耕耘装置
【課題】ナイフビームの先端に取り付けるチゼルを固定ボルトとシャーボルトを介して連結し、チゼルに過負荷がかかるとシャーボルトが折損するように構成したサブソイラにおいて、前記固定ボルトによる締め付け抵抗の影響を受けることなく、実質的なシャーボルトの折損(剪断)強さが安定して発揮されるようにする。
【解決手段】チゼルに過負荷がかってシャーボルト28aが剪断された際に、チゼル31の耕耘爪15側への回動を規制するストッパー32をチゼル31またはナイフビーム26に設けた。
【解決手段】チゼルに過負荷がかってシャーボルト28aが剪断された際に、チゼル31の耕耘爪15側への回動を規制するストッパー32をチゼル31またはナイフビーム26に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の農作業用車両の後部にリンク機構を介して昇降可能に装着される耕耘装置に係り、詳しくは耕耘爪で作土層を耕耘すると共に、この作土層から下層の耕盤を含む心土層を破砕するサブソイラを備えた耕耘装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタの後部にリンク機構を介して昇降可能に装着される耕耘装置においては、耕耘爪の上方を覆うロータリカバーと、このロータリカバーの後方に上下回動可能に設けられたリヤカバーとの間に、作業機取り付け用フレームに取り付けたブラケットを介して、作土層から下層の耕盤を含む心土層を破砕するサブソイラを取り付けると共に、当該サブソイラのチゼル(刃部)にかかる過負荷を回避するための過負荷回避手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−194587号公報(第6−7頁、図2−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1に提案されているサブソイラは、ブラケットに支持されている本体(ナイフビーム)と、この本体の先端に取り付けるチゼルとを、固定ボルトとシャーボルトを介して連結することによって、チゼルに過負荷がかかるとシャーボルトが折損する過負荷回避手段を備えているが、実際にチゼルにかかる過負荷によってシャーボルトが折損する際は、単にシャーボルトの折損(剪断)強さだけでなく固定ボルトによる締め付け抵抗、即ち本体とチゼルとの摩擦抵抗のバラツキの影響も受けることから、実質的なシャーボルトの破断強さが安定して発揮されないといった不具合を有していた。
【0004】
また、シャーボルトが折損した状態でリンク機構を介して耕耘装置を持ち上げた場合は、チゼルが固定ボルトを支点として下方に向けて回動し、それによってチゼルと耕耘爪が衝突して両者が破損する可能性があり、この衝突を回避すべく必然的に固定ボルトの締め付けトルクを高めに設定して、当該固定ボルトによる締め付け抵抗を増加させることで、シャーボルトが折損した場合でもチゼルがその自重により固定ボルトを支点として容易に下方に向けて回動しないようにしていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、耕耘爪の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後方に上下回動可能なリヤカバーとを備え、前記ロータリカバーとリヤカバーとの間にサブソイラを設けた耕耘装置において、前記サブソイラを構成するナイフビームの下端に、回動軸となる固定ボルトと、所定の力を受けると剪断されるシャーボルトを介してチゼルを取り付けると共に、前記シャーボルトが剪断された際に、チゼルの自重による耕耘爪側への回動を規制する阻止手段を設けたことを第1の特徴としている。
【0006】
そして、前記阻止手段をチゼルまたはナイフビームに設けたストッパーによって構成したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、サブソイラを構成するナイフビームの下端に、回動軸となる固定ボルトと、所定の力を受けると剪断されるシャーボルトを介してチゼルを取り付けると共に、前記シャーボルトが剪断された際に、チゼルの耕耘爪側への回動を規制する阻止手段を設けたので、シャーボルトが剪断された(折損した)状態でリンク機構を介して耕耘ロータリを持ち上げた場合でも、当該阻止手段よってチゼルが固定ボルトを支点として下方に向けて回動することを規制できるので、チゼルと耕耘爪が衝突して両者が破損することを回避できるようになる。したがって、固定ボルトの締め付けトルクを必要以上に高く設定しなくて済むようになり、固定ボルトによる締め付け抵抗、即ちナイフビームとチゼルとの摩擦抵抗のバラツキの影響を殆ど受けることなく、シャーボルトの剪断(折損)強さが安定して発揮されるようになる。
【0008】
そして、請求項2の発明によれば、前記阻止手段をチゼルまたはナイフビームに設けたストッパーによって構成したことによって、簡単で安価に阻止手段を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のサブソイラ10を装着した耕耘装置11であって、この耕耘装置11は、図示しないトラクタの後部にリンク機構を介して昇降可能に装着されており、トラクタ側よりPTO動力が入力されるギヤケース12の両側に左右一対のパイプフレーム13を配設すると共に、その左端側に耕耘装置11の伝動ケースであるチェンケース14、右端側には図示しないサイドプレートを固設してある。
【0010】
そして、耕耘装置11を構成する複数の耕耘爪15を固設した耕耘軸16は、チェンケース14下部の駆動側軸受部とサイドプレート下部に設けた従動側軸受部に支持されると共に、チェンケース14内に組み込まれたチェン伝動機構を介して回転駆動されるようになっている。
【0011】
また、耕耘爪15の上方を覆うロータリカバー17は、側面視で円弧状に形成されると共に、その左右両側にはサイドカバー18を設けている。そして、ロータリカバー17の後部には、支点軸19を回動中心とするリヤカバー21を、加圧スプリングを嵌挿した左右一対の吊り下げロッド22を介して上下回動可能に軸支している。尚、このリヤカバー21によって耕耘土壌面が均平化される。
【0012】
また、ギヤケース12の後側には、角パイプからなる支持杆23が横設してあって、この支持杆23には、作土層から下層の耕盤を含む心土層を破砕するためのサブソイラ10等を取り付けるホルダ24を装着している。このホルダ24は左右位置調節可能に装着できるようになっており、耕耘爪15による作土層S1の耕耘作業と同時に、サブソイラ10による作土層S1から下層の耕盤S2を含む心土層の破砕を行うことができるので、耕盤S2の土を膨軟にすると共に耕盤溝を形成して、水はけの良い圃場の造成や、耕盤S2近傍の残留肥料分を流出させて作物の健全な生育の促進が図れる。
【0013】
詳述すると、サブソイラ10は、ホルダ24に対して高さ調節可能にボルト25を介して取り付けられるナイフビーム(本体)26と、このナイフビーム26の下端に回動軸となる固定ボルト27aとナット27b、及び所定の力を受けると剪断されるシャーボルト28aとナット28bを介して取り付けたチゼル(刃部)31を備えている。即ち心土層を破砕して土を掘り起こすチゼル31に過負荷がかかると、前記シャーボルト28aが剪断(折損)されて過負荷回避手段として作用するようになっている。
【0014】
更に、図2に示すように、チゼル31の基端部には棒状のストッパー32が固設してあり、このストッパー32は、上述の如くシャーボルト28aが剪断された際、チゼル31の耕耘爪15側への回動を規制する阻止手段として作用するものであって、その際、図3に示すA矢印方向、即ち固定ボルト27aを支点する耕耘爪15側へのチゼル31の回動は規制され、一方二点鎖線で示すB矢印方向へのチゼル31の回動のみが許容されるようになっている。
【0015】
つまり、図4に示す従来例の如く、シャーボルト28aが剪断された(折損した)状態でリンク機構を介して耕耘装置11が持ち上げられた場合であっても、チゼル31がその自重により固定ボルト27aを支点として下方に向けて回動することを、上述したストッパー32によって阻止することが可能であり、当該チゼル31と耕耘爪15が衝突して両者31,15が破損することを回避できるようになる。したがって、固定ボルト27aの締め付けトルクを必要以上に高く設定しなくて済むようになり、固定ボルト27aとナット27bによる締め付け抵抗、即ちナイフビーム26とチゼル31との摩擦抵抗のバラツキの影響を殆ど受けることなく、シャーボルト28aの折損(剪断)強さが安定して発揮されるようになる。
【0016】
尚、図5及び図6に示すように、チゼル31の回動を規制する阻止手段としての棒状のストッパー32をナイフビーム26に固設してもよく、この場合は、当該ストッパー32によって図中二点鎖線で示すB矢印方向(後方向)へのチゼル31の回動も規制することができるので、該チゼル31とリヤカバー21の干渉も回避できるようになると共に、簡単で安価にチゼル31の回動を規制する阻止手段を構成できる。
【0017】
また、上述の如く耕耘装置11による耕耘作業中にチゼル31に過負荷がかかってシャーボルト28aが折損した際は何らかの異音が発生するが、この異音がシャーボルト28aの折損によるものか否かをオペレータが簡単に認識することは困難であって、例えば図7及び図8に示すように、ナイフビーム26の前側に沿わせた板状部材36をチゼル31の基端部の前側に螺設することによって、耕耘作業中にシャーボルト28aが折損した際は、図9に示す如く固定ボルト27aを回動軸としてチゼル31は図中B矢印方向(後方向)に回動し、この時、前記板状部材36は前方に回動して耕耘爪15と衝突するので大きな音が発生し、以ってオペレータにシャーボルト28aの折損を気付かせることができる。
【0018】
そして、図10及び図11に示すものは、耕耘装置11による耕耘作業中にシャーボルト28aの折損をオペレータが視認できるようにしたもので、このものでは、チゼル31の基端部の前側にゲージワイヤ41の一端を取り付け、且つ該ゲージワイヤ41をナイフビーム26の前側に設けた筒状ガイド26aに挿通すると共に、ナイフビーム26が取り付けられているホルダ24から、当該ゲージワイヤ41の他端(先端)部41aを常時は突出するように構成してあって、シャーボルト28aが折損した際は、図10に示す如く固定ボルト27aを回動軸としてチゼル31は図中B矢印方向(後方向)に回動し、この時、ゲージワイヤ41はホルダ24の上部と略同高さまで引き込まれるので、オペレータは容易にシャーボルト28aの折損に気付くことができる。
【0019】
また、図12及び図13に示すものは、上述した実施例とは逆に、チゼル31の基端部の後側にゲージワイヤ41の一端を取り付け、且つ該ゲージワイヤ41をナイフビーム26の後側に設けた筒状ガイド26aに挿通すると共に、ナイフビーム26の上端とゲージワイヤ41の他端(先端)部41aとを常時は略同一高さとなるように構成してあって、シャーボルト28aが折損した際は、固定ボルト27aを回動軸として図中B矢印方向(後方向)に回動するチゼル31にゲージワイヤ41が押し上げられ、それに伴ってゲージワイヤ41の他端(先端)部41aがナイフビーム26の上端より飛び出すようになっており、それによってオペレータは容易にシャーボルト28aの折損に気付くことができる。
【0020】
更に、図14及び図15に示すように、チゼル31の基端部の前側にゲージワイヤ41の一端を取り付け、このゲージワイヤ41をナイフビーム26の前側に設けた筒状ガイド26aに挿通すると共に、シャーボルト28aが折損した際、図中B矢印方向(後方向)に回動するチゼル31に引き込まれるゲージワイヤ41の他端(先端)部41aの移動量を、ナイフビーム26が取り付けられているホルダ24に設けたセンサ46によって検出可能に構成し、当該センサ46によるゲージワイヤ41の所定量の移動、即ちシャーボルト28aが折損したことが検出されると、図示しないトラクタの操縦部に設けられているメータパネル47への表示出力(点灯)とブザー等の警告音の出力がなされるようにしてもよく、この場合もオペレータは容易にシャーボルト28aの折損に気付くことができる。
【0021】
尚、上述の如く耕耘装置11による耕耘作業中において、シャーボルト28aの折損検出に連動して当該耕耘装置11を上昇させるように構成することによって、折損したシャーボルト28aを交換して耕耘作業を再開する際、サブソイラ10の作業再開位置を明確に判断できるので作業の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】耕耘ロータリによる耕耘作業状態を示す側面図。
【図2】チゼルの斜視図。
【図3】チゼルの回動ストッパーの第一実施形態を示す側面図。
【図4】サブソイラのシャーボルトが折損した従来の耕耘ロータリを持ち上げた状態を示す側面図。
【図5】ナイフビームの斜視図。
【図6】チゼルの回動ストッパーの第二実施形態を示す側面図。
【図7】板状部材の取り付け状態を示す側面図。
【図8】図7におけるC矢視図。
【図9】板状部材の作用状態を示す側面図。
【図10】ゲージワイヤの第一実施形態を示す側面図。
【図11】図10におけるC矢視図。
【図12】ゲージワイヤの第二実施形態を示す側面図。
【図13】図12におけるD矢視図。
【図14】ゲージワイヤの第三実施形態を示す側面図。
【図15】メータパネルの正面図。
【符号の説明】
【0023】
10 サブソイラ
11 耕耘装置
15 耕耘爪
17 ロータリカバー
21 リヤカバー
26 ナイフビーム
27a 固定ボルト
28a シャーボルト
31 チゼル
32 阻止手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の農作業用車両の後部にリンク機構を介して昇降可能に装着される耕耘装置に係り、詳しくは耕耘爪で作土層を耕耘すると共に、この作土層から下層の耕盤を含む心土層を破砕するサブソイラを備えた耕耘装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタの後部にリンク機構を介して昇降可能に装着される耕耘装置においては、耕耘爪の上方を覆うロータリカバーと、このロータリカバーの後方に上下回動可能に設けられたリヤカバーとの間に、作業機取り付け用フレームに取り付けたブラケットを介して、作土層から下層の耕盤を含む心土層を破砕するサブソイラを取り付けると共に、当該サブソイラのチゼル(刃部)にかかる過負荷を回避するための過負荷回避手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−194587号公報(第6−7頁、図2−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1に提案されているサブソイラは、ブラケットに支持されている本体(ナイフビーム)と、この本体の先端に取り付けるチゼルとを、固定ボルトとシャーボルトを介して連結することによって、チゼルに過負荷がかかるとシャーボルトが折損する過負荷回避手段を備えているが、実際にチゼルにかかる過負荷によってシャーボルトが折損する際は、単にシャーボルトの折損(剪断)強さだけでなく固定ボルトによる締め付け抵抗、即ち本体とチゼルとの摩擦抵抗のバラツキの影響も受けることから、実質的なシャーボルトの破断強さが安定して発揮されないといった不具合を有していた。
【0004】
また、シャーボルトが折損した状態でリンク機構を介して耕耘装置を持ち上げた場合は、チゼルが固定ボルトを支点として下方に向けて回動し、それによってチゼルと耕耘爪が衝突して両者が破損する可能性があり、この衝突を回避すべく必然的に固定ボルトの締め付けトルクを高めに設定して、当該固定ボルトによる締め付け抵抗を増加させることで、シャーボルトが折損した場合でもチゼルがその自重により固定ボルトを支点として容易に下方に向けて回動しないようにしていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、耕耘爪の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後方に上下回動可能なリヤカバーとを備え、前記ロータリカバーとリヤカバーとの間にサブソイラを設けた耕耘装置において、前記サブソイラを構成するナイフビームの下端に、回動軸となる固定ボルトと、所定の力を受けると剪断されるシャーボルトを介してチゼルを取り付けると共に、前記シャーボルトが剪断された際に、チゼルの自重による耕耘爪側への回動を規制する阻止手段を設けたことを第1の特徴としている。
【0006】
そして、前記阻止手段をチゼルまたはナイフビームに設けたストッパーによって構成したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、サブソイラを構成するナイフビームの下端に、回動軸となる固定ボルトと、所定の力を受けると剪断されるシャーボルトを介してチゼルを取り付けると共に、前記シャーボルトが剪断された際に、チゼルの耕耘爪側への回動を規制する阻止手段を設けたので、シャーボルトが剪断された(折損した)状態でリンク機構を介して耕耘ロータリを持ち上げた場合でも、当該阻止手段よってチゼルが固定ボルトを支点として下方に向けて回動することを規制できるので、チゼルと耕耘爪が衝突して両者が破損することを回避できるようになる。したがって、固定ボルトの締め付けトルクを必要以上に高く設定しなくて済むようになり、固定ボルトによる締め付け抵抗、即ちナイフビームとチゼルとの摩擦抵抗のバラツキの影響を殆ど受けることなく、シャーボルトの剪断(折損)強さが安定して発揮されるようになる。
【0008】
そして、請求項2の発明によれば、前記阻止手段をチゼルまたはナイフビームに設けたストッパーによって構成したことによって、簡単で安価に阻止手段を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のサブソイラ10を装着した耕耘装置11であって、この耕耘装置11は、図示しないトラクタの後部にリンク機構を介して昇降可能に装着されており、トラクタ側よりPTO動力が入力されるギヤケース12の両側に左右一対のパイプフレーム13を配設すると共に、その左端側に耕耘装置11の伝動ケースであるチェンケース14、右端側には図示しないサイドプレートを固設してある。
【0010】
そして、耕耘装置11を構成する複数の耕耘爪15を固設した耕耘軸16は、チェンケース14下部の駆動側軸受部とサイドプレート下部に設けた従動側軸受部に支持されると共に、チェンケース14内に組み込まれたチェン伝動機構を介して回転駆動されるようになっている。
【0011】
また、耕耘爪15の上方を覆うロータリカバー17は、側面視で円弧状に形成されると共に、その左右両側にはサイドカバー18を設けている。そして、ロータリカバー17の後部には、支点軸19を回動中心とするリヤカバー21を、加圧スプリングを嵌挿した左右一対の吊り下げロッド22を介して上下回動可能に軸支している。尚、このリヤカバー21によって耕耘土壌面が均平化される。
【0012】
また、ギヤケース12の後側には、角パイプからなる支持杆23が横設してあって、この支持杆23には、作土層から下層の耕盤を含む心土層を破砕するためのサブソイラ10等を取り付けるホルダ24を装着している。このホルダ24は左右位置調節可能に装着できるようになっており、耕耘爪15による作土層S1の耕耘作業と同時に、サブソイラ10による作土層S1から下層の耕盤S2を含む心土層の破砕を行うことができるので、耕盤S2の土を膨軟にすると共に耕盤溝を形成して、水はけの良い圃場の造成や、耕盤S2近傍の残留肥料分を流出させて作物の健全な生育の促進が図れる。
【0013】
詳述すると、サブソイラ10は、ホルダ24に対して高さ調節可能にボルト25を介して取り付けられるナイフビーム(本体)26と、このナイフビーム26の下端に回動軸となる固定ボルト27aとナット27b、及び所定の力を受けると剪断されるシャーボルト28aとナット28bを介して取り付けたチゼル(刃部)31を備えている。即ち心土層を破砕して土を掘り起こすチゼル31に過負荷がかかると、前記シャーボルト28aが剪断(折損)されて過負荷回避手段として作用するようになっている。
【0014】
更に、図2に示すように、チゼル31の基端部には棒状のストッパー32が固設してあり、このストッパー32は、上述の如くシャーボルト28aが剪断された際、チゼル31の耕耘爪15側への回動を規制する阻止手段として作用するものであって、その際、図3に示すA矢印方向、即ち固定ボルト27aを支点する耕耘爪15側へのチゼル31の回動は規制され、一方二点鎖線で示すB矢印方向へのチゼル31の回動のみが許容されるようになっている。
【0015】
つまり、図4に示す従来例の如く、シャーボルト28aが剪断された(折損した)状態でリンク機構を介して耕耘装置11が持ち上げられた場合であっても、チゼル31がその自重により固定ボルト27aを支点として下方に向けて回動することを、上述したストッパー32によって阻止することが可能であり、当該チゼル31と耕耘爪15が衝突して両者31,15が破損することを回避できるようになる。したがって、固定ボルト27aの締め付けトルクを必要以上に高く設定しなくて済むようになり、固定ボルト27aとナット27bによる締め付け抵抗、即ちナイフビーム26とチゼル31との摩擦抵抗のバラツキの影響を殆ど受けることなく、シャーボルト28aの折損(剪断)強さが安定して発揮されるようになる。
【0016】
尚、図5及び図6に示すように、チゼル31の回動を規制する阻止手段としての棒状のストッパー32をナイフビーム26に固設してもよく、この場合は、当該ストッパー32によって図中二点鎖線で示すB矢印方向(後方向)へのチゼル31の回動も規制することができるので、該チゼル31とリヤカバー21の干渉も回避できるようになると共に、簡単で安価にチゼル31の回動を規制する阻止手段を構成できる。
【0017】
また、上述の如く耕耘装置11による耕耘作業中にチゼル31に過負荷がかかってシャーボルト28aが折損した際は何らかの異音が発生するが、この異音がシャーボルト28aの折損によるものか否かをオペレータが簡単に認識することは困難であって、例えば図7及び図8に示すように、ナイフビーム26の前側に沿わせた板状部材36をチゼル31の基端部の前側に螺設することによって、耕耘作業中にシャーボルト28aが折損した際は、図9に示す如く固定ボルト27aを回動軸としてチゼル31は図中B矢印方向(後方向)に回動し、この時、前記板状部材36は前方に回動して耕耘爪15と衝突するので大きな音が発生し、以ってオペレータにシャーボルト28aの折損を気付かせることができる。
【0018】
そして、図10及び図11に示すものは、耕耘装置11による耕耘作業中にシャーボルト28aの折損をオペレータが視認できるようにしたもので、このものでは、チゼル31の基端部の前側にゲージワイヤ41の一端を取り付け、且つ該ゲージワイヤ41をナイフビーム26の前側に設けた筒状ガイド26aに挿通すると共に、ナイフビーム26が取り付けられているホルダ24から、当該ゲージワイヤ41の他端(先端)部41aを常時は突出するように構成してあって、シャーボルト28aが折損した際は、図10に示す如く固定ボルト27aを回動軸としてチゼル31は図中B矢印方向(後方向)に回動し、この時、ゲージワイヤ41はホルダ24の上部と略同高さまで引き込まれるので、オペレータは容易にシャーボルト28aの折損に気付くことができる。
【0019】
また、図12及び図13に示すものは、上述した実施例とは逆に、チゼル31の基端部の後側にゲージワイヤ41の一端を取り付け、且つ該ゲージワイヤ41をナイフビーム26の後側に設けた筒状ガイド26aに挿通すると共に、ナイフビーム26の上端とゲージワイヤ41の他端(先端)部41aとを常時は略同一高さとなるように構成してあって、シャーボルト28aが折損した際は、固定ボルト27aを回動軸として図中B矢印方向(後方向)に回動するチゼル31にゲージワイヤ41が押し上げられ、それに伴ってゲージワイヤ41の他端(先端)部41aがナイフビーム26の上端より飛び出すようになっており、それによってオペレータは容易にシャーボルト28aの折損に気付くことができる。
【0020】
更に、図14及び図15に示すように、チゼル31の基端部の前側にゲージワイヤ41の一端を取り付け、このゲージワイヤ41をナイフビーム26の前側に設けた筒状ガイド26aに挿通すると共に、シャーボルト28aが折損した際、図中B矢印方向(後方向)に回動するチゼル31に引き込まれるゲージワイヤ41の他端(先端)部41aの移動量を、ナイフビーム26が取り付けられているホルダ24に設けたセンサ46によって検出可能に構成し、当該センサ46によるゲージワイヤ41の所定量の移動、即ちシャーボルト28aが折損したことが検出されると、図示しないトラクタの操縦部に設けられているメータパネル47への表示出力(点灯)とブザー等の警告音の出力がなされるようにしてもよく、この場合もオペレータは容易にシャーボルト28aの折損に気付くことができる。
【0021】
尚、上述の如く耕耘装置11による耕耘作業中において、シャーボルト28aの折損検出に連動して当該耕耘装置11を上昇させるように構成することによって、折損したシャーボルト28aを交換して耕耘作業を再開する際、サブソイラ10の作業再開位置を明確に判断できるので作業の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】耕耘ロータリによる耕耘作業状態を示す側面図。
【図2】チゼルの斜視図。
【図3】チゼルの回動ストッパーの第一実施形態を示す側面図。
【図4】サブソイラのシャーボルトが折損した従来の耕耘ロータリを持ち上げた状態を示す側面図。
【図5】ナイフビームの斜視図。
【図6】チゼルの回動ストッパーの第二実施形態を示す側面図。
【図7】板状部材の取り付け状態を示す側面図。
【図8】図7におけるC矢視図。
【図9】板状部材の作用状態を示す側面図。
【図10】ゲージワイヤの第一実施形態を示す側面図。
【図11】図10におけるC矢視図。
【図12】ゲージワイヤの第二実施形態を示す側面図。
【図13】図12におけるD矢視図。
【図14】ゲージワイヤの第三実施形態を示す側面図。
【図15】メータパネルの正面図。
【符号の説明】
【0023】
10 サブソイラ
11 耕耘装置
15 耕耘爪
17 ロータリカバー
21 リヤカバー
26 ナイフビーム
27a 固定ボルト
28a シャーボルト
31 チゼル
32 阻止手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪(15)の上方を覆うロータリカバー(17)と、該ロータリカバー(17)の後方に上下回動可能なリヤカバー(21)とを備え、前記ロータリカバー(17)とリヤカバー(21)との間にサブソイラ(10)を設けた耕耘装置(11)において、前記サブソイラ(10)を構成するナイフビーム(26)の下端に、回動軸となる固定ボルト(27a)と、所定の力を受けると剪断されるシャーボルト(28a)を介してチゼル(31)を取り付けると共に、前記シャーボルト(28a)が剪断された際に、チゼル(31)の耕耘爪(15)側への回動を規制する阻止手段(32)を設けたことを特徴とする耕耘装置。
【請求項2】
前記阻止手段(32)をチゼル(31)またはナイフビーム(26)に設けたストッパーによって構成したことを特徴とする請求項1に記載の耕耘装置。
【請求項1】
耕耘爪(15)の上方を覆うロータリカバー(17)と、該ロータリカバー(17)の後方に上下回動可能なリヤカバー(21)とを備え、前記ロータリカバー(17)とリヤカバー(21)との間にサブソイラ(10)を設けた耕耘装置(11)において、前記サブソイラ(10)を構成するナイフビーム(26)の下端に、回動軸となる固定ボルト(27a)と、所定の力を受けると剪断されるシャーボルト(28a)を介してチゼル(31)を取り付けると共に、前記シャーボルト(28a)が剪断された際に、チゼル(31)の耕耘爪(15)側への回動を規制する阻止手段(32)を設けたことを特徴とする耕耘装置。
【請求項2】
前記阻止手段(32)をチゼル(31)またはナイフビーム(26)に設けたストッパーによって構成したことを特徴とする請求項1に記載の耕耘装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−75077(P2006−75077A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262519(P2004−262519)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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