾燥と焼き付けのための加熱処理剤とに供することにより、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材の特性や後述する硬化剤の種類、配合量等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜210℃が特に好ましく、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、5秒〜10分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリオレフィン中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
【0051】
(8)耐油性紙包装容器
上記耐油性紙包装材を使用して包装用容器を製造することができる。例えば、最内層が耐油層となるようにして上記耐油性紙包装材を所定形状に裁断し、包装容器を構成することができる。
【0052】
本発明において、上記のようにして製造した耐油性紙包装容器は、バター、チーズなどの油脂製品、フライドポテトなどの揚げ物食品などの耐油性が求められる食品の収納に好適に使用することができる。
【実施例】
【0053】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)のクレーコート層に、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液(分散樹脂の数平均粒子径0.6μm、不揮発性水性化助剤不使用、水分含有量60質量%)をマイヤーバー#3にて、乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させて耐油性紙包装材を得た。
【0054】
この耐油性紙包装材の水性分散液塗工層側にバター(雪印乳業社製)約2gを乗せ、直径約3cmの円状にし、常温で5時間、常温で18時間、40℃で20分経過後のバターの染み込み度合いを観察した。
【0055】
(比較例1)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)を用い、この比較耐油性紙包装材のクレーコート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
【0056】
(比較例2)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)の非クレーコート層に、実施例1で使用した水性分散液を乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させて比較耐油性紙包装材を得た。
【0057】
この比較耐油性紙包装材の水性分散液塗工層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)の非クレーコート層に、実施例1で使用した水性分散液を乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させ、この操作を2回実施して比較耐油性紙包装材を得た。
【0058】
この比較耐油性紙包装材の水性分散液塗工層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)の非コート層に、実施例1で使用した水性分散液を乾燥時の厚みが1.6g/m2となるように塗布および乾燥させ、この操作を3回実施して耐油性紙包装材を得た。
【0059】
この耐油性紙包装材の水性分散液塗工層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
また、耐油性紙包装材の水性分散液塗工層側に、メチレンブルー水溶液を1滴たらし、常温にて5分経過後の水滴の染み込み度合いを観察した。結果を表2に示す。
【0060】
(比較例4)
片面クレーコート紙(北越製紙(株)、NEWタフアイボリー:坪量260g/m2)を用いて、非クレーコート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
【0061】
また、比較耐油性紙包装材の非クレーコート層側にメチレンブルー水溶液を1滴たらし、実施例2と同様に操作して水滴の染み込み度合いを観察した。結果を表2に示す。
(比較例5)
フッ素樹脂が使用された汎用耐油紙を用いて、上記コート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
(比較例6)
フッ素樹脂が使用された汎用耐油紙を用いて、このコート紙の非コート層側にバターを乗せて、実施例1と同様にしてバターの浸み込み状態を評価した。結果を表1に示す。
【0063】
また、比較耐油性紙包装材の非コート層側にメチレンブルー水溶液を1滴たらし、実施例2と同様に操作して水滴の染み込み度合いを観察した。結果を表2に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

(結果)
(1) 実施例1、比較例1、比較例6の結果から、クレーコート層に前記水性分散液を塗工する場合には、フッ素樹脂を使用することなく、かつ実質的に不揮発水性化助剤を配合することなく、1回の塗工でフッ素樹脂による耐油コート紙(比較例6)と同程度の耐油性に優れる耐油層を形成することができた。
【0066】
(2) 比較例2〜4、比較例6、実施例2の結果から、紙基材に前記水性分散液を塗工する場合には、3回の塗工および乾燥により、フッ素樹脂を使用することなく、かつ実質的に不揮発水性化助剤を配合することなく、フッ素樹脂による耐油コート紙(比較例6)と同程度の耐油層を形成することができた。
【0067】
(3) 表2の結果から、本発明の耐油層は、紙基材層に直接積層した場合でも、耐水性にも優れることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、フッ素樹脂を使用することなく、かつ実質的に不揮発水性化助剤を配合することなく、耐油性に優れる耐油性紙包装材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、紙基材層(10)に耐油層(20)が積層された本発明の耐油性紙包装材の断面図である。
【図2】図2は、クレーコート層(30)、紙基材層(10)、耐油層(20)が形成された本発明の耐油性紙包装材の断面図である。
【図3】図3は、紙基材層(10)、クレーコート層(30)、耐油層(20)が形成された本発明の耐油性紙包装材の断面図である。
【図4】図4は、印刷層(40)、クレーコート層(30)、紙基材層(10)、クレーコート層(30)、耐油層(20)が形成された本発明の耐油性紙包装材の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10・・・紙基材層、
20・・・耐油層、
30・・・クレーコート層、
40・・・印刷層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙基材層と、耐油層とを積層してなる紙包装材であり、
前記耐油層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥したものであること特徴とする、耐油性紙包装材。
【請求項2】
前記紙基材層は、片面にクレーコート層を有するものである、請求項1記載の耐油性紙包装材。
【請求項3】
前記耐油層は、前記クレーコート層に積層されることを特徴とする、請求項2記載の耐油性紙包装材。
【請求項4】
前記紙基材層に、前記水性分散液を、複数回、塗布および乾燥して耐油層を積層してなることを特徴とする、請求項1または2記載の耐油性紙包装材。
【請求項5】
前記耐油層における水性分散液の塗布量は、乾燥時、0.1〜100g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐油性紙包装材。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の耐油性紙包装材からなる耐油性紙包装容器。
【請求項7】
少なくとも紙基材層と耐油層とを積層してなる紙包装材の製造方法であって、
前記紙基材層に、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂が、不揮発水性化助剤を実質的に含まずに、数平均粒子径が1μm以下で分散された水性分散液を塗布および乾燥し、この水性分散液の塗布および乾燥を、複数回行って耐油層を形成することを特徴とする、耐油性紙包装材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−84244(P2010−84244A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252431(P2008−252431)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】