説明

耐衝撃複合部材およびその製造方法

【課題】硬度や破壊靱性が大きく、割れても破片が飛散しにくい軽量な耐衝撃複合部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】耐衝撃複合部材1は、衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する耐衝撃複合部材であって、金属基複合材料からなる基体2と、網目状に形成され、基体に埋設されている金属メッシュ3と、を備える。このように、耐衝撃複合部材1は、基体2に金属基複合材料を用いているため、軽量で、その硬度や破壊靱性が大きくなる。また、金属メッシュ3が埋設されているため、割れたときに破片が飛散し難い。その結果、たとえば銃弾が当たったとき、銃弾を破壊してその貫通を阻止し、割れた破片の飛散を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する耐衝撃複合部材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銃弾による衝撃等、極めて局所的な衝撃に耐えうる耐衝撃部材には、繊維、高強度鋼、セラミックス、セラミック焼結体と固化材との複合材料およびそれらを組み合わせたものを材料として使用する部材が提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1記載の耐衝撃性繊維強化複合材は、高強度繊維にて形成される繊維シートと、マトリックス樹脂とを有し、マトリックス樹脂として、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を含有する。また、特許文献2記載の耐多重脅威貫通性物品は、繊維から製造され、それぞれ熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合物を含んでなるポリマーマトリックスで実質的に囲まれた布の複数の層と、含浸された、繊維から製造された布の複数の層と繊維から製造された織布の複数の層とを含んで形成されている。
【特許文献1】国際公開第04/068059号パンフレット
【特許文献2】特表2005−513287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、繊維を用いた部材では硬度が小さく、高強度鋼の部材では重量が大きく、セラミック部材では破壊靱性が小さい。したがって、上記のような材料では、軽量であって、銃弾などの貫通を阻止し、かつ銃弾による割れや破片の飛散を防止することができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、硬度や破壊靱性が大きく、割れても破片が飛散し難い軽量な耐衝撃複合部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る耐衝撃複合部材は、衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する耐衝撃複合部材であって、金属基複合材料からなる基体と、網目状に形成され、前記基体に埋設されている金属メッシュと、を備えることを特徴としている。
【0007】
このように、本発明の耐衝撃複合部材は、基体に金属基複合材料を用いているため、軽量で、その硬度や破壊靱性が大きくなる。また、金属メッシュが埋設されているため、割れたときに破片が飛散し難い。その結果、たとえば銃弾が当たったとき、銃弾を破壊してその貫通を阻止し、割れた破片の飛散を防止する。
【0008】
(2)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記金属基複合材料は、SiC、Al、AlN、Siのうちの少なくとも一つのセラミックで形成され、45%以上70%以下の体積率を有する強化材と、前記強化材を内包し、アルミニウムおよびマグネシウムの少なくとも一方からなる母材とを含むことを特徴としている。
【0009】
このように、金属基複合材料は、45%以上70%以下の体積率でSiC、Al2O3、AlNのうちの少なくとも一つのセラミックを強化材として含む。これにより、基体の強度、硬度、靭性等が向上し、耐衝撃複合部材は割れ難くなる。
【0010】
(3)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記金属メッシュの網目を形成する線の線径は、0.1mm以上3.0mm以下であることを特徴としている。これにより、基体が割れた場合でも基体の破片が飛散しにくくなるとともに、金属基複合材料の特性を損なわない。
【0011】
(4)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記金属メッシュは、1mm以上10mm以下の目開きを有することを特徴としている。たとえばピアノ線のような強度の高い金属線により形成された金属メッシュが用いられた場合には、このように目開きを細かくすることで弾丸の貫通を防止する機能が向上する。
【0012】
(5)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記金属メッシュは、炭素鋼、ステンレス、ニッケル基合金またはチタンのいずれかにより形成されていることを特徴としている。このような強度の高い材質の金属メッシュを用いることで、たとえば弾丸等の貫通防止力が向上する。
【0013】
(6)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記金属メッシュは、複数枚重ねて埋設されており、互いに隣接する前記金属メッシュ同士の間隔は、5mm以下であることを特徴としている。これにより、各金属メッシュの面に垂直な亀裂が入りにくくなり、さらに破片の飛散が防止される。
【0014】
(7)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記基体および金属メッシュにより層状に形成された本体層の少なくとも片面に、前記金属基複合材料に含まれる金属と同組成で、接合層を介さず一体化して形成される補助層を、更に備えることを特徴としている。
【0015】
これにより、本体層が割れた場合でも、その片面の補助層により破片が飛散しにくくなる。また、補助層は、金属基複合材料に含まれる金属と同組成で形成され、一体に形成可能であるため、両層の間に接合層を介さずに製造可能である。したがって、製造が容易になる。
【0016】
(8)また、本発明に係る耐衝撃複合部材の製造方法は、金属基複合材料の基体と金属メッシュとを備え、衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する耐衝撃複合部材の製造方法であって、容器内に金属メッシュを設置するメッシュ設置工程と、前記金属基複合材料の強化材に用いるセラミック粉末のスラリーを流し込むスラリー流入工程と、前記流し込まれたスラリーを脱型し仮焼することでプリフォームを作製するプリフォーム作製工程と、前記金属基複合材料の母材となる金属を溶融させ、その溶融金属を前記容器内に流し込む金属流入工程と、前記溶融金属を前記プリフォームに浸透させる浸透工程と、を含むことを特徴としている。
【0017】
このように本発明の耐衝撃複合部材の製造方法では、金属メッシュを設置しておき、プリフォームで金属メッシュを埋めて、母材の溶融金属を浸透させる。これにより、容易に硬度や靭性の優れた耐衝撃複合部材を製造することができる。
【0018】
(9)また、本発明に係る耐衝撃複合部材は、前記設置工程では、各金属メッシュ間にプリフォームのスペーサーを設置して、複数の金属メッシュを設置することを特徴としている。これにより、容易に、複数の金属メッシュ間の間隔を調整して耐衝撃複合部材を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基体に金属基複合材料を用いているため、軽量で、その硬度や破壊靱性が大きくなる。また、金属メッシュが埋設されているため、割れたときに破片が飛散し難い。その結果、たとえば銃弾が当たったとき、銃弾を破壊してその貫通を阻止し、割れた破片の飛散を防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
[実施形態1]
(耐衝撃複合部材の構成)
図1(a)、(b)は、それぞれ耐衝撃複合部材1を示す平面図および断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す断面1bを矢印方向に見た図である。耐衝撃複合部材1は、衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する部材であり、防弾チョッキや防弾壁等に用いられる。図1に示すように、耐衝撃複合部材1は、基体2および金属メッシュ3から構成されている。耐衝撃複合部材1は、金属メッシュ3が埋設されているため、基体2が割れたときでも破片が飛散し難い。また、衝撃を分散させる効果もある。
【0022】
基体2は、セラミックスの強化材および金属の母材から構成される金属基複合材料である。このように、基体2に金属基複合材料を用いているため、耐衝撃複合部材1は軽量であり、金属基複合材料は、強化材と、強化材を内包する金属の母材で形成される。これにより、基体2の強度、硬度、靭性等が向上し、耐衝撃複合部材1は割れ難くなる。強化材は、基体2において45%以上70%以下の体積率であることが好ましい。また、強化材は、SiC、Al、AlN、Siのうちの少なくとも一つのセラミックスで形成されることが好ましい。金属基複合材料の母材は、アルミニウムおよびマグネシウムの少なくとも一方で形成されることが好ましい。たとえば、本発明者らによりSiCの強化材とアルミニウムの母材とを有する金属基複合材料を用いた耐衝撃複合部材1を形成した実験がすでに行われている。なお、金属には、金属単体および金属合金が含まれる。
【0023】
金属メッシュ3は、複数の金属製の線により網目状に形成された網目部材、またはエキスパンドメタルの様に薄板にスリットを入れ、引き延ばした網目部材である。金属メッシュ3は、基体2の内部に複数枚重ねて埋設されている。金属メッシュ3の網目を形成する線の線径は、0.1mm以上3.0mm以下であり、特に約0.6mmのものが適している。金属メッシュ3は、1mm以上10mm以下の目開きを有する。これにより、基体2が割れた場合でも基体2の破片が飛散しにくくなり、割れの進展も防止されるため、基体2の金属基複合材料の特性が損なわれ難くなる。なお、金属メッシュ3の目開きは、5.56mm以下であることが好ましい。標準的な細身の弾丸の径が5.56mmであるため、金属メッシュ3の目開きを5.56mm以下とすることで弾丸の貫通を防止する機能が向上する。その場合には、たとえばピアノ線のような強度の高い金属線により形成された金属メッシュ3が用いられた場合には、さらに効果がある。
【0024】
金属メッシュ3の網目を形成する線は、10%以上の延性を有する金属で形成されており、たとえば、炭素鋼、ステンレス、ニッケル基合金またはチタンのいずれかにより形成されている。これにより、基体2が割れた場合でも金属の延性により基体2の破片が飛散しにくくなる。金属メッシュ3の材料は、金属基複合材料の母材の溶融金属36に溶け出したり反応したりすることのないものが好ましい。金属メッシュ3の材料は、金属基複合材料の母材の金属とは異なる。
【0025】
基体2には、複数枚の金属メッシュ3が埋設されている。これにより、各金属メッシュ3の埋設面に垂直な亀裂が入りにくくなり、さらに破片の飛散が防止される。また、互いに隣接する金属メッシュ同士の間隔は、5mm以下である。金属メッシュ同士の間隔は、5mm以下2mm以上であることが好ましい。なお、金属メッシュ3の目の向きを交互に変えて埋設することで銃弾等の貫通防止効果を高めることができる。
【0026】
(耐衝撃複合部材の製造方法)
次に上記のように構成されている耐衝撃複合部材1の製造方法について説明する。図2(a)〜(c)、図3(d)〜(f)、図4(g)〜(i)は、耐衝撃複合部材1の製造工程を示す断面図である。まず、金属基複合材料の強化材に用いるセラミック粉末のスラリー16を作製する(スラリー作製工程)。次に、ゴム型10内に金属メッシュ3を設置する(メッシュ設置工程)。プリフォームのピース13をスペーサーとして各金属メッシュ3の間に設置して、複数の金属メッシュ3を、所定間隔を置きながら重ねて設置するのが好ましい。なお、プリフォームのピース13を置かずに金属メッシュ3を重ねてもよい。プリフォームのピース13は、強化材として用いるセラミック粉末の成形体を仮焼したものである。このピース13により、金属メッシュ3の間隔を調整して耐衝撃性に優れた耐衝撃複合部材1を製造することができる。
【0027】
次に、図2(a)に示すように、上記のスラリー16を石膏型等の吸水性の型10に流し込む(スラリー流入工程)。スラリー16は均一に行き渡りセラミックパウダーが金属メッシュ3の網目に入る。このように、設置した金属メッシュ3にスラリー16を行き渡らせることで、硬度や靭性の優れた耐衝撃複合部材1を製造することができる。吸水された成形体31は脱型される(脱型工程)。
【0028】
脱型した成形体31を、図3(d)に示すように、炉30において800℃以上で仮焼することにより、プリフォーム41を作製する(プリフォーム作製工程)。この際に、必要があれば、プリフォーム41を所望の形状に生加工することができる。金属の浸透前に加工するため、加工が簡易である。次に、プリフォーム41を600℃以上(浸透させる金属の融点以上の温度)で予熱する。予熱したプリフォーム41を金属浸透用の型40に設置する。そして、図3(e)に示すように、600℃以上の溶融金属36を型40に流し込む(金属流入工程)。溶融金属36は、金属基複合材料の母材となるものを用いる。そして、図3(f)に示すように、600℃以上の溶融金属36を10MPa以上の圧力で加圧して、プリフォーム41に浸透させる(浸透工程)。溶融金属の流し込みから浸透までの時間は短いため、金属メッシュ3の金属が溶融金属36に拡散することはない。
【0029】
浸透工程後、図4(g)に示すように、型40から得られた加工前の耐衝撃複合部材51を脱型する。このとき得られたものは、金属基複合材料の部分が金属部分55に覆われた部材である。そして、図4(h)に示すように、側面の金属部分55を削除する加工を行う(加工工程)。これにより、後述する二層の耐衝撃複合部材61を製造することができる。耐衝撃複合部材61は、本体層64と補助層65(金属部分55)から構成されている。さらに、図4(i)に示すように、二層の耐衝撃複合部材61の金属部分55を削除することにより、図1に示すような耐衝撃複合部材1が得られる。本体層64のみ残すことで薄くて軽い耐衝撃複合部材1が得られる。
【0030】
耐衝撃複合部材61は、たとえば銃弾による極めて大きな局所的衝撃に対し、弾丸を破壊するのに十分な硬度、弾性率を有する金属基複合材料により弾丸の貫通を防止することができる。金属基複合材料が破壊されることにより局所的に生じた衝撃エネルギーが分散するため、たとえば防弾服などに用いた場合、人体への影響を最小限に抑えることも可能である。さらに内包している網目状の金属材料が金属基複合材料の飛散を防止することにより、機関銃などにより連続して撃ち込まれる数発の弾丸による衝撃防止にも効果的である。
【0031】
また、耐衝撃複合部材1は、高強度鋼ほどの硬度や剛性率を有していないが、弾丸を破壊し貫通を防止するには十分な特性を有している。その一方で、耐衝撃複合部材1は、軽量であり、たとえばSiCの強化材とアルミニウムの母材で構成された複合材料が用いられた場合、耐衝撃複合部材1の重量は高強度鋼のものの40%以下である。耐衝撃複合部材1の破壊靭性もセラミックスのものより高い。たとえば弾丸の衝撃により、耐衝撃複合部材1に破壊は生じるがセラミック部材ほど粉々になることは無い。さらには、耐衝撃複合部材1は内包する網目状の金属メッシュ3により破壊された部材の飛散が防止される。
【0032】
[実施形態2]
上記の耐衝撃複合部材1は、その全体が基体2および金属メッシュ3により層状に形成されているが、このような層を本体層64としての本体層64の少なくとも片面に、更に金属の補助層65を備えていてもよい。図5は、補助層65を備える耐衝撃複合部材61の断面図である。耐衝撃複合部材61の補助層65は、金属基複合材料に含まれる金属と同組成で接合層を介さず一体化して形成されている。これにより、本体層64が割れた場合でも、その片面の補助層65により破片が飛散しにくくなる。また、補助層65により十分に衝撃が吸収される。たとえば防弾服などに用いた場合、本体層64の複合材料の破壊時の衝撃を金属が吸収し、さらに人体への影響を抑える効果がある。
【0033】
このような耐衝撃複合部材61を製造するには、あらかじめ本体層64の厚みに設計されたプリフォーム41を用意しておき、上記の実施形態の製造工程と同様にプリフォーム41への浸透分と補助層65の分の溶融金属36をプリフォーム41に浸透させる。そして、型40から取り出した耐衝撃複合部材51に、補助層65となる金属部分55を残して加工することで、耐衝撃複合部材61が得られる。なお、補助層65は、金属基複合材料に含まれる金属と同組成で形成され、一体に形成されるため、両層の間に接合層を介さずに製造可能である。また、一体に形成するため、低コストで製造することができる。
【0034】
なお、上記の例では、本体層64および補助層65が同じ金属の母材により一体化しているが、本体層64に別の金属による板状体を接合してもよい。その場合には、弾丸の貫通阻止能力が向上し、接合層により衝撃の吸収を高めることができる。
【実施例】
【0035】
耐衝撃複合部材1について、NIJ規格に準じる防弾試験を行った。SiCを強化材とし、アルミニウムを母材とする基体2に、ステンレス製の金属メッシュ3を埋設した耐衝撃複合部材1を用いた。ステンレス製の金属メッシュ3として、線径0.61mmで、目開き2.57mmのものを用いた。実施例として2つの耐衝撃複合部材1の板状体を作製し、一方にはステンレス製の金属メッシュ3を間隔2mmで4枚重ねて埋設し、他方にはステンレス製の金属メッシュ3を間隔なしで8枚重ねて埋設した。耐衝撃複合部材1の板状体の厚みは、10mmに調整した。また、比較例として、上記の耐衝撃複合部材1と同様の金属基複合材料で形成され、金属メッシュ3を埋設していない同じ寸法の板状体を作製した。
【0036】
このように構成された衝撃複合部材1の板状体と、金属基複合材料で形成され金属メッシュ3を埋設していない同じ寸法の板状体を準備した。そして、それぞれの板状体の4つの角を金属枠で固定し、板状体の中央に銃弾を撃ち込んだ。7.62mm弾を速度800mm/secで狙撃した。
【0037】
その結果、金属メッシュ3を埋設していない板状体は、着弾部に穴があき、穴から放射状に板状体の周縁まで亀裂が生じ、バラバラとなった。一方、衝撃複合部材1の板状体については、いずれも着弾部に穴が開いたものの、穴の周辺に亀裂が発生せず、板状体が割れることはなかった。したがって、衝撃複合部材1については、割れたときに破片が飛散し難いことが分かった。また、機関銃などにより連続して撃ち込まれる数発の弾丸による衝撃防止にも効果的であることが示された。なお、この結果から、耐衝撃複合部材1の耐衝撃レベルは、NIJ規格でレベル3に相当することが分かった。このように、本発明の衝撃複合部材1が耐衝撃性に優れ、割れの進展や破片の飛散を防止する効果があることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)、(b)それぞれ実施形態1に係る耐衝撃複合部材を示す平面図および断面図である。
【図2】(a)〜(c)実施形態1に係る耐衝撃複合部材の製造工程を示す断面図である。
【図3】(d)〜(f)実施形態1に係る耐衝撃複合部材の製造工程を示す断面図である。
【図4】(g)〜(i)実施形態1に係る耐衝撃複合部材の製造工程を示す断面図である。
【図5】実施形態2に係る耐衝撃複合部材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 耐衝撃複合部材
2 基体
3 金属メッシュ
10 ゴム型
13 ピース
16 スラリー
25 振動台
30 炉
31 成形体
36 溶融金属
40 型
41 プリフォーム
51 加工前の耐衝撃複合部材
55 金属部分
61 二層の耐衝撃複合部材
64 本体層
65 補助層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する耐衝撃複合部材であって、
金属基複合材料からなる基体と、
網目状に形成され、前記基体に埋設されている金属メッシュと、を備えることを特徴とする耐衝撃複合部材。
【請求項2】
前記金属基複合材料は、SiC、Al、AlN、Siのうちの少なくとも一つのセラミックで形成され、45%以上70%以下の体積率を有する強化材と、前記強化材を内包し、アルミニウムおよびマグネシウムの少なくとも一方からなる母材とを含むことを特徴とする請求項1記載の耐衝撃複合部材。
【請求項3】
前記金属メッシュの網目を形成する線の線径は、0.1mm以上3.0mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の耐衝撃複合部材。
【請求項4】
前記金属メッシュは、1mm以上10mm以下の目開きを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐衝撃複合部材。
【請求項5】
前記金属メッシュは、炭素鋼、ステンレス、ニッケル基合金またはチタンのいずれかにより形成されていることを特徴としている請求項1から請求項4のいずれかに記載の耐衝撃複合部材。
【請求項6】
前記金属メッシュは、複数枚重ねて埋設されており、
互いに隣接する前記金属メッシュ同士の間隔は、5mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の耐衝撃複合部材。
【請求項7】
前記基体および金属メッシュにより層状に形成された本体層の少なくとも片面に、前記金属基複合材料に含まれる金属と同組成で、接合層を介さず一体化して形成される補助層を、更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の耐衝撃複合部材。
【請求項8】
金属基複合材料の基体と金属メッシュとを備え、衝撃に対して破壊または破片飛散を防止する耐衝撃複合部材の製造方法であって、
容器内に金属メッシュを設置するメッシュ設置工程と、
前記金属基複合材料の強化材に用いるセラミック粉末のスラリーを流し込むスラリー流入工程と、
前記流し込まれたスラリーを脱型し仮焼することでプリフォームを作製するプリフォーム作製工程と、
前記金属基複合材料の母材となる金属を溶融させ、その溶融金属を前記容器内に流し込む金属流入工程と、
前記溶融金属を前記プリフォームに浸透させる浸透工程と、を含むことを特徴とする耐衝撃複合部材の製造方法。
【請求項9】
前記設置工程では、各金属メッシュ間にプリフォームのスペーサーを設置して、複数の金属メッシュを設置することを特徴とする請求項8記載の耐衝撃複合部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−241306(P2009−241306A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88474(P2008−88474)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】