説明

耐熱老化性ポリアミド

A)熱可塑性ポリアミド10〜98質量%、b)高度に分岐したメラミンポリマー又はメラミン尿素ポリマー又はそれらの混合物0.01〜20質量%、C)更なる添加剤0〜70質量%を含有する熱可塑性成形材料であって、その際、成分A)〜C)の質量パーセントの合計は100%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、
A)熱可塑性ポリアミド10〜98質量%、
b)高度に分岐したメラミンポリマー又はメラミン尿素ポリマー又はそれらの混合物0.01〜20質量%、
C)更なる添加剤0〜70質量%
を含有する熱可塑性成形材料に関し、その際、成分A)〜C)の質量パーセントの合計は100%である。
【0002】
さらに、本発明は、任意の種類の繊維、フィルム及び成形体を製造するための本発明による成形材料の使用、並びにこの際に得られる成形体に関する。
【0003】
熱可塑性ポリアミド、例えばPA 6及びPA 66は、ガラス繊維強化された成形材料の形で、その寿命の間ずっと、高められた温度に曝されている建材用の構造材料として頻繁に用いられており、その際、熱酸化による損傷が生じる。公知の熱安定剤の添加によって、たしかに、熱酸化による損傷の発生は先に延ばされることができるが、しかし、持続的に防がれることはできず、例えばこれは機械的特性値が低下する形となって現れる。ポリアミドの耐熱老化性(WAB)の改善は非常に望まれており、それというのもこれによって、熱負荷を受けた建材のより長期の寿命が達成されることができるか若しくはその破損リスクが下げられることができるからである。選択的に、改善されたWABは、より高温での建材の使用も可能にすることができる。
【0004】
ポリアミド中での元素状鉄粉の使用は、WO2006/074912及びWO2005/007727から公知である。
【0005】
EP−A1846506からは、ポリアミド用にCu含有安定剤と酸化鉄との組合せ物が公知である。
【0006】
耐熱老化性は、公知の成形材料において、殊により長期の熱負荷期間にわたっては、依然として不十分である。
【0007】
高度に分岐しているメラミンポリマー又はメラミン尿素ポリマーは、例えば、WO2000/17171、WO2009/080787、WO2009/27186、WO2008/148766及びEP−A240867の方法に従って製造される。
【0008】
これらは、通常、接着促進剤、チキソトロピー添加剤、レオロジー添加剤、表面改質剤として、及び、塗料、コーティング、粘着剤、シーラント、注型エラストマー又はフォームを製造するための構成成分として用いられる。
【0009】
それゆえ、本発明は、改善されたWAB及び熱老化後の良好な表面並びに良好な機械的特性を有する熱可塑性ポリアミド成形材料を提供するという課題に基づいていた。
【0010】
それに応じて、冒頭で定義した成形材料を見出した。有利な実施形態は、従属請求項から読み取ることができる。
【0011】
成分A)として、本発明による成形材料は、少なくとも1種のポリアミド10〜98質量%、好ましくは20〜94.9質量%、殊に25〜89質量%を含有する。
【0012】
本発明による成形材料のポリアミドは、一般的に、ISO 307により25℃で96質量%硫酸中での0.5質量%溶液中で測定して、90〜350ml/g、好ましくは110〜240ml/gの粘度数を有する。
【0013】
例えば米国特許文献2071250、2071251、2130523、2130948、2241322、2312966、2512606及び3393210に記載されるような、少なくとも5,000の分子量(重量平均値)を有する半結晶性の若しくは非晶質の樹脂が有利である。
【0014】
これらに関する例は、7〜13個の環員を有するラクタムから誘導されるポリアミド、例えばポリカプロラクタム、ポリカプリルラクタム及びポリラウリンラクタム並びにジカルボン酸とジアミンとの反応によって得られるポリアミドである。
【0015】
ジカルボン酸として、炭素原子6〜12個、殊に6〜10個を有するアルカンジカルボン酸並びに芳香族ジカルボン酸が使用可能である。ここでは、単にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及びテレフタル酸及び/又はイソフタル酸が酸として挙げられる。
【0016】
ジアミンとして、特に、炭素原子6〜12個、殊に6〜8個を有するアルカンジアミン並びにm−キシリレンジアミン(例えばBASF SEのUltramid(R)X17、MXDAとアジピン酸とのモル比は1:1である)、ジ−(4−アミノフェニル)メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)プロパン又は1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンが適している。
【0017】
有利なポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド、ポリヘキサメチレンセバシン酸アミド及びポリカプロラクタム並びにコポリアミド6/66、殊にカプロラクタム単位5〜95質量%の割合を有するものである(例えばBASF SEのUltramid(R)C31)。
【0018】
さらに適したポリアミドは、例えばDE−A10313681、EP−A1198491及びEP922065に記載されたように、ω−アミノアルキルニトリル、例えばアミノカプロニトリル(PA 6)及びアジポジニトリルとヘキサメチレンジアミン(PA 66)から、いわゆる直接重合によって水の存在下で得られる。
【0019】
そのうえ、例えば、1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との高温下での縮合によって得られるポリアミド(ポリアミド4,6)も言及される。この構造のポリアミドの製造方法が、例えばEP−A38094、EP−A38582及びEP−A39524に記載されている。
【0020】
さらに、前述のモノマーの2種以上の共重合によって得られるポリアミド、又は複数種のポリアミドの混合物も適しており、その際、混合比は任意である。特に有利なのは、ポリアミド66と、他のポリアミド、殊にコポリアミド6/66との混合物である。
【0021】
さらに、係る部分芳香族コポリアミド、例えばPA 6/6T及びPA 66/6Tが特に好ましいと判明しており、それらのトリアミン含有率は0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満である(EP−A299444を参照されたい)。更なる耐高温性ポリアミドは、EP−A1994075から公知である(PA 6T/6I/MXD6)。
【0022】
低いトリアミン含有率を有する有利な部分芳香族コポリアミドの製造は、EP−A129195及び129196に記載された方法に従って行われることができる。
【0023】
次の包括的ではないリストは、本発明に従って挙げられたポリアミドA)並びに更なるポリアミドA)及び含有されたモノマーを含む。
【0024】
AB−ポリマー:
PA 4 ピロリドン
PA 6 ε−カプロラクタム
PA 7 エタノラクタム
PA 8 カプリルラクタム
PA 9 9−アミノペラルゴン酸
PA 11 11−アミノウンデカン酸
PA 12 ラウリルラクタム
AA/BB−ポリマー:
PA 46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA 66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA 69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA 610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA 612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA 1212 1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 1313 1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸
PA 6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m−キシリレンジアミン、アジピン酸
AA/BB−ポリマー:
PA 6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA 6−3−T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 6/6T (PA6及びPA6Tを参照されたい)
PA 6/66 (PA6及びPA66を参照されたい)
PA 6/12 (PA6及びPA12を参照されたい)
PA 66/6/610 (PA66、PA6及びPA610を参照されたい)
PA 6I/6T (PA6I及びPA6Tを参照されたい)
PA PACM 12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウリンラクタム
PA 6I/6T/PACM 例えばPA 6I/6T+ジアミノジシクロヘキシルメタン
PA 12/MACMI ラウリンラクタム、ジメチル−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA 12/MACMT ラウリンラクタム、ジメチル−ジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA−T フェニレンジアミン、テレフタル酸。
【0025】
成分B)として、本発明による成形材料は、高度に分岐したメラミンポリマー又はメラミン尿素ポリマー又はそれらの混合物0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜5質量%、かつ殊に0.1〜2質量%を含有する。
【0026】
高度に分岐したポリマーB)は、本発明の範囲内では、構造的にも分子的にも均一でない高分子と解される。反応操作に応じて、該ポリマーB)は、一方では、デンドリマーに類似して中心分子から出発して、しかしながら、枝の均一でない鎖長でもって構成されていてよい。他方で、該ポリマーB)は、線状分子から出発し、かつ分岐した側方の官能基でもって構成されていてよい。"高度に分岐した"は、本発明の範囲内では、そのうえ、分岐度(枝分かれ度、DB)が10〜99.9%、有利には20〜99%、殊に20〜95%であることを意味する。分岐度は、樹枝状結合の平均数+分子当たりの末端基の平均数を、樹枝状結合の平均数、線状結合の平均数及び末端基の平均数からの合計で割って100を掛けたものと解される。"樹枝状"は、この文脈内では、分子中のこの箇所での分岐度が99.9〜100%であることと解される。"分岐度"の定義については、H.Frey et al.,Acta Polym.1997,48,30も参照される。
【0027】
"実質的に架橋していない"又は"非架橋"は、本発明に従って、成分B)の架橋度が15質量%未満、好ましくは10質量%未満であることを意味しており、その際、該架橋度は、ポリマーの不溶性割合を使って測定される。
【0028】
ポリマーB)の不溶性割合は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に使用されるのと同じ溶媒、すなわち、好ましくはジメチルアセトアミド又はヘキサフルオロイソプロパノールを用いて、どの溶媒にポリマーB)がより可溶性であるのかに応じて、ソクスレー装置中での4時間の抽出と、恒量になるまで残留物を乾燥した後の残った残留物の秤量とによって測定される。
【0029】
本発明によるポリマーB)は、好ましくは1000〜40000、特に有利には1500〜30000、殊に2000〜20000g/モルの数平均分子量Mnを有する。重量平均分子量Mwは、好ましくは1500〜150000、特に有利には最大でも100000、もっと有利には最大でも60000、殊に最大でも40000である。多分散性(PD=MwとMnからの商)は、好ましくは少なくとも1.1、特に有利には少なくとも1.5、殊に少なくとも2である。
【0030】
本発明の範囲内で分子量(Mn、Mw)と多分散性について記したデータは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて溶媒としてのヘキサフルオロイソプロパノール中で、PMMA較正でもって生じる値に関係している。
【0031】
成分B)のアミン価は、好ましくは100〜900、殊に200〜800、極めて有利には300〜700mg KOH/g(DIN 53176)である。
【0032】
本発明による成分B)は、WO2009/080787の方法により
(i)尿素及び/又は少なくとも1種の尿素誘導体;
(ii)メラミン;及び
(iii)少なくとも1種のアミン、その際、該少なくとも1種のアミンは、
(iii.1)成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のジアミン又はポリアミン20〜100モル%、
(iii.2)成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、少なくとも3個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のポリアミン;及び
(iii.3)成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、1個のアミノ基を有する少なくとも1種のアミン0〜80モル%を包含する;及び
(iv)場合により、ベンゾグアナミン、置換メラミン及びメラミン縮合物の中から選択されている少なくとも1種のメラミン誘導体
の反応によって得られる。
【0033】
メラミンポリマーが成分B)として用いられる場合、これらも同じように製造されることができ、その際、成分(i)は無くても済み、すなわち、供給原料は、成分(i)を除いて同一である。
【0034】
他の説明がなければ、本発明の範囲内では、次の一般的な定義が当てはめられる:
【0035】
1〜C4−アルキルは、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝状のアルキル基である。これらは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル及びt−ブチルである。
【0036】
線状C1〜C4−アルキルは、炭素原子1〜4個を有する線状アルキル基である。これらは、メチル、エチル、n−プロピル及びt−ブチルである。
【0037】
1〜C12−アルキルは、炭素原子1〜12個を有する線状又は分枝状のアルキル基である。これらに関する例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、2−プロピルヘプチル、4−メチル−2−プロピルヘキシル、ウンデシル、ドデシル及びそれらの構造異性体である。
【0038】
アリールは、炭素原子6〜14個を有する炭素環芳香族基、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル又はフェナントレニルである。好ましくは、アリールは、フェニル又はナフチルであり、かつ殊にフェニルである。
【0039】
アリール−C1〜C4−アルキルは、上で定義したようなC1〜C4−アルキルであり、その際、水素原子がアリール基によって置き換えられている。例は、ベンジル、フェネチル等である。
【0040】
1〜C4−アルキレンは、炭素原子1、2、3又は4個を有する線状又は分枝状のアルキル基である。例は、−CH2−、CH2CH2−、−CH(CH3)−、CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−、−C(CH32−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH3)−、−C(CH32CH2−、−CH2C(CH32−及び−CH2CH2CH2CH2CH2−である。
【0041】
線状又は分枝状のC2〜C5−アルキレンは、炭素原子2、3、4又は5個を有する線状又は分枝状の二価のアルキル基である。例は、−CH2CH2−、CH2(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−、−C(CH32−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH3)−、−C(CH32CH2−、−CH2C(CH32−及び−CH2CH2CH2CH2CH2−である。
【0042】
線状又は分枝状のC4〜C8−アルキレンは、炭素原子4〜8個を有する線状又は分枝状の二価のアルキル基である。例は、−CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH3)−、−C(CH32CH2−、−CH2C(CH32−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2C(CH32CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、−(CH27−、−(CH28−及びその位置異性体である。
【0043】
線状又は分枝状のC2〜C10−アルキレンは、炭素原子2〜10個を有する線状又は分枝状の二価のアルキル基である。例は、C2〜C5−アルキレンの所で前述した基に加えて、炭素原子6〜10個を有する高級同族体、例えばヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン及びデシレンである。
【0044】
線状又は分枝状のC2〜C20−アルキレンは、炭素原子2〜20個を有する線状又は分枝状の二価のアルキル基である。例は、C2〜C5−アルキレンの所で前述した基に加えて、炭素原子6〜20個を有する高級同族体、例えばヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン及びエイコシレンである。
【0045】
アルケニレンは、例えば炭素原子2〜20個又は2〜10個又は4〜8個を有する、線状又は分枝状の脂肪族モノオレフィン系又はポリオレフィン系、例えばモノオレフィン系又はジオレフィン系の不飽和二価基である。該基が、1つより多い炭素−炭素二重結合を含有する場合には、これらは、好ましくはビシナル型ではなく、すなわちアレン型ではない。
【0046】
アルキニレンは、例えば炭素原子2〜20個又は2〜10個又は4〜8個を有し、1つ又は複数の、例えば1つ又は2つの炭素−炭素三重結合を含有する、線状又は分枝状の脂肪族二価基である。
【0047】
5〜C8−シクロアルキレンは、炭素原子環員5〜8個を有する二価の単環式飽和炭化水素基を表す。例は、シクロペンタン−1,2−ジイル、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘプタン−1,2−ジイル、シクロヘプタン−1,3−ジイル、シクロヘプタン−1,4−ジイル、シクロオクタン−1,2−ジイル、シクロオクタン−1,3−ジイル、シクロオクタン−1,4−ジイル及びシクロオクタン−1,5−ジイルである。
【0048】
Nを介して結合し、かつ付加的に1個若しくは2個の更なる窒素原子又は1個の更なる硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい、5員又は6員の不飽和非芳香族複素環は、例えば、ピロリドン−1−イル、ピラゾリン−1−イル、イミダゾリン−1−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−3−イル、2,3−及び2,5−ジヒドロイソキサゾール−2−イル、2,3−ジヒドロチアゾール−3−イル、2,3−及び2,5−ジヒドロイソチアゾール−2−イル、[1,2,3]−1H−トリアゾリン−1−イル、[1,2,4]−1H−トリアゾリン−1−イル、[1,3,4]−1H−トリアゾリン−1−イル、[1,2,3]−2H−トリアゾリン−2−イル、1,2−ジヒドロピリジン−1−イル、1,4−ジヒドロピリジン−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン−1−イル、1,2−ジヒドロピリダジン−1−イル、1,4−ジヒドロピリダジン−1−イル、1,6−ジヒドロピリダジン−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロピリダジン−1−イル、1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−1−イル、1,2−ジヒドロピリミジン−1−イル、1,4−ジヒドロピリミジン−1−イル、1,6−ジヒドロピリミジン−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−1−イル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−1−イル、1,2−ジヒドロピラジン−1−イル、1,4−ジヒドロピラジン−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロピラジン−1−イル、1,4−オキサジン−4−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−オキサジン−4−イル、2,3,5,6−テトラヒドロ−1,4−オキサジン−4−イル、1,4−チアジン−4−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−チアジン−4−イル、2,3,5,6−テトラヒドロ−1,4−チアジン−4−イル、1,2−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン−1−イル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,3,5−トリアジン−1−イル等である。
【0049】
Nを介して結合し、かつ付加的に更なる窒素原子を環員として含有してよい、5員又は6員の不飽和芳香族複素環は、例えば、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル及びトリアゾール−1−イルである。
【0050】
第一級アミノ基は、−NH2基と解される。
【0051】
本発明による方法の有利な態様、殊に本発明により用いられたモノマー及び更なる反応成分並びに該方法により得られるポリマー並びに該ポリマーの使用について説明した事項は、単独でとってみても、殊に考えられる互いのすべての組合せにおいても通用する。
【0052】
成分(i)として、通常、尿素及び/又は尿素誘導体が用いられる。
【0053】
好ましくは、尿素誘導体は、
− 式R12N−C(=O)−NR34の置換尿素、その際、R1、R2、R3及びR4は、互いに無関係に、水素、C1〜C12−アルキル、アリール及びアリール−C1〜C4−アルキルの中から選択されているか、
又はR1及びR2並びに/若しくはR3及びR4は、それぞれ一緒になってC2〜C5−アルキレンを表すか、その際、メチレン基(すなわちアルキレン鎖中のCH2基)は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい、
又はR1及びR3は、一緒になってC2〜C5−アルキレンを表すか、その際、メチレン基(すなわちアルキレン鎖中のCH2基)は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい、
又はR1及びR2並びに/若しくはR3及びR4は、それぞれ、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の不飽和芳香族環若しくは不飽和非芳香族環を形成し、該環は、1個若しくは2個の更なる窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい(すなわち、R1及びR2若しくはR3及びR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介して結合した5員若しくは6員の不飽和芳香族環若しくは不飽和非芳香族環を表し、該環は、1個若しくは2個の更なる窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい);
その際、基R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは水素を表さない;
− チオ尿素;
− 式R56N−C(=S)−NR78の置換チオ尿素、その際、R5、R6、R7及びR8は、互いに無関係に、水素、C1〜C12−アルキル、アリール及びアリール−C1〜C4−アルキルの中から選択されているか、
又はR5及びR6並びに/若しくはR7及びR8は、それぞれ一緒になってC2〜C5−アルキレンを表すか、その際、メチレン基(すなわちアルキレン鎖中のCH2基)は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい、
又はR5及びR7は、一緒になってC2〜C5−アルキレンを表すか、その際、メチレン基(すなわちアルキレン鎖中のCH2基)は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい、
又はR5及びR6並びに/若しくはR7及びR8は、それぞれ、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の不飽和芳香族環若しくは不飽和非芳香族環を形成し、該環は、1個若しくは2個の更なる窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい(すなわち、R5及びR6若しくはR7及びR8は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介して結合した5員若しくは6員の不飽和芳香族環若しくは不飽和非芳香族環を表し、該環は、1個若しくは2個の更なる窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい);
その際、基R5、R6、R7及びR8の少なくとも1つは水素を表さない:
− グアニジン;
− 式R910N−C(=NR11)−NR1213の置換グアニジン、その際、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに無関係に、水素、C1〜C12−アルキル、アリール及びアリール−C1〜C4−アルキルの中から選択されているか、
又はR9及びR10並びに/若しくはR12及びR13は、それぞれ一緒になってC2〜C5−アルキレンを表すか、その際、メチレン基(すなわちアルキレン鎖中のCH2基)は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい、
又はR9及びR12は、一緒になってC2〜C5−アルキレンを表すか、その際、メチレン基(すなわちアルキレン鎖中のCH2基)は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい、
又はR9及びR10並びに/若しくはR12及びR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の不飽和芳香族環若しくは不飽和非芳香族環を形成し、該環は、付加的に更なる窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい(すなわち、R9及びR10若しくはR12及びR13は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Nを介して結合した5員若しくは6員の不飽和芳香族環若しくは不飽和非芳香族環を表し、該環は、1個若しくは2個の更なる窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子を環員として含有してよい);
その際、基R、R10、R11、R12及びR13の少なくとも1つは水素を表さない:
− 式R14−O−CO−O−R15の炭酸エステル、その際、R14及びR15は、互いに無関係に、C1〜C12−アルキル、アリール及びアリール−C1〜C4−アルキルの中から選択されているか、又はR14及びR15は、一緒になってC2〜C5−アルキレンを表す、
の中から選択されている。
【0054】
当然の事ながら、種々の尿素誘導体の混合物も用いられることができる。
【0055】
有利な実施形態において、置換尿素中でR2及びR4は水素を表し、かつR1及びR3は同じであるか又は異なっており、かつC1〜C12−アルキル、アリール又はアリール−C1〜C4−アルキルを表す。これらに関する例は、N,N'−ジメチル尿素、N,N'−ジエチル尿素、N,N'−ジプロピル尿素、N,N'−ジイソプロピル尿素、N,N'−ジ−n−ブチル尿素、N,N'−ジイソブチル尿素、N,N'−ジ−s−ブチル尿素、N,N'−ジ−t−ブチル尿素、N,N'−ジペンチル尿素、N,N'−ジヘキシル尿素、N,N'−ジヘプチル尿素、N,N'−ジオクチル尿素、N,N'−ジデシル尿素、N,N'−ジドデシル尿素、N,N'−ジフェニル尿素、N,N'−ジナフチル尿素、N,N'−ジトリル尿素、N,N'−ジベンジル尿素、N−メチル−N'−フェニル尿素及びN−エチル−N'−フェニル尿素である。
【0056】
選択的に有利な実施形態において、R1、R2、R3及びR4は同じであり、かつ線状C1〜C4−アルキルを表す。これらに関する例は、N,N,N',N'−テトラメチル尿素及びN,N,N',N'−テトラエチル尿素である。
【0057】
選択的に有利な実施形態において、R1及びR2並びにR3及びR4は、それぞれ一緒になってC2〜C5−アルキレンを表す;すなわち、R1及びR2は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成し、かつR3及びR4は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成する。これらに関する例は、ジ−(テトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−メタノン、ビス(ペンタメチレン)チオ尿素及びカルボニルビスカプロラクタムである。
【0058】
選択的に有利な実施形態において、R2及びR4は水素を表し、かつR1及びR3は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成し、その際、メチレン基は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい。これらに関する例は、エチレン尿素並びに1,2−プロピレン尿素又は1,3−プロピレン尿素である。
【0059】
選択的に有利な実施形態において、R1及びR2並びにR3及びR4は、それぞれ、それらが結合している窒素原子と一緒になって、上で定義したような不飽和芳香族複素環又は不飽和非芳香族複素環を形成する。これらに関する例は、カルボニルジピラゾール及びカルボニルジイミダゾールである。
【0060】
有利な実施形態において、置換チオ尿素中でR6及びR8は水素を表し、かつR5及びR7は同じであるか又は異なっており、かつC1〜C12−アルキル、アリール又はアリール−C1〜C4−アルキルを表す。これらに関する例は、N,N'−ジメチルチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素、N,N'−ジプロピルチオ尿素、N,N'−ジイソプロピルチオ尿素、N,N'−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N'−ジイソブチルチオ尿素、N,N'−s−ブチルチオ尿素、N,N'−ジ−t−ブチルチオ尿素、N,N'−ジペンチルチオ尿素、N,N'−ジヘキシルチオ尿素、N,N'−ジヘプチルチオ尿素、N,N'−ジオクチルチオ尿素、N,N'−ジデシルチオ尿素、N,N'−ジドデシルチオ尿素、N,N'−ジフェニルチオ尿素、N,N'−ジナフチルチオ尿素、N,N'−ジトリルチオ尿素、N,N'−ジベンジルチオ尿素、N−メチル−N'−フェニルチオ尿素及びN−エチル−N'−フェニルチオ尿素である。
【0061】
選択的に有利な実施形態において、R5、R6、R7及びR8は同じであり、かつ線状C1〜C4−アルキルを表す。これらに関する例は、N,N,N',N'−テトラメチルチオ尿素及びN,N,N',N'−テトラエチルチオ尿素である。
【0062】
選択的に有利な実施形態において、R5及びR6並びにR7及びR8は、それぞれ一緒になってC2〜C5−アルキレンを表す;すなわち、R5及びR6は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成し、かつR7及びR8は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成する。これらに関する例は、ジ−(テトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−メタノン、ビス(ペンタメチレン)尿素及びチオカルボニルビスカプロラクタムである。
【0063】
選択的に有利な実施形態において、R6及びR8は水素を表し、かつR5及びR7は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成し、その際、メチレン基は、場合によりチオカルボニル基によって置き換えられていてもよい。これらに関する例は、エチレンチオ尿素並びに1,2−プロピレンチオ尿素又は1,3−プロピレンチオ尿素である。
【0064】
選択的に有利な実施形態において、R5及びR6並びにR7及びR8は、それぞれ、それらが結合している窒素原子と一緒になって、上で定義したような不飽和芳香族複素環又は不飽和非芳香族複素環を形成する。これらに関する例は、チオカルボニルジピラゾール及びチオカルボニルジイミダゾールである。
【0065】
有利な実施形態において、置換グアニジン中でR10及びR13は水素を表し、かつR9及びR12は同じであるか又は異なっており、かつC1〜C12−アルキル、アリール又はアリール−C1〜C4−アルキルを表す。これらに関する例は、N,N'−ジメチルグアニジン、N,N'−ジエチルグアニジン、N,N'−ジプロピルグアニジン、N,N'−ジイソプロピルグアニジン、N,N'−ジ−n−ブチルグアニジン、N,N’−ジイソブチルグアニジン、N,N’−ジ−s−ブチルグアニジン、N,N’−ジ−t−ブチルグアニジン、N,N'−ジペンチルグアニジン、N,N'−ジヘキシルグアニジン、N,N'−ジヘプチルグアニジン、N,N'−ジオクチルグアニジン、N,N'−ジデシルグアニジン、N,N'−ジドデシルグアニジン、N,N'−ジフェニルグアニジン、N,N'−ジナフチルグアニジン、N,N'−ジトリルグアニジン、N,N'−ジベンジルグアニジン、N−メチル−N'−フェニルグアニジン及びN−エチル−N'−フェニルグアニジンである。
【0066】
選択的に有利な実施形態において、R9、R10、R12及びR13は同じであり、かつ線状C1〜C4−アルキルを表す。これらに関する例は、N,N,N',N'−テトラメチルグアニジン及びN,N,N',N'−テトラエチルグアニジンである。
【0067】
選択的に有利な実施形態において、R9及びR10並びにR12及びR13は、それぞれ一緒になってC2〜C5−アルキレンを表す;すなわち、R9及びR10は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成し、かつR12及びR13は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成する。これらに関する例は、ジ−(テトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−イミン、ビス(ペンタメチレン)グアニジン及びイミノビスカプロラクタムである。
【0068】
選択的に有利な実施形態において、R10及びR13は水素を表し、かつR9及びR12は、一緒になってC2〜C5−アルキレン基を形成し、その際、メチレン基は、場合によりカルボニル基によって置き換えられていてもよい。これらに関する例は、エチレングアニジン並びに1,2−プロピレングアニジン又は1,3−プロピレングアニジンである。
【0069】
選択的に有利な実施形態において、R9及びR10並びにR12及びR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子と一緒になって、上で定義したような不飽和芳香族複素環又は不飽和非芳香族複素環を形成する。これに関する例は、イミノジピラゾール及びイミノジイミダゾールである。
【0070】
有利な実施形態において、R14及びR15はC1〜C4−アルキルを表す。特に有利には、両方の基は同じである。これらに関する例は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジ−s−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネートである。これらの中で有利なのは、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートである。
【0071】
選択的に有利な実施形態において、R14及びR15は、一緒になってC2〜C5−アルキレンを表し、かつ好ましくはC2〜C3−アルキレンを表す。係るカーボネートに関する例は、エチレンカーボネート並びに1,2−プロピレンカーボネート及び1,3−プロピレンカーボネートである。
【0072】
上述の尿素誘導体の中で有利なのは、置換尿素、チオ尿素、置換チオ尿素及び炭酸エステルである。もっと有利なのは、置換尿素、チオ尿素及び炭酸エステルである。これらの中で有利なのは、チオ尿素、N,N'−ジメチル尿素、N,N'−ジエチル尿素、N,N'−ジ−n−ブチル尿素、N,N'−ジイソブチル尿素、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート及び1,2−プロピレンカーボネートである。
【0073】
しかしながら、有利には、成分(i)として尿素自体が、場合により前述の尿素誘導体との組合せにおいて使用され、かつ殊に尿素のみが使用される。
【0074】
メラミンポリマーの製造に、成分(i)は、出発原料として用いられない。
【0075】
少なくとも1種のアミン(iii)は、好ましくはもっぱら成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)からのみ構成されている;すなわち、これらの3つの成分の割合は、合計して成分(iii)100モル%となる。
【0076】
成分(iii.1)は、好ましくは、成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、30〜100モル%の量で、特に有利には50〜100モル%の量で、かつ殊に75〜100モル%の量で用いられる。
【0077】
成分(iii.2)は、好ましくは、成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、0〜40モル%の量で、特に有利には0〜30モル%の量で、かつ殊に0〜15モル%の量で用いられる。
【0078】
成分(iii.3)は、好ましくは、成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、0〜70モル%の量で、特に有利には0〜50モル%の量で、かつ殊に0〜25モル%の量で用いられる。
【0079】
成分(iii.2)が用いられる場合には、その使用量は、成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、好ましくは1〜50モル%、例えば5〜50モル%又は10〜50モル%、特に有利には1〜40モル%、例えば5〜40モル%又は10〜40モル%、もっと有利には1〜30モル%、例えば5〜30モル%又は10〜30モル%、かつ殊に1〜15モル%、例えば2〜15モル%又は5〜15モル%である。
【0080】
成分(iii.3)が用いられる場合には、その使用量は、成分(iii.1)、(iii.2)及び(iii.3)の全量を基準として、好ましくは1〜80モル%、例えば5〜80モル%又は10〜80モル%、特に有利には1〜70モル%、例えば5〜70モル%又は10〜70モル%、もっと有利には1〜50モル%、例えば5〜50モル%又は10〜50モル%、かつ殊に1〜25モル%、例えば5〜25モル%又は10〜25モル%である。
【0081】
成分(iii.1)は、ちょうど2個の第一級アミノ基(−NH2)を含有する。
【0082】
成分(iii.1)がポリアミンである場合には、これは、2個の第一級アミノ基(−NH2)と、そのうえ1個若しくは複数個の第二級アミノ基(−NHR;RはHではない)及び/又は第三級アミノ基(−NRR';R及びR'はHではない)、例えば1〜20個若しくは1〜10個若しくは1〜4個の第二級アミノ基及び/又は第三級アミノ基とを含有する。
【0083】
成分(iii.1)がジアミンである場合、これは、2個の第一級アミノ基のほかに更なるアミノ官能基を含有しない。
【0084】
成分(iii.1)のジアミン又はポリアミンは、好ましくは、式
NH2−A−NH2
[式中、
Aは、二価の脂肪族基、脂環式基、脂肪族/脂環式基、芳香族基若しくは芳香脂肪族基を表し、その際、前述の基はまた、カルボニル基によって若しくはスルホン基によって中断されていてもよく、かつ/若しくはC1〜C4−アルキルの中から選択されている1、2、3若しくは4個の基によって置換されていてもよい;又は式
【化1】

[式中、
Xは、O又はNRaを表し、その際、Raは、H、C1〜C4−アルキル、C2〜C4−ヒドロキシアルキル又はC1〜C4−アルコキシを表す;
Bは、C2〜C6−アルキレンを表す;及び
aは、1〜20の数を表す]の二価の基を表す]のアミンの中から選択されている。
【0085】
これらのアミンの混合物も適している。
【0086】
二価の脂肪族基は、脂環式、芳香族又は複素環式成分を含有しない基である。例は、アルキレン基、アルケニレン基及びアルキニレン基である。
【0087】
二価の脂環式基は、1個若しくは複数個の、例えば1個若しくは2個の脂環式基を含有してよい;しかしながら、それらは芳香族成分又は複素環式成分を含有しない。脂環式基は、脂肪族基によって置換されていてよく、その際、しかし、NH2基の両方の結合部は脂環式基にある。
【0088】
二価の脂肪族/脂環式基は、少なくとも1個の二価の脂肪族基のみならず、少なくとも1個の二価の脂環式基も含有してよく、その際、NH2基の2個の結合部は、両方とも脂環式基/複数の脂環式基にあるか又は両方とも脂肪族基/複数の脂肪族基にあるか又は一方が脂肪族基に、かつ他方が脂環式基にあるかのいずれかであってよい。
【0089】
二価の芳香族基は、1個若しくは複数個の、例えば1個若しくは2個の芳香族基を含有してよい;しかしながら、それらは脂環式成分又は複素環式成分を含有しない。芳香族基は、脂肪族基によって置換されていてよく、その際、しかし、NH2基の両方の結合部は芳香族基にある。
【0090】
二価の芳香脂肪族基は、少なくとも1個の二価の脂肪族基のみならず、少なくとも1個の二価の芳香族基も含有してよく、その際、NH2基の2個の結合部は、両方とも芳香族基/複数の芳香族基にあるか又は両方とも脂肪族基/複数の脂肪族基にあるか又は一方が脂肪族基に、かつ他方が芳香族基にあるかのいずれかであってよい。
【0091】
有利な実施形態において、二価の脂肪族基Aは、線状又は分枝状のC2〜C20−アルキレン、特に有利には線状又は分枝状のC2〜C10−アルキレン、かつ殊に線状又は分枝状のC4〜C8−アルキレンである。
【0092】
基Aがこの意味(C2〜C20−アルキレン)を有する適したアミンに関する例は、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン及び1,3−プロピレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。
【0093】
これらの中で有利なのは、Aが線状又は分枝状のC2〜C10−アルキレンを表すアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン及び1,3−プロピレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。
【0094】
これらの中で特に有利なのは、Aが線状又は分枝状のC4〜C8−アルキレンを表すアミン、例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。特別な実施形態において、Aが線状又は分枝状のC4〜C8−アルキレンを表すアミンが用いられ、その際、分枝状アルキレンでは、ある炭素原子からせいぜい1個の枝分かれが始まる。係るアミンに関する例は、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン及び1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、すなわち、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及び1,4−ジアミノ−4−メチルペンタンを除く、上で特に有利なものとして列挙されたアミンである。より特別には、Aが線状C4〜C8−アルキレンを表すアミン、例えば、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンが用いられる。
【0095】
有利な実施形態において、二価の脂環式基Aは、1、2、3又は4個のC1〜C4−アルキル基を有してよいC5〜C8−シクロアルキレンの中から選択されている。
【0096】
基Aがこの意味を有する適したアミンに関する例は、シクロペンチレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロペンタン又は1,3−ジアミノシクロペンタン、シクロヘキシレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジアミノシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、シクロヘプチレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロヘプタン、1,3−ジアミノシクロヘプタン又は1,4−ジアミノシクロヘプタン、及びシクロオクチレンジアミン、例えば1,2−ジアミノシクロオクタン、1,3−ジアミノシクロオクタン、1,4−ジアミノシクロオクタン又は1,5−ジアミノシクロオクタンである。アミノ基は、互いにシス位又はトランス位にあってよい。
【0097】
有利な実施形態において、二価の脂肪族/脂環式基Aは、C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレン、C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン及びC1〜C4−アルキレン−C5〜C8−シクロアルキレン−C1〜C4−アルキレンの中から選択されており、その際、シクロアルキレン基は、1、2、3又は4個のC1〜C4−アルキル基を有してよい。
【0098】
基Aがこの意味を有する適したアミンに関する例は、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、例えば1,1−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、3(4)アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン等である。脂環式基に結合した基は、互いにすべての任意の相対位置(シス/トランス)をとってよい。
【0099】
有利な実施形態において、二価の芳香族基Aは、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、フェニレン−スルホン−フェニレン及びフェニレン−カルボニル−フェニレンの中から選択されており、その際、フェニレン基及びナフチレン基は、1、2、3又は4個のC1〜C4−アルキル基を有してよい。
【0100】
基Aがこの意味を有する適したアミンに関する例は、フェニレンジアミン、例えばo−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン及びp−フェニレンジアミン、トルイレンジアミン、例えばo−トルイレンジアミン、m−トルイレンジアミン及びp−トルイレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフチレンジアミン、例えば1,2−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,3−ナフチレン、2,6−ナフチレン及び2,7−ナフチレン、ジアミノジフェニルスルホン、例えば2,2'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン及び4.4'−ジアミノジフェニルスルホン、及びジアミノベンゾフェノン、例えば2,2'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン及び4.4'−ジアミノベンゾフェノンである。
【0101】
有利な実施形態において、二価の芳香脂肪族基Aは、フェニレン−C1〜C4−アルキレン及びフェニレン−C1〜C4−アルキレンフェニレンの中から選択されており、その際、フェニレン基は、1、2、3又は4個のC1〜C4−アルキル基を有してよい。
【0102】
基Aがこの意味を有する適したアミンに関する例は、ジアミノジフェニルメタン、例えば2,2'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン及び4,4'−ジアミノジフェニルメタン等である。
【0103】
有利な実施形態において、XはOを表し、aは、その際、好ましくは2〜6の数を表す。
【0104】
基Aがこの意味を有する適したアミンに関する例は、アミン末端ポリオキシアルキレンポリオール、例えば、ジェファミン、例えば4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン及び4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、さもなければ、より規則正しいアミン末端ポリオキシアルキレンポリオール、例えばアミン末端ポリエチレングリコール、アミン末端ポリプロピレングリコール又はアミン末端ポリブチレングリコールである。最後に挙げられた3つのアミン(アミン末端ポリアルキレングリコール)は、好ましくは、200〜3000g/モルの分子量を有する。
【0105】
選択的に有利な実施形態において、XはNRaを表す。その際、Raは、好ましくはH又はC1〜C4−アルキル、特に有利にはH又はメチル、かつ殊にHを表す。その際、Bは、殊にC2〜C3−アルキレン、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン及び1,3−プロピレン、かつ殊に1,2−エチレンを表す。aは、好ましくは、1〜10の数、特に有利には1〜6の数、かつ殊に1〜4の数を表す。
【0106】
基Aがこの意味を有する適したアミンに関する例は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、高次ポリイミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン等である。
【0107】
有利には、成分(iii.1)として、2個の第一級アミノ基を有する少なくとも1種のジアミンが用いられる。それに応じて、少なくとも1種のアミン(iii.1)は、2個の第一級アミノ官能基に加えて、更なる(第一級、第二級及び/又は第三級)アミノ基を含有しない。
【0108】
2個の第一級アミノ基を有する有利なジアミンは、式NH2−A−NH2[式中、Aは、二価の脂肪族基、脂環式基、脂肪族/脂環式基、芳香族基若しくは芳香脂肪族基を表し、その際、前述の基はまた、カルボニル基によって若しくはスルホン基によって中断されていてもよく、かつ/若しくはC1〜C4−アルキルの中から選択されている1、2、3若しくは4個の基によって置換されていてもよい;又は式
【化2】

[式中、
Xは、Oを表す;
Bは、C2〜C6−アルキレンを表す;及び
aは、1〜100の数、有利には1〜80の数、かつ殊に1〜20の数を表す]の二価の基を表す]のジアミンである。
【0109】
適した、かつ有利な脂肪族基、脂環式基、脂肪族/脂環式基、芳香族基又は芳香脂肪族基及び式
【化3】

[式中、XはOを表す]の二価の基について前で説明した事項、並びにそれに属する有利な、かつ適したアミンが参照により引用される。
【0110】
2個の第一級アミノ基を有する特に有利なジアミンは、式NH2−A−NH2[式中、Aは、二価の脂肪族基を表し、かつ好ましくは線状又は分枝状のC2〜C20−アルキレンを表す]のジアミンである。基Aがこの意味(C2〜C20−アルキレン)を有する適したアミンに関する例は、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン及び1,3−プロピレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。
【0111】
特に有利には、2個の第一級アミノ基を有するジアミンにおけるAは、線状又は分枝状のC2〜C10−アルキレンを表す。Aがこの意味(C2〜C10−アルキレン)を有する適したアミンに関する例は、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン及び1,3−プロピレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。
【0112】
殊に、2個の第一級アミノ基を有するジアミンにおけるAは、線状又は分枝状のC4〜C8−アルキレンを表す。Aがこの意味(C4〜C8−アルキレン)を有する適したアミンに関する例は、例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,4−ジアミノ−4−メチルペンタン等である。特別な実施形態において、Aが線状又は分枝状のC4〜C8−アルキレンを表すアミンが用いられ、その際、分枝状アルキレンでは、ある炭素原子からせいぜい1個の枝分かれが始まる。係るアミンに関する例は、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン及び1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、すなわち、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及び1,4−ジアミノ−4−メチルペンタンを除く、上で特に有利なものとして列挙されたアミンである。これらの中でもっと有利なのは、Aが線状C4〜C8−アルキレンを表すアミン、例えば1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン及びオクタメチレンジアミンである。
【0113】
特別には、2個の第一級アミノ基を有するジアミンはヘキサメチレンジアミンである。
【0114】
本発明による方法に、そのうえ任意に、少なくとも3個の第一級アミノ基を有するポリアミンが用いられることができる(成分iii.2)。
【0115】
この成分(iii.2)は、3個以上の第一級アミノ基を含有し、かつ、そのうえ1個以上の第二級アミノ基及び/又は第三級アミノ基も含有してよい。
【0116】
係るアミンに関する例は、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルアミン、N,N−ビス−(3−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N−ビス−(3−アミノプロピル)−ブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラ−(3−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラ−(3−アミノプロピル)−ブチレンジアミン、トリス(アミノエチル)アミン、トリス(アミノプロピル)アミン、トリス(アミノヘキシル)アミン、トリスアミノヘキサン、4−アミノメチル−1,8−オクタメチレンジアミン、トリスアミノノナン、又は好ましくは300〜10,000の分子量を有する三官能性以上のアミン末端ポリオキシアルキレンポリオール(例えばJeffamine、例えばポリエーテルアミンT403若しくはポリエーテルアミンT5000)である。
【0117】
これらの中で有利なのは、トリス(アミノエチル)アミン、トリス(アミノプロピル)アミン及びJeffamine、例えばポリエーテルアミンT430又はポリエーテルアミンT5000である。
【0118】
本発明による方法へのこの成分(iii.2)の使用は、ことさら、ジアミン又はポリアミン(iii.1)単独を用いてより高いポリマーの分岐度が調整されるべき場合に意味を持ち、それというのも、少なくとも3個の第一級アミノ基を有するポリアミンが、不可避的に使用されたメラミン(ii)に加えて、更なる分岐の可能性を与えるからである。ポリアミン(iii.1)に含有された第二級アミノ基及び/又は第三級アミノ基は、第一級アミノ基より反応性が低く、かつ本発明による方法の反応条件下で、縮合し、かつ該縮合により分岐部を形成することが、そもそも可能であったとしても、たいていごく僅かにしか可能でない。いずれにしても、それらが分岐部を形成することができるのは成分(iii.2)よりずっと僅かである。
【0119】
逆に分岐度がより低くあるべき場合には、本発明による方法に、第一級アミノ基を有する少なくとも1種のアミンを用いることが提示される(成分iii.3)。
【0120】
この成分は、ただ一つの第一級アミノ官能基及び場合により1個以上の第二級アミノ基及び/又は第三級アミノ基を有するアミンである。
【0121】
更なる第二級/第三級アミノ官能基を有さない第一級アミン(第一級モノアミン)に関する例は、式R−NH2[式中、Rは、脂肪族基、脂環式基、脂肪族/脂環式基、芳香族基又は芳香脂肪族基を表し、該基は、当然の事ながら、アミノ基を含有しない]の化合物である。
【0122】
これらに関する例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ペンタノールアミン、(2−メトキシエチル)−アミン、(2−エトキシエチル)−アミン、(3−メトキシプロピル)−アミン、(3−エトキシプロピル)−アミン、[3−(2−エチルヘキシル)−プロピル]−アミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、シクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、アニリン、ベンジルアミン等である。
【0123】
1個以上の第二級及び/又は第三級アミノ官能基を有する第一級アミン((ただ一つの)第一級アミノ基を有するポリアミン)に関する例は、N−メチルエチレン−1,2−ジアミン、N,N−ジメチルエチレン−1,2−ジアミン、N−エチルエチレン−1,2−ジアミン、N,N−ジエチルエチレン−1,2−ジアミン、N−メチルプロピレン−1,3−ジアミン、N,N−ジメチルプロピレン−1,3−ジアミン、N−エチルプロピレン−1,3−ジアミン、N,N−ジエチルプロピレン−1,3−ジアミン、N−メチルブチレン−1,4−ジアミン、N,N−ジメチルブチレン−1,4−ジアミン、N−メチルペンチレン−1,5−ジアミン、N,N−ジメチルペンチレン−1,5−ジアミン、N−メチルヘキシレン−1,6−ジアミン、N,N−ジメチルヘキシレン−1,6−ジアミン、N−メチル−ジエチレントリアミン、N,N−ジメチル−ジエチレントリアミン、N−メチル−トリエチレンテトラミン、N,N−ジメチル−トリエチレンテトラミン、N−メチル−テトラエチレン−ペンタミン、N,N−ジメチル−テトラエチレンペンタミン、(3−(メチルアミノ)−プロピル)−(3−アミノプロピル)−アミン、(3−(ジメチルアミノ)−プロピル)−(3−アミノプロピル)−アミン、(2−アミノエチル)−エタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−メチル−ジアミノシクロヘキサン、N,N−ジメチル−ジアミノシクロヘキサン、N−メチルフェニレンジアミン等である。
【0124】
有利には、成分(iii.3)として、第一級モノアミン、すなわち、ただ一つの第一級アミノ基を有し、かつ更なる第二級アミノ官能基又は第三級アミノ官能基を有さないアミンが用いられる。
【0125】
本発明の更なる実施形態において、本発明による成分B)に、更なる出発材料として、少なくとも1種のメラミン誘導体(成分iv)が用いられる。
【0126】
好ましくは、メラミン誘導体は、ベンゾグアナミン、置換メラミン及びメラミン縮合物の中から選択されている。
【0127】
メラミン縮合物は、好ましくは、メラム、メレム、メロン及び高次縮合物の中から選択されている。メラム(実験式C6−H911)は、2,4−ジアミノ−6−クロロ−s−トリアジンとメラミンからの二量体縮合生成物である。メレム(実験式C6610)は、3個のアミノ基で置換されたトリ−s−トリアジン(1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン)である。メロン(実験式C639)は、同様にヘプタジンである。
【0128】
成分(ii)に対する成分(i)のモル比は、好ましくは50:1〜1:50、特に有利には10:1〜1:10、もっと有利には8:1〜1:8、よりもっと有利には4:1〜1:8、殊に2:1〜1:5であり、かつ特別には1:1〜1:5である。
【0129】
成分(iii)に対する成分(i)のモル比は、好ましくは10:1〜1:50、特に有利には2:1〜1:50、もっと有利には2:1〜1:25、よりもっと有利には1:1〜1:20、殊に1:2.5〜1:15であり、かつ特別には1:5〜1:15である。
【0130】
特に有利には、成分(i)、(ii)及び(iii)は、以下:

の比は、好ましくは、0.05:1〜0.75:1、特に有利には0.075:1〜0.5:1、かつ殊に0.1:1〜0.4:1の範囲内にある、が適用されるモル比で用いられる。
【0131】
その際、成分(i)及び(ii)のモル比は、好ましくは上記の範囲内にある。
【0132】
成分(iv)が用いられる場合には、それは好ましくは成分(i)の一部を置き換える。好ましくは、それは、成分(i)の1〜75モル%、特に有利には1〜50モル%、かつ殊に1〜25モル%を置き換える量で用いられる。
【0133】
成分(i)、(ii)、(iii)及び任意に(iv)の反応は、本発明による方法では、好ましくは酸性触媒の存在下で行われる。
【0134】
酸性触媒として、ブレンステッド酸もルイス酸も適している。
【0135】
適したブレンステッド酸は、無機酸、例えば鉱酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸又はアミドスルホン酸、或いはまたアンモニウム塩、例えばフッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム又は硫酸アンモニウムでも、有機酸、例えばメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸及びp−トルエンスルホン酸でもある。
【0136】
適したブレンステッド酸はまた、有機アミン、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、アニリン、ベンジルアミン又はメラミンのアンモニウム塩であり、かつ、また尿素のアンモニウム塩である。
【0137】
適したルイス酸は、全ての金属ハロゲン化物又は半金属ハロゲン化物であり、該ハロゲン化物において、金属又は半金属は電位対空孔を有する。これらに関する例は、BF3、BCl3、BBr3、AlF3、AlCl3、AlBr3、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、TiF4、TiCl4、TiBr4、VCl5、FeF3、FeCl3、FeBr3、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、Cu(I)F、Cu(I)Cl、Cu(I)Br、Cu(II)F2、Cu(II)Cl2、Cu(II)Br2、Sb(III)F3、Sb(V)F5、Sb(III)Cl3、Sb(V)Cl5、Nb(V)Cl5、Sn(II)F2、Sn(II)Cl2、Sn(II)Br2、Sn(IV)F4、Sn(IV)Cl4及びSn(IV)Br4である。
【0138】
しかしながら、有利にはブレンステッド酸が使用される。これらの中で有利なのは無機酸であり、かつ殊にアンモニウム塩、例えば塩化アンモニウム又は臭化アンモニウムである。特別には、塩化アンモニウムが使用される。
【0139】
成分の反応は、好ましくは、高められた温度で行われる。好ましくは、反応温度は、40〜300℃、特に有利には100〜250℃であり、かつ殊に150〜230℃である。
【0140】
反応は、常圧でも、例えば1〜20バール又は1〜15バール又は10〜15バールの高められた圧力でも実施してよい。その際、圧力は、反応の過程で成分(i)、(ii)、(iii)及び任意に(iv)の縮合に際して遊離するアンモニアによってもっぱら頻繁に発生される;すなわち、圧力は、反応の過程で増大し、かつ、それから所望の値に調整されることができる。
【0141】
反応が高められた温度で実施されるべき場合には、しかしながら、圧力は、不活性ガスにより、例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素、好ましくは窒素を導入することによって発生させてよい。これは殊に、反応が初めから、すなわち、そもそもかなりの圧力が、形成されたアンモニアによって生じうる前に、高められた圧力下で実施されるべき場合に提示される。
【0142】
反応圧力は、殊に、使用されるアミン(成分iii)の種類によって規定される。そのため、少なくとも1種の使用されるアミンが、反応温度を上回る沸点を有する場合には、反応は常圧で実施してよい。これに対して、沸点が反応温度を下回る場合、当然の事ながら、反応を高められた圧力で実施することが好ましい。しかし、反応温度を上回る沸点を有するアミンの場合でも、例えば、より高い反応速度を達成するために、反応を過圧下で実施することが好ましくありうる。圧力調整は、所望の圧力の調整に必要とされなかったアンモニアを、例えば、相応する値に調整されている安全弁に通過させることによって、反応ゾーンから排出するように行ってよい。圧力発生のために不活性ガスが使用される場合、所望の圧力の調整は、慣用の制御装置により、例えば安全弁により行われる。
【0143】
反応は、所望される場合、適した溶媒中で実施してよい。適した溶媒は不活性であり、すなわち、該溶媒は、所与の反応条件下で、出発材料、中間生成物又は生成物とは反応せず、かつ所与の反応条件下で、例えば熱分解によってもそれ自体分解されない。適した溶媒に関する例は、塩素化脂肪族炭化水素又は塩素化芳香族炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、クロロトルエン及びo−ジクロロベンゼン、鎖状エーテル及び環状エーテル、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン、極性非プロトン性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及びアセトニトリル、及び極性プロトン性溶媒、例えば、ポリオール若しくはポリエーテルポリール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又はポリエチレングリコールである。有利な溶媒は、上述のポリオール若しくはポリエーテルポリオールである。
【0144】
しかしながら、好ましくは、反応はバルク中で、すなわち付加的な溶媒なしで実施される。この場合、好ましくは、アミン(成分iii)は溶媒として、殊にそれが過剰量で用いられる場合に役立つ。
【0145】
反応は、全ての成分を混合し、かつ所望の反応温度に加熱することによって反応させるように実施してよい。選択的に、成分の一部をまず添加し、かつ残留している成分を徐々に供給してもよく、その際、添加の順序は、それほど重要ではない。しかしながら、メラミンは、一般に最も難溶性の成分であるので、実際に、残りの成分、すなわち、成分(i)、成分(iii)、場合により成分(iv)、場合により酸性触媒及び場合により溶媒、及び可能性としてはメラミンの一部も装入し、所望の反応温度にもたらし、かつ残留しているメラミンを徐々に連続的に又は少量ずつ供給することが有効であると実証された。
【0146】
同じように、成分(i)を、殊にそれが尿素である場合には、完全には装入せず、徐々に連続的に又は少量ずつ供給することが有効であると実証された。
【0147】
好ましくは、個々の反応物の添加は、縮合反応におけるそれらの変換が可能な限り完全となるように、それらの完全な溶解が保証される仕方で行われる。
【0148】
反応の実施は、一般に、縮合反応によく用いられる反応容器、例えば加熱可能な撹拌反応器、加圧式撹拌容器又は撹拌式オートクレーブ中で行われる。
【0149】
反応混合物は、一般に、所望の最大粘度が達成されるまで反応させられる。粘度は、サンプル採取及び、例えば粘度計を用いた慣例の方法による測定によって測定されることができる;しかし、頻繁には、例えば反応混合物を発泡させることによって粘度が強く増大する場合には、すでに反応過程で視覚的に明らかになる。
【0150】
好ましくは、反応は、反応混合物が、最大100,000mPas、例えば250〜100,000mPas、又は500〜100,000mPas、又は好ましくは750〜100,000mPasの粘度(100℃で)、特に有利には最大500,000Pas、例えば250〜50,000mPas、又は500〜50,000mPas、又は好ましくは750〜50,000mPasの粘度(100℃で)、かつ殊に最大10,000mPas、例えば250〜10,000mPas、又は500〜10,000mPas、又は好ましくは750〜10,000mPasの粘度(100℃で)を有した時に中断される。
【0151】
反応混合物の粘度がさらには上昇すべきでない場合には、反応は中断される。
【0152】
反応は、好ましくは温度低下によって中断され、有利には、<100℃、例えば20〜<100℃、有利には<50℃、例えば20〜<50℃への温度低下によって中断される。
【0153】
得られた重縮合生成物の適用目的に応じて、得られた反応混合物を後処理し、かつ精製することが必要又は望ましくありうる。後処理/精製は、慣例の方法により、例えば、触媒の失活又は除去によって並びに/又は溶媒及び反応しなかった出発材料の除去によって行ってよい。
【0154】
酸性触媒を除去するために、例えば、得られた反応生成物は、塩基で、例えば水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液で処理してよい。その際に沈殿する塩は、好ましくは、引き続き、例えば濾過によって除去される。生成物の粘度が非常に高い場合、例えば5000mPas(25℃で)より大きい場合には、この後処理は、高められた温度で、例えば少なくとも50℃で又は少なくとも75℃で又は少なくとも100℃で行ってよい。選択的に又は付加的に、濾過は、圧力を下げて行ってよい。
【0155】
しかしながら、得られた重縮合物の純度のレベルは、多数の適用にとって十分であるため、更なる後処理又は精製は行われる必要がなく、かつ生成物はその更なる使用目的に直接供給されることができる。
【0156】
ポリマーB)は高度に分岐しており、かつ実質的に架橋していない。
【0157】
有利な成分B)は、上で記載したようなポリマーであり、該ポリマーは後で改質される。
【0158】
改質は、EP09179490.9による方法に倣って、アミノ基で縮合反応又は付加反応することができ、好ましくは、脂肪族モノカルボン酸又はその誘導体、ポリカルボン酸又はその誘導体、脂肪族、脂環式又は芳香族の、場合によりブロックされたイソシアネート、脂肪族モノアミン、脂肪族ポリアミン、アミン末端化ポリエーテル、アルキレンオキシド、アルデヒド、ケトン並びにCH酸性化合物又はヒドロキシ芳香族化合物との組合せにおけるアルデヒドから選択された少なくとも1種の化合物によって行われることができる。
【0159】
脂肪族モノカルボン酸は、好ましくは炭素原子1〜22個を有するもの、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、クルパノドン酸及びドコサヘキサン酸である。
【0160】
適したカルボン酸誘導体は、工程(i)若しくは(ii)からのポリマーのアミノ基と反応してアミド結合を生じさせるのに適している全ての誘導体である。それらに属するのはハロゲン化物、殊に酸塩化物、無水物及びエステルである。
【0161】
無水物は、対称無水物であっても、非対称無水物であってもよい。非対称無水物は、"異種の"酸基が、工程(i)又は(ii)からポリマーのアミノ基によって取って代わることができやすいように選択されている。上述のカルボン酸が適した混成酸無水物を形成することができる適した酸誘導体は、例えば、クロロギ酸、例えばクロロギ酸イソプロピル及びクロロギ酸イソブチルのエステル又はクロロ酢酸のエステルである。
【0162】
適したエステルは、殊にC1〜C4−アルキルエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、s−ブチルエステル、イソブチルエステル又はt−ブチルエステルである。しかし、C2〜C6−ポリオール、例えばグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール及びソルビトールから誘導されるエステルも適しており、その際、グリセリンエステルが有利である。ポリオールエステルが用いられる場合、混合エステル、すなわち、種々のカルボン酸エステルを有するエステルが用いられることができる。適しているのは、さらに、形式的に酸と、活性エステルを形成するアルコール、例えばp−ニトロフェノール、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド又はOPfp(ペンタフルオロフェノール)との反応によって得られる活性エステルである。
【0163】
好ましくは、カルボン酸自体(すなわち、その誘導体ではない)が用いられる。
【0164】
適したポリカルボン酸及びその誘導体は、例えば、α,β−ジカルボン酸又はその誘導体、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ソルビン酸、ポリアルキレン置換コハク酸及びそれらの誘導体である。好ましくは、ポリアルキレン置換コハク酸は、例えば、ポリイソブテンと無水マレイン酸とのエン反応の反応条件下での反応によって得られるポリイソブチレン置換コハク酸である。その際、ポリアルケニル基、特別にはポリイソブテニル基は、好ましくは100〜5000、特に有利には200〜1000の数平均分子量Mnを有する。適した酸誘導体に関しては、前で説明した事項が参照される。有利なのは、ジカルボン酸の場合、酸無水物、有利には分子内無水物(すなわち、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水アジピン酸等)が用いられる。
【0165】
適した脂肪族、脂環式又は芳香族の、場合によりブロックされたイソシアネートは、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等である。
【0166】
適した脂肪族モノアミンは、好ましくは、第一級又は第二級、特に有利には第一級である。これらに関する例は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、[3−(2−エチルヘキシル)−プロピル]−アミン等である。
【0167】
適した脂肪族ポリアミンは、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミン、ポリペンチレンポリアミン等である。
【0168】
更なる適した改質剤に関して、EP09179490.0が参照される。
【0169】
成分C)として、本発明による成形材料は、更なる添加剤を70質量%まで、好ましくは50質量%まで含有してよい。
【0170】
繊維状若しくは粒子状の充填剤として、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、白亜、粉末石英、雲母、硫酸バリウム及び長石が挙げられ、これらは1〜50質量%、殊に5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%の量で用いられる。
【0171】
有利な繊維状充填剤として、炭素繊維、アラミド繊維及びチタン酸カリウム繊維が挙げられ、その際、Eガラスとしてのガラス繊維が特に有利である。これらは、ロービング又はチョップトガラスとして市販の形で用いられることができる。
【0172】
繊維状充填剤は、熱可塑性樹脂とのより良好な相容性のために、シラン化合物で表面前処理されていてよい。
【0173】
適したシラン化合物は、一般式
(X−(CH2nk−Si−(O−Cm2m+14-k
[式中、置換基は、以下の意味を有する:
Xは、NH2−、
【化4】

、HO−を意味し、
nは、2〜10の整数、有利には3〜4の整数を意味し、
mは、1〜5の整数、有利には1〜2の整数を意味し、
kは、1〜3の整数、有利には1の整数を意味する]のシラン化合物である。
【0174】
有利なシラン化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン並びに置換基Xとしてグリシジル基を含有する相応のシランである。
【0175】
シラン化合物は、一般的に、表面被覆のために(E)を基準として)0.01〜2質量%、好ましくは0.025〜1.0質量%、かつ殊に0.05〜0.5質量%の量で用いられる。
【0176】
適しているのはまた、針状の鉱物質充填剤である。
【0177】
針状の鉱物質充填剤は、本発明に従って、非常に際立った針状特性を有する鉱物質充填剤と解される。例として、針状のケイ灰石が挙げられる。好ましくは、該鉱物は、8:1〜35:1、有利には8:1〜11:1のL/D(長さ対直径)比を有する。鉱物質充填剤は、場合により、前で挙げられたシラン化合物で前処理されていてよい;しかしながら、前処理は必ずしも必要ではない。
【0178】
更なる充填剤として、カオリン、焼成カオリン、ケイ灰石、滑石及び白亜が挙げられ、並びに付加的に、有利には0.1〜10%の量における板状又は針状のナノ充填剤が挙げられる。有利には、このために、ベーマイト、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト及びラポナイトが用いられる。板状のナノ充填剤と有機バインダーとの良好な相容性を得るために、板状のナノ充填剤は、先行技術に従って有機改質される。本発明によるナノ複合材料への板状又は針状のナノ充填剤の添加は、機械的強度の更なる上昇をもたらす。
【0179】
成分C2)として、本発明による成形材料は、潤滑剤を0.05〜3質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、かつ殊に0.1〜1質量%含有してよい。
【0180】
有利なのは、炭素原子10〜44個、好ましくは炭素原子12〜44個を有する脂肪酸のアルミニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はエステル若しくはアミドである。
【0181】
金属イオンは、好ましくはアルカリ土類金属及びアルミニウムであり、その際、Ca若しくはMgが特に有利である。
【0182】
有利な金属塩は、ステアリン酸カルシウム及びモンタン酸カルシウム並びにステアリン酸アルミニウムである。
【0183】
種々の塩の混合物も用いてよく、その際、混合比は任意である。
【0184】
カルボン酸は、1価又は2価であってよい。例としては、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン二酸、ベヘン酸、かつ特に有利にはステアリン酸、カプリン酸並びにモンタン酸(炭素原子30〜40個を有する脂肪酸の混合物)が挙げられる。
【0185】
脂肪族アルコールは、1価〜4価であってよい。アルコールに関する例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールであり、その際、グリセリン及びペンタエリスリトールが有利である。
【0186】
脂肪族アミンは、1価〜3価であってよい。これらに関する例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、その際、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンが特に有利である。有利なエステル又はアミドは、相応して、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリンモノベヘネート及びペンタエリスリトールテトラステアレートである。
【0187】
種々のエステル若しくはアミドの混合物又はエステルとアミドとの組合せにおける混合物も用いてよく、その際、混合比は任意である。
【0188】
成分C3)として、本発明による成形材料は、Cu安定剤、好ましくはCu(I)ハロゲン化物を、殊にアルカリ金属ハロゲン化物、好ましくはKIと、殊に比1:4での混合物において、又は立体障害フェノール又はそれらの混合物0.05〜3質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、かつ殊に0.1〜1質量%を含有してよい。
【0189】
一価の銅の塩として、好ましくは酢酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)及びヨウ化銅(I)が考慮に入れられる。これらは、ポリアミドを基準として、銅5〜500ppmの量で、好ましくは銅10〜250ppmの量で含有されている。
【0190】
好ましい特性は、殊に、銅がポリアミド中に分子分布で存在している場合に得られる。これは、成形材料に、ポリアミド、一価の銅の塩及びアルカリ金属ハロゲン化物を均質な固溶体の形で含有する濃縮物を添加した場合に達成される。典型的な濃縮物は、例えば、ポリアミド79〜95質量%と、ヨウ化銅又は臭化銅及びヨウ化カリウムからの混合物21〜5質量%とからなる。均質な固溶体中の銅の濃度は、該溶液の全質量を基準として、有利には0.3〜3質量%、殊に0.5〜2質量%であり、かつヨウ化カリウムに対するヨウ化銅(I)のモル比は、1〜11.5、好ましくは1〜5である。
【0191】
該濃縮物用に適したポリアミドは、ホモポリアミド及びコポリアミド、殊にポリアミド6及びポリアミド6.6である。
【0192】
立体障害フェノールD3)として、原則的に、フェノール構造を有し、フェノール環に少なくとも1個の立体的に要求の高い基を有する全ての化合物が適している。
【0193】
好ましくは、例えば、式
【化5】

[式中、R1及びR2は、アルキル基、置換されたアルキル基又は置換されたトリアゾール基を意味し、その際、基R1及びR2は、同じであってよいか若しくは異なっていてよく、かつR3は、アルキル基、置換されたアルキル基、アルコキシ基又は置換されたアミノ基を意味する]の化合物が考慮に入れられる。
【0194】
挙げられた種類の酸化防止剤は、例えばDE−A2702661(US−A4360617)に記載されている。
【0195】
有利な立体障害フェノールの更なる群は、置換されたベンゼンカルボン酸、殊に置換されたベンゼンプロピオン酸から誘導される。
【0196】
このクラスからの特に有利な化合物は、式
【化6】

[式中、R4、R5、R7及びR8は、互いに無関係に、C1〜C8−アルキル基であり、該基はそれ自体置換されていてよく(それらの少なくとも1個は、立体的に要求の高い基である)、かつR6は、炭素原子1〜10個を有する二価の脂肪族基を意味し、それは主鎖中にC−O結合を有してよい]の化合物である。
【0197】
これらの式に相当する有利な化合物は、
【化7】

(BASF SE社のIrganox(R)245)
【化8】

(BASF SE社のIrganox(R)259)
である。
【0198】
立体障害フェノールとして例示的に挙げられるのは、下記のものを引っ括める:
2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ−[2.2.2]オクタ−4−イル−メチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2−(2'−ヒドロキシ−3'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、4,4'−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ジメチルアミン。
【0199】
特に効果あると判明し、かつ、それゆえ好ましくは使用されるのは、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート(Irganox(R)259)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]並びにN,N'−ヘキサメチレン−ビス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド(Irganox(R)1098)及び前で記載されたBASF SE社のIrganox(R)245であり、これは特に良く適している。
【0200】
個別に又は混合物として用いられることができる酸化防止剤C)は、成形材料A)〜C)の全質量を基準として、0.05〜3質量%までの量で、好ましくは0.1〜1.5質量%の量で、0.1〜1質量%の量で含有されている。
【0201】
たいていの場合、1個より多くない立体障害基をフェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位で有する立体障害フェノールが特に好ましいと判明した:殊に、より長期の期間にわたった拡散光中での貯蔵に際しての色安定性を評価した場合。
【0202】
成分C4)として、本発明による成形材料は、ニグロシンを0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%、かつ殊に0.25〜1.5質量%含有してよい。
【0203】
ニグロシンは、一般的に、種々の形態(水溶性、脂溶性、スピリット溶性)における黒色又は灰色の、インジュリンと類似したフェナジン染料(アジン染料)の群と理解され、それらはウール染色及びウール捺染に際して、シルクの黒染めに際して、皮革、靴クリーム、ニス、プラスチック、焼き付けラッカー、インキ等の着色のために、並びに顕微鏡検査用染料として使用される。
【0204】
ニグロシンは、ニトロベンゼン、アニリン及び塩酸アニリンを金属鉄及びFeCl3と加熱することによって工業的に得られる(ラテン語のniger=黒の名称)。
【0205】
成分C4)は、遊離塩基として又は塩(例えば塩酸塩)としても用いられることができる。
【0206】
ニグロシンについての更なる詳細は、例えば、電子百科事典Roempp Online,Version 2.8,Thieme−Verlag Stuttgart,2006の見出し語"Nigrosin"から取得されることができる。
【0207】
成分C5)として、本発明による成形材料は、好ましくは鉄ペンタカルボニルの熱分解によって得られる最大10μm(d50値)の粒径(粒度とも呼ばれる)を有する鉄粉を0.001〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、かつ殊に0.1〜5質量%含有してよい。
【0208】
鉄は、数種の同素体変態において存在する:
1.α−Fe(フェライト)は、体心立方格子を形成し、磁化可能であり、炭素を少ししか溶解せず、928℃までの純鉄中に存在する。770℃(キュリー温度)では、フェライトはその強磁特性を失い、そして常磁性になる;770〜928℃の温度範囲内の鉄は、β−Feとも呼ばれる。普通の温度及び少なくとも13000MPaの圧力では、α−Feは、いわゆるε−Feに、約0.20cm3/モルの体積減少下で移行し、その際、密度は7.85から9.1(20000MPaで)に高まる。
2.γ−Fe(オーステナイト)は、面心立方格子を形成し、非磁性であり、炭素を多く炭溶解し、かつ928〜1398℃の温度範囲内でのみ観察されることができる。
3.δ−Feは、体心であり、1398℃から融点1539℃の間で存在する。
【0209】
金属鉄は、一般的に銀白色であり、密度7.874(重金属)、融点1539℃、沸点2880℃;比熱(18〜100℃で)約0.5g-1-1、引張強さ220〜280N/mm2を有する。この値は、化学的に純粋な鉄に当てはめられる。
【0210】
大規模工業的に、鉄は、鉄鉱、鉄スラグ、焙焼黄鉄鉱、高炉ダストの製錬によって、並びに金属屑及び合金の鋳直しによって製造される。
【0211】
本発明による鉄粉は、鉄ペンタカルボニルの熱分解によって、好ましくは150℃〜350℃の温度で製造される。この際に得られる粒子(微粒子)は、好ましくは球面形を有し、すなわち、球形又はほぼ球形の形(球顆状とも呼ばれる)をしている。
【0212】
有利な鉄粉は、後ろに記載したような粒径分布(粒度分布)を有し、その際、該粒径分布は、レーザー散乱法によって、高度に希釈された水性懸濁液中で測定される(例えばBeckmann LS13320装置を用いて)。任意に、次に記載した粒径(及び分布)は、粉砕又は/及び篩分によって調整されることができる。
【0213】
ここで、dxxは、粒子の全体積のXX%が、その値より小さいことを意味する。
【0214】
50値:最大10μm、好ましくは1.6〜8μm、殊に2.9〜7.5μm、極めて特に3.4〜5.2μm
10値:好ましくは1〜5μm、殊に1〜3μm、かつ極めて特に1.4〜2.7μm
90値:好ましくは3〜35μm、殊に3〜12μm、かつ極めて特に6.4〜9.2μm
【0215】
有利には、成分B)は、97〜99.8g/100g、好ましくは97.5〜99.6g/100gの鉄含有率を有する。更なる金属の含有率は、好ましくは1000ppmより低く、殊に100ppmより低く、かつ極めて特に10ppmより低い。
【0216】
Fe含有率は、通常、赤外分光法によって測定される。C含有率は、好ましくは、0.01〜1.2g/100g、好ましくは0.05〜1.1g/100g、かつ殊に0.4〜1.1g/100gである。このC含有率は、有利な鉄粉では、熱分解に続けて水素で還元されていない粉末のC含有率に相当する。
【0217】
C含有率は、通常、酸素流中のサンプル量の燃焼及び発生したCO2ガスのIR検出(Juwe社のLeco CS230又はCS−mat 6250を用いて)により、ASTM E 1019に依拠して測定される。
【0218】
酸素含有率は、好ましくは最大1.5g/100g、有利には0.01〜1.2g/100gである。
【0219】
酸素含有率は、好ましくは最大1.3g/100g、有利には0.3〜0.65g/100gである。
【0220】
N及びOの測定は、グラファイト炉内のサンプルを約2100℃に加熱することによって行われる。この際にサンプル中で得られた酸素はCOに変換され、かつIR検出器を使って計量される。含窒素化合物から反応条件下で遊離したNは、キャリアガスで搬出され、かつWLD(熱伝導度型検出器/TC)によって検出され、かつ記録される(2つの方法は、ASTM E1019に依拠)。
【0221】
タップ密度(tap density)は、好ましくは2.5〜5g/cm3、殊に2.7〜4.4g/cm3である。該タップ密度は、一般的に、例えば、粉末を入れ物に詰め、そして振動させて、より密にした場合の密度と解される。さらに有利な鉄粉は、リン酸鉄、亜リン酸鉄又はSiO2で表面被覆されていてよい。
【0222】
DIN ISO 9277によるBET表面積は、好ましくは0.1〜10m2/g、殊に0.1〜5m2/g、有利には0.2〜1m2/g、かつ殊に0.4〜1m2/gである。
【0223】
特に良好な鉄粒子の分布を達成するために、ポリマーを有するバッチを用いてよい。ポリマー、例えばポリオレフィン、ポリエステル又はポリアミドが、このために適しており、その際、好ましくは、このバッチポリマーは成分A)と同じである。ポリマー中での鉄の質量割合は、一般に15〜80質量%、好ましくは20〜40質量%である。
【0224】
更なる慣用の添加剤C)は、例えば、ゴム弾性ポリマー(しばしば、耐衝撃性改良剤、エラストマー又はゴムとも呼ばれる)の25質量%までの量、好ましくは20質量%までの量である。
【0225】
極めて一般的に、それらは、有利には以下のモノマーの少なくとも2種から構成されているコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル及びアルコール成分中で炭素原子1〜18個を有するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル。
【0226】
このようなポリマーは、例えば、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Vol.14/1(Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,Germany,1961)の第392頁〜第406頁及びC.B.Bucknall,"Toughened Plastics"(Applied Science Publishers,London,1977)のモノグラフに記載されている。
【0227】
以下では、係るエラストマーの幾つかの有利な種類を提示する。
【0228】
係るエラストマーの有利な種類は、いわゆるエチレン−プロピレン(EPM)ゴム若しくはエチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ゴムである。
【0229】
EPMゴムは、一般的に、実際に二重結合をもはや有しておらず、その一方で、EPDMゴムは、炭素原子100個当たり1〜20個の二重結合を有していてよい。
【0230】
EPDMゴム用のジエンモノマーとして、例えば、共役ジエン、例えばイソプレン及びブタジエン、炭素原子5〜25個を有する非共役ジエン、例えばペンタ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,5−ジエン、2,5−ジメチルヘキサ−1,5−ジエン及びオクタ−1,4−ジエン、環状ジエン、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン及びジシクロペンタジエン並びにアルケニルノルボルネン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン及びトリシクロジエン、例えば3−メチル−トリシクロ(5.2.1.0.2.6)−3,8−デカジエン又はそれらの混合物が挙げられる。有利なのは、ヘキサ−1,5−ジエン、5−エチリデンノルボルネン及びジシクロペンタジエンである。EPDMゴムのジエン含有率は、ゴムの全質量を基準として、好ましくは0.5〜50質量%、殊に1〜8質量%である。
【0231】
EPMゴム若しくはEPDMゴムは、好ましくは、反応性カルボン酸又は該カルボン酸の誘導体でグラフトされていてよい。ここでは、例えばアクリル酸、メタクリル酸及び該酸の誘導体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、並びに無水マレイン酸が挙げられる。
【0232】
有利なゴムの更なる群は、エチレンとアクリル酸及び/又はメタクリル酸及び/又はこれらの酸のエステルとのコポリマーである。付加的に、ゴムは、なおジカルボン酸、例えばマレイン酸及びフマル酸又はこれらの酸の誘導体、例えばエステル及び無水物、及び/又はエポキシ基含有モノマーを含有していてよい。これらのジカルボン酸誘導体若しくはエポキシ基含有モノマーは、好ましくは、一般式I又はII又はIII又はIV
【化9】

[式中、R1〜R9は、水素、又は炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、かつmは0〜20の整数、gは0〜10の整数、かつpは0〜5の整数である]のジカルボン酸基含有モノマー又はエポキシ基含有モノマーをモノマー混合物に添加することによってゴム中に組み込まれる。
【0233】
好ましくは、基R1〜R9は水素を表し、その際、mは0又は1を表し、かつgは1を表す。相応する化合物は、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル及びビニルグリシジルエーテルである。
【0234】
式I、II及びIVの有利な化合物は、マレイン酸、無水マレイン酸、及びアクリル酸及び/又はメタクリル酸のエポキシ基含有エステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート及び第三級アルコールとのエステル、例えばt−ブチルアクリレートである。たしかに、後者は遊離カルボキシル基を有しないが、しかし、それらの挙動について遊離酸にほぼ等しく、かつ、それゆえ潜在性カルボキシル基を有するモノマーと称される。
【0235】
好ましくは、コポリマーは、エチレン50〜98質量%、エポキシ基含有モノマー及び/又はメタクリル酸及び/又は酸無水物基含有モノマー0.1〜20質量%並びに(メタ)アクリル酸エステルの残留している量から成る。
【0236】
特に有利なのは、
エチレン50〜98質量%、殊に55〜95質量%、
グリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸及び/又は無水マレイン酸0.1〜40質量%、殊に0.3〜20質量%、及び
n−ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレート1〜45質量%、殊に50〜40質量%
からのコポリマーである。
【0237】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の更なる有利なエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びイソブチルエステル若しくはt−ブチルエステルである。
【0238】
その他に、ビニルエステル及びビニルエーテルもコモノマーとして用いられることができる。
【0239】
前で記載されたエチレンコポリマーは、それ自体公知の知られた方法によって、好ましくは高圧及び高められた温度下でのランダム共重合によって製造されることができる。相応する方法は、一般的に公知である。
【0240】
有利なエラストマーはまた、エマルションポリマーであり、該ポリマーの製造は、例えばBlackleyによりモノグラフ"Emulsion Polymerization"に記載されている。使用可能なエマルション剤及び触媒は、それ自体公知である。
【0241】
基本的に、均質に構成されたエラストマーが用いられることができるが、又はシェル構造を有するエラストマーも用いられることができる。シェル状の構造は、個々のモノマーの添加順序によって決められる;該ポリマーの形態も、この添加順序によって影響を及ぼされる。
【0242】
この場合、代替的にのみ、エラストマーのゴム部分の製造用モノマーとして、アクリレート、例えばn−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート、相応するメタクリレート、ブタジエン及びイソプレン並びにそれらの混合物が挙げられる。これらのモノマーは、更なるモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル及び更なるアクリレート又はメタクリレート、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びプロピルアクリレートと共重合されることができる。
【0243】
エラストマーの軟質相又はゴム相(0℃より低いガラス転移温度を有する)は、コア、外殻又は中間のシェル(双殻状構造を上回る構造を有するエラストマーの場合)であってよい;多殻状エラストマーの場合、多殻はゴム相から成っていてもよい。
【0244】
ゴム相の他に、なお1種以上の硬質成分(20℃より高いガラス転移温度を有する)がエラストマーの構造に関与する場合、これらは、一般的に、主モノマーとしてのスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート及びメチルメタクリレートの重合によって製造される。その他に、この場合、比較的少ない割合の更なるコモノマーも用いられることができる。
【0245】
場合によっては、表面に反応性基を有するエマルションポリマーを用いることが好ましいとわかった。このような基は、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、潜在性カルボキシル基、アミノ基又はアミド基並びに一般式
【化10】

のモノマーの併用によって導入されることができる官能基であり、
上記式中、置換基は、次の意味を有していてよい:
10は、水素又はC1〜C4−アルキル基であり、
11は、水素、C1〜C8−アルキル基又はアリール基、殊にフェニルであり、
12は、水素、C1〜C10−アルキル基、C6〜C12−アリール基又は−OR13であり、
13は、C1〜C8−アルキル基又はC6〜C12−アリール基であり、該基は、場合によりO含有基又はN含有基で置換されていてよく、
Xは、化学結合、C1〜C10−アルキレン基又はC6〜C12−アリーレン基又は
【化11】

であり、
Yは、O−Z又はNH−Zであり、かつ
Zは、C1〜C10−アルキレン基又はC6〜C12−アリーレン基である。
【0246】
EP−A208187に記載されたグラフトモノマーも、表面に反応性基を導入することに適している。
【0247】
更なる例として、なおアクリルアミド、メタクリルアミド、及びアクリル酸又はメタクリル酸の置換エステル、例えば(N−t−ブチルアミノ)−エチルメタクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)−メチルアクリレート及び(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレートが挙げられる。
【0248】
さらに、ゴム相の粒子は架橋されていてもよい。架橋剤として作用するモノマーは、例えば、ブタ−1,3−ジエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート及びジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート並びにEP−A50265に記載の化合物である。
【0249】
そのうえ、いわゆるグラフト架橋性モノマー(graft−linking monomers)、すなわち、重合に際して異なる速度で反応する、2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーも用いられることができる。好ましくは、少なくとも1個の反応性基が、残りのモノマーとほぼ同じ速度で重合し、その一方で、その他の反応性基(又は複数の反応性基)が、例えば明らかにより遅く重合する化合物が使用される。異なる重合速度は、ゴム中に、ある特定の割合の不飽和二重結合を必然的に伴う。引き続き、係るゴム上に更なる相がグラフトされる場合、ゴム中に存在する二重結合は、少なくとも部分的に、化学結合の形成下でグラフトモノマーと反応し、すなわち、グラフトされた相は、少なくとも部分的に、該化学結合を介してグラフトベースと結び付いている。
【0250】
係るグラフト架橋性モノマーに関する例は、アルキル基含有モノマー、殊にエチレン系不飽和カルボン酸のアリルエステル、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート又はこれらのジカルボン酸の相応するモノアリル化合物である。その他に、多数の更なる適したグラフト架橋性モノマーが存在する;この場合、より詳しい詳細に関しては、例えばUS−PS4148846が参照される。
【0251】
一般的に、耐衝撃性を改良するポリマー中でのこれらの架橋性モノマーの割合は、耐衝撃性を改良するポリマーを基準として、5質量%まで、好ましくは3質量%より高くない。
【0252】
次に幾つかの有利なエマルションポリマーを列挙する。まず、ここでは1つのコア及び少なくとも1つの外側のシェルを有するグラフトポリマーが挙げられ、該ポリマーは、以下の構造を有する:
【表1】

【0253】
多殻状構造を有するグラフトポリマーの代わりに、ブタ−1,3−ジエン、イソプレン及びn−ブチルアクリレート又はそれらのコポリマーからの均質な、すなわち単殻状エラストマーも用いられることができる。これらの生成物も、架橋性モノマー又は反応性基を有するモノマーの併用によって製造されることができる。
【0254】
有利なエマルションポリマーに関する例は、n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、n−ブチルアクリレート/グリシジルアクリレートコポリマー又はn−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートコポリマー、n−ブチルアクリラートからの内側のコアを有するか、又はブタジエンベースで、かつ前で挙げられたコポリマーからの外殻を有するグラフトポリマー並びにエチレンと反応性基を供与するコモノマーとのコポリマーである。
【0255】
記載されたエラストマーは、その他の慣用の方法に従って、例えば懸濁重合によって製造されることもできる。
【0256】
DE−A3725576、EP−A235690、DE−A3800603及びEP−A319290に記載されるようなシリコーンゴムが同様に有利である。
【0257】
当然の事ながら、前で列挙されたゴム型の混合物も用いられることができる。
【0258】
成分C)として、本発明による熱可塑性成形材料は、慣用の加工助剤、例えば安定剤、酸化遅延剤、熱分解及び紫外線による分解に対する薬剤、潤滑剤及び離型剤、着色剤、例えば染料及び顔料、核形成剤、可塑剤等を含有してよい。
【0259】
酸化遅延剤及び熱安定剤に関する例として、熱可塑性成形材料の質量を基準として1質量%までの濃度での立体障害フェノール及び/又はホスフィット及びアミン(例えばTAD)、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン、例えばジフェニルアミン、これらの群の種々の置換された代表物質及びそれらの混合物が挙げられる。
【0260】
一般的に、成形材料を基準として2質量%までの量で使用されるUV安定剤として、種々の置換されたレゾルシン、サリチレート、ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノンが挙げられる。
【0261】
無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄及びカーボンブラック、さらに有機顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン並びに染料、例えばアントラキノンを着色剤として添加してよい。
【0262】
核形成剤として、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素並びに有利には滑石を用いてよい。
【0263】
本発明による熱可塑性成形材料は、それ自体公知の方法に従って、その際、出発成分を、慣用の混合装置、例えばスクリュー押出機、ブラベンダーミル又はバンバリーミル中で混合し、引き続き押出することで製造されることができる。押出後、押出物を冷却し、かつ細砕してよい。個々の成分は予め混合してもよく、次いで残留している出発原料は、個々に及び/又は同様に混合して加えてよい。混合温度は、一般に230〜320℃である。
【0264】
更なる有利な作業様式に従って、成分B)並びに場合によりC)を、プレポリマーと混合、調製し、かつ造粒してよい。得られた顆粒は、固相で、引き続き不活性ガス下で連続的又は不連続的に成分A)の融点を下回る温度で、所望の粘度になるまで凝縮される。
【0265】
本発明による熱可塑性成形材料は、良好な加工性と、同時に良好な機械的特性、並びに明らかに改善されたウェルドライン強度及び表面並びに熱安定性により優れている。
【0266】
これらは、任意の種類の繊維、シート及び成形体の製造に適している。次に幾つかの例を挙げる:シリンダヘッドカバー、バイクカバー、吸気管、チャージエアクーラーキャップ、接続コネクタ、ギヤホイール、ファンカップリング、冷却水タンク。
【0267】
電気/電子分野においては、流動性が改善されたポリアミドを用いて、コネクタ、コネクタ部材、接続コネクタ、膜スイッチ、プリント回路基板用モジュール、マイクロエレクトロニクス部材、コイル、I/O接続コネクタ、プリント回路基板(PCB)用コネクタ、フレキシブルプリント回路(FPC)用コネクタ、フレキシブル集積回路(FFC)用コネクタ、高速プラグインコネクタ、端子板、差し込みプラグ、デバイスコネクタ、ワイヤハーネスコンポーネント、回路マウント、回路マウントコンポーネント、三次元射出成形回路マウント、電気接続エレメント、メカトロニクスコンポーネントが製造されることができる。
【0268】
自動車室内では、ダッシュボード、ステアリングコラムスイッチ、シート部材、ヘッドレスト、センターコンソール、ギヤボックスコンポーネント及びドアモジュール用に使用されることが可能であり、自動車室外では、ドアハンドル、サイドミラーコンポーネント、ワイパーコンポーネント、ワイパー保護ハウジング、グリル、ルーフレール、サンルーフフレーム、エンジンカバー、シリンダヘッドカバー、吸気管(殊に吸気マニホルド)、ワイパー並びにボディ外側部材用に使用することが可能である。
【0269】
台所領域及び家庭領域において、流動性が改善されたポリアミドの使用は、台所用具に関するコンポーネント、例えばフライ鍋、アイロン、ボタンの製造のために可能であり、並びに園芸−レジャー領域では、例えば灌漑システム又は園芸用具に関するコンポーネント及びドアノブの製造のために可能である。
【0270】

I.ポリアミド中での種々のメラミンポリマーの使用
【0271】
以下の成分を使用した:
【0272】
成分A
96質量%硫酸中で0.5質量%の溶液として25℃でISO 307に従って測定した、148ml/gの粘度数VZを有するポリアミド66(BASF SEのUltramid(R)A27を使用した)。
【0273】
成分B
アミン価を、DIN 53176により測定した。粘度を、レオメーター(Anton Paar GmbH,Austria(Graz)のPhysica MCR51)を使用して測定した。溶解度を測定するために、生成物及び溶媒を10:90の質量比で混合し、かつヒートガンで加熱した。生成物は、それが冷却に際して沈殿しなければ可溶性と見なされる。
【0274】
B/1 高度に分岐したメラミン−テトラエチレンペンタミンポリマーの製造
テトラエチレンペンタミン1855g(9.8モルに相当)を装入し、塩化アンモニウム121.9g(2.28モルに相当)を触媒として混ぜ、そして比較的軽く窒素流を当てた。メラミン441g(3.5モルに相当)を4回に分けて添加した。その際、メラミンの各添加後に、反応混合物を200℃に加熱し、かつメラミンが溶解するまで撹拌した。溶解後、混合物をまず100℃に、次の分量を添加する前に冷却した。最後の分量の添加後、反応混合物を200℃で、粘度がもはやさらに上昇しなくなるまで(75℃で約20000mPas)撹拌した。冷却後、触媒を50%の水酸化ナトリウム溶液で中和し、かつ、その際に形成された水酸化ナトリウムを90℃で加圧ヌッチェを使って濾過分離した。以下の特性を有する黄色のポリマーが得られた:
【0275】
粘度(75℃)η=3800mPas
溶解度:HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)、水
アミン価:677.7mg KOH/g
GPC:Mw=13400g/モル
n=5100g/モル
【0276】
B/2 官能化された、高度に分岐したメラミンポリマーの製造
ペンタエチレンヘキサミン2.8モルを装入し、塩化アンモニウム0.65モルを触媒として混ぜ、そして比較的軽く窒素流を当てた。メラミン1モルを、0.25モルの4回の分量で添加した。その際、メラミンの各添加後に、反応混合物を200℃に加熱し、かつメラミンが溶解するまで撹拌した。溶解後、混合物をまず100℃に、次の分量を添加する前に冷却した。最後の分量の添加後、反応混合物を200℃で、粘度がもはやさらに上昇しなくなるまで(75℃で約20000mPas)撹拌した。冷却後、触媒を50%の水酸化ナトリウム溶液で中和し、かつ、その際に形成された水酸化ナトリウムを90℃で加圧ヌッチェを使って濾過分離した。以下の特性を有するポリマーが得られた:
【0277】
粘度(75℃)η=3250mPas
GPC(HFIP)Mn=6300 Mw=24400
溶解度:HFIP(=ヘキフルオロイソプロパノール)、水
アミン価:665mg KOH/g
【0278】
そのようにして得られたポリマーをフラスコに装入し、かつオレイン酸0.2モルを混ぜた。この混合物を120℃に加熱し、そして生じる反応水を蒸留により除去した。その際、温度を、段階的に180℃に高めた。水がさらにもう形成しなくなった後、180℃でなお1時間撹拌した。以下の特性を有する、濃い黄色の、ハチミツ様に流れるポリマーが得られた:
【0279】
粘度(75℃)η=1500mPas
溶解度:HFIP(=ヘキフルオロイソプロパノール)、水
【0280】
調製前に、成分B/1及びB/2を、真空中で80℃にて24時間乾燥した。
【0281】
成分C/1
ガラス繊維
【0282】
成分C/2
ステアリン酸カルシウム
【0283】
成分C/3
比1:4でのCuI/KI(PA6中で20%のバッチ)
【0284】
成分C/4
ニグロシンを有する40%のPA6マスターバッチ
【0285】
成形材料を、ZSK 30で、25kg/hの流量及び約260℃の平らな温度分布にて製造した。
【0286】
以下の測定を実施した:
ISO 527に従った引張試験、空気循環炉内で200℃若しくは220℃での熱貯蔵前及び熱貯蔵後の機械的特性値。
【0287】
VZ:c=5g/l、96%硫酸中、ISO 307に従う。
【0288】
チャージ圧を、ISO 527による引張試験片の射出成形に際しての切替点での圧力として測定した。
【0289】
成形材料の組成及び測定の結果は、表から読み取ることができる。
【0290】
組成:
【表2】

【0291】
220℃での熱貯蔵後の機械的特性
【表3】

【0292】
【表4】

【0293】
【表5】

【0294】
200℃での熱貯蔵後の機械的特性
【表6】

【0295】
【表7】

【0296】
【表8】

【0297】
II.メラミンポリマーと鉄粉の組合せ
成分A/1、A/4、B1、C1〜C4はIに相当する。
【0298】
成分C5として用いたのは以下のものである:
CAS番号7439−89−6の鉄粉。Fe、C、N、及びO含有量の測定は、本明細書の第51頁〜第55頁を参照されたい。
【0299】
【表9】

【0300】
粒径分布(Beckmann LS13320を用いたレーザー散乱法)
10 1.4〜2.7μm
50 2.9〜4.2μm
90 6.4〜9.2μm
BET表面積 0.44m2/g(DIN ISO 9277)
【0301】
製造法及び測定法はIに相当していた。
【0302】
成形材料の組成は以下の通りであった:
A/1 54.75質量%
A/4 10質量%
B/1 0.5質量%
C/1 30質量%
C/2 0.35質量%
C/3 1.5質量%
C/4 1.9質量%
C/5 1質量%
【0303】
200℃での熱貯蔵後の機械的特性
【表10】

【0304】
【表11】

【0305】
【表12】

【0306】
220℃での熱貯蔵後の機械的特性
【表13】

【0307】
【表14】

【0308】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)熱可塑性ポリアミド10〜98質量%、
b)高度に分岐したメラミンポリマー又はメラミン尿素ポリマー又はそれらの混合物0.01〜20質量%、
C)更なる添加剤0〜70質量%
を含有し、その際、成分A)〜C)の質量パーセントの合計が100%である、熱可塑性成形材料。
【請求項2】
繊維状又は粒子状の添加剤C1 1〜50質量%を含有する、請求項1記載の熱可塑性成形材料。
【請求項3】
銅含有安定剤C3 0.05〜3質量%を含有する、請求項1又は2記載の熱可塑性成形材料。
【請求項4】
前記成分B)が、10〜99.9%の分岐度を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項5】
前記成分B)が、100〜900mg KOH/gのアミン価(DIN 53176)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項6】
前記成分B)が、1000〜40000g/モルの数平均分子量Mnを有する(GPC)、請求項1から5までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項7】
前記成分B)が、1500〜150000g/モルの重量平均分子量Mwを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項8】
最大10μm(d50値)の粒径を有する鉄粉(成分C5)0.001〜20質量%を含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項9】
任意の種類の繊維、シート及び成形体を製造するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料の使用。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料から得られる、繊維、シート及び成形体。

【公表番号】特表2013−521393(P2013−521393A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556467(P2012−556467)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053348
【国際公開番号】WO2011/110508
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】