説明

耐熱グリッター、及びそれを使用して得る光輝性樹脂ペレット

【課題】光輝性樹脂ペレット製造時に溶融状態の樹脂の温度が180℃程度のときはもちろん、200℃以上のような高温でも、熱による歪みにより金属薄膜層の金属光沢がほとんど変化することのない耐熱性を有する耐熱グリッター、及び該耐熱グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットを提供するものである。
【解決手段】本発明は、少なくとも、プラスチックフイルム、金属薄膜層、及び樹脂からなる耐熱性樹脂層がそれぞれ1層以上形成された積層体の砕片であるグリッターにおいて、下記条件を満足することを特徴とする耐熱グリッターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成型品製造用の光輝性樹脂ペレット、及びそれに使用する耐熱グリッターに関し、特に、樹脂成型品を製造するために使用する樹脂ペレット製造時の高温溶融状態の樹脂に混入されても、優れた金属光沢を維持できる耐熱グリッター、及びそれを使用して得る光輝性樹脂ペレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成型品製造用の樹脂ペレット及びそれに使用するグリッターであって、少なくとも耐熱性樹脂層と金属光沢を有する金属薄膜層が積層されたグリッター、及び該グリッターを樹脂に混入して得る光輝性樹脂ペレットが知られている。
通常、樹脂成型品は、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂からなる樹脂ペレットを使用して成型される。
一般的に、上記樹脂ペレットを製造するためには、まず原料となる上記樹脂を一旦加熱して、少なくとも180℃程度以上の温度で溶融状態とし(樹脂の種類により温度は異なり、200℃以上の高温で溶融する場合もある)、該溶融状態の樹脂を適宜の形状や大きさにカット、冷却して樹脂ペレットを製造する。
そして、上記樹脂ペレットを製造する際に、上記樹脂に着色剤を混入し、ミキサーやブレンダー等で該樹脂と着色剤とが均一になるよう混合した後、適宜の温度に加熱して溶融状態としたものを適宜の形状や大きさにカット、冷却すれば樹脂ペレット全体が着色された着色樹脂ペレットが得られる。
また、上記樹脂に金属光沢あるグリッターを混入し、ミキサーやブレンダー等で該樹脂とグリッターが均一になるよう混合した後、適宜の温度に加熱して溶融状態としたものを適宜の形状や大きさにカット、冷却すれば、金属光沢あるグリッターが樹脂ペレット全体に均一に分散されることによる光輝性を呈する光輝性樹脂ペレットが得られる。
そして、上記樹脂ペレットを必要量、必要な種類使用して(例えば、着色樹脂ペレットや光輝性樹脂ペレットと、着色剤やグリッター等が混入されていない樹脂ペレットとを適宜の重量比で混合するなどして)、再度溶融状態とした後、射出成型機等の成型機を使用して所望の樹脂成型品を製造する。
尚、着色剤やグリッターは上記樹脂ペレット製造時だけではなく、例えば樹脂ペレットとグリッターをミキサーやブレンダー等で混合した後、適宜の温度に加熱して溶融状態としたものをそのまま射出成型するなど、樹脂成型品製造時に使用することももちろん可能である。
以上の通り、通常、グリッターは樹脂と混合した後、加熱して該樹脂が溶融状態となる状態で使用するものであるため、180℃程度の溶融状態の樹脂中はもちろん、200℃以上の高温の溶融状態の樹脂中でも、金属薄膜層が歪んだりして金属光沢を失わない耐熱性が要求される。
【0003】
特許文献1には、抗菌性を有する樹脂成型品製造用光輝性樹脂ペレット、及びそれに使用するグリッターが記載されている。
そして、特許文献1には、抗菌性を付与するために金属薄膜層として銀又は銅薄膜層を使用した下記構成の積層体をカット等して得られるグリッター、及び該グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットが記載されている。
(積層体の構成)
耐熱性樹脂層/銀又は銅薄膜層/耐熱性樹脂層
耐熱性樹脂層/銀又は銅薄膜層/接着層/耐熱性樹脂層
耐熱性樹脂層/銀又は銅薄膜層/接着層/銀又は銅薄膜層/耐熱性樹脂層
また、実施例1には、下記構成の積層体をカット等して得られるグリッター、及び該グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットが記載されている。
(積層体の構成)
耐熱性樹脂層(ポリエチレンテレフタレートフイルム)/アンカーコート層(ポリエステル樹脂+メラミン樹脂)/銀薄膜層/トップコート層(メラミン樹脂+酸化チタン粉末)/樹脂接着層/トップコート層(メラミン樹脂+酸化チタン粉末)/銀薄膜層/アンカーコート層(ポリエステル樹脂+メラミン樹脂)/耐熱性樹脂層(ポリエチレンテレフタレートフイルム)。
【0004】
また、上記耐熱性樹脂層には、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく使用できる旨、耐熱性樹脂層の厚さは1〜100μmが好ましい旨も記載されている。
さらには、耐熱性樹脂層の形成方法は、上記樹脂をリバースロールコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の従来公知のコーティング法で形成してもよく、また上記樹脂をフイルム状にしたプラスチックフイルムをそのまま耐熱性樹脂層として使用してもよい旨の記載もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−8656
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1記載のグリッターに代表される従来のグリッター、及びそれを使用して得る光輝性樹脂ペレットには、下記に示す欠点があった。
(1)グリッターの耐熱性樹脂層に使用されている樹脂が上記樹脂であったため、樹脂ペレットの原料となる樹脂にグリッターを混入、混合し、その後溶融状態とするために加熱して樹脂の温度を180℃程度以上とすると、グリッターの耐熱性樹脂層や耐熱性樹脂層以外の層(アンカーコート層、トップコート層等)が熱により歪んでしまい、その影響で金属薄膜層も歪んでしまう現象が起こった。
その結果グリッター自体の金属光沢が悪くなるばかりか、光輝性樹脂ペレットも充分な光輝性を呈することができないものとなった。
(2)さらに、上記現象は溶融状態の樹脂の温度がより高温となるとますます顕著となった。
すなわち、溶融状態の樹脂の温度が200℃以上(260℃を超えると樹脂の種類によっては樹脂の劣化や分解が生じ始めるため、該樹脂の温度を通常260℃以下とすることが多い)となると、耐熱性樹脂層以外の層はもちろん耐熱性樹脂層も溶融して、グリッターの積層状態が崩壊し、その結果金属薄膜層のみが単独で存在することとなる場合があった。
そのため、溶融状態の樹脂の温度が200℃未満のときと比べて、金属薄膜層が熱により受けるダメージはより大きくなり、グリッター自体の金属光沢が相当悪くなるばかりか、該グリッターを使用して得られる光輝性樹脂ペレット、該光輝性樹脂ペレットを使用して得られる樹脂成型品も結果的にほとんど光輝性を呈することができないものとなった。
【0007】
本発明は、上記全ての欠点を除去したものであり、光輝性樹脂ペレット製造時に溶融状態の樹脂の温度が180℃程度のときはもちろん、200℃以上のような高温でも、熱による歪みにより金属薄膜層の金属光沢がほとんど変化することのない耐熱性を有する耐熱グリッター、及び該耐熱グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明は、少なくとも、プラスチックフイルム、金属薄膜層、及び樹脂からなる耐熱性樹脂層がそれぞれ1層以上形成された積層体の砕片であるグリッターにおいて、下記条件を満足することを特徴とする耐熱グリッターである。
(A)耐熱性樹脂層の樹脂が、ポリマー樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるシリカハイブリッド樹脂である
(B)金属薄膜層の少なくとも片面には、耐熱性樹脂層が直接接して形成されている
[2]本発明は、耐熱性樹脂層の樹脂が、エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂である上記[1]記載の耐熱グリッターである。
[3]本発明は、エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である上記[1]又は[2]記載の耐熱グリッターである。
[4]本発明は、上記[1]〜[3]何れかに記載の耐熱グリッターを樹脂に混入したことを特徴とする光輝性樹脂ペレット。
【発明の効果】
【0009】
本発明の耐熱グリッター、及びそれを使用して得る本発明の光輝性樹脂ペレットは、上記の特徴を有するので下記の優れた効果を有するものとなる。
1.光輝性樹脂ペレット製造時に溶融状態の樹脂(通常180℃程度以上)にグリッターが混入されていても、金属薄膜層の少なくとも片面に直接接して形成されている耐熱性樹脂層が熱により歪んでしまうことがないので、少なくとも片面を耐熱性樹脂層で支えられている金属薄膜層も熱により歪んでしまうこともない。
その結果、本発明の耐熱グリッターが熱により金属光沢が変化しない優れた耐熱性を有するものとなるばかりか、本発明の耐熱グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットも光輝性を維持できるものとなる。
2.特に、溶融状態の樹脂の温度が200℃以上の高温となると、プラスチックフイルムや耐熱性樹脂層以外の層は溶融してしまう場合があるが、そのような場合であっても耐熱性樹脂層は溶融してしまうこともなく、金属薄膜層の支えとして存在し続けるため、耐熱性樹脂層と金属薄膜層が直接接した積層状態を維持できる(金属薄膜層のみが単独で存在することとならない)。
従って、溶融状態の樹脂の温度が200℃未満のときと同様、金属薄膜層が熱により受けるダメージはほとんどなく、その結果、本発明の耐熱グリッターが熱により金属光沢が変化しない優れた耐熱性を有するものとなるばかりか、本発明の耐熱グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットもやはり光輝性を維持できるものとなる。
3.耐熱性樹脂層の樹脂を、エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂とし、中でもエポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂としておけば、本発明の耐熱グリッターの耐熱性がより向上するので好ましい。
4.また、耐熱性樹脂層に使用する樹脂を、少なくとも0〜260℃の範囲でJIS−K7121で測定したガラス転移温度(Tg)が観測できない(存在しない)樹脂、いわゆるTgレスの樹脂としておけば、さらに耐熱性が向上するので好ましい。
特にTgレスで、かつエポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂とし、中でもエポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂としておけば、耐熱性の点で万全である。
尚、上記効果は、上記光輝性樹脂ペレット製造時だけではなく、例えば樹脂ペレットとグリッターをミキサーやブレンダー等で混合し、その後適宜の温度に加熱して溶融状態としたものをそのまま射出成型するなど、本発明の耐熱グリッターを樹脂成型品製造時に使用する場合にも同様の効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の耐熱グリッター、及び光輝性樹脂ペレットの特徴及び効果は上記の通りである。
以下、まず本発明のグリッターにおける積層体について詳述する。
【0011】
従来のグリッターにおける積層体の一般的な構成としては、
プラスチックフイルムの片面に金属薄膜層、及び金属薄膜層の片面又は両面にアンカー樹脂層やトップ樹脂層が適宜組み合わされて形成された下記(ア)〜(ウ)、プラスチックフイルムの片面に金属薄膜層、及び金属薄膜層の片面又は両面にアンカー樹脂層やトップ樹脂層が適宜組み合わされて形成されたものを接着層を介して、プラスチックフイルム、あるいは別途プラスチックフイルムの片面に金属薄膜層、及び金属薄膜層の片面又は両面にアンカー樹脂層やトップ樹脂層が適宜組み合わされて形成されたものと貼り合わせた下記(エ)〜(サ)が例示できる。
(ア)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層
(イ)プラスチックフイルム/金属薄膜層/トップ樹脂層
(ウ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層
(エ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/接着層/プラスチックフイルム
(オ)プラスチックフイルム/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/プラスチックフイルム
(カ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/プラスチックフイルム
(キ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/接着層/金属薄膜層/アンカー樹脂層/プラスチックフイルム
(ク)プラスチックフイルム/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/トップ樹脂層/金属薄膜層/プラスチックフイルム
(ケ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/トップ樹脂層/金属薄膜層/アンカー樹脂層/プラスチックフイルム
(コ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/金属薄膜層/アンカー樹脂層/プラスチックフイルム
(サ)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/トップ樹脂層/金属薄膜層/プラスチックフイルム
その他、アンカー樹脂層やトップ樹脂層と金属薄膜層間との密着性を向上するなどの目的で、上記(ア)〜(サ)のアンカー樹脂層、及び/又はトップ樹脂層と、金属薄膜層との間に樹脂からなるプライマー層を形成した構成の積層体も例示できる。
【0012】
そして、本発明でいう積層体としては、上記(ア)〜(サ)に代表される従来の積層体に形成されているアンカー樹脂層、トップ樹脂層、接着層を適宜、耐熱性樹脂層に置換した構成のものが例示でき、例えば、
上記(ア)、(イ)、(エ)、(オ)、(キ)、(ク)のアンカー樹脂層又はトップ樹脂層を耐熱性樹脂層に置換した構成である、
(a)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層
(b)プラスチックフイルム/金属薄膜層/耐熱性樹脂層
(c)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/接着層/プラスチックフイルム
(d)プラスチックフイルム/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/プラスチックフイルム
(e)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/接着層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/プラスチックフイルム
(f)プラスチックフイルム/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/プラスチックフイルム
上記(ウ)のアンカー樹脂層及び/又はトップ樹脂層を耐熱性樹脂層に置換した構成である、
(g)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層
(h)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層
(i)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層
上記(カ)のアンカー樹脂層及び/又はトップ樹脂層を耐熱性樹脂層に置換した構成である、
(j)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/プラスチックフイルム
(k)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/プラスチックフイルム
(l)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/プラスチックフイルム
上記(ケ)のアンカー樹脂層及び/又はトップ樹脂層を耐熱性樹脂層に置換した構成である、
(m)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/トップ樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/プラスチックフイルム
(n)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/アンカー樹脂層/プラスチックフイルム
(o)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/プラスチックフイルム
上記(コ)、(サ)のアンカー樹脂層及び/又はトップ樹脂層を耐熱性樹脂層に置換した構成である、
(p)プラスチックフイルム/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/トップ樹脂層/接着層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/プラスチックフイルム
(q)プラスチックフイルム/アンカー樹脂層/金属薄膜層/耐熱性樹脂層/接着層/耐熱性樹脂層/金属薄膜層/プラスチックフイルム
さらに、上記(a)〜(q)の接着層をそれぞれ、上記耐熱性樹脂層と同じ樹脂からなり接着性を有する耐熱性樹脂層で置換した構成としたものも例示できる。
尚、本発明の耐熱グリッターは金属薄膜層の少なくとも片面には、耐熱性樹脂層が直接接して形成されている必要があるため、金属薄膜層の片面に耐熱性樹脂層が形成されている場合に該両層間にプライマー層を形成した構成の積層体、金属薄膜層の両面に耐熱性樹脂層が形成されている場合に耐熱性樹脂層と金属薄膜層との間に何れもプライマー層を形成した構成の積層体は本発明における積層体としては除かれる。
【0013】
前記の通り、本発明の耐熱グリッターは、光輝性樹脂ペレット製造時に溶融状態の樹脂の温度が200℃以上の高温となっても、プラスチックフイルムや耐熱性樹脂層以外の層は溶融してしまう場合があるが、そのような場合であっても耐熱性樹脂層は溶融してしまうこともなく、金属薄膜層の支えとして存在し続けるため、耐熱性樹脂層と金属薄膜層が直接接した積層状態を維持できる(金属薄膜層のみが単独で存在することとならない)。
従って、溶融状態の樹脂の温度が200℃未満のときと同様、金属薄膜層が熱により受けるダメージはほとんどなく、その結果、本発明の耐熱グリッターが熱により金属光沢が変化しない優れた耐熱性を有するものとなるばかりか、本発明の耐熱グリッターを使用して得る光輝性樹脂ペレットもやはり光輝性を維持できるものとなる。
【0014】
上記説明の通り、耐熱性樹脂層が金属薄膜層の支えとなり金属薄膜層を熱から保護する役割を果たしてくれるため、本発明の耐熱グリッターに使用するプラスチックフイルムとしては、優れた耐熱性までは必要なく、ポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリアミドフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンフイルム、アクリルフイルム、フッ素フイルム、ポリアミドフイルム、ポリアミドイミドフイルム、ポリカーボネートフイルム等の従来公知のプラスチックフイルムが使用できる。
【0015】
プラスチックフイルムの厚さは、6〜50μmが好ましい。
プラスチックフイルムの厚さが、6μmより薄いと積層体の製造時にしわが発生したり、積層体を所望の幅にカットし難くなるので好ましくない。
プラスチックフイルムの厚さが、50μmより厚いと、本発明の耐熱グリッターが硬くなり、該耐熱グリッターを使用して得る本発明の光輝性樹脂ペレットを原料に製造した成型品表面に、該耐熱グリッターが存在すると成型品表面がざらざらしてしまい、成型品の種類によっては使用できない場合があるため好ましくない。
【0016】
本発明の耐熱グリッターに形成される金属薄膜層は、該耐熱グリッター、及びそれを使用して得る本発明の光輝性樹脂ペレットに、金属光沢を付与するものである。
金属薄膜層は、金属光沢を付与できる金属薄膜層であれば特に制限はなく、アルミニウム薄膜層、銀薄膜層、銅薄膜層、ニッケル薄膜層、クロム薄膜層、スズ薄膜層等が使用できる。
金属薄膜層を銀薄膜層や銅薄膜層とした場合には、本発明の耐熱グリッター、及び光輝性樹脂ペレットが抗菌性を有するものとなるばかりか、本発明の光輝性樹脂ペレットを使用して製造した成型品にも抗菌性を付与することができる。
【0017】
金属薄膜層の厚さは、金属薄膜層の種類や所望の金属光沢により適宜決定すればよいが、大よそ30〜100nmが好ましい。
金属薄膜層の厚さが、30nmより薄いと本発明の耐熱グリッターに金属光沢を付与することができず、本発明の耐熱グリッターを使用して得る本発明の光輝性樹脂ペレットも光輝性を呈することができないため好ましくない。
金属薄膜層の厚さが、100nmより厚くても、100nm以下の場合と比較して金属光沢が良好となることはなく、かえってコストが高くなるので好ましくない。
【0018】
金属薄膜層は、抵抗加熱方式や誘導加熱方式による真空蒸着法、スパッタ蒸着法、EB蒸着法、CVD法等の従来公知の薄膜形成方法が使用できる。
【0019】
本発明の耐熱グリッターに形成される耐熱性樹脂層は、光輝性樹脂ペレット製造時の溶融状態の樹脂に本発明の耐熱グリッターを混入した際に、金属薄膜層の支えとなり金属薄膜層を該樹脂の熱から保護し、金属薄膜層が本来有する金属光沢を維持するものである。
従って、耐熱性樹脂層は金属薄膜層の少なくとも片面には形成されている必要がある。
【0020】
耐熱性樹脂層の樹脂は、ポリマー樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるシリカハイブリッド樹脂である必要がある。
ここで、ポリアルコキシシロキサンとは、O(Si(R)(OCH)O)nCHの化学式で代表されるものであり、Rは例えば、CH、C、OCH、OC等を挙げることできる。
ここで、ポリマー樹脂とは、上記ポリアルコキシシロキサンと重合可能な樹脂であれば特に制限はなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂をいう。
【0021】
耐熱性樹脂層の樹脂を上記シリカハイブリッド樹脂とし、かつ金属薄膜層の少なくとも片面には、耐熱性樹脂層を直接接して形成することにより、本発明の耐熱グリッターが前記優れた耐熱性を有するものとなる。
【0022】
上記耐熱性樹脂層の樹脂を、エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂とし、中でも該エポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂としておけば、本発明の耐熱グリッターの耐熱性がより向上するので好ましい。
また、耐熱性樹脂層に使用する樹脂を、少なくとも0〜260℃の範囲でJIS−K7121で測定したガラス転移温度(Tg)が観測できない(存在しない)樹脂、いわゆるTgレスの樹脂としておけば、さらに耐熱性が向上するので好ましい。
特にTgレスで、かつエポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂とし、中でもエポキシ樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂としておけば、耐熱性の点で万全である。
【0023】
耐熱性樹脂層は、前記の通り金属薄膜層の少なくとも片面と直接接して形成されている必要があるが、その形成位置は前記の通り、金属薄膜層のプラスチックフイルム側又は接着層側の何れかあるいは両方に形成してもよく、また接着層を前記耐熱性樹脂層と同じ樹脂からなり接着性を有する耐熱性樹脂層として形成してもよい。
耐熱性の点からは、耐熱性樹脂層は金属薄膜層の両面に直接接して形成されている方がより好ましい。
【0024】
耐熱性樹脂層の厚さは、所望の耐熱性、上記形成位置等の点により適宜決定すればよいが、大よそ0.5〜10μmが好ましい。
耐熱性樹脂層の厚さが、0.5μmより薄いと本発明の耐熱グリッターが所望の耐熱性を有することができないので好ましくない。
耐熱性樹脂層の厚さが、10μmより厚くても10μm以下の場合と比較して耐熱性が向上することはなく、かえってコストが高くなるので好ましくない。
【0025】
耐熱性樹脂層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等従来公知のコーティング方法が使用できる。
【0026】
耐熱性樹脂層以外の樹脂層、例えば、前記アンカー樹脂層、トップ樹脂層、接着層に使用する樹脂としては、一般的に金属薄膜層のアンカー樹脂層やトップ樹脂層として使用される樹脂、あるいは接着層として使用される樹脂が使用でき、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂が使用できる。
【0027】
アンカー樹脂層、トップ樹脂層、及び接着層の厚さは、適宜決定すればよいが、アンカー樹脂層、トップ樹脂層は0.1〜2μm、接着層は1〜5μmが好ましい。
何れの厚さも上記範囲でないと、たとえ金属薄膜層に直接接して耐熱性樹脂層を形成したとしても、本発明のグリッターの耐熱性が悪くなる場合があるので好ましくない。
【0028】
本発明でいう耐熱グリッターは、上記詳述した積層体の砕片である。
上記積層体から本発明の耐熱グリッターを製造する方法としては、例えば、上記積層体を適宜の幅に細長くカット(スリット)して糸状にしたものを適宜の長さにカットする方法、ハンマーミル、ボールミル、ニーダー等を用いる破砕方法、トムソン刃による打抜き方法等を採用することができる。
【0029】
本発明の耐熱グリッターの大きさは、所望の用途や本発明の光輝性樹脂ペレットの大きさにより適宜決定すればよいが、大よそ厚さが6.5〜60μm、縦、横の長さが0.1〜1mm程度である。
【0030】
上記本発明の耐熱グリッターを溶融状態の樹脂に混入し、該溶融状態の樹脂を適宜の形状や大きさにカット、冷却すれば本発明の光輝性樹脂ペレットを得ることができる。
以下、本発明の光輝性樹脂ペレットについて詳述する。
【0031】
本発明の光輝性樹脂ペレットに使用する樹脂は、従来、樹脂成型品製造用の樹脂ペレットに使用する樹脂であれば特に制限はなく、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂の単独又はこれらを混合したものが使用できる。
【0032】
本発明の光輝性樹脂ペレットを製造するためには、まず上記樹脂を一旦、少なくとも180℃程度以上で溶融状態とし(樹脂の種類により温度は異なり、200以上の高温で溶融する場合もある)、該溶融状態の樹脂に本発明の耐熱グリッターを混入した後、攪拌、混合する。
上記溶融状態の樹脂と、本発明の耐熱グリッターを攪拌、混合するには公知の方法を採用することができ、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機等を用いて、溶融、攪拌、混合することができる。
【0033】
次に、上記の溶融状態の樹脂と本発明の耐熱グリッターが均一に分散されたものを、適宜の形状や大きさにカット、冷却して本発明の光輝性樹脂ペレットを製造する。
その方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、溶融状態でノズルから押出して排出し、ストランド状にしたものをストランドカッターによりカットしてペレット化する方法、溶融状態でノズルから押出して排出したものをホットカッターによりカットしてペレット化する方法、シート状に押出して排出したものをシートカッターによりカットしてペレット化する方法等が挙げられる。
あるいは、溶融状態のものを固化させてからカッターでカットしてもよい。
【0034】
光輝性樹脂ペレットの形状としては特に制限はなく、例えば、円柱状、直方状、球状等があげられる。
【0035】
また、光輝性樹脂ペレットの大きさには特に制限はなく、該樹脂ペレットの大きさがグリッターより小さくてグリッターを包含できないものや大きすぎて取り扱いが容易でないものでなければ特に問題はない。
【0036】
光輝性樹脂ペレット中の耐熱グリッター混入量は、耐熱グリッターの種類や大きさ、形状によって変わるので特に制限はなく、それらに応じて適宜選択すればよいが、樹脂の重量に対して、大よそ3〜10重量%の範囲が好ましい。
耐熱グリッターの混入量が3重量%より少なすぎると、本発明の光輝性樹脂ペレットが所望の光輝性を得ることができないばかりか、該光輝性樹脂ペレットを使用して得る樹脂成型品も所望の光輝性を充分に得ることができない場合があるので好ましくない。
また、耐熱グリッターの混入量が10重量%より多すぎると、10重量%以下の場合と比較して光輝性樹脂ペレットの光輝性が向上することはなく、かえって光輝性樹脂ペレットのコストが高くなるので好ましくない。
【0037】
以上の通り、本発明の光輝性樹脂ペレットは、金属光沢を有するグリッターが樹脂ペレット全体に均一に分散されることによる光輝性を呈する光輝性樹脂ペレットとなる。
【0038】
本発明の光輝性樹脂ペレットを使用して樹脂成型品を製造するには、本発明の光輝性樹脂ペレットを再度溶融状態とした後、射出成型機等を使用して成型すれば、所望の樹脂成型品を得ることができる。
【0039】
このとき、本発明の光輝性樹脂ペレットは、1種類だけで使用してもよく、また、2種類以上を混合して使用してもよく、さらに、必要に応じてグリッターの混入されていない樹脂ペレットと混合して使用する等、所望の光輝性を得るために、使用する光輝性樹脂ペレットの種類や量を適宜決定すればよく、その調整も容易にすることができる。
【0040】
尚、本発明の耐熱グリッターは、上記の通り、基本的には光輝性樹脂ペレットを製造するための材料として使用されるものであるが、樹脂成型品製造時の溶融状態の樹脂に直接混入して、使用しても構わない。
【実施例】
【0041】
<実施例1>
[耐熱グリッターの製造]
広幅、長尺で厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、Tgレス(0〜260℃の範囲でJIS−K7121で測定したガラス転移温度(Tg)が観測できない)で、かつビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂をグラビアコート法にてコーティングし、厚さ1.5μmの耐熱性樹脂層を形成し、耐熱性樹脂層上に、銀を真空蒸着法にて蒸着し、厚さ60nmの銀薄膜層を形成し、銀薄膜層上に、ポリエステル樹脂とイソシアネートとからなる樹脂をグラビアコート法にてコーティングして厚さ0.1μmのトップ樹脂層を形成したもの同士を、トップ樹脂層面側を内側にして、エポキシ樹脂からなる厚さ1.5μmの接着層を介して貼り合わせて、厚さ約29μmの積層体を得た。
上記積層体を、縦横それぞれ0.15mmになるよう断裁して実施例1に係る本発明の耐熱グリッターを得た。
【0042】
<実施例2〜4>
[光輝性樹脂ペレットの製造]
上記実施例1の本発明の耐熱グリッターを、ポリプロピレン樹脂に対して5重量%混入し、ミキサーにて混合したものを加熱し、ポリプロピレン樹脂の温度を180℃として溶融状態とした後、ノズルから押し出してカット、冷却し、円柱状の実施例2に係る本発明の光輝性樹脂ペレットを得た。
ポリプロピレン樹脂の温度を200℃、250℃としたこと以外は実施例2と同様にして、それぞれ実施例3、及び実施例4に係る本発明の光輝性樹脂ペレットを得た。
【0043】
<実施例5>
[耐熱グリッターの製造]
広幅、長尺で厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、Tgレス(0〜260℃の範囲でJIS−K7121で測定したガラス転移温度(Tg)が観測できない)で、かつビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂をグラビアコート法にてコーティングし、厚さ1.5μmの耐熱性樹脂層を形成し、耐熱性樹脂層上に、銀を真空蒸着法にて蒸着し、厚さ60nmの銀薄膜層を形成し、銀薄膜層上に、上記エポキシ−シリカハイブリッド樹脂をグラビアコート法にてコーティングし、厚さ1.5μmの耐熱性樹脂層を形成して、厚さ約53μmの積層体を得た。
上記積層体を、縦横それぞれ0.15mmになるよう断裁して実施例5に係る本発明の耐熱グリッターを得た。
【0044】
<実施例6〜8>
[光輝性樹脂ペレットの製造]
上記実施例5の本発明の耐熱グリッターを、ポリプロピレン樹脂に対して10重量%混入し、ミキサーにて混合したものを加熱し、ポリプロピレン樹脂の温度を180℃として溶融状態とした後、ノズルから押し出してカット、冷却し円柱状の実施例6に係る本発明の光輝性樹脂ペレットを得た。
ポリプロピレン樹脂の温度を200℃、250℃としたこと以外は実施例6と同様にして、それぞれ実施例7、及び実施例8に係る本発明の光輝性樹脂ペレットを得た。
【0045】
<実施例9>
[耐熱グリッターの製造]
広幅、長尺で厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、Tgレス(0〜260℃の範囲でJIS−K7121で測定したガラス転移温度(Tg)が観測できない)で、かつビスフェノールA型エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂をグラビアコート法にてコーティングし、厚さ1.5μmの耐熱性樹脂層を形成し、耐熱性樹脂層上に、銀を真空蒸着法にて蒸着し、厚さ60nmのアルミニウム薄膜層を形成したもののアルミニウム薄膜層面と、広幅、長尺で厚さ12μmの他のポリエチレンテレフタレートフイルムとを、エポキシ樹脂からなる厚さ1.5μmの接着層を介して貼り合わせて、厚さ約27μmの積層体を得た。
上記積層体を、縦横それぞれ0.15mmになるよう断裁して実施例9に係る本発明の耐熱グリッターを得た。
【0046】
<実施例10〜12>
[光輝性樹脂ペレットの製造]
上記実施例9の本発明の耐熱グリッターを、ポリプロピレン樹脂に対して5重量%混入し、ミキサーにて混合したものを加熱し、ポリプロピレン樹脂の温度を180℃として溶融状態とした後、ノズルから押し出してカット、冷却し、円柱状の実施例10に係る本発明の光輝性樹脂ペレットを得た。
ポリプロピレン樹脂の温度を200℃、250℃としたこと以外は実施例10と同様にして、それぞれ実施例11、及び実施例12に係る本発明の光輝性樹脂ペレットを得た。
【0047】
<比較例1>
[グリッターの製造]
実施例1に係る本発明の耐熱グリッターの耐熱性樹脂層に替えて、ポリエステル樹脂をグラビアコート法にてコーティングして厚さ1.5μmのアンカー樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るグリッターを得た。
【0048】
<比較例2〜4>
[光輝性樹脂ペレットの製造]
上記実施例1に係る本発明の耐熱グリッターに替えて、比較例1に係るグリッターを使用した以外は、実施例2〜4と同様にして、比較例2〜4に係る光輝性樹脂ペレットを得た。
【0049】
<比較例5>
[グリッターの製造]
実施例5に係る本発明の耐熱グリッターの耐熱性樹脂層に替えて、ポリエステル樹脂をグラビアコート法にてコーティングして厚さ1.5μmのアンカー樹脂層、及び厚さ1.5μmのトップ樹脂層を形成した以外は実施例5と同様にして、比較例5に係るグリッターを得た。
【0050】
<比較例6〜8>
[光輝性樹脂ペレットの製造]
上記実施例5に係る本発明の耐熱グリッターに替えて、比較例5に係るグリッターを使用した以外は、実施例6〜8と同様にして、比較例6〜8に係る光輝性樹脂ペレットを得た。
【0051】
<比較例9>
[グリッターの製造]
実施例9に係る本発明の耐熱グリッターの耐熱性樹脂層に替えて、ポリエステル樹脂をグラビアコート法にてコーティングして厚さ1.5μmのアンカー樹脂層を形成した以外は実施例9と同様にして、比較例9に係るグリッターを得た。
【0052】
<比較例10〜12>
[光輝性樹脂ペレットの製造]
上記実施例9に係る本発明の耐熱グリッターに替えて、比較例9に係るグリッターを使用した以外は、実施例10〜12と同様にして、比較例10〜12に係る光輝性樹脂ペレットを得た。
【0053】
上記実施例2〜4、6〜8、10〜12に係る本発明の光輝性樹脂ペレット、及び比較例2〜4、6〜8、10〜12に係る光輝性樹脂ペレットについて、下記の耐熱性試験を行い性能を比較した。
【0054】
[耐熱性試験]
(評価方法)
本発明の実施例1に係る耐熱グリッターと実施例2〜4に係る本発明の光輝性樹脂ペレット中の実施例1に係る耐熱グリッターの金属光沢の変化、本発明の実施例5に係る耐熱グリッターと実施例6〜8に係る本発明の光輝性樹脂ペレット中の実施例5に係る耐熱グリッターの金属光沢の変化、本発明の実施例9に係る耐熱グリッターと実施例10〜12に係る本発明の光輝性樹脂ペレット中の実施例9に係る耐熱グリッターの金属光沢の変化、比較例1に係る耐熱グリッターと比較例2〜4に係る光輝性樹脂ペレット中の比較例1に係る耐熱グリッターの金属光沢の変化、比較例5に係る耐熱グリッターと比較例6〜8に係る光輝性樹脂ペレット中の比較例5に係る耐熱グリッターの金属光沢の変化、比較例9に係る耐熱グリッターと比較例10〜12に係る光輝性樹脂ペレット中の比較例9に係る耐熱グリッターの金属光沢の変化をそれぞれ目視にて観察した。
【0055】
(評価結果)
◎:金属光沢に全く変化がなかったもの
○:銀薄膜層、又はアルミニウム薄膜層に少しクラックが生じ、金属光沢がわずかに低下したもの
△:銀薄膜層、又はアルミニウム薄膜層にかなりクラックが生じ、金属光沢が相当低下したもの
×:金属光沢が消失したもの
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、プラスチックフイルム、金属薄膜層、及び樹脂からなる耐熱性樹脂層がそれぞれ1層以上形成された積層体の砕片であるグリッターにおいて、下記条件を満足することを特徴とする耐熱グリッター。
(A)耐熱性樹脂層の樹脂が、ポリマー樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるシリカハイブリッド樹脂である
(B)金属薄膜層の少なくとも片面には、耐熱性樹脂層が直接接して形成されている
【請求項2】
耐熱性樹脂層の樹脂が、エポキシ樹脂とポリアルコキシシロキサンとからなるエポキシ−シリカハイブリッド樹脂である請求項1記載の耐熱グリッター。
【請求項3】
エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1又は2記載の耐熱グリッター。
【請求項4】
請求項1〜3何れかに記載の耐熱グリッターを樹脂に混入したことを特徴とする光輝性樹脂ペレット。

【公開番号】特開2011−32313(P2011−32313A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177459(P2009−177459)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000156042)株式会社麗光 (33)
【Fターム(参考)】