説明

耐酸化性黒鉛材料及びその製造方法

【課題】様々な黒鉛材料の形態に適用できる簡易な手法で、黒鉛の優れた特性を損なうことなく、耐酸化特性を向上させた黒鉛材料を提供する。
【解決手段】リン酸塩処理されることにより耐酸化性を向上させた黒鉛材料であって、リン酸塩化合物がMP14で示されるウルトラリン酸塩化合物であり、該ウルトラリン酸塩化合物で黒鉛材料の表面が処理されていることを特徴とする黒鉛材料、及びその製造方法。
【効果】簡易な手法を用いた少量のウルトラリン酸塩処理で、黒鉛材料の持つ優れた特性を損なうことなく耐酸化性能を飛躍的に向上した黒鉛材料を製造し、提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐酸化性黒鉛材料及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、黒鉛材料に少量のウルトラリン酸塩化合物による処理を施すことで、黒鉛材料の特性を劣化させることなく、耐酸化性を向上させた黒鉛材料を製造する方法及びその耐酸化性黒鉛材料に関するものである。本発明は、黒鉛材料の形態に制限されることなく適用可能で、黒鉛材料の特性を劣化させることなく、耐酸化性を向上させることを可能とする耐酸化性黒鉛材料の製造方法及びその製品を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
黒鉛材料は、耐熱性、軽量、化学的安定性、優れた熱伝導性や電気伝導性、溶融金属に濡れにくい、自己潤滑性等の特性を有することから、耐火物れんが、るつぼや潤滑剤として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、黒鉛材料は、一般的に、500℃程度から酸化し、上記の黒鉛材料の優れた特性が失われるため、高温大気中での使用は難しく、非酸化性雰囲気で使用される。そのため、黒鉛材料の酸化による特性の低下を防止するため、黒鉛材料の耐酸化性を向上させる種々の検討がなされてきた。
【0004】
先行技術として、例えば、炭素材料にリン酸を含浸させて耐酸化性を向上させること(特許文献1)、炭素材料にリン酸金属塩を含浸させて耐酸化性を向上させること(特許文献2)、リチウム化合物あるいはリン酸化合物を炭素材料に含浸し、気孔部の表面にこれらの被膜を形成し、耐酸化性を向上させること(特許文献3)、グラファイト成形体にリン酸カルシウム溶液を含浸・熱処理することにより、耐酸化性を向上させること(特許文献4)、炭素材料の表面にガラス質層及びセラミック等の耐酸化保護層を形成すること(特許文献5)、が提案されている。
【0005】
しかし、上記のいずれの方法も、酸化抑制材を被覆、含浸といった方法が主であり、バルク形状の黒鉛材料には有効であるが、粒状、粉末状等の黒鉛材料には適用できない。また、黒鉛材料上に耐酸化皮膜を形成する方法や酸化抑制材を多量に使用する方法は、黒鉛材料の持つ優れた低摩擦特性を損ってしまうという課題を有していた。更に、酸化抑制材であるリン酸化合物等は、耐熱性、高温安定性に劣っているものが多く、黒鉛材料の耐酸化性の向上は十分とは言えない。
【0006】
【特許文献1】特開昭56−16575号公報
【特許文献2】特開平7−41376号公報
【特許文献3】特開平9−87067号公報
【特許文献4】特開平10−226573号公報
【特許文献5】特開2000−351683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題を抜本的に解決することを可能とする、耐酸化性に優れる黒鉛材料を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、耐熱性、高温安定性に優れたウルトラリン酸塩に注目し、水溶液を用いたウルトラリン酸塩処理を黒鉛材料に施すことにより、少量のウルトラリン酸塩処理で、黒鉛材料の特性を劣化させることなく、耐酸化性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、できるだけ少量の酸化抑制材としてウルトラリン酸塩を使用し、該ウルトラリン酸塩による処理を施すことで、様々な黒鉛の形態に適用できる簡易な手法で、黒鉛の優れた特性を低下させることなく、耐酸化特性を向上させた黒鉛材料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)リン酸塩処理されることにより耐酸化性を向上させた黒鉛材料であって、リン酸塩化合物がMP14で示されるウルトラリン酸塩化合物であり、該ウルトラリン酸塩化合物で黒鉛材料の表面が処理されていることを特徴とする黒鉛材料。
(2)少なくとも黒鉛材料の基底面部の端部が、ウルトラリン酸化合物により修飾されている、前記(1)に記載の黒鉛材料。
(3)上記ウルトラリン酸塩化合物の式中のMが、ビスマス及び希土類元素の少なくとも1種である、前記(1)に記載の黒鉛材料。
(4)耐酸化性を向上させた黒鉛材料を製造する方法であって、黒鉛材料をMP14で示されるウルトラリン酸塩化合物で処理した後、熱処理することを特徴とする黒鉛材料の製造方法。
(5)上記ウルトラリン酸塩化合物の濃度が、原料中のMPO換算で1wt%以上である、前記(4)に記載の黒鉛材料の製造方法。
(6)上記ウルトラリン酸塩化合物の原料溶液中のリン/金属モル比が、少なくとも5である、前記(5)に記載の黒鉛材料の製造方法。
(7)黒鉛材料をリン酸塩溶液に浸漬後、熱処理を施すことによって、黒鉛にリン酸塩を被覆あるいは結合させた耐酸化性黒鉛材料を製造する方法であって、上記黒鉛材料を、リン酸源溶液に浸漬する工程と、金属(M)源を含む溶液に浸漬する工程を分離して行うことを特徴とする耐酸化性黒鉛材料の製造方法。
(8)上記リン酸源が、リン酸、オキシ塩化リン、又はリン酸トリエチルであり、上記金属(M)源が、硝酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド、シュウ酸塩、又は硫酸塩である、前記(7)に記載の耐酸化性黒鉛材料の製造方法。
【0009】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、リン酸塩処理されることにより耐酸化性を向上させた黒鉛材料であって、リン酸塩化合物がMP14で示されるウルトラリン酸塩化合物であり、該ウルトラリン酸塩化合物で黒鉛材料の表面が処理されていることを特徴とするものである。また、本発明は、上記ウルトラリン酸塩化合物の原料溶液中のリン/金属モル比が、5以上であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明で対象となる黒鉛材料の形態としては、好適には、例えば、繊維状、粉末状、粒状、バルク状等が挙げられ、これらの形態の単一或いは複合した黒鉛材料を用いることができる。また、黒鉛材料は、熱処理温度及び結晶性の違いにより、大きくは黒鉛質と炭素質(無定形炭素)に分けられるが、本発明では、どちらの材料も用いることができる。以下においては、黒鉛粉末への耐酸化性の付与方法の適用例について詳細に説明するが、本発明に係わる黒鉛材料は、何ら黒鉛粉末に限定されるものではない。
【0011】
本発明では、酸化抑制材の成分がウルトラリン酸塩(MP14)であることを特徴とする。ウルトラリン酸塩化合物式中のMは、Bi及びLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Ho、Tb、Dy、Er、Tm、Yb、Lu、Y等の希土類元素の少なくとも1種が用いられる。ウルトラリン酸塩は、三次元網目状重合体であり、耐熱性、高温安定性に優れる化合物である。本発明は、ウルトラリン酸塩化合物としては、文献でウルトラリン酸塩と呼ばれている公知の化合物を使用することができる[文献:J.Soc.,Powder Technol.,Japan,43,355−361(2006)]。
【0012】
このウルトラリン酸塩処理黒鉛粉末は、黒鉛粉末をリン酸源及び金属源を含有する溶液によって処理することにより、作製することができる。溶液の原料としては、リン酸源として、リン酸、オキシ塩化リン、リン酸トリエチル等が挙げられ、金属源として、硝酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド、シュウ酸塩、硫酸塩等が挙げられる。また、溶液の溶媒として、純水、エタノール等が挙げられる。
【0013】
本発明では、溶液の濃度は、MPO換算で1wt%以上となるように調製すればよく、形態により濃度を任意に決めることが可能である。また、溶液は、リン酸源及び金属源の混合溶液、或いは、リン酸源溶液と金属源溶液を分けた溶液処理が可能であるが、リン酸源溶液で黒鉛粉末を処理後、金属源溶液で処理することが望ましい。また、リン/金属モル比は、5以上とすることが望ましい。
【0014】
本発明の耐酸化性に優れた黒鉛粉末は、上記溶液処理した黒鉛粉末を、乾燥・解砕後、不活性雰囲気中、600℃〜900℃で熱処理することにより得られる。熱処理条件は、窒素中、800℃が好適である。
【0015】
上記手法により調製した黒鉛粉末は、表面にウルトラリン酸塩が点在しており、特に黒鉛の酸化開始点(活性点)上、すなわち、黒鉛の基底面部の端部が、ウルトラリン酸塩により修飾されている。黒鉛の端部へのウルトラリン酸塩の存在により、外部の酸素が黒鉛材料の活性点に結合し難くなり、耐酸化性が飛躍的に向上する。
【0016】
そのため、黒鉛粉末上をすべて覆うことなく、少量のウルトラリン酸塩処理で、黒鉛の持つ優れた特性を劣化させることなく、黒鉛粉末の耐酸化性を向上させることが可能となる。ウルトラリン酸塩は、三次元網目状重合体であるため、通常、リン酸塩よりも複雑な構造であり、この構造が立体障害となるため、黒鉛の活性点と酸素との結合を阻害するのに好適である。
【0017】
黒鉛材料は、一般に、500℃程度から酸化し、黒鉛材料の特性が失われるため、高温大気中での使用は難しく、非酸化性雰囲気で使用せざるを得ない状況にあった。これに対し、本発明は、水溶性を用いたウルトラリン酸塩処理を黒鉛材料に施すことにより、少量のウルトラリン酸塩処理で、黒鉛材料の特性を劣化させることなく、耐酸化性を向上させた黒鉛材料を作製し、提供することを実現したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)耐酸化性を向上させた黒鉛材料を提供することができる。
(2)簡易な手法を用いた少量のウルトラリン酸塩処理で、黒鉛材料の持つ優れた特性を損なうことなく、耐酸化性能を飛躍的に向上した黒鉛材料を製造し、提供することができる。
(3)様々な形態の黒鉛材料に対して耐酸化性の向上が可能である。
(4)黒鉛材料のもつ優れた特性を損うことなく、様々な形態の黒鉛材料に対して耐酸化性の向上が可能となるため、高温大気中での使用が可能な高温固体潤滑材や鍛造用金型等への適用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0020】
黒鉛粉末には、平均粒径100μmの人造黒鉛粉末(8020S、オリエンタル産業製)を用いた。リン酸を純水に添加し、リン酸ランタン(LaPO)換算で1〜30wt%となるように、リン酸水溶液を調製した。このリン酸水溶液に、黒鉛粉末:リン酸水溶液との重量比が3:7となるように、黒鉛粉末を添加し、室温で2時間撹拌した後、硝酸ランタンを添加し、更に、室温で22時間撹拌した。硝酸ランタンは、リン/ランタンのモル比が5となるように添加した。
【0021】
得られた溶液を110℃、24時間、大気中で乾燥後、乳鉢で解砕し、800℃、3h、N中で熱処理した。熱処理後、再度、乳鉢で解砕してウルトラリン酸ランタン処理黒鉛粉末を得た。また、上記と同様な手法で、原料として、三塩化ビスマスとオキシ塩化リン及びトリエトキシイットリウムとリン酸トリエチルを用い、溶媒として、それぞれ純水及びエタノールを用いて、それぞれ、ウルトラリン酸ビスマス及びウルトラリン酸イットリウム処理黒鉛粉末を得た。以下に、ウルトラリン酸ランタン処理黒鉛粉末について説明する。
【0022】
得られたリン酸ランタン処理黒鉛粉末の結晶相をX線回折により同定した。図1に、未処理黒鉛粉末(8020S)及び得られた30wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末のX線回折パターンを示す。黒鉛に起因する回折線の他に、ウルトラリン酸ランタンLaP14に起因する回折線が確認された。未処理黒鉛粉末(8020S)及び得られたリン酸ランタン処理黒鉛粉末について、大気中にて室温から1200℃まで熱重量分析(TG)を行った。
【0023】
図2に、TG曲線を示す。また、TG曲線より得られた酸化開始温度及び酸化終了温度を表1に示す。未処理の黒鉛粉末の酸化開始温度及び酸化終了温度は、それぞれ約590℃及び995℃であったのに対し、リン酸ランタン処理を施した黒鉛粉末の酸化開始温度及び酸化終了温度は、未処理の黒鉛粉末よりも約100℃高い値を示した。また、1wt%のリン酸ランタン処理で耐酸化性は向上し、黒鉛粉末の酸化開始温度及び酸化終了温度は、リン酸ランタンの濃度に依存せず、ほぼ等しい値を示した。
【0024】
【表1】

【0025】
未処理黒鉛粉末、1wt%及び10wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末について、900℃、1時間、大気中の条件下で熱処理し、酸化試験を行い、重量減少を評価した。試料の重量減少量と試料中の黒鉛粉末の質量(酸化前)より、酸化率(%)を算出した。表2に、900℃、1時間、大気中での酸化試験での酸化率、図3に、酸化試験前後の外観を示す。未処理の黒鉛粉末の酸化率は、85%であったのに対し、1wt%又は10wt%のリン酸ランタン処理した黒鉛粉末の酸化率は、63〜65%であり、耐酸化性が向上した。
【0026】
【表2】

【0027】
未処理黒鉛粉末及び1wt%及び10wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真及び反射電子像を図4に示す。SEM観察において、未処理黒鉛粉末及びリン酸ランタン処理黒鉛粉末の外観には大きな差は認められなかった。反射電子像において、白色に見える箇所はLaP14の存在を示している。1wt%のリン酸ランタン処理黒鉛粉末では、LaP14が黒鉛粉末表面に点在しているが、10wt%のリン酸ランタン処理黒鉛粉末では、黒鉛粉末表面に存在するLaP14の量も増加し、黒鉛粉末の表面が覆われている箇所も見られた。
【0028】
図5に、LaP14単体及び5wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末の赤外吸収スペクトルを示す。5wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末において、LaP14に起因する吸収ピークの一部が、高波数側にシフトあるいは2本に分裂している箇所が見られた。これは、LaP14が単に黒鉛粉末状に存在するのではなく、黒鉛粉末表面近傍に存在するLaP14が、黒鉛粉末の基底面部の端部元素と相互作用しているものと考えられる。
【0029】
以上の結果から、LaP14処理による黒鉛粉末の耐酸化機構は、以下のように考えられる。LaP14が、単に黒鉛粉末上に被覆されている、あるいは黒鉛粉末の周囲に存在しているのであれば、黒鉛の耐酸化温度はLaP14の濃度に依存するはずである。しかし、酸化開始温度及び酸化終了温度がLaP14の濃度に依存せず、1wt%の濃度で50℃〜100℃向上することから、単にLaP14が黒鉛粉末上に存在しているのではなく、黒鉛の酸化開始点(活性点)上、すなわち、黒鉛の基底面部の端部が、LaP14により修飾されているものと考えられる。
【実施例2】
【0030】
平均粒径の異なる2種類の人造黒鉛粉末(AT05S及びAT05、平均粒径54μm及び39μm、いずれもオリエンタル産業製)を用い、実施例1と同様の手法で1wt%のリン酸ランタン処理を施した。
【0031】
未処理黒鉛粉末及び1wt%%リン酸ランタン処理黒鉛粉末について、900℃、1時間、大気中の条件下で熱処理し、酸化試験を行い、重量減少を評価した。表3に、900℃、1時間、大気中での酸化試験での酸化率、図6に、酸化試験前後の外観を示す。未処理のAT05S及びAT05黒鉛粉末の酸化率は、それぞれ93%及び100%であったのに対し、1wt%%のリン酸ランタン処理したAT05S及びAT05黒鉛粉末の酸化率は、それぞれ75%及び86%であり、実施例1と同様に、耐酸化性が向上した。また、ウルトラリン酸塩化合物の式中のMとして他の希土類元素を用いた場合についても同様に耐酸化性が向上した。
【0032】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳述したように、本発明は、耐酸化性黒鉛材料及びその製造方法に係るものであり、本発明により、簡易な手法を用いた少量のウルトラリン酸塩処理で、黒鉛材料の持つ優れた特性を損なうことなく、耐酸化性能を飛躍的に向上した黒鉛材料を製造し、提供することができる。本発明は、黒鉛材料の持つ優れた特性を低下させることなく、しかも、従来法では適用が困難であった、粒状、粉末状等の黒鉛材料に対しても好適に適用することが可能な黒鉛材料を対象とした新しい耐酸化性処理技術を提供するものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】未処理黒鉛粉末(8020S)及び得られた30wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末のX線回折パターンを示す。
【図2】未処理黒鉛粉末(8020S)及び得られたリン酸ランタン処理黒鉛粉末の室温から1200℃までTG曲線を示す。
【図3】900℃、1時間、大気中における未処理黒鉛粉末(8020S)及び1wt%及び10wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末の酸化試験前後の外観を示す。
【図4】未処理黒鉛粉末及び1wt%及び10wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真及び反射電子像を示す。
【図5】LaP14単体及び5wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末の赤外吸収スペクトルを示す。
【図6】900℃、1時間、大気中における未処理黒鉛粉末(AT05S、AT05)及び1wt%リン酸ランタン処理黒鉛粉末の酸化試験前後の外観を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸塩処理されることにより耐酸化性を向上させた黒鉛材料であって、リン酸塩化合物がMP14で示されるウルトラリン酸塩化合物であり、該ウルトラリン酸塩化合物で黒鉛材料の表面が処理されていることを特徴とする黒鉛材料。
【請求項2】
少なくとも黒鉛材料の基底面部の端部が、ウルトラリン酸化合物により修飾されている、請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項3】
上記ウルトラリン酸塩化合物の式中のMが、ビスマス及び希土類元素の少なくとも1種である、請求項1に記載の黒鉛材料。
【請求項4】
耐酸化性を向上させた黒鉛材料を製造する方法であって、黒鉛材料をMP14で示されるウルトラリン酸塩化合物で処理した後、熱処理することを特徴とする黒鉛材料の製造方法。
【請求項5】
上記ウルトラリン酸塩化合物の濃度が、原料中のMPO換算で1wt%以上である、請求項4に記載の黒鉛材料の製造方法。
【請求項6】
上記ウルトラリン酸塩化合物の原料溶液中のリン/金属モル比が、少なくとも5である、請求項5に記載の黒鉛材料の製造方法。
【請求項7】
黒鉛材料をリン酸塩溶液に浸漬後、熱処理を施すことによって、黒鉛にリン酸塩を被覆あるいは結合させた耐酸化性黒鉛材料を製造する方法であって、上記黒鉛材料を、リン酸源溶液に浸漬する工程と、金属(M)源を含む溶液に浸漬する工程を分離して行うことを特徴とする耐酸化性黒鉛材料の製造方法。
【請求項8】
上記リン酸源が、リン酸、オキシ塩化リン、又はリン酸トリエチルであり、上記金属(M)源が、硝酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド、シュウ酸塩、又は硫酸塩である、請求項7に記載の耐酸化性黒鉛材料の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−214112(P2008−214112A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50790(P2007−50790)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】