耐震性能提示システム
【課題】住宅の耐震性能を評価した結果を顧客に容易に提示することができる耐震性能提示システム及び耐震性能提示方法を提供する。
【解決手段】入力手段14により住宅の建物情報及び地理情報を入力し、格納手段15に予め格納された建物の構造データD1及び地盤データD2から入力手段14により入力された建物情報及び地理情報に対応するデータをそれぞれ評価手段16により抽出し、該各データに基づき地震時の住宅の変形状況の解析及び建築地の地盤の診断を格納手段15に格納された地震波データD3を用いて評価手段16により行い、建物の耐震性能の結果及び地盤診断結果を提示する診断報告書30により顧客に提示する。
【解決手段】入力手段14により住宅の建物情報及び地理情報を入力し、格納手段15に予め格納された建物の構造データD1及び地盤データD2から入力手段14により入力された建物情報及び地理情報に対応するデータをそれぞれ評価手段16により抽出し、該各データに基づき地震時の住宅の変形状況の解析及び建築地の地盤の診断を格納手段15に格納された地震波データD3を用いて評価手段16により行い、建物の耐震性能の結果及び地盤診断結果を提示する診断報告書30により顧客に提示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅のような建物の耐震性能を例えばコンピュータにより顧客に提示するための耐震性能提示システム及び耐震性能提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば住宅の耐震性能を評価する評価システムとして、住宅の構造データ、地理データ及び地盤データをコンピュータに入力する入力手段を備え、該入力手段により入力された各データに基づいて住宅の現状の耐震性能を評価する評価システムが知られている例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これにより、例えば専門の技術者が住宅に出向いて耐震診断することにより前記住宅の耐震性能を評価する場合に比べて、住宅の耐震性能を速やかに評価することができる。
【特許文献1】特開2003−147970号(第3−6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の評価システムには、住宅の耐震性能を評価した結果を、例えば住宅建築を検討中の顧客にその場で提示するための提示手段は設けられていなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、建物の耐震性能を評価した結果を顧客に容易に提示することができる耐震性能提示システム及び耐震性能提示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、建物情報を入力する入力手段と、建物の構造データ及び地震波データがそれぞれ予め格納された格納手段と、該格納手段に格納された前記構造データから前記入力手段により入力された前記建物情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地震時の前記建物の変形状況を前記地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価する評価手段と、該評価手段の評価結果を出力する出力手段と、該出力手段により出力された前記建物の耐震性能の結果を提示する提示手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記格納手段には、地盤データが予め格納されており、前記入力手段は、前記建物の建築地の地理情報を入力し、前記評価手段は、前記地理情報が前記入力手段により入力されると、前記地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、前記建築地の地盤診断を行い、前記出力手段は、前記評価手段の地盤診断結果を出力し、前記提示手段は、前記地盤診断結果を提示することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記提示手段は、前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物が建築される地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、建物の耐震性能を提示する方法であって、建物情報を入力すること、入力された前記建物情報に対応するデータを構造データから抽出すること、抽出した前記データに基づき地震時の前記建物の変形状況を地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価すること、評価結果を出力すること、出力された前記建物の耐震性能の結果を提示すること、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記建物情報に加え、前記建物の建築地の地理情報を入力し、地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地盤診断を行い、地盤診断結果を出力し、出力された前記地盤診断結果を提示することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物が建築される地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、評価手段により評価され、出力手段により出力された建物の耐震性能の結果を提示する提示手段を備えることから、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合又は既存の建物の耐震性能を調べる場合に、評価手段で評価された建物の耐震性能を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、入力手段により入力された建物の建築地の地理情報に基づいて建築地の地盤が評価手段により診断され、その地盤診断結果が提示手段により提示されることから、建物の耐震性能に加え、建物の建築地の地盤診断結果を顧客にその場で容易に提示することができる。これにより、例えば建物を建築する予定がある場合、建物の耐震性能の観点からだけでなく、建築予定地の地盤状況の観点から建築計画を立てることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、提示手段が、建物の変形状況に基づき、建物が建築される地盤の補強工事及び建物の構造の改善のための対策を提示し、更に、対策実施後の建物の耐震性能を提示することから、提示手段による提示により、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合には、建築計画をより容易に立てることができ、また、既存の建物の耐震性能を調べる場合には、今後の耐震対策をより容易に検討することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、建物情報を入力し、入力された建物情報に対応するデータを構造データから抽出し、抽出したデータに基づき地震時の建物の変形状況を地震波データを用いて解析することにより建物の耐震性能を評価し、その評価結果を出力し、出力された建物の耐震性能の結果を提示することにより、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合又は既存の建物の耐震性能を調べる場合に、評価手段で評価された建物の耐震性能を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、建物情報に加え、建物の建築地の地理情報を入力し、地盤データから地理情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地盤診断を行い、地盤診断結果を出力し、出力された地盤診断結果を提示することにより、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合又は既存の建物の耐震性能を調べる場合に、評価手段で評価された建物の耐震性能に加え、評価手段で診断された建物の建築地の地盤診断結果を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、建物の前記変形状況に基づき、建物が建築される地盤の補強工事及び建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の建物の耐震性能を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本実施例に係る耐震性能提示システム10を、軸組み構造からなる複数の建物ユニット11で構成されたユニット建物12(図8参照。)の耐震性能を提示するのに用いた例を示す。
【0020】
本発明に係る耐震性能提示システム10は、耐震性能の提示を実行するためのマイクロコンピュータ13を備える。マイクロコンピュータ13は、入力手段14と、該入力手段により入力された各データを格納する格納手段15とを備える。
【0021】
入力手段14は、図示の例では、従来よく知られたキーボードで構成されており、住宅の建物情報及び建築地の地理情報をそれぞれ入力するために用いられる。格納手段15は、図示の例では、従来よく知られたハードディスクドライブのような読み書き可能な記憶媒体で構成されている。格納手段15には、後述するように、格納した各データに基づいて地震時の住宅の変形を模擬的に実験するシミュレーションプログラムPが格納されている。また、格納手段15には、複数の住宅の構造データD1、各地の地盤データD2及び過去に発生した地震の地震波データD3がそれぞれ入力手段14の操作により予め入力され格納されている。
【0022】
更に、マイクロコンピュータ13は、住宅の耐震性能の評価及び建築地の地盤の診断を行う評価手段16と、該評価手段により評価及び診断された結果を出力する出力手段17とを備える。
【0023】
評価手段16は、図示の例では、CPUのような演算装置で構成されており、前記シミュレーションプログラムPを実行するための実行回路Cを備える。評価手段16は、地震時の住宅の変形状況をシミュレーションプログラムPの実行によって解析することにより、住宅の耐震性能を評価し、地盤データD2に基づいて地盤の診断を行う。出力手段17は、図示の例では、モニターのような出力装置で構成されており、図示しない表示画面を有する。
【0024】
本発明に係る耐震性能提示システム10を用いて住宅の耐震性能の評価結果及び地盤診断結果を顧客に提示する例を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0025】
先ず、パスワードの入力(ステップS1)後、図3(a)に示すように、出力手段17の前記表示画面に表示されたウインドウ18上で、「新規のお客様データを作成する。」を選択し、続いて、図3(b)に示すように、ウインドウ19に設けられた入力欄19aに、邸名を入力手段14の操作により入力する(ステップS2)。
【0026】
次に、住宅の地理情報を入力する(ステップS3)。地理情報を入力するためのウインドウ20には、図4に示すように、建物の建築地の都道府県名、市区町村名、町名及び番地を記入するための入力欄20aが設けられている。各入力欄20aには、図示の例では、それぞれ従来よく知られたプルダウンメニュー20bが設けられている。都道府県名、市区町村名、町名及び番地の各データを各プルダウンメニュー20bから選択することにより、各入力欄20aに直接記入することなく建築地の情報を入力することができる。また、このウインドウ20には、地図表示ボタン20cが設けられている。この地図表示ボタン20cを押すと、図示しないが、前記表示画面に日本地図が表示され、地図上で建築地を選択することにより、該建築地の情報を入力することができる。
【0027】
更に、このウインドウ20には、入力された建築地の地震時の揺れやすさを表示する「揺れやすさマップを表示」ボタン20dが設けられている。「揺れやすさマップを表示」ボタン20dを押すと、図5に示すように、前記表示画面に揺れやすさマップ21aを示すウインドウ21が表示される(ステップS4)。揺れやすさマップ21aには、建築地を含む該建築地の周辺の地図が表示されている。また、揺れやすさマップ21aは、地震の発生時の表層地盤の揺れやすさすなわち地盤増幅率に応じて色分けされている。地盤増幅率は、本発明者が先に出願した例えば特願2004−261335号の明細書に記載されていると同様に、格納手段15に格納された地盤データD2のうち、多層地盤からなる表層地盤に含まれる各地層の層厚及びせん断波速度等の地盤データを基に、該地盤データを等価な一層地盤に置き換え、地盤の非線形性を考慮しながら収束計算を行うことにより求めることができる(建設省告示第1457号第7に記載の算定方法である。)。揺れやすさマップ21aの色分けは、格納手段15に格納された地盤データD2に基づいて行われている。この揺れやすさマップ21aにより、地震の発生時に建築地がどの程度揺れやすいのかを容易に確認することができる。揺れやすさマップ21aは、後述する診断報告書の作成のために、格納手段15に格納される(ステップS5)。この揺れやすさマップ21aを図示しないプリンターで印刷することにより(ステップS6)、顧客に提示することができる。
【0028】
建物の地理情報の入力が終了した後、評価対象の住宅の構造の設計条件等の建物情報を入力する。先ず、図6に示すように、ウインドウ22に表示された階層数等の異なる複数の住宅の商品22aの中から、建築予定の住宅の種類を選択する(ステップS7)。ウインドウ22で選択した住宅の階層の数に応じて、建築された住宅の耐震性が変化する。
【0029】
次に、建物の仕様を選択する(ステップS8)。ウインドウ22に設けられた「次へ」ボタン22bを押すことにより、図7に示すように、外壁の種類を選択するためのウインドウ23に進む。図7に示すウインドウ23において、重量及び強度等の異なる外壁の種類を選択する。図7に示すアルミニウム、シンセライト、タイル及びデュラストーンは、それぞれ重量、面内せん断変形に対する剛性等が互いに異なる。
【0030】
続いて、ウインドウ23に設けられた「次へ」ボタン23aを押して、図8に示すように、住宅の屋根の種類を選択するためのウインドウ24に進む。図示の例では、三角屋根又は平屋根を選択することができる。平屋根が設けられた住宅は、三角屋根が設けられた場合に比べて屋根から受ける荷重が小さいので、平屋根を選択した場合、三角屋根を選択した場合に比べて、住宅の耐震性に有利である。
【0031】
その後、図示しないが、住宅の耐震性、耐風性及び耐積雪性等の度合いを示す構造等級の種類を選択する。最後に、入力した設計条件を確認する図示しない確認画面が表示され、該確認画面に設けられた「完了」ボタンを押すことにより、入力した設計条件が格納手段15に格納され、これにより、設計条件の入力が完了する。
【0032】
住宅の構造の設計条件の入力が完了した後、住宅の具体的な形状を設定する。このとき、先ず、図9に示すように、ウインドウ25に設けられた「層」の欄25aで「1階」を選択し、ウインドウ25に設けられた作成部25bで住宅の一階を構成する複数の建物ユニット11の大きさ及び配置を決める(ステップS9)。次に、「層」の欄25aで「2階」を選択し、一階と同様に各建物ユニット11の大きさ及び配置を決める。更に、ウインドウ25上で各建物ユニット11の種類を指定する(ステップS10)。続いて、図10に示すように、各階の各建物ユニット11に窓のような開口部25cを作成部25bで設定し、更に、図11に示すように、屋根25dの形状を作成部25bで設定する(ステップS11)。各建物ユニット11の配置、開口部25cの配置及び屋根25dの形状の設定が終了した後、ウインドウ25に設けられた「耐震診断の実行」ボタン25eを押す(ステップS12)。これにより、設定した各建物ユニット11の配置、開口部25cの配置及び屋根25dの形状が格納手段15に格納され、次のステップに進む。図6乃至図11に示す例に加え、図示しないが、例えば外階段、エレベータ、バルコニー及び太陽光パネル等を住宅に追加するメニューを、各建物ユニット11の配置、開口部25cの配置及び屋根25dの形状を設定するためのウインドウ25に設けることができる。
【0033】
「耐震診断の実行」ボタン25eを押すと、図12に示すように、住宅の耐震性能を解析するためのウインドウ26が前記表示画面に表示される。このウインドウ26には、阪神・淡路大震災のような直下型地震(地震波の最大加速度:820ガル)及び今後想定される東海地震のようなプレート型地震(地震波の最大加速度:1330ガル)のそれぞれの地震波形のうち、建築地に発生する確率の高い地震の波形に類似した地震波形を有する地震が表示される表示部26aが設けられている。表示部26aに表示される地震波形の種類は、入力手段14により入力した地理情報に基づいて地震波データD3から選択される。表示部26aには、図示の例では、阪神・淡路大震災時の直下型地震(地震波の最大加速度:820ガル)が表示されている。
【0034】
また、このウインドウ26には、耐震性能の解析に用いる地震波形の種類を入力すべく該地震波形が表示される入力欄26bが設けられている。入力欄26bには、図示の例では、前記した阪神・淡路大震災のような直下型地震の波形を用いる旨の表示がされている。入力欄26bには、プルダウンメニュー26cが設けられており、直下型地震とは別に、前記したプレート型地震の地震波形を選択することができる(ステップS13)。耐震性能の解析に用いる地震波形を選択した後、ウインドウ26に設けられた「決定」ボタン26dを押す。これにより、住宅の耐震性能の解析が実行される。図12に示す例では、入力欄26bで過去の阪神・淡路大震災の地震波形及び想定東海地震の波形がそれぞれ選択可能である例を示したが、これらに加えて、地震波データD3に含まれる地域毎の地震波形を選択可能とすることができる。
【0035】
住宅の耐震性能の解析は、格納手段15に格納された住宅の建物情報に基づいて評価手段16により行われる。ウインドウ26に設けられた「決定」ボタン26dを押すと、評価手段16は、格納手段15に予め格納された構造データD1から住宅の建物情報及び地理情報に対応するデータを抽出する。また、ウインドウ26に設けられた「決定」ボタン26dを押すと、図13に示すように、入力した種類の波形の地震が実際に発生したときの建築予定の住宅28の変形状況と耐震性能の低い住宅29の変形状況との比較を行うためのウインドウ27が出力手段17の前記表示画面に表示される。両住宅28,29の耐震性能の比較は、評価手段16により抽出された前記データ及びウインドウ26の入力欄26bで選択した地震波データD3に基づいて、格納手段15に格納されたシミュレーションプログラムPを評価手段16に設けられた実行回路Cによって実行することにより行われる。シミュレーションプログラムPの実行により評価された評価結果は、ウインドウ27に表示される。このウインドウ27では、地震発生による両住宅28,29の変形状況を、アニメーションにより表示される(ステップ14)。ウインドウ27には、ウインドウ26の入力欄26bで選択した地震波形が表示される地震波表示欄27bが設けられている。地震波表示欄27bには、地震波の南北方向成分及び東西方向成分の波形がそれぞれ表示されている。各地震波成分を示す線上を図13で見て右から左へ明点が移動することにより各地震波成分の波の動きが示され、この明点の移動に対応して各住宅28,29の変形状態が変化する。更に、図示しないが、ユニット建物12と旧建築基準法で設計された木造の住宅とのそれぞれの地震発生時の変形状況の比較を、評価手段16により行うことができる。このような地震発生時の住宅の変形状況のシミュレーションは、本発明者が先に出願した例えば特願2005−161486号に記載の地震応答解析モデルを用いて行うことができる。
【0036】
更に、本発明に係るマイクロコンピュータ13は、図1に示すように、評価手段16により評価した住宅の耐震性能の結果及び地盤診断結果を顧客に提示するための前記した提示手段を備える。
【0037】
提示手段は、図14(a)乃至図14(e)に示すように、評価手段16により解析、評価及び診断した結果を顧客に報告するための診断報告書30で構成されている。診断報告書30は、変形状況を表示するウインドウ27に設けられた「次へ」ボタン27a(図13参照。)を押すことにより、評価手段16により作成され、出力手段17によりその前記表示画面に表示される。診断報告書30は、図示の例では、合計5頁で構成されている。
【0038】
1頁目31には、図14(a)に示すように、格納手段15に格納された建築地の地理情報と、建築地周辺の想定震度マップ31aとが表示されている。想定震度マップ31aには、建築地及びその周辺に今後30年以内に高い確率で発生が想定される地震の想定震度が、震度毎に色分けされて表示されている。想定震度は、格納手段15に格納された揺れやすさマップ21aに表示された地盤増幅率に、建築地の表層地盤の下に形成された工学的基盤の揺れの大きさをかけ合わせることにより算出される。
【0039】
また、1頁目31には、地震発生時の建築地の想定震度を表示するための表示欄31bが設けられている。表示欄31bに表示される想定震度は、図示の例では、地盤データD2に含まれ文部科学省の地震調査研究推進本部が公開している地域毎の地盤データから、格納手段15に格納された住宅の地理情報に対応するデータを評価手段16によって抽出することにより、該評価手段により判定される。これにより、建築地の地震の危険度を明確に確認することができる。
【0040】
更に、1頁目31には、想定震度に関する評価を表示するための第一の評価欄31cと、地形効果を評価する第二の評価欄31dとが設けられている。第一の評価欄31cには、想定震度と、該想定震度の地震が建築地に発生したときの住宅の揺れの程度と、想定震度に対する住宅の耐震性確保のためのポイントとがそれぞれ表示されている。また、第二の評価欄31dには、建築地が丘上増幅に該当するか否かが表示されている。丘上増幅に該当する地点は、想定震度マップ31a上に「□(白抜きの四角形)」で示されており、建築地が丘上増幅に該当するか否かを想定震度マップ31aでも確認することができる。丘上増幅とは、地震発生時に地面の凹凸に応じて揺れが増幅する現象を言い、特に丘及び尾根等の凸部で起こりやすい。丘上増幅は、本発明者が先に出願した例えば特願2005−168680号の明細書に記載されているように、住宅の建築地とその周辺との標高の差から、建築地が丘上、尾根上の先端及び崖上の端部等に位置するか否か等の地形判定を行い、この地形判定に基づいて算出することができる。更に、第二の評価欄31dには、住宅が丘上に位置する場合に、その建築地の標高と丘の端からの水平方向の建築地の距離との比率である縦横比と、建築地が丘上増幅に該当する場合のポイントとがそれぞれ表示されている。
【0041】
2頁目32には、図14(b)に示すように、1頁目31の表示欄31b及び第一の評価欄31cに表示された想定震度の解説が表示される第一の解説欄32aと、第二の評価欄31dに表示された丘上増幅の解説が表示される第二の解説欄32bとが設けられている。第一の解説欄31aには、想定震度毎の揺れの程度と、想定震度毎の地震時に注意すべきポイントとについて解説されている。第二の解説欄32bには、前記した縦横比と、地震時の注意すべきポイントとについて解説されている。
【0042】
3頁目33は、図14(c)に示すように、建築地の地形区分を示すページである。3頁目33には、建築地及びその周辺の地形区分を示す地形マップ33aが表示されている。各地形区分は、その区分毎に色分けされている。地形区分は、従来よく知られているように、山や河川の状況等から分類された区分であり、図示の例では、入力手段14により入力された住宅の建築地の地理情報と、地盤データD2として格納手段15に格納された建築学会の判定表及び文部科学省公開地形区分とを評価手段16によって照合することにより、該評価手段により判定されている。
【0043】
また、3頁目33には、建築地の地形区分を表示するための表示欄33bが設けられている。更に、3頁目33には、建築地の地形区分に関する評価欄33cが設けられている。評価欄33cには、建築地の地形区分と、該地形区分に予想される地盤状況と、その良否と、地形区分の地盤への補強対策のポイントとがそれぞれ表示されている。
【0044】
4頁目34には、図14(d)に示すように、3頁目33の表示欄33bに表示された地形区分の解説が表示される解説欄34aが設けられている。解説欄34aには、地形区分毎の地形的特徴と、地形区分毎の予想される地盤状況と、地盤の良否の判定結果とが表示されている。地盤の良否は、例えば前記した建築学会の判定表により判定することができる。
【0045】
5頁目35には、図14(e)に示すように、評価手段16により評価された住宅の変形状況に基づき、建築予定の住宅の耐震性能の診断結果を表示する表示欄35aと、耐震性能の解析結果及び判定を表示するための評価欄35bと、その評価の判定基準が記載された判定基準欄35cとが設けられている。表示欄33aには、図12に示すウインドウ26に設けられた入力欄26bに入力した地震波形の地震が建築地に発生したときの住宅の損傷レベルが表示される。判定基準欄35c内には、表示欄33aに表示された損傷レベル毎の住宅の構造の改善対策についての解説が表示される対策欄35dが設けられている。評価欄35b、判定基準欄35c及び対策欄35dに表示された内容に基づいて、建築地のデータ、住宅の建物情報を再度入力することにより、上記のように設計した住宅の耐震性能よりも高い耐震性能を有する住宅を構築することができ、対策実施後の住宅の耐震性能を、提示手段により提示することができる。
【0046】
診断報告書30を顧客に提示する際、例えば図示しないプリンターで印刷することにより、書面によって顧客に提示する(ステップS15)。また、出力手段17の前記表示画面に表示された状態で、診断報告書30を顧客に提示することができる。
【0047】
建築した住宅の各データを既に入力してある場合にその住宅の耐震性能を評価するときは、図3(a)に示したウインドウ18において、「既存のデータを開く」を選択することにより、既存の住宅の耐震性能を評価することができる。
【0048】
本実施例によれば、前記したように、評価手段16により評価され、出力手段17により出力された住宅の耐震性能の結果を提示するための診断報告書30で構成される提示手段を備えることから、例えば耐震性能を考慮して住宅を建築する計画を立てる場合又は既存の住宅の耐震性能を調べる場合に、評価手段16で評価された住宅の耐震性能を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0049】
また、前記したように、入力手段14により入力された住宅の建築地の地理情報に基づいて建築地の地盤が評価手段16により診断され、その地盤診断結果が提示手段により提示されることから、住宅の耐震性能に加え、住宅の建築地の地盤診断結果を顧客にその場で容易に提示することができる。これにより、例えば住宅を建築する予定がある場合、住宅の耐震性能の観点からだけでなく、建築予定地の地盤状況の観点から建築計画を立てることができる。
【0050】
更に、前記したように、診断報告書30には、住宅の変形状況に基づき、住宅が建築される地盤の補強工事及び住宅の構造の改善のための対策が提示されており、更に、対策実施後の住宅の耐震性能が提示されることから、提示手段による提示により、例えば耐震性能を考慮して住宅を建築する計画を立てる場合には、建築計画をより容易に立てることができ、また、既存の住宅の耐震性能を調べる場合には、今後の耐震対策をより容易に検討することができる。
【0051】
本実施例では、住宅の耐震性能の解析に用いる地震波形の種類を選択するためのウインドウが、入力手段14により入力した地理情報に基づいて地震波データD3から選択された地震波形の種類が初期状態で表示される表示部26aと、耐震性能の解析に実際に用いる地震波形の種類を選択して入力する入力欄26bとが設けられたウインドウ26で構成された例を示したが、これに代えて、図15に示すウインドウ36を本発明に適用することができる。
【0052】
図15に示す例では、ウインドウ36には、日本地図36aが表示されている。日本地図36aには、兵庫県南部地震、想定東海地震、中越地震、宮城沖地震、関東大震災、十勝沖地震及び鳥取地震等の過去に発生した主な地震の名前が、各地震の発生した地域に付されている。また、ウインドウ36には、耐震性能の解析に用いる地震の種類を入力するための入力欄36bが設けられている。入力欄36bには、初期状態では、日本地図36aに付された各地震のうち、入力手段14により入力された地理情報に含まれた住所に震源が最も近い地震が表示されている。図示の例では、例えば図示しないマウスを用いてウインドウ36上の所望の地震名にカーソルを移動させ、クリックすることにより、その選択した地震名を入力欄36bに表示することができる。また、入力欄36bには、前記した各地震の中から所望の地震を選択可能なプルダウンメニュー36cが設けられており、これにより、解析に用いる地震をウインドウ36上で選択することに代えて、初期状態で入力欄36bに表示された地震名とは別の地震を選択することができる。
【0053】
耐震性能の解析に用いる地震波形を選択した後、ウインドウ36に設けられた「決定」ボタン36dを押すことにより、前記したと同様に、住宅の耐震性能の解析が実行される。
【0054】
また、本実施例では、住宅の耐震性能の評価結果と建築地の地盤診断結果とをそれぞれ評価手段16により評価し、それらを前記した提示手段により顧客に提示する耐震性能提示システム10に本発明を適用した例を示したが、これに代えて、住宅の耐震性能の評価結果のみを評価手段16により評価し、提示手段により顧客に提示する耐震性能提示システムに本発明を適用することができる。
【0055】
更に、本実施例では、各建物ユニット11が軸組み構造からなる例を示したが、これに代えて、例えば壁、床及び天井がパネルで構成されたパネル構造からなる建物ユニットや非ユニット式の建物を本発明に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る耐震性能提示システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明に係る耐震性能提示システムを用いて建築予定の住宅の耐震性能の評価を顧客に提示する例を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、新規データ作成のためのウインドウを概略的に示す平面図であり、(b)は、邸名を入力するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図4】建築地を入力するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図5】建築地の揺れやすさを示すウインドウを概略的に示す平面図である。
【図6】住宅の商品の種類を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図7】住宅の外壁の種類を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図8】住宅の屋根の種類を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図9】各建物ユニットの配置を設定するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図10】各建物ユニットへの開口部の配置を設定するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図11】屋根の形状を設定するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図12】耐震性能の解析に用いる地震波形を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図13】住宅の変形状況をシミュレーションすることによりアニメーションによって表示されたウインドウを概略的に示す平面図である。
【図14(a)】診断報告書の1頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(b)】診断報告書の2頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(c)】診断報告書の3頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(d)】診断報告書の4頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(e)】診断報告書の5頁目を概略的に示す平面図である。
【図15】図12に示す例とは別の例を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 耐震性能提示システム
14 入力手段
15 格納手段
16 評価手段
30 提示手段(診断報告書)
D1 構造データ
D2 地盤データ
D3 地震波データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅のような建物の耐震性能を例えばコンピュータにより顧客に提示するための耐震性能提示システム及び耐震性能提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば住宅の耐震性能を評価する評価システムとして、住宅の構造データ、地理データ及び地盤データをコンピュータに入力する入力手段を備え、該入力手段により入力された各データに基づいて住宅の現状の耐震性能を評価する評価システムが知られている例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これにより、例えば専門の技術者が住宅に出向いて耐震診断することにより前記住宅の耐震性能を評価する場合に比べて、住宅の耐震性能を速やかに評価することができる。
【特許文献1】特開2003−147970号(第3−6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の評価システムには、住宅の耐震性能を評価した結果を、例えば住宅建築を検討中の顧客にその場で提示するための提示手段は設けられていなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、建物の耐震性能を評価した結果を顧客に容易に提示することができる耐震性能提示システム及び耐震性能提示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、建物情報を入力する入力手段と、建物の構造データ及び地震波データがそれぞれ予め格納された格納手段と、該格納手段に格納された前記構造データから前記入力手段により入力された前記建物情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地震時の前記建物の変形状況を前記地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価する評価手段と、該評価手段の評価結果を出力する出力手段と、該出力手段により出力された前記建物の耐震性能の結果を提示する提示手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記格納手段には、地盤データが予め格納されており、前記入力手段は、前記建物の建築地の地理情報を入力し、前記評価手段は、前記地理情報が前記入力手段により入力されると、前記地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、前記建築地の地盤診断を行い、前記出力手段は、前記評価手段の地盤診断結果を出力し、前記提示手段は、前記地盤診断結果を提示することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記提示手段は、前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物が建築される地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、建物の耐震性能を提示する方法であって、建物情報を入力すること、入力された前記建物情報に対応するデータを構造データから抽出すること、抽出した前記データに基づき地震時の前記建物の変形状況を地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価すること、評価結果を出力すること、出力された前記建物の耐震性能の結果を提示すること、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記建物情報に加え、前記建物の建築地の地理情報を入力し、地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地盤診断を行い、地盤診断結果を出力し、出力された前記地盤診断結果を提示することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物が建築される地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、評価手段により評価され、出力手段により出力された建物の耐震性能の結果を提示する提示手段を備えることから、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合又は既存の建物の耐震性能を調べる場合に、評価手段で評価された建物の耐震性能を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、入力手段により入力された建物の建築地の地理情報に基づいて建築地の地盤が評価手段により診断され、その地盤診断結果が提示手段により提示されることから、建物の耐震性能に加え、建物の建築地の地盤診断結果を顧客にその場で容易に提示することができる。これにより、例えば建物を建築する予定がある場合、建物の耐震性能の観点からだけでなく、建築予定地の地盤状況の観点から建築計画を立てることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、提示手段が、建物の変形状況に基づき、建物が建築される地盤の補強工事及び建物の構造の改善のための対策を提示し、更に、対策実施後の建物の耐震性能を提示することから、提示手段による提示により、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合には、建築計画をより容易に立てることができ、また、既存の建物の耐震性能を調べる場合には、今後の耐震対策をより容易に検討することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、建物情報を入力し、入力された建物情報に対応するデータを構造データから抽出し、抽出したデータに基づき地震時の建物の変形状況を地震波データを用いて解析することにより建物の耐震性能を評価し、その評価結果を出力し、出力された建物の耐震性能の結果を提示することにより、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合又は既存の建物の耐震性能を調べる場合に、評価手段で評価された建物の耐震性能を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、建物情報に加え、建物の建築地の地理情報を入力し、地盤データから地理情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地盤診断を行い、地盤診断結果を出力し、出力された地盤診断結果を提示することにより、例えば耐震性能を考慮して建物を建築する計画を立てる場合又は既存の建物の耐震性能を調べる場合に、評価手段で評価された建物の耐震性能に加え、評価手段で診断された建物の建築地の地盤診断結果を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、建物の前記変形状況に基づき、建物が建築される地盤の補強工事及び建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の建物の耐震性能を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本実施例に係る耐震性能提示システム10を、軸組み構造からなる複数の建物ユニット11で構成されたユニット建物12(図8参照。)の耐震性能を提示するのに用いた例を示す。
【0020】
本発明に係る耐震性能提示システム10は、耐震性能の提示を実行するためのマイクロコンピュータ13を備える。マイクロコンピュータ13は、入力手段14と、該入力手段により入力された各データを格納する格納手段15とを備える。
【0021】
入力手段14は、図示の例では、従来よく知られたキーボードで構成されており、住宅の建物情報及び建築地の地理情報をそれぞれ入力するために用いられる。格納手段15は、図示の例では、従来よく知られたハードディスクドライブのような読み書き可能な記憶媒体で構成されている。格納手段15には、後述するように、格納した各データに基づいて地震時の住宅の変形を模擬的に実験するシミュレーションプログラムPが格納されている。また、格納手段15には、複数の住宅の構造データD1、各地の地盤データD2及び過去に発生した地震の地震波データD3がそれぞれ入力手段14の操作により予め入力され格納されている。
【0022】
更に、マイクロコンピュータ13は、住宅の耐震性能の評価及び建築地の地盤の診断を行う評価手段16と、該評価手段により評価及び診断された結果を出力する出力手段17とを備える。
【0023】
評価手段16は、図示の例では、CPUのような演算装置で構成されており、前記シミュレーションプログラムPを実行するための実行回路Cを備える。評価手段16は、地震時の住宅の変形状況をシミュレーションプログラムPの実行によって解析することにより、住宅の耐震性能を評価し、地盤データD2に基づいて地盤の診断を行う。出力手段17は、図示の例では、モニターのような出力装置で構成されており、図示しない表示画面を有する。
【0024】
本発明に係る耐震性能提示システム10を用いて住宅の耐震性能の評価結果及び地盤診断結果を顧客に提示する例を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0025】
先ず、パスワードの入力(ステップS1)後、図3(a)に示すように、出力手段17の前記表示画面に表示されたウインドウ18上で、「新規のお客様データを作成する。」を選択し、続いて、図3(b)に示すように、ウインドウ19に設けられた入力欄19aに、邸名を入力手段14の操作により入力する(ステップS2)。
【0026】
次に、住宅の地理情報を入力する(ステップS3)。地理情報を入力するためのウインドウ20には、図4に示すように、建物の建築地の都道府県名、市区町村名、町名及び番地を記入するための入力欄20aが設けられている。各入力欄20aには、図示の例では、それぞれ従来よく知られたプルダウンメニュー20bが設けられている。都道府県名、市区町村名、町名及び番地の各データを各プルダウンメニュー20bから選択することにより、各入力欄20aに直接記入することなく建築地の情報を入力することができる。また、このウインドウ20には、地図表示ボタン20cが設けられている。この地図表示ボタン20cを押すと、図示しないが、前記表示画面に日本地図が表示され、地図上で建築地を選択することにより、該建築地の情報を入力することができる。
【0027】
更に、このウインドウ20には、入力された建築地の地震時の揺れやすさを表示する「揺れやすさマップを表示」ボタン20dが設けられている。「揺れやすさマップを表示」ボタン20dを押すと、図5に示すように、前記表示画面に揺れやすさマップ21aを示すウインドウ21が表示される(ステップS4)。揺れやすさマップ21aには、建築地を含む該建築地の周辺の地図が表示されている。また、揺れやすさマップ21aは、地震の発生時の表層地盤の揺れやすさすなわち地盤増幅率に応じて色分けされている。地盤増幅率は、本発明者が先に出願した例えば特願2004−261335号の明細書に記載されていると同様に、格納手段15に格納された地盤データD2のうち、多層地盤からなる表層地盤に含まれる各地層の層厚及びせん断波速度等の地盤データを基に、該地盤データを等価な一層地盤に置き換え、地盤の非線形性を考慮しながら収束計算を行うことにより求めることができる(建設省告示第1457号第7に記載の算定方法である。)。揺れやすさマップ21aの色分けは、格納手段15に格納された地盤データD2に基づいて行われている。この揺れやすさマップ21aにより、地震の発生時に建築地がどの程度揺れやすいのかを容易に確認することができる。揺れやすさマップ21aは、後述する診断報告書の作成のために、格納手段15に格納される(ステップS5)。この揺れやすさマップ21aを図示しないプリンターで印刷することにより(ステップS6)、顧客に提示することができる。
【0028】
建物の地理情報の入力が終了した後、評価対象の住宅の構造の設計条件等の建物情報を入力する。先ず、図6に示すように、ウインドウ22に表示された階層数等の異なる複数の住宅の商品22aの中から、建築予定の住宅の種類を選択する(ステップS7)。ウインドウ22で選択した住宅の階層の数に応じて、建築された住宅の耐震性が変化する。
【0029】
次に、建物の仕様を選択する(ステップS8)。ウインドウ22に設けられた「次へ」ボタン22bを押すことにより、図7に示すように、外壁の種類を選択するためのウインドウ23に進む。図7に示すウインドウ23において、重量及び強度等の異なる外壁の種類を選択する。図7に示すアルミニウム、シンセライト、タイル及びデュラストーンは、それぞれ重量、面内せん断変形に対する剛性等が互いに異なる。
【0030】
続いて、ウインドウ23に設けられた「次へ」ボタン23aを押して、図8に示すように、住宅の屋根の種類を選択するためのウインドウ24に進む。図示の例では、三角屋根又は平屋根を選択することができる。平屋根が設けられた住宅は、三角屋根が設けられた場合に比べて屋根から受ける荷重が小さいので、平屋根を選択した場合、三角屋根を選択した場合に比べて、住宅の耐震性に有利である。
【0031】
その後、図示しないが、住宅の耐震性、耐風性及び耐積雪性等の度合いを示す構造等級の種類を選択する。最後に、入力した設計条件を確認する図示しない確認画面が表示され、該確認画面に設けられた「完了」ボタンを押すことにより、入力した設計条件が格納手段15に格納され、これにより、設計条件の入力が完了する。
【0032】
住宅の構造の設計条件の入力が完了した後、住宅の具体的な形状を設定する。このとき、先ず、図9に示すように、ウインドウ25に設けられた「層」の欄25aで「1階」を選択し、ウインドウ25に設けられた作成部25bで住宅の一階を構成する複数の建物ユニット11の大きさ及び配置を決める(ステップS9)。次に、「層」の欄25aで「2階」を選択し、一階と同様に各建物ユニット11の大きさ及び配置を決める。更に、ウインドウ25上で各建物ユニット11の種類を指定する(ステップS10)。続いて、図10に示すように、各階の各建物ユニット11に窓のような開口部25cを作成部25bで設定し、更に、図11に示すように、屋根25dの形状を作成部25bで設定する(ステップS11)。各建物ユニット11の配置、開口部25cの配置及び屋根25dの形状の設定が終了した後、ウインドウ25に設けられた「耐震診断の実行」ボタン25eを押す(ステップS12)。これにより、設定した各建物ユニット11の配置、開口部25cの配置及び屋根25dの形状が格納手段15に格納され、次のステップに進む。図6乃至図11に示す例に加え、図示しないが、例えば外階段、エレベータ、バルコニー及び太陽光パネル等を住宅に追加するメニューを、各建物ユニット11の配置、開口部25cの配置及び屋根25dの形状を設定するためのウインドウ25に設けることができる。
【0033】
「耐震診断の実行」ボタン25eを押すと、図12に示すように、住宅の耐震性能を解析するためのウインドウ26が前記表示画面に表示される。このウインドウ26には、阪神・淡路大震災のような直下型地震(地震波の最大加速度:820ガル)及び今後想定される東海地震のようなプレート型地震(地震波の最大加速度:1330ガル)のそれぞれの地震波形のうち、建築地に発生する確率の高い地震の波形に類似した地震波形を有する地震が表示される表示部26aが設けられている。表示部26aに表示される地震波形の種類は、入力手段14により入力した地理情報に基づいて地震波データD3から選択される。表示部26aには、図示の例では、阪神・淡路大震災時の直下型地震(地震波の最大加速度:820ガル)が表示されている。
【0034】
また、このウインドウ26には、耐震性能の解析に用いる地震波形の種類を入力すべく該地震波形が表示される入力欄26bが設けられている。入力欄26bには、図示の例では、前記した阪神・淡路大震災のような直下型地震の波形を用いる旨の表示がされている。入力欄26bには、プルダウンメニュー26cが設けられており、直下型地震とは別に、前記したプレート型地震の地震波形を選択することができる(ステップS13)。耐震性能の解析に用いる地震波形を選択した後、ウインドウ26に設けられた「決定」ボタン26dを押す。これにより、住宅の耐震性能の解析が実行される。図12に示す例では、入力欄26bで過去の阪神・淡路大震災の地震波形及び想定東海地震の波形がそれぞれ選択可能である例を示したが、これらに加えて、地震波データD3に含まれる地域毎の地震波形を選択可能とすることができる。
【0035】
住宅の耐震性能の解析は、格納手段15に格納された住宅の建物情報に基づいて評価手段16により行われる。ウインドウ26に設けられた「決定」ボタン26dを押すと、評価手段16は、格納手段15に予め格納された構造データD1から住宅の建物情報及び地理情報に対応するデータを抽出する。また、ウインドウ26に設けられた「決定」ボタン26dを押すと、図13に示すように、入力した種類の波形の地震が実際に発生したときの建築予定の住宅28の変形状況と耐震性能の低い住宅29の変形状況との比較を行うためのウインドウ27が出力手段17の前記表示画面に表示される。両住宅28,29の耐震性能の比較は、評価手段16により抽出された前記データ及びウインドウ26の入力欄26bで選択した地震波データD3に基づいて、格納手段15に格納されたシミュレーションプログラムPを評価手段16に設けられた実行回路Cによって実行することにより行われる。シミュレーションプログラムPの実行により評価された評価結果は、ウインドウ27に表示される。このウインドウ27では、地震発生による両住宅28,29の変形状況を、アニメーションにより表示される(ステップ14)。ウインドウ27には、ウインドウ26の入力欄26bで選択した地震波形が表示される地震波表示欄27bが設けられている。地震波表示欄27bには、地震波の南北方向成分及び東西方向成分の波形がそれぞれ表示されている。各地震波成分を示す線上を図13で見て右から左へ明点が移動することにより各地震波成分の波の動きが示され、この明点の移動に対応して各住宅28,29の変形状態が変化する。更に、図示しないが、ユニット建物12と旧建築基準法で設計された木造の住宅とのそれぞれの地震発生時の変形状況の比較を、評価手段16により行うことができる。このような地震発生時の住宅の変形状況のシミュレーションは、本発明者が先に出願した例えば特願2005−161486号に記載の地震応答解析モデルを用いて行うことができる。
【0036】
更に、本発明に係るマイクロコンピュータ13は、図1に示すように、評価手段16により評価した住宅の耐震性能の結果及び地盤診断結果を顧客に提示するための前記した提示手段を備える。
【0037】
提示手段は、図14(a)乃至図14(e)に示すように、評価手段16により解析、評価及び診断した結果を顧客に報告するための診断報告書30で構成されている。診断報告書30は、変形状況を表示するウインドウ27に設けられた「次へ」ボタン27a(図13参照。)を押すことにより、評価手段16により作成され、出力手段17によりその前記表示画面に表示される。診断報告書30は、図示の例では、合計5頁で構成されている。
【0038】
1頁目31には、図14(a)に示すように、格納手段15に格納された建築地の地理情報と、建築地周辺の想定震度マップ31aとが表示されている。想定震度マップ31aには、建築地及びその周辺に今後30年以内に高い確率で発生が想定される地震の想定震度が、震度毎に色分けされて表示されている。想定震度は、格納手段15に格納された揺れやすさマップ21aに表示された地盤増幅率に、建築地の表層地盤の下に形成された工学的基盤の揺れの大きさをかけ合わせることにより算出される。
【0039】
また、1頁目31には、地震発生時の建築地の想定震度を表示するための表示欄31bが設けられている。表示欄31bに表示される想定震度は、図示の例では、地盤データD2に含まれ文部科学省の地震調査研究推進本部が公開している地域毎の地盤データから、格納手段15に格納された住宅の地理情報に対応するデータを評価手段16によって抽出することにより、該評価手段により判定される。これにより、建築地の地震の危険度を明確に確認することができる。
【0040】
更に、1頁目31には、想定震度に関する評価を表示するための第一の評価欄31cと、地形効果を評価する第二の評価欄31dとが設けられている。第一の評価欄31cには、想定震度と、該想定震度の地震が建築地に発生したときの住宅の揺れの程度と、想定震度に対する住宅の耐震性確保のためのポイントとがそれぞれ表示されている。また、第二の評価欄31dには、建築地が丘上増幅に該当するか否かが表示されている。丘上増幅に該当する地点は、想定震度マップ31a上に「□(白抜きの四角形)」で示されており、建築地が丘上増幅に該当するか否かを想定震度マップ31aでも確認することができる。丘上増幅とは、地震発生時に地面の凹凸に応じて揺れが増幅する現象を言い、特に丘及び尾根等の凸部で起こりやすい。丘上増幅は、本発明者が先に出願した例えば特願2005−168680号の明細書に記載されているように、住宅の建築地とその周辺との標高の差から、建築地が丘上、尾根上の先端及び崖上の端部等に位置するか否か等の地形判定を行い、この地形判定に基づいて算出することができる。更に、第二の評価欄31dには、住宅が丘上に位置する場合に、その建築地の標高と丘の端からの水平方向の建築地の距離との比率である縦横比と、建築地が丘上増幅に該当する場合のポイントとがそれぞれ表示されている。
【0041】
2頁目32には、図14(b)に示すように、1頁目31の表示欄31b及び第一の評価欄31cに表示された想定震度の解説が表示される第一の解説欄32aと、第二の評価欄31dに表示された丘上増幅の解説が表示される第二の解説欄32bとが設けられている。第一の解説欄31aには、想定震度毎の揺れの程度と、想定震度毎の地震時に注意すべきポイントとについて解説されている。第二の解説欄32bには、前記した縦横比と、地震時の注意すべきポイントとについて解説されている。
【0042】
3頁目33は、図14(c)に示すように、建築地の地形区分を示すページである。3頁目33には、建築地及びその周辺の地形区分を示す地形マップ33aが表示されている。各地形区分は、その区分毎に色分けされている。地形区分は、従来よく知られているように、山や河川の状況等から分類された区分であり、図示の例では、入力手段14により入力された住宅の建築地の地理情報と、地盤データD2として格納手段15に格納された建築学会の判定表及び文部科学省公開地形区分とを評価手段16によって照合することにより、該評価手段により判定されている。
【0043】
また、3頁目33には、建築地の地形区分を表示するための表示欄33bが設けられている。更に、3頁目33には、建築地の地形区分に関する評価欄33cが設けられている。評価欄33cには、建築地の地形区分と、該地形区分に予想される地盤状況と、その良否と、地形区分の地盤への補強対策のポイントとがそれぞれ表示されている。
【0044】
4頁目34には、図14(d)に示すように、3頁目33の表示欄33bに表示された地形区分の解説が表示される解説欄34aが設けられている。解説欄34aには、地形区分毎の地形的特徴と、地形区分毎の予想される地盤状況と、地盤の良否の判定結果とが表示されている。地盤の良否は、例えば前記した建築学会の判定表により判定することができる。
【0045】
5頁目35には、図14(e)に示すように、評価手段16により評価された住宅の変形状況に基づき、建築予定の住宅の耐震性能の診断結果を表示する表示欄35aと、耐震性能の解析結果及び判定を表示するための評価欄35bと、その評価の判定基準が記載された判定基準欄35cとが設けられている。表示欄33aには、図12に示すウインドウ26に設けられた入力欄26bに入力した地震波形の地震が建築地に発生したときの住宅の損傷レベルが表示される。判定基準欄35c内には、表示欄33aに表示された損傷レベル毎の住宅の構造の改善対策についての解説が表示される対策欄35dが設けられている。評価欄35b、判定基準欄35c及び対策欄35dに表示された内容に基づいて、建築地のデータ、住宅の建物情報を再度入力することにより、上記のように設計した住宅の耐震性能よりも高い耐震性能を有する住宅を構築することができ、対策実施後の住宅の耐震性能を、提示手段により提示することができる。
【0046】
診断報告書30を顧客に提示する際、例えば図示しないプリンターで印刷することにより、書面によって顧客に提示する(ステップS15)。また、出力手段17の前記表示画面に表示された状態で、診断報告書30を顧客に提示することができる。
【0047】
建築した住宅の各データを既に入力してある場合にその住宅の耐震性能を評価するときは、図3(a)に示したウインドウ18において、「既存のデータを開く」を選択することにより、既存の住宅の耐震性能を評価することができる。
【0048】
本実施例によれば、前記したように、評価手段16により評価され、出力手段17により出力された住宅の耐震性能の結果を提示するための診断報告書30で構成される提示手段を備えることから、例えば耐震性能を考慮して住宅を建築する計画を立てる場合又は既存の住宅の耐震性能を調べる場合に、評価手段16で評価された住宅の耐震性能を提示手段によって顧客にその場で容易に提示することができる。
【0049】
また、前記したように、入力手段14により入力された住宅の建築地の地理情報に基づいて建築地の地盤が評価手段16により診断され、その地盤診断結果が提示手段により提示されることから、住宅の耐震性能に加え、住宅の建築地の地盤診断結果を顧客にその場で容易に提示することができる。これにより、例えば住宅を建築する予定がある場合、住宅の耐震性能の観点からだけでなく、建築予定地の地盤状況の観点から建築計画を立てることができる。
【0050】
更に、前記したように、診断報告書30には、住宅の変形状況に基づき、住宅が建築される地盤の補強工事及び住宅の構造の改善のための対策が提示されており、更に、対策実施後の住宅の耐震性能が提示されることから、提示手段による提示により、例えば耐震性能を考慮して住宅を建築する計画を立てる場合には、建築計画をより容易に立てることができ、また、既存の住宅の耐震性能を調べる場合には、今後の耐震対策をより容易に検討することができる。
【0051】
本実施例では、住宅の耐震性能の解析に用いる地震波形の種類を選択するためのウインドウが、入力手段14により入力した地理情報に基づいて地震波データD3から選択された地震波形の種類が初期状態で表示される表示部26aと、耐震性能の解析に実際に用いる地震波形の種類を選択して入力する入力欄26bとが設けられたウインドウ26で構成された例を示したが、これに代えて、図15に示すウインドウ36を本発明に適用することができる。
【0052】
図15に示す例では、ウインドウ36には、日本地図36aが表示されている。日本地図36aには、兵庫県南部地震、想定東海地震、中越地震、宮城沖地震、関東大震災、十勝沖地震及び鳥取地震等の過去に発生した主な地震の名前が、各地震の発生した地域に付されている。また、ウインドウ36には、耐震性能の解析に用いる地震の種類を入力するための入力欄36bが設けられている。入力欄36bには、初期状態では、日本地図36aに付された各地震のうち、入力手段14により入力された地理情報に含まれた住所に震源が最も近い地震が表示されている。図示の例では、例えば図示しないマウスを用いてウインドウ36上の所望の地震名にカーソルを移動させ、クリックすることにより、その選択した地震名を入力欄36bに表示することができる。また、入力欄36bには、前記した各地震の中から所望の地震を選択可能なプルダウンメニュー36cが設けられており、これにより、解析に用いる地震をウインドウ36上で選択することに代えて、初期状態で入力欄36bに表示された地震名とは別の地震を選択することができる。
【0053】
耐震性能の解析に用いる地震波形を選択した後、ウインドウ36に設けられた「決定」ボタン36dを押すことにより、前記したと同様に、住宅の耐震性能の解析が実行される。
【0054】
また、本実施例では、住宅の耐震性能の評価結果と建築地の地盤診断結果とをそれぞれ評価手段16により評価し、それらを前記した提示手段により顧客に提示する耐震性能提示システム10に本発明を適用した例を示したが、これに代えて、住宅の耐震性能の評価結果のみを評価手段16により評価し、提示手段により顧客に提示する耐震性能提示システムに本発明を適用することができる。
【0055】
更に、本実施例では、各建物ユニット11が軸組み構造からなる例を示したが、これに代えて、例えば壁、床及び天井がパネルで構成されたパネル構造からなる建物ユニットや非ユニット式の建物を本発明に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る耐震性能提示システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明に係る耐震性能提示システムを用いて建築予定の住宅の耐震性能の評価を顧客に提示する例を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、新規データ作成のためのウインドウを概略的に示す平面図であり、(b)は、邸名を入力するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図4】建築地を入力するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図5】建築地の揺れやすさを示すウインドウを概略的に示す平面図である。
【図6】住宅の商品の種類を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図7】住宅の外壁の種類を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図8】住宅の屋根の種類を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図9】各建物ユニットの配置を設定するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図10】各建物ユニットへの開口部の配置を設定するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図11】屋根の形状を設定するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図12】耐震性能の解析に用いる地震波形を選択するためのウインドウを概略的に示す平面図である。
【図13】住宅の変形状況をシミュレーションすることによりアニメーションによって表示されたウインドウを概略的に示す平面図である。
【図14(a)】診断報告書の1頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(b)】診断報告書の2頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(c)】診断報告書の3頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(d)】診断報告書の4頁目を概略的に示す平面図である。
【図14(e)】診断報告書の5頁目を概略的に示す平面図である。
【図15】図12に示す例とは別の例を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 耐震性能提示システム
14 入力手段
15 格納手段
16 評価手段
30 提示手段(診断報告書)
D1 構造データ
D2 地盤データ
D3 地震波データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物情報を入力する入力手段と、建物の構造データ及び地震波データがそれぞれ予め格納された格納手段と、該格納手段に格納された前記構造データから前記入力手段により入力された前記建物情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地震時の前記建物の変形状況を前記地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価する評価手段と、該評価手段の評価結果を出力する出力手段と、該出力手段により出力された前記建物の耐震性能の結果を提示する提示手段とを備えることを特徴とする耐震性能提示システム。
【請求項2】
前記格納手段には、地盤データが予め格納されており、前記入力手段は、前記建物の建築地の地理情報を入力し、前記評価手段は、前記地理情報が前記入力手段により入力されると、前記地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、前記建築地の地盤診断を行い、前記出力手段は、前記評価手段の地盤診断結果を出力し、前記提示手段は、前記地盤診断結果を提示することを特徴とする請求項1に記載の耐震性能提示システム。
【請求項3】
前記提示手段は、前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物の建築地の地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震性能提示システム。
【請求項4】
建物の耐震性能を提示する方法であって、
建物情報を入力すること、
入力された前記建物情報に対応するデータを構造データから抽出すること、
抽出した前記データに基づき地震時の前記建物の変形状況を地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価すること、
評価結果を出力すること、
出力された前記建物の耐震性能の結果を提示すること、
を含むことを特徴とする耐震性能提示方法。
【請求項5】
前記建物情報に加え、前記建物の建築地の地理情報を入力し、地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地盤診断を行い、地盤診断結果を出力し、出力された前記地盤診断結果を提示することを特徴とする請求項4に記載の耐震性能提示方法。
【請求項6】
前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物の建築地の地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする請求項4又は5に記載の耐震性能提示方法。
【請求項1】
建物情報を入力する入力手段と、建物の構造データ及び地震波データがそれぞれ予め格納された格納手段と、該格納手段に格納された前記構造データから前記入力手段により入力された前記建物情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地震時の前記建物の変形状況を前記地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価する評価手段と、該評価手段の評価結果を出力する出力手段と、該出力手段により出力された前記建物の耐震性能の結果を提示する提示手段とを備えることを特徴とする耐震性能提示システム。
【請求項2】
前記格納手段には、地盤データが予め格納されており、前記入力手段は、前記建物の建築地の地理情報を入力し、前記評価手段は、前記地理情報が前記入力手段により入力されると、前記地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、前記建築地の地盤診断を行い、前記出力手段は、前記評価手段の地盤診断結果を出力し、前記提示手段は、前記地盤診断結果を提示することを特徴とする請求項1に記載の耐震性能提示システム。
【請求項3】
前記提示手段は、前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物の建築地の地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震性能提示システム。
【請求項4】
建物の耐震性能を提示する方法であって、
建物情報を入力すること、
入力された前記建物情報に対応するデータを構造データから抽出すること、
抽出した前記データに基づき地震時の前記建物の変形状況を地震波データを用いて解析することにより前記建物の耐震性能を評価すること、
評価結果を出力すること、
出力された前記建物の耐震性能の結果を提示すること、
を含むことを特徴とする耐震性能提示方法。
【請求項5】
前記建物情報に加え、前記建物の建築地の地理情報を入力し、地盤データから前記地理情報に対応するデータを抽出し、該データに基づき地盤診断を行い、地盤診断結果を出力し、出力された前記地盤診断結果を提示することを特徴とする請求項4に記載の耐震性能提示方法。
【請求項6】
前記建物の前記変形状況に基づき、前記建物の建築地の地盤の補強工事及び前記建物の構造の改善の対策を提示し、更に、対策実施後の前記建物の耐震性能を提示することを特徴とする請求項4又は5に記載の耐震性能提示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図14(c)】
【図14(d)】
【図14(e)】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図14(c)】
【図14(d)】
【図14(e)】
【図15】
【公開番号】特開2008−287732(P2008−287732A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159844(P2008−159844)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【分割の表示】特願2007−118241(P2007−118241)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【分割の表示】特願2007−118241(P2007−118241)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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