説明

耐食性めっき層形成方法および回転機械

【課題】 無電解めっき層に形成された貫通ピンホールを封鎖することにより耐食性に優れためっき層形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 基材1上に、無電解Ni-Pめっきを行う第1めっき工程と、第1めっき工程によって形成された第1めっき層3の表面をエッチングするエッチング工程と、エッチング工程によって処理された第1めっき層3上に、無電解Ni-Pめっきを行い第2めっき層5を形成する第2めっき工程を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解ニッケル系めっきによる耐食性めっき層形成方法、及び、この耐食性めっき層形成方法が施された回転機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電プラントや化学プラントに用いられる圧縮機(回転機械)は、CO2、H2S、H2O等の腐食性ガスを含むガスを圧縮する。圧縮機の基材として炭素鋼(鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼)が用いられる場合には、防食性が不十分であるため、腐食性ガスに曝されるダイヤフラムやインペラに対してNi-P等の無電解ニッケル系めっきが施されるのが一般的である。
しかし、特に炭素鋼では、図11に示すように、鋳造時の巣といった欠陥が形成され易く、基材100の表面に開口する複数の孔100aが形成される。このような孔100aが存在すると、基材100上に無電解めっきを行っても、無電解めっき層101中に表面まで貫通する貫通ピンホール101aが形成されてしまう。
このような貫通ピンホール101aが存在すると、図12に示すように、腐食液が基材100まで浸透し、基材100上に腐食生成物100bを形成する。そして、この腐食生成物100bが次第に成長し、最終的には無電解めっき層101が剥離してしまう。
上述のような貫通ピンホールは、ダイヤフラムやインペラ等の複雑な形状部分を起点として形成されることもある。
【0003】
このような貫通ピンホールを封鎖するために、特許文献1に示すように、無電解めっきの上に、さらにめっき層を形成する技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−147548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、無電解めっきの上にめっき層を重ねても、下層の無電解めっきに形成された貫通ピンホールは上層のめっき層でも同様に連続して成長することが多く、貫通ピンホールを根本的に封鎖することにはなっていない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、無電解めっき層に形成された貫通ピンホールを封鎖することにより耐食性に優れためっき層形成方法および回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の耐食性めっき層形成方法および回転機械は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる耐食性めっき層形成方法は、基材上に無電解ニッケル系めっきを行うことによって耐食性めっき層を形成する耐食性めっき層形成方法において、前記基材上に、無電解ニッケル系めっきを行う第1めっき工程と、該第1めっき工程によって形成された第1めっき層の表面をエッチングするエッチング工程と、該エッチング工程によって処理された前記第1めっき層上に、無電解ニッケル系めっきを行う第2めっき工程とを有していることを特徴とする。
【0008】
第1めっき工程によって、基材上に無電解ニッケル系めっきを行うことにより第1めっき層を形成する。第1めっき層には、基材表面に形成された孔等の形状に起因して、表面側に開口する貫通ピンホールが形成される。
エッチング工程では、貫通ピンホールの開口部を形成する角部を除去してテーパ状とする。これにより、貫通ピンホールの開口部は、すり鉢状の形状となる。
第2めっき工程により、第1めっき層の上に第2めっき層を形成する。この際に、エッチング工程によって貫通ピンホールの開口部がすり鉢状に形成されているので、このすり鉢状とされたテーパ面に積層されるように、すなわち貫通ピンホールの延在方向に対して斜めに成長するように第2めっき層が形成される。このように貫通ピンホールの開口部では斜めに第2めっき層が成長するので、貫通ピンポールの開口部が封鎖されることになる。
本発明は、基材に炭素鋼(鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼)が用いられる場合に特に有効である。なぜなら、炭素鋼は、開口する孔部が表面上に多数形成されているので、めっき層にピンホールが生じやすいからである。
無電解ニッケル系めっきとしては、Ni-Pめっき又はNi-Bめっきが好適である。
なお、本発明は、第1めっき工程、エッチング工程および第2めっき工程に限定されるものではなく、例えば、第2めっき工程の後に他の表面処理を施してもよい。
【0009】
さらに、本発明の耐食性めっき層形成方法では、前記エッチング工程は、硫酸を用いて行われることを特徴とする。
【0010】
エッチング工程は、硫酸、塩酸、硝酸等の酸処理によって行うのが好ましく、特に希硫酸による酸処理が好ましい。硫酸濃度としては、5wt%程度が好ましい。
【0011】
さらに、本発明の耐食性めっき層形成方法では、前記第1めっき層の厚さは、5μm以上とされていることを特徴とする。
【0012】
第1めっき層の厚さが5μm未満となると、エッチング工程時に、第1めっき層のピンホールを介して基材を腐食してしまうおそれがある。したがって、第1めっき層としては、5μm以上の厚さが必要とされる。
【0013】
さらに、本発明の耐食性めっき層形成方法では、前記第2めっき層の厚さは、10μm以上とされていることを特徴とする。
【0014】
第2めっき層の厚さが10μm未満となると、第1めっき層に形成された貫通ピンホールの封鎖を十分に行うことができない。したがって、第2めっき層としては、10μm以上の厚さが必要とされる。
【0015】
さらに、本発明の耐食性めっき層形成方法では、前記第1めっき工程および前記第2めっき工程は、無電解Ni-Pめっきとされ、該無電解Ni-PめっきのP濃度は、7〜10wt%とされていることを特徴とする。
【0016】
本発明者等が鋭意検討した結果、無電解Ni-PめっきのP濃度が7〜10wt%の範囲とされているときに、耐食性が高いことを見出した。
【0017】
また、本発明の回転機械は、上記のいずれかに記載の耐食性めっき層形成方法によって形成された耐食性めっき層を備えた表面を有することを特徴とする。
【0018】
上記のいずれかの耐食性めっき層形成方法によって形成された耐食性めっき層を備えた表面を有するので、この表面がCO2、H2S、H2O等の腐食性ガスに曝される場合であっても、十分な耐久性を有する回転機械を提供することができる。
回転機械としては、例えば圧縮機が挙げられる。圧縮機の場合、インペラ(動翼)や静止部材であるダイヤフラムの表面上に防食処理が施される。
【発明の効果】
【0019】
エッチング工程により、貫通ピンホールの開口部を形成する角部を除去してテーパ状としてすり鉢状部を形成した後に、第2めっき工程により、第1めっき層の上に第2めっき層を形成することとしたので、貫通ピンポールの開口部を封鎖することができる。これにより、耐食性に優れためっき層を形成することができ、ひいては耐食性に優れた回転機械を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態は、CO2、H2S、H2O等の腐食性ガスに曝される圧縮機のダイヤフラムやインペラに、無電解Ni-Pめっきによって防食処理を施すものである。防食処理が行われる基材としては、炭素鋼(鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼)が用いられる。
図1には、基材上に、無電解Ni-Pめっきによって防食処理を行う工程が示されている。
同図に示すように、基材に対して、洗浄、脱脂、水洗を行い、次いで、酸洗を行った後、水洗を行う。そして、希硫酸で酸洗を行い、水洗を行った後に、無電解Ni-Pめっきを行う。以上により、第1めっき工程が終了する。これにより、図2に示すように、基材1上に、第1めっき層3が形成される。なお、同図では、第1めっき層3に形成された貫通ピンホール3aが示されている。
【0021】
次に、希硫酸等の酸処理によって、第1めっき層3の表面をエッチングする。このエッチング工程によって、貫通ピンホール(または貫通欠陥)3aの開口部3bを形成する角部3cを除去してテーパ状とする。これにより、図2に示すように、貫通ピンホール3aの開口部3bには、すり鉢状部3dが形成される。
【0022】
そして、水洗した後に、無電解Ni-Pめっきを行う(第2めっき工程)。この第2めっき工程により、第1めっき層3の上に第2めっき層5が形成される。この際に、エッチング工程によって貫通ピンホール3aの開口部3bにはすり鉢状部3dに形成されているので、このすり鉢状部3bを構成するテーパ面に積層されるように、すなわち貫通ピンホール3aの延在方向に対して斜めに成長するように第2めっき層5が形成される。このように貫通ピンホール3aの開口部3bでは斜めに第2めっき層5が成長するので、貫通ピンポール3aの開口部3bが封鎖されることになる。
その後、水洗した後に、乾燥させ、ベーキングを行って防食処理が終了する。
【0023】
エッチング工程は、硫酸、塩酸、硝酸等の酸処理によって行うのが好ましい。特に、後述するように、希硫酸による酸処理が好ましい。硫酸濃度としては、5wt%程度が好ましい。
【0024】
第1めっき層3の厚さは、5μm以上が好ましい。第1めっき層の厚さが5μm未満となると、エッチング工程時に、第1めっき層3の貫通ピンホール3aを介して希硫酸等の酸処理剤が基材1を腐食してしまうおそれがあるからである。
【0025】
第2めっき層5の厚さは、10μm以上が好ましい。第2めっき層5の厚さが10μm未満となると、第1めっき層に形成された貫通ピンホール3aの封鎖を十分に行うことができないからである。
【実施例】
【0026】
次に、実施例について説明する。
[無電解Ni-PめっきのP濃度の検討]
先ず、無電解Ni-PめっきのP濃度の最適化を行うため、P濃度を変化させ、分極特性測定によって腐食速度を評価した。
(1)供試材
JIS SPCC(炭素鋼冷間圧延材)を基材とし、その表面にP濃度を2.5〜12.5wt%に変化させた無電解Ni-Pめっきを表1の条件で成膜した。
表1 無電解Ni-Pめっき試験 作製液種
【表1】

【0027】
(2)試験方法
電気化学腐食試験によりアノード・カソード分極曲線を測定し、ターフェル法により腐食電流密度(Icorr)を求め(図3参照)、耐食性を評価した。
図4には、本試験に用いた電気化学的腐食試験装置が示されている。試験液10内にサンプル12が浸漬され、サンプル12は、Pt製の対極14に対向して配置されている。
試験液10は、周囲に配置された水加熱式のヒータ18によって温度調節される。試験液10の温度は、温度計16によって計測される。試験液10内には、模擬腐食性ガスとして、CO2及びH2Sガスが吹き込まれる。また、試験液10は、スターラ20によって攪拌される。
サンプル12及び対極14は、それぞれ、ポテンシオガルバノスタット21に接続されている。サンプル12には、塩橋22が接続されている。塩橋22の他端は、ポテンシガルバノスタット21に接続された照合電極(Ag/AgCl電極)23とともに、浴槽24内に浸漬されている。
表2に、本試験の測定条件を示す。
表2 分極特性測定条件
【表2】

【0028】
(3)試験手順
試験手順は以下の通りである。
(a)ガラス製電解槽(400ml容量でシ゛ャケット式)中に試験液350mlを入れる
(b)照合電極としてAg/AgCl電極、対極にPt、試験極にサンプル12(測定試験片)をセットする
(c)攪拌を0.3m/s、CO2ガス及びH2Sガスのバブリングを行いながら試験液を80℃まで昇温する
(d)測定試験片(サンプル12)の自然電位(Ecorr)を30分測定する
(e)自然電位より400mVカソード側に掃引速度 20mV/minで分極させる
(f)自然電位から1000mVアノード側に掃引速度20mV/minで分極させる
(g)上記(e)及び(f)から図3に示した分極曲線を得る
【0029】
(4)試験結果
図5に、上述の電気化学腐食試験による耐食性評価結果を示す。
本腐食環境では、無電解Ni-Pめっき中のP濃度が7〜10wt%の組成域で最も耐食性が良好であるといえる。
P濃度7〜10wt%の無電解Ni-Pめっきの耐食性が良好である理由を考察すると以下の通りである。
(i)2〜3wt%P濃度めっき材との比較
Ni-2〜3wt%P(約5wt%以下)では、めっき皮膜は結晶質になり、P濃度が7wt%を超えると非晶質となる。結晶質皮膜では、粒界での腐食基点により、非晶質より耐食性が劣ったものと考えられる。
(ii)10wt%以上の高Pめっき材との比較
当初は、高Pほど耐食性が良好であると予測されたが、本試験では、10wt%以上でむしろ耐食性が劣る結果となった。この理由として、高P材では孔食が多く発生しており、これに起因して耐食性が劣ったものと考えられる。めっき表面にはりん酸化物等の不動態皮膜が形成させるが、P%が大きいほど微結晶となると言われている。高Pの微結晶不動態皮膜は、破れやすい弱い点が多いことから、孔食が多数発生し、ターフェル法評価で腐食電流が大きい結果となった。
【0030】
以上の結果より、無電解Ni-PめっきのP濃度として、7〜10wt%が好適である。
そこで、次に説明するめっき層の多層化の検討では、P濃度9〜10wt%のめっきが成膜できる上村工業株式会社製のニムデンSXを用いることとする。
【0031】
[めっき層の多層化の検討]
上述のように選定した上村工業株式会社の無電解Ni-Pめっき(ニムデンSX、P濃度:9〜10wt%)を用いて多層化による欠陥(貫通ピンホール)の低減化に取り組んだ。
[供試基材]
基材となるめっき基材として、実機圧縮機のダイヤフラム製作時に同時に鋳造したJIS
SC480鋳鋼材を用いた。30×30×L200の大きさの基材を、図6に示すようにW30×L100×t3mmにワイヤカットで切り出し、めっき基材を作製した。
【0032】
[タグチメソッドによる実験条件設定]
多層化(ここでは2層めっきを考えた)のめっきプロセスを図7の通りとした。すなわち、第1めっき工程に相当する下層無電解Ni-Pめっきプロセスで下地Ni-Pめっきを20μm施工し、その後エッチングを行い、第2めっき工程に相当する上層無電解Ni-pめっきプロセスで上層Ni-Pめっきを行うものである。
表3には、めっきの貫通欠陥(貫通ピンホール)に影響する因子と水準の設定根拠が示されている。
表3 無電解Ni-Pめっき貫通欠陥低減試験の制御因子
【表3】

【0033】
(1)実験方法
図7に示しためっきプロセス及び以下の表4のL9直交表の条件にて、SC480を用いた基材上に2層の無電解Ni-Pめっきを施工し、その後貫通欠陥数を調べた。
表4 2層めっき試験条件 L9直交表
【表4】

貫通欠陥数は、以下に示すJIS
H8617のフェロキシル試験により測定した。
<フェロキシル試験手順>
(a)純水500mlにヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物の特級2g、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムの特級2g、塩化ナトリウムの特級12gを溶解し、試験液とした。
(b)試験片は、エチルアルコールにて洗浄後、水洗し水分を拭き取った。
(c)ち密な定性ろ紙2種(東洋アドバンテック製)を試験紙とし、50mm角に切断し、試験液を浸して湿ったまま試験面に張り付けた。
(d)5分後に試験紙をはがし、乾燥させ、試験紙上に現れた青色はん点の数を調べた。
【0034】
(2)実験結果
図8に貫通欠陥密度についての要因効果図(望小特性)を示す。以上の結果をまとめると次の通りである。
(i)めっき欠陥に最も影響を与えるのは、上層めっき厚さであり、厚さ増加と共に欠陥が減少し、ロバスト性も向上する。
(ii)エッチング液種に関しては、比較的影響が小さいが、硝酸の場合はめっき溶解能力が大きい点と、長時間エッチングによりめっき表面にスマット(酸化物、炭化物などの不純物)が生成する点で実機大型複雑形状ではハ゛ラツキが大きくなるものと考えられる。
(iii)エッチング液濃度は1〜5wt%で差異なく良好である。
(iv)エッチング時間は、3分の結果が良くないが、これは10wt%硝酸(高濃度)エッチングによるスマット発生の影響を受けており、本質的には1〜5分間の影響は小さいものと考えられる。
(v)以上の結果より、エッチング液種を硫酸、エッチング液濃度を5wt%、エッチング時間を5分という条件を選定し、最も影響の大きい上層めっき厚さをパラメータにして確認試験をすることとした。
【0035】
[確認試験]
(1)供試基材
上述と同様の鋳鋼材(SC480)を使用した。
基材形状は、W30×L100×t3mmとした。
(2)実験方法
(i)下層プロセス
図7に示したプロセスにより実施した。
(ii)上層めっき条件
図9に、上層めっき(エッチングおよび第2めっき層)プロセスおよび条件を示す。パラメータを上層めっき厚さとし、目標厚さを10〜30μmの範囲で変化させた。
【0036】
(3)実験結果
貫通欠陥の数密度を、フェロキシル試験にて測定した。
図10に、確認試験における上層Ni-Pめっき厚さと貫通欠陥数密度の関係を示す。この結果をまとめると次の通りである。
上層めっき層厚さの増加により、貫通欠陥数密度は減少する。特に、上層めっき層が15μmをこえると、欠陥低減効果が大きく、上層めっき厚さ23μm(20(下層めっき厚さ)+23(上層めっき厚さ)=43μm(総厚さ))では、1.7個/50mm□まで減少した。
本試験の2層めっきと、現状の単層めっき材とを比較すると、表5の通りであり、エッチング工程および第2めっき工程による2層化効果が大きいことが分かる。
表5 貫通欠陥数の比較
【表5】

【0037】
以上の通り、本実施形態によれば、エッチング工程により、貫通ピンホール3aの開口部3bを形成する角部3cを除去してテーパ状としてすり鉢状部3dを形成した後に、第2めっき工程により、第1めっき層3の上に第2めっき層5を形成することとしたので、貫通ピンポール3aの開口部を封鎖することができる。これにより、耐食性に優れためっき層を形成することができ、ひいては耐食性に優れた圧縮機を提供することができる。
【0038】
なお、本発明は、第1めっき工程、エッチング工程および第2めっき工程に限定されるものではなく、例えば、第2めっき工程の後に他の表面処理を施してもよい。
また、無電解Ni-Pめっきに代えて、無電解Ni-Bめっきを用いることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態にかかる耐食性めっき層形成処理の工程を示したフロー図である。
【図2】図1のフローによって形成される第1めっき層および第2めっき層を時系列で示した断面図である。
【図3】無電解Ni-PめっきのP濃度の評価指標となる腐食電流密度を得る際に用いるグラフである。
【図4】無電解Ni-PめっきのP濃度の検討に用いた電気化学的腐食試験装置をしめす概略図である。
【図5】電気化学腐食試験による耐食性評価結果を示したグラフである。
【図6】めっき層の多層化の検討に用いた供試材であるめっき基材を示した斜視図である。
【図7】実験条件を設定する際に用いたプロセスを示すフロー図である。
【図8】貫通欠陥密度についての要因効果図(望小特性)を示したグラフである。
【図9】確認試験に用いたプロセス及び条件を示すフロー図である。
【図10】上層Ni-Pめっき厚さと貫通欠陥数密度の関係を示したグラフである。
【図11】めっき層中に形成される貫通ピンホールを示した断面斜視図である。
【図12】めっき層中に形成された貫通ピンホールによってめっき層が剥離するプロセスを示した図である。
【符号の説明】
【0040】
1 基材
3 第1めっき層
3a 貫通ピンホール
3b 開口部
5 第2めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に無電解ニッケル系めっきを行うことによって耐食性めっき層を形成する耐食性めっき層形成方法において、
前記基材上に、無電解ニッケル系めっきを行う第1めっき工程と、
該第1めっき工程によって形成された第1めっき層の表面をエッチングするエッチング工程と、
該エッチング工程によって処理された前記第1めっき層上に、無電解ニッケル系めっきを行う第2めっき工程と、
を有していることを特徴とする耐食性めっき層形成方法。
【請求項2】
前記エッチング工程は、硫酸を用いて行われることを特徴とする請求項1記載の耐食性めっき層形成方法。
【請求項3】
前記第1めっき層の厚さは、5μm以上とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐食性めっき層形成方法。
【請求項4】
前記第2めっき層の厚さは、10μm以上とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の耐食性めっき層形成方法。
【請求項5】
前記第1めっき工程および前記第2めっき工程は、無電解Ni-Pめっきとされ、
該無電解Ni-PめっきのP濃度は、7〜10wt%とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の耐食性めっき層形成方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の耐食性めっき層形成方法によって形成された耐食性めっき層を備えた表面を有することを特徴とする回転機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−127598(P2008−127598A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311522(P2006−311522)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】