耕耘装置
【課題】駆動軸に耕耘爪を回動自在に設け、かつ小型化を図ることができる耕耘装置を提供する。
【解決手段】耕耘装置20は、第1駆動軸24に設けられた第1外側ホルダプレート41と、第1外側ホルダプレート41に爪中間部42cが回動自在に設けられた第1外側耕耘爪42と、爪中間部42cから離れた爪基端部42aを第1外側ホルダプレート41に連結する弾性部材43とを備えている。弾性部材43で第1外側ホルダプレート41に爪基端部42aを連結することで、第1外側耕耘爪42を耕耘可能に保持する。そして、第1駆動軸24を軸線38を中心にして回転させることにより第1外側耕耘爪42を耕耘状態に駆動する。
【解決手段】耕耘装置20は、第1駆動軸24に設けられた第1外側ホルダプレート41と、第1外側ホルダプレート41に爪中間部42cが回動自在に設けられた第1外側耕耘爪42と、爪中間部42cから離れた爪基端部42aを第1外側ホルダプレート41に連結する弾性部材43とを備えている。弾性部材43で第1外側ホルダプレート41に爪基端部42aを連結することで、第1外側耕耘爪42を耕耘可能に保持する。そして、第1駆動軸24を軸線38を中心にして回転させることにより第1外側耕耘爪42を耕耘状態に駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸から複数の耕耘爪を略放射状に延ばし、駆動軸で耕耘爪を回転させることにより土壌を耕耘可能な耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘装置のなかには、駆動軸に支持ボルトを介して耕耘爪が回動自在に取り付けられ、支持ボルトに設けられたコイルばねで耕耘爪が駆動軸の回転方向に付勢され、付勢された耕耘爪をストッパに当接させて耕耘爪を耕耘位置に保持するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この耕耘装置によれば、耕耘爪で耕耘中、耕耘爪が障害物に当たった場合、耕耘爪をコイルばねの付勢力に抗して後退する方向(すなわち、駆動軸の回転方向に対して逆方向)に逃がすことができる。
これにより、例えば、耕耘爪が障害物に当たって折れ曲がることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−94763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の耕耘装置は、耕耘爪を回動自在に取り付ける支持ボルト(すなわち、回動中心)にコイルばねを設け、このコイルばねで耕耘爪の回動中心近傍に付勢力を作用させて耕耘爪を保持している。
このように、コイルばねの付勢力を耕耘爪の回動中心近傍に作用させるために、コイルばねの付勢力を大きく設定する必要がある。
このため、コイルばねが大型化し、そのことが耕耘装置の小型化を図る妨げになっていた。
【0006】
本発明は、駆動軸に耕耘爪を回動自在に設け、かつ小型化を図ることができる耕耘装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、駆動軸に設けられたホルダプレートと、前記ホルダプレートに中間部が回動自在に設けられた耕耘爪と、前記耕耘爪の中間部から離れた基端部を前記ホルダプレートに連結させて前記耕耘爪を耕耘可能に保持する連結部材と、を備え、前記駆動軸を軸線を中心にして回転させることにより前記耕耘爪を耕耘状態に駆動することを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記連結部材は弾性部材であることを特徴とする。
【0009】
請求項3は、前記連結部材は棒状部材であることを特徴とする。
【0010】
請求項4は、前記ホルダプレートに前記耕耘爪の回動を規制する突起が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、駆動軸にホルダプレートを設け、ホルダプレートに耕耘爪の中間部を回動自在に設けた。そして、耕耘爪の中間部から離れた基端部を連結部材で連結した。
よって、耕耘爪が回動する際に、連結部材に作用する力を、耕耘爪の中間部近傍に作用する力と比較して小さく抑えることができる。
これにより、連結部材をコンパクト(小型)に抑えることが可能になり、耕耘装置の小型化を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、連結部材を弾性部材とすることで、耕耘爪で耕耘する圃場の状況(例えば、硬さや柔らかさ)に応じて弾性部材を弾性変形させて耕耘爪の回転径を自動的に調整することができる。
【0013】
すなわち、耕耘爪で硬い圃場を耕耘する場合には耕耘爪に比較的大きな負荷(反力)が作用する。よって、弾性部材を弾性変形させて耕耘爪の先端部が駆動軸に近づくように耕耘爪を回動させ、耕耘爪の回転径を自動的に小さく調整できる。
耕耘爪の回転径を小さくすることで、硬い圃場に耕耘爪を良好に食い込ませて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、硬い圃場に耕耘爪を良好に食い込ませることで、耕耘爪を食い込ませるときの負荷(反力)を小さく抑え、耕耘装置の振動を低減することができる。
よって、耕耘装置の使い勝手を高めて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0014】
一方、耕耘爪で柔らかい圃場を耕耘する場合には耕耘爪に比較的小さな負荷(反力)が作用する。よって、弾性部材の付勢力で耕耘爪の先端部を駆動軸から大きく離れた状態に保持し、耕耘爪の回転径を自動的に大きく調整(保持)できる。
耕耘爪の回転径を大きく保つことで、耕耘爪(先端部)の周速を速くできる。これにより、圃場を細土に耕耘することが可能になり耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、耕耘爪の回転径を大きくすることで、柔らかい圃場の深耕作業が可能になり、耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0015】
このように、耕耘爪で耕耘する圃場の状況に応じて耕耘爪の回転径を自動的に調整することで、圃場の状況に適した耕耘作業をおこなうことが可能になり、作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、耕耘作業中に、耕耘爪が石(礫)などの障害物に当たった場合、耕耘爪を弾性部材の付勢力に抗して後退する方向(すなわち、駆動軸の回転方向に対して逆方向)に逃がすことができる。
これにより、例えば、耕耘爪に石(礫)などの障害物を噛み込むことを防止することができる。
【0017】
加えて、耕耘爪に草などが巻き付いた場合、耕耘爪を弾性部材の付勢力に抗して回動させることでコンパクトに折り畳むことができる。
このように、耕耘爪をコンパクトに折り畳むことで、耕耘爪に巻き付いた草を手間をかけないで容易に除去することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、連結部材を棒状部材とすることにより、棒状部材で耕耘爪の回動を阻止できる。
これにより、例えば、耕耘装置で硬い圃場のみを耕耘する場合や、精度の高い耕耘(耕起)作業をおこなう場合に、耕耘爪の回動を抑えて(すなわち、固定させて)耕耘性能を好適に確保することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、ホルダプレートに耕耘爪の回動を規制する突起(ストッパ)を設けた。
耕耘爪の回動を突起で規制することで、弾性部材の弾性変形を規定範囲内に抑えて弾性部材の破損を防止することができる。
【0020】
さらに、耕耘爪の回動を突起で規制することで、連結部材が外れた場合でも、耕耘爪を突起で耕耘可能位置に保持することができる。
これにより、突起で耕耘可能位置に規制された耕耘爪で耕耘作業を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る耕耘装置(実施例1)を備えた耕耘機を示す側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】実施例1の耕耘装置(左第1耕耘機構および左第2耕耘機構)を示す斜視図である。
【図4】図3の左第1耕耘機構を示す斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【図8】図2の8矢視図である。
【図9】実施例1の左第1耕耘機構で硬い圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図10】実施例1の左第2耕耘機構で硬い圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図11】実施例1の左第1耕耘機構で柔らかい圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図12】実施例1の左第2耕耘機構で柔らかい圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図13】本発明に係る耕耘装置(実施例2)を示す斜視図である。
【図14】図13の14−14線断面図である。
【図15】本発明に係る耕耘装置(実施例3)の第1外側耕耘爪同士が圃場の上方で交差した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0023】
実施例1に係る耕耘装置20について説明する。
図1に示すように、耕耘機10は、本体を兼ねるミッションケース12と、ミッションケース12の左右側に支持された左右の車輪13(左車輪13のみを図示する)と、ミッションケース12の前端部12aから前方に延びるエンジンベッド14と、エンジンベッド14に搭載されたエンジン15と、ミッションケース12の略中央部12bから後方に向けて延出されたハンドル17と、ハンドル17に沿って設けられたシフトレバー18と、ミッションケース12の後部に設けられた耕耘装置20とを備えた自走式の歩行型作業機(管理機)である。
【0024】
ミッションケース12内には、エンジン15の回転を左右の車輪13および耕耘装置20に伝達可能な動力伝達機構(図示せず)が収納されている。
耕耘機10によれば、エンジン15を駆動することにより、エンジン15の回転を動力伝達機構を介して左右の車輪13に伝えるとともに耕耘装置20に伝えることができる。
左右の車輪13が回転することで耕耘機を前進走行させるとともに、耕耘装置20が駆動することで耕耘作業をおこなうことができる。
【0025】
動力伝達機構は、耕耘装置20に伝える回転を正転と逆転とに切換可能な正/逆転切換機構を備えている。
なお、動力伝達機構に備えた正/逆転切換機構は一般に知られた技術である。
【0026】
図2に示すように、耕耘装置20は、ミッションケース12の後端部12cにおいて左右側に設けられた左右の第1耕耘機構21と、左右の第1耕耘機構21の外側に設けられた左右の第2耕耘機構22とを備えている。
【0027】
左第1耕耘機構21は、ミッションケース12の後端部12cから左側に略水平に延出された第1駆動軸(駆動軸)24と、第1駆動軸24に同軸上に嵌合された第1スリーブ25と、第1スリーブ25の外端部に設けられた第1外側耕耘手段26と、第1スリーブ25の内端部寄りに設けられた一対の第1中間耕耘手段27,28と、第1スリーブ25の内端部に設けられた第1内側耕耘手段29とを備えている。
【0028】
第1駆動軸24は、中空部を有する筒状に形成された駆動軸であって、ミッションケース12内の動力伝達機構に連結されている。
第1駆動軸24の中空部に、後述する第2駆動軸(駆動軸)31が貫通されている。
この第1駆動軸24は、エンジン15(図1参照)の回転が動力伝達機構を介して伝えられることで、正転方向(図1に示す矢印A方向)に回転する。
【0029】
第1駆動軸24が正転方向に回転することで、第1駆動軸24とともに第1スリーブ25が正転方向に回転する。
第1スリーブ25が正転方向に回転することで、第1外側耕耘手段26、一対の第1中間耕耘手段27,28および第1内側耕耘手段29が正転方向(図1に示す矢印A方向)に回転する。
【0030】
左第2耕耘機構22は、ミッションケース12の後端部12cから左側に略水平に延出された第2駆動軸31と、第2駆動軸31に同軸上に嵌合された第2スリーブ32と、第2スリーブ32の外端部に設けられた一対の第2外側耕耘手段33,34と、第2スリーブ32の内端部に設けられた第2内側耕耘手段35とを備えている。
【0031】
第2駆動軸31は、第1駆動軸24の中空部を貫通して第1駆動軸24の左側に延出された駆動軸であって、ミッションケース12内の動力伝達機構に連結されている。
第2駆動軸31および第1駆動軸24は、同じ軸線38上に設けられている。
この第2駆動軸31は、エンジン15の回転が動力伝達機構を介して伝えられることで、逆転方向(図1に示す矢印B方向)に回転する。
【0032】
第2駆動軸31が逆転方向に回転することで、第2駆動軸31とともに第2スリーブ32が逆転方向に回転する。
第2スリーブ32が逆転方向に回転することで、一対の第2外側耕耘手段33,34および第2内側耕耘手段35が逆転方向(図1に示す矢印B方向)に回転する。
【0033】
図3、図4に示すように、第1外側耕耘手段26は、第1スリーブ25の外端部に設けられた第1外側ホルダプレート(ホルダプレート)41と、第1外側ホルダプレート41に回動自在に設けられた第1外側耕耘爪(耕耘爪)42と、第1外側耕耘爪42の爪基端部(基端部)42aを第1外側ホルダプレート41に連結する弾性部材(連結部材)43と、第1外側耕耘爪42の回動を規制する突起(ストッパ)44とを備えている。
【0034】
第1外側ホルダプレート41は、第1スリーブ25の外端部に取付孔47が嵌合された状態で取り付けられている。
第1外側耕耘爪42は、爪基端部42aから爪先端部42bに向けて回転方向遅れ側に湾曲形成されるとともに、第1駆動軸24の軸線方向に湾曲形成された、いわゆるナタ爪である。
この第1外側耕耘爪42は、爪基端部42aおよび爪先端部42b間の爪中間部(中間部)42cが支持ボルト48を介して第1外側ホルダプレート41に回動自在に設けられている。
【0035】
図5に示すように、支持ボルト48は、頭部48aおよびねじ部48b間に拡径部48cが設けられた段付きボルトである。
この支持ボルトは、拡径部48cに爪中間部42cの中間取付孔51が嵌合され、ねじ部48bに第1外側ホルダプレート41の取付孔47が嵌合され、取付孔47から突出したねじ部48bにナット49が締め付けられている。
【0036】
拡径部48cは、外径寸法D1が中間取付孔51の内径寸法D2より小さく設定されている。
さらに、拡径部48cは、拡径高さ寸法Hが第1外側耕耘爪42(具体的には、爪中間部42c)の板厚寸法Tより大きく設定されている。
よって、第1外側耕耘爪42の爪中間部42cが支持ボルト48を軸にして回動自在に支持されている。
【0037】
図6に示すように、第1外側耕耘爪42の爪基端部42aが弾性部材43で第1外側ホルダプレート41に連結されている。爪基端部42aは、爪中間部42cから距離L(図4参照)だけ離れた部位である。
弾性部材43は、第1フック部43aが第1外側ホルダプレート41の第1連結取付孔53に係止され、第2フック部43bが爪基端部42aの第2連結取付孔54に係止された引張りばね(スプリング)である。
【0038】
この弾性部材43は、コイル部43cがビニール製のカバー46(想像線で示す)で覆われている。
コイル部43cをカバー46で覆うことで、例えば、コイル部43cに石(礫)(図示せず)を噛み込むことを防止できる。
【0039】
図4に示すように、第2フック部43bが爪基端部42aの第2連結取付孔54に係止された状態において、第2フック部43bは第1外側ホルダプレート41の外側に位置する。
よって、第2フック部43bが第1外側ホルダプレート41に干渉することを防ぐことができる。
【0040】
図3に示すように、第1外側耕耘爪42の爪基端部42aを弾性部材43で第1外側ホルダプレート41に連結することで、第1外側耕耘爪42が支持ボルト48および弾性部材43で耕耘可能に保持されている。
【0041】
この弾性部材43が伸張する方向に弾性変形することで第1外側耕耘爪42が矢印Cの如く回動することを許容する。
よって、爪先端部42bが第1駆動軸24に近づく方向(すなわち、想像線で示す方向)に移動して第1外側耕耘爪42の回転径D3(図7参照)が小さくなる。
【0042】
一方、伸張した弾性部材43が非伸張状態に復元することで第1外側耕耘爪42が矢印Dの如く回動することを許容する。
よって、爪先端部42bが第1駆動軸24から離れた方向(すなわち、実線で示す方向)に移動して第1外側耕耘爪42の回転径D3(図7参照)が大きくなる。
【0043】
図4に示すように、第1外側ホルダプレート41に第1外側耕耘爪42の爪中間部42cが支持ボルト48を介して回動自在に設けられ、爪基端部42aが弾性部材43で連結されている。
この爪基端部42aは、爪中間部42cから距離L(図4参照)だけ離れている。
【0044】
よって、第1外側耕耘爪42が回動する際に、弾性部材43に作用する力を、爪中間部42c近傍に作用する力と比較して小さく抑えることができる。
これにより、弾性部材43をコンパクト(小型)に抑えることが可能になり、耕耘装置20の小型化を図ることができる。
【0045】
第1外側ホルダプレート41に、第1外側耕耘爪42の回動を規制する突起44が設けられている。
具体的には、第1外側耕耘爪42が想像線で示す位置まで矢印Cの如く回動したとき、第1外側耕耘爪42の爪中間部42c近傍が突起44に当接して第1外側耕耘爪42の回動を規制する。
このように、第1外側耕耘爪42の回動を突起44で規制することで、弾性部材43の弾性変形を規定範囲内に抑えて弾性部材43の破損を防止することができる。
【0046】
さらに、第1外側耕耘爪42の回動を突起44で規制することで、弾性部材43が外れた場合でも、第1外側耕耘爪42を突起44で耕耘可能位置に保持することができる。
これにより、突起44で耕耘可能位置に規制された第1外側耕耘爪42で耕耘作業を継続することができる。
【0047】
図7に示すように、左第1耕耘機構21は、第1外側耕耘手段26、一対の第1中間耕耘手段27,28、および第1内側耕耘手段29が回転径D3で回転するように備えられている。
【0048】
そして、一対の第1中間耕耘手段27,28のうち一方の第1中間耕耘手段27は、側面視で、第1外側耕耘手段26に対して時計回り方向に略120°間隔をおいて設けられている。
また、一対の第1中間耕耘手段27,28のうち他方の第1中間耕耘手段28は、側面視で、第1外側耕耘手段26に対して時計回り方向に略240°間隔をおいて設けられている。
さらに、第1内側耕耘手段29は、側面視で、第1外側耕耘手段26および一方の第1中間耕耘手段27の中間に設けられている。
【0049】
一対の第1中間耕耘手段27,28および第1内側耕耘手段29は、第1外側耕耘手段26と同様の構成なので、それぞれの耕耘手段27,28,29の構成についての説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、左第2耕耘機構22は、一対の第2外側耕耘手段33,34、および第2内側耕耘手段35が回転径D4で回転するように備えられている。
実施例1では、第2内側耕耘手段35の回転径D4および第1外側耕耘爪42の回転径D3を略同じ径として説明するが、回転径D4および回転径D3は適宜選択が可能である。
【0051】
また、一対の第2外側耕耘手段33,34は、一方の第2外側耕耘手段33に対して他方の第2外側耕耘手段34が時計回り方向に略120°間隔をおいて設けられている。
さらに、第2内側耕耘手段35は、他方の第2外側耕耘手段34に対して時計回り方向に略120°間隔をおいて設けられている。
【0052】
図3に一対の第2外側耕耘手段33,34の一方を示す。
なお、一方の第2外側耕耘手段33において第1外側耕耘手段26の構成部材と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
一方の第2外側耕耘手段33は、第2スリーブ32の外端部に設けられた第2外側ホルダプレート(ホルダプレート)61と、第2外側ホルダプレート61に回動自在に設けられた第2外側耕耘爪(耕耘爪)62と、第2外側耕耘爪62の爪基端部(基端部)62aを第2外側ホルダプレート61に連結する弾性部材43と、第2外側耕耘爪62の回動を規制する突起44とを備えている。
【0054】
第2外側ホルダプレート61は、第1外側ホルダプレート41と同様に、第2スリーブ32の外端部に取付孔64が嵌合された状態で取り付けられている。
この第2外側ホルダプレート61は、第2フック部43bが爪基端部62aの連結取付孔65に係止された状態において、第2フック部43bとの干渉を避けるために凹部(段差部)61a(図8も参照)が形成されている。
【0055】
第2外側耕耘爪62は、第1外側耕耘爪42と同様に、爪基端部62aから爪先端部62bに向けて回転方向遅れ側に湾曲形成されるとともに、第1駆動軸24の軸線方向に湾曲形成された、いわゆるナタ爪である。
この第2外側耕耘爪62は、第1外側耕耘爪42と同様に、爪基端部62aおよび爪先端部62b間の爪中間部(中間部)62cが支持ボルト48を介して第2外側ホルダプレート61に回動自在に設けられている。
【0056】
他方の第2外側耕耘手段34および第2内側耕耘手段35は、一方の第2外側耕耘手段33と同様の構成なので、それぞれの耕耘手段34,35の構成についての説明を省略する。
【0057】
つぎに、耕耘装置20で硬い圃場71を耕耘する例を図1、図9〜図10に基づいて説明する。
図1に示す耕耘機10のエンジン15を駆動することにより、エンジン15の回転を動力伝達機構を介して左右の車輪13に伝えるとともに耕耘装置20に伝える。
左右の車輪13が回転することで耕耘機を前進走行させ、耕耘装置20を前方に移動するとともに駆動する。
【0058】
図9(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Eの如く移動するとともに、第1駆動軸24が矢印Fの如く正転方向に回転する。
第1駆動軸24が回転することで第1外側耕耘爪42が矢印Fの如く正転方向に回転する。
【0059】
第1外側耕耘爪42が硬い圃場71の上方に露出した状態において、弾性部材43の付勢力で第1外側耕耘爪42が支持ボルト48を軸にして矢印Gの如く回動する。
第1外側耕耘爪42が回動することで第1外側耕耘爪42の回転径D3を自動的に大きく調整する。
【0060】
図9(b)に示すように、第1外側耕耘爪42が硬い圃場71に食い込むことにより、第1外側耕耘爪42に比較的大きな負荷(反力)F1が作用する。
よって、弾性部材43を伸張するように弾性変形させて第1外側耕耘爪42の爪先端部42bが第1駆動軸24に近づくように第1外側耕耘爪42を矢印Hの如く回動させる。
【0061】
第1外側耕耘爪42が回動することで、第1外側耕耘爪42の回転径D3を自動的に小さく調整する。
これにより、硬い圃場71に第1外側耕耘爪42を良好に食い込ませて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0062】
さらに、硬い圃場71に第1外側耕耘爪42を良好に食い込ませることで、第1外側耕耘爪42を食い込ませるときの負荷(反力)F1を小さく抑え、耕耘装置20の振動を低減することができる。
よって、耕耘装置20の使い勝手を高めて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0063】
図10(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Eの如く移動するとともに第2駆動軸31が矢印Iの如く逆転方向に回転する。
第2駆動軸31が駆動することにより第2外側耕耘爪62が矢印Iの如く逆転方向に回転する。
【0064】
第2外側耕耘爪62が硬い圃場71の上方に露出した状態において、弾性部材43の付勢力で第2外側耕耘爪62が支持ボルト48を軸にして矢印Jの如く回動する。
第2外側耕耘爪62が回動することで、第2外側耕耘爪62の回転径D4を自動的に大きく調整する。
【0065】
図10(b)に示すように、第2外側耕耘爪62が硬い圃場71に食い込むことにより、第2外側耕耘爪62に比較的大きな負荷(反力)F2が作用する。
よって、弾性部材43を伸張するように弾性変形させて第2外側耕耘爪62の爪先端部62bが第2駆動軸31に近づくように第2外側耕耘爪62を矢印Kの如く回動させる。
【0066】
第2外側耕耘爪62が回動することで、第2外側耕耘爪62の回転径D4を自動的に小さく調整する。
これにより、硬い圃場71に第2外側耕耘爪62を良好に食い込ませて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0067】
さらに、硬い圃場71に第2外側耕耘爪62を良好に食い込ませることで、第2外側耕耘爪62を食い込ませるときの負荷(反力)F2を小さく抑え、耕耘装置20の振動を低減することができる。
よって、耕耘装置20の使い勝手を高めて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0068】
図9〜図10に示すように、耕耘装置20で硬い圃場71を耕耘する場合に、第1外側耕耘爪42の回転に対して第2外側耕耘爪62を逆転方向に回転することで、第2外側耕耘爪62で第1外側耕耘爪42の牽引力の一部を相殺することができる。
これにより、耕耘作業に耕耘装置20のダッシング(飛び出し)を抑えることができる。
【0069】
ついで、耕耘装置20で柔らかい圃場72を耕耘する例を図11〜図12に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Lの如く移動するとともに、第1駆動軸24が矢印Mの如く正転方向に回転する。
第1駆動軸24が回転することで第1外側耕耘爪42が矢印Mの如く正転方向に回転する。
第1外側耕耘爪42が柔らかい圃場72の上方に露出した状態において、第1外側耕耘爪42は弾性部材43の付勢力で回転径D3が大きな状態に調整されている。
【0070】
図11(b)に示すように、第1外側耕耘爪42が柔らかい圃場72に食い込むことにより、第1外側耕耘爪42に比較的小さな負荷(反力)F3が作用する。
負荷(反力)F3が比較的小さいので、弾性部材43の付勢力で第1外側耕耘爪42の爪先端部42bを第1駆動軸24から大きく離れた状態に保持することができる。
すなわち、第1外側耕耘爪42が柔らかい圃場72に食い込んだ状態において、第1外側耕耘爪42は弾性部材43の付勢力で回転径D3が大きな状態に保持されている。
【0071】
第1外側耕耘爪42の回転径D3を大きく保つことで、爪先端部42bの周速を速くできる。これにより、柔らかい圃場72を細土に耕耘することが可能になり耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、第1外側耕耘爪42の回転径D3を大きく保つことで、柔らかい圃場72の深耕作業が可能になり、耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0072】
図12(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Lの如く移動するとともに、第2駆動軸31が矢印Nの如く逆転方向に回転する。
第2駆動軸31が回転することで第2外側耕耘爪62が矢印Nの如く逆転方向に回転する。
第2外側耕耘爪62が柔らかい圃場72の上方に露出した状態において、第2外側耕耘爪62は弾性部材43の付勢力で回転径D4が大きな状態に調整されている。
【0073】
図12(b)に示すように、第2外側耕耘爪62が柔らかい圃場72に食い込むことにより、第2外側耕耘爪62に比較的小さな負荷(反力)F4が作用する。
負荷(反力)F4が比較的小さいので、弾性部材43の付勢力で第2外側耕耘爪62の爪先端部62bを第2駆動軸31から大きく離れた状態に保持することができる。
すなわち、第2外側耕耘爪62が柔らかい圃場72に食い込んだ状態において、第2外側耕耘爪62は弾性部材43の付勢力で回転径D4が大きな状態に保持されている。
【0074】
第2外側耕耘爪62の回転径D4を大きく保つことで、爪先端部62bの周速を速くできる。これにより、柔らかい圃場72を細土に耕耘することが可能になり耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、第2外側耕耘爪62の回転径D4を大きくすることで、柔らかい圃場72の深耕作業が可能になり、耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0075】
図11〜図12に示すように、耕耘装置20で柔らかい圃場72を耕耘する場合に、第1外側耕耘爪42の回転に対して第2外側耕耘爪62を逆転方向に回転することで、第2外側耕耘爪62で第1外側耕耘爪42の牽引力の一部を相殺することができる。
これにより、耕耘作業に耕耘装置20のダッシング(飛び出し)を抑えることができる。
【0076】
図9〜図12で説明したように、第1、第2の外側耕耘爪42,62で耕耘する圃場71,72の状況(例えば、硬さや柔らかさ)に応じて第1、第2の外側耕耘爪42,62の回転径D3,D4を自動的に調整することができる。
これにより、圃場71,72の状況に適した耕耘作業をおこなうことが可能になり、作業効率の向上を図ることができる。
【0077】
さらに、耕耘作業中に、第1、第2の外側耕耘爪42,62が石(礫)(図示せず)などの障害物に当たった場合、第1、第2の外側耕耘爪42,62を弾性部材43の付勢力に抗して後退する方向(すなわち、駆動軸の回転方向に対して逆方向)に逃がすことができる。
これにより、例えば、第1、第2の外側耕耘爪42,62に石(礫)などの障害物を噛み込むことを防止することができる。
【0078】
加えて、第1、第2の外側耕耘爪42,62に草(図示せず)などが巻き付いた場合、第1、第2の外側耕耘爪42,62を弾性部材43の付勢力に抗して回動させることでコンパクトに折り畳むことができる。
このように、第1、第2の外側耕耘爪42,62をコンパクトに折り畳むことで、第1、第2の外側耕耘爪42,62に巻き付いた草を手間をかけないで容易に除去することができる。
【0079】
つぎに、実施例2の耕耘装置80および実施例3の耕耘装置90を図13〜図15に基づいて説明する。なお、実施例2,3において実施例1の耕耘装置20と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0080】
実施例2に係る耕耘装置80について説明する。
図13〜図14に示すように、耕耘装置80は、連結部材として実施例1の弾性部材43に代えて棒状部材82を用いたもので、その他の構成は実施例1の耕耘装置20と同じである。
【0081】
棒状部材82は、ロッド本体82aの一端部に設けられた第1ねじ部82bと、ロッド本体82aの他端部に設けられた第2ねじ部82cとを有する連結ロッドである。
第1ねじ部82bが第1外側ホルダプレート41の第1連結取付孔53に貫通されて第1連結取付孔53から突出されている。
第1連結取付孔53から突出された第1ねじ部82bにナット84をねじ結合することで、第1ねじ部82bが第1外側ホルダプレート41に取り付けられている。
【0082】
第2ねじ部82cが爪基端部42aの第2連結取付孔54に貫通されて第2連結取付孔54から突出されている。
第2連結取付孔54から突出された第2ねじ部82cにナット85をねじ結合することで、第2ねじ部82cが爪基端部42a(すなわち、第1外側耕耘爪42)に取り付けられている。
【0083】
よって、第1外側ホルダプレート41および爪基端部42a(第1外側耕耘爪42)が棒状部材82で連結されている。
このように、第1外側ホルダプレート41および爪基端部42aを棒状部材82で連結することで、第1外側耕耘爪42が支持ボルト48を軸にして回動することを棒状部材82で阻止できる。
【0084】
これにより、例えば、耕耘装置80で硬い圃場71(図9(a),(b)参照)のみを耕耘する場合や、精度の高い耕耘(耕起)作業をおこなう場合に、第1外側耕耘爪42の回動を抑えて(すなわち、固定させて)耕耘性能を好適に確保することができる。
【0085】
さらに、第1外側ホルダプレート41および爪基端部42aを棒状部材82で連結することで、第1外側耕耘爪42を正転方向および逆転方向の両方向に回転させることが可能になる。
すなわち、第1外側耕耘爪42の取付状態を正転用と逆転用とに交換することなく、第1外側耕耘爪42を正転方向および逆転方向の両方向に回転させることが可能になる。
【0086】
動力伝達機構の正/逆転切換機構で第1駆動軸24の回転を逆転方向に切り換えることで、第1外側耕耘爪42を逆転方向に回転させて圃場の粗起こし作業をおこなうことができる。
なお、第1外側耕耘爪42を正転方向に回転させた場合、一般に圃場の耕耘作業や除草作業をおこなう。
【実施例3】
【0087】
実施例3に係る耕耘装置90について説明する。
図15に示すように、耕耘装置90は、隣接する第1外側耕耘爪42同士を圃場(硬い圃場)91の上方で交差するように配置するとともに、隣接する第2外側耕耘爪62(図8参照)同士を圃場91の上方で交差するように配置したもので、その他の構成は実施例1の耕耘装置20と同様である。
【0088】
すなわち、第1外側耕耘手段26の第1外側耕耘爪42および第1中間耕耘手段27の第1外側耕耘爪42は、圃場91の上方に露出した状態で爪先端部42b同士が交差するように配置されている。
【0089】
よって、それぞれの第1外側耕耘爪42が圃場91の内部に進入した場合に、各弾性部材43(一方は図示せず)が弾性変形して各第1外側耕耘爪42が交差しない位置に配置される。
これにより、圃場91内において各第1外側耕耘爪42を離した状態に配置することができるので、各第1外側耕耘爪42間に石(礫)などの障害物(図示せず)を噛み込むことを一層良好に防止できる。
【0090】
ここで、隣接する第2外側耕耘爪62同士を圃場91の上方で交差させる構成は、隣接する第1外側耕耘爪42同士を圃場91の上方で交差させる構成と同じなので説明を省略する。
【0091】
なお、本発明に係る耕耘装置20,80,90は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例1では、弾性部材43として引張りばねを例示したが、これに限らないで、圧縮ばねなどの他の弾性部材を用いることも可能である。
【0092】
また、前記実施例1〜3では、耕耘装置20に左右の第1耕耘機構21および左右の第2耕耘機構22を備えた例について説明したが、これに限らないで、左右の第1耕耘機構21のみを備えることも可能である。
耕耘装置20に左右の第1耕耘機構21のみを備えた場合、爪先端部42bを第1駆動軸24に近づく方向に移動させて回転径D3を小さくすることで、耕耘作業に耕耘装置20のダッシング(飛び出し)を抑えることができる。
【0093】
さらに、前記実施例2では、棒状部材82として連結ロッド(中実)を例示したが、これに限らないで、連結パイプ(中空)などの他の棒状部材を用いることも可能である。
さらに、棒状部材82を第1、第2のねじ部82b,82cやナット84,85を用いて第1外側ホルダプレート41および第1外側耕耘爪42に連結した例について説明したが、これに限らないで、割りピンなどの他の連結部材を用いることも可能である。
【0094】
また、前記実施例1〜3で示した第1外側ホルダプレート41、第1外側耕耘爪42、弾性部材43、棒状部材82、突起44、第2外側ホルダプレート61および第2外側耕耘爪62などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、駆動軸から複数の耕耘爪を略放射状に延ばし、駆動軸で耕耘爪を回転させることにより土壌を耕耘可能な耕耘装置を備えた耕耘機への適用に好適である。
【符号の説明】
【0096】
20,80…耕耘装置、24…第1駆動軸(駆動軸)、31…第2駆動軸(駆動軸)、38…軸線、41…第1外側ホルダプレート(ホルダプレート)、42…第1外側耕耘爪(耕耘爪)、42a…爪基端部(基端部)、42c…爪中間部(中間部)、43…弾性部材(連結部材)、44…突起(ストッパ)、61…第2外側ホルダプレート(ホルダプレート)、62…第2外側耕耘爪(耕耘爪)、62a…爪基端部(基端部)、62c…爪中間部(中間部)、82…棒状部材(連結部材)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸から複数の耕耘爪を略放射状に延ばし、駆動軸で耕耘爪を回転させることにより土壌を耕耘可能な耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耕耘装置のなかには、駆動軸に支持ボルトを介して耕耘爪が回動自在に取り付けられ、支持ボルトに設けられたコイルばねで耕耘爪が駆動軸の回転方向に付勢され、付勢された耕耘爪をストッパに当接させて耕耘爪を耕耘位置に保持するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この耕耘装置によれば、耕耘爪で耕耘中、耕耘爪が障害物に当たった場合、耕耘爪をコイルばねの付勢力に抗して後退する方向(すなわち、駆動軸の回転方向に対して逆方向)に逃がすことができる。
これにより、例えば、耕耘爪が障害物に当たって折れ曲がることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−94763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の耕耘装置は、耕耘爪を回動自在に取り付ける支持ボルト(すなわち、回動中心)にコイルばねを設け、このコイルばねで耕耘爪の回動中心近傍に付勢力を作用させて耕耘爪を保持している。
このように、コイルばねの付勢力を耕耘爪の回動中心近傍に作用させるために、コイルばねの付勢力を大きく設定する必要がある。
このため、コイルばねが大型化し、そのことが耕耘装置の小型化を図る妨げになっていた。
【0006】
本発明は、駆動軸に耕耘爪を回動自在に設け、かつ小型化を図ることができる耕耘装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、駆動軸に設けられたホルダプレートと、前記ホルダプレートに中間部が回動自在に設けられた耕耘爪と、前記耕耘爪の中間部から離れた基端部を前記ホルダプレートに連結させて前記耕耘爪を耕耘可能に保持する連結部材と、を備え、前記駆動軸を軸線を中心にして回転させることにより前記耕耘爪を耕耘状態に駆動することを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記連結部材は弾性部材であることを特徴とする。
【0009】
請求項3は、前記連結部材は棒状部材であることを特徴とする。
【0010】
請求項4は、前記ホルダプレートに前記耕耘爪の回動を規制する突起が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、駆動軸にホルダプレートを設け、ホルダプレートに耕耘爪の中間部を回動自在に設けた。そして、耕耘爪の中間部から離れた基端部を連結部材で連結した。
よって、耕耘爪が回動する際に、連結部材に作用する力を、耕耘爪の中間部近傍に作用する力と比較して小さく抑えることができる。
これにより、連結部材をコンパクト(小型)に抑えることが可能になり、耕耘装置の小型化を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、連結部材を弾性部材とすることで、耕耘爪で耕耘する圃場の状況(例えば、硬さや柔らかさ)に応じて弾性部材を弾性変形させて耕耘爪の回転径を自動的に調整することができる。
【0013】
すなわち、耕耘爪で硬い圃場を耕耘する場合には耕耘爪に比較的大きな負荷(反力)が作用する。よって、弾性部材を弾性変形させて耕耘爪の先端部が駆動軸に近づくように耕耘爪を回動させ、耕耘爪の回転径を自動的に小さく調整できる。
耕耘爪の回転径を小さくすることで、硬い圃場に耕耘爪を良好に食い込ませて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、硬い圃場に耕耘爪を良好に食い込ませることで、耕耘爪を食い込ませるときの負荷(反力)を小さく抑え、耕耘装置の振動を低減することができる。
よって、耕耘装置の使い勝手を高めて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0014】
一方、耕耘爪で柔らかい圃場を耕耘する場合には耕耘爪に比較的小さな負荷(反力)が作用する。よって、弾性部材の付勢力で耕耘爪の先端部を駆動軸から大きく離れた状態に保持し、耕耘爪の回転径を自動的に大きく調整(保持)できる。
耕耘爪の回転径を大きく保つことで、耕耘爪(先端部)の周速を速くできる。これにより、圃場を細土に耕耘することが可能になり耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、耕耘爪の回転径を大きくすることで、柔らかい圃場の深耕作業が可能になり、耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0015】
このように、耕耘爪で耕耘する圃場の状況に応じて耕耘爪の回転径を自動的に調整することで、圃場の状況に適した耕耘作業をおこなうことが可能になり、作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、耕耘作業中に、耕耘爪が石(礫)などの障害物に当たった場合、耕耘爪を弾性部材の付勢力に抗して後退する方向(すなわち、駆動軸の回転方向に対して逆方向)に逃がすことができる。
これにより、例えば、耕耘爪に石(礫)などの障害物を噛み込むことを防止することができる。
【0017】
加えて、耕耘爪に草などが巻き付いた場合、耕耘爪を弾性部材の付勢力に抗して回動させることでコンパクトに折り畳むことができる。
このように、耕耘爪をコンパクトに折り畳むことで、耕耘爪に巻き付いた草を手間をかけないで容易に除去することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、連結部材を棒状部材とすることにより、棒状部材で耕耘爪の回動を阻止できる。
これにより、例えば、耕耘装置で硬い圃場のみを耕耘する場合や、精度の高い耕耘(耕起)作業をおこなう場合に、耕耘爪の回動を抑えて(すなわち、固定させて)耕耘性能を好適に確保することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、ホルダプレートに耕耘爪の回動を規制する突起(ストッパ)を設けた。
耕耘爪の回動を突起で規制することで、弾性部材の弾性変形を規定範囲内に抑えて弾性部材の破損を防止することができる。
【0020】
さらに、耕耘爪の回動を突起で規制することで、連結部材が外れた場合でも、耕耘爪を突起で耕耘可能位置に保持することができる。
これにより、突起で耕耘可能位置に規制された耕耘爪で耕耘作業を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る耕耘装置(実施例1)を備えた耕耘機を示す側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】実施例1の耕耘装置(左第1耕耘機構および左第2耕耘機構)を示す斜視図である。
【図4】図3の左第1耕耘機構を示す斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【図8】図2の8矢視図である。
【図9】実施例1の左第1耕耘機構で硬い圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図10】実施例1の左第2耕耘機構で硬い圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図11】実施例1の左第1耕耘機構で柔らかい圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図12】実施例1の左第2耕耘機構で柔らかい圃場を耕耘する例を説明する図である。
【図13】本発明に係る耕耘装置(実施例2)を示す斜視図である。
【図14】図13の14−14線断面図である。
【図15】本発明に係る耕耘装置(実施例3)の第1外側耕耘爪同士が圃場の上方で交差した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0023】
実施例1に係る耕耘装置20について説明する。
図1に示すように、耕耘機10は、本体を兼ねるミッションケース12と、ミッションケース12の左右側に支持された左右の車輪13(左車輪13のみを図示する)と、ミッションケース12の前端部12aから前方に延びるエンジンベッド14と、エンジンベッド14に搭載されたエンジン15と、ミッションケース12の略中央部12bから後方に向けて延出されたハンドル17と、ハンドル17に沿って設けられたシフトレバー18と、ミッションケース12の後部に設けられた耕耘装置20とを備えた自走式の歩行型作業機(管理機)である。
【0024】
ミッションケース12内には、エンジン15の回転を左右の車輪13および耕耘装置20に伝達可能な動力伝達機構(図示せず)が収納されている。
耕耘機10によれば、エンジン15を駆動することにより、エンジン15の回転を動力伝達機構を介して左右の車輪13に伝えるとともに耕耘装置20に伝えることができる。
左右の車輪13が回転することで耕耘機を前進走行させるとともに、耕耘装置20が駆動することで耕耘作業をおこなうことができる。
【0025】
動力伝達機構は、耕耘装置20に伝える回転を正転と逆転とに切換可能な正/逆転切換機構を備えている。
なお、動力伝達機構に備えた正/逆転切換機構は一般に知られた技術である。
【0026】
図2に示すように、耕耘装置20は、ミッションケース12の後端部12cにおいて左右側に設けられた左右の第1耕耘機構21と、左右の第1耕耘機構21の外側に設けられた左右の第2耕耘機構22とを備えている。
【0027】
左第1耕耘機構21は、ミッションケース12の後端部12cから左側に略水平に延出された第1駆動軸(駆動軸)24と、第1駆動軸24に同軸上に嵌合された第1スリーブ25と、第1スリーブ25の外端部に設けられた第1外側耕耘手段26と、第1スリーブ25の内端部寄りに設けられた一対の第1中間耕耘手段27,28と、第1スリーブ25の内端部に設けられた第1内側耕耘手段29とを備えている。
【0028】
第1駆動軸24は、中空部を有する筒状に形成された駆動軸であって、ミッションケース12内の動力伝達機構に連結されている。
第1駆動軸24の中空部に、後述する第2駆動軸(駆動軸)31が貫通されている。
この第1駆動軸24は、エンジン15(図1参照)の回転が動力伝達機構を介して伝えられることで、正転方向(図1に示す矢印A方向)に回転する。
【0029】
第1駆動軸24が正転方向に回転することで、第1駆動軸24とともに第1スリーブ25が正転方向に回転する。
第1スリーブ25が正転方向に回転することで、第1外側耕耘手段26、一対の第1中間耕耘手段27,28および第1内側耕耘手段29が正転方向(図1に示す矢印A方向)に回転する。
【0030】
左第2耕耘機構22は、ミッションケース12の後端部12cから左側に略水平に延出された第2駆動軸31と、第2駆動軸31に同軸上に嵌合された第2スリーブ32と、第2スリーブ32の外端部に設けられた一対の第2外側耕耘手段33,34と、第2スリーブ32の内端部に設けられた第2内側耕耘手段35とを備えている。
【0031】
第2駆動軸31は、第1駆動軸24の中空部を貫通して第1駆動軸24の左側に延出された駆動軸であって、ミッションケース12内の動力伝達機構に連結されている。
第2駆動軸31および第1駆動軸24は、同じ軸線38上に設けられている。
この第2駆動軸31は、エンジン15の回転が動力伝達機構を介して伝えられることで、逆転方向(図1に示す矢印B方向)に回転する。
【0032】
第2駆動軸31が逆転方向に回転することで、第2駆動軸31とともに第2スリーブ32が逆転方向に回転する。
第2スリーブ32が逆転方向に回転することで、一対の第2外側耕耘手段33,34および第2内側耕耘手段35が逆転方向(図1に示す矢印B方向)に回転する。
【0033】
図3、図4に示すように、第1外側耕耘手段26は、第1スリーブ25の外端部に設けられた第1外側ホルダプレート(ホルダプレート)41と、第1外側ホルダプレート41に回動自在に設けられた第1外側耕耘爪(耕耘爪)42と、第1外側耕耘爪42の爪基端部(基端部)42aを第1外側ホルダプレート41に連結する弾性部材(連結部材)43と、第1外側耕耘爪42の回動を規制する突起(ストッパ)44とを備えている。
【0034】
第1外側ホルダプレート41は、第1スリーブ25の外端部に取付孔47が嵌合された状態で取り付けられている。
第1外側耕耘爪42は、爪基端部42aから爪先端部42bに向けて回転方向遅れ側に湾曲形成されるとともに、第1駆動軸24の軸線方向に湾曲形成された、いわゆるナタ爪である。
この第1外側耕耘爪42は、爪基端部42aおよび爪先端部42b間の爪中間部(中間部)42cが支持ボルト48を介して第1外側ホルダプレート41に回動自在に設けられている。
【0035】
図5に示すように、支持ボルト48は、頭部48aおよびねじ部48b間に拡径部48cが設けられた段付きボルトである。
この支持ボルトは、拡径部48cに爪中間部42cの中間取付孔51が嵌合され、ねじ部48bに第1外側ホルダプレート41の取付孔47が嵌合され、取付孔47から突出したねじ部48bにナット49が締め付けられている。
【0036】
拡径部48cは、外径寸法D1が中間取付孔51の内径寸法D2より小さく設定されている。
さらに、拡径部48cは、拡径高さ寸法Hが第1外側耕耘爪42(具体的には、爪中間部42c)の板厚寸法Tより大きく設定されている。
よって、第1外側耕耘爪42の爪中間部42cが支持ボルト48を軸にして回動自在に支持されている。
【0037】
図6に示すように、第1外側耕耘爪42の爪基端部42aが弾性部材43で第1外側ホルダプレート41に連結されている。爪基端部42aは、爪中間部42cから距離L(図4参照)だけ離れた部位である。
弾性部材43は、第1フック部43aが第1外側ホルダプレート41の第1連結取付孔53に係止され、第2フック部43bが爪基端部42aの第2連結取付孔54に係止された引張りばね(スプリング)である。
【0038】
この弾性部材43は、コイル部43cがビニール製のカバー46(想像線で示す)で覆われている。
コイル部43cをカバー46で覆うことで、例えば、コイル部43cに石(礫)(図示せず)を噛み込むことを防止できる。
【0039】
図4に示すように、第2フック部43bが爪基端部42aの第2連結取付孔54に係止された状態において、第2フック部43bは第1外側ホルダプレート41の外側に位置する。
よって、第2フック部43bが第1外側ホルダプレート41に干渉することを防ぐことができる。
【0040】
図3に示すように、第1外側耕耘爪42の爪基端部42aを弾性部材43で第1外側ホルダプレート41に連結することで、第1外側耕耘爪42が支持ボルト48および弾性部材43で耕耘可能に保持されている。
【0041】
この弾性部材43が伸張する方向に弾性変形することで第1外側耕耘爪42が矢印Cの如く回動することを許容する。
よって、爪先端部42bが第1駆動軸24に近づく方向(すなわち、想像線で示す方向)に移動して第1外側耕耘爪42の回転径D3(図7参照)が小さくなる。
【0042】
一方、伸張した弾性部材43が非伸張状態に復元することで第1外側耕耘爪42が矢印Dの如く回動することを許容する。
よって、爪先端部42bが第1駆動軸24から離れた方向(すなわち、実線で示す方向)に移動して第1外側耕耘爪42の回転径D3(図7参照)が大きくなる。
【0043】
図4に示すように、第1外側ホルダプレート41に第1外側耕耘爪42の爪中間部42cが支持ボルト48を介して回動自在に設けられ、爪基端部42aが弾性部材43で連結されている。
この爪基端部42aは、爪中間部42cから距離L(図4参照)だけ離れている。
【0044】
よって、第1外側耕耘爪42が回動する際に、弾性部材43に作用する力を、爪中間部42c近傍に作用する力と比較して小さく抑えることができる。
これにより、弾性部材43をコンパクト(小型)に抑えることが可能になり、耕耘装置20の小型化を図ることができる。
【0045】
第1外側ホルダプレート41に、第1外側耕耘爪42の回動を規制する突起44が設けられている。
具体的には、第1外側耕耘爪42が想像線で示す位置まで矢印Cの如く回動したとき、第1外側耕耘爪42の爪中間部42c近傍が突起44に当接して第1外側耕耘爪42の回動を規制する。
このように、第1外側耕耘爪42の回動を突起44で規制することで、弾性部材43の弾性変形を規定範囲内に抑えて弾性部材43の破損を防止することができる。
【0046】
さらに、第1外側耕耘爪42の回動を突起44で規制することで、弾性部材43が外れた場合でも、第1外側耕耘爪42を突起44で耕耘可能位置に保持することができる。
これにより、突起44で耕耘可能位置に規制された第1外側耕耘爪42で耕耘作業を継続することができる。
【0047】
図7に示すように、左第1耕耘機構21は、第1外側耕耘手段26、一対の第1中間耕耘手段27,28、および第1内側耕耘手段29が回転径D3で回転するように備えられている。
【0048】
そして、一対の第1中間耕耘手段27,28のうち一方の第1中間耕耘手段27は、側面視で、第1外側耕耘手段26に対して時計回り方向に略120°間隔をおいて設けられている。
また、一対の第1中間耕耘手段27,28のうち他方の第1中間耕耘手段28は、側面視で、第1外側耕耘手段26に対して時計回り方向に略240°間隔をおいて設けられている。
さらに、第1内側耕耘手段29は、側面視で、第1外側耕耘手段26および一方の第1中間耕耘手段27の中間に設けられている。
【0049】
一対の第1中間耕耘手段27,28および第1内側耕耘手段29は、第1外側耕耘手段26と同様の構成なので、それぞれの耕耘手段27,28,29の構成についての説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、左第2耕耘機構22は、一対の第2外側耕耘手段33,34、および第2内側耕耘手段35が回転径D4で回転するように備えられている。
実施例1では、第2内側耕耘手段35の回転径D4および第1外側耕耘爪42の回転径D3を略同じ径として説明するが、回転径D4および回転径D3は適宜選択が可能である。
【0051】
また、一対の第2外側耕耘手段33,34は、一方の第2外側耕耘手段33に対して他方の第2外側耕耘手段34が時計回り方向に略120°間隔をおいて設けられている。
さらに、第2内側耕耘手段35は、他方の第2外側耕耘手段34に対して時計回り方向に略120°間隔をおいて設けられている。
【0052】
図3に一対の第2外側耕耘手段33,34の一方を示す。
なお、一方の第2外側耕耘手段33において第1外側耕耘手段26の構成部材と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
一方の第2外側耕耘手段33は、第2スリーブ32の外端部に設けられた第2外側ホルダプレート(ホルダプレート)61と、第2外側ホルダプレート61に回動自在に設けられた第2外側耕耘爪(耕耘爪)62と、第2外側耕耘爪62の爪基端部(基端部)62aを第2外側ホルダプレート61に連結する弾性部材43と、第2外側耕耘爪62の回動を規制する突起44とを備えている。
【0054】
第2外側ホルダプレート61は、第1外側ホルダプレート41と同様に、第2スリーブ32の外端部に取付孔64が嵌合された状態で取り付けられている。
この第2外側ホルダプレート61は、第2フック部43bが爪基端部62aの連結取付孔65に係止された状態において、第2フック部43bとの干渉を避けるために凹部(段差部)61a(図8も参照)が形成されている。
【0055】
第2外側耕耘爪62は、第1外側耕耘爪42と同様に、爪基端部62aから爪先端部62bに向けて回転方向遅れ側に湾曲形成されるとともに、第1駆動軸24の軸線方向に湾曲形成された、いわゆるナタ爪である。
この第2外側耕耘爪62は、第1外側耕耘爪42と同様に、爪基端部62aおよび爪先端部62b間の爪中間部(中間部)62cが支持ボルト48を介して第2外側ホルダプレート61に回動自在に設けられている。
【0056】
他方の第2外側耕耘手段34および第2内側耕耘手段35は、一方の第2外側耕耘手段33と同様の構成なので、それぞれの耕耘手段34,35の構成についての説明を省略する。
【0057】
つぎに、耕耘装置20で硬い圃場71を耕耘する例を図1、図9〜図10に基づいて説明する。
図1に示す耕耘機10のエンジン15を駆動することにより、エンジン15の回転を動力伝達機構を介して左右の車輪13に伝えるとともに耕耘装置20に伝える。
左右の車輪13が回転することで耕耘機を前進走行させ、耕耘装置20を前方に移動するとともに駆動する。
【0058】
図9(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Eの如く移動するとともに、第1駆動軸24が矢印Fの如く正転方向に回転する。
第1駆動軸24が回転することで第1外側耕耘爪42が矢印Fの如く正転方向に回転する。
【0059】
第1外側耕耘爪42が硬い圃場71の上方に露出した状態において、弾性部材43の付勢力で第1外側耕耘爪42が支持ボルト48を軸にして矢印Gの如く回動する。
第1外側耕耘爪42が回動することで第1外側耕耘爪42の回転径D3を自動的に大きく調整する。
【0060】
図9(b)に示すように、第1外側耕耘爪42が硬い圃場71に食い込むことにより、第1外側耕耘爪42に比較的大きな負荷(反力)F1が作用する。
よって、弾性部材43を伸張するように弾性変形させて第1外側耕耘爪42の爪先端部42bが第1駆動軸24に近づくように第1外側耕耘爪42を矢印Hの如く回動させる。
【0061】
第1外側耕耘爪42が回動することで、第1外側耕耘爪42の回転径D3を自動的に小さく調整する。
これにより、硬い圃場71に第1外側耕耘爪42を良好に食い込ませて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0062】
さらに、硬い圃場71に第1外側耕耘爪42を良好に食い込ませることで、第1外側耕耘爪42を食い込ませるときの負荷(反力)F1を小さく抑え、耕耘装置20の振動を低減することができる。
よって、耕耘装置20の使い勝手を高めて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0063】
図10(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Eの如く移動するとともに第2駆動軸31が矢印Iの如く逆転方向に回転する。
第2駆動軸31が駆動することにより第2外側耕耘爪62が矢印Iの如く逆転方向に回転する。
【0064】
第2外側耕耘爪62が硬い圃場71の上方に露出した状態において、弾性部材43の付勢力で第2外側耕耘爪62が支持ボルト48を軸にして矢印Jの如く回動する。
第2外側耕耘爪62が回動することで、第2外側耕耘爪62の回転径D4を自動的に大きく調整する。
【0065】
図10(b)に示すように、第2外側耕耘爪62が硬い圃場71に食い込むことにより、第2外側耕耘爪62に比較的大きな負荷(反力)F2が作用する。
よって、弾性部材43を伸張するように弾性変形させて第2外側耕耘爪62の爪先端部62bが第2駆動軸31に近づくように第2外側耕耘爪62を矢印Kの如く回動させる。
【0066】
第2外側耕耘爪62が回動することで、第2外側耕耘爪62の回転径D4を自動的に小さく調整する。
これにより、硬い圃場71に第2外側耕耘爪62を良好に食い込ませて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0067】
さらに、硬い圃場71に第2外側耕耘爪62を良好に食い込ませることで、第2外側耕耘爪62を食い込ませるときの負荷(反力)F2を小さく抑え、耕耘装置20の振動を低減することができる。
よって、耕耘装置20の使い勝手を高めて耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0068】
図9〜図10に示すように、耕耘装置20で硬い圃場71を耕耘する場合に、第1外側耕耘爪42の回転に対して第2外側耕耘爪62を逆転方向に回転することで、第2外側耕耘爪62で第1外側耕耘爪42の牽引力の一部を相殺することができる。
これにより、耕耘作業に耕耘装置20のダッシング(飛び出し)を抑えることができる。
【0069】
ついで、耕耘装置20で柔らかい圃場72を耕耘する例を図11〜図12に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Lの如く移動するとともに、第1駆動軸24が矢印Mの如く正転方向に回転する。
第1駆動軸24が回転することで第1外側耕耘爪42が矢印Mの如く正転方向に回転する。
第1外側耕耘爪42が柔らかい圃場72の上方に露出した状態において、第1外側耕耘爪42は弾性部材43の付勢力で回転径D3が大きな状態に調整されている。
【0070】
図11(b)に示すように、第1外側耕耘爪42が柔らかい圃場72に食い込むことにより、第1外側耕耘爪42に比較的小さな負荷(反力)F3が作用する。
負荷(反力)F3が比較的小さいので、弾性部材43の付勢力で第1外側耕耘爪42の爪先端部42bを第1駆動軸24から大きく離れた状態に保持することができる。
すなわち、第1外側耕耘爪42が柔らかい圃場72に食い込んだ状態において、第1外側耕耘爪42は弾性部材43の付勢力で回転径D3が大きな状態に保持されている。
【0071】
第1外側耕耘爪42の回転径D3を大きく保つことで、爪先端部42bの周速を速くできる。これにより、柔らかい圃場72を細土に耕耘することが可能になり耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、第1外側耕耘爪42の回転径D3を大きく保つことで、柔らかい圃場72の深耕作業が可能になり、耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0072】
図12(a)に示すように、耕耘装置20が前方に向けて矢印Lの如く移動するとともに、第2駆動軸31が矢印Nの如く逆転方向に回転する。
第2駆動軸31が回転することで第2外側耕耘爪62が矢印Nの如く逆転方向に回転する。
第2外側耕耘爪62が柔らかい圃場72の上方に露出した状態において、第2外側耕耘爪62は弾性部材43の付勢力で回転径D4が大きな状態に調整されている。
【0073】
図12(b)に示すように、第2外側耕耘爪62が柔らかい圃場72に食い込むことにより、第2外側耕耘爪62に比較的小さな負荷(反力)F4が作用する。
負荷(反力)F4が比較的小さいので、弾性部材43の付勢力で第2外側耕耘爪62の爪先端部62bを第2駆動軸31から大きく離れた状態に保持することができる。
すなわち、第2外側耕耘爪62が柔らかい圃場72に食い込んだ状態において、第2外側耕耘爪62は弾性部材43の付勢力で回転径D4が大きな状態に保持されている。
【0074】
第2外側耕耘爪62の回転径D4を大きく保つことで、爪先端部62bの周速を速くできる。これにより、柔らかい圃場72を細土に耕耘することが可能になり耕耘(耕起)性能を高めることができる。
さらに、第2外側耕耘爪62の回転径D4を大きくすることで、柔らかい圃場72の深耕作業が可能になり、耕耘(耕起)性能を高めることができる。
【0075】
図11〜図12に示すように、耕耘装置20で柔らかい圃場72を耕耘する場合に、第1外側耕耘爪42の回転に対して第2外側耕耘爪62を逆転方向に回転することで、第2外側耕耘爪62で第1外側耕耘爪42の牽引力の一部を相殺することができる。
これにより、耕耘作業に耕耘装置20のダッシング(飛び出し)を抑えることができる。
【0076】
図9〜図12で説明したように、第1、第2の外側耕耘爪42,62で耕耘する圃場71,72の状況(例えば、硬さや柔らかさ)に応じて第1、第2の外側耕耘爪42,62の回転径D3,D4を自動的に調整することができる。
これにより、圃場71,72の状況に適した耕耘作業をおこなうことが可能になり、作業効率の向上を図ることができる。
【0077】
さらに、耕耘作業中に、第1、第2の外側耕耘爪42,62が石(礫)(図示せず)などの障害物に当たった場合、第1、第2の外側耕耘爪42,62を弾性部材43の付勢力に抗して後退する方向(すなわち、駆動軸の回転方向に対して逆方向)に逃がすことができる。
これにより、例えば、第1、第2の外側耕耘爪42,62に石(礫)などの障害物を噛み込むことを防止することができる。
【0078】
加えて、第1、第2の外側耕耘爪42,62に草(図示せず)などが巻き付いた場合、第1、第2の外側耕耘爪42,62を弾性部材43の付勢力に抗して回動させることでコンパクトに折り畳むことができる。
このように、第1、第2の外側耕耘爪42,62をコンパクトに折り畳むことで、第1、第2の外側耕耘爪42,62に巻き付いた草を手間をかけないで容易に除去することができる。
【0079】
つぎに、実施例2の耕耘装置80および実施例3の耕耘装置90を図13〜図15に基づいて説明する。なお、実施例2,3において実施例1の耕耘装置20と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0080】
実施例2に係る耕耘装置80について説明する。
図13〜図14に示すように、耕耘装置80は、連結部材として実施例1の弾性部材43に代えて棒状部材82を用いたもので、その他の構成は実施例1の耕耘装置20と同じである。
【0081】
棒状部材82は、ロッド本体82aの一端部に設けられた第1ねじ部82bと、ロッド本体82aの他端部に設けられた第2ねじ部82cとを有する連結ロッドである。
第1ねじ部82bが第1外側ホルダプレート41の第1連結取付孔53に貫通されて第1連結取付孔53から突出されている。
第1連結取付孔53から突出された第1ねじ部82bにナット84をねじ結合することで、第1ねじ部82bが第1外側ホルダプレート41に取り付けられている。
【0082】
第2ねじ部82cが爪基端部42aの第2連結取付孔54に貫通されて第2連結取付孔54から突出されている。
第2連結取付孔54から突出された第2ねじ部82cにナット85をねじ結合することで、第2ねじ部82cが爪基端部42a(すなわち、第1外側耕耘爪42)に取り付けられている。
【0083】
よって、第1外側ホルダプレート41および爪基端部42a(第1外側耕耘爪42)が棒状部材82で連結されている。
このように、第1外側ホルダプレート41および爪基端部42aを棒状部材82で連結することで、第1外側耕耘爪42が支持ボルト48を軸にして回動することを棒状部材82で阻止できる。
【0084】
これにより、例えば、耕耘装置80で硬い圃場71(図9(a),(b)参照)のみを耕耘する場合や、精度の高い耕耘(耕起)作業をおこなう場合に、第1外側耕耘爪42の回動を抑えて(すなわち、固定させて)耕耘性能を好適に確保することができる。
【0085】
さらに、第1外側ホルダプレート41および爪基端部42aを棒状部材82で連結することで、第1外側耕耘爪42を正転方向および逆転方向の両方向に回転させることが可能になる。
すなわち、第1外側耕耘爪42の取付状態を正転用と逆転用とに交換することなく、第1外側耕耘爪42を正転方向および逆転方向の両方向に回転させることが可能になる。
【0086】
動力伝達機構の正/逆転切換機構で第1駆動軸24の回転を逆転方向に切り換えることで、第1外側耕耘爪42を逆転方向に回転させて圃場の粗起こし作業をおこなうことができる。
なお、第1外側耕耘爪42を正転方向に回転させた場合、一般に圃場の耕耘作業や除草作業をおこなう。
【実施例3】
【0087】
実施例3に係る耕耘装置90について説明する。
図15に示すように、耕耘装置90は、隣接する第1外側耕耘爪42同士を圃場(硬い圃場)91の上方で交差するように配置するとともに、隣接する第2外側耕耘爪62(図8参照)同士を圃場91の上方で交差するように配置したもので、その他の構成は実施例1の耕耘装置20と同様である。
【0088】
すなわち、第1外側耕耘手段26の第1外側耕耘爪42および第1中間耕耘手段27の第1外側耕耘爪42は、圃場91の上方に露出した状態で爪先端部42b同士が交差するように配置されている。
【0089】
よって、それぞれの第1外側耕耘爪42が圃場91の内部に進入した場合に、各弾性部材43(一方は図示せず)が弾性変形して各第1外側耕耘爪42が交差しない位置に配置される。
これにより、圃場91内において各第1外側耕耘爪42を離した状態に配置することができるので、各第1外側耕耘爪42間に石(礫)などの障害物(図示せず)を噛み込むことを一層良好に防止できる。
【0090】
ここで、隣接する第2外側耕耘爪62同士を圃場91の上方で交差させる構成は、隣接する第1外側耕耘爪42同士を圃場91の上方で交差させる構成と同じなので説明を省略する。
【0091】
なお、本発明に係る耕耘装置20,80,90は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例1では、弾性部材43として引張りばねを例示したが、これに限らないで、圧縮ばねなどの他の弾性部材を用いることも可能である。
【0092】
また、前記実施例1〜3では、耕耘装置20に左右の第1耕耘機構21および左右の第2耕耘機構22を備えた例について説明したが、これに限らないで、左右の第1耕耘機構21のみを備えることも可能である。
耕耘装置20に左右の第1耕耘機構21のみを備えた場合、爪先端部42bを第1駆動軸24に近づく方向に移動させて回転径D3を小さくすることで、耕耘作業に耕耘装置20のダッシング(飛び出し)を抑えることができる。
【0093】
さらに、前記実施例2では、棒状部材82として連結ロッド(中実)を例示したが、これに限らないで、連結パイプ(中空)などの他の棒状部材を用いることも可能である。
さらに、棒状部材82を第1、第2のねじ部82b,82cやナット84,85を用いて第1外側ホルダプレート41および第1外側耕耘爪42に連結した例について説明したが、これに限らないで、割りピンなどの他の連結部材を用いることも可能である。
【0094】
また、前記実施例1〜3で示した第1外側ホルダプレート41、第1外側耕耘爪42、弾性部材43、棒状部材82、突起44、第2外側ホルダプレート61および第2外側耕耘爪62などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、駆動軸から複数の耕耘爪を略放射状に延ばし、駆動軸で耕耘爪を回転させることにより土壌を耕耘可能な耕耘装置を備えた耕耘機への適用に好適である。
【符号の説明】
【0096】
20,80…耕耘装置、24…第1駆動軸(駆動軸)、31…第2駆動軸(駆動軸)、38…軸線、41…第1外側ホルダプレート(ホルダプレート)、42…第1外側耕耘爪(耕耘爪)、42a…爪基端部(基端部)、42c…爪中間部(中間部)、43…弾性部材(連結部材)、44…突起(ストッパ)、61…第2外側ホルダプレート(ホルダプレート)、62…第2外側耕耘爪(耕耘爪)、62a…爪基端部(基端部)、62c…爪中間部(中間部)、82…棒状部材(連結部材)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に設けられたホルダプレートと、
前記ホルダプレートに中間部が回動自在に設けられた耕耘爪と、
前記耕耘爪の中間部から離れた基端部を前記ホルダプレートに連結させて前記耕耘爪を耕耘可能に保持する連結部材と、を備え、
前記駆動軸を軸線を中心にして回転させることにより前記耕耘爪を耕耘状態に駆動することを特徴とする耕耘装置。
【請求項2】
前記連結部材は弾性部材であることを特徴とする請求項1記載の耕耘装置。
【請求項3】
前記連結部材は棒状部材であることを特徴とする請求項1記載の耕耘装置。
【請求項4】
前記ホルダプレートに前記耕耘爪の回動を規制する突起が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の耕耘装置。
【請求項1】
駆動軸に設けられたホルダプレートと、
前記ホルダプレートに中間部が回動自在に設けられた耕耘爪と、
前記耕耘爪の中間部から離れた基端部を前記ホルダプレートに連結させて前記耕耘爪を耕耘可能に保持する連結部材と、を備え、
前記駆動軸を軸線を中心にして回転させることにより前記耕耘爪を耕耘状態に駆動することを特徴とする耕耘装置。
【請求項2】
前記連結部材は弾性部材であることを特徴とする請求項1記載の耕耘装置。
【請求項3】
前記連結部材は棒状部材であることを特徴とする請求項1記載の耕耘装置。
【請求項4】
前記ホルダプレートに前記耕耘爪の回動を規制する突起が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の耕耘装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−50346(P2011−50346A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203781(P2009−203781)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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