説明

耐食性を向上させた内面塗膜を有する金属容器及びその製造方法

【課題】耐食性を向上させた内面塗膜を有する金属容器及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】有底筒状の容器本体17と、その容器本体17の内面に樹脂塗料を塗装し乾燥させることを1サイクルとする内面塗装・乾燥工程を、少なくとも1サイクル施して、厚みを4〜25μmとした熱硬化性樹脂製の内面塗膜16とからなり、その内面塗膜16が、容器本体17の全体あるいはその一部の範囲でさらに追焼きされていることを特徴とする金属容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐食性を向上させた内面塗膜を有する金属容器及びその製造方法に関する。さらに詳しくは硬化性を向上させることにより、内面塗膜の耐食性を向上させた飲料缶、エアゾール缶あるいはアルミニウムチューブ容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2006−264734号公報
【0003】
特許文献1に飲料用アルミニウム缶内面の内面塗料の塗装方法が開示されている。その塗装方法は、アルミニウム容器の内面に加工性に優れた第1内面塗装を行い、次いで、ネッキング加工およびフランジング加工あるいはネジ加工を行い、その後、耐食性の優れた第2内面塗装を行うというものである。このような製造方法によると、機械加工による内面塗膜の剥れを防止し、耐食性を高めことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、従来この内面塗膜の腐食防止効果を向上させるために、内面塗膜を厚くすることが行われており、厚い内面塗膜を形成する場合、従来樹脂の内面塗装および乾燥工程は2回に分けて行われているが、その場合でも内面塗膜の厚さは、5〜8μm程度であった。例えば、内面塗膜をより厚くすることにより、内面塗膜の腐食防止効果を向上させ、内面塗膜全体の強度を向上させることが行われていた。このような従来の内面塗膜としては、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシフェノール系樹脂あるいはポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF系樹脂)のような熱硬化性の樹脂がよく用いられている。しかし、厚い内面塗膜を形成しても、より大きな内面塗膜の腐食防止効果を得ることができなかった。そこで、発明者等は、より大きな内面塗膜の腐食防止効果を得るため、内面塗膜を一層硬化させることを見出したのである。しかし、内面塗膜を内部まで硬化させるため、樹脂塗料の塗装後の乾燥工程において、より高温にして熱量を与えることが試みられたが、内面塗膜の表面に気泡が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、容器本体に、より硬化した内面塗膜を形成する場合において、内面塗膜の表面に気泡を発生させずに、内面塗膜の硬化を図り、耐食性に優れる金属容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の金属容器(請求項1)は、有底筒状の容器本体と、その容器本体の内面に樹脂塗料を塗装し乾燥させることを1サイクルとする内面塗装・乾燥工程を、少なくとも1サイクル施して、厚みを4〜25μmとした熱硬化性樹脂製の内面塗膜とからなり、その内面塗膜が、容器本体の全体あるいはその一部の範囲で追焼されていることを特徴とする。
【0007】
このような金属容器は、前記熱硬化性樹脂がポリアミドイミド系樹脂であるものが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記金属容器が、飲料缶、エアゾール容器またはアルミニウムチューブ容器であるものが好ましい(請求項3)。
【0009】
本発明の金属容器の製造方法(請求項4)は、有底筒状の容器本体の内面に樹脂塗料を塗装し乾燥させることを1サイクルとする塗装工程を、少なくとも1サイクル施して容器本体の内面に熱硬化性樹脂の内面塗膜を形成する塗膜形成工程と、その塗膜形成工程の後に容器本体の全体あるいはその一部の内面塗膜を追焼きする追焼き工程とからなることを特徴とする。
【0010】
このような金属容器の製造方法は、前記塗装工程と追焼き工程との間にネッキング加工工程と、それに続くカール加工工程とを行なうものが好ましい(請求項5)。
【0011】
また、前記を追焼き工程を、加熱されたプレートの上に容器本体の追焼きしたい部分を載置して行なうものが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の金属容器(請求項1)は、追焼きにより内部まで硬化した状態の厚みが4〜25μmの内面塗膜を備えている。そのため、内面塗膜の腐食性を向上させる効果を有し、かつ内面塗膜自体の機械的な耐久性も高い。
【0013】
このような金属容器は、前記熱硬化性樹脂がポリアミドイミド系樹脂である場合には(請求項2)、特に耐食性が高く、生産性も高い。
【0014】
また、前記金属容器が、飲料缶、エアゾール容器またはアルミニウムチューブ容器である場合には(請求項3)、内容物の内圧が高い場合でも、内面塗膜が硬化し厚いので、内面塗膜によって、内容物中の腐食性成分の透過による下地金属の腐食を防止することができ、かつ内面塗膜自体の機械的な耐久性も高いので、内容物の物性を維持する安全率が高い。したがって、内容物が食料品・医薬品等の場合に適している。
【0015】
本発明の金属容器の製造方法(請求項4)では、樹脂塗料の塗装及びその乾燥を行う塗膜形成工程の後に、追焼き工程を行なう。そのため、内面塗装を厚くしても、追焼きにより内面塗膜の内部まで熱を加えることができるので、内部まで硬化性を高めた内面塗膜を形成することができる。そして、乾燥工程を一旦終了した後に、あらためて追焼きをするので、内面塗膜の表面に気泡を発生させることがなく、歩留まりがよい。乾燥工程を一旦終了させるのは、一旦乾燥を終了させると、内面塗膜の硬化がある程度進んでいるため、内面塗膜が固化して流動化せず、したがって、あらためて追焼きしても、内面塗膜表面に気泡等が発生しないからである。しかし、一旦終了しないで連続して温度を上昇させると、内面塗膜が流動化している状態のため、内面塗膜表面に気泡が発生する。
【0016】
また、前記金属容器の製造方法において、前記塗膜形成工程と追焼き工程との間にネッキング加工工程と、カール加工工程とを行なう場合には(請求項5)、追焼き工程による強度低下が生ずる前に、ネッキング加工、カール加工を行うので、容器本体の座屈を防止できる。
【0017】
さらに、前記追焼き工程が、加熱されたプレートの上に容器本体の追焼きしたい部分を載置して行なわれる場合には(請求項6)、プレートから容器本体に伝熱させることにより、必要な部分だけ部分的に内面塗膜を硬化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の金属容器を製造方法の一実施形態を示す工程図、
図2aは本発明の金属容器の一実施形態であるエアゾール缶を示す概略部分断面図、図2bはチューブ容器を示す概略部分断面図、
図3は本発明の製造方法の他の実施の形態を示す工程図、
図4は本発明の製造方法のさらに他の実施の形態を示す工程図
図5は本発明の製造方法のさらに他の実施の形態を示す工程図、
図6は表1をグラフにした図を示す。
【0019】
まず、本発明の金属容器について説明する。図2aに本発明の金属容器の一実施形態であるエアゾール缶を示す。そのエアゾール缶10は、有底筒状の胴部11と、その胴部11の上部に連続する肩部12と、その肩部12の上端を外向きにカーリング成形したカール部14とを有する。そのカール部14には、マウンティングキャップ18がクリンチされる。また、胴部11は通常は円筒形状であるが、円筒形状以外の楕円形状、四角形状等であってもよい。なお、図2bに示すチューブ容器も一実施形態とすることができる。
【0020】
前記エアゾール缶10の内面には、本発明の特徴部分である内面塗膜16が形成されている。その内面塗膜16に用いられる樹脂は、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシフェノール系樹脂あるいはポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF系樹脂)のような熱硬化性の樹脂であり、好ましくはポリアミドイミド系樹脂である。また、ポリアミドイミド系樹脂の厚さは、4〜25μm、好ましくは8〜25μm、さらに好ましくは12〜16μmである。その塗装に用いる塗料は、樹脂成分20%を、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒に溶かしたものである。溶媒中の樹脂成分の割合は15〜25重量%程度である。また、樹脂の平均分子量は15,000〜25,000である。
【0021】
前記金属容器の内容物として、例えば、飲料水、あるいはスタイリング剤、トリートメント剤、染毛剤、脱色剤、着色剤などの頭髪用の有効成分、保湿剤、鎮痛剤、制汗剤、育毛剤などの皮膚用の有効成分、殺虫剤、消臭剤、芳香剤などの家庭用の有効成分を配合した内容液が充填される。また、エアゾール容器10として用いられる場合は、前記内容液と、この内容液を噴射させるためのプロペラント、圧縮ガスなどの噴射剤が混合状態で又は内筒によって分離された状態で充填される。
【0022】
次いで、本発明の金属容器の製造方法を説明する。図1に示す工程図は、本発明の一実施形態であるエアゾール容器の製造方法を示している。その製造方法S1はインパクトスラグを準備する試料準備工程(a)と、そのスラグにインパクト加工を施すインパクト加工工程(b)と、そのインパクト加工により得られた有底筒状の容器本体17の開口端を切りそろえるトリミング工程(c)と、そのトリミングされた容器本体17の外面および内面を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程(d)と、前記容器本体17の内面に内面塗料を塗装し乾燥させる第1内面塗装・乾燥工程(e)と、その乾燥した内面塗料の上面からさらに内面塗料を塗装し乾燥させる第2内面塗装・乾燥工程(f)と、その容器本体17の外面に印刷を施す印刷工程(g)と、その外面印刷された容器本体17の開口付近を、ネッキング加工するネッキング加工工程(h)と、そのネッキング加工された容器本体17の開口端に、カール加工するカール加工工程(i)と、そのカール加工された容器本体17を追焼きする追焼き工程(j)とからなる。なお、金属容器に充填される内容物によっては、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)のみで内面塗膜16の形成が十分な場合がある。その場合には、第2内面塗装・乾燥工程(f)を行わない。また、ここでいう内面塗装・乾燥工程とは、内面塗料の塗装と、その塗装の乾燥とを併せた1サイクル工程のことをいう。例えば、上記の場合は2サイクルである。
【0023】
前記試料準備工程(a)のスラグ15は、アルミニウム、スチール等の円形の金属板で形成される従来公知のものである。なお、インパクト成形を行う場合はアルミニウムを用いるのが好ましい。前記インパクト成形工程(b)は、前記スラグ15をインパクト成形により有底筒状(容器本体17)に成形する工程である。前記洗浄・乾燥工程(d)は、容器本体17の内面および外面を塗装する前に、表面の汚れ、油脂等を除去する工程である。
【0024】
前記第1内面塗装・乾燥工程(e)では、熱硬化性樹脂が公知のスプレー塗装方法により塗装される。前記塗装の乾燥は、ポリアミドイミド系樹脂の場合、230〜270度℃の炉内に5〜15分載置することにより行われる。前記乾燥は、有機溶媒を蒸発させ、熱硬化性樹脂の乾燥を促し、硬化させるために行われる。また、前記乾燥の条件は、過度の乾燥により内面塗膜16の表面に気泡が発生しないようにし、かつ、不十分な乾燥部分が残らないように設定されている。なお、上記は、ポリアミドイミド系樹脂を用いた乾燥条件であるが、その他の樹脂の乾燥条件は、選択する樹脂によって異なることはいうまでもない。
【0025】
前記第1内面塗装・乾燥工程(e)の後に、第2内面塗装・乾燥工程(f)を行わない場合、すなわち1度しか内面塗装を施さない場合、1サイクル工程の内面塗膜16の厚さ及び乾燥条件も、上述の第2内面塗装・乾燥工程(f)が後に続く場合とほぼ同じである。しかし、第2内面塗装・乾燥工程(f)が行われるのが前提ならば、一度に厚い内面塗膜16を形成しなくても、2サイクル工程で所望の厚みの内面塗膜16を形成すればよい。
【0026】
前記外面印刷をする印刷工程(g)では、容器本体17の胴部11の外面に、従来より公知の方法で印刷が施される。前記ネッキング加工するネッキング加工工程(h)は、有底円筒状の容器本体17の上部を、ネッキング加工することにより、前記肩部12および首部13を、絞り成形する工程である。前記カール加工するカール加工工程(i)は、前記首部3の上端を、カール加工で外向きにカールさせてカール部14を形成する工程である。
【0027】
前記追焼き工程(j)は、容器本体17を250〜280℃、好ましくは、260〜270℃の炉内に、2〜10分、好ましくは4〜8分載置する工程である。なお、上記追焼き条件は、内面塗膜16としてポリアミドイミド系樹脂が用いられた場合の条件である。このような追焼き工程(j)を設けることにより、上記した第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)の後に、再度内面塗膜16を焼き付けるものである。内面塗膜16全体又は底部近傍のみの内面塗膜16に熱量を与えることができる。そのため、内面塗膜16の表面近辺に一度に過度に熱量を与えなくても済む。すなわち、内面塗膜が薄い場合でも、追焼き工程(j)を設けることにより、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)において、一気に熱量を加える必要がないので、過度の乾燥による泡発生等の不具合を防止し、歩留まりをよくすることができる。また、ネッキング加工するネッキング加工工程(h)、カール加工するカール加工工程(i)では、硬化が完全でないので、成形、加工のときに内面塗膜16が追従しやすい。そして、変形後に追焼きで内面塗膜16の中心まで完全硬化するので耐久性が向上する。
【0028】
図3に本発明の製造方法の他の実施の形態を示す。図3に示す製造方法S2は、前記追焼き工程(j)の代わりに部分追焼き工程(j´)が行われる。なお、図3の製造方法S2は図1の製造方法S1と共通する部分が多いので共通する部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。前記部分追焼き(j´)は、内面塗膜16を部分的に追焼きするものである。その用途としては、(1)内面塗膜16の硬化性の低い部分のみ追焼きする、あるいは(2)内面塗膜16の種類が異なる部分がある場合に、特定の部分のみ追焼きするなどである。(1)の場合は、容器本体17の形状などにより、熱伝導が異なる場合である。例えば容器本体17の底部では、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)の乾燥工程において、乾燥炉の温度が、他の部位より伝達され難いため、内面塗膜16の乾燥が不十分な場合である。特に底部の屈曲部付近では、部分追焼き工程(j´)を行うと有効である。一方、(2)の場合は、金属容器10の加工度の高い部分と低い部分がある場合において、内面塗膜16の種類が異なり、必要に応じて特定の部分のみ追焼きするなどである。
【0029】
前記部分追焼き(j´)は、金属プレート(図示せず)を280〜380℃、好ましくは300〜350℃に設定し、その上に2〜10分、好ましくは4〜8分載置する工程である。すなわち、プレートの上に容器本体17を載置し、プレートから容器本体17に熱伝導させることにより内面塗膜16を硬化させるものである。なお、前記全体追焼き(j)と部分追焼き(j´)を併せて用いることもできる。
【0030】
図4および図5はそれぞれ追焼き工程(j)および部分追焼き工程(j´)の順番を第2内面塗装・乾燥工程(f)の後に行うものである。このように、ネッキング加工工程(h)のような容器本体17にネッキング加工、カール加工を施す前に、内面塗膜16を形成してもよい。その場合、熱を加える工程が連続するので、製造ラインを構成しやすく、ある工程で用いた熱を他の工程に用いたりするのが容易となるので省エネである。しかし、ネッキング加工、カール加工の前に容器本体17を高い温度で加熱すると、容器本体17の座屈強度が低下する恐れがある。そのため、ネッキング加工、カール加工の後に追焼きあるいは部分追焼きするのが好ましい。
【0031】
次に、本発明の製造方法で製造された容器本体17の内面塗膜16の硬化性を示す溶剤抽出率テスト(内面塗膜硬化性)の実験結果を示す。溶剤抽出率テストとは、内面塗膜16の硬化状態を確認するテストである。そのテスト方法は、塗料使用溶剤を用いて、加熱還流状態の溶剤中に内面塗膜片を浸漬し、内面塗膜16から溶剤中へ溶出物を抽出させる方法である。そのため、溶剤抽出率の数値が小さいほど硬化状態が良好で、内面塗膜16の硬化度が高いことになる。
【0032】
表1に溶剤抽出率テストの結果を示す。表1の記号Wとは、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)を行ったことを示す。また、W+追焼き(270)とは、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)を行った後に、さらに容器本体17を設定温度270℃の乾燥器に4分間、横置きにして追焼きしたことを示す。同じく、W+追焼き(275)とは、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)を行った後に、さらに金属容器を設定温度275℃の乾燥器に4分間、横置きにして追焼きしたことを示す。さらに、W+部分追焼きとは、前記第1内面塗装・乾燥工程(e)及び第2内面塗装・乾燥工程(f)を行った後に、さらに350℃に設定したプレート上に3分間、底部をプレートの上に正立で載せて追焼きしたことを示す。
【0033】
【表1】

【0034】
図6は表1の結果をグラフにしたものである。グラフの縦軸は溶剤抽出率(%)を示す。横軸は内面塗膜16の乾燥条件を示す。グラフに示すように、追焼きにより溶剤の抽出率が小さくなっているのが分かる。また、プレートにより底部に追焼きをしたものは、底部の抽出率が小さくなっているのが分かる。
【0035】
表2に短期保存テスト(耐食性)の結果を示す。短期保存テストとは、モデル液(クエン酸6%、食塩1%、界面活性剤0.5%、調整水)を金属缶10に充填し、60℃で2週間保存した後、金属缶の内面を目視により評価するテストである。表中のnは試験に用いた金属缶10の本数、缶ブリスター缶数とは目視により腐食が認められた金属缶10の本数のことである。表2に示すように、追焼きを275℃で行うことにより、腐食する金属容器10の本数が減少していることが分かる。
【0036】
【表2】

@0002
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は本発明の金属容器を製造方法の実施形態を示す工程図である。
【図2】図2aは本発明の金属容器の一実施形態であるエアゾール缶を示す概略部分断面図、図2bはチューブ容器を示す概略部分断面図である。
【図3】図3は本発明の製造方法の他の実施の形態を示す工程図である。
【図4】図4は本発明の製造方法のさらに他の実施の形態を示す工程図である。
【図5】図5は本発明の製造方法の他の実施の形態を示す工程図である。
【図6】図6は表1をグラフにした図を示す。
【符号の説明】
【0038】
10 エアゾール缶
11 胴部
12 肩部
13 首部
14 カール部
15 インパクトスラグ
16 内面塗膜
17 容器本体
18 マウンティングキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の容器本体と、その容器本体の内面に樹脂塗料を塗装し乾燥させることを1サイクルとする内面塗装・乾燥工程を、少なくとも1サイクル施して、厚みを4〜25μmとした熱硬化性樹脂製の内面塗膜とからなり、その内面塗膜が、容器本体の全体あるいはその一部の範囲でさらに追焼きされていることを特徴とする金属容器。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂がポリアミドイミド系樹脂である請求項1記載の金属容器。
【請求項3】
前記金属容器が、飲料缶、エアゾール容器またはアルミニウムチューブ容器である請求項1または2記載の金属容器。
【請求項4】
有底筒状の容器本体の内面に樹脂塗料を塗装し乾燥させることを1サイクルとする内面塗装・乾燥工程を、少なくとも1サイクル施して、容器本体の内面に熱硬化性樹脂の内面塗膜を形成する塗膜形成工程と、その塗膜形成工程の後に容器本体の全体あるいはその一部の内面塗膜を追焼きする追焼き工程とからなる金属容器の製造方法。
【請求項5】
前記塗膜形成工程と追焼き工程との間にネッキング加工工程と、それに続くカール加工工程とを行なう請求項4記載の金属容器の製造方法。
【請求項6】
前記追焼き工程を、加熱されたプレートの上に容器本体の追焼きしたい部分を載置して行なう請求項4または5記載の金属容器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate