説明

耐火被覆材用骨材および該骨材を用いた耐火被覆用モルタル組成物

【課題】 耐火被覆用モルタルがポンプ圧送中にホース内で閉塞することを抑制し、壁面や天端に吹付け施工された当該モルタルがダレや剥落を生じない、耐火被覆材用骨材および該骨材を用いた耐火被覆用モルタル組成物を提供すること。
【解決手段】 粒径が0.6〜5.0mmの骨材であって、次の式(2)で算出した遠心脱水後の骨材吸水率が170〜250%である耐火被覆材用骨材。[式(2):遠心脱水後の骨材吸水率(%)=(遠心脱水後の骨材吸水量)/(絶乾状態の骨材質量)×100]
上記耐火被覆材用骨材と、セメントを含む粒子とを含有する耐火被覆用モルタル組成物であって、耐火被覆材用骨材の含有率が10〜40重量%であり、セメントを含む粒子の粒径が0.15mm以下であって、該粒子の含有率が50〜80重量%である耐火被覆用モルタル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内壁面等に施工するために用いられる耐火被覆材用骨材および該骨材を用いた耐火被覆用モルタル組成物に関し、特に、ポンプで圧送して吹付け施工するための耐火被覆材用骨材および該骨材を用いた耐火被覆用モルタル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
モルタルをポンプで圧送し、空気圧によって施工対象面上に吹付け施工する方法は、塗り付け施工と比べて、連続的かつ効率的に作業を行うことができる点、及び、施工対象面の形状が複雑であっても容易に施工することができる点で、優れた施工方法である。
【0003】
上記吹付け施工方法に用いる耐火被覆用モルタル混練物として、特許文献1(特開2003−292360号公報)には、「セメントを含む粒径0.15mm以下の粒子と、粒径0.6〜5mmの発泡骨材と、必要に応じて配合される他の固体分と、水とを含む耐火被覆用モルタル混練物であって、該混練物の固体分中における上記粒径0.15mm以下の粒子の含有率が50〜80重量%、上記粒径0.6〜5mmの発泡骨材の含有率が10〜40重量%、上記必要に応じて配合される他の固体分の含有率が0〜20重量%であり、かつ、該モルタル混練物中の空気の体積割合が30〜60%である耐火被覆用モルタル混練物。」が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−292360号公報(請求項1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、耐火被覆用モルタルに用いる骨材の種類によっては、ポンプ圧送中にホース内で閉塞を起こして吹付け施工が困難であったり、ポンプ圧送性は良好であっても、壁面や天端に吹付け施工されたモルタルにダレや剥落が生じる場合があった。
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、耐火被覆用モルタルがポンプ圧送中にホース内で閉塞することを抑制し、壁面や天端に吹付け施工された当該モルタルがダレや剥落を生じさせないことができる、耐火被覆材用骨材および該骨材を用いた耐火被覆用モルタル組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定範囲の遠心脱水後の吸水率を持つ耐火被覆材用骨材を用いること、および、該骨材を配合したモルタル組成物の構成成分やその粒度および配合割合を限定することによって、a)ポンプ圧送時のモルタルの流動性が改善されることにより、ポンプ圧送してもホース内で閉塞することがなく、また、b)吹付け施工されたモルタルの粘度を向上することにより、吹き付けたモルタルのダレや剥落を生じないことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明に係る耐火被覆材用骨材は、「耐火被覆材に用いる骨材であって、下記測定手順で求めた結果を下記式(1)および式(2)に適用して算出した遠心脱水後の骨材吸水率が170〜250%である」ことを特徴とする(請求項1)。
[絶乾状態の骨材の質量を計量し(これを「絶乾状態の骨材質量」とする)、該骨材を通水性袋に入れた後、清水に浸ける。次に、清水に浸けた状態で、骨材中から空気泡が出なくなるまで充分に吸水させた後、吸水させた骨材を通水性袋に入った状態のまま水中から取り出し、そのまま、脱水機により1分間脱水させる(注)。脱水された骨材の質量を測定する(これを「遠心脱水後の骨材質量」とする)。
(注):ここで用いる脱水機とは、電動モーターの軸上に配置した金属製メッシュで底板のある円筒状の籠が付いた構造の脱水機であり(籠の寸法:直径110mm,高さ127mm)、この籠の中に脱水させる骨材を入れ、電動モーターの回転数を1100rpmとして、1分間脱水させる。]
式(1):遠心脱水後の骨材吸水量=
(遠心脱水後の骨材質量)−(絶乾状態の骨材質量)
式(2):遠心脱水後の骨材吸水率(%)=
(遠心脱水後の骨材吸水量)/(絶乾状態の骨材質量)×100
【0008】
そして、本発明に係る耐火被覆材用骨材は、「前記耐火被覆材用骨材の粒径が0.6〜5.0mmである」ことを本発明に係る耐火被覆材用骨材の好ましい実施形態とするものである(請求項2)。
【0009】
一方、本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物は、「前記耐火被覆材用骨材(請求項1または請求項2に記載の耐火被覆材用骨材)およびセメントを含む粒子を含有してなる」ことを特徴とする(請求項3)。
そして、本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物は、「前記耐火被覆材用骨材の含有率が10〜40重量%であり、前記セメントを含む粒子の粒径が0.15mm以下であって、該粒子の含有率が50〜80重量%である」ことを本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物の好ましい実施形態とするものである(請求項4)。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る耐火被覆材用骨材および耐火被覆用モルタル組成物は、ポンプ圧送してもホース内で閉塞することを抑制し、壁面や天端に吹き付けたモルタルのダレや剥落を生じさせないことができる。したがって、吹き付けたモルタルの剥落やダレを補修するための労力や材料を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る耐火被覆材用骨材および耐火被覆用モルタル組成物の最良の実施形態について説明するが、それに先立って、本発明に係る耐火被覆材用骨材で特定する「遠心脱水後の骨材吸水率」の算定手順について、さらに詳細に説明する。
【0012】
本発明で特定する「遠心脱水後の骨材吸水率」とは、前記したとおりであるが、これをさらに詳細に説明すると、以下の測定手順により求められた結果を下記式(1)および式(2)に適用させて算出されるものである。
絶乾状態の骨材を適量計量し、その質量を「絶乾状態の骨材」とする。計量した骨材を不織布や樹脂製のメッシュなどの通水性袋に入れ、骨材が該袋から漏れでないようにし、その後、該袋に骨材を入れた状態で清水に浸ける。清水に浸けた状態で、骨材中から空気泡が出なくなるまで充分に吸水させる。吸水させた骨材を通水性袋に入った状態のまま水中から取り出し、そのまま、脱水機により1分間脱水させる。脱水された骨材の質量を測定し、これを「遠心脱水後の骨材質量」とする。
ここで用いる脱水機とは、電動モーターの軸上に配置した金属製メッシュで底板のある円筒状の籠が付いた構造であり、この籠の中に脱水させる骨材を入れ、電動モーターの回転力により生じる遠心力により、骨材の表面に付着した水分を脱水させる。脱水に用いる遠心力は、電動モーターの回転数と金属製メッシュの籠の寸法により決まり、ここでは、電動モーターの回転数を1100rpm,金属製メッシュの籠の寸法を直径110mm,高さ127mmとする。
【0013】
式(1):遠心脱水後の骨材吸水量=
(遠心脱水後の骨材質量)−(絶乾状態の骨材質量)
式(2):遠心脱水後の骨材吸水率(%)=
(遠心脱水後の骨材吸水量)/(絶乾状態の骨材質量)×100
【0014】
(本発明に係る耐火被覆材用骨材の実施形態)
本発明に係る耐火被覆材用骨材は、上記手順で求めた遠心脱水後の骨材吸水率が170〜250%であることを特徴とする。該吸水率が170%未満では、耐火被覆材中の水分を吸水する量が少なくなり、吹き付けた時の耐火被覆材の粘度が小さくなるため、ダレや剥落が生じ、好ましくない。一方、該吸水率が250%を超えると、耐火被覆材中の水分を吸水する量が過剰となり、ポンプ圧送時のモルタルの流動性が低下するため、ホース内で閉塞を生じるので好ましくない。好ましくは、180〜220%である。
【0015】
本発明において、上記耐火被覆材用骨材の粒径については、特に限定するものではないが、0.6〜5.0mm粒径の骨材が好ましい。(好ましいとする理由については、後記段落[0019]参照。)
【0016】
本発明において、耐火被覆材用骨材としては、前記特定範囲内の“遠心脱水後の骨材吸水率”を有する骨材、すなわち、耐火被覆材中の水分を前記特定範囲内で吸水する作用効果を奏する骨材であれば、その種類について特に限定するものではないが、耐火性被覆材に対して、断熱性を付与しかつ耐火性能を高めることを意図して、耐火性骨材が好ましく、例えば、膨張バーミキュライトや硬質パーライトなどを使用することが好ましい。
【0017】
本発明に係る耐火被覆材用骨材の製造方法は、従来法と同様、所定の鉱物を適当な粒度に粉砕し分級した後、加熱炉内で急速に加熱することによって膨張させ、この膨張した多孔質の軽量粒体を分級することにより得られる。ただし、本発明においては、上記加熱炉内での加熱温度,加熱時間,時間あたりの鉱物投入量を特定範囲に設定し、これによって、“前記遠心脱水後の骨材吸水率170〜250%を有する骨材”を製造するものである。具体例として、斜炉を用いて膨張バーミキュライトを製造する場合には、炉内温度を700〜950℃、加熱時間を3〜10秒、時間あたりの鉱物投入量を500〜700(kg/時間)とすることで製造する。但し、これらの条件は、鉱物の種類および用いる焼成炉の方式,形状などにより異なる。
また、上記従来法で得られた骨材のうち、遠心脱水後の骨材吸水率を測定し、所定内の吸水率の骨材のみを選別して、“前記遠心脱水後の骨材吸水率170〜250%を有する骨材”を得ることもできる。
【0018】
(本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物の実施形態)
本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物は、前記本発明に係る耐火被覆材用骨材(以下単に“耐火被覆材用骨材”という)とセメントを含む粒子とを、少なくとも含有してなることを特徴とする。
その好ましい実施形態としては、上記耐火被覆材用骨材として、粒径0.6〜5.0mmのものを使用することが好ましい。また、その含有率は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは15〜35重量%である。一方、上記セメントを含む粒子としては、その粒径が0.15mm以下であって、その含有率が50〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは55〜75重量%である。
【0019】
耐火被覆材用骨材の粒径が5.0mmを超えると、ポンプ圧送時の圧力によって該骨材がつぶれる恐れがあるので、骨材の最大粒径は5.0mm以下とすることが望ましい。また、最小粒径を0.6mm以上とすることによって、断熱性が得られ易いので好ましい。
耐火被覆材用骨材の含有率が10重量%未満では、充分な断熱性(耐火性)を得ることができず、該含有率が40重量%を超えると、ポンプ圧送性や必要な強度が得られ難くなるので、好ましくない。
【0020】
一方、粒径0.15mm以下のセメントを含む粒子は、その表面に水を吸着させて保持することによって、ポンプ圧送時に圧力が作用しても、材料が分離することを抑止し、ポンプ圧送性(閉塞を起こさずに、ポンプによってホース内を円滑に圧送されること)を高める働きをするので好ましい。粒径が0.15mmを超えると、これらの効果は低減するので好ましくない。
セメントを含む粒子の含有率が50重量%未満では、モルタル混練物を圧送する際に、水を充分に保持することができず、材料分離が大きくなるので、ホース内でモルタル混練物の閉塞が起こり易い。該含有率が80重量%を超えると、微粒分が多くなり過ぎて、モルタル混練物の流動性が低下し、充分なポンプ圧送性を得ることができないので、好ましくない。
【0021】
本発明において、セメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,中庸熱ポルトランドセメント,低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント,フライアッシュセメント等の混合セメント等を使用することができる。
また、本発明において、セメントを含む粒径0.15mm以下の粒子として、上記セメント以外に、例えば、石灰石粉末,高炉スラグ粉末,石英粉末,フライアッシュ,シリカフューム,細砂,ガラス微粒等の粒子を含むことができる。
【0022】
なお、本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物において、前記耐火被覆材用骨材およびセメントを含む粒径0.15mm以下の粒子以外に、さらに他の粒子を配合することもできる。例えば、マイカ,タルク等の薄片状粒子や、ウォラストナイト,ムライトなどの針状粒子等を配合することが好ましい。このうち、特に、マイカやタルクの配合は、流動性や耐火性の点から好ましい。
【0023】
本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物において、該組成物の固体分を構成する材料の最大粒径は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。該最大粒径が10mmを超えると、ポンプ圧送性が低下する恐れがあるので、好ましくない。
【0024】
また、本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物において、減水剤を配合することは、水/固体分の重量比を小さくすることができるので、好ましい。減水剤としては、例えば、リグニン系,ナフタレンスルホン酸系,メラミン系,ポリカルボン酸系等の高性能AE減水剤、高性能減水剤、AE減水剤等を使用することができる。減水剤の配合量は、セメント100重量部に対して、固形分換算で2重量部以下、好ましくは0.1〜1重量部である。該配合量が2重量部を超えると、該モルタル混練物の硬化後の強度が低下するので、好ましくない。
減水剤としては、液状と粉末状のいずれの形態を有するものであっても、使用することができる。なお、粉末状の減水剤は、本明細書中の「固体分」の中には含めないものとする。
【0025】
本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物を水と混練する場合、水/固体分の重量比は、減水剤の使用の有無及び使用量によっても異なるが、好ましくは0.5〜1.2、より好ましくは0.6〜1.1である。該重量比が0.5未満では、耐火被覆用モルタル混練物の流動性が低くなって、ポンプ圧送性が不充分となる恐れがあるため、好ましくない。該重量比が1.2を超えると、水量が多いために材料分離の傾向が大きくなり、かつ、該モルタル混練物の硬化後の強度や耐久性が低下するので、好ましくない。特に、該モルタル混練物をポンプで圧送すると、その圧力によって該モルタル混練物中の水分が固形分と分離する傾向があるので、ポンプ圧送に必要な流動性が確保されている限りにおいて、水量をなるべく少なくすることが好ましい。
【実施例】
【0026】
次に、本発明に係る耐火被覆用モルタル組成物の実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例1〜5によって限定されるものではない。
【0027】
(実施例1〜5、比較例1,2)
実施例1〜5および比較例1,2で使用した材料は、次のとおりである。
・普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、密度:3.2g/cm3
・炭酸カルシウム(日東粉化工業社製、ブレーン比表面積:4,000cm2/g、密度:2.7g/cm3
・バーミキュライト1(遠心脱水後の吸水率:170%、嵩密度:0.116 g/cm3
・バーミキュライト2(遠心脱水後の吸水率:190%、嵩密度:0.113 g/cm3
・バーミキュライト3(遠心脱水後の吸水率:210%、嵩密度:0.097 g/cm3
・バーミキュライト4(遠心脱水後の吸水率:230%、嵩密度:0.090 g/cm3
・バーミキュライト5(遠心脱水後の吸水率:250%、嵩密度:0.083 g/cm3
・バーミキュライト6(遠心脱水後の吸水率:130%、嵩密度:0.130 g/cm3
・バーミキュライト7(遠心脱水後の吸水率:270%、嵩密度:0.072 g/cm3
・マイカ(商品名:マスコバイトマイカC−20、カナダマイカ社製、嵩密度:0.20
〜0.30g/cm3、粒径:0.6〜5mm)
・AE減水剤(エヌエムビー社製、商品名:ポゾリスNo.70)
【0028】
上記バーミキュライト1〜7は、次のようにして得られたものである。
すなわち、鉱物の種類として、パラボラ産のバーミキュライト原石を使用した。このバーミキュライト原石を粉砕し、粒径1.5〜2.5mmに分級した後、表1に示す条件で焼成した。焼成炉としては、斜炉を用い、加熱時間は5秒で行った。
【0029】
【表1】

【0030】
上記材料を用いて、表2に示す“配合割合”で配合し、表3に示す“水/粉体比”即ち“水/固体分比”で水を加えて混練し、実施例1〜5、比較例1,2の混練物(耐火被覆用モルタル)を調製した。なお、混練には、パンタイプのミキサを用いた。
その後、スネークポンプ(新明和DM−10)を用いて、吹付けノズルまで混練物(耐火被覆用モルタル)を圧送し、圧縮空気により吹付けノズルの先端から吹き付けた。吹き付ける対象としては、垂直方向に設置した木製板(50×50×3cm)とした。その際の「吹付け性(ダレ・剥落の有無)」を目視にて評価し、表3に示した。また、「ポンプ圧送性」の評価結果を「〇:良好」「×:劣る(閉塞あり)」として、同じく表3に示した。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
表3に示すように、本発明で特定する“遠心脱水後の骨材吸水率”を満たす耐火被覆材用骨材を配合した実施例1〜5においては、いずれもダレ・剥落がなく、ポンプ圧送性も良好であった。これに対し、比較例1では、耐火被覆材用骨材の遠心脱水後の骨材吸水率が本発明で特定する数値範囲よりも小さいため、モルタルの流動性が高く、ポンプ圧送性は良好なものの、吹き付けた耐火被覆用モルタルにダレや剥落が生じた。比較例2では、耐火被覆材用骨材の遠心脱水後の骨材吸水率が、本発明で特定する数値範囲よりも大きいため、耐火被覆材用骨材への吸水が極めて大きくなり、モルタルの流動性が低下することにより、ポンプ圧送時にホース内で閉塞して吹き付けることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上詳記したとおり、本発明によれば、ポンプ圧送しても、ホース内で閉塞することを抑制し、壁面や天端に吹き付けたモルタルのダレや剥落を生じさせないことができる。したがって、吹き付けたモルタルの剥落やダレを補修するための労力や材料を低減することができるので、その利用可能性は極めて顕著である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火被覆材に用いる骨材であって、下記測定手順で求めた結果を下記式(1)および式(2)に適用して算出した遠心脱水後の骨材吸水率が170〜250%である、ことを特徴とする耐火被覆材用骨材。
[絶乾状態の骨材の質量を計量し(これを「絶乾状態の骨材質量」とする)、該骨材を通水性袋に入れた後、清水に浸ける。次に、清水に浸けた状態で、骨材中から空気泡が出なくなるまで充分に吸水させた後、吸水させた骨材を通水性袋に入った状態のまま水中から取り出し、そのまま、脱水機により1分間脱水させる(注)。脱水された骨材の質量を測定する(これを「遠心脱水後の骨材質量」とする)。
(注):ここで用いる脱水機とは、電動モーターの軸上に配置した金属製メッシュで底板のある円筒状の籠が付いた構造の脱水機であり(籠の寸法:直径110mm,高さ127mm)、この籠の中に脱水させる骨材を入れ、電動モーターの回転数を1100rpmとして、1分間脱水させる。]
式(1):遠心脱水後の骨材吸水量=
(遠心脱水後の骨材質量)−(絶乾状態の骨材質量)
式(2):遠心脱水後の骨材吸水率(%)=
(遠心脱水後の骨材吸水量)/(絶乾状態の骨材質量)×100
【請求項2】
前記耐火被覆材用骨材の粒径が0.6〜5.0mmである、請求項1に記載の耐火被覆材用骨材。
【請求項3】
耐火被覆用モルタル組成物であって、請求項1または請求項2に記載の耐火被覆材用骨材およびセメントを含む粒子を含有してなることを特徴とする耐火被覆用モルタル組成物。
【請求項4】
前記耐火被覆材用骨材の含有率が10〜40重量%であり、前記セメントを含む粒子の粒径が0.15mm以下であって、該粒子の含有率が50〜80重量%である、請求項3に記載の耐火被覆用モルタル組成物。

【公開番号】特開2006−182628(P2006−182628A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381134(P2004−381134)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】